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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018866
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】温調装置及び温調方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 23/00 20060101AFI20220120BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20220120BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
G05D23/00 A
H01L21/306 B
H01L21/304 643A
H01L21/304 648G
H01L21/304 648K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122270
(22)【出願日】2020-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下山 航平
(72)【発明者】
【氏名】前田 紘志
(72)【発明者】
【氏名】堀越 真人
(72)【発明者】
【氏名】中里 智美
【テーマコード(参考)】
5F043
5F157
5H323
【Fターム(参考)】
5F043AA01
5F043BB27
5F043EE07
5F043EE10
5F043EE28
5F043GG10
5F157AB02
5F157AB33
5F157BB22
5F157BB66
5F157CD33
5F157CE36
5F157CF04
5F157CF14
5F157CF34
5F157CF36
5F157CF38
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF62
5F157CF99
5F157DB37
5H323AA05
5H323BB01
5H323BB15
5H323CA04
5H323CB12
5H323CB23
5H323CB44
5H323DA03
5H323DA04
5H323EE01
5H323FF01
5H323KK05
5H323NN03
(57)【要約】
【課題】広い温度範囲に亘って液体の温度を高精度に調整すること。
【解決手段】温調装置は、液体の温度を調整する第1温調部と、第1温調部から供給された液体の温度を調整する第2温調部と、を備える。第1温調部は、液体の第1流路を有する第1流路モジュールと、第1流路の液体の温度を調整するベースモジュールと、を有する。第2温調部は、第1流路からの液体が流入する第2流路を有する第2流路モジュールと、第2流路の液体の温度を調整するペルチェモジュールと、を有する。ベースモジュールは、ペルチェモジュールの温度を調整する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の温度を調整する第1温調部と、
前記第1温調部から供給された液体の温度を調整する第2温調部と、を備え、
前記第1温調部は、液体の第1流路を有する第1流路モジュールと、前記第1流路の液体の温度を調整するベースモジュールと、を有し、
前記第2温調部は、前記第1流路からの液体が流入する第2流路を有する第2流路モジュールと、前記第2流路の液体の温度を調整するペルチェモジュールと、を有し、
前記ベースモジュールは、前記ペルチェモジュールの温度を調整する、
温調装置。
【請求項2】
前記ペルチェモジュールの吸熱面及び発熱面の一方の面は、前記ベースモジュールの表面の少なくとも一部に接触する、
請求項1に記載の温調装置。
【請求項3】
前記ペルチェモジュールの吸熱面及び発熱面の他方の面は、前記第2流路モジュールの表面の少なくとも一部に接触する、
請求項2に記載の温調装置。
【請求項4】
前記第1流路モジュールは、前記ベースモジュールの表面の第1領域に接触するように配置され、
前記ペルチェモジュールは、前記第1領域に隣接する前記ベースモジュールの表面の第2領域に接触するように配置される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の温調装置。
【請求項5】
前記第1領域と前記第2領域とは、第1方向に隣接し、
前記第1流路は、前記第1方向に延伸し、
前記第2流路は、前記第1方向に延伸し、
前記第1流路モジュールと前記第2流路モジュールとは、前記第1方向に配置される、
請求項4に記載の温調装置。
【請求項6】
前記ベースモジュールは、金属製のベース支持部と、前記ベース支持部の内部に配置される冷却部及び加熱部と、を含む、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の温調装置。
【請求項7】
前記第1流路モジュールは、フッ素樹脂を主成分とする合成樹脂製であり前記第1流路を有する第1チューブと、前記第1チューブの周囲に配置される金属製の第1支持部と、を含む、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の温調装置。
【請求項8】
前記第2流路モジュールは、フッ素樹脂を主成分とする合成樹脂製であり前記第2流路を有する第2チューブと、前記第2チューブの周囲に配置される金属製の第2支持部と、を含む、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の温調装置。
【請求項9】
第1流路を流通する液体の温度をベースモジュールで調整することと、
