(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188637
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】生分解性プラスチック製品の製造方法及び製造システム
(51)【国際特許分類】
B09B 3/70 20220101AFI20221214BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
B09B3/00 304Z
B09B5/00 M ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096844
(22)【出願日】2021-06-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】521252841
【氏名又は名称】西日本エコロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】青木 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】青木 隆典
(72)【発明者】
【氏名】青木 宏憲
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA04
4D004AA12
4D004AC05
4D004BA07
4D004CA04
4D004CA42
4D004CA45
4D004CA50
4D004CB13
4D004CB15
4D004CB21
4D004CB50
4D004CC03
4D004CC11
(57)【要約】
【課題】任意の有機性廃棄物を原料として、通常の土壌環境で短期間に生分解される生分解性プラスチック製品の製造方法及びその製造システムを提供する。
【解決手段】有機性廃棄物を破砕・粉砕し、破砕・粉砕した有機性廃棄物に、無機処理剤及び吸水性有機物を投入して攪拌し、吸水・固化する。この固化した有機性廃棄物を乾燥し、微粒子に粉末化し、微粒子に粉末化した有機性廃棄物を、ポリ乳酸化する。そして、ポリ乳酸化された有機性廃棄物を原料として、成形装置で生分解性プラスチック製品を製造する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性プラスチック製品の製造方法であって、
有機性廃棄物を破砕・粉砕する工程と、
破砕・粉砕した有機性廃棄物に、ケイ素等の無機処理剤及び吸水性有機物を投入して攪拌し、吸水・固化する工程と、
固化した有機性廃棄物を乾燥し、微粒子に粉末化する工程と、
微粒子に粉末化した有機性廃棄物を、ポリ乳酸化する工程と、
ポリ乳酸化された有機性廃棄物を原料として、成形装置で生分解性プラスチック製品を製造する成形工程と、を備える生分解性プラスチック製品の製造方法。
【請求項2】
前記固化する工程において、所定の副資材とともに攪拌する請求項1に記載の生分解性プラスチック製品の製造方法。
【請求項3】
前記無機処理剤は、ケイ素を含んだ粉末である請求項1又は2に記載の生分解性プラスチック製品の製造方法。
【請求項4】
前記ポリ乳酸化された有機性廃棄物に、セルロースナノファイバーを混合する工程、
を含み、
ポリ乳酸化された有機性廃棄物とセルロースナノファイバーの混合物を原料として、前記成形工程において、生分解性プラスチック製品を製造する請求項1~3のいずれか一項に記載の生分解性プラスチック製品の製造方法。
【請求項5】
前記破砕・粉砕する工程前の有機性廃棄物を分別し、分別された各々の有機性廃棄物ごとに、前記破砕・粉砕する工程と、前記吸水・固化する工程を行った後、
分別された各々の固化した有機性廃棄物を混合する工程、
を含み、
前記微粒子に粉末化する工程において、前記混合する工程で混合した固化した有機性廃棄物を乾燥し、微粒子に粉末化する請求項1~4のいずれか一項に記載の生分解性プラスチック製品の製造方法。
【請求項6】
前記ポリ乳酸化する工程には、ポリ乳酸化された有機性廃棄物にセルロースを加える工程が含まれる請求項1~5のいずれか一項に記載の生分解性プラスチック製品の製造方法。
【請求項7】
前記生分解性ブラスチック製品とは、包装用プラスチック製品、ペットボトル、食品トレイ、フィルム製品、マルチフィルムである請求項1~6のいずれか一項に記載の生分解性プラスチック製品の製造方法。
【請求項8】
