(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188607
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】法面吹付工法及び吹付用機械
(51)【国際特許分類】
E02D 17/20 20060101AFI20221214BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
E02D17/20 104B
G01C15/00 103Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096775
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】390036504
【氏名又は名称】日特建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石垣 幸整
(72)【発明者】
【氏名】窪塚 大輔
(72)【発明者】
【氏名】西田 昂平
(72)【発明者】
【氏名】四垂 拓也
(72)【発明者】
【氏名】森▲崎▼ 慎也
【テーマコード(参考)】
2D044
【Fターム(参考)】
2D044DC05
(57)【要約】
【課題】機械的に吹付作業を施工出来、吹付装置を一品製作でなく、吹付材を法面の表面上に均一厚さに正確に吹き付け出来る法面吹付工法及び吹付用機械の提供。
【解決手段】本発明は、計測機械(M)と組み合わせて実行され、車両にアタッチメント(1)を取り付け、アタッチメント(1)は、長手方向に移動可能で且つ直交する方向に延在する板状部材(2)、板状部材(2)に沿って移動可能な吹付用ノズル(3)を備え、吹付用ノズル(3)を法面の表面形状に追随、移動し、ノズルを移動する際には、アタッチメント(1)を伸縮し、アタッチメント(1)を揺動し、板状部材(2)をアタッチメント(1)の長手方向の移動、板状部材(2)に沿った吹付用ノズル(3)の移動、アタッチメント(1)の長手方向或いはそれと平行な方向に延在する回転中心に対する板状部材(2)の回動、吹付用ノズル(3)の回動の何れかが実行される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両にアタッチメントを取り付ける工程を有し、
当該アタッチメントは、その長手方向に移動可能で且つ長手方向と直交する方向(横方向)に延在する板状部材と、当該板状部材に沿って移動可能な吹付用ノズルを備えており、
吹付作業を行うべき領域に計測装置からレーザー光を照射する工程と、
計測装置の計測結果に基づいて、吹付用ノズルを法面の表面形状に追随して移動するノズル移動工程を有し、
当該ノズル移動工程では、
アタッチメントを長手方向に伸縮する工程と、
前記アタッチメントを揺動する工程と、
前記板状部材をアタッチメントの長手方向に移動する工程と、
前記板状部材に沿って吹付用ノズルを移動する工程と、
前記板状部材を回動する工程と、
吹付用ノズルを回動する工程、の何れかを含み、
吹付用ノズルが同一の吹付位置を複数回通過する様に同一経路を移動して、当該同一箇所に対して吹付材を複数回に分けて吹き付ける工程と、
移動中の吹付用ノズルが或る時点で吹付材を噴射している際に、当該時点の直前に吹付材を噴射していた箇所について、計測装置(M)により計測する工程を有していることを特徴とする法面吹付工法。
【請求項2】
計測装置の計測結果に基づいて吹付材を吹き付けるべき法面の個々の領域の位置情報を包含する映像データを作成する工程を含む請求項1の法面吹付工法。
【請求項3】
前記映像データに基づいて前記ノズル移動工程で実行するべき工程が決定され、吹付用機械において吹付材を吹き付けるべき領域の状況や吹付厚を確認することが出来る請求項1、2の何れかの法面吹付工法。
【請求項4】
車両に設けられているブームに取り付け及び/又は当該ブームから取り外すためのアタッチメント側接続手段を有するアタッチメントを備え、
当該アタッチメントは、
最長な形状を有する第1の部材及び第2の部材を有し、第2の部材を第1の部材に摺動することにより長手方向に伸縮可能に構成され、
第2の部材の長手方向に移動可能で且つ長手方向と直交する方向に延在する板状部材と、当該板状部材に沿って吹付用ノズルを移動させる横方向移動用部材と、
第2の部材の長手方向に延在する回転中心に対して、前記板状部材を回動する第1の回動用部材と、
吹付用ノズルを回動する第2の回動用部材を含んでおり、
前記車両には第1の部材を揺動する車両側揺動部材が設けられており、
計測装置と組み合わせて用いられ、
吹付用ノズルは、同一の吹付位置を複数回通過する様に同一経路を移動して、当該同一箇所に対して吹付材を複数回に分けて吹き付ける機能を有しており、
吹付作業を行うべき領域にレーザー光を照射する計測装置と組み合わせて用いられ、当該計測装置は、移動中の吹付用ノズルが或る時点で吹付材を噴射している際に、当該時点の直前に吹付材を噴射していた箇所について計測する機能を有していることを特徴とする吹付用機械。
【請求項5】
本発明の吹付用機械は制御装置を含み、
当該制御装置は、
前記第2の部材を前記第1の部材に摺動して前記アタッチメントの長手方向寸法を伸縮する機能と、
直交する方向に延在する板状部材を第2の部材の長手方向の目標箇所まで移動する機能と、
横方向移動用部材を駆動して前記板状部材に沿って吹付用ノズルを移動する機能と、
第1の回動用部材により、第2の部材の長手方向或いはそれと平行に延在する回転中心周りに前記板状部材を回動する機能と、
第2の回動用部材により吹付用ノズルを回動する機能と、
前記車両に設けられた車両側揺動部材を作動して第1の部材を揺動する機能を有している請求項4の吹付用機械。
【請求項6】
前記計測装置は計測結果に基づいて吹付材を吹き付けるべき法面の個々の領域の位置の情報を包含する映像データを作成する機能を有し、
前記制御装置は、計測装置で作成された前記映像データに基づいて、前記アタッチメントの長手方向寸法の伸縮、前記板状部材の前記第2の部材の長手方向目標箇所まで移動、前記板状部材に沿った吹付用ノズルの移動、前記板状部材の回動、吹付用ノズルの回動、第1の部材の揺動を実行する機能を有する請求項4、請求項5の何れかの吹付用機械。
【請求項7】
前記制御装置は、前記映像データに基づいて、吹付用機械において吹付材を吹き付けるべき領域の状況や吹付厚を確認することを可能にする機能を有するのが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法面表面に吹付材を吹き付ける法面吹付工法と、それに用いられる吹付用機械に関する。
【背景技術】
【0002】
不陸の多い法面の表面に吹付材を吹き付ける法面吹付工法は、作業員が吹付用ノズルを持って、所定箇所に吹付材を吹き付けることにより実行される作業(人手による作業)が多かった。
人手による吹付作業は転落その他の危険があり、また、人手により吹付用ノズルを把持しなければならないため、ホース閉塞時には作業員が危険に晒されてしまう。さらに作業効率が低い(例えば、作業員一人当たりの作業面積が100m2/日)という問題があった。
これに対して、機械を用いて吹付作業を行えば、人手による作業に比較して、遥かに作業効率が向上する。そして、作業員の危険が減少する。
そのため、自走可能な法面吹付装置(例えば、特許文献1)が提案されている。
【0003】
しかし、係る法面吹付装置(特許文献1)は、いわゆる「一品製作」で製造される場合があり、一品製作された場合には価格が高く、導入コストが高騰するという問題を有している。
また、吹付作業時に装置を固定するため、車両のアウトリガーを張り出さなければならず、アウトリガーによる固定作業に時間を費やしてしまう。
それに加えて、吹付用ノズルの位置や噴射方向の自由度が低いため、不陸の大きい法面の表面に、均一厚さで吹付材を吹き付けることが困難であった。
【0004】
これに対して、レーザー光を照射するタイプの市販の計測装置により、レーザー光を用いて施工対象の法面の凹凸形状を計測しつつ、リアルタイムで対象法面の吹付の状況や吹付厚を確認する技術が提案されている(特許文献2参照)。
しかし、吹付作業に際して、吹き付けられている吹付材により計測用のレーザー光が遮られてしまうため、計測装置の計測結果からリアルタイムで対象法面の吹付の状況や吹付厚を確認することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6454123号公報
【特許文献2】特開2017-197942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、機械により吹付作業を施工することが出来て、計測装置の計測結果からリアルタイムで対象法面の吹付の状況や吹付厚を確認して、吹付材を法面の表面上に均一厚さにて正確に吹き付けることが出来る法面吹付工法及び吹付用機械の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の法面吹付工法は、
車両(30:無限軌道帯により進行する機械を含む)にアタッチメント(1)を取り付ける工程を有し、
当該アタッチメント(1)は、その長手方向に長手方向(軸方向)に伸縮可能であり、アタッチメントの長手方向及び長手方向と直交する方向(横方向)に延在する板状部材(2)と、当該板状部材(2)に沿って移動可能な吹付用ノズル(3)を備えており、
吹付作業を行うべき領域(法面F或いはその一部領域LA)に計測装置(M)からレーザー光(L)を照射する工程と、
吹付用ノズル(3)を法面(F)の表面形状に追随して移動するノズル移動工程を有し、
