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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188618
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20221214BHJP
   B65H 31/24 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
B41J29/38 301
B65H31/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096794
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】曾根 大樹
【テーマコード(参考)】
2C061
3F054
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061CQ24
2C061CQ41
2C061HJ04
2C061HK11
3F054AA01
3F054AC02
3F054AC03
3F054AC05
3F054BF22
3F054CA08
3F054CA23
3F054CA37
(57)【要約】
【課題】
印刷物にヤレ紙が混入することを防ぐとともに、印刷物排出用の排出トレイを印刷ジョブに応じて柔軟に設定できるようにする。
【解決手段】
制御部10は、画像記録部12に対し、印刷ジョブに従って原稿画像を記録紙Pに記録させるとともに、搬送部14に対し、原稿画像が記録された記録紙Pを搬送させて、指定トレイに排出させる。制御部10は、印刷ジョブの実行時にヤレ紙が発生した場合であって、未指定トレイのうちに予め定められた状態の排出トレイ61が存在する場合に、搬送部14に対し、ヤレ紙を搬送させて、予め定められた状態の排出トレイ61に排出させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を記録する画像記録部と、
複数の排出トレイと、
前記記録媒体を搬送して複数の排出トレイのうちのいずれかに排出する搬送部と、
前記画像記録部に対し、印刷ジョブに従って前記画像を前記記録媒体に記録させるとともに、前記搬送部に対し、前記画像が記録された前記記録媒体を搬送させて、前記複数の排出トレイのうちの前記印刷ジョブにおいて排出先として指定されている指定トレイに排出させる制御部とを備え、
前記制御部は、前記印刷ジョブの実行時に、前記画像が記録された前記記録媒体とは別の予め定められた記録媒体が発生した場合であって、前記複数の排出トレイのうちの前記印刷ジョブにおいて排出先として指定されていない未指定トレイのうちに、予め定められた状態の排出トレイが存在する場合に、前記搬送部に対し、前記予め定められた記録媒体を搬送させて、前記予め定められた状態の排出トレイに排出させる、画像記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記未指定トレイのうちに、前記予め定められた記録媒体を既に載置している状態の第1トレイが存在する場合に、前記第1トレイを前記予め定められた状態の排出トレイとし、前記搬送部に対し、前記予め定められた記録媒体を搬送させて、前記第1トレイに排出させる、請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記複数の排出トレイのそれぞれにおける前記記録媒体の有無を検知する検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1トレイが存在しない場合であって、前記未指定トレイのうちに、前記検知部によって前記記録媒体が無い状態が検知された第2トレイが存在する場合に、前記第2トレイを前記予め定められた状態の排出トレイとし、前記搬送部に対し、前記予め定められた記録媒体を搬送させて、前記第2トレイに排出させる、請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
記憶部をさらに備え、
前記制御部は、
前記予め定められた記録媒体が排出された前記第2トレイを前記第1トレイとして示す情報を前記記憶部に記憶させ、
