(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188625
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】汚泥運搬車
(51)【国際特許分類】
B60P 3/00 20060101AFI20221214BHJP
B60P 1/04 20060101ALI20221214BHJP
B62D 33/02 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
B60P3/00 Q
B60P1/04 Z
B62D33/02 S
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096814
(22)【出願日】2021-06-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】308003585
【氏名又は名称】田畑 惠久
(74)【代理人】
【識別番号】100081824
【弁理士】
【氏名又は名称】戸島 省四郎
(72)【発明者】
【氏名】田畑 惠久
(57)【要約】
【課題】 水分が多い泥水・泥土・土砂の汚泥土を荷台に積載して運搬する汚泥運搬車において、車の加速・減速又はカーブ走行中あるいは坂道走行中に荷台の汚泥土の液分の上面が上下波打ちして又は上方へ持ち上げられて荷台の台縁を越えて、道路面に落下・飛散して道路を汚すことを本発明は少なくする。
【解決手段】 ダンプする荷台2の荷台前面21の上位位置にオーバーフロー口3を設け、同オーバーフロー口から流出する液分を粗いフィルター41を介して受け止める一時貯水部であるろ過箱4を荷台2側に設け、同ろ過箱4の底面の送水口に接続した第1送水管43の管端は車体1側に固設した450リットル程の汚水タンク5の上面から短く突出した第2送水管の管内に離脱可能に挿入され、汚水タンク5には貯えた液分を外部に排出する開閉弁54付きの排出管53を設けている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台底面・荷台左右側面及び荷台前後面を水密に箱形状に組み立てられ且つ上方を開放した荷台を運搬車の車体後部に配置した汚泥運搬車において、
前記荷台の荷台底面から所要の高さの位置の荷台前面に前記荷台に積載した水分の多い泥水・汚泥又は土砂の汚泥土の液分のオーバーフローの開口を設け、
前記オーバーフローの前記開口から流出する汚泥土の液分を一時貯える一時貯水部を前記荷台前面の外側に取付け、一方前記一時貯水部に近い運搬車の車体に汚泥土の液分を貯える前記一時貯水部の収容液量より多い液量を貯える汚水タンクを固設し、前記荷台前面の外側に取付けた前記一時貯水部と前記車体側に固設した汚水タンクとの間に運搬時の荷台水平状態において、荷台側に取付けられた一時貯水部のタンク内の液分を車体側汚水タンク内に移送できる送水管が形成され、更に汚水タンクには内部の液分を外部へ排出する開閉弁付排出管を設け、汚泥運搬車の運搬時において荷台のオーバーフローの前記開口から流出する液分は一時貯水部に貯えられた後汚水タンクに移送されて汚水タンクに収容されて、荷台からのオーバーフローした液分を汚水タンクに貯えて液分の落下による道路の汚れを抑止でき、しかも汚水タンクの液分は液分処理設備のある場所で前記開閉弁を開いて前記排出管から液分処理場で排出できるようにしたことを特徴とする、汚泥運搬車。
【請求項2】
請求項1において、荷台は車体後部に固設されるように配置され、前記荷台前面側に取付けられる一時貯水部内の液分を汚水タンク内に送る送水管は固定の配管である、請求項1記載の汚泥運搬車。
【請求項3】
請求項1において、荷台は車体後部に固設されるように配置され、前記荷台前面側に取付けられた一時貯水部に設けた液分を吐出する送水管の管端は下方に配置された汚水タンク内まで延びて、一時貯水部内の液分は前記送水管により直接汚水タンクへ送給される構造とした、請求項1記載の汚泥運搬車。
【請求項4】
荷台底面・荷台左右側面及び荷台前後面を水密に箱形状に組み立てられ且つ上方を開放した荷台を運搬車の車体後部下部の枢支軸まわりに前記荷台前部が傾動作動手段の作動で持ち上げられるように傾動可能としたダンプ荷台であり、しかも同荷台は運搬車の車体に水平状態にも保持できる構造とし、加えて前記荷台後面は前記運搬車の前記荷台の後端上方位置に設けた枢支軸まわりに回転できて、外側に向って揺動して前記荷台後面を開放できる構造の前記荷台を運搬車の車体後部フレームに設けたダンプ荷台の汚泥運搬車において、