当該ノズル移動工程では、
アタッチメント(1)を長手方向(軸方向)に伸縮する工程と、
前記板状部材(2)をアタッチメント(1)の長手方向に移動する工程と、
前記板状部材(2)に沿って吹付用ノズル(3)を移動する工程と、
前記アタッチメント(1)を揺動する工程と、
(アタッチメント(1)の長手方向或いは当該長手方向と平行に延在する回転中心に対して)前記板状部材(2)を回動する(揺動及び/又は回転する場合を含む)工程と、
吹付用ノズル(3)を回動する(揺動及び/又は回転する場合を含む)(吹付用ノズル3を前記板状部材2に対して回動する場合を含む)工程、の何れかを含み、
吹付用ノズル(3)が同一の吹付位置を複数回(例えば4回)通過する様に同一経路を移動(例えば往復動)して、当該同一箇所に対して(必要な量の)吹付材を複数回(例えば4回)に分けて吹き付ける工程と、
移動中の吹付用ノズル(3)が或る時点で吹付材を噴射している際に(箇所δ)、当該時点の直前に吹付材を噴射していた箇所(箇所α)について、計測装置(M)により計測(或いは観測)する工程を有していることを特徴としている。
【0008】
本発明の法面吹付工法において、
計測装置(M)の計測結果に基づいて吹付材を吹き付けるべき法面の個々の領域(箇所:エリア)の位置情報を包含する映像データ(例えば3Dマップ)を作成する工程を含むのが好ましい。
そして、前記映像データに基づいて前記ノズル移動工程で実行するべき工程が決定され、吹付用機械(100)において(オペレーターが)吹付材を吹き付けるべき領域の状況や吹付厚を確認することが出来るのが好ましい。
【0009】
また、本発明の法面吹付工法において、
吹付材を吹き付ける場所が車両(30:例えばバックホウの様に、無限軌道帯により進行する機械を含む)に設けられたブーム(31)の最高到達点よりも低い位置にある場合には、前記アタッチメント(1)を取り付けることなく、前記車両(30)に設けられたブーム(31)の車両(30)と反対側の先端に吹付用ノズル(3)を取り付けて、当該ブーム(31)を動かしつつ吹付用ノズル(3)から吹付材を噴射し、
吹付材を吹き付ける場所が車両(30:無限軌道帯により進行する機械を含む)に設けられたブーム(31)の最高到達点よりも高い位置にある場合には、前記車両(30)に設けられたブーム(31)の車両(30)と反対側の先端にアタッチメント(1)を取り付けるのが好ましい。
さらに、本発明の法面吹付工法において、
吹付材を吹付用ノズル側に供給する吹付材供給系統(20)は吹付固化材用ポンプ(21:例えばコンクリートポンプ)を備え、吹付固化材用ポンプ(21)は移動可能な台車(22)に載置されており、
(ポンプ圧送距離に施工範囲が限定されてしまうことを可能な限り避けるため)吹付用ノズル(3)から吹付材を噴射する際には当該吹付用ノズル(3)に近接する位置に台車(22)を移動する工程を有することが好ましい。
【0010】
本発明の吹付用機械(100)は、
車両(30:無限軌道帯により進行する機械を含む)に設けられているブーム(31)に取り付け及び/又は当該ブーム(31)から取り外すためのアタッチメント側接続手段(4)を有するアタッチメント(1)を備え、
当該アタッチメント(1)は、
最長な形状を有する第1の部材(1-1:車両側部材)及び第2の部材(1-2:吹付用ノズル側部材)を有し、第2の部材(1-2)を第1の部材(1-1)に摺動(スライド)することにより長手方向に伸縮可能に構成され、
第2の部材(1-2:吹付用ノズル側部材)の長手方向に移動可能で且つ長手方向と直交する方向(横方向)に延在する板状部材(2)と、当該板状部材(2)に沿って吹付用ノズル(3)を移動させる横方向移動用部材(5)と、
第2の部材(1-2:吹付用ノズル側部材)の長手方向に延在する回転中心に対して、前記板状部材(2)を回動する第1の回動用部材(6)と、
吹付用ノズル(3)を回動する(吹付用ノズル3を前記板状部材2に対して回動することを含む)第2の回動用部材(7)を含んでおり、
前記車両(30)には第1の部材(1-1:車両側部材)を揺動する車両側揺動部材(8)が設けられており、
計測装置(M)と組み合わせて用いられ、
吹付用ノズル(3)は、同一の吹付位置を複数回(例えば4回)通過する様に同一経路を移動(例えば往復動)して、当該同一箇所に対して(必要な量の)吹付材を複数回(例えば4回)に分けて吹き付ける機能を有しており、
吹付作業を行うべき領域(法面F或いはその一部領域LA)にレーザー光(L)を照射する計測装置(M)と組み合わせて用いられ、当該計測装置(M)は移動中の吹付用ノズル(3)が或る時点で吹付材を噴射している際に(箇所δ)、当該時点の直前に吹付材を噴射していた箇所(箇所α)について計測(或いは観測)する機能を有していることを特徴としている。
【0011】
本発明の吹付用機械(100)は制御装置(CU:例えば吹付用機械側の制御盤やPC等)を含み、
当該制御装置(CU)は、
前記第2の部材(1-2)を前記第1の部材(1-1)に摺動(スライド)して前記アタッチメント(1)の長手方向寸法を伸縮する機能と、
直交する方向(横方向)に延在する板状部材(2)を第2の部材(1-2)の長手方向の目標箇所まで移動する機能と、
横方向移動用部材(5)を駆動して前記板状部材(2)に沿って吹付用ノズル(3)を移動する機能と、
第1の回動用部材(6)により、第2の部材(1-2)の長手方向或いはそれと平行に延在する回転中心周りに前記板状部材(2)を回動する機能と、
第2の回動用部材(7)により吹付用ノズル(3)を回動する(吹付用ノズル3を前記板状部材2に対して回動することを含む)機能と、
前記車両(30)に設けられた車両側揺動部材(8)を作動して第1の部材(1-1)を揺動する機能を有しているのが好ましい。
【0012】
本発明の吹付用機械(100)において、
前記計測装置(M)(或いはその制御装置MCU)は計測結果に基づいて吹付材を吹き付けるべき法面の個々の領域(エリア)の位置の情報を包含する映像データ(例えば3Dマップ)を作成する機能を有し、
(吹付用機械100の)前記制御装置(CU)は、計測装置(M)で作成された前記映像データに基づいて、前記アタッチメント(1)の長手方向寸法の伸縮、前記板状部材(2)の前記第2の部材(1-2)の長手方向目標箇所まで移動、横方向移動用部材(5)による前記板状部材(2)に沿った吹付用ノズル(3)の移動、第1の回動用部材(6)による前記板状部材(2)の回動、第2の回動用部材(7)により吹付用ノズル(3)の回動、前記車両側揺動部材(8)による第1の部材(1-1)の揺動を実行する機能を有するのが好ましい。
そして、(吹付用機械100の)前記制御装置(CU)は、前記映像データに基づいて、吹付用機械(100)において(オペレーターが)吹付材を吹き付けるべき領域の状況や吹付厚を確認することを可能にする機能を有することが好ましい。
また、本発明の吹付用機械(100)において、
吹付材を吹付用ノズル側に供給する吹付材供給系統(20)を備え、
当該吹付材供給系統(20)には吹付固化材用ポンプ(21:例えばコンクリートポンプ)が介装されており、
吹付用ノズル(3)から吹付材を噴射する際に当該吹付用ノズル(3)と前記吹付固化材用ポンプ(21)との距離を短縮するため、当該吹付固化材用ポンプ(21)は移動可能な台車(22)に載置されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上述の構成を具備する本発明によれば、人手によらず機械により吹付作業を施工できるので、従来の手作業に比較して作業者の危険が少ない。
また、ブーム(31)を有する既存の車両(30)における当該ブーム(31)にアタッチメント(1)を取り付けることにより、吹付装置(100)を一品製作することなく用意することが出来るので、施工コストが節約される。
そして、アタッチメント(1)を取り付けるべき車両(30)を適宜選択して、吹付作業の施工高さに対応した車両(30)を選択することにより、施工範囲が限定されることがない。
同様に、適切な作業を選択することにより、車両のアウトリガーの張り出しによる固定作業を省略することが可能となる。
そして、大容量の吹付材を施工するべき法面(F)に対して吹き付けることが出来る。
【0014】
それに加えて本発明によれば、吹付用機械(100)側の制御装置(CU)により、吹付用ノズル(3)を法面(F)の表面形状に追随して移動し、吹付用ノズル(3)を移動するに際しては、アタッチメント(1)を長手方向(軸方向)に伸縮し、前記アタッチメント(1)を揺動し、前記板状部材(2)をアタッチメント(1)の長手方向に移動し、前記板状部材(2)に沿って吹付用ノズル(3)を移動し、アタッチメント(1)の長手方向に延在する回転中心に対して前記板状部材(2)を回動し、或いは、吹付用ノズル(3)を回動するので、吹付用ノズル(3)の位置及び吹付材の吹付方向の自由度が大きくなり、その制御が高精度で行われる。そのため、吹付用ノズル(3)が移動する際における自由度が大きく、法面(F)の表面形状に対して吹付用ノズル(3)を高精度にて追随して移動することが出来る。そのため、不陸(凹凸)が多く複雑な形状の法面であっても、吹付用ノズル(3)から噴射される吹付材を法面(F)の表面上に、均一厚さにて正確に吹き付けることが出来る。その結果、法面(F)の表面に均一厚さの吹付層を正確に形成することが出来る。