前記情報を用いて、前記未指定トレイのうちに前記第1トレイとされる前記第2トレイが存在するか否かを判定する、請求項2又は請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記検知部によって、前記第2トレイに前記予め定められた記録媒体が無い状態が検知されると、前記記憶部に記憶されている前記情報を消去する、請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1トレイ及び前記第2トレイが存在しない場合、前記搬送部に、前記予め定められた記録媒体の搬送を停止させ、前記予め定められた記録媒体を排出可能な排出トレイが存在しないことを示すメッセージを、前記表示部に表示させる、請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置に関し、特に、ヤレ紙を排出するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷中に発生したヤレ紙を排出するための技術が知られている。例えば、特許文献1は、印刷中に不良であると判定された用紙が発生した場合に、不良ページとされた用紙と機内の用紙とをヤレ紙として不良判定直前の排出先に排出し、不良ページからの再印刷以降に印刷された用紙を不良判定直前の排出先とは異なる排紙先に排出する技術を開示している。また、特許文献2は、欠陥として判定されたヤレ紙を、予め定められたヤレ紙排出用の排出トレイに排出する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-144627号公報
【特許文献2】特開2015-179122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術では、生成された印刷物の中にヤレ紙が混入してしまうため、印刷物からヤレ紙を除く必要が生じ、ユーザーの手間がかかる。特許文献2に開示されている技術では、印刷物とヤレ紙とはそれぞれ別の排出トレイに排出されるため、印刷物にヤレ紙が混入することを防止できる。しかしながら、ヤレ紙排出用の排出トレイが変更不可の状態で固定されているため、印刷物排出用の排出トレイを印刷ジョブに応じて柔軟に設定できないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、印刷物にヤレ紙が混入することを防ぐとともに、印刷物排出用の排出トレイを印刷ジョブに応じて柔軟に設定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る画像記録装置は、記録媒体に画像を記録する画像記録部と、複数の排出トレイと、記録媒体を搬送して複数の排出トレイのうちのいずれかに排出する搬送部と、画像記録部に対し、印刷ジョブに従って画像を記録媒体に記録させるとともに、搬送部に対し、画像が記録された記録媒体を搬送させて、複数の排出トレイのうちの印刷ジョブにおいて排出先として指定されている指定トレイに排出させる制御部とを備える。制御部は、印刷ジョブの実行時に、画像が記録された記録媒体とは別の予め定められた記録媒体が発生した場合であって、複数の排出トレイのうちの印刷ジョブにおいて排出先として指定されていない未指定トレイのうちに、予め定められた状態の排出トレイが存在する場合に、搬送部に対し、予め定められた記録媒体を搬送させて、予め定められた状態の排出トレイに排出させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像が記録された記録媒体、すなわち印刷物を指定トレイに排出し、予め定められた記録媒体を未指定トレイのうちのいずれかに排出するので、印刷物のうちに予め定められた記録媒体が混入することを防ぐことができる。また、予め定められた記録媒体を排出するための排出トレイを固定しないため、印刷物排出用の排出トレイを印刷ジョブに応じて柔軟に設定できる。さらに、現在の排出トレイの状態に応じて予め定められた記録媒体を排出するので、最適な排出先に予め定められた記録媒体を排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像記録装置の構造を示す正面断面図である。
図2】画像記録装置の内部構成を示すブロック図である。
図3】排出先決定処理を示すフローチャートである。