生分解性プラスチック製品の製造を行う製造システムであって、
有機性廃棄物を破砕・粉砕する装置と、
破砕・粉砕した有機性廃棄物に、無機処理剤及び吸水性有機物を投入し、攪拌して吸水・固化する装置と、
固化した有機性廃棄物を乾燥し、微粒子に粉末化する装置と、
微粒子に粉末化した有機性廃棄物を、ポリ乳酸化する装置と、
ポリ乳酸化された有機性廃棄物を原料として、成形装置で生分解性プラスチック製品を製造する成形装置と、
を備える生分解性プラスチック製品の製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物からなる生分解性プラスチック製品の製造方法及びその製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプラスチック製品は石油由来で、土壌・水中での分解ができず、焼却・埋め立て等の手段で処理されており、一部海中等への不法投棄もされ、環境に悪影響を及ぼしてきた。
【0003】
しかしながら、世界的な脱炭素社会が叫ばれてきた現在、我が国でもカーボンニュートラル社会の実現の一環として、プラスチック製品をバイオプラスチック及びグリーンプラスチック化した製品に切り替えつつある。
【0004】
例えば、75%以上の石油由来の原料から作られ一部をバイオプラスチック化が知られている。しかし、これらの生分解バイオプラチックは、通常の屋内環境や土壌環境での分解は一部でしかも5年以上の長期にわたり、高温多湿の特殊な環境でのみ分解されることが知られている(非特許文献1)。
【0005】
一方、製造業から排出される有機性廃棄物は、例えば、焼酎粕はメタン発酵や飼料化がされている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ナショナル・ジオグラフィック、“バイオプラスチックは環境に優しいって本当?”、2018年11月20日、[令和3年5月29日検索]、インターネット<https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/111900500/>
【0007】
【非特許文献2】食品と容器 Vol.57、2016年11月、「焼酎製造工程で発生する蒸留残渣(焼酎粕)の利活用
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ポリ乳酸樹脂(Poly Lactic Acid, PLA)は、原材料を植物のでんぷんや糖を100%用いる植物由来樹脂で、石油系原材料を一切使用しない環境に優しい合成樹脂で当社は焼酎粕(米・芋・麦・蕎麦)、おから、米糠、フスマ、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、サトウキビ等の食品廃棄物の含有する澱粉、糖分等を活用して生分解性グリーンプラ製品を製造する。
PLA(ポリ乳酸)グリーンプラスチック生分解は、分解される土壌が特殊な環境である必要はなく、一般的な通常の土壌環境でも短期間で生分解されることが望ましい。また、生分解性グリーンプラスチック製品のための原料が、焼酎粕、酒粕、トウモロコシやサトウキビ、芋類、竹等に限らず、工場等で大量に排出される有機性廃棄物(例えば、焼酎粕等)をも原料とできることが望ましい。他方例えば、焼酎粕では、メタン発酵するための機械の費用が大型化する傾向があり、高額なため、小規模の焼酎製造工場では導入することができない。
【0009】
また、従来の生分解性プラスチックは製品の一部(原料の15~25%)を生分解性バイオマスとして脱炭素化するようにしているが、石油部分が半分以上を占め、完全な生分解性ではない。
【0010】
そこで、本発明は以上のような従来存在した諸事情に鑑み創出されたもので、任意の有機物を原料として、通常の土壌環境で短期間に生分解される生分解性プラスチック製品の製造方法及びその製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明は、生分解性プラスチック製品の製造方法であって、有機性廃棄物を破砕・粉砕する工程と、含水率が高く脱水が困難なうえに破砕・粉砕等が必要な有機性廃棄物に、無機処理剤及び吸水性処理剤を投入して攪拌し、吸水・固化する工程と、固化した有機性廃棄物を乾燥し、微粒子に粉末化する工程と、微粒子に粉末化した有機性廃棄物を、ポリ乳酸化する工程と、ポリ乳酸化された有機性廃棄物を原料として、成形装置で生分解性プラスチック製品を製造する成形工程と、を備える生分解性プラスチック製品の製造方法を提供する。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記固化する工程において、所定の副資材とともに攪拌する生分解性プラスチック製品の製造方法を提供する。