本発明において、前記計測装置(M)(の制御装置MCU)は計測結果に基づいて吹付材を吹き付けるべき法面の個々の領域(エリア:吹付箇所)の位置情報を包含する映像データ(例えば3Dマップ)を作成する機能を有し、(吹付用機械100の)前記制御装置(CU)は、計測装置(M)による前記映像データに基づいて、前記アタッチメント(1)の長手方向寸法の伸縮、前記板状部材(2)の前記第2の部材(1-2)の長手方向目標箇所まで移動、前記板状部材(2)に沿った吹付用ノズル(3)の移動、前記板状部材(2)の回動、吹付用ノズル(3)の回動、第1の部材(1-1)の揺動を実行する様に構成すれば、吹付用機械100による吹付作業において、吹付用機械(100)の作業者(オペレーター)の目と「勘」による作業ではなく、計測装置(M)が計測したデータをも活用した作業となるため、作業精度を向上することが出来る。また、吹付用ノズル(3)が法面(F)の表面形状に対して高精度にて追随して移動するためには、吹付用ノズル(3)に対する多種類に亘る微細な操作が必要になるが、本発明によれば、吹付用機械(100)の制御装置(CU)により各種機器を調整して吹付用ノズル(3)を移動するので、吹付用機械(100)のオペレーターに複雑な作業を強いることなく、品質の高い吹付作業が実行できる。
【0015】
本発明において、各々の領域における吹付材の吹付厚さは、吹付工法を施工するべき法面に目印標(例えば、プラスチックの目印標)を設置し、その目印標の施工法面からの高さを所定の吹付厚さに設定し、計測装置(M)の計測に基づいて作成した映像データにおいて目印標が視認できなければ所定の吹付厚さとなったことが確認できる。
或いは、計測装置(M)により得られた吹付直前の画像と吹付直後の画像とを比較することにより、従来公知の方法で演算することが出来る(例えば特許文献2参照)。
さらに、目印標と、計測装置(M)による前記演算とを併用して、確認しつつ吹付作業を行うことも可能である。
【0016】
本発明によれば、吹付用ノズル(3)は、同一の吹付位置を複数回(例えば4回)通過する様に同一経路を移動(例えば往復動)して、当該同一箇所に対して(必要な量の)吹付材を複数回(例えば4回)に分けて吹き付ける。ここで、計測装置(M)は吹付作業を行うべき領域(法面F或いはその一部領域LA)にレーザー光(L)を照射しているが、移動中の吹付用ノズル(3)が或る時点で吹付材を噴射している箇所については、吹付材の噴流(J)或いはその跳ね返り(JS)によりレーザー光(L)は遮られてしまう。
しかし本発明では、移動中の吹付用ノズル(3)が或る時点で吹付材を噴射している際に(箇所β)、当該時点の直前に吹付材を噴射していた箇所(箇所α)について、計測装置(M)により計測(或いは観測)している。そして、上述した様に、本発明では同一箇所に対して(必要な量の)吹付材を複数回(例えば4回)に分けて吹き付けるので、同一か所における吹付時間は従来よりも短くなり(吹付回数の逆数:例えば1/4)、吹付材の噴流(J)或いはその跳ね返り(JS)によりレーザー光(L)は遮られてしまう時間は短い。そして、当該時点の直前に吹付材を噴射していた箇所(箇所α)における吹付箇所の状態は、短い吹付時間経過後に、計測装置(M)により直ちに計測(観察)されるので、所謂「リアル・タイム」で吹付状況を、レーザー光(L)を照射する計測器(M)で計測(観察)することが出来る。
そして本発明によれば、吹付箇所に設けられた吹付厚さ計測用の目印標を、計測機(M)で計測し、その計測結果(例えば映像データ)を目視して吹付厚さを調整することが出来る。換言すれば、本発明によれば、従来技術では不可能であった吹付厚さを確認しながら吹き付けることが可能である。
さらに、同一箇所に対して(必要な量の)吹付材を複数回に分けて吹き付けるので、一回の吹付量が少なく、吹付厚さ寸法も小さいので、吹付厚さの誤差も小さくなる。
【0017】
ここで、本発明ではアタッチメント(1)における第1の部材(1-1)及び第2の部材(1-2)は相互に摺動(スライド)して伸縮するので、固化材搬送用の配管として可撓性の高いゴムホース(11)を使用し、アタッチメント(1)の収縮時と伸長時の長手方向長さの差は、ゴムホース(11)を弛ませることによって吸収する必要がある。しかし、剛性のある配管に比較して、可撓性の高いゴムホース(11)は配管抵抗が高いことが知られている。そして、ゴムホース(11)を弛ませることによりアタッチメント(1)の収縮時と伸長時の長手方向長さの差を吸収するので、ゴムホース(11)を弛ませる分だけゴムホース(11)の全長を、固定配管に比較して長くする必要がある。そのため、ゴムホース(11)により構成されている吹付材供給系統(20)では配管抵抗が大きく、従来のエア圧送に比較して配管が閉塞する可能性が高い。
それに対して、本発明で、吹付材供給系統(20)に吹付固化材用ポンプ(21)を介装し、吹付固化材用ポンプ(21)を移動可能な台車(22)に載置すれば、台車(22)を移動して吹付固化材用ポンプ(21)吐出口から吹付用ノズル(3)までの距離(吹付固化材用ポンプ21吐出口から吹付用ノズル3までのゴムホース11の長さ)を短くして、吹付材供給系統(20)における配管抵抗を小さくすることが出来る。その結果、ゴムホース(11)の閉塞を抑制することが出来る。それに加えて、吹付固化材用ポンプ(21)を移動可能な台車(22)に載置しているので、ポンプ圧送距離に施工範囲が限定されてしまうことを可能な限り避けることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態の概要を示す説明図である。
【
図2】実施形態において、アタッチメントを長手方向に伸縮する工程を示す説明図である。
【
図3】アタッチメントを揺動する工程を示す説明図である。
【
図4】板状部材に沿って吹付用ノズルを横方向に移動する工程を示す説明図である。
【
図5】板状部材に沿って吹付用ノズルを横方向に移動する機構の一例を示す説明図である。
【
図6】前記板状部材を回動する工程を示す説明図である。
【
図7】板状部材を回動する機構の一例を示す説明図である。
【
図8】板状部材を回動する機構の
図7とは異なる例を示す説明図である。
【
図10】ノズルを揺動する機構の一例を示す説明図である。
【
図12】ノズルを揺動する機構であって、
図10、
図11で示すのとは別の例を示す説明図である。
【
図13】ノズル先端を回転する機構の一例を示す説明図である。
【
図14】吹付用機械の制御装置の機能ブロック図である。
【
図15】
図1~
図14で示す吹付装置における吹付の手順を示すフローチャートである。
【
図17】実施形態における吹付材供給系統の要部を示す説明図である。
【
図18】実施形態における吹付材供給系統における変形例を示す説明図である。
【
図19】実施形態において、アタッチメントを用いることなく吹付を行う態様を示す説明図である。
【
図21】従来の吹付技術の問題点を示す説明図である。
【
図22】実施形態における吹付の態様における一時点の状態を示す説明図である。
【
図23】
図22で示す時点の次の時点における状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に
図1を参照して、本発明の実施形態の概要を説明する。
図1において、本発明の実施形態に係る吹付用機械100は、車両30(軌道帯により進行する機械を含む)と、車両30のブーム31に取り付け可能/取り外し可能なアタッチメント1を有している。そしてアタッチメント1は、アタッチメント側接続手段4によりブーム31に接続されている。
後述する様に、アタッチメント1は第1の部材1-1(車両側部材)及び第2の部材1-2(吹付用ノズル側部材)を有しており、第1の部材1-1と第2の部材1-2が摺動(スライド)することにより、アタッチメント1は長手方向に伸縮可能である。換言すれば、第1の部材1-1に対して、第2の部材1-2は移動(摺動)可能である。
アタッチメント1には、長手方向と直交する方向(横方向)に延在する板状部材2と、当該板状部材2に沿って移動可能な吹付用ノズル3が設けられている。そして、吹付用ノズル3は、吹付作業が行われるべき法面F(施工法面)の表面形状に追随して移動する(ノズル移動工程を実行する)ように構成されている。なお、吹付用ノズル3に吹付材(固化材)を供給するゴムホース(供給ホース)が符号11で示されている。
【0020】
詳細を後述するように、
図1の吹付用機械100は、
アタッチメント1を長手方向(軸方向)に伸縮する工程(
図2参照)、
前記アタッチメント1を揺動する工程(
図3参照)、
前記板状部材2をアタッチメント1の長手方向に移動させる工程(
図2参照)、
前記板状部材2に沿って吹付用ノズル3を移動する工程(
図4参照)、
アタッチメント1の長手方向に延在する回転中心に対して、前記板状部材2を回動する(揺動及び/又は回転する場合を含む)工程(
図7、
図8参照)、
吹付用ノズル3を(吹付用ノズルを前記板状部材に取り付ける取付機構において)回動する(揺動及び/又は回転する場合を含む)工程(
図9~
図13参照)
が実行可能である様に構成されている。上記の各工程により、吹付用ノズル3を法面Fの表面形状に追随して移動するノズル移動工程が構成されている。
図1において、連接ロッド33を介して、車両30と台車22が接続されており、台車22にはコンクリートポンプ21が載置されている。
図17を参照して後述するように、コンクリートポンプ21から吐出される吹付材をゴムホース11で吹付用ノズル3(図示しない)に圧送する距離を短くして、ゴムホース11内の閉塞の危険性を減少するためである。
【0021】
図1において、計測装置Mから法面Fに照射されるレーザー光が矢印Lで示されており、吹付作業を行うべき法面F或いはその一部領域(
図21から
図23の領域LA)を照射している。いる。
図14、