図4】トレイリストの一例を示す図である。
図5】トレイリストの他の一例を示す図である。
図6】トレイリストの他の一例を示す図である。
図7】警告画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る画像記録装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像記録装置の構造を示す正面断面図である。図2は、画像記録装置の内部構成を示すブロック図である。
【0010】
図1に示すように、画像記録装置1は、インクジェット方式の記録装置である。画像記録装置1の筐体には、画像記録装置1の様々な機能を実現するための複数の機器が収容されている。例えば、筐体には、原稿読取部11、画像記録部12、給紙部13、搬送部14、及び昇降機構15等が収容されている。筐体の上部には、表示部16及び操作部17が設けられている。
【0011】
原稿読取部11は、原稿台に載置されている原稿を搬送する原稿搬送部6と、原稿搬送部6によって搬送されてくる原稿、又は、プラテンガラス7に載置されている原稿を光学的に読取るスキャナー8とを含むADF(Auto Document Feeder)である。原稿読取部11は、スキャナー8の光照射部により原稿を照射し、その反射光をCCD(Charge-Coupled Device)センサーで受光することによって、原稿の画像を読取って、原稿画像を示す画像データを生成する。
【0012】
画像記録部12は、記録紙Pに画像を記録する。具体的には、画像記録部12は、インクタンク2と、記録部3と、搬送ユニット4と、吸着ローラー5とを備える。インクタンク2には、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各色に対応するインクが充填されている。
【0013】
記録部3は、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各色に対応するラインヘッド31Y,31M,31C,31Kをそれぞれ備える。記録部3は、原稿読取部11によって生成された画像データ等に基づいて、ラインヘッド31Y,31M,31C,31Kのそれぞれから各色のインク滴を、搬送部14によって搬送されてくる記録紙Pに吐出して、原稿画像を示すカラー画像を記録する。
【0014】
搬送ユニット4は、駆動ローラー41Aと、従動ローラー41Bと、テンションローラー42と、搬送ベルト43とを備える。搬送ベルト43は、駆動ローラー41A、従動ローラー41B、及びテンションローラー42に架け渡されている無端状のベルトである。駆動ローラー41Aは、モーターにより反時計回りに回転駆動される。駆動ローラー41Aが回転駆動されることで、搬送ベルト43が反時計回りに走行するとともに、従動ローラー41B及びテンションローラー42が反時計回りに従動的に回転する。
【0015】
吸着ローラー5は、搬送ベルト43に接触した状態で従動ローラー41Bに対向配置されている。吸着ローラー5は、搬送ベルト43を帯電させることで、給紙部13から給紙された記録紙Pを搬送ベルト43に静電的に吸着させる。
【0016】
給紙部13は、給紙カセット51及び手差しトレイ52を備える。給紙部13は、給紙モーターの駆動により回転するピックアップローラーによって、給紙カセット51又は手差しトレイ52に収容されている記録紙Pを一枚ずつ引出して搬送路Tに給紙することで、記録紙Pを搬送路Tに供給する。
【0017】
ここで、画像記録装置1は、第1排出トレイ61A、第2排出トレイ61B、第3排出トレイ61C、及び、第4排出トレイ61Dを備える。画像記録装置1はまた、第1乃至第4排出トレイ61A乃至61Dのそれぞれに載置されている記録紙Pの有無を検知する検知部62A乃至62Dを備える。以下、第1乃至第4排出トレイ61A乃至61Dを総称する場合、単に「排出トレイ61」と記す。検知部62A乃至62Dを総称する場合、単に「検知部62」と記す。検知部62としては、記録紙Pの有無を検知可能なものであれば特に限定されないが、例えば光電センサーを利用できる。
【0018】
