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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188635
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】植付機
(51)【国際特許分類】
   A01G 23/04 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
A01G23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096838
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】508150337
【氏名又は名称】イワフジ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】小原 英樹
(57)【要約】
【課題】山林等であっても、苗木の根元を盛り土にすると共に根の周りの空気層を埋めて根と土を密着させることができる植付機を提供すること。
【解決手段】植付機30は移動機体に取り付けられており、土82に植穴83を成形して苗木81を植える植付機本体31と、植穴83に土82を埋め戻して押し付けると共に盛り土84を成形する盛り土プレッシャアーム機構60とを備えている。盛り土プレッシャアーム機構60は、ベースフレームに水平方向から見て円弧軌道を描いて移動可能に設けられたプレッシャアーム64と、プレッシャアーム64の先端部に設けられ土82を植穴83に埋め戻して押し付けると共に盛り土84を成形する盛り土成形部65と、ベースフレームに設けられプレッシャアーム64を進退させるプッシュシリンダ67とを備えている。
【選択図】図9

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動機体に取り付けられ土に苗木を植える植付機であって、
前記移動機体に装着され前記土に植穴を成形して前記苗木を植える植付機本体と、前記植付機本体に設けられ前記植穴に前記土を埋め戻して押し付けると共に盛り土を成形する盛り土プレッシャアーム機構とを備え、
前記植付機本体は、前記移動機体に取り付けられたベースフレームと、前記ベースフレームに設けられ前記苗木を前記植穴に案内するプランティングチューブと、前記プランティングチューブの下端部に開閉可能に設けられ前記土に植穴を形成するビーク部とを備え、
前記盛り土プレッシャアーム機構は、前記ベースフレームに水平方向から見て円弧軌道を描いて移動可能に設けられたプレッシャアームと、前記プレッシャアームの先端部に設けられ前記土を前記植穴に埋め戻して押し付けると共に盛り土を成形する盛り土成形部と、前記ベースフレームに設けられ前記プレッシャアームを進退させるプッシュシリンダとを備えていることを特徴とする植付機。
【請求項2】
請求項1記載の植付機であって、
前記プレッシャアームは、前記植付機の正面から見て前記ベースフレームに4節リンクを介して設けられており、前記4節リンクの下方の位置で前記植付機の内側に曲がった形状を備えていることを特徴とする植付機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の植付機であって、
前記植付機本体は、前記移動機体の地がきレーキに装着されていることを特徴とする植付機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山林等の土に多数の苗木を植える植付機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、環境保護の観点などから山林等の植林地に苗木を人工的に植える植林が行われているが、近年では、林業作業者の高齢化や作業者不足により、人手で行ってきた苗木の植付作業の機械化が求められている。
【0003】
一般的に、苗木の植栽は、山林等の斜面の土に多数の植穴を掘削し、これらの植穴に苗木を投入した後、植穴に土を埋め戻して押し付ける作業を繰り返すことにより、多数の苗木を植えていく。土を植穴に埋め戻す際、植穴に苗木を挿入しただけだと、根の周りに土との隙間ができ苗木が枯死してしまうため、人力で埋め戻し、土寄せ、転圧を行う場合がある。このように、苗木の根元に土を押し付け、空気の隙間を埋めながら根と土を密着させることが求められる。
【0004】