前記第1流路から供給された第2流路を流通する液体の温度をペルチェモジュールで調整することと、
前記ペルチェモジュールの温度を前記ベースモジュールで調整することと、を含む、
温調方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、温調装置及び温調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程において、温調対象の温度を調整する温調装置が使用される。特許文献1には、半導体ウエハを設定温度にする温度調整システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-134324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
温調装置にペルチェモジュールが使用される場合がある。ペルチェモジュールが調整可能な温度の分解能は、高い。ペルチェモジュールは、温調対象の温度を高精度に調整できる。一方、ペルチェモジュールが調整可能な温度範囲は、狭い。ペルチェモジュールの能力が効率的に発揮される吸熱側と放熱側との温度差は、ほぼ決まっている。そのため、ペルチェモジュールは、広い温度範囲に亘って温調対象の温度を調整することが困難となる。また、ペルチェモジュールの吸熱側と放熱側との温度差が大きくなると、ペルチェモジュールに作用する熱応力が大きくなり、ペルチェモジュールの耐久性が低下する可能性がある。ペルチェモジュールの耐久性が低下すると、ペルチェモジュールは、温調対象の高精度な温度の調整の維持が困難となる。
【0005】
本開示は、広い温度範囲に亘って液体の温度を高精度に調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、液体の温度を調整する第1温調部と、前記第1温調部から供給された液体の温度を調整する第2温調部と、を備え、前記第1温調部は、液体の第1流路を有する第1流路モジュールと、前記第1流路の液体の温度を調整するベースモジュールと、を有し、前記第2温調部は、前記第1流路からの液体が流入する第2流路を有する第2流路モジュールと、前記第2流路の液体の温度を調整するペルチェモジュールと、を有し、前記ベースモジュールは、前記ペルチェモジュールの温度を調整する、温調装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、広い温度範囲に亘って液体の温度が高精度に調整される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る洗浄システムを模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係る温調装置を示す上方からの斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る温調装置を示す側面図である。
図4図4は、実施形態に係る第1温調部を示す上方からの斜視図である。
図5図5は、実施形態に係る第2温調部を示す下方からの斜視図である。
図6図6は、実施形態に係るペルチェモジュールを示す斜視図である。
図7図7は、実施形態に係る温調装置を示す機能ブロック図である。
図8図8は、実施形態に係る温調方法を示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態に係る温調装置の性能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
実施形態においては、温調装置に3次元直交座標系を設定し、3次元直交座標系を参照しながら各部の位置関係について説明する。所定面内のX軸と平行な方向をX軸方向とする。所定面内においてX軸と直交するY軸と平行な方向をY軸方向とする。X軸及びY軸のそれぞれと直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。実施形態において、X軸方向は、第1方向に相当する。X軸及びY軸を含む平面をXY平面とする。上述の所定面は、XY平面である。Z軸は、XY平面と直交する。実施形態において、Z軸方向は、鉛直方向である。XY平面は、水平面と平行である。
【0011】
[洗浄システム]
図1は、実施形態に係る洗浄システム100を模式的に示す図である。洗浄システム100は、洗浄用の液体LQで洗浄対象である基板Wを洗浄する。基板Wとして、半導体ウエハが例示される。なお、基板Wは、例えばガラス基板でもよい。洗浄システム100は、液体LQの温度を調整する温調装置1を備える。洗浄システム100は、温調装置1で温度を調整された液体LQで基板Wを洗浄する。
【0012】
洗浄システム100は、温調装置1と、貯留槽2と、基板保持部材3と、ノズル4と、第1接続チューブ5と、ポンプ6と、第2接続チューブ7と、を備える。
【0013】
貯留槽2は、液体LQを収容する。基板保持部材3は、基板Wを保持する。ノズル4は、温調装置1で温度を調整された液体LQを基板Wに供給する。第1接続チューブ5は、貯留槽2と温調装置1とを接続する。ポンプ6は、第1接続チューブ5に配置される。第2接続チューブ7は、温調装置1とノズル4とを接続する。ポンプ6が駆動することにより、貯留槽2の液体LQの少なくとも一部は、第1接続チューブ5を介して温調装置1に供給される。温調装置1は、第1接続チューブ5を介して貯留槽2から供給された液体LQの温度を調整する。温調装置1で温度を調整された液体LQは、第2接続チューブ7を介してノズル4に供給される。ノズル4は、基板Wに液体LQを供給する。基板Wに液体LQが供給されることにより、基板Wが洗浄される。
【0014】
[温調装置]
