(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188665
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】固定部材を備えた電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/531 20210101AFI20221214BHJP
H01M 50/534 20210101ALI20221214BHJP
H01M 50/449 20210101ALI20221214BHJP
H01M 50/426 20210101ALI20221214BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20221214BHJP
H01M 50/474 20210101ALI20221214BHJP
H01M 50/486 20210101ALI20221214BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20221214BHJP
H01M 50/176 20210101ALI20221214BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20221214BHJP
H01M 10/0587 20100101ALN20221214BHJP
【FI】
H01M50/531
H01M50/534
H01M50/449
H01M50/426
H01M10/04 W
H01M50/474
H01M50/486
H01M50/55 101
H01M50/176
H01G11/78
H01M10/0587
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096885
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】脇元 亮一
(72)【発明者】
【氏名】今西 裕明
(72)【発明者】
【氏名】川端 剛史
(72)【発明者】
【氏名】木村 毅典
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H021
5H028
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA10
5E078AB02
5E078HA05
5E078HA21
5E078HA22
5H011AA09
5H011EE04
5H011FF04
5H011GG02
5H011HH02
5H021AA02
5H021CC04
5H021CC18
5H021EE02
5H021EE03
5H021EE10
5H021HH00
5H021HH10
5H028AA05
5H028AA08
5H028CC05
5H028CC13
5H028EE01
5H028EE06
5H028HH00
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AM03
5H029AM07
5H029AM11
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029DJ04
5H029DJ05
5H029EJ01
5H029EJ12
5H029HJ00
5H029HJ12
5H043AA13
5H043AA19
5H043BA01
5H043BA11
5H043BA16
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA12
5H043DA10
5H043EA07
5H043EA32
5H043EA35
5H043HA02E
5H043HA06
5H043HA06D
5H043HA06E
5H043HA08D
5H043HA08E
5H043HA16E
5H043HA17E
5H043JA02D
5H043JA06E
5H043JA07E
5H043JA09E
5H043JA13E
5H043JA15
5H043JA22D
5H043KA08D
5H043KA08E
5H043KA09D
5H043KA09E
5H043KA22E
5H043KA24E
5H043KA27E
5H043KA28E
5H043LA21E
(57)【要約】
【課題】電極タブ群の損傷が好適に防止された電池を提供すること。
【解決手段】ここに開示される電池100は、正極22および負極24を含み、一対の矩形状の平坦外面27を有する扁平六面体形状の電極体20a(第1電極体)、20b、20c(第2電極体)と、これらを収容する電池ケース10とを備える。ここで、電極体20a、20cにおける、少なくとも一対の平坦外面27のうち一方の平坦外面27から、正極集電部50または負極集電部60にかけて、固定部材1が配置されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極および負極を含み、一対の矩形状の平坦外面を有する扁平六面体形状の第1電極体と、前記第1電極体を収容する電池ケースと、を備えた電池であって、