機械を使用する場合、平坦な圃場の植栽では、列状に連続的に植栽して転圧できるので、車輪のように回転する部材による植付機構を用いて苗木を植えるいわゆるローラー式の植付機でもよいが、林地の植栽では、断続的な植栽になるのでローラー式の植付機が適さない。このような林地の土に苗木を植える作業を機械化した技術として、特許文献1に示す植付機が知られている。
【0005】
特許文献1の技術は、格納庫の上段或いは下段の格納棚に配列された苗木を複数のシルキーチャックの爪で挾持すると、搬送機の縦送り機構及び横送り機構によって搬送台を格納棚からベルトコンベアまで移動させて、苗木をベルトコンベアに載置する。そして、クレーンによって植付機を苗木の植付位置に移動、着地させた上、植付機のオーガを回転させて植穴を掘削し、オーガを開き、1本の苗木をベルトコンベアから空気コンベアパイプと苗木案内筒とを介して植穴に投入した後、転圧板によって植穴を埋め戻して転圧するという動作を繰り返し行うことにより、多数の苗木を順次植え付けていくものである。
【0006】
ところで、植えたばかりの苗木を保護して土に定着させるために(根張りに有効なスペースを確保する目的、光が当たる面積を増やして苗木の根元の地温調整の目的、保水や排水の目的、風による障害を防ぐ目的など)、苗木の根元の土を盛り上げて周辺の土よりも高くする、いわゆる畝(連なって盛り上がった土、連なっていない部分的に盛り上がった土のいずれも含む)のように盛り土としたほうがよい場合がある。
【0007】
しかし、特許文献1の技術では、転圧板を苗木案内筒の下端面と平行に展開させ、転圧板を植付機の中心方向(水平方向)に移動させて掘り出された土を植穴に埋め戻し、さらに植付機を上下させて転圧板で土を転圧する。転圧板の移動が直線的であるため、その場の土を押し固めるだけで、根の周りと土との隙間を埋めることができない。
【0008】
このように、特許文献1の技術では、苗木の根元の土の高さを周辺の土の高さと一致させて押し付けるだけであり、苗木の根元を盛り土にすると共に根の周りの空気層を埋めて根と土を密着させることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9-201136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上の点に鑑み、山林等であっても、苗木の根元を盛り土にすると共に根の周りの空気層を埋めて根と土を密着させることができる植付機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施例によれば、移動機体に取り付けられ土に苗木を植える植付機であって、
前記移動機体に装着され前記土に植穴を成形して前記苗木を植える植付機本体と、前記植付機本体に設けられ前記植穴に前記土を埋め戻して押し付けると共に盛り土を成形する盛り土プレッシャアーム機構とを備え、
前記植付機本体は、前記移動機体に取り付けられたベースフレームと、前記ベースフレームに設けられ前記苗木を前記植穴に案内するプランティングチューブと、前記プランティングチューブの下端部に開閉可能に設けられ前記土に植穴を形成するビーク部とを備え、
前記盛り土プレッシャアーム機構は、前記ベースフレームに水平方向から見て円弧軌道を描いて移動可能に設けられたプレッシャアームと、前記プレッシャアームの先端部に設けられ前記土を前記植穴に埋め戻して押し付けると共に盛り土を成形する盛り土成形部と、前記ベースフレームに設けられ前記プレッシャアームを進退させるプッシュシリンダとを備えていることを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、植付機は、移動機体に装着され土に植穴を成形して苗木を植える植付機本体と、植付機本体に設けられ植穴に土を埋め戻して押し付けると共に盛り土を成形する盛り土プレッシャアーム機構とを備えている。植付機本体は、移動機体に取り付けられたベースフレームに設けられ苗木を植穴に案内するプランティングチューブと、プランティングチューブの下端部に開閉可能に設けられ土に植穴を形成するビーク部とを備えているので、ビーク部で植穴を成形して、プランティングチューブで苗木を植穴に植えることができる。さらに、盛り土プレッシャアーム機構は、ベースフレームに水平方向から見て円弧軌道を描いて移動可能に設けられたプレッシャアームと、プレッシャアームの先端部に設けられ土を植穴に埋め戻して押し付けると共に盛り土を成形する盛り土成形部とを備えているので、プレッシャアームの円弧運動により、周囲の土を寄せながら苗木根元の土中方向に押し付け、山林等であっても、苗木の根元を盛り土にすると共に根の周りの空気層を埋めて根と土を密着させることができる。