搬送部14は、記録紙Pを搬送して第1乃至第4排出トレイ61A乃至61Dのうちのいずれかに排出する。具体的には、搬送部14は、給紙部13から排出トレイ61に向けて記録紙Pを搬送するための搬送路T、搬送路Tの適所に設けられた搬送ローラー対63、及び排出ローラー対64等と、搬送ローラー対63及び排出ローラー対64等と接続されている搬送モーターとを備える。搬送部14は、搬送モーターの駆動により回転する搬送ローラー対63及び排出ローラー対64等によって、記録紙Pを搬送路Tに沿って搬送して第1乃至第4排出トレイ61A乃至61Dのうちのいずれかに排出する。
【0019】
昇降機構15は、搬送ユニット4を下方から支持している。昇降機構15は、搬送ユニット4をラインヘッド31Y,31M,31C,31Kに対して上下に昇降させる。即ち、昇降機構15は、搬送ユニット4をラインヘッド31Y,31M,31C,31Kに対して相対的に移動させることにより、搬送ユニット4及びラインヘッド31Y,31M,31C,31Kを離間させたり接近させたりする。具体的には、昇降機構15は、記録部3による印刷が可能な記録位置(図1に示す位置)と、記録位置から下方へ所定距離を隔てた位置との間で搬送ユニット4を移動させる。
【0020】
表示部16は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイ等によって構成される表示装置である。表示部16は、画像記録装置1によって実行可能な各機能についての各種の画面を表示する。
【0021】
操作部17は、画像記録装置1により実行される各処理の実行開始を指示するためのスタートキー17A等の複数のハードキーを含む。操作部17はまた、表示部16に重ねて配置されているタッチパネル17Bを含む。ユーザーは、操作部17を用いて、画像記録装置1によって実行可能な各処理についての指示等の各種の情報を入力する。
【0022】
図2に示すように、画像記録装置1は、制御ユニット100を含む。制御ユニット100は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を含む。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。
【0023】
制御ユニット100は、原稿搬送部6、原稿読取部11、画像記録部12、給紙部13、搬送部14、昇降機構15、表示部16、操作部17、及びHDD18等と電気的に接続されている。
【0024】
HDD18は、原稿読取部11によって生成された画像データ等の各種データを記憶するための大容量の記憶装置である。HDD18は、画像記録装置1の一般的な動作を実現するための各種制御プログラムを記憶する。HDD18は、各種制御プログラムの1つとして、本発明の一実施形態に係る排出先決定処理を実行するための決定プログラムを記憶する。
【0025】
制御ユニット100は、ROM又はHDD18に記憶されている制御プログラムが上記プロセッサーによって実行されることにより、制御部10として機能する。なお、制御部10は、上記制御プログラムに基づく動作によらず、ロジック回路により構成されていてもよい。制御部10は、画像記録装置1の各部の動作を制御する。
【0026】
例えば、制御部10は、印刷品質の維持を目的として、ユーザーの指示に従って設定された予め定められた期間ごとに、画像記録部12に対し、ラインヘッド31Y,31M,31C,31K内のインクを吐出させて、予め定められた調整用画像を記録紙Pに形成させる調整印刷を実行する。予め定められた調整用画像としては、特に限定されないが、ここでは、制御部10は、第1頁目の原稿画像を調整用画像として用いるものとする。以下、調整用画像が形成された記録紙Pを「ヤレ紙」と表現する。
【0027】
制御部10はまた、上記した決定プログラムにしたがって動作することによって、搬送部14に対し、原稿画像が記録された記録紙Pを指定トレイに排出させるとともに、印刷ジョブの実行時にヤレ紙が発生した場合であって、未指定トレイのうちに予め定められた状態の排出トレイ61が存在する場合に、搬送部14に対し、予め定められた状態の排出トレイ61にヤレ紙を排出させる排出先決定処理を実行する。
【0028】
ここで、指定トレイとは、第1乃至第4排出トレイ61A乃至61Dのうち、印刷ジョブにおいて排出先として指定されている排出トレイ61を示す。未指定トレイとは、第1乃至第4排出トレイ61A乃至61Dのうち、印刷ジョブにおいて排出先として指定されていない排出トレイ61を示す。