前記荷台の荷台底面から所要の高さの位置の荷台前面に前記荷台に積載した水分の多い泥水・汚泥又は土の前記汚泥土に含まれた液分のオーバーフロー口を設け、同オーバーフロー口の荷台前面の外側開口の外周空間を囲う形状のろ過箱をオーバーフロー液分の一時貯水部として荷台前面の外側に設けて前記オーバーフロー口から流出する液分を一時貯えられる構造とし、しかも同ろ過箱は流入した液分を外部に送る送水口を有し、同送水口に接続した送水管を介してろ過箱内の液分は運搬車の車体前側に固設した汚水タンクへ送給でき、しかも同汚水タンクにはタンク内の液分を車体外に排出する開閉弁付排出管を設け、更に荷台側に取付けられた前記ろ過箱の前記送水管は前記荷台が搬送時の水平に保持された状態ではろ過箱の液分を汚水タンク内に送水出来る構造とし、且つ液分の多い汚泥土を荷台に積載して運送する場合は前記排出管の開閉弁を閉じて使用し、荷台に積載した汚泥土の液分が搬送時の運搬車の加速・減速又は旋回の運動によって荷台の所定高さの前記オーバーフロー口からオーバーフローした液分を前記ろ過箱で一時貯え、更に同ろ過箱内の液分は同ろ過箱の前記送水管により車体前部に固定した汚水タンク内に送り込み可能とし、ダンプ運搬車が走行中に荷台の汚泥土の液分が道路に落下して道路を汚さないように汚泥土を運び、所定の泥水処理できる貯槽場で汚水タンクの液分を前記排出管に付属した開閉弁を開いて排出管から液分処理場へ排出できるようにしたことを特徴とする、汚泥運搬車。
【請求項5】
前記送水管は前記ろ過箱に取付けられてろ過箱の送水口と連通した第1送水管と、同第1送水管の管端から送られる液分を受け入れて前記汚水タンクへ送り込む汚水タンク側に取付けられた第2送水管とからなり、しかも第1送水管の管端と第2送水管の液分を受け入れた管端とが搬送時の荷台が水平状態に保持された状態において、第1送水管の管端と第2送水管の管端が止水弾性体を介して接離可能に連通されてろ過箱の液分を汚水タンクへ送られるようにして、しかも荷台がダンプして傾動する状態では管端同士は分離されるようになる、請求項4記載の汚泥運搬車。
【請求項6】
ダンプ荷台である荷台の前記荷台前面側に固設されたろ過箱に取付けられる前記送水管の管端が、搬送時の荷台の水平保持状態で車体側に固設する汚水タンクの内部又は汚水タンクの液分受給口内に挿入される位置にあって搬送中ろ過箱内の液分を汚水タンクに送給でき、荷台のダンプ時には前記送水管の管端が上昇して汚水タンク内又は前記液分受給口から離れて、荷台及びこれに取付けたろ過箱とともに上方に持ち上る構造とした、請求項4記載の汚泥運搬車。
【請求項7】
前記オーバーフロー口の前後にオーバーフロー口に流入する液分中の所定の粒径以上の固形分の流入を防止する粗いフィルターを設け、又前記一時貯水部ょの送水口の位置に前記粗いフィルターの篩目より細かな篩目の細かい細フィルターを設け、前記粗いフィルターによりろ過箱に粒径が大きい固形分の進入を防ぎ、又細フィルターにより汚水タンクには更にその細フィルターの篩目の粒径より大きい固形分が送られないようにして、一時貯水部と汚水タンクに固形分が多く沈殿して液分の貯水力の低下を防ぐようにした、請求項1~3いずれか記載の汚泥運搬車。
【請求項8】
前記オーバーフロー口の前後にオーバーフロー口に流入する液分中の所定の粒径以上の固形分の流入を防止する粗いフィルターを設け、又前記ろ過箱の送水口の位置に前記粗いフィルターの篩目より細かな篩目の細かい細フィルターを設け、前記粗いフィルターによりろ過箱に粒径が大きい固形分の進入を防ぎ、又細フィルターにより汚水タンクには更にその細フィルターの篩目の粒径より大きい固形分が送られないようにして、ろ過箱と汚水タンクに固形分が多く沈殿して液分の貯水力の低下を防ぐようにした、請求項4~6いずれか記載の汚泥運搬車。
【請求項9】
前記荷台の汚泥土の液分を吸引ポンプの吸引ホースで吸引して、同吸引ポンプの排出ホースのホース端を前記汚水タンク内となるように配置し、吸引した液分を直接汚水タンクに送給できるようにした液分吸引装置を設けた、請求項1~8いずれか記載の汚泥運搬車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方開口の直方体形状の水密の荷台を運搬車の車体後部に水平に固定的に設けられ、又は傾動可能な荷台(ダンプ荷台)として設けられ、その荷台に水分が多い泥水・泥土・土砂(単に汚泥土と総称する。)を積載して運送する汚泥運搬車又は汚泥・汚水を荷台に載荷して運ぶ汚泥搬送車であって、主に水分が多い泥水・泥土又は土砂等の汚泥土を搬送時水平にされる荷台に積載して運送する際又はダンプ荷台でこれらを積載して荷台を水平にして運送する際に荷台の汚泥に含まれる液分が上層に分離移動して荷台上部の液体が運搬車の坂道運送時・車速の加速時・減速時又は旋回時に荷台の液面が上下に大きく変化し、又は水面が波打って上下動して荷台の台上端を越えて液体が荷台外方へ流出して下方の道路に落下し、道路を泥水で汚していた。本発明は、この汚泥の運送時の荷台からの流出・飛散を防止する又は減少させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