前記電池ケースは、底壁と、前記底壁から延び相互に対向する一対の第1側壁と、前記底壁から延び相互に対向する一対の第2側壁と、前記底壁に対向する開口と、を有する外装体と、前記開口を封口する封口板と、を備えており、
前記封口板には、正極端子および負極端子が取り付けられており、
前記一対の第2側壁のうち一方の第2側壁側には、複数の正極タブを含む正極タブ群が配置されており、
前記一対の第2側壁のうち他方の第2側壁側には、複数の負極タブを含む負極タブ群が配置されており、
前記正極タブ群および前記正極端子は、正極集電部を介して電気的に接続されており、前記正極タブ群は前記第2側壁に沿って伸びるように湾曲した状態で、前記正極集電部に接合されており、
前記負極タブ群および前記負極端子は、負極集電部を介して電気的に接続されており、前記負極タブ群は前記第2側壁に沿って伸びるように湾曲した状態で、前記負極集電部に接合されており、
ここで、少なくとも前記一対の平坦外面のうち一方の平坦外面から、前記正極集電部または前記負極集電部にかけて、固定部材が配置されている、電池。
【請求項2】
前記正極タブ群は、前記正極集電部における前記第1電極体側の面に接合されており、
前記負極タブ群は、前記負極集電部における前記第1電極体側の面に接合されている、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記正極タブ群は、前記一対の平坦外面のうち一方の平坦外面側に集められた状態で、前記正極集電部に接合されており、
前記負極タブ群は、前記一対の平坦外面のうち一方の平坦外面に集められた状態で、前記負極集電部に接合されている、請求項1または2に記載の電池。
【請求項4】
前記固定部材は、前記正極タブ群および前記正極集電部の接合部と、前記負極タブ群および前記負極集電部の接合部のいずれも覆っていない、請求項1~3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項5】
前記正極タブは、アルミニウムまたはアルミニウム合金箔から構成されており、
前記負極タブは、銅または銅合金箔から構成されており、
ここで、前記固定部材は、前記一対の平坦外面のうち少なくとも一方の平坦外面から前記負極集電部にかけては配置されているが、前記一対の平坦外面のうちいずれの平坦外面から前記正極集電部にかけても配置されていない、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項6】
前記正極集電部は、前記封口板と前記第1電極体との間に配置された正極第1集電部と、前記正極タブ群が接合されている正極第2集電部と、を具備し、
前記負極集電部は、前記封口板と前記第1電極体との間に配置された負極第1集電部と、前記負極タブ群が接合されている負極第2集電部と、を具備し、
ここで、前記固定部材は、少なくとも前記正極第1集電部および前記正極第2集電部の接合部、または、前記負極第1集電部および前記負極第2集電部の接合部を覆う、請求項1~5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項7】
前記一対の平坦外面はセパレータから構成されており、前記セパレータの最外面には、ポリフッ化ビニリデンを含む層が形成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の電池。
【請求項8】
前記電池ケース内に、さらに、前記第1電極体と同じ構成の第2電極体が配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
前記第1電極体および前記第2電極体の間に、前記第1電極体と同じ構成の電極体がさらに1つまたは複数配置されている、請求項8に記載の電池。
【請求項10】
前記第1電極体と、前記第1電極体および前記第2電極体の間に配置されている電極体と、前記第2電極体とが固定されている、請求項9に記載の電池。
【請求項11】
前記第1電極体の固定部材および前記第2電極体の固定部材は、前記第1電極体と、前記第1電極体および前記第2電極体の間に配置されている電極体と、前記第2電極体とのいずれの間にも配置されていない、請求項9または10に記載の電池。
【請求項12】
さらに、前記第1電極体の一対の平坦外面のうち前記第1側壁に対向する平坦外面から、前記第2電極体の一対の平坦外面のうち前記第1側壁に対向する平坦外面にかけて、補助固定部材が配置されており、
ここで、前記補助固定部材は、前記第1電極体と、前記第1電極体および前記第2電極体の間に配置されている電極体と、前記第2電極体とが備える正極集電部および負極集電部以外の部分に配置されている、請求項9~11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項13】