図2は、実施形態に係る温調装置1を示す上方からの斜視図である。図3は、実施形態に係る温調装置1を示す側面図である。
【0015】
図2及び図3に示すように、温調装置1は、第1温調部8と、第2温調部9と、第1温度センサ50と、第2温度センサ60と、備える。
【0016】
第1温調部8は、第1接続チューブ5から供給された液体LQの温度を調整する。第1温調部8は、所謂、ラフ温調部である。第1温調部8で温度を調整された液体LQは、第2温調部9に供給される。
【0017】
第2温調部9は、第1温調部8から供給された液体LQの温度を調整する。第2温調部9は、所謂、ファイン温調部である。第2温調部9は、第1温調部8よりも液体LQの温度を高精度に調整できる。第2温調部9で温度を調整された液体LQは、第2接続チューブ7を介してノズル4に供給される。
【0018】
<第1温調部>
図4は、実施形態に係る第1温調部8を示す上方からの斜視図である。図2図3、及び図4に示すように、第1温調部8は、液体LQの第1流路11を有する第1流路モジュール10と、第1流路11の液体LQの温度を調整するベースモジュール20と、を有する。
【0019】
第1流路モジュール10は、第1流路11を有する第1チューブ12と、第1チューブ12の周囲に配置される第1支持部13と、を含む。
【0020】
第1チューブ12は、フッ素樹脂を主成分とする合成樹脂製である。実施形態において、第1チューブ12は、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA:perfluoroalkoxy alkane)製である。なお、第1チューブ12は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)製又はポリフッ化ビニリデン(PVDF:polyvinylidene difluoride)でもよい。第1流路11は、第1チューブ12の内部流路である。
【0021】
第1チューブ12は、第1接続チューブ5に接続される。第1接続チューブ5の内部流路からの液体LQは、第1流路11に流入する。液体LQは、第1接続チューブ5の内部流路から第1流路11に供給される。
【0022】
第1支持部13は、金属製である。第1支持部13は、ブロック状の金属部材である。実施形態において、第1支持部13は、銅(Cu)製である。なお、第1支持部13は、アルミニウム(Al)製でもよい。第1支持部13の外形は、直方体状である。第1支持部13の表面は、+X方向を向く前面13Aと、-X方向を向く後面13Bと、+Y方向を向く左面13Cと、-Y方向を向く右面13Dと、+Z方向を向く上面13Eと、-Z方向を向く下面13Fと、を含む。
【0023】
第1支持部13は、第1チューブ12が配置される孔14を有する。孔14は、第1支持部13の内部に形成される。孔14は、第1支持部13の前面13Aと後面13Bとを貫くように形成される。第1チューブ12は、ストレート状である。孔14の内面は、第1チューブ12の外面に接触する。第1流路11は、X軸方向(第1方向)に延伸する。
【0024】
ベースモジュール20は、ベース支持部21と、ベース支持部21の内部に配置される冷却部22及び加熱部23と、を含む。
【0025】
ベース支持部21は、金属製である。ベース支持部21は、プレート状の金属部材である。実施形態において、ベース支持部21は、銅(Cu)製である。なお、ベース支持部21は、アルミニウム(Al)製でもよい。ベース支持部21の外形は、直方体状である。ベース支持部21の表面は、+X方向を向く前面21Aと、-X方向を向く後面21Bと、+Y方向を向く左面21Cと、-Y方向を向く右面21Dと、+Z方向を向く上面21Eと、-Z方向を向く下面21Fと、を含む。
【0026】
冷却部22は、第1流路11の液体LQを冷却する。実施形態において、冷却部22は、ベース支持部21の内部に配置される冷媒チューブ24を含む。ベース支持部21は、冷媒チューブ24が配置される孔25を有する。孔25は、ベース支持部21の内部において屈曲するように形成される。孔25の内面は、冷媒チューブ24の外面に接触する。冷媒チューブ24は、複数の屈曲部と、屈曲部に接続される複数のストレート部とを含む。ベースモジュール20は、冷媒チューブ24に冷媒を供給する冷媒供給装置26を含む。冷媒として、水、エチレングリコール、又はフロリナート(商品名)が例示される。冷媒供給装置26は、冷媒チューブ24の流入口24Aに接続される。流入口24Aは、ベース支持部21の前面21Aに配置される。冷媒供給装置26から送出された冷媒は、流入口24Aを介して冷媒チューブ24の内部流路に流入する。冷媒チューブ24の内部流路を流通した冷媒は、冷媒チューブ24の流出口24Bから流出する。流出口24Bは、ベース支持部21の前面21Aに配置される。流出口24Bから流出した冷媒は、冷媒供給装置26に戻される。
【0027】
加熱部23は、第1流路11の液体LQを加熱する。実施形態において、加熱部23は、ベース支持部21の内部に配置されるカートリッジヒータ27を含む。ベース支持部21は、カートリッジヒータ27が配置される孔28を有する。孔28は、ベース支持部21の-X側の端面から+X方向に延伸するように形成される。孔28の内面は、カートリッジヒータ27の外面に接触する。
【0028】
<第2温調部>
図5は、実施形態に係る第2温調部9を示す下方からの斜視図である。図2図3、及び図5に示すように、第2温調部9は、液体LQの第2流路31を有する第2流路モジュール30と、第2流路31の液体LQの温度を調整するペルチェモジュール40と、を有する。
【0029】
第2流路モジュール30は、第2流路31を有する第2チューブ32と、第2チューブ32の周囲に配置される第2支持部33と、を含む。
【0030】