このように、汚泥運搬車・ダンプ荷台の汚泥運搬車における荷台内の汚水・液体が荷台の外側への流出・飛散を防ぐ技術として特許文献1,2に開示されているように、荷台の左右側面又は後面・前面の上端上方に汚水飛散防止の防水布煽を取付けることで、汚水の荷台越水・飛散防止とする対策があった。
【0003】
しかし、この飛散防止の布煽を使用しても前後・左右・前後の布煽の間には間隙が発生し、布煽の間から流水・飛散することを避けられなかった。又、荷台に汚泥を積載した後、布煽の組み立て作業が必要であって、手間・時間がかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3190117号公報
【特許文献2】実用新案登録第3083097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、水分量が多い汚泥土を運送する汚泥運搬車において、運搬車による運送途中に荷台から泥水の液分が溢出・飛散して道路に落下・飛散して道路を汚すことが少なく抑えられる汚泥運搬車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 荷台底面・荷台左右側面及び荷台前後面を水密に箱形状に組み立てられ且つ上方を開放した荷台を運搬車の車体後部に配置した汚泥運搬車において、
前記荷台の荷台底面から所要の高さの位置の荷台前面に前記荷台に積載した水分の多い泥水・汚泥又は土砂の汚泥土の液分のオーバーフローの開口を設け、
前記オーバーフローの前記開口から流出する汚泥土の液分を一時貯える一時貯水部を前記荷台前面の外側に取付け、一方前記一時貯水部に近い運搬車の車体に汚泥土の液分を貯える前記一時貯水部の収容液量より多い液量を貯える汚水タンクを固設し、前記荷台前面の外側に取付けた前記一時貯水部と前記車体側に固設した汚水タンクとの間に運搬時の荷台水平状態において、荷台側に取付けられた一時貯水部のタンク内の液分を車体側汚水タンク内に移送できる送水管が形成され、更に汚水タンクには内部の液分を外部へ排出する開閉弁付排出管を設け、汚泥運搬車の運搬時において荷台のオーバーフローの前記開口から流出する液分は一時貯水部に貯えられた後汚水タンクに移送されて汚水タンクに収容されて、荷台からのオーバーフローした液分を汚水タンクに貯えて液分の落下による道路の汚れを抑止でき、しかも汚水タンクの液分は液分処理設備のある場所で前記開閉弁を開いて前記排出管から液分処理場で排出できるようにしたことを特徴とする、汚泥運搬車
2) 前記1)において、荷台は車体後部に固設されるように配置され、前記荷台前面側に取付けられる一時貯水部内の液分を汚水タンク内に送る送水管は固定の配管である、前記1)記載の汚泥運搬車
3) 前記1)において、荷台は車体後部に固設されるように配置され、前記荷台前面側に取付けられた一時貯水部に設けた液分を吐出する送水管の管端は下方に配置された汚水タンク内まで延びて、一時貯水部内の液分は前記送水管により直接汚水タンクへ送給される構造とした、前記1)記載の汚泥運搬車
4) 荷台底面・荷台左右側面及び荷台前後面を水密に箱形状に組み立てられ且つ上方を開放した荷台を運搬車の車体後部下部の枢支軸まわりに前記荷台前部が傾動作動手段の作動で持ち上げられるように傾動可能としたダンプ荷台であり、しかも同荷台は運搬車の車体に水平状態にも保持できる構造とし、加えて前記荷台後面は前記運搬車の前記荷台の後端上方位置に設けた枢支軸まわりに回転できて、外側に向って揺動して前記荷台後面を開放できる構造の前記荷台を運搬車の車体後部フレームに設けたダンプ荷台の汚泥運搬車において、
前記荷台の荷台底面から所要の高さの位置の荷台前面に前記荷台に積載した水分の多い泥水・汚泥又は土の前記汚泥土に含まれた液分のオーバーフロー口を設け、同オーバーフロー口の荷台前面の外側開口の外周空間を囲う形状のろ過箱をオーバーフロー液分の一時貯水部として荷台前面の外側に設けて前記オーバーフロー口から流出する液分を一時貯えられる構造とし、しかも同ろ過箱は流入した液分を外部に送る送水口を有し、同送水口に接続した送水管を介してろ過箱内の液分は運搬車の車体前側に固設した汚水タンクへ送給でき、しかも同汚水タンクにはタンク内の液分を車体外に排出する開閉弁付排出管を設け、更に荷台側に取付けられた前記ろ過箱の前記送水管は前記荷台が搬送時の水平に保持された状態ではろ過箱の液分を汚水タンク内に送水出来る構造とし、且つ液分の多い汚泥土を荷台に積載して運送する場合は前記排出管の開閉弁を閉じて使用し、荷台に積載した汚泥土の液分が搬送時の運搬車の加速・減速又は旋回の運動によって荷台の所定高さの前記オーバーフロー口からオーバーフローした液分を前記ろ過箱で一時貯え、更に同ろ過箱内の液分は同ろ過箱の前記送水管により車体前部に固定した汚水タンク内に送り込み可能とし、ダンプ運搬車が走行中に荷台の汚泥土の液分が道路に落下して道路を汚さないように汚泥土を運び、所定の泥水処理できる貯槽場で汚水タンクの液分を前記排出管に付属した開閉弁を開いて排出管から液分処理場へ排出できるようにしたことを特徴とする、汚泥運搬車