図15を参照して後述するが、計測装置Mの制御装置MCUで作成された映像データは、信号ラインSL1(有線または無線)を介して吹付用機械100の制御装置CUに送信される。さらに、吹付用機械100の制御装置CUの制御信号が、信号ラインSL10を介してコンクリートポンプ21に送信される。
また、
図14を参照して後述するが、制御装置CUは、コンクリートポンプ21への制御信号の他、吹付用ノズル3の位置を調整する各部材(アタッチメント1等)への制御信号、吹付材に混入するエアの供給装置(コンプレッサー等)や急結剤の供給装置への制御信号等を送信する(
図14参照)。それと共に、計測装置Mの制御装置MCUに対して、吹付用ノズル3からの吹付材噴流の噴射位置の情報を送信する。
図1において、第2の部材1-2は第1の部材1-1に対して摺動(スライド)してアタッチメント1の長手方向寸法を伸縮可能であり、板状部材2は第2の部材1-2の長手方向にスライド移動可能である。そして、当該スライド移動により、吹付用ノズル3は、アタッチメント1の長手方向を往復動して、同一の吹付位置を、図示の実施形態では4回通過する。そして、同一の吹付位置を通過する度毎に、必要な吹付量の1/4ずつを噴射する。
図23を参照して後述するように、移動中の吹付用ノズル3が吹付材を噴射Jしている箇所(吹付箇所β)の直前の箇所(吹付箇所α)が計測装置(M)のレーザー光(L)により計測されるので、レーザー光(L)が吹付材の噴流(J)或いはその跳ね返り(JS)により阻害されてしまうことは無い。そして、吹付用ノズル3が吹付材を噴射Jしている箇所の直前の箇所が計測され、且つ、同一の吹付位置を4回通過して必要な吹付量の1/4ずつを噴射するため、実際に吹き付けられている箇所と計測される箇所とのタイムラグが殆ど存在せず、概略リアルタイムで吹付箇所を計測(確認)して、対象法面の吹付の状況や吹付厚を確認することが出来る。
【0022】
計測装置Mの制御装置MCUは吹付作業を行うべき法面F或いはその一部の領域LA(
図22、
図23参照)に、レーザー光Lを照射して計測する機能を有している。また、計測結果に基づいて吹付材を吹き付けるべき法面の個々の領域(エリア:吹付箇所)の位置情報を包含する映像データ(例えば3Dマップ)を作成する機能を有している。この映像データは、吹付用ノズル3からの吹付箇所が移動するのに追随する様な映像をオペレーターに提供する。
吹付用機械100の制御装置CUは、計測装置M或いはその制御装置MCUで作成された映像データに基づいて、アタッチメント1の長手方向寸法の伸縮、第2の部材1-2の長手方向目標箇所まで板状部材2の移動、板状部材2に沿った吹付用ノズル3の移動、板状部材2の回動、吹付用ノズル3の回動、第1の部材1-1の揺動を実行する。そして、吹付用機械100のオペレーターは、計測装置Mの計測結果である前記映像データにより、吹付材を吹き付けるべき領域の状況や吹付厚を視覚的に確認することが出来る。
これにより、吹付用機械100のオペレーターの目と「勘」による作業ではなく、計測装置Mが計測したデータ(映像データ)をも活用した作業となるため、作業精度を向上することが出来る。そして、オペレーターの労力を増加させることなく、計測装置Mによる映像データを活用して、吹付用ノズル3が法面Fの表面形状に対して高精度で追随して移動出来る。そのため、不陸(凹凸)が多く複雑な形状の法面であっても、吹付用ノズル3から噴射される吹付材を法面Fの表面上に、均一厚さにて正確に吹き付けることが出来て、法面Fの表面に均一厚さの吹付層を正確に形成することが出来る。
【0023】
ここで、各々の領域における吹付材の吹付厚さを計測するに際しては、吹付工法を施工するべき法面Fに目印標(図示せず:例えばプラスチック製の黒色の目印標)を設置し、図示しない目印標の施工法面からの高さを所定の吹付厚さに設定する。そして、吹付作業において、計測装置Mで作成した映像データにおいて前記目印標が視認できなければ所定の吹付厚さ以上であることが確認できる。図示の実施形態では、吹付箇所の映像をオペレーターに提供できるので、オペレーターは吹付箇所における目印標の有無を視認することにより、吹付材の吹付厚さを確認しながら吹付作業を行うことが出来る。
或いは、(例えば特許文献2に記載されている様に)計測装置Mにより得られた吹付直前の画像と吹付直後の画像とを比較し、従来公知の方法で吹付厚さを演算することが出来る。
さらに、目印標と、計測装置Mによる前記演算とを併用して、確認しつつ吹付作業を行うことも可能である。
図示の実施形態において、レーザー光を照射する計測装置Mとして市販品を用いることができる。
図示の実施形態において、吹付用機械100の制御装置CUは、例えば吹付用機械側の制御盤やPC等の情報処理機能を有する装置(情報処理装置)であるが、制御盤を操作するオペレーターで構成する場合がある。計測装置Mの制御装置も情報処理装置であるが、計測装置Mのオペレーターで構成する場合もある。
【0024】
アタッチメント1を長手方向に伸縮する工程が
図2で示されている。
図2において、アタッチメント1は、長手方向に延在する形状を有する第1の部材1-1(車両側部材)及び第2の部材1-2(吹付用ノズル側部材)を有し、第2の部材1-2を第1の部材1-1にスライド(摺動)することにより(矢印S方向)、アタッチメント1(第1の部材1-1、第2の部材1-2)は長手方向に伸縮可能である。
アタッチメント1は、第1の部材1-1の車両側端部近傍にアタッチメント側接続手段4を有しており、アタッチメント側接続手段4を介して、車両30のブーム31に取り付け及び/又は取り外し自在に構成されている。
図2は、アタッチメント1を最も伸長した状態を示しており、第2の部材1-2の下端部は第1の部材1-1の上端部近傍に位置している。一方、図示しないが、アタッチメント1が最短となるように収縮した状態では、第2の部材1-2の上端部は第1の部材1-1の上端部近傍に位置する。
図2における矢印Sが、第2の部材1-2の上端部の移動範囲を示している。
第2の部材1-2を第1の部材1-1に対してスライドするための機構としては、例えばフォークリフトで用いられている公知の機構を援用することが出来る。
【0025】
図2において、アタッチメント1の第2の部材1-2には、第2の部材1-2の長手方向にスライド可能(移動可能)であって、且つ長手方向と直交する方向(横方向)に延在する(
図4、
図5参照)板状部材2が取り付けられている。
図2では、板状部材2が第2の部材1-2の最上方に移動した状態と、最下方に移動した状態と、最上方と最下方の中間位置に移動した状態とが示されている。ここで、板状部材2は一つのみであり、板状部材2が3個設けられている訳ではない。
アタッチメント1が最短となるように収縮した状態(図示せず)を含めると、板状部材2がアタッチメント1の長手方向について移動可能な範囲は、
図2に示す3つの位置の範囲の概略2倍の範囲となる。板状部材2を第2の部材1-2の長手方向に移動するための機構として、従来公知の機構を用いることが出来る。
板状部材2には吹付用ノズル3が取り付けられ、吹付用ノズル3は板状部材2に沿って横方向(
図2で紙面に垂直な方向)に移動可能である。なお、
図2において、吹付用ノズル3に固化材(吹付材)を供給する供給ホースが符号11で示されている。
【0026】
アタッチメント1を揺動する工程が
図3で示されている。
図3において、車両30のブーム31には、アタッチメント1(の第1の部材1―1)を揺動する車両側揺動部材8が設けられている。
図3で示す車両側揺動部材8は、アタッチメント1を最大15°の範囲で揺動(矢印A3参照)するように設定されているが、「最大15°」は例示であり、矢印A3方向に揺動する範囲はその他の角度の範囲に設定することが出来る。
アタッチメント1を揺動する車両側揺動部材8は、従来公知の機構により構成することが出来る。
【0027】
板状部材2に沿って吹付用ノズル3がスライド(摺動:移動)する工程が
図4に示されている。
図4において、吹付用ノズル3は板状部材2に沿って、アタッチメント1の長手方向と直交する方向(矢印A4方向)にスライド(移動)する。
図4では、単一の吹付用ノズル3が、板状部材2の長手方向(矢印A4方向)の両端位置及び中央位置に位置した状態が表示されているが、吹付用ノズルは1個のみ設けられており、吹付用ノズル3が3個設けられている訳ではない。
吹付用ノズル3には供給ホース11が接続されている。
吹付用ノズル3は横方向移動用部材5(
図4では図示せず)により板状部材2に沿って移動する。横方向移動用部材5について、
図5を参照して説明する。
【0028】
図5において、板状部材2に配置される横方向移動用部材5は、一対のスプロケット5A、5A、スプロケット5Aにより駆動されるチェーン5B、チェーン5Bに固定されたノズル取付部材5Cを有している。ノズル取付部材5Cはチェーン5Bに固定されていると共に、板状部材2に取り付けられている角状パイプ(図示せず)に回転ローラー(図示せず)を介して取り付けられている。そしてノズル取付部材5Cには吹付用ノズル3が取り付けられている。
板状部材2に沿って吹付用ノズル3を移動する際は、一対のスプロケット5Aのうち一方を駆動源(例えば、図示しない油圧モータ)により正転或いは逆転し、それによりチェーン5Bが左右に走行する。そして、チェーン5Bに固定されたノズル取付部材5Cと共に吹付用ノズル3が
図5の左右方向(矢印A5)に移動する。ここで、
図4における矢印A4と、
図5における矢印A5は共に、吹付用ノズル3の移動方向である板状部材2の長手方向(
図4、
図5の左右方向)を示している。
吹付用機械100のオペレーターの操作により図示しない油圧モータを停止すれば、ノズル取付部材5Cに取り付けられた吹付用ノズル3は、任意の位置に停止、固定する。
なお、
図5では吹付用ノズル3は、板状部材2の長手方向に対して垂直方向(