第2チューブ32は、フッ素樹脂を主成分とする合成樹脂製である。実施形態において、第2チューブ32は、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA:perfluoroalkoxy alkane)製である。なお、第2チューブ32は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)製又はポリフッ化ビニリデン(PVDF:polyvinylidene difluoride)でもよい。第2流路31は、第2チューブ32の内部流路である。
【0031】
第2チューブ32は、第1チューブ12に接続される。第1流路11からの液体LQは、第2流路31に流入する。液体LQは、第1流路11から第2流路31に供給される。
【0032】
第2チューブ32は、第2接続チューブ7に接続される。第2流路31からの液体LQは、第2接続チューブ7の内部流路に流入する。液体LQは、第2流路31から第2接続チューブ7の内部流路に供給される。
【0033】
第2支持部33は、金属製である。第2支持部33は、ブロック状の金属部材である。実施形態において、第2支持部33は、銅(Cu)製である。なお、第2支持部33は、アルミニウム(Al)製でもよい。第2支持部33の外形は、直方体状である。第2支持部33の表面は、+X方向を向く前面33Aと、-X方向を向く後面33Bと、+Y方向を向く左面33Cと、-Y方向を向く右面33Dと、+Z方向を向く上面33Eと、-Z方向を向く下面33Fと、を含む。
【0034】
第2支持部33は、第2チューブ32が配置される孔34を有する。孔34は、第2支持部33の内部に形成される。孔34は、第2支持部33の前面33Aと後面33Bとを貫くように形成される。第2チューブ32は、ストレート状である。孔34の内面は、第2チューブ32の外面に接触する。第2流路31は、X軸方向(第1方向)に延伸する。
【0035】
図6は、実施形態に係るペルチェモジュール40を示す斜視図である。図6に示すように、ペルチェモジュール40は、第1基板41及び第2基板42と、第1電極43及び第2電極44と、第1電極43と第2電極44との間に配置される熱電素子45及び熱電素子46とを備える。
【0036】
第1基板41及び第2基板42のそれぞれは、電気絶縁材料により形成される。実施形態において、第1基板41及び第2基板42のそれぞれは、セラミック基板である。第1基板41及び第2基板42のそれぞれは、酸化物セラミック又は窒化物セラミックによって形成される。酸化物セラミックとして、酸化アルミニウム(Al)又は酸化ジルコニウム(ZrO)が例示される。窒化物セラミックとして、窒化珪素(Si)又は窒化アルミニウム(AlN)が例示される。
【0037】
第1基板41の表面は、+Z方向の向く上面41Eと、-Z方向を向く下面41Fと、を含む。第2基板42の表面は、+Z方向の向く上面42Eと、-Z方向を向く下面42Fと、を含む。第1基板41は、第2基板42よりも-Z側に配置される。第1基板41の上面41Eと第2基板42の下面42Fとは、間隙を介して対向する。
【0038】
第1電極43は、第1基板41の上面41Eに配置される。第2電極44は、第2基板42の下面42Fに配置される。第1電極43は、第1基板41の上面41Eと平行なXY平面内において複数配置される。第2電極44は、第2基板42の下面42Fと平行なXY平面内において複数配置される。
【0039】
熱電素子45及び熱電素子46のそれぞれは、熱電材料により形成される。熱電素子45は、p型熱電半導体素子である。熱電素子46は、n型熱電半導体素子である。熱電素子45及び熱電素子46のそれぞれは、XY平面内において複数配置される。X軸方向において、熱電素子45と熱電素子46とは交互に配置される。Y軸方向において、熱電素子45と熱電素子46とは交互に配置される。
【0040】
第1電極43は、隣接する一対の熱電素子45及び熱電素子46のそれぞれに接続される。第2電極44は、隣接する一対の熱電素子45及び熱電素子46のそれぞれに接続される。熱電素子45の下面及び熱電素子46の下面のそれぞれは、第1電極43に接続される。熱電素子45の上面及び熱電素子46の上面のそれぞれは、第2電極44に接続される。
【0041】
熱電素子45及び熱電素子46が第1電極43又は第2電極44を介して電気的に接続されることにより、pn素子対が構成される。複数のpn素子対が第2電極44又は第1電極43を介して直列に接続されることにより、直列回路が構成される。直列回路の一端部の熱電素子46に第2電極44を介してリード線47が接続される。直列回路の他端部の熱電素子45に第2電極44を介してリード線48が接続される。ペルチェモジュール40は、第1電極43と第2電極44との間に電位差を与える電源装置49を含む。リード線47及びリード線48のそれぞれは、電源装置49に接続される。
【0042】
第1電極43と第2電極44との間に電位差が与えられることにより、ペルチェモジュール40は、ペルチェ効果により吸熱又は発熱する。第1電極43と第2電極44との間に電位差が与えられると、熱電素子45及び熱電素子46において電荷が移動し、電流が流れる。電荷が移動することにより、熱電素子45及び熱電素子46においてにおいて熱が移動する。これにより、ペルチェモジュール40は、吸熱又は発熱する。
【0043】
第1基板41の下面41Fは、ペルチェモジュール40の吸熱面及び発熱面の一方の面として機能する。第2基板42の上面42Eは、ペルチェモジュール40の吸熱面及び発熱面の他方の面として機能する。
【0044】
<第1温調部と第2温調部との関係>