5) 前記送水管は前記ろ過箱に取付けられてろ過箱の送水口と連通した第1送水管と、同第1送水管の管端から送られる液分を受け入れて前記汚水タンクへ送り込む汚水タンク側に取付けられた第2送水管とからなり、しかも第1送水管の管端と第2送水管の液分を受け入れた管端とが搬送時の荷台が水平状態に保持された状態において、第1送水管の管端と第2送水管の管端が止水弾性体を介して接離可能に連通されてろ過箱の液分を汚水タンクへ送られるようにして、しかも荷台がダンプして傾動する状態では管端同士は分離されるようになる、前記4)記載の汚泥運搬車
6) ダンプ荷台である荷台の前記荷台前面側に固設されたろ過箱に取付けられる前記送水管の管端が、搬送時の荷台の水平保持状態で車体側に固設する汚水タンクの内部又は汚水タンクの液分受給口内に挿入される位置にあって搬送中ろ過箱内の液分を汚水タンクに送給でき、荷台のダンプ時には前記送水管の管端が上昇して汚水タンク内又は前記液分受給口から離れて、荷台及びこれに取付けたろ過箱とともに上方に持ち上る構造とした、前記4)記載の汚泥運搬車
7) 前記オーバーフロー口の前後にオーバーフロー口に流入する液分中の所定の粒径以上の固形分の流入を防止する粗いフィルターを設け、又前記一時貯水部ょの送水口の位置に前記粗いフィルターの篩目より細かな篩目の細かい細フィルターを設け、前記粗いフィルターによりろ過箱に粒径が大きい固形分の進入を防ぎ、又細フィルターにより汚水タンクには更にその細フィルターの篩目の粒径より大きい固形分が送られないようにして、一時貯水部と汚水タンクに固形分が多く沈殿して液分の貯水力の低下を防ぐようにした、前記1)~3)いずれか記載の汚泥運搬車
8) 前記オーバーフロー口の前後にオーバーフロー口に流入する液分中の所定の粒径以上の固形分の流入を防止する粗いフィルターを設け、又前記ろ過箱の送水口の位置に前記粗いフィルターの篩目より細かな篩目の細かい細フィルターを設け、前記粗いフィルターによりろ過箱に粒径が大きい固形分の進入を防ぎ、又細フィルターにより汚水タンクには更にその細フィルターの篩目の粒径より大きい固形分が送られないようにして、ろ過箱と汚水タンクに固形分が多く沈殿して液分の貯水力の低下を防ぐようにした、前記4)~6)いずれか記載の汚泥運搬車
9) 前記荷台の汚泥土の液分を吸引ポンプの吸引ホースで吸引して、同吸引ポンプの排出ホースのホース端を前記汚水タンク内となるように配置し、吸引した液分を直接汚水タンクに送給できるようにした液分吸引装置を設けた、前記1)~8)いずれか記載の汚泥運搬車
にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、荷台に積載された汚泥土の液分の水位が荷台に設けたオーバーフロー口の高さ以上になれば、荷台内の液分は荷台前面に設けたオーバーフローの開口から外へ流出する。あるいは、汚泥運搬車が急発進・急停止・加速減速時の慣性力によって又は曲った路面での遠心力の作用によって平均水面がオーバーフロー口の高さより低くても荷台の液分の水面が上下に波立って液分の平均水位より高く上下に変動し、又は荷台内面に沿って上方に高く立上って荷台のオーバーフローの開口から又は荷台の上端から液分は外方へ流出する。
このような状態でオーバーフローの開口から流出した液分は荷台前面外側に設けた一時貯水部に収まり、又一時貯水部から送水管を介して車体前部に固設した汚水タンクへ送給して、オーバーフロー口から流出する液分を一時貯水部と汚水タンクに収容して道路に落下・流下しないようにする。又、荷台の液分の一部を一時貯水部と汚水タンクに一時貯えることで荷台の液分の水面を低くして、荷台から液分が道路上に流出・落下するのを少なくしている。
【0008】
このように、荷台のオーバーフローする液分を一時貯水部と汚水タンクに収めることで荷台の液面を低くして、運搬車からの流出・落下を少なくして道路を汚さないようにしている。
【0009】
更に、ろ過箱に粗いフィルターと細かいフィルターとを設けることで、ろ過箱・汚水タンクが固形分の沈殿・沈積で収容液の液量が低下しないようにして、長時間荷台から液分の落下がないようにできる。
【0010】