前記電池ケース内において、前記一対の第1側壁のうち前記第1電極体の平坦外面と対向する第1側壁と、前記第1電極体の平坦外面との間、および、前記一対の第1側壁のうち他方の第1側壁と、前記第2電極体の平坦外面との間に、絶縁部材が配置されており、
ここで、前記第1電極体と、前記第1電極体および前記第2電極体の間に配置されている電極体と、前記第2電極体とが具備する摩擦係数は、前記絶縁部材と前記第1電極体の平坦外面とが具備する摩擦係数、および、前記絶縁部材と前記第2電極体の平坦外面とが具備する摩擦係数よりも大きい、請求項9~12のいずれか一項に記載の電池。
【請求項14】
前記絶縁部材は、樹脂フィルムから構成されており、
前記第1電極体と、前記第1電極体および前記第2電極体の間に配置されている電極体と、前記第2電極体とが具備する摩擦係数は、前記絶縁部材と前記第1側壁とが具備する摩擦係数よりも大きい、請求項13に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定部材を備えた電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の電池は、一般に、正極および負極(以下、単に「電極」ともいう)を有する扁平六面体形状の電極体と、開口を有し電極体を収容する外装体と、外装体の開口を封口する封口板と、外装体の内部で電極と電気的に接続され、かつ封口板から外装体の外側に延出された端子とを備える。この種の電池は、典型的には、電極に集電用の複数のタブを含む電極タブ群を備えており、当該電極タブ群は電極集電部を介して端子に接続された構成を有する。例えば下記特許文献1には、電極体の長手方向の一方の端部に正極タブ群が設けられ、他方の端部に負極タブ群が設けられた電池が開示されている。そして、かかる電極タブ群を折り曲げた状態で電極集電部に接続する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池の使用時には、外部から電池に対して振動や衝撃等が加わり得る。タブは、例えば集電体の一部からなり、柔らかく外力の影響を受けやすい。このため、外力(具体的には、電極体の長手方向に加わる外力)によって電極体が所定の配設位置からずれ、電極タブ群に対して負荷がかかると、電極タブ群が損傷する可能性がある。その結果、電極と端子との電気的な接続が不安定になったり接続不良になったりするおそれがあるため、好ましくない。また、本発明者らの検討によると、特に上記電極タブ群を折り曲げた状態で電極集電部に接続した場合、かかる折り曲げ部分に外力が集中することで、電極タブ群が損傷し易いこと分かった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、その主な目的は、電極タブ群の損傷が好適に防止された電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により、正極および負極を含み、一対の矩形状の平坦外面を有する扁平六面体形状の第1電極体と、上記第1電極体を収容する電池ケースと、を備えた電池が提供される。上記電池ケースは、底壁と、上記底壁から延び相互に対向する一対の第1側壁と、上記底壁から延び相互に対向する一対の第2側壁と、上記底壁に対向する開口と、を有する外装体と、上記開口を封口する封口板と、を備えている。上記封口板には、正極端子および負極端子が取り付けられており、上記一対の第2側壁のうち一方の第2側壁側には、複数の正極タブを含む正極タブ群が配置されており、上記一対の第2側壁のうち他方の第2側壁側には、複数の負極タブを含む負極タブ群が配置されている。上記正極タブ群および上記正極端子は、正極集電部を介して電気的に接続されており、上記正極タブ群は前記第2側壁に沿って伸びるように湾曲した状態で、上記正極集電部に接合されており、上記負極タブ群および上記負極端子は、負極集電部を介して電気的に接続されており、上記負極タブ群は上記第2側壁に沿って伸びるように湾曲した状態で、上記負極集電部に接合されている。ここで、少なくとも上記一対の平坦外面のうち一方の平坦外面から、上記正極集電部または上記負極集電部にかけて、固定部材が配置されている。
【0007】
上記のとおり固定部材を配置することで、電極体が、封口板に固定された剛性のある電極集電部に対して固定されるため、電池ケース内での電極体の長手方向における移動を好適に抑制することができる。これによって、電極タブ群への負荷を抑制することができるため、電極タブ群の損傷を好適に防止することができる。
【0008】
ここに開示される電池の一態様において、上記正極タブ群は、上記正極集電部における上記第1電極体側の面に接合されており、上記負極タブ群は、上記負極集電部における上記第1電極体側の面に接合されている。
【0009】
ここに開示される電池の一態様において、上記正極タブ群は、上記一対の平坦外面のうち一方の平坦外面側に集められた状態で、上記正極集電部に接合されており、上記負極タブ群は、上記一対の平坦外面のうち一方の平坦外面に集められた状態で、上記負極集電部に接合されている。