【0013】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記無機処理剤は、ケイ素を含んだ粉末である生分解性プラスチック製品を提供する。
【0014】
第4の発明は、第1~第3の発明のいずれかにおいて、前記ポリ乳酸化された有機性廃棄物に、セルロースナノファイバーを混合する工程、を含み、ポリ乳酸化された有機性廃棄物とセルロースナノファイバーの混合物を原料として、前記成形工程において、生分解性プラスチック製品を製造する生分解性プラスチック製品の製造方法を提供する。
【0015】
第5の発明は、第1~第4の発明のいずれかにおいて、前記破砕・粉砕工程前の有機性廃棄物を分別し、分別された各々の有機性廃棄物ごとに、前記破砕・粉砕する工程と、前記吸水・固化する工程を行った後、分別された各々の固化した有機性廃棄物を混合する工程、を含み、前記微粒子に粉末化する工程において、前記混合する工程で混合した固化した有機性廃棄物を乾燥し、微粒子に粉末化する生分解性プラスチック製品の製造方法を提供する。
【0016】
第6の発明は、第1~第5の発明のいずれかにおいて、前記ポリ乳酸化する工程には、ポリ乳酸化された有機性廃棄物にセルロースを加える工程が含まれる生分解性プラスチック製品の製造方法を提供する。
【0017】
第7の発明は、第1~第6の発明のいずれかにおいて、前記生分解性ブラスチック製品とは、包装用プラスチック製品、ペットボトル、食品トレイ、フィルム製品、マルチフィルムである生分解性プラスチック製品の製造方法を提供する。
【0018】
第8の発明は、生分解性プラスチック製品の製造を行う製造システムであって、有機性廃棄物を破砕・粉砕する装置と、破砕・粉砕した有機性廃棄物に、無機処理剤及び吸水性有機物を投入し、攪拌して吸水・固化する装置と、固化した有機性廃棄物を乾燥し、微粒子に粉末化する装置と、微粒子に粉末化した有機性廃棄物を、ポリ乳酸化する装置と、ポリ乳酸化された有機性廃棄物を原料として、成形装置で生分解性プラスチック製品を製造する成形装置と、を備える生分解性プラスチック製品の製造システムを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、有機性廃棄物を破砕・粉砕し、破砕・粉砕した有機性廃棄物に、無機処理剤及び吸水性有機物を投入して攪拌し、吸水・固化する。この固化した有機性廃棄物を乾燥し、微粒子に粉末化し、微粒子に粉末化した有機性廃棄物を、ポリ乳酸化する。そして、ポリ乳酸化された有機性廃棄物を原料として、成形装置で生分解性プラスチック製品を製造することとした。
【0020】
このため、任意の有機物を原料として、通常の土壌環境で短期間に生分解される生分解性プラスチック製品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態による生分解性プラスチック製品の製造フローの一例を示すフローチャートである。
【
図2】前記実施形態の生分解性プラスチック製品の製造システムの全体構成を示す概念図である。
【
図3】前記実施形態で製造した包装容器の一例を示す図である。
【
図4】前記実施形態で製造したフィルム袋の一例を示す図である。
【
図5】前記実施形態の微粒子に粉末化する工程で微粉末化した微粉末の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、多様な有機性廃棄物、例えば、米・麦・芋・蕎麦等の焼酎粕、米清酒粕、おから、米糠、ビール粕、サトウキビ粕、トウモロコシ、ジャガイモ、各種穀物等の100%天然資源をポリ乳酸化(PLA)した土壌還元性生分解性プラスチック製品の製造技術である。ポリ乳酸は、原料素材の澱粉質に含まれるブドウ糖(グルコース)、糖分(スクロース)に乳酸菌を作用させると、その発酵作用で乳酸が得られる植物由来の合成プラスチックである。
【0023】