図5で紙面に垂直な方向)を向いて配置されているが、
図9~
図13を参照して後述する様に、吹付用ノズル3を回動(揺動及び/又は回転する場合も含む)することが出来る。
【0029】
図6は、板状部材2の回転中心軸C6を中心とした回動(矢印R1)が示されている。回転中心軸C6は、アタッチメント1の第2の部材1-2の長手方向に延在している。図示の煩雑を防ぐために、
図6ではノズル3の詳細な図示は省略している。なお、回転中心軸C6は、アタッチメント1の第2の部材1-2の長手方向と平行な方向に延在させることも可能である。
ここで、板状部材2が回動する場合(
図6~
図13)においても、ノズル3は同一の速度で、計測装置Mからレーザー光Lが照射されて計測される箇所を移動させることが出来る。その場合においても、実際に吹き付けられている箇所と計測される箇所とのタイムラグが殆ど存在せず、概略リアルタイムで吹付箇所が計測できる。
板状部材2の回動は、
図7、
図8を参照して後述する第1の回動用部材6、6-1により実行される。
【0030】
図7で模式的に示す第1の回動用部材6は、伸縮自在な第1のシリンダ6A及び第2のシリンダ6Bを備え、第1のシリンダ6Aはシリンダ取付部6Cと板状部材2における回動自在な軸支点2aを連結し、第2のシリンダ6Bはシリンダ取付部6Cと板状部材2における回動自在な軸支点2bとを連結している。
第1及び第2のシリンダ6A、6Bの伸縮量が等しい場合には、板状部材2は実線で示す回動位置P1となり、第1のシリンダ6Aを伸長して第2のシリンダ6Bを収縮すると板状部材2は矢印R2方向に回動し、破線で示す回動位置P2となる。第1のシリンダ6A、第2のシリンダ6Bの伸縮量を調整することにより、板状部材2を回動して様々な位置に固定することが出来る。矢印R2で示す回動は、
図6の矢印R1で示す回動の一種である。
【0031】
第1の回動用部材の変形例6-1を示す
図8において、第2の部材1-2(
図8では図示せず)に取り付けられた第1の回動用部材6―1は、板状部材支持部6-1A及び取付部2cにより、板状部材2を回動自在に軸支している。板状部材支持部6-1Aは第1の回動用部材6―1の本体部の先端近傍に設けられ、取付部2cは板状部材2側の取付ブラケット2Aに設けられている。
第1の回動用部材6-1には伸縮自在なシリンダ6―1Bが設けられている。シリンダ6―1Bは、第1の回動用部材6-1本体部のシリンダ取付部6-1Cとシリンダ取付部2dとを連結している。シリンダ取付部2dは、板状部材2側の取付ブラケット2Aに設けられている。
【0032】
図8に示す様に、板状部材2のシリンダ取付部2dは、取付ブラケット2Aに設けられた取付部2c(本体部の板状部材支持部6-1A)とは、シリンダ取付部6-1Cのシリンダ伸縮方向に対してオフセットしている。そのため、シリンダ6-1Bを伸縮すると、板状部材2を矢印R3方向に回動させることが出来る。矢印R2で示す回動も、
図6の矢印R1で示す回動の一種である。
例えば、シリンダ6-1Bを実線で示す様に圧縮すると、板状部材2を
図8において実線で示す回動位置P3となる。一方、シリンダ6-1Bを点線で示す様に伸長すると、板状部材2を
図8において破線で示す回動位置P4となる。シリンダ6-1Bの伸縮量を調整することにより、板状部材2を様々な回動位置に固定することが出来る。
【0033】
図9は、吹付用ノズル3の回動(或いは揺動)を示している。
図9において、吹付用ノズル3は、図示しない板状部材2に対して、取付機構9により移動可能に取り付けられており、矢印R4で示す様に回動する(揺動及び/又は回転する場合を含む)。
図9において、符号11は吹付用ノズル3に固化材を供給する供給ホースを示す。
吹付用ノズル3は第2の回動用部材7(
図9では図示せず)により回動され、第2の回動用部材7について
図10~
図13を参照して説明する。
【0034】
図10で示す第2の回動用部材7は、吹付用ノズル3を回動する機構の一例である。
図10において、第2の回動用部材7は、本体部7Aに設けられた回転軸7Bにより円盤部7Cが回転し、円盤部7Cにはロッド7Dの一端部7DAが回動自在に軸支されている。ロッド7Dの他端部7DBは、吹付用ノズル3の基部近傍において、連結部材7Eを介して接続部材3Dに連結されている。接続部材3Dは、吹付用ノズル3と供給ホース11を接続している。
明確には図示されていないが、ロッド7Dの他端部7DBは、連結部材7Eに対して、例えば、
図11において上下方向には移動可能であるが、左右方向には移動しない様に軸支されている。他端部7DBをその様に軸支した場合には、第2の回動用部材7の円盤部7Cを回転させると(
図11の矢印R5)、円盤部7Cの回転は、ロッド7D、連結部材7E、接続部材3Dを介して吹付用ノズル3に伝達され、吹付用ノズル3は、例えば
図10において矢印R6で示す様に揺動する。揺動角度は、例えば片側で45°である。
なお、ロッド7Dの一端部7DAの円盤部7Cにおける位置(回転中心7C1との位置関係)等を調整し、且つ、ロッド7Dの他端部7DBは連結部材7Eに対して回転自在に軸支することにより、吹付用ノズル3の先端は、
図10において矢印R7で示す様に回転させることが出来る。
【0035】
吹付用ノズル3を回動する機構は
図10、
図11で示す機構に限定される訳ではなく、例えば、
図12で示すような機構であっても良い。
図12は、
図10、
図11で示す第2の回動用部材7の変形例7-1を示している。
図12において、第2の回動用部材7-1は、伸縮自在な第1のシリンダ7-1A及び第2のシリンダ7-1Bを備え、第1のシリンダ7-1Aは第1のシリンダ取付部7―1Cと吹付用ノズル3側のブラケット3Aにおける取付部3aとを連結しており、第2のシリンダ7-1Bは第2のシリンダ取付部7―1Dと吹付用ノズル3側のブラケット3Aにおける取付部3bとを連結している。
【0036】
第1及び第2のシリンダ7-1A、7-1Bの伸縮量に応じて、吹付用ノズル3は回動中心3Bに対して回動(揺動)し(矢印R8)、所定の揺動角度に保持される。第1及び第2のシリンダ7-1A、7-1Bの伸縮量を等しくすると、吹付用ノズル3は
図12における実線の位置(位置P5)に保持される。
第1のシリンダ7-1Aを収縮し、第2のシリンダ7-1Bを伸長すると、吹付用ノズル3は揺動中心3Aに対して左側(
図12で)に移動し、破線で示す揺動位置(中心軸P6で示す位置)に位置する。一方、第1のシリンダ7-1Aを伸長し、第2のシリンダ7-1Bを収縮すると、吹付用ノズル3は揺動中心3Aに対して右側(
図12で)に移動し、破線で示す揺動位置(中心軸P7で示す位置)となる。そして、第1のシリンダ7-1A、第2のシリンダ7-1Bの伸縮量を調整することにより、吹付用ノズル3を様々な揺動位置とすることが出来る。
図12において、吹付用ノズル3の揺動角度は、例えば左右で30°である。
【0037】
吹付用ノズル3を回動については、
図10~
図12で示す様な揺動に加えて、吹付用ノズル3の先端が小円の軌跡を描くように回転させる場合も含む。
図13は、吹付用ノズル3の先端が小円の軌跡を描くように回転させる第2の回動用部材の第2変形例に係る回動用部材7-2を示している。
図13において、第2の回動用部材7-2は、本体部7-2Aに設けられた回転軸7-2Bに第1の円盤部7-2Cが回転自在に軸支され、第1の円盤部7-2Cには第2の円盤部7-2Dが軸部7-2DAで回転自在に軸支されている。第1の円盤部7-2Cの回転中心7-2CAは第1の円盤部7-2Cの中心(円形の中心点)に対してオフセットされている。
第2の円盤部7-2Dの端部7-2DB(
図13で上端)は接続部材7-2Eに連結されており、接続部材7‐2Eには吹付用ノズル3の支持部材3Eが固定されている。
【0038】
図13において、第1の円盤部7-2Cが回転軸7-2CAを中心に回転すると(矢印R9)、第2の円盤部7-2Dが偏芯回転し、当該偏芯回転は、接続部材7-2E、支持部材3Eを介して吹付用ノズル3に伝達され、吹付用ノズル3の先端は矢印R12で示す様に小円の軌跡を描くように回転する。
第1の円盤部7-2Cの回転中心7-2CAのオフセット量、第2の円盤部7-2Dの軸支位置7-2DA等を調整することにより、吹付用ノズル3の先端の回転R12の回転半径等を調整することが出来る。
なお、図示の簡略化と説明を平易にするため、
図13は実機とは上下逆の態様で表現されている。
図10も同様である。
【0039】
機能ブロック図である
図14を参照して、吹付用機械100の制御装置CUについて説明する。上述した様に、制御装置CUは、計測装置M(或いはその制御装置MCU)で作成された映像データに基づいて、アタッチメント1の長手方向寸法の伸縮、板状部材2の第2の部材1-2の長手方向目標箇所まで移動、板状部材2の長手方向における吹付用ノズル3の移動、板状部材2の回動、吹付用ノズル3の回動、第1の部材1-1の揺動を実行する機能、すなわちアタッチメント1等の部材、吹付材等の供給手段に制御信号を送信する機能、を有している。
図14において、吹付用機械100の制御装置CUは、吹付エリア特定ブロックB1、ノズル位置調整ブロックB2、吹付量チェックブロックB3、吹付量決定ブロックB4、エア増減決定ブロックB5、制御信号発生ブロックB6を有している。
ノズル位置調整ブロックB2は、アタッチメント長手方向位置調整ブロックB21、アタッチメント揺動角度調整ブロックB22、板状部材位置調整ブロックB23、ノズル横方向位置調整ブロックB24、板状部材回動調整ブロックB25、ノズル回動調整ブロックB26、車両移動ブロックB27を有している。
【0040】