【0010】
ここに開示される電池の好適な一態様において、上記固定部材は、上記正極タブ群および上記正極集電部の接合部と、上記負極タブ群および上記負極集電部の接合部のいずれも覆っていない。かかる構成によると、固定部材と電極タブ群とが干渉することで電極タブ群に負荷がかかり損傷することを、確実に防止することができるため、好ましい。
【0011】
ここに開示される電池の一態様において、上記正極タブは、アルミニウムまたはアルミニウム合金箔から構成されており、上記負極タブは、銅または銅合金箔から構成されている。ここで、上記固定部材は、上記一対の平坦外面のうち少なくとも一方の平坦外面から上記負極集電部にかけては配置されているが、上記一対の平坦外面のうちいずれの平坦外面から上記正極集電部にかけても配置されていない。
【0012】
ここに開示される電池の好適な一態様において、上記正極集電部は、上記封口板と上記第1電極体との間に配置された正極第1集電部と、上記正極タブ群が接合されている正極第2集電部と、を具備し、上記負極集電部は、上記封口板と上記第1電極体との間に配置された負極第1集電部と、上記負極タブ群が接合されている負極第2集電部と、を具備する。ここで、上記固定部材は、少なくとも上記正極第1集電部および上記正極第2集電部の接合部、または、上記負極第1集電部および上記負極第2集電部の接合部を覆う。このように、電極集電部における封口板に近い位置に対して電極体が固定されることで、電池ケース内での電極体の長手方向における移動をより好適に抑制することができる。
【0013】
ここに開示される電池の一態様において、上記一対の平坦外面はセパレータから構成されており、上記セパレータの最外面には、ポリフッ化ビニリデンを含む層が形成されている。
【0014】
ここに開示される電池の一態様において、上記電池ケース内に、さらに、上記第1電極体と同じ構成の第2電極体が配置されている。
【0015】
かかる態様の電池の一態様において、上記第1電極体および上記第2電極体の間に、上記第1電極体と同じ構成の電極体がさらに1つまたは複数配置されている。
【0016】
かかる態様の電池の好適な一態様において、上記第1電極体と、上記第1電極体および上記第2電極体の間に配置されている電極体と、前記第2電極体とが固定されている。かかる構成によると、第1電極体および第2電極体の間に配置されている電極体の長手方向における移動を好適に抑制することができる。
【0017】
かかる態様の電池の好適な一態様において、上記第1電極体の固定部材および上記第2電極体の固定部材は、上記第1電極体と、上記第1電極体および上記第2電極体の間に配置されている電極体と、上記第2電極体とのいずれの間にも配置されていない。かかる構成によると、電極体群の積算厚みを小さくすることができるため、各々の電極体が具備する圧力分布を緩和することができる。これによって、各々の電極体における反応ムラを好適に抑制することができる。
【0018】
かかる態様の電池の好適な一態様において、さらに、上記第1電極体の一対の平坦外面のうち上記第1側壁に対向する平坦外面から、上記第2電極体の一対の平坦外面のうち上記第1側壁に対向する平坦外面にかけて、補助固定部材が配置されている。ここで、上記補助固定部材は、上記第1電極体と、上記第1電極体および上記第2電極体の間に配置されている電極体と、上記第2電極体とが備える正極集電部および負極集電部以外の部分に配置されている。かかる構成によると、第1電極体および第2電極体の間に配置されている電極体の長手方向における移動を好適に抑制することができる。
【0019】
かかる態様の電池の好適な一態様において、上記電池ケース内において、上記一対の第1側壁のうち上記第1電極体の平坦外面と対向する第1側壁と、上記第1電極体の平坦外面との間、および、上記一対の第1側壁のうち他方の第1側壁と、上記第2電極体の平坦外面との間に、絶縁部材が配置されている。ここで、上記第1電極体と、上記第1電極体および上記第2電極体の間に配置されている電極体と、上記第2電極体とが具備する摩擦係数は、上記絶縁部材と上記第1電極体の平坦外面とが具備する摩擦係数、および、上記絶縁部材と上記第2電極体の平坦外面とが具備する摩擦係数よりも大きい。かかる構成によると、各々の電極体の長手方向における移動を好適に抑制することができる。
【0020】
かかる態様の電池の好適な一態様において、上記絶縁部材は、樹脂フィルムから構成されており、上記第1電極体と、上記第1電極体および上記第2電極体の間に配置されている電極体と、上記第2電極体とが具備する摩擦係数は、上記絶縁部材と上記第1側壁とが具備する摩擦係数よりも大きい。かかる構成によると、各々の電極体の長手方向における移動を好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態に係る電池を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿う模式的な縦断面図である。
【
図4】