また、木・竹・紙等から得られる繊維質材料の有機性廃棄物から取り出すセルロースナノファイバー(CNF)を混合して成形する生分解性プラスチック製品の製造技術である。ポリ乳酸化(PLA)した生分解性プラスチック材料と、セルロースナノファイバー(CNF)を比例配分することにより、強度・厚みの異なる生分解性プラスチックができるため、製品(用途)に応じて比例配分を変更することで、多様な製品をつくることができる。
【0024】
本発明の技術で製造された生分解性プラスチック製品は、例えば、常温や65℃以上の高温で溶解する水溶性を備え、最終的には、農業用土壌等において、微生物により水と二酸化炭素に分解される。
【0025】
<基本的な製造方法>・・・
図1は、本発明の一実施形態の生分解性プラスチック製品の基本的な製造方法のフローチャートである。まず、有機性廃棄物を破砕・粉砕する(ステップS10)。有機性廃棄物は、米・麦・芋・蕎麦等の焼酎粕、米清酒粕、おから、米糠、ビール粕、サトウキビ粕、トウモロコシ、ジャガイモ、各種穀物等の100%天然資源である。
【0026】
次に、破砕・粉砕した有機性廃棄物に無機処理剤及び吸水性有機物を投入して攪拌し、吸水・固化する(ステップS12)。吸水は、含水率の高い焼酎粕、ビール粕で行い、無機処理剤を投入して無害化後、必要に応じて副資材と混合し、ステップS14において、固化した有機性廃棄物を乾燥し、微粒子に粉末化する。粉砕機で粉砕すると、大きさは、例えば、約40ミクロン以上となる。
【0027】
無機処理剤は、例えば、ケイ素等(珊瑚)の鉱物を含んだ粉末であって、それを水分の多い有機性廃棄物に入れて攪拌すると、粉末が水を吸収するため、それを乾燥することで固化する。ケイ素は、肥料として好適なため、製造した生分解性プラスチック製品を埋めた後に、土壌の栄養となる。例えば、焼酎は、93%が水、7%が養分と言われており、いかに水分を抜くかが重要であるが、本実施例の無機処理剤によって水分を吸収することで、乾燥・固化が可能となる。副資材は、この際に、元の原料(有機性廃棄物)に、澱粉質が足りない場合に入れるもので、例えば、米糠、おからなどである。副資材は、原料によって、澱粉質の量が異なるので、調整して加える。
【0028】
次に、ステップS14で微粒子に粉末化した有機性廃棄物をポリ乳酸(PLA)化する(ステップS16)。ポリ乳酸は、原料素材の澱粉質に含まれるブドウ糖(グルコース)、糖分(スクロース)に乳酸菌を作用させると、その発酵作用で乳酸が得られる植物由来の合成プラスチックである。
【0029】
次に、ステップS18で、ポリ乳酸(PLA)化された有機性廃棄物を原料として、成形装置で生分解性プラスチック製品を製造する。このとき、ポリ乳酸化(PLA)した生分解性プラスチック材料と、セルロースナノファイバー(CNF)を混合するステップS20を設け、混合物を原料として成形装置で生分解性プラスチック製品を成形することで、強度・厚みの異なる生分解性プラスチックができる。そのため、製品(用途)に応じて比例配分を変更することで、多様な製品をつくることができる。
【0030】
<生分解性プラスチック製品の製造システムの構成>・・・次に、
図2を参照して、本実施形態の生分解性プラスチック製品の製造システムの全体構成について説明する。
図2は、製造システムの全体構成を示す概念図である。本実施形態の製造システム100は、有機性廃棄物の無害化・無排水処理・混合・攪拌を行う一次処理工程20と、原料化工程32及び製品化工程40を含む二次処理工程30を含む。
【0031】
まず、一次処理工程20の前に、複数種類の有機性廃棄物が分別され、分別された各有機性廃棄物毎に、一次処理が行われる。例えば、有機性廃棄物10Aは、芋・米・そば等の焼酎醸造の廃液(粕)、であり、無機処理剤12を加えて攪拌することで、吸水・固化する(吸水・固化工程24A)。また、有機性廃棄物10Bは、清酒醸造、ビール製造の粕であって、無機処理剤12を加えて攪拌することで、吸水・固化する(吸水・固化工程24B)。また、有機性廃棄物10Cは、その他の有機性廃棄物(おからや米糠)であり、無機処理剤12を加えて攪拌することで、吸水・固化する(吸水・固化工程24C)。
【0032】
以上の吸水・固化工程24A~24Cにおいて、元の原料(有機性廃棄物)に、澱粉質が足りない場合には、必要に応じて、米糠、おからなどの副資材14を入れる。副資材14は、原料によって、澱粉質の量が異なるので、調整して加える。
【0033】
以上のようにして吸水・固化された有機性廃棄物は、例えば、生分解性プラスチック製品製造工場50へ運ばれ、二次処理工程30にうつる。まず、原料化工程32において、有機性廃棄物10A~10Cを乾燥し、粉末・微粒子化する(粉末・微粒子化工程34)。そして、微粒子化した有機性廃棄物をポリ乳酸(PLA)化する(ポリ乳酸化工程36)。