更に、荷台は運搬車の車体後部に固定する場合と、荷台が車体に対して傾動するダンプ荷台の場合があるが、固定する荷台であればろ過箱と汚水タンクとの送水管の接続は容易で、固定配管で済む。ダンプ荷台の場合、傾動するダンプ荷台側のダンプにより上下前後動する一時貯水部と運搬車の車体前部に固定的に設ける汚水タンクとの間の送水管は固定的に配管できないが、送水管を一時貯水部側に取付けてダンプ荷台とともに上下・左右動する第1送水管と汚水タンク側に固定された第2送水管とに分離し、運搬時の荷台が水平に保持される場合は第1・2送水管の先端の管端がダンプ荷台の水平保持において止水弾性体で互に当接して液漏れがないように第1・2送水管の管端が連通し、ダンプ荷台を上下させる場合は一時貯水部の第1送水管の管端が第2送水管の管端から離れてダンプ荷台は第2送水管に接触することなく上下動できるようにしている。
【0011】
前記荷台が傾動するダンプ荷台であって、荷台側に取付けるろ過箱の送水口と連通する送水管の管端がダンプ荷台の水平保持状態で車体前部に固設した上方を開放した汚水タンク内又は汚水タンクの液分受給口内の位置となるようにし、又ダンプ荷台を傾動して上方に持ち上った状態では前記送水管の管端は汚水タンク内又は液分受給口内から上方へ持ち上れるようにして、運搬時は給水管の管端が汚水タンク内又は液分受給口内に入り込み、ろ過箱の液分を汚水タンク内へ送給し、ダンプ荷台に積載した汚泥土を排出するため傾動して、一時貯水部であるろ過箱が上方に持ち上げられると汚水タンク内又は液分受給口内から送水管の管端が持ち上ってダンプ荷台の傾動により積載した汚泥土のダンプ排出を可能とする。尚、ダンプ荷台が持ち上った状態では一時貯水部であるろ過箱にはオーバーフローした液分はほとんどなく、汚泥土排出処分場を大きく汚すこともない。
【0012】
更に、汚水タンクには開閉弁付排出管があるので、汚水タンクに貯えられた液分はその液分の処理場又は設備において開閉弁を開放することで液分を所定の処理場・処理設備に送り込んでそこで処分できるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は本発明の荷台がダンプする実施例1の運搬時の汚泥運搬車を示す側面図である。
【
図2】
図2は実施例1のダンプ荷台を傾動している状態を示す側面図である。
【
図3】
図3は実施例1のダンプ荷台の運搬時の水平保持状態における一時貯水部と汚水タンクとの送給構造を示す説明図である。
【
図4】
図4は実施例1の左右にあるろ過箱と中央にある汚水タンクとの運搬時の接続構造を示す説明図である。
【
図5】
図5は実施例1の荷台のダンプ時のろ過箱の構造と汚水の送給構造を示す説明図である。
【
図6】
図6は実施例1の運搬時における液分の移送を示す説明図である。
【
図7】
図7は実施例1のダンプ荷台が傾動している状態の荷台前面を示す説明図である。
【
図8】
図8は本発明のろ過箱と汚水タンクとの液分の送給構造の他の例を示す説明図である。
【
図9】
図9は
図8の他の例の汚水タンクのゴムマスクの状態を示す平面図である。
【
図10】
図10は
図8の他の例の運搬時のろ過箱と汚水タンクの液分送給の状態を示す説明図である。
【
図11】
図11は実施例で液分吸引装置を備えた例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、荷台が運搬車の車体に水平に固設される形態の場合と、荷台が車体の後部下位置の回転軸まわりに回動して荷台を傾動できるダンプ荷台の場合とがある。荷台が車体に固定の前者の場合は、一時貯水部であるろ過箱と汚水タンクの送水管は固定配管でよいので簡単である。例えば、ダンプ荷台の送給路の構造を固定構造にすればよい。しかし、この荷台固定の場合、荷台に積載した汚泥土の排出には実用新案登録第3042392号に示されるようなスクレーパ式又はバケット式の排泥装置によって掻き出し、強制排出する必要がある。一方、ダンプ荷台の場合は上下する荷台とともに一時貯水部は上下・左右動するので、車体の前方下部の汚水タンクとは一時貯水部が上下・左右動しても汚水タンクへの送水管路がその傾動の支障にならないような送水管構造にする必要がある。実施例1,その他の実施例は、その荷台の傾動にかかわらず搬送時の水平設置状態で液分の送水が可能な構造とする必要がある。
【実施例0015】
以下、本発明を
図1~7に示す荷台をダンプ荷台とする例の実施例1と、
図8,9に示す他のダンプ荷台の形態例の実施例でもって具体的に説明する。
【0016】
(実施例1/
図1~7参照)
本実施例1は荷台がダンプ荷台の例であり、荷台前面の所定高さの左右それぞれに2個のオーバーフロー口3が設けられる。一時貯水部はオーバーフロー口3に対向した面を開放した荷台前面外側に取付けられた空箱状のろ過箱とし、更に同ろ過箱と下方の汚水タンクとを第1送水管と第2送水管でそれら管端が接離可能で連通して液分を送給できる構造とした例である。詳しくは、傾動する荷台側に取付けられる一時貯水部であるろ過箱と車体固定の汚水タンクとの間の送水管は一時貯水部のろ過箱に取付けられる第1送水管と、汚水タンク側に取付けられる長さが短くて管内径が第1送水管の管外径より大きい第2送水管とに分かれていて、搬送時の荷台が水平に保持される状態では同第2送水管の液分の受給口となる第2送水管の管端に第1送水管の管端が挿入され、液分が送給できるようになっている。又、第1送水管の管端の外周には液分飛散防止の止水弾性体のゴムリングが付設され、汚水タンクの上面から立ち上った短い第2送水管の管端の受給口の口縁と圧接して接続部での洩水を防止している。