【0013】
好ましくは、前記プレッシャアームは、前記植付機の正面から見て前記ベースフレームに4節リンクを介して設けられており、前記4節リンクの下方の位置で前記植付機の内側に曲がった形状を備えている。
【0014】
かかる構成によれば、プレッシャアームは、植付機の正面から見てベースフレームに4節リンクを介して設けられているので、簡単な機構でプレッシャアームの先端の盛り土成形部を円弧軌道で移動させることができる。さらに、プレッシャアームは、4節リンクの下方の位置で植付機の内側に曲がった形状を備えているので、盛り土成形部を内側に傾斜させた状態にして円弧軌道を描きながら苗木の根に向かい土を寄せつつ盛り土を成形すると共に押し付けて根の周りと土との隙間を埋め、根をしっかりと土に固定させることができる。
【0015】
好ましくは、前記植付機本体は、前記移動機体の地がきレーキに装着されている。
【0016】
一般的に、山林では地面が硬くなっていることがあるため、ドリルを備えた穴あけ装置を植付機とは別途設ける必要が生じる場合がある。この点、本発明の実施例による構成によれば、植付機本体が移動機体の地がきレーキに装着されているので、地がきレーキによる地拵え作業直後の柔らかい場所に植栽できるので、穴あけ装置を別途設ける必要なく、植付機のみで、苗木の根元を盛り土にすると共に根の周りの空気層を埋めて根と土を密着させ、植栽することができる。
【発明の効果】
【0017】
山林等であっても、苗木の根元を盛り土にすると共に根の周りの空気層を埋めて根と土を密着させることができる植付機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例に係る植付機が取り付けられた移動機体の側面図である。
図2】実施例に係る植付機の説明図である。
図3】実施例に係る植付機の側面図である。
図4図3の4-4線断面図である。
図5図4の5-5線断面図である。
図6図3の6部矢視図である。
図7】実施例に係る植付機の原点復帰状態から植穴成形までの作用図である。
図8】実施例に係る植付機の苗木の植付から植付完了までの作用図である。
図9】(A)及び(B)は実施例の植付機による盛り土を成形する作用図である。(C)は比較例の植付機による土を押し固める作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、作用図は、植付機を概念的(模式的)に示すものとする。
【実施例0020】
図1に示されるように、移動機体10に植付機30が取り付けられており、その一例として、移動機体10は建設機械である。移動機体(建設機械)10は、下部走行体11と、下部走行体11上に旋回軸12を介して旋回可能に設けられた上部旋回体13と、上部旋回体13に設けられた作業装置14とを備えている。上部旋回体13の前部には操作室(キャブ)15が搭載され、上部旋回体13の後部には機械室16に配置されたエンジンやカウンタウエイト17が搭載されている。
【0021】
上部旋回体13には、ブーム21及びこのブーム21を回動するブームシリンダ(アクチュエータ)22が回動可能に軸支されている。ブームシリンダ22の先端部はピンを介してブーム21に回動可能に連結されている。ブーム21の先端には、アーム23がアームシリンダ(アクチュエータ)24により回動されるように軸支されている。アーム23には、アタッチメントである地がきレーキ26がリンク部25を介してアタッチメントシリンダ(アクチュエータ)27により回動されるように軸支されている。作業装置14は、ブーム21と、アーム23とを含んでいる。
【0022】
地がきレーキ26は、アーム23に軸支されたグラップルレーキ本体26aと、このグラップルレーキ本体26aに設けられ山等の土82を地拵えする(地がく)下部フィンガ26bとを備えている。なお、地がきレーキ26の形式は、図1の形状に限定されず、例えば図2に示す形式のものであってもよい。
【0023】
地がきレーキ26の前側に取付部32aを介して植付機30が装着されている。植付機30は、土82に苗木81(図2参照)を植えるものである。
【0024】
図2に示されるように、地がきレーキ26は、アームに軸支されたグラップルレーキ本体26aと、このグラップルレーキ本体26aに設けられ山等の土82を地拵えする(地がく)下部フィンガ26bと、この下部フィンガ26bとの間に木材などを掴む上部フィンガ26cとを備えている。
【0025】
次に植付機30について説明する。