吹付エリア特定ブロックB1は、計測装置Mから、信号ラインSL1を介して、吹付材を吹き付けるべき法面の個々の領域(吹付箇所:エリア)の映像データ(例えば3Dマップ)を取得する機能を有する。当該映像データには当該吹付箇所(領域:エリア)の位置情報が包含されている。
吹付エリア特定ブロックB1は、取得した前記映像データに基づいて、吹付箇所を特定する機能を有している。当該吹付箇所の特定に際しては、従来公知の技術を採用することが出来る(例えば、特許文献2)。
吹付エリア特定ブロックB1により特定された吹付箇所の情報は、信号ラインSL2を介してノズル位置調整ブロックB2に送信される。
【0041】
ノズル位置調整ブロックB2は、前記吹付エリア特定ブロックB1により特定された吹付箇所の情報に基づき、当該吹付箇所に対する吹付を実行するために最適なノズル位置に調整する機能を有している。具体的には、最適なノズル位置に調整するため、アタッチメント1等の各対象部材(
図1~
図13に示す部材)の動作、位置を決定し、対象部材に制御信号を送信する機能を有している。
各対象部材の動作、位置は、対象部材(及び動作)毎に、ノズル位置調整ブロックB2の各構成ブロック(アタッチメント長手方向位置調整ブロックB21~車両移動ブロックB27)によりそれぞれ決定される。
【0042】
図14において、アタッチメント長手方向位置調整ブロックB21は、アタッチメント1の第2の部材1-2を第1の部材1-1にスライド(摺動)して(
図2の矢印S方向)、アタッチメント1(第1の部材1-1、第2の部材1-2)を長手方向に伸縮させて、アタッチメント1の長手方向位置を調整する機能を有している。アタッチメント1(第2の部材1-2)の長手方向位置を調整することにより、第2の部材1-2に取り付けられる板状部材2を介して吹付用ノズル3のアタッチメント長手方向位置を調整している。吹付用ノズル3のアタッチメント長手方向位置を調整する範囲は、
図2において矢印Sで示す範囲である。
アタッチメント揺動角度調整ブロックB22は、
図3に示す様に、車両30に設けられた車両側揺動部材8を作動して、第1の部材1-1(及び第1の部材1-2に接続される第2の部材1-2)を揺動し(
図3の矢印A3)、その揺動角度を調整する機能を有している。第1の部材1-1を揺動する角度範囲は、例えば
図3に示す様に最大15°の範囲である。但し、前記揺動するか角度範囲は、「最大15°」でなくその他の角度に設定することも出来る。第1の部材1-1の揺動角度を調整することにより、第2の部材1-2に取り付けられる板状部材2を介して吹付用ノズル3の揺動位置、すなわち、アタッチメント1が車両30のブーム31に対してどの程度傾斜するのか、を調整することが出来る。
【0043】
図4を参照して上述した様に、アタッチメント1の第2の部材1-2の長手方向にスライド可能(移動可能)で、且つ、長手方向と直交する方向(横方向)に延在(
図4参照)する板状部材2が取り付けられている。板状部材位置調整ブロックB23は、板状部材2を第2の部材1-2の長手方向(
図2の矢印S方向)に移動し、アタッチメント1の長手方向における板状部材2の目標位置に調整する機能を有している。これにより、板状部材2に取り付けられる吹付用ノズル3のアタッチメント1の長手方向位置が調整される。アタッチメント1の長手方向における板状部材2の位置を調整する範囲は、第2の部材1-2の長手方向の範囲であり、第2の部材1-2における上端部近傍から下端部近傍までの範囲である。
上述した様に、吹付用ノズル3は板状部材2に取り付けられ、横方向移動用部材5を作動することにより、吹付用ノズル3を板状部材2の長手方向に沿って(
図4で矢印A4の方向)に移動可能である。ノズル横方向位置調整ブロックB24は、
図4、
図5で示す様に、吹付用ノズル3を板状部材2の長手方向に沿って移動し、板状部材2の長手方向における吹付用ノズル3の位置を調整する機能を有している。
【0044】
図14において、板状部材回動調整ブロックB25は、
図6~
図8(の矢印R1~R3)に示す様に、第1の回動用部材6或いは第1の回動用部材6-1を作動して、アタッチメント1の長手方向に延在する回転中心に対して、板状部材2を回動し(揺動及び/又は回転する場合を含む)、板状部材2の回動方向における位置を調整する機能を有している。
板状部材2の回動位置を調整することにより、板状部材2に取り付けられる吹付用ノズル3の(アタッチメント1の長手方向に延在する回転中心に対する)回動方向位置を調整することが出来る。
回動ノズル回動調整ブロックB26は、第2の回動用部材7、7-1或いは7-2を作動して、吹付用ノズル3を(吹付用ノズル3を板状部材2に取り付ける取付機構9において)回動し(揺動及び/又は回転する場合を含む)、吹付用ノズル3の回動方向における位置を調整する機能を有している。
上述した様に、吹付用ノズル3は板状部材2に取付機構9により移動可能に取り付けられており(
図9参照)、第2の回動用部材7、第2の回動用部材7-1或いは第2の回動用部材7-2を作動することにより回動し(揺動及び/又は回転する場合を含む)、以て、吹付用ノズル3の回動方向位置を調整する。回動方向については
図10~
図13に例示した通りであり、例えば
図10において矢印R6で示す揺動(揺動角度は、例えば片側で45°)、
図10において矢印R7で示す回転、
図12において矢印R8で示す揺動(揺動角度は、例えば片側で15°)、
図13において矢印R12で示す回転である。
【0045】
車両移動ブロックB27は、吹付用機械100を車両30により移動する機能を有している。当該機能を実行するに際して、吹付用機械100(及び車両30)のオペレーターが運転しても良いし、或いは、車両30が自動運転を行う様に構成することも可能である。
ノズル位置調整ブロックB2を構成する各機能ブロック(アタッチメント長手方向位置調整ブロックB21~車両移動ブロックB27)で調整し、決定したノズル位置(吹付エリア特定ブロックB1で特定した吹付エリアを吹き付けるために最適なノズル位置)に調整するための制御信号は、信号ラインSL3を介してアタッチメント1等の各対象部材(
図1~
図13に示す各部材)に送信される。
ノズル位置調整ブロックB2は、吹付エリアの吹付を実行するための最適なノズル位置の調整が完了した際に、「ノズル位置調整完了信号」を、信号ラインSL4を介して制御信号発生ブロックB6に送信する機能を有している。
【0046】
図14において、吹付量チェックブロックB3は、信号ラインSL5を介して、吹付材を吹き付けるべき法面の個々の領域(エリア)の映像データ(例えば3Dマップ、当該エリアの位置情報が包含される)を計測装置Mから取得する機能を有する。
吹付量チェックブロックB3は、取得した前記映像データに基づき当該吹付エリアの吹付状況を確認し、当該吹付エリアに更に吹付を行うことが必要か否かをチェックする機能を有している。
更に吹付を行うことが必要か否かをチェックする際には、
図1を参照して上述した様に、例えば、吹付工法を施工するべき法面Fに所定の(目標の)吹付厚さに応じて設置された目印標(プラスチック製の黒色の目印標)が視認できない場合には、所定の吹付厚さであると判断して、更なる吹付は不要と判断する。或いは、更に吹付を行うことが必要か否かをチェックする際には、計測装置Mにより得られた前記映像データに基づいて、その他の従来公知の方法により判断することも出来る。
吹付量チェックブロックB3によるチェック結果(更に吹付を行うことが必要か否かの判断結果)は、信号ラインSL6を介して吹付量決定ブロックB4に送信される。
【0047】
吹付量決定ブロックB4は、吹付量チェックブロックB3から当該吹付エリアに更に吹付を行うことが必要か否かに関するチェック結果を取得し、併せて吹付材を吹き付けるべき法面の領域(エリア)の映像データを取得し、吹付量を決定する機能を有している。
当該吹付量決定の際には、吹付直前の画像と吹付直後の画像とを比較することにより、従来公知の方法で演算することが出来る(例えば特許文献2参照)。さらに、目印標の視認状況と前記演算とを併用して、吹付量を決定することも出来る。吹付量決定の結果、吹付量を維持、増加或いは減少し、又は、吹付量をゼロにする(すなわち吹付を停止する)。
吹付量決定ブロックB4により決定された吹付量の情報(吹付停止を含む)は、信号ラインSL7を介して制御信号発生ブロックB6に送信される。
【0048】
図16を参照して後述するが、供給ホース11(
図16、
図1、他)により圧送されて吹付用ノズル3から噴射される吹付材(固化材、コンクリート等)は、スランプ値を大きくしており、そのままの状態では、法面に付着しない。そのため、吹付材供給系統20における吹付用ノズル3の噴射直前でエアと急結剤を吹付材に混入して噴射している。急結剤を混入することにより、吹付材のスランプ値が大きくても、吹付用ノズル3から吹き付けられた材料が法面で固化する。
エア増減決定ブロックB5は、計測装置M(の制御装置MCU)から、信号ラインSL8を介して吹付箇所(領域:エリア)の映像データ(吹付箇所の位置情報等を包含する)を取得し、当該映像データに基づいて吹付箇所の吹付状況を確認する。そして、吹付材にエアと急結剤を混入する必要があるか否か、エアと急結剤を混入する必要がある場合にエア及び急結剤混入量の増減や混入量を決定する機能を有している。
吹付材にエアと急結剤を混入させる必要があるか否かと、エアと急結剤を混入させる必要がある場合における混入量の増減、混入量を決定する際には、当該映像データ(例えば3Dマップ)で吹付箇所における吹付材の付着状況を確認することにより実行される。
エア増減決定ブロックB5による決定結果(エアと急結剤を混入するか否か、エアと急結剤を混入させる必要がある場合における混入量の増減、混入量)は、信号ラインSL9を介して制御信号発生ブロックB6に送信される。