【0029】
画像記録装置1の各部には電源が接続されており、当該電源から電力が供給されることによって、画像記録装置1の各部が動作する。
【0030】
[画像記録装置1の動作]
図3は、排出先決定処理を示すフローチャートである。図4乃至図6は、トレイリストの一例を示す図である。図7は、警告画面の一例を示す図である。以下、図3乃至図7等を参照して、排出先決定処理の実行時における画像記録装置1の動作について説明する。
【0031】
以下の説明において、画像記録装置1は、電源が投入された状態であるものとする。制御部10は、タッチパネル17Bを介して受付けたユーザーの指示に従って、調整印刷の実行時を、「累計印刷枚数が「50」になったとき」に設定しているものとする。制御部10は、印刷ジョブの実行開始時に、印刷ジョブの累計印刷枚数として「0」をRAMに記憶させるものとする。
【0032】
ユーザーは、タッチパネル17Bを用いてコピー機能を選択するための指示を入力するとともに、原稿搬送部6の原稿台に10枚の原稿を載置したものする。ユーザーはさらに、タッチパネル17Bを用いて、印刷ジョブとして、「10」部という印刷部数と、最初の5部の排出先を「第1排出トレイ61A」とし、残りの5部の排出先を「第4排出トレイ61D」として設定するための指示とを少なくとも示す情報を入力して、スタートキー17Aを押下したものとする。
【0033】
制御部10は、スタートキー17Aの押下を検出すると、原稿読取部11に対し、原稿搬送部6によって1枚ずつ順に搬送されてくる原稿を読取らせて10頁の原稿画像を示す画像データを生成させるとともに、図3に示す排出先決定処理の実行を開始する。
【0034】
排出先決定処理の実行を開始すると、制御部10はまず、未指定トレイ(この場合、第2排出トレイ61B及び第3排出トレイ61C)に設けられている検知部62(この場合、検知部62B及び検知部62C)に記録紙Pの有無を検知させ、検知結果、及び、HDD18に第1トレイ情報が記憶されていれば当該第1トレイ情報を用いて、未指定トレイの状態を示すトレイリストを生成する(ステップS10)。ステップS10の処理の詳細については、後述する。
【0035】
(1)印刷ジョブに従って画像を記録する場合
ステップS10の処理後、制御部10は、調整印刷を実行するか否かを判定する(ステップS11)。このとき、制御部10がRAMに記憶させている累計印刷枚数は「0」である。したがって、制御部10は、調整印刷を実行しないと判定し(ステップS11にてNO)、画像記録部12等に対し、印刷ジョブに従って、原稿画像(この場合、第1頁目の原稿画像)を記録紙Pに記録させる(ステップS12)。
【0036】
ステップS12の処理後、制御部10は、搬送部14に対し、原稿画像が記録された記録紙Pを搬送させて、指定トレイ(この場合、第1排出トレイ61A)に排出させる(ステップS13)。このとき、制御部10は、RAMに記憶させている累計印刷枚数を「1」増加させる。
【0037】
ステップS13の処理後、制御部10は、印刷ジョブに基づく全ての画像記録を完了したか否かを判定する(ステップS14)。この場合は、第1頁目の原稿画像の記録のみが完了しているので、制御部10は、全ての画像記録を完了していないと判定して(ステップS14にてNO)、ステップS11の処理に進む。
【0038】
(2)調整用画像を記録する場合
制御部10は、上記と同様にしてステップS11乃至ステップS14の処理を繰返して、第1頁目乃至第10頁目の原稿画像が第1枚目乃至第10枚目の記録紙Pに形成された印刷物を5部生成したものとする。このとき、制御部10がRAMに記憶させている累計印刷枚数は「50」となる。
【0039】
この場合、制御部10は、調整印刷を実行すると判定し(ステップS11にてYES)、画像記録部12等に対し、予め定められた調整用画像(この場合、第1頁目の原稿画像)を記録紙Pに記録させる(ステップS15)。ステップS15の処理後、制御部10は、トレイリストを参照して、未指定トレイのうちに、調整用画像が記録された記録紙P、すなわちヤレ紙を既に載置している状態(以下、「ヤレ紙有状態」と記す。)の第1トレイが存在するか否かを判定する(ステップS16)。
【0040】
(2-1)第1トレイが存在する場合