植付機30は、移動機体10に装着され土82に植穴83(図8参照)を成形して苗木81を植える植付機本体31と、植付機本体31に設けられ植穴83に土82を埋め戻して押し付けると共に盛り土84(図8参照)を成形する盛り土プレッシャアーム機構60とを備えている。
【0026】
植付機本体31の上部にはコンテナ33が設けられ、このコンテナ33には複数のカートリッジ34が設けられ、これらのカートリッジ34に苗木81がセットされている。苗木81は、作業者80によりセットされる。
【0027】
次に植付機本体31について説明する。
図2図6に示されるように、植付機本体31は、移動機体10に取り付けられたベースフレーム32と、このベースフレーム32に上部に設けられたコンテナ33と、このコンテナ33に移動可能に設けられた複数の円筒状のカートリッジ34と、これらの複数のカートリッジ34を一列に接続するチェーン部35と、コンテナ33に回転可能に設けられカートリッジ34を支持すると共に駆動してカードリッジ34を移動させる駆動スプロケット36と、この駆動スプロケット36とは異なる位置でコンテナ33に回転可能に設けられカートリッジ34を支持すると共に従動する従動スプロケット37と、コンテナ33に設けられ駆動スプロケット36を駆動するマガジンモータ38とを備えている。
【0028】
また、植付機本体31は、ベースフレーム32に設けられたガイドリング41と、このガイドリングにテレスコピック構造により伸縮可能に32に設けられ所定の位置に移動したカートリッジ34の苗木81を植穴83(図8参照)に案内するプランティングチューブ42と、このプランティングチューブ42の下端部に開閉可能に設けられ降下することで土82に植穴83を成形するビーク部43、44、45とを備えている。
【0029】
詳細には、ビーク部43、44、45は、プランティングチューブ42の下端部と一体的に連続する固定ビーク43と、プランティングチューブ42に揺動可能に設けられた揺動部材44と、この揺動部材44に設けられた開閉ビーク45とを備えている。プランティングチューブ42には、開閉ビーク45に接続されたロッド46aを進退させるビークシリンダ46が設けられており、このビークシリンダ46がロッド46aを前進させると開閉ビーク45が閉まり、ビークシリンダ46がロッド46aを後退させると開閉ビーク45が開く。
【0030】
所定の位置にあるカードリッジ34、プランティングチューブ42、ビーク部43、44、45は、内径側が直線状に貫通している。これにより、苗木81の入ったカートリッジ34を所定の位置に移動させることで、苗木81が所定の位置のカートリッジ34からプランティングチューブ42に落ちるように移動し、さらに開いた状態のビーク部43、44、45へと移動し、植穴83に案内される。
【0031】
また、植付機本体31は、ベースフレーム32に揺動可能に設けられその先端部でプランティングチューブ42を支持する支持アーム47と、ベースフレーム32に設けられ支持アーム47を揺動させるアームシリンダ48とを備えている。詳細には、アームシリンダ48には進退可能にロッド48aが設けられており、このロッド48aの先端が揺動可能にベースフレーム32に設けられ、アームシリンダ48が支持アーム47に回動可能に設けられている。このアームシリンダ48がロッド48aを前進させる(伸ばす)と支持アーム47が下方に揺動してプランティングチューブ42が下降し、アームシリンダ48がロッド48aを後退させる(縮める)と支持アーム47が上方に揺動してプランティングチューブ42が上昇する。
【0032】
ベースフレーム32の下端部には、その中央部が上方に凹むように湾曲して土82を抑える湾曲プレート51が設けられており、この湾曲プレート51の中央部には開口52が形成されている。この開口52をプランティングチューブ42及びビーク部43、44、45が通過する。
【0033】
次に盛り土プレッシャアーム機構60について説明する。
盛り土プレッシャアーム機構60は、ベースフレーム32の側部に上下方向に延びるように設けられた支持リブ61と、ベースフレーム32の支持リブ61に水平方向から見て円弧軌道を描いて移動可能に設けられたプレッシャアーム64と、このプレッシャアーム64の先端部に設けられ土82を植穴83に埋め戻して押し付けると共に盛り土84を成形する盛り土成形部65と、ベースフレーム32に設けられプレッシャアーム64を進退させるプッシュシリンダ67とを備えている。
【0034】