ペルチェモジュール40の第1基板41の下面41Fは、ベースモジュール20の表面の少なくとも一部に接触する。実施形態において、第1基板41の下面41Fは、ベース支持部21の上面21Eに接触する。
【0045】
ペルチェモジュール40の第2基板42の上面42Eは、第2流路モジュール30の表面の少なくとも一部に接触する。実施形態において、第2基板42の上面42Eは、第2支持部33の下面33Fに接触する。
【0046】
第1流路モジュール10は、ベースモジュール20の表面の少なくとも一部に接触するように配置される。実施形態において、第1支持部13の下面13Fが、ベース支持部21の上面21Eの少なくとも一部に接触する。第1流路モジュール10は、ベースモジュール20の上面21Eの第1領域81に接触するように配置される。
【0047】
ペルチェモジュール40は、ベースモジュール20の表面の少なくとも一部に接触するように配置される。実施形態において、第1基板41の下面41Fが、ベース支持部21の上面21Eの少なくとも一部に接触する。ペルチェモジュール40は、第1領域81に隣接するベースモジュール20の上面21Eの第2領域82に接触するように配置される。
【0048】
第1流路モジュール10が配置される第1領域81とペルチェモジュール40が配置される第2領域82とは、X軸方向(第1方向)に隣接する。第1流路モジュール10とペルチェモジュール40とは、X軸方向(第1方向)に配置される。第1流路モジュール10と第2流路モジュール30とは、X軸方向(第1方向)に配置される。ペルチェモジュール40は、第1流路モジュール10よりも+X側に配置される。第2流路モジュール30は、第1流路モジュール10よりも+X側に配置される。
【0049】
第1流路モジュール10は、ベースモジュール20よりも+Z側に配置される。ペルチェモジュール40は、第1流路モジュール10よりも+X側において、ベースモジュール20よりも+Z側に配置される。第2流路モジュール30は、ペルチェモジュール40よりも+Z側に配置される。第1支持部13の前面13Aと第2支持部33の後面33Bとは、対向する。第1支持部13の前面13Aと第2支持部33の後面33Bとは、接触してもよいし、離れてもよい。
【0050】
<第1温度センサ>
第1温度センサ50は、第1温調部8により温度を調整された液体LQの温度を検出する。第1温度センサ50は、第1流路11の流出口と第2流路31の流入口との間に配置される。第1温度センサ50は、所謂、第1温調部8の液体LQの出口温度を検出する。
【0051】
<第2温度センサ>
第2温度センサ60は、第2温調部9により温度を調整された液体LQの温度を検出する。第2温度センサ60は、第2流路31の流出口と第2接続チューブ7の内部流路の流入口との間に配置される。第2温度センサ60は、所謂、第2温調部9の液体LQの出口温度を検出する。
【0052】
<制御部>
図7は、実施形態に係る温調装置1を示す機能ブロック図である。温調装置1は、制御部70を有する。制御部70は、コンピュータシステムを含む。制御部70は、第1温調部8及び第2温調部9を制御する。
【0053】
第1温調部8を制御することは、ベースモジュール20を制御することを含む。ベースモジュール20を制御することは、冷却部22及び加熱部23の少なくとも一方を制御することを含む。
【0054】
第2温調部9を制御することは、ペルチェモジュール40を制御することを含む。ペルチェモジュール40を制御することは、電源装置49を制御することを含む。電源装置49を制御することは、熱電素子45及び熱電素子46を流れる電流の値及び電流の向きを制御することを含む。
【0055】
制御部70は、第1温度センサ50の検出データに基づいて、第1温調部8を制御する。制御部70は、第2温度センサ60の検出データに基づいて、第2温調部9を制御する。第1温調部8は、第1流路11を流通する液体LQの温度を調整する。第2温調部9は、第2流路31を流通する液体LQの温度を調整する。
【0056】
制御部70は、第1検出データ取得部71と、第2検出データ取得部72と、第1温調制御部73と、第2温調制御部74と、目標温度設定部75と、を有する。
【0057】
第1検出データ取得部71は、第1温度センサ50の検出データを取得する。第2検出データ取得部72は、第2温度センサ60の検出データを取得する。第1温調制御部73は、第1検出データ取得部71により取得された第1温度センサ50の検出データに基づいて、第1温調部8を制御する制御指令を出力する。第2温調制御部74は、第2検出データ取得部72により取得された第2温度センサ60の検出データに基づいて、第2温調部9を制御する制御指令を出力する。目標温度設定部75は、ノズル4に供給される液体LQの目標温度を設定する。
【0058】
第1温調制御部73は、第1温度センサ50の検出データに基づいて、第1温調部8の液体LQの出口温度が目標温度になるように、第1温調部8を制御する。第1温調制御部73は、液体LQの冷却する場合、冷媒供給装置26に制御指令を出力して、冷媒供給装置26から冷媒チューブ24に供給される冷媒の温度及び流量の少なくとも一方を制御する。第1流路11を流通する液体LQは、ベースモジュール20により冷却される。第1温調制御部73は、液体LQの加熱する場合、カートリッジヒータ27に制御指令を出力して、カートリッジヒータ27の温度を制御する。第1流路11を流通する液体LQは、ベースモジュール20により加熱される。
【0059】