ここで、上記したステップS10の処理において、検知部62Bが、記録紙Pが無い状態(以下、「記録紙無状態」と記す。)を検知し、検知部62Cが、記録紙Pが有る状態(以下、「記録紙有状態」と記す。)を検知したものとする。また、HDD18は、第3排出トレイ61Cを第1トレイとして示す第1トレイ情報を記憶しているものとする。
【0041】
この場合、制御部10は、上記検知結果及び第1トレイ情報に基づいて、図4に示すトレイリスト40を生成する。トレイリスト40は、第2排出トレイ61Bの状態を「記録紙無状態」として示し、第3排出トレイ61Cの状態を「ヤレ紙有状態」として示すので、制御部10は、第1トレイが存在すると判定し(ステップS16にてYES)、搬送部14に対し、ヤレ紙を搬送させて、第1トレイ(この場合、第3排出トレイ61C)に排出させる(ステップS17)。ステップS17の処理後、制御部10は、ステップS14の処理に進む。
【0042】
(2-2)第1トレイが存在せず、第2トレイが存在する場合
ここで、上記したステップS10の処理において、検知部62Bが「記録紙無状態」を検知し、検知部62Cが「記録紙有状態」を検知したものとする。また、HDD18は、第1トレイ情報を記憶していないものとする。この場合、制御部10は、上記検知結果に基づいて、図5に示すトレイリスト50を生成する。トレイリスト50は、第2排出トレイ61Bの状態を「記録紙無状態」として示し、第3排出トレイ61Cの状態を「記録紙有状態」として示す。
【0043】
したがって、制御部10は、第1トレイが存在しないと判定し(ステップS16にてNO)、トレイリストを参照して、未指定トレイのうちに「記録紙無状態」の第2トレイが存在するか否かを判定する(ステップS18)。この場合、トレイリスト40が、第2排出トレイ61Bの状態を「記録紙無状態」として示すので、制御部10は、第2トレイが存在すると判定し(ステップS18にてYES)、搬送部14に対し、ヤレ紙を搬送させて、第2トレイ(この場合、第2排出トレイ61B)に排出させる(ステップS19)。
【0044】
ステップS19の処理によって、検知部62Bが「記録紙有状態」を検知するようになると、制御部10は、ヤレ紙が排出された第2トレイ(この場合、第2排出トレイ61B)を第1トレイとして示す第1トレイ情報をHDD18に記憶させる(ステップS20)。ステップS20の処理後、制御部10は、ステップS14の処理に進む。なお、ステップS20の処理後、ユーザーが、第2排出トレイ61Bに載置されているヤレ紙を取り除き、検知部62Bが「記録紙無状態」を検知すると、制御部10は、HDD18に記憶されている第1トレイ情報を消去する。
【0045】
(2-3)第1トレイ及び第2トレイが存在しない場合
ここで、上記したステップS10の処理において、検知部62Bが「記録紙有状態」を検知し、検知部62Cが「記録紙有状態」を検知したものとする。また、HDD18は、第1トレイ情報を記憶していないものとする。この場合、制御部10は、上記検知結果報に基づいて、図6に示すトレイリスト60を生成する。トレイリスト60は、第2排出トレイ61Bの状態を「記録紙有状態」として示し、第3排出トレイ61Cの状態を「記録紙有状態」として示す。
【0046】
したがって、制御部10は、第1トレイが存在しないと判定するとともに(ステップS16にてNO)、第2トレイが存在しないと判定し(ステップS18にてNO)、搬送部14に、ヤレ紙の搬送を停止させる(ステップS21)。ステップS21の処理後、制御部10は、図7に示す警告画面70を表示部16に表示させる(ステップS22)。
【0047】
この場合、制御部10は、表示部16に対し、ヤレ紙を排出可能な排出トレイ61が存在しないことを示すメッセージ71と、第2排出トレイ61Bをヤレ紙の排出先として指定するためのソフトキー72と、第3排出トレイ61Cをヤレ紙の排出先として指定するためのソフトキー73と、指定内容を確定するためのソフトキー74とを、警告画面70に表示させる。ステップS22の処理後、制御部10は、ソフトキー74がタッチされるまで、ヤレ紙排出用の排出トレイ61が指定されていないと判定する処理(ステップS23にてNO)を繰返す。
【0048】