また、盛り土プレッシャアーム機構60において、プレッシャアーム64は、植付機30の正面から見てベースフレーム32の支持リブ61に4節リンク62、63を介して設けられており、4節リンク62、63の下方の位置で植付機30の内側に曲がった形状(内湾曲部)66を備え、プレッシャアーム64の先端部に土82を埋め戻して押し付けると共に盛り土84を成形する盛り土成形部65を備えている。4節リンク62、63は、上側に揺動可能に配置される上のリンク62と、この上のリンク62の下方に揺動可能に配置される下のリンク63と、からなる。盛り土成形部65は、湾曲プレート51の開口52を通過可能に配置されている。なお、実施例では、内側に曲がった形状66を、内側に湾曲した内湾曲部としたが、これに限定されず、例えば屈折や屈曲などでもよく、内側に曲がって土を寄せながら盛り上げて押し付けることができれば形状は問わない。さらには、土を寄せながら盛り上げて押し付けることができれば、内側に曲がっていない、直線的な形状でもよい。
【0035】
ベースフレーム32の支持リブ61の上端部には、プレッシャアーム64に接続されると共にこのプレッシャアーム64進退させるプッシュシリンダ67が設けられている。詳細には、支持リブ61の上端部に揺動可能にプッシュシリンダ67が設けられ、このプッシュシリンダ67に進退可能にロッド67aが設けられ、このロッド67aの先端部にプレッシャアーム64の上端部が回動可能に接続されている。
【0036】
また、植付機30には、マガジンモータ38、ビークシリンダ46、アームシリンダ48及びプッシュシリンダ67の動きを制御する回路ボックス71が設けられている。なお、各シリンダは、いわゆる電動、油圧、エアー等、いずれでもよく種類は問わない。
【0037】
次に実施例の植付機30の作用について説明する。
図7(A)に示されるように、植付機30は、湾曲プレート51が土82と略平行になるように接触して配置されている。植付機30の各部品は原点位置(初期状態)にある。図7(B)に示されるように、ビークシリンダ46を矢印(1)のように伸長して開閉ビーク(ビーク部)45を閉じる。
【0038】
図7(C)に示されるように、アームシリンダ48を矢印(2)のように伸長してプランティングチューブ42を下方に伸ばし、ビーク部43、45の先端が所定の深さとなるように土82に突き刺す。図7(D)に示されるように、ビークシリンダ46を矢印(3)のように収縮させて開閉ビーク(ビーク部)45を開く。これで土82内に植穴83が形成される。このとき、中央部分が上方に凹むように湾曲した湾曲プレート51に土82が押さえられることで、土82が植穴83側(苗木81側)に寄り易くなる。
【0039】
図8(A)に示されるように、マガジンモータ38を駆動させ駆動スプロケット36を矢印(4)のように回転させる。チェーン部35(図6参照)と共にカートリッジ34を1個分だけ移動させ、苗木81が入ったカートリッジ34を所定の位置(プランティングチューブ42の直上)に移動させる。すると、苗木81はカートリッジ34から落とされ、プランティングチューブ42に案内されて植穴83に入る。
【0040】
図8(B)に示されるように、アームシリンダ48を収縮させてプランティングチューブ42も矢印(5)のように上方に収縮させる。すると、ビーク部43、45が植穴83から上昇して離れる。
【0041】
図8(C)に示されるように、プッシュシリンダ67を矢印(6)のように複数回(例えば2回)伸縮させる。プレッシャアーム64が矢印(7)のように移動して盛り土成形部65が土を寄せて植穴83に埋め戻して押し付けると共に盛り土84を成形する。植付機30を矢印(8)のように退避させると、盛り土84に苗木81が植えられた状態となる。これで、苗木81の根と土82との間には隙間がなくなり、根がしっかり土82に固定される。
【0042】
なお、実施例では、プッシュシリンダ67の伸縮回数を2回としたが、これに限定されず、土82や盛り土84の状態、苗木81の状態に合わせてプッシュシリンダ67の伸縮回数を調整して差し支えない。また、中央部分が上方に凹むように湾曲した湾曲プレート51に土82が押さえられているので、土82が盛り土成形部65に複数回転圧されても土82が湾曲プレート51の外方に流れることなく、中央部分に集めることができる。
【0043】
次に実施例の植付機30による盛り土を成形する作用と、比較例の植付機130による土を押し固める作用について説明する。