【0034】
また、必要に応じて、原料化工程32では、竹炭や木材等の繊維質の有機性廃棄物10Dからセルロースナノファイバー(CNF)を取り出し、ポリ乳酸(PLA)化した有機性廃棄物と混合する(セルロース+ポリ乳酸化廃棄物混合工程38)。セルロースナノファイバーは、ポリ乳酸化有機性廃棄物との配合量を変えることにより、強度や厚みの異なる多様な生分解性プラスチック製品を作ることができる。
【0035】
そして、製品化工程40にうつり、成分調整を行い(成分調整工程42)、所定の成形機で成形し(成形工程44)、完成品60の生分解性プラスチック製品を得る。なお、成形は、成形する製品に適した公知の各種の成形手法(Tダイ法、真空・圧空成形、プレス成形、ブロー成形、射出成形など)を採用することができる。
【0036】
完成品60の生分解性プラスチック製品のパターンとしては、例えば、パターンAとして、各種生分解性プラスチック製品(ペットボトル、各種生分解性レジ袋、包装用プラスチック製品)、パターンBとして、食品製造・加工業・スーパーマーケット・デパート用製品(食品包装用トレイ、使い捨て弁当箱等)、パターンCとして、各種農業用生分解性プラスチック(マルチフィルム、ポット、各種ハウスの生分解性プラスチック等)がある。
【0037】
図3には、本実施形態の製造システム100で製造した包装容器62の一例が示され、
図4には、本実施形態の製造システム100で製造したフィルム袋64の一例が示されている。
図5は、本実施形態の微粒子に粉末化する工程で微粒子化した粉末の一例を示し、微粒子66Aは、原料が芋焼酎粕であり、微粒子66Bは、原料が米焼酎粕の場合の一例である。
【0038】
<効果>・・・以上説明した実施形態によれば、有機性廃棄物を破砕・粉砕し、破砕・粉砕した有機性廃棄物に、無機処理剤及び吸水性有機物を投入して攪拌し、吸水・固化する。この固化した有機性廃棄物を乾燥し、微粒子に粉末化し、微粒子に粉末化した有機性廃棄物を、ポリ乳酸化する。そして、ポリ乳酸化された有機性廃棄物を原料として、成形装置で生分解性プラスチック製品を製造することとした。このため、任意の有機物を原料として、通常の土壌環境で短期間に生分解される生分解性プラスチック製品を製造することができる。
【0039】
なお、上述した実施形態は、一例であり、同様の効果を奏する範囲内で適宜変更が可能である。例えば、前記実施形態で示した有機性廃棄物は一例であり、例えば、海藻、食品廃棄物、清酒の米粕、砂糖きびなど、植物性の有機廃棄物全般が原料として利用可能である。また、前記実施形態では、ポリ乳酸化した有機性廃棄物に、セルロールナノファイバーを混合して成形しているが、これも一例であり、セルロースナノファイバーは、必要に応じて混合すればよく、また、混合割合も、用途に応じて適宜変更してよい。また、前記実施例で示した成形手法も一例であり、公知の各種のプラスチック成形手法が適用可能である。更に上述した製品は一例であって、多様な生分解性プラスチック製品を製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、有機性廃棄物を破砕・粉砕し、破砕・粉砕した有機性廃棄物に、無機処理剤及び吸水性有機物を投入して攪拌し、吸水・固化する。この固化した有機性廃棄物を乾燥し、微粒子に粉末化し、微粒子に粉末化した有機性廃棄物を、ポリ乳酸化する。そして、ポリ乳酸化された有機性廃棄物を原料として、成形装置で生分解性プラスチック製品を製造することとした。
【0041】
このため、任意の有機物を原料として、通常の土壌環境で短期間に生分解される生分解性プラスチック製品の製造方法及びその製造システムとして好適である。
【符号の説明】
【0042】
10A~10D:有機性廃棄物
12:処理剤
14:副資材
20:一次処理工程
22:無害化・無排水処理・混合・攪拌過程
24A~24C:吸水・固化工程
30:二次処理工程
32:原料化工程
34:粉末・微粒子化工程
36:ポリ乳酸化工程
38:ポリ乳酸化された有機性廃棄物とセルロースナノファイバーを混合する工程
40:製品化工程
42:成分調整工程
44:成形工程
50:生分解性プラスチック製品製造工場
60:完成品
62:包装容器
64:フィルム袋
66A、66B:微粉末
100:製造システム