第2温調制御部74は、第2温度センサ60の検出データに基づいて、第2温調部9の液体LQの出口温度が目標温度になるように、第2温調部9を制御する。第2温調制御部74は、液体LQを冷却する場合、第1基板41が発熱し第2基板42が吸熱するように、電源装置49に制御指令を出力する。電源装置49は、ペルチェモジュール40の第1基板41が発熱し第2基板42が吸熱するように、第1電極43と第2電極44との間に電位差を与えて、熱電素子45及び熱電素子46に電流を流す。第2流路31を流通する液体LQは、ペルチェモジュール40により冷却される。第2温調制御部74は、液体LQを加熱する場合、第1基板41が吸熱し第2基板42が発熱するように、電源装置49に制御指令を出力する。電源装置49は、ペルチェモジュール40の第1基板41が吸熱し第2基板42が発熱するように、第1電極43と第2電極44との間に電位差を与えて、熱電素子45及び熱電素子46に電流を流す。第2流路31を流通する液体LQは、ペルチェモジュール40により加熱される。
【0060】
[温調方法]
図8は、実施形態に係る温調方法を示すフローチャートである。目標温度設定部75により液体LQの目標温度が設定される(ステップS1)。
【0061】
ポンプ6が駆動することにより、貯留槽2の液体LQが第1接続チューブ5の内部流路を介して温調装置1に供給される。第1接続チューブ5の内部流路を流通した液体LQは、第1温調部8の第1流路11に流入する。第1流路11を流通した液体LQは、第2温調部9の第2流路31に流入する。第2流路31を流通した液体LQは、第2接続チューブ7の内部流路を介してノズル4に供給される。
【0062】
第1温調部8の液体LQの出口温度が第1温度センサ50により検出される。第1温度センサ50の検出データは、制御部70に出力される。第1検出データ取得部71は、第1温度センサ50の検出データを取得する(ステップS2)。
【0063】
第1温調制御部73は、第1温度センサ50の検出データに基づいて、第1温調部8の液体LQの出口温度が目標温度になるように、ベースモジュール20に制御指令を出力する(ステップS3)。
【0064】
ベースモジュール20に制御指令が出力されることにより、第1流路11を流通する液体LQの温度がベースモジュール20で調整される。ベースモジュール20で温度を調整された液体LQは、第1流路11から第2温調部9の第2流路31に供給される。
【0065】
第2温調部9の液体LQの出口温度が第2温度センサ60により検出される。第2温度センサ60の検出データは、制御部70に出力される。第2検出データ取得部72は、第2温度センサ60の検出データを取得する(ステップS4)。
【0066】
第2温調制御部74は、第2温度センサ60の検出データに基づいて、第2温調部9の液体LQの出口温度が目標温度になるように、ペルチェモジュール40に制御指令を出力する(ステップS5)。
【0067】
第1温調制御部73は、液体LQの温度を調整する処理を終了するか否かを判定する(ステップS6)。
【0068】
ステップS6において、液体LQの温度を調整する処理を終了しないと判定した場合(ステップS6:No)、第1温調制御部73は、ステップS2の処理に戻る。ステップS6において、液体LQの温度を調整する処理を終了すると判定した場合(ステップS6:Yes)、第1温調制御部73は、液体LQの温度を調整する処理を終了する。
【0069】
ペルチェモジュール40に制御指令が出力されることにより、第2流路31を流通する液体LQの温度がペルチェモジュール40で調整される。ペルチェモジュール40で温度を調整された液体LQは、第2接続チューブ7の内部流路を介してノズル4に供給される。ノズル4に供給された液体LQは、基板保持部材3に保持されている基板Wに供給される。基板Wは、温調装置1により温度を調整された液体LQで洗浄される。
【0070】
液体LQの温度の調整において、第1温調部8のベースモジュール20は、ペルチェモジュール40の温度を調整する。ベースモジュール20は、第1流路モジュール10の液体LQの温度の調整と並行して、ペルチェモジュール40の温度を調整する。ペルチェモジュール40の下面41Fは、ベースモジュール20の上面21Eに接触する。ベースモジュール20の温度が調整されることにより、ペルチェモジュール40の下面41Fの温度が調整される。
【0071】
第1温調制御部73は、第1流路モジュール10の液体LQが目標温度になるように、ベースモジュール20を制御する。すなわち、第1温調制御部73は、ベースモジュール20の上面21Eが液体LQの目標温度に近付くように、ベースモジュール20の冷却部22及び加熱部23の少なくとも一方を制御する。これにより、ペルチェモジュール40の下面41Fの温度と液体LQの目標温度との差が小さくなる。すなわち、ペルチェモジュール40の下面41Fの温度は、液体LQの目標温度に近付く。
【0072】
第2温調制御部74は、ペルチェモジュール40の下面41Fの温度が液体LQの目標温度に近付けられた状態で、第2流路モジュール30の液体LQが目標温度になるように、ペルチェモジュール40を制御する。これにより、ペルチェモジュール40は、第2流路モジュール30の液体LQの温度を高精度に調整することができる。
【0073】
ペルチェモジュール40が調整可能な温度範囲は、狭い。ペルチェモジュール40は、低温度範囲においては液体LQの温度を高精度に調整できるものの、例えば130℃を超える高温度範囲においては液体LQの温度を高精度に調整することが困難となる。例えば液体LQの目標温度が140℃である場合、ペルチェモジュール40のみでは、液体LQを目標温度に調整することが困難となる。
【0074】
実施形態においては、ベースモジュール20により、ペルチェモジュール40の下面41Fの温度が液体LQの目標温度に近付けられる。これにより、ペルチェモジュール40は、液体LQの目標温度が130℃を超える高温度範囲においても、液体LQの温度を高精度に調整することができる。また、ペルチェモジュール40に温度の外乱が入力された場合においても、ベースモジュール20でペルチェモジュール40の温度が調整されているので、第2温調部9は、液体LQの温度を高精度に調整することができる。