図9(A)は実施例の植付機10による盛り土84を成形する作用図である。プレッシャアーム64が上昇位置にあり、植穴83がまだ埋まっていない。図9(B)に示されるように、プレッシャアーム64を矢印(9)のように円弧軌道で移動させることで、盛り土84が形成される。このように、4節リンク62、63で構成されたプレッシャアーム64がプッシュシリンダ67で下方に押し出されると、プレッシャアーム64の先端の盛り土成形部65が円弧軌道を描きながら根に向かい、土82を寄せつつ押し付けて隙間を埋め、根がしっかり土82に固定される。
【0044】
図9(C)に示されるように、比較例の植付機130は、植付機本体131にプッシュ機構160が設けられており、このプッシュ機構160は昇降シリンダ167に下方に真っ直ぐ延びるようにロッド164が設けられ、ロッド164の下端に押圧プレート165が設けられている。比較例の植付機130において、昇降シリンダ167を矢印(10)のように複数回伸縮させると、真っ直ぐ下方に延びるロッド164により押圧プレート165も上下方向に移動し、その直下の土82を押し固めるだけであり、植穴83が埋め戻されない。
【0045】
次に以上に述べた実施例の植付機30の作用、効果を説明する。
本発明の実施例は、植付機本体31は、移動機体10に取り付けられたベースフレーム32に設けられ苗木81を植穴83に案内するプランティングチューブ42と、プランティングチューブ42の下端部に開閉可能に設けられ土82に植穴83を形成するビーク部43、45とを備えているので、ビーク部43、45で植穴83を成形して、プランティングチューブ42で苗木81を植穴83に植えることができる。さらに、盛り土プレッシャアーム機構60は、ベースフレーム32に水平方向から見て円弧軌道を描いて移動可能に設けられたプレッシャアーム64と、プレッシャアーム64の先端部に設けられ土82を植穴83に埋め戻して押し付けると共に盛り土84を成形する盛り土成形部65とを備えているので、プレッシャアーム64の円弧運動により、周囲の土82を寄せながら苗木81根元の土中方向に押し付け、山林等であっても、苗木81の根元を盛り土84にすると共に根の周りの空気層を埋めて根と土82を密着させることができる。
【0046】
さらに、プレッシャアーム64は、植付機30の正面から見てベースフレーム32に4節リンク62、63を介して設けられているので、簡単な機構でプレッシャアーム64の先端の盛り土成形部65を円弧軌道で移動させることができる。さらに、プレッシャアーム64は、4節リンク62、63の下方の位置で植付機30の内側に曲がった形状(内湾曲部)66を備えているので、盛り土成形部65を内側に傾斜させた状態にして円弧軌道を描きながら苗木81の根に向かい土82を寄せつつ盛り土84を成形すると共に押し付けて根の周りと土82との隙間を埋め、根をしっかりと土82に固定させることができる。
【0047】
さらに、植付機本体31が移動機体10の地がきレーキ26に装着されているので、地がきレーキ26による地拵え作業直後の柔らかい場所に植栽できるので、穴あけ装置を別途設ける必要なく、植付機30のみで、苗木81の根元を盛り土84にすると共に根の周りの空気層を埋めて根と土82を密着させ、植栽することができる。
【0048】
尚、実施例では、盛り土プレッシャアーム機構60のプレッシャアーム64を植付機30の左右に一対設けたが、これに限定されず、プレッシャアーム64を、1つ、3つ、4つ、6つ設けてもよく、さらには、植付機30の左右だけでなく、植付機30の前後、斜めの位置などに設けてもよい。
【0049】
また、実施例では、植付機30を移動機体10としての建設機械に装着したが、これに限定されず、トラクターのような車両に装着してもよく、植付機30が装着できれば移動機体10の形式は問わない。
【0050】
即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の技術は、山林等の斜面に苗木を植える植付機に好適である。
【符号の説明】
【0052】
10…移動機体(建設機械、車両)、26…地がきレーキ(アタッチメント、ショベル、破砕機)、30…植付機、31…植付機本体、32…ベースフレーム、34…カートリッジ、42…プランティングチューブ、43…ビーク部(固定ビーク)、44…ビーク部(揺動部材)、45…ビーク部(開閉ビーク)、51…湾曲プレート、60…盛り土プレッシャアーム機構、62…4節リンク(上のリンク)、63…4節リンク(下のリンク)、64…プレッシャアーム、65…盛り土成形部、66…内側に曲がった形状(内湾曲部)、67…プッシュシリンダ、81…苗木、82…土、83…植穴、84…盛り土。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9