【0049】
上述した様に、制御信号発生ブロックB6は、吹付エリアの吹付を実行するための最適なノズル位置の調整が完了した際に、ノズル位置調整ブロックB2から「ノズル位置調整完了信号」を受信する。
また、制御信号発生ブロックB6は、吹付量決定ブロックB4から決定された吹付量の情報(吹付停止に関する情報を含む)を受信する。
さらに、制御信号発生ブロックB6は、エア増減決定ブロックB5から決定結果(エアと急結剤を混入するか否か、エアと急結剤を混入させる必要がある場合における混入量の増減、混入量)を受信する。
【0050】
図14において、制御信号発生ブロックB6は、ノズル位置調整ブロックB2から「ノズル位置調整完了信号」を受信した後、吹付材供給系統20のコンクリートポンプ21に対する制御信号を、信号ラインSL10を介して送信する機能を有している。当該制御信号を受信したコンクリートポンプ21は、固化材配管11(ゴムホース)を介して所定量(吹付量決定ブロックB4で決定された量)の吹付材(固化材)を吹付用ノズル3に供給する。
また、制御信号発生ブロックB6は、ノズル位置調整ブロックB2から「ノズル位置調整完了信号」を受信した後に、コンクリートポンプ21に制御信号を送信すると共に、エア供給装置24に対する制御信号を、信号ラインSL11を介してエア供給装置24に送信すると共に、急結剤供給装置25を作動する制御信号を、信号ラインSL12を介して急結剤供給装置25に送信する機能を有している。なお、エア供給装置24は、例えばコンプレッサーで構成される。
【0051】
制御信号発生ブロックB6からの前記制御信号に基づき、エア供給装置24は、エア配管13(ゴムホース、
図16参照)を介して、(エア増減決定ブロックB5で決定された)所定量のエアを供給し、急結剤供給装置25は、急結剤配管14(ゴムホース、
図16参照)を介して、(エア増減決定ブロックB5で決定された)所定量の急結剤を供給する。
エア供給装置24から供給されたエアと急結剤供給装置25から供給された急結剤は、
図16を参照して後述する様に、吹付材供給系統20における吹付用ノズル3の直前(直ぐ下流側)で、急結剤リング12を介して吹付材に混入される。
【0052】
ここで、ノズル位置調整ブロックB2は、信号ラインSL14を介して、計測装置Mの制御装置MCUに、吹付用ノズル3の位置情報を送信する。ただし、
図14の信号ラインSL14は、図示の煩雑防止のため、
図1では信号ラインSL1のみを表示し、
図1では符号「SL14」は表示されていない。吹付用ノズル3の位置情報から計測装置Mは、吹付材噴流の噴射位置を決定する。係る吹付材噴流の噴射位置の情報に基づいて、計測装置Mは、計測装置Mからレーザー光Lを照射するべき領域LA(
図22、
図23)を決定する。
【0053】
図21~
図23を参照して、計測装置Mからレーザー光Lを照射している領域LAにおいて、吹付材を吹き付けつつ、吹付箇所を計測(或いは観察)する態様について説明する。
図21において、レーザー光が照射されている領域を符号LAで示す。係る領域LAにおいて、吹付用ノズル3から所定箇所αに吹付材を噴射しているが(噴流J)、所定箇所αの吹付状況を観察或いは計測することは出来ない。所定箇所αを照射するレーザー光(領域LAを照射するレーザー光の一部)が、吹付材の噴流J及び吹付材が箇所αに衝突した跳ね返りJSによって遮られるからである。
ここで、吹付用ノズル3が
図22で示す位置にあるとき(吹付箇所αに吹付材を吹き付けている場合)には、
図21を参照して説明した理由から計測が出来ないとしても、
図23で示す様に、吹付用ノズル3が矢印A1で示す様に、点線で示す吹付箇所αの位置から実線で示す位置(吹付箇所βに吹付材を吹き付ける位置)に移動すれば、吹付箇所αには吹付材の噴流Jは存在せず、その跳ね返りも存在しないので、レーザー光が照射される領域LAとして、計測機械Mにより計測或いは観察することが出来る。
【0054】
図22、
図23で説明した態様において、吹付箇所αに対して必要な量の吹付材を一度に吹き付けてしまうと(従来の態様)、例えば吹付厚さが10mmになる程度まで吹付用ノズル3は吹付箇所αに留まって、同一箇所に吹付材を噴射する。そのため、
図22において、吹付箇所αの吹付が完了するまでの時間が長く、その間、映像がない状態で吹付箇所αの吹付作業をすることになり、リアルタイムで映像をチェックしながら吹付作業を行っているとは言い難い。そして、必要な吹付厚さ寸法が大きい場合には、吹付箇所の映像をチェックせずに吹付材を吹き付ける時間が長くなり、それによる誤差が大きくなってしまう。
それに対して図示の実施形態では、移動中の吹付用ノズル3は、同一箇所(例えば吹付箇所α)に対して例えば4回に亘って吹付材を吹き付けるので、吹付箇所αについて1回あたりの吹付時間は、従来の態様よりも短くなり、例えば1/4に短縮される。そのため、吹付材の噴流J或いはその跳ね返りJSによりレーザー光Lが遮られる時間も1/4程度に短縮される。そして、矢印A1で示す様に吹付箇所がβに移動すれば、吹付箇所αの状態は、計測装置Mにより直ちに計測(観察)される。換言すれば、吹付作業とその映像確認のタイムラグが従来の1/4程度の時間となり、概略「リアル・タイム」で吹付状況を計測(観察)することが出来る。
図23では、吹付箇所α、βは断続的な位置関係であるが、これは理解を容易にするためであり、実機における吹付箇所α、βは切れ目なく連続している。
【0055】
図23では明示されていないが、図示の実施形態では、吹付用ノズル3は、同一の吹付箇所を4回通過する様に、同一経路を往復動している。すなわち、
図23では、矢印A1方向に移動した後、矢印A1の逆方向に移動する。そのため、同一の吹付箇所α、βに対して4回に分けて吹付を行う。吹付箇所毎の必要な吹付量は等しいので、図示の実施形態では、同一の吹付箇所に、必要な量の吹付材を1/4ずつ4回に分けて吹き付けている。従って、一回の吹付量が少なく、一回の吹付による吹付厚さ寸法も小さくなる(例えば2.5mm=10mm/4)ので、吹付厚さの誤差も小さい。そして、4回に分けて吹き付けることにより、不陸その他の理由で必要な吹付厚さとならない恐れがあったとしても、4回の吹付の内の何れかで調整することも可能になる。
そして、
図23で示す様に、移動中の吹付用ノズル3が吹付材を噴射している箇所βの直前の箇所αが計測装置Mにより計測されるので、計測中の吹付箇所αについては吹付材の噴流J或いはその跳ね返りJSにより計測(観察)が阻害されてしまうことは無い。
【0056】
そのため図示の実施形態によれば、吹付箇所の状況を概略リアルタイムで観察(計測)しつつ、吹付作業を実行することが出来る。そのため、吹付箇所に設けられた吹付厚さ計測用の目印標を視認して、吹付材の層に参防しているか否かを確認して吹付厚さを調整することが出来る。その様に確認しながら吹付作業を行うことは、従来技術では不可能とされていた。
吹付用ノズル3から吹付材を吹き付ける領域LAに計測装置Mからレーザー光Lを照射するためには、吹付用機械100のノズル位置調整ブロックB2から送信された吹付用ノズル3の位置情報に基づいて吹付材噴流の噴射位置を決定する機能と、決定された吹付材噴流の照射位置にレーザー光Lを照射する機能を、計測装置Mの制御装置MCUに付与すれば良い。
【0057】
次に主として
図15を参照して、
図1~
図13、
図14を参照して説明した吹付用機械100を用いた吹付の手順を説明する。
図15において、ステップS1では、吹付用機械100の制御装置CUは、計測装置Mの制御装置MCUが作成した「吹付箇所(領域或いはエリア)における位置情報を包含する映像データ(例えば3Dマップ)」を計測装置M(制御装置MCU)から受信する(制御装置CUへ入力される)。映像データの受信は吹付エリア特定ブロックB1が実行する。そしてステップS2に進む。
ステップS2では、制御装置CUは受信した吹付エリアの映像データに基づき、吹付箇所(吹付材を吹き付けるべきエリア)を特定する。そしてステップS3に進む。
【0058】
ステップS3では、吹付作業に際して、吹付用機械100の車両30(
図1、
図2)を自走して移動するか否かを判断する。車両30には吹付用機械100を構成するアタッチメント1、板状部材2、ノズル3、その他が搭載されており、ステップS1で特定された吹付エリアと現在の吹付用機械100の位置関係を考慮し、オペレーターが判断する。換言すれば、ステップS3では、吹付用ノズル3の位置を調整すれば当該吹付箇所に吹き付けることが出来るのか、或いは、車両30を移動しなければ当該吹付箇所に吹き付けることが出来ないのかを判断する。
ステップS3の判断の結果、吹付用機械100を自走移動する場合(ステップS3が「Yes」)はステップS4に進み、吹付用機械100を自走移動しない場合(ステップS3が「No」)はステップS5に進む。
ステップS4(吹付用機械100を自走移動する場合)では、吹付用機械100を自走して、吹付作業を行うのに適切な位置に移動する。そして、ステップS3に戻る。
【0059】
図15のステップS5(吹付用機械100を自走移動しない場合)は、吹付用ノズル3の位置を、ステップS2で特定された吹付箇所に対する吹付を行うための最適な位置に調整する。
吹付用ノズル3の位置の調整に際しては、
図14を参照して上述した様に、ノズル位置調整ブロックB2における各機能ブロック(アタッチメント長手方向位置調整ブロックB21~車両移動ブロックB27)は、アタッチメント1等の制御対象となる部材(
図1~
図13に示す部材)の動作、位置を決定する。そしてノズル位置調整ブロックB2の各機能ブロックは、アタッチメント1等の制御対象となる部材(