例えば、ユーザーが、第2排出トレイ61Bに載置されている記録紙Pを取り除いて、ソフトキー72をタッチし、次いでソフトキー74をタッチしたものとする。タッチパネル17Bがソフトキー74に対するタッチ操作を検知すると、制御部10は、ヤレ紙排出用の排出トレイ61が指定されたと判定し(ステップS23にてYES)、搬送部14に対し、ヤレ紙を搬送させて、指定された排出トレイ61(この場合、第2排出トレイ61B)に排出させる(ステップS24)。ステップS24の処理後、制御部10は、ステップS20の処理に進む。
【0049】
一方、ユーザーが、第3排出トレイ61Cに載置されている記録紙Pを取り除いて、ソフトキー73をタッチし、次いでソフトキー74をタッチしたものとする。タッチパネル17Bがソフトキー74に対するタッチ操作を検知すると、制御部10は、ヤレ紙排出用の排出トレイ61が指定されたと判定し(ステップS23にてYES)、搬送部14に対し、ヤレ紙を搬送させて、指定された排出トレイ61(この場合、第3排出トレイ61C)に排出させる(ステップS24)。ステップS24の処理後、制御部10は、ステップS20の処理に進む。
【0050】
上記のようにしてヤレ紙を排出した後、制御部10は、上記と同様にしてステップS11乃至ステップS14の処理を繰返して、第1頁目乃至第10頁目の原稿画像が第1枚目乃至第10枚目の記録紙Pに形成された印刷物をさらに5部生成したものとする。これによって、印刷物は10部生成されるので、制御部10は、印刷ジョブに基づく全ての画像記録を完了したと判定して(ステップS14にてYES)、排出先決定処理を終了する。
【0051】
上記実施形態によれば、制御部10は、画像記録部12に対し、印刷ジョブに従って原稿画像を記録紙Pに記録させるとともに、搬送部14に対し、原稿画像が記録された記録紙Pを搬送させて、指定トレイに排出させる。制御部10は、印刷ジョブの実行時にヤレ紙が発生した場合であって、未指定トレイのうちに予め定められた状態の排出トレイ61が存在する場合に、搬送部14に対し、ヤレ紙を搬送させて、予め定められた状態の排出トレイ61に排出させる。
【0052】
このように、原稿画像が記録された記録紙P、すなわち印刷物を指定トレイに排出し、ヤレ紙を未指定トレイのうちのいずれかに排出するので、印刷物のうちにヤレ紙が混入することを防ぐことができる。また、ヤレ紙を排出するための排出トレイ61を固定しないため、印刷物排出用の排出トレイ61を印刷ジョブに応じて柔軟に設定できる。さらに、現在の排出トレイ61の状態に応じてヤレ紙を排出するので、最適な排出先にヤレ紙を排出できる。
【0053】
また上記実施形態によれば、制御部10は、未指定トレイのうちに第1トレイが存在する場合に、第1トレイを上記した予め定められた状態の排出トレイ61とし、搬送部14に対し、ヤレ紙を搬送させて、第1トレイに排出させる。このように、ヤレ紙が載置されている状態の第1トレイが存在する場合には、同じ第1トレイにヤレ紙を排出するので、第1トレイがあるにもかかわらず、他の排出トレイ61にヤレ紙を排出する場合と比較して、複数の排出トレイ61を有効に活用できる。
【0054】
また上記実施形態によれば、制御部10は、第1トレイが存在しない場合であって、未指定トレイのうちに第2トレイが存在する場合に、第2トレイを上記した予め定められた状態の排出トレイ61とし、搬送部14に対し、ヤレ紙を搬送させて、第2トレイに排出させる。このように、記録紙Pが無い状態の第2トレイにヤレ紙を排紙するので、実行中の印刷ジョブとは別の印刷ジョブによって生成された他の印刷物のうちにヤレ紙が混入することを防ぐことができる。
【0055】
また上記実施形態によれば、制御部10は、第1トレイ情報をHDD18に記憶させ、第1トレイ情報を用いて、未指定トレイのうちに第1トレイとされる第2トレイが存在するか否かを判定する。これによって、未指定トレイのうちに第1トレイが存在するか否かを容易に判定できる。
【0056】
また上記実施形態によれば、制御部10は、ステップS20の処理後に、ヤレ紙が排出された第2トレイの検知部62によって「記録紙無状態」、すなわちヤレ紙が無い状態が検知されると、HDD18に記憶されている第1トレイ情報を消去する。これによって、未指定トレイのうちに第1トレイが存在するか否かを誤りなく判定できる。
【0057】
また上記実施形態によれば、制御部10は、第1トレイ及び第2トレイが存在しない場合、搬送部14にヤレ紙の搬送を停止させ、メッセージ71を表示部16に表示させる。これによって、印刷物にヤレ紙が混入することをより一層確実に防ぐことができるとともに、ユーザーは、ヤレ紙を排出可能な排出トレイが存在しないことを容易に把握できる。