【0075】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、第1流路モジュール10の液体LQの温度がベースモジュール20で調整される。第2流路モジュール30の液体LQの温度がペルチェモジュール40で調整される。ベースモジュール20は、第1流路モジュール10の液体LQの温度の調整と並行して、ペルチェモジュール40の温度を調整する。ペルチェモジュール40は、下面41Fの温度が液体LQの目標温度に近付けられた状態で、第2流路モジュール30の液体LQの温度を調整する。したがって、温調装置1は、広い温度範囲に亘って液体LQの温度を高精度に調整できる。また、ベースモジュール20によりペルチェモジュール40の温度が調整されることより、ペルチェモジュール40は、ベースモジュール20に接触する下面41Fと第2流路モジュール30に接触する上面42Eとの温度差を小さい値に維持された状態で、液体LQの温度を調整することができる。そのため、ペルチェモジュール40に作用する熱応力は、小さくなる。これにより、ペルチェモジュール40の耐久性は、ベースモジュール20によるペルチェモジュール40の温度の調整がない場合と比較して向上する。
【0076】
図9は、実施形態に係る温調装置1の性能を示す図である。図9に示すように、実施形態に係る温調装置1は、例えば-40℃以上+170℃以下の広い温度範囲に亘って液体LQの温度を調整できる。また、ペルチェモジュール40を有する第2温調部9が調整可能な温度の分解能は高く、±0.1℃である。第1温調部8が調整可能な温度の分解能は、±1℃である。ベースモジュール20により、ペルチェモジュール40の下面41Fの温度は、-20℃以上+150℃以下の範囲で調整される。ペルチェモジュール40の下面41Fと上面42Eとの温度差が20℃以下に抑えられるので、ペルチェモジュール40の耐久性の低下が抑制される。また、実施形態に係る温調装置1は、液体LQの加熱及び冷却の両方を実施可能である。図9に示す従来例は、特開2001-134324号公報に開示されている温度調整システムの性能を示す。図9に示すように、実施形態に係る温調装置1は、従来例に比べて、広い温度範囲に亘って、液体LQの温度を高精度に調整できることが分かる。
【0077】
ペルチェモジュール40の下面41Fは、ベースモジュール20の上面21Eの少なくとも一部に接触する。これにより、ベースモジュール20の上面21Eとペルチェモジュール40の下面41Fとの間において熱が円滑に移動する。ベースモジュール20は、ペルチェモジュール40の温度を円滑に調整できる。
【0078】
ペルチェモジュール40の上面42Eは、第2流路モジュール30の下面33Fの少なくとも一部に接触する。これにより、ペルチェモジュール40の上面42Eと第2流路モジュール30の下面33Fとの間において熱が円滑に移動する。ペルチェモジュール40は、第2流路モジュール30の液体LQの温度を円滑に調整できる。
【0079】
第1流路モジュール10は、ベースモジュール20の上面21Eの第1領域81に接触するように配置される。ペルチェモジュール40は、第1領域81に隣接するベースモジュール20の上面21Eの第2領域82に接触するように配置される。これにより、温調装置1の大型化が抑制される。
【0080】
第1領域81と第2領域82とは、X軸方向(第1方向)に隣接する。第1流路11は、X軸方向(第1方向)に延伸する。第2流路31は、X軸方向(第1方向)に延伸する。第1流路モジュール10と第2流路モジュール30とは、X軸方向(第1方向)に配置される。これにより、第1流路11と第2流路31とは、ストレート状になる。したがって、第1流路11及び第2流路31を流通する液体LQの圧力損失の増加が抑制される。また、温調装置1の大型化が抑制される。
【0081】
ベースモジュール20は、金属製のベース支持部21と、ベース支持部21の内部に配置される冷却部22及び加熱部23と、を含む。冷却部22及び加熱部23がベース支持部21の内部に配置されるので、冷却部22及び加熱部23の少なくとも一方により、ベース支持部21の上面21Eの温度が調整される。ベース支持部21は、熱伝導率が高い金属製なので、冷却部22及び加熱部23の少なくとも一方の熱は、ベース支持部21の上面21Eに円滑に伝達される。
【0082】
実施形態において、ベース支持部21は、冷媒チューブ24が配置される孔25を有する。孔25の内面は、冷媒チューブ24の外面に接触する。すなわち、ベース支持部21は、所謂、中実材である。これにより、冷媒チューブ24の冷媒の熱は、金属製のベース支持部21を介してベース支持部21の上面21Eに円滑に伝達される。同様に、ベース支持部21は、カートリッジヒータ27が配置される孔28を有する。孔28の内面は、カートリッジヒータ27の外面に接触する。これにより、カートリッジヒータ27の熱は、金属製のベース支持部21を介してベース支持部21の上面21Eに円滑に伝達される。
【0083】
第1流路モジュール10は、フッ素樹脂を主成分とする合成樹脂製であり第1流路11を有する第1チューブ12と、第1チューブ12の周囲に配置される金属製の第1支持部13と、を含む。第1チューブ12がフッ素樹脂を主成分とする合成樹脂製なので、第1流路11を流通する液体LQの汚染が抑制される。また、第1支持部13は、熱伝導率が高い金属製なので、ベースモジュール20の熱は、第1流路11の液体LQに円滑に伝達される。
【0084】