図1~
図13に示す部材)の各々に対して制御信号を送信する。
ステップS5を実行することにより、吹付用ノズル3の位置は特定された吹付エリアの吹付を行うための最適な位置に調整される。そしてステップS6に進む。
【0060】
ステップS6では、ステップS5で吹付用ノズル3の位置が(特定された吹付箇所で吹付を行うための)最適な位置に調整されたことを受け、特定された吹付エリアへの吹き付けを実行する。吹付に際しては、同一の吹付箇所に例えば4回に亘って吹付材を吹き付ける。そしてステップS7に進む。
ステップS6の吹き付けに際して、
図14を参照して上述した様に、制御信号発生ブロックB6は、ノズル位置調整ブロックB2から「ノズル位置調整完了信号」を受信すると、コンクリートポンプ21、エア供給装置24、急結剤供給装置25のそれぞれに制御信号を送信する。
制御信号を受信したコンクリートポンプ21、エア供給装置24、急結剤供給装置25はそれぞれ固化材配管11、エア配管13、急結剤配管14に(吹付量決定ブロックB4、エア増減決定ブロックB5で決定された)所定量の吹付材(固化材)、エア、急結剤を供給し、当該供給されたエア及び急結剤は吹付用ノズル3の噴射直前で吹付材に混入される。当該エア及び急結剤の吹付材への混入については、
図16を参照して詳述する。
【0061】
図15のステップS7では、吹付エリアにおける吹き付け厚さを判定する。ここで判定は、4回の吹付が為された吹付箇所における吹付厚さである。また当該判定結果に基づき吹付材を供給するコンクリートポンプ21の制御を実行する。
吹付エリアにおける吹き付け厚さ判定は、吹付量チェックブロックB3、吹付量決定ブロックB4が、吹付箇所の映像データ(例えば3Dマップ:位置情報を包含するデータ)に基づき実行される。
吹付エリアにおける吹き付け厚さの判定結果等に基づき、吹付量決定ブロックB4は吹付量(吹付量の増減、吹付停止を含む)を決定し、制御信号発生ブロックB6はコンクリートポンプ21に制御信号を送信する。コンクリートポンプ21は、前記制御信号に基づき、決定された固化材を吹付用機械100に供給する。そしてステップS8に進む。
【0062】
ステップS8では、吹付材に混入するエアと急結剤の混入量を制御する(混入量の増減、混入不要の場合を含む)。
エア量、急結剤量の制御に際して、
図14を参照して上述した様に、エア増減決定ブロックB5は、吹付箇所の映像データに基づき、吹付材に混入するエアと急結剤の混入量を決定し(混入量の増減或いは維持の決定、混入停止の決定を含む)、制御信号発生ブロックB6はエア供給装置24及び急結剤供給装置25に制御信号を送信する。
エア供給装置24及び急結剤供給装置25は、前記制御信号に基づき、決定された量のエア及び急結剤を供給し、当該供給されたエア及び急結剤は、吹付用ノズル3の噴射直前で、吹付材に混入される。そしてステップS9に進む。
【0063】
ステップS9では、吹付作業を終了するか否かを判断する。当該判断は、吹付目標達成の程度、予定された作業時間、その他を考慮して制御装置CUにより決定される。その場合、吹付目標達成の程度、予定された作業時間、その他の指標は予め吹付用機械100の制御装置CUに入力されており、制御装置CUにより自動的に判断が可能である。ただし、吹付用機械100のオペレーターが判断することも可能である。
ステップS9において、吹付作業を終了する場合(ステップS9が「Yes」)は吹付作業が終了し(「エンド」)、吹付作業を終了しない場合(ステップS9が「No」:吹付作業を継続する)はステップS1に戻る。
図15において、ステップS5はステップS6、ステップS7、ステップS8に先行して実行される様に示されているが、ステップS5をステップS6、ステップS7、ステップS8よりも後に実行することが可能である。また、ステップS5、ステップS6、ステップS7、ステップS8の何れかを同時に実行することも可能である。
【0064】
次に主として
図16~
図18を参照して、図示の実施形態における吹付材供給系統20について説明する。
図示の実施形態では、コンクリートポンプ21(
図17、
図18参照)から供給ホース11により圧送されて吹付用ノズル3から噴射される固化材(コンクリート等)は、硬化により吹付材供給系統を閉塞することを防止するためスランプ値が大きく、そのままの状態では法面に付着しない。
そのため、吹付材供給系統20における吹付用ノズル3の噴射直前の位置に急結剤リング12を設け、急結剤リング12でエアと急結剤と固化材とを混入して噴射している。急結剤を混入することにより、固化材のスランプ値が大きくても、吹付用ノズル3から吹き付けられた材料は法面で固化する。
【0065】
図16において、吹付材供給系統20は、コンクリートポンプ21から固化材を吹付用ノズル3に供給する固化材配管11(ゴムホース)、吹付用ノズル3の上流側に隣接する位置で固化材配管11に接続する(合流する)様に配置された急結剤リング12、エア供給装置24から急結剤リング12の上流側にエアを供給するエア配管13(例えばゴムホース)、急結剤供給装置25から急結剤リング12の上流側に急結剤を供給する急結剤配管14(例えばゴムホース)を有している。
急結剤リング12は、固化材配管11に合流する合流部12A、エア配管13との接続部12B、急結剤配管14との合流部12Cを備えている。
コンクリートポンプ21から固化材配管11により圧送される固化材には、急結剤リング12の合流部12Aにおいてエアと急結剤が混入され、当該エアと急結剤が混入された固化材(吹付材)は吹付用ノズル3から施工法面に対して噴射される。
【0066】
図示の実施形態では、
図2で示す様に、アタッチメント1(第1の部材1-1、第2の部材1-2)が収縮する。アタッチメント伸長時と収縮時の長手方向寸法の差を吸収するため、可撓性の高いゴムホース11(固化材配管)を使用して、アタッチメント収縮時にはゴムホース11を弛ませて対応している。しかし、アタッチメント伸長時に対応して配管抵抗の大きいゴムホース11の全長を長くすると、ゴムホース11内における閉塞の可能性が大きくなる。
そのため図示の実施形態では、
図17に示す様に、ミキサー車23で製造された吹付材をゴムホース11で吹付用ノズル3(図示しない)に圧送するためのコンクリートポンプ21(吹付固化材用ポンプ)を台車22に載置している。台車22を吹付工法の施工現場近傍まで移動させて、吹付用ノズル3に近接する位置に台車22を移動すれば、コンクリートポンプ21から吹付用ノズル3までの距離(ゴムホース11の全長)を短くすることが出来て、以て、ゴムホース11内の閉塞の危険性を減少することが出来る。この場合、例えば
図1で示す様に、連接ロッド33を介して車両30と台車22を接続することが出来る。
図示の実施形態における吹付材供給系統20では、
図18で示す様に、コンクリートポンプ21を台車22に載置しないことが可能である。その場合、固化材用のプラント(コンクリートミキサー車23、コンクリートポンプ21を含む)が、吹付工法の施工現場近傍に設けられることが好ましい。
【0067】
図1~
図18を参照して説明した実施形態では、吹付材を吹き付ける場所(例えば法面F)が車両30に設けられたブーム31の最高到達点よりも低い位置にある場合には、アタッチメント1を取り付けると吹付用ノズル3は吹き付ける場所よりも高い位置となり、吹き付けが困難になる。
吹付材を吹き付ける場所がブーム31の最高到達点よりも低い位置にある場合には、
図19で示す様に、車両30に設けられたブーム31にアタッチメント1を取り付けずに、ブーム31の車両30と反対側の先端(最高到達点側の先端)に、吹付用ノズル3を取り付け/取り外し可能なブーム側接続部材32を介して吹付用ノズル3を取り付けて、ブーム31を動かしつつ吹付用ノズル3から吹付材を噴射する。
吹付材を吹き付けるべき箇所がブーム31の最高到達点よりも高い位置にある場合には、
図1~
図18を参照して説明したように、ブーム31にアタッチメント1を取り付けて、吹付作業を行う。
【0068】
図19で示す態様では、ノズル3はブーム側接続部材32に固定されているが、
図20で示す様に、ブーム側接続部材32に板状部材2を取り付け、ノズル3は板状部材2の長手方向(
図20の左右方向:矢印A4方向)に移動可能に構成することが出来る。
ノズル3を板状部材2の長手方向に移動可能とするには、例えば、
図4を参照して説明した工程を実行するための構成を用いれば良い。
図20で示す態様(
図19で示す態様の変形例)では、吹付材を吹き付ける場所がブーム31の最高到達点よりも低い位置にある場合において、ブーム側接続部材32近傍の領域のみならず、ブーム側接続部材32から板状部材2の長手方向(
図20の左右方向:矢印A4方向)に離隔した個所に対しても吹付材を噴射することが出来る。
【0069】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【符号の説明】
【0070】
1・・・アタッチメント
1-1・・・第1の部材(車両側部材)
1-2・・・第2の部材(吹付用ノズル側部材)
2・・・板状部材
3・・・吹付用ノズル
4・・・アタッチメント側接続手段
5・・・横方向移動用部材
6・・・第1の回動用部材
7・・・第2の回動用部材
8・・・車両側揺動部材
11・・・ゴムホース(固化材用配管)
20・・・吹付材供給系統
21・・・コンクリートポンプ(吹付固化材用ポンプ)
22・・・台車
30・・・車両
31・・・ブーム
32・・・ブーム側接続部材
100・・・吹付用機械
F・・・法面
CU・・・吹付用機械の制御装置
M・・・計測装置
MCU・・・計測装置の制御装置