【0058】
(その他の変形例)
上記実施形態では、調整用画像が形成された記録紙Pを「ヤレ紙」としたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。「ヤレ紙」は、原稿画像が正常に記録された記録紙Pとは別の記録紙Pであればよく、センサー等によって印刷の欠陥が検出された記録紙Pであってもよい。
【0059】
また上記実施形態では、制御部10は、第1頁目の原稿画像を調整用画像として用いたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。例えば、制御部10は、フラッシングパターンを調整用画像として用いてもよい。
【0060】
また上記実施形態では、制御部10は、調整印刷の実行時を「累計印刷枚数が「50」になったとき」に設定したが、本発明はそのような実施形態に限定されない。例えば、制御部10は、タッチパネル17Bを介して受付けたユーザーの指示に従って、調整印刷の実行時を「印刷ジョブの開始時」に設定してもよい。
【0061】
また上記実施形態では、制御部10は、第1トレイ及び第2トレイが存在しない場合、搬送部14に対し、ヤレ紙の搬送を停止させた後、ユーザーによって指定された排出トレイ61にヤレ紙を排出させたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。例えば、制御部10は、第1トレイ及び第2トレイが存在しない場合、搬送部14に対し、ヤレ紙の搬送を停止させることなく、デフォルトのヤレ紙排出先として予め定められている排出トレイ61に、ヤレ紙を強制的に排出させてもよい。これによって、印刷のダウンタイムを減らすことができる。
【0062】
また上記実施形態では、制御部10は、全ての未使用トレイの状態を示すトレイリストを生成したが、本発明はそのような実施形態に限定されない。例えば、制御部10は、未指定トレイの状態の検知を、予め定められた順序にしたがって検知部62に行なわせ、「記録紙無状態」が検知された時点で未指定トレイの状態の検知を終了し、当該終了時点での検知結果及び第1トレイ情報を用いてトレイリストを生成してもよい。
【0063】
例えば、制御部10は、第2排出トレイ61B及び第3排出トレイ61Cが未指定トレイである場合、最初に検知部62Bによる検知を行なわせ、第2番目に検知部62Cによる検知を行なわせる。検知部62Bが「記録紙無状態」を検知した場合、制御部10は、検知部62Cによる検知を行なわせることなく、検知部62Bの検知結果及び第1トレイ情報のみを用いてトレイリストを生成する。
【0064】
これによって、例えば、第1トレイが存在せず、かつ、第2排出トレイ61B及び第3排出トレイ61Cのいずれにおいても記録紙Pが載置されていない場合には、「記録紙無状態」が最初に検知された排出トレイにヤレ紙が排出されるようになる。これによって、無駄に検知が行なわれることを防ぐことができる。
【0065】
また上記実施形態では、画像記録部12等は、記録紙Pに画像を記録したが、本発明はそのような実施形態に限定されない。画像記録部12等は、記録紙Pに限らず、他の記録媒体に画像を記録してもよい。他の記録媒体としては、例えば、OHP(Overhead Projector)シートを例示できる。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、画像記録装置1としてカラー複合機を用いているが、これは一例に過ぎず、モノクロ複合機、コピー機、又はファクシミリ装置等の他の画像記録装置が用いられてもよい。また、インクジェット方式の記録装置に限らず、画像記録装置1として、レーザー方式の記録装置が用いられてもよい。
【0067】
また、図1乃至図7を用いて示した上記実施形態の構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0068】
1 画像記録装置
10 制御部
12 画像記録部
14 搬送部
16 表示部
18 HDD
61 排出トレイ
62 検知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7