又、荷台の汚泥土を排出するため荷台が傾動して、その荷台前面が持ち上る状態では第1送水管の管端が固定の汚水タンクの第2送水管の管端の受給口から引き抜かれて、第1送水管の管端が上方へ移動することを可能として荷台の傾動の支障にならないようにした例である。
【0017】
(実施例1の符号の説明)
G1は本発明の実施例1の10ton程積載できるダンプ荷台を使用した汚泥運搬車、1は運搬車の車体、10は汚泥運搬車G1の運転部、2はダンプできる荷台、20は荷台底面、21は荷台2の荷台前面、22は荷台2の荷台後面、221は荷台2の後部下方に設けた傾動のための回転軸(枢支軸)、23は荷台2の左右の荷台側面である。24は荷台後面22の煽の上方の回転軸、25は荷台2を傾動させる油圧シリンダーを用いた傾動手段、26は運搬車の車体のタイヤ、3は荷台2の荷台前面21の所定高さの左右位置に設けた2個のスリット状のオーバーフロー口(開口)、4は同オーバーフロー口の荷台前面21の外側に設けた直方体コップを横向けにした形状の一時貯水部であるろ過箱、41はオーバーフロー口3の開口に設けた粗いフィルター、42はろ過箱4の送水口、43は同送水口に接続された第1送水管、44は送水口42の位置に設けられた細かい篩目の細フィルターである。45は第1送水管43の管端、46は同管端の外周に設けた緩衝用及び防水用の止水弾性体であるゴムリングである。5は車体1側に固設した容量が450リットル程の汚水タンク、51は同汚水タンクに取付けた長さが短く管内径が第1送水管43の管外径より大きい受給口となる第2送水管、52は同第2送水管の管端の管口である受給口である。53は汚水タンクの底面に設けた排出管、54は同排出管の途中に設けた開閉弁、55は汚水タンクの空気開放管である。90は液分吸引装置、91は同液分吸引装置の吸引ホース、92は同吸引ホースの先端に取付けられた荷台内の液分を吸引するフィルター付吸引部、93は液分吸引装置の吸引ポンプ、94は同吸引ポンプの排出ホースで、ホース先端は汚水タンク5内に配置されている。95は吸引ポンプをON/OFF作動する制御線、96は同制御線の運転部10内に設けたON/OFF操作ボタンである。この液分吸引装置は荷台が固定の場合又はダンプ荷台の場合のいずれでも備えることができる。
【0018】
(実施例1の動作)
本実施例1の荷台2はダンプ荷台であって、汚泥運搬車G1の運送中は
図1に示すように、荷台2は油圧シリンダーを用いた傾動手段25によって車体1に水平を保持するようになっている。
荷台2に水分が多い汚泥土を積載された状態ではその汚泥土の液分は上層にあって、通常は荷台前面21にあるオーバーフロー口3の下方位置にある。
【0019】
現場で汚泥運搬車G1の荷台内に水分の多い汚泥土を積み込んで、オーバーフロー口3以下の水面でも沈殿した汚泥土の固形分の上層となる液分の量が多い場合は、汚泥運搬車G1を走行させる前に液分吸引装置90を運転部10にある操作ボタンをONにして吸引ポンプ93を作動させ、吸引ホースの先端のフィルター付吸引部92から荷台2内の液分を吸引して、吸引ポンプ93の排出ホース94から直接汚水タンク5へ荷台内の液分を送給して荷台2の液分の水面の水位(水量)を減らし、水位が低下したことで運搬中荷台2内の液分が外部へ飛散・放出・落下するのを低減することができる。
しかし、上記液分吸引装置90があれば、上記の液分の上面の水位レベルを低下して運搬中での液分の落下・飛散を低減できるが、液分吸引装置90は走行前ばかりでなく走行中に作動させることもできる。又は、液分吸引装置がない場合でも本発明で液分の落下・飛散を低減できる。
【0020】
汚泥運搬車G1を走行させると、この汚泥運搬車G1が下り坂の走行時又は急激な加速又は減速あるいは旋回する走行時、液分又は汚泥土の慣性力によって荷台2の上方の液分の水面は上下・左右に揺れ又は傾斜地に沿って液上面も荷台2に対して傾く。液上面がオーバーフロー口3の高さを超えると液分がオーバーフロー口3から流出する。
【0021】
液分がオーバーフロー口3から外方向に流出する際にオーバーフロー口3の粗いフィルター41(網目メッシュ)によって液中の粒径の大きい固形分はこの粗いフィルターで流出が阻止され、その篩目より小さい粒径の固形分と液体とがオーバーフロー口3から一時貯水部であるろ過箱4内に進入する。
【0022】