実施形態において、第1支持部13は、第1チューブ12が配置される孔14を有する。孔14の内面は、第1チューブ12の外面に接触する。すなわち、第1支持部13は、所謂、中実材である。これにより、ベースモジュール20の熱は、金属製の第1支持部13を介して第1流路11の液体LQに円滑で伝達される。
【0085】
第2流路モジュール30は、フッ素樹脂を主成分とする合成樹脂製であり第2流路31を有する第2チューブ32と、第2チューブ32の周囲に配置される金属製の第2支持部33と、を含む。第2チューブ32がフッ素樹脂を主成分とする合成樹脂製なので、第2流路31を流通する液体LQの汚染が抑制される。また、第2支持部33は、熱伝導率が高い金属製なので、ペルチェモジュール40の熱は、第2流路31の液体LQに円滑に伝達される。
【0086】
実施形態において、第2支持部33は、第2チューブ32が配置される孔34を有する。孔34の内面は、第2チューブ32の外面に接触する。すなわち、第2支持部33は、所謂、中実材である。これにより、ペルチェモジュール40の熱は、金属製の第2支持部33を介して第2流路31の液体LQに円滑に伝達される。
【0087】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、孔14の内面は、第1チューブ12の外面に接触することとした。すなわち、第1支持部13は、中実材であることとした。孔14の内面は、第1チューブ12の外面から離れていてもよい。すなわち、第1支持部13は、中空材でもよい。第1支持部13が中空材である場合、ベースモジュール20の熱は、孔14の内面に伝達された後、輻射熱により第1チューブ12に伝わる。同様に、第2支持部33は、中空材でもよい。ベース支持部21は、中空材でもよい。
【0088】
上述の実施形態において、第1温調部8の第1支持部13とベース支持部21とは、別々の部材であることとした。第1支持部13とベース支持部21とは、一体(単一部材)でもよい。
【0089】
上述の実施形態において、冷却部22は、冷媒が流通する冷媒チューブ24を含むこととした。冷却部22は、第1流路11を流通する液体LQを冷却でき、ペルチェモジュール40を冷却できればよく、冷媒チューブ24に限定されない。
【0090】
上述の実施形態において、加熱部23は、カートリッジヒータ27を含むこととした。加熱部23は、第1流路11を流通する液体LQを加熱でき、ペルチェモジュール40を加熱できればよく、カートリッジヒータ27に限定されない。加熱部23は、例えば熱媒が流通する熱媒チューブを含んでもよい。
【0091】
上述の実施形態において、第2支持部33は、金属製であることとした。第2支持部33は、フッ素樹脂を主成分とする合成樹脂製でもよい。第2支持部33は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)製でもよい。
【0092】
上述の実施形態において、第1流路11と第2流路31とはストレート状に接続されることとした。第1流路11と第2流路31との間に曲折部が存在してもよい。
【0093】
上述の実施形態においては、第1温調部8がベース支持部21を有することとした。ベース支持部21は、省略されてもよい。冷媒及び熱媒の少なくとも一方が流通する温調用チューブの一部が第1チューブ12に巻きつけられ、温調用チューブの別の一部がペルチェモジュール40に接触してもよい。
【0094】
上述の実施形態において、液体LQは、純水でもよいし薬液でもよい。薬液として、硫酸過水(HSO、H)、アンモニア過水(NHOH、H、HO)、塩酸過水(HCl、H、HO)、及びその他の有機薬液が例示される。
【0095】
上述の実施形態において、温調装置1が洗浄システム100に使用されることとした。温調装置1は、例えばエッチング装置に使用されてもよい。温調装置1は、半導体製造装置の少なくとも一部の温度又は半導体デバイスの製造に使用される液体又は気体の温度の調整のために使用される。液体として、ガルデン(登録商標)又はフロリナート(商品名)等のブラインが例示される。
【0096】
上述の実施形態において、温調装置1は、液体LQの温度を調整することとした。温調装置1は、気体の温度を調整してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…温調装置、2…貯留槽、3…基板保持部材、4…ノズル、5…第1接続チューブ、6…ポンプ、7…第2接続チューブ、8…第1温調部、9…第2温調部、10…第1流路モジュール、11…第1流路、12…第1チューブ、13…第1支持部、13A…前面、13B…後面、13C…左面、13D…右面、13E…上面、13F…下面、14…孔、20…ベースモジュール、21…ベース支持部、21A…前面、21B…後面、21C…左面、21D…右面、21E…上面、21F…下面、22…冷却部、23…加熱部、24…冷媒チューブ、24A…流入口、24B…流出口、25…孔、26…冷媒供給装置、27…カートリッジヒータ、28…孔、30…第2流路モジュール、31…第2流路、32…第2チューブ、33…第2支持部、33A…前面、33B…後面、33C…左面、33D…右面、33E…上面、33F…下面、34…孔、40…ペルチェモジュール、41…第1基板、41E…上面、41F…下面、42…第2基板、42E…上面、42F…下面、43…第1電極、44…第2電極、45…熱電素子、46…熱電素子、47…リード線、48…リード線、49…電源装置、50…第1温度センサ、60…第2温度センサ、70…制御部、71…第1検出データ取得部、72…第2検出データ取得部、73…第1温調制御部、74…第2温調制御部、75…目標温度設定部、81…第1領域、82…第2領域、100…洗浄システム、LQ…液体、W…基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9