図1のIV-IV線に沿う模式的な横断面図である。
【
図5】一実施形態に係る封口板に取り付けられた電極体群を模式的に示す模式図である。
【
図6】一実施形態に係る正極第2集電部および負極第2集電部が取り付けられた電極体を模式的に示す斜視図である。
【
図7】一実施形態に係る捲回電極体の構成を示す模式図である。
【
図8】
図2の正極端子の近傍を模式的に示す部分拡大断面図である。
【
図9】一実施形態に係る正極端子、負極端子、正極第1接続部、負極第1接続部、正極絶縁部材、負極絶縁部材が取り付けられた封口板を模式的に示す斜視図である。
【
図11】一実施形態に係る電池の挿入工程を説明する模式的な断面図である。
【
図12】他の実施形態に係る封口板に取り付けられた電極体群を模式的に示す模式図である。
【
図13】他の実施形態に係る封口板に取り付けられた電極体群を模式的に示す模式図である。
【
図14】他の実施形態に係る封口板に取り付けられた電極体群を模式的に示す模式図である。
【
図15】他の実施形態に係る封口板に取り付けられた電極体群を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、ここで開示される技術のいくつかの好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない電池の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、本明細書において数値範囲を示す「A~B」の表記は、A以上B以下の意と共に、「好ましくはAより大きい」および「好ましくはBより小さい」の意を包含するものとする。
【0023】
なお、本明細書において「電池」とは、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス全般を指す用語であって、一次電池と二次電池とを包含する概念である。また、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電が可能な蓄電デバイス全般を指す用語であって、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池等のいわゆる蓄電池(化学電池)と、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(物理電池)と、を包含する概念である。
【0024】
<電池100>
図1は、電池100の斜視図である。
図2は、
図1のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。
図3は、
図1のIII-III線に沿う模式的な縦断面図である。
図4は、
図1のIV-IV線に沿う模式的な横断面図である。なお、以下の説明において、図面中の符号L、R、F、Rr、U、Dは、左、右、前、後、上、下を表し、図面中の符号X、Y、Zは、電池100の短辺方向、短辺方向と直交する長辺方向(電極体の長手方向ともいうこともできる)、上下方向を、それぞれ表すものとする。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、電池100の設置形態を何ら限定するものではない。
【0025】
図2に示すように、電池100は、電池ケース10と、電極体群20と、正極端子30と、負極端子40と、正極集電部50と、負極集電部60と、正極絶縁部材70と、負極絶縁部材80と、を備えている。図示は省略するが、電池100は、ここではさらに電解液を備えている。電池100は、ここではリチウムイオン二次電池である。電池100は、後述する固定部材1を備えることによって特徴づけられ、それ以外の構成は従来同様であってよい。固定部材1は、ここに開示される固定部材の一例である。
【0026】
電池ケース10は、電極体群20を収容する筐体である。電池ケース10は、ここでは扁平かつ有底の直方体形状(角形)の外形を有する。電池ケース10の材質は、従来から使用されているものと同じでよく、特に制限はない。電池ケース10は、金属製であることが好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金等からなることがより好ましい。
図2に示すように、電池ケース10は、開口12hを有する外装体12と、開口12hを塞ぐ封口板(蓋体)14と、を備えている。
【0027】
外装体12は、
図1に示すように、底壁12aと、底壁12aから延び相互に対向する一対の長側壁12bと、底壁12aから延び相互に対向する一対の短側壁12cと、を備えている。底壁12aは、略矩形状である。底壁12aは、開口12hと対向している。短側壁12cの面積は、長側壁12bの面積よりも小さい。長側壁12bおよび短側壁12cは、ここに開示される第1側壁および第2側壁の一例である。封口板14は、外装体12の開口12hを塞ぐように外装体12に取り付けられている。封口板14は、外装体12の底壁12aと対向している。封口板14は、平面視において略矩形状である。電池ケース10は、外装体12の開口12hの周縁に封口板14が接合(例えば溶接接合)されることによって、一体化されている。電池ケース10は、気密に封止(密閉)されている。