ろ過箱4内に進入した液分はここで一時貯えられるとともに、箱下方の送水口42から第1送水管43に流入する。送水口42には篩目が上記粗いフィルター41より小さい細フィルター44があるため、第1送水管43に流入する液分は粒径が細かい固形分と液体分のみである。
【0023】
ろ過箱4内の細フィルター44を通過した細かい粒径の固形分と液体分は第1送水管43に流入し、下方の汚水タンク5の上面から立ち上った内径が第1送水管43の外径より大きい第2送水管51の管端の口縁(受給口52)に運送時の水平な荷台の状態では挿入され、液分は汚水タンク5内へ移送される。
【0024】
前記第1送水管43の管端45の上方には第1送水管の管外径より拡巾した止水弾性体のゴムリング46が取付けられていてこの第2送水管51の管端と圧接するので、第1と第2の送水管の管端を介しての送水される液分は上記ゴムリング46によって液分が外方に洩れることがなくなる。
【0025】
このように、荷台2のオーバーフロー口3から流入した液分は粗いフィルター41と細フィルター44で粒径の所定以上の固形分がろ過されて、それ以下の固形分と液体分が汚水タンク5へ送給される。
従って、ろ過箱4内部が大きい粒径の固形分で詰まることがないようにでき、又汚水タンク5も更に細フィルター44で細かな粒径の固形分と液体分だけを汚水タンク5に送給するので、汚水タンク5が細フィルター44の篩目の細かな粒径以上の固形分が流入して沈殿して汚水タンク5の液分の収容容量を減少させることがない。
このように、オーバーフロー口3から流入した荷台2中の液分は450リットル程汚水タンク5内に流入して貯えられる。これによって、荷台2の液分の上面が低下して荷台2からの液分のこぼれを少なくし、又オーバーフロー口3から流入した液分は汚水タンク5で貯えられるので道路を汚すことはない。
【0026】
このように、ダンパー式荷台2に積載された汚泥土が目的の場所(汚泥処理場・汚泥処理設備)まで運送されれば、この場所で荷台2を傾動手段25を作動させて傾動させること及び荷台後面22を後方に回転させて開放して、荷台2中の汚泥土を荷台後面端から処理場へ傾いた荷台底面に沿って排出する。
【0027】
荷台2を傾動させると、荷台前面21の外側に取付けた一時貯水部であるろ過箱4の第1送水管43の管端は荷台2の後方下位の回転軸221まわりに回転して上方に持ち上り、汚水タンク5の第2送水管51の管端の受給口52から抜かれて上方に移動する。このように、荷台2が傾動しても第1送水管43の管端と第2送水管51の管端(受給口)とは接触することなく分離して、荷台ダンプ作業に支障がない。
【0028】
このように、実施例1の汚泥運搬車G1では、荷台2を水平に保持しての運送時において荷台2の積載した汚泥土の液分の上面がオーバーフロー口3の位置でろ過箱4・汚水タンク5に移動させることで、荷台2の液分の上面を低下させて液分の荷台2から道路への落下を抑え、又オーバーフロー口3から流出した液分は汚水タンク5で一時貯えられ、オーバーフローした液分が道路面に落下するのを防止して、道路面を液分で汚すことを少なくしている。
【0029】
荷台2を傾動して汚泥土を所定の場所へ排出した後、汚泥運搬車G1を汚泥液分の処理場へ移動させ、その汚水タンク5の排出管53の開閉弁54を開放させて、汚水タンク5内に貯えられた液分を排出管53を介して下方へ落下して、その現場の液分排出溝(図示せず)へ流出し、液分排出溝を介して液分処理場へ移動させる。これで汚水タンク5の液分を空にして次の汚泥土の運搬の準備とする。
【0030】
本発明で、ろ過箱4のオーバーフロー口3と送水管の送水口42とに粗いフィルター41と細フィルター44を設けることによって、ろ過箱4が大きい粒径の固形分で詰まらないようにし、又汚水タンク5も細かい粒径の液分から排除することで汚水タンク5がこれらによって詰まって液体分の収容水量が低減しないようにして長時間の搬送を可能とする。
【0031】
図8,9に示す一時貯水部であるろ過箱4と汚水タンク5の構造は、荷台2がダンプ荷台とする場合、一時貯水部のろ過箱4と汚水タンク5との送水管がダンプ時及び運搬時において接離可能で、しかも運搬時において互に接して連通して液分の送給を可能とし、又ダンプ時は離れてダンプ可能とする他の構造例である。
この
図8,9の例では、ろ過箱4の底に設けた複数の送水口42に連通する複数の送水管の管端が直接汚水タンク5の上面に設けた液分飛散防止のゴムマスク80の管挿入用のX字状の切目81を押し分けて挿入することで、剛性がある送水管70の管端71を汚水タンク5の内部に挿入し、ろ過箱4の液分を確実に汚水タンク5内に送給できるようにした。運搬中の汚水タンク5内の液面が上下しても、上方のゴムマスク80によって汚水タンク5から飛散するのを防止している。
更に、荷台2がダンプして傾動しても送水管70はろ過箱4と荷台2とともに上・左右に移動して、汚水タンク5のゴムマスク80の切目81から引き抜かれて分離する。荷台2が下降すると、送水管70がゴムマスク80の切目81を押し拡げてその管端71を汚水タンク5内に挿入して液分の送給を確実に出来るようにしている。
【0032】
尚、荷台がダンプ(傾動)しなければ、
図10に示すように一時貯水部のろ過箱4と汚水タンク5とは固定した送水管70で送水が可能である。
請求項1において、荷台は車体後部に固設されるように配置され、前記荷台前面側に取付けられる一時貯水部内の液分を汚水タンク内に送る送水管は固定の配管である、請求項1記載の汚泥運搬車。
請求項1において、荷台は車体後部に固設されるように配置され、前記荷台前面側に取付けられた一時貯水部に設けた液分を吐出する送水管の管端は下方に配置された汚水タンク内まで延びて、一時貯水部内の液分は前記送水管により直接汚水タンクへ送給される構造とした、請求項1記載の汚泥運搬車。
荷台底面・荷台左右側面及び荷台前後面を水密に箱形状に組み立てられ且つ上方を開放した荷台を運搬車の車体後部下部の枢支軸まわりに前記荷台前部が傾動作動手段の作動で持ち上げられるように傾動可能としたダンプ荷台であり、しかも同荷台は運搬車の車体に水平状態にも保持できる構造とし、加えて前記荷台後面は前記運搬車の前記荷台の後端上方位置に設けた枢支軸まわりに回転できて、外側に向って揺動して前記荷台後面を開放できる構造の前記荷台を運搬車の車体後部フレームに設けたダンプ荷台の汚泥運搬車において、
前記荷台の荷台底面から所要の高さの位置の荷台前面に前記荷台に積載した水分の多い泥水・汚泥又は土の前記汚泥土に含まれた液分のオーバーフロー口を設け、同オーバーフロー口の荷台前面の外側開口の外周空間を囲う形状のろ過箱をオーバーフロー液分の一時貯水部として荷台前面の外側に設けて前記オーバーフロー口から流出する液分を一時貯えられる構造とし、しかも同ろ過箱は流入した液分を外部に送る送水口を有し、同送水口に接続した送水管を介してろ過箱内の液分は運搬車の車体前側に固設した汚水タンクへ送給でき、しかも同汚水タンクにはタンク内の液分を車体外に排出する開閉弁付排出管を設け、更に荷台側に取付けられた前記ろ過箱の前記送水管は前記荷台が搬送時の水平に保持された状態ではろ過箱の液分を汚水タンク内に送水出来る構造とし、且つ液分の多い汚泥土を荷台に積載して運送する場合は前記排出管の開閉弁を閉じて使用し、荷台に積載した汚泥土の液分が搬送時の運搬車の加速・減速又は旋回の運動によって荷台の所定高さの前記オーバーフロー口からオーバーフローした液分を前記ろ過箱で一時貯え、更に同ろ過箱内の液分は同ろ過箱の前記送水管により車体前部に固定した汚水タンク内に送り込み可能とし、ダンプ運搬車が走行中に荷台の汚泥土の液分が道路に落下して道路を汚さないように汚泥土を運び、所定の泥水処理できる貯槽場で汚水タンクの液分を前記排出管に付属した開閉弁を開いて排出管から液分処理場へ排出できるようにしたことを特徴とする、汚泥運搬車。
前記送水管は前記ろ過箱に取付けられてろ過箱の送水口と連通した第1送水管と、同第1送水管の管端から送られる液分を受け入れて前記汚水タンクへ送り込む汚水タンク側に取付けられた第2送水管とからなり、しかも第1送水管の管端と第2送水管の液分を受け入れた管端とが搬送時の荷台が水平状態に保持された状態において、第1送水管の管端と第2送水管の管端が止水弾性体を介して接離可能に連通されてろ過箱の液分を汚水タンクへ送られるようにして、しかも荷台がダンプして傾動する状態では管端同士は分離されるようになる、請求項4記載の汚泥運搬車。
ダンプ荷台である荷台の前記荷台前面側に固設されたろ過箱に取付けられる前記送水管の管端が、搬送時の荷台の水平保持状態で車体側に固設する汚水タンクの内部又は汚水タンクの液分受給口内に挿入される位置にあって搬送中ろ過箱内の液分を汚水タンクに送給でき、荷台のダンプ時には前記送水管の管端が上昇して汚水タンク内又は前記液分受給口から離れて、荷台及びこれに取付けたろ過箱とともに上方に持ち上る構造とした、請求項4記載の汚泥運搬車。
前記オーバーフロー口の前後にオーバーフロー口に流入する液分中の所定の粒径以上の固形分の流入を防止する粗いフィルターを設け、又前記ろ過箱の送水口の位置に前記粗いフィルターの篩目より細かな篩目の細かい細フィルターを設け、前記粗いフィルターによりろ過箱に粒径が大きい固形分の進入を防ぎ、又細フィルターにより汚水タンクには更にその細フィルターの篩目の粒径より大きい固形分が送られないようにして、ろ過箱と汚水タンクに固形分が多く沈殿して液分の貯水力の低下を防ぐようにした、請求項4~6いずれか記載の汚泥運搬車。
前記荷台の汚泥土の液分を吸引ポンプの吸引ホースで吸引して、同吸引ポンプの排出ホースのホース端を前記汚水タンク内となるように配置し、吸引した液分を直接汚水タンクに送給できるようにした液分吸引装置を設けた、請求項1~8いずれか記載の汚泥運搬車。