【0028】
図2に示すように、封口板14には、注液孔15と、ガス排出弁17と、2つの端子引出孔18、19と、が設けられている。注液孔15は、外装体12に封口板14を組み付けた後に電解液を注液するためのものである。注液孔15は、封止部材16により封止されている。ガス排出弁17は、電池ケース10内の圧力が所定値以上になったときに破断して、電池ケース10内のガスを外部に排出するように構成されている。端子引出孔18、19は、封口板14の長辺方向Yの両端部にそれぞれ形成されている。端子引出孔18、19は、封口板14を上下方向Zに貫通している。端子引出孔18、19は、それぞれ、封口板14に取り付けられる前の(かしめ加工前の)の正極端子30および負極端子40を挿通可能な大きさの内径を有する。
【0029】
正極端子30および負極端子40は、それぞれ封口板14に固定されている。正極端子30は、封口板14の長辺方向Yの一方側(
図1、
図2の左側)に配置されている。負極端子40は、封口板14の長辺方向Yの他方側(
図1、
図2の右側)に配置されている。
図1に示すように、正極端子30および負極端子40は、封口板14の外側の表面に露出している。
図2に示すように、正極端子30および負極端子40は、端子引出孔18、19を挿通して封口板14の内部から外部へと延びている。正極端子30および負極端子40は、ここでは、かしめ加工により、封口板14の端子引出孔18、19を囲む周縁部分に、かしめられている。正極端子30および負極端子40の外装体12の側の端部(
図2の下端部)には、かしめ部30c、40cが形成されている。
【0030】
図2に示すように、正極端子30は、外装体12の内部で、正極集電部50を介して電極体群20の正極22と電気的に接続されている。負極端子40は、外装体12の内部で、負極集電部60を介して電極体群20の負極24と電気的に接続されている。正極端子30は、正極絶縁部材70およびガスケット90によって封口板14と絶縁されている。負極端子40は、負極絶縁部材80およびガスケット90によって封口板14と絶縁されている。正極端子30および負極端子40は、ここに開示される端子の一例である。
【0031】
正極端子30は、金属製であることが好ましく、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることがより好ましい。負極端子40は、金属製であることが好ましく、例えば銅または銅合金からなることがより好ましい。負極端子40は、2つの導電部材が接合され一体化されて構成されていてもよい。例えば、負極集電部60と接続される部分が銅または銅合金からなり、封口板14の外側の表面に露出する部分がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなっていてもよい。
【0032】
図1に示すように、封口板14の外側の面には、板状の正極外部導電部材32および負極外部導電部材42が取り付けられている。正極外部導電部材32は、正極端子30と電気的に接続されている。負極外部導電部材42は、負極端子40と電気的に接続されている。正極外部導電部材32および負極外部導電部材42は、複数の電池100を相互に電気的に接続する際に、バスバーが付設される部材である。正極外部導電部材32および負極外部導電部材42は、金属製であることが好ましく、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることがより好ましい。正極外部導電部材32および負極外部導電部材42は、外部絶縁部材92によって封口板14と絶縁されている。ただし、正極外部導電部材32および負極外部導電部材42は必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。
【0033】
図5は、封口板14に取り付けられた電極体群20を模式的に示す斜視図である。電極体群20は、ここでは3つの電極体20a、20b、20cを有する。電極体20a、20b、20cは、一対の矩形状の平坦外面27を有し、扁平六面体形状に形成されている。電極体20a、20cは、ここに開示される第1電極体、第2電極体の一例である。ただし、1つの外装体12の内部に配置される電極体の数は特に限定されず、2つ以上(複数)であってもよいし、1つであってもよい。電極体群20は、ここでは樹脂フィルムから構成された絶縁部材29(
図3参照)に覆われた状態で、外装体12の内部に配置されている。
【0034】
図6は、電極体20aを模式的に示す斜視図である。
図7は、電極体20aの構成を示す模式図である。なお、以下では電極体20aを例として詳しく説明するが、電極体20b、20cについても同様の構成とすることができる。
図7に示すように、電極体20aは、正極22および負極24を有する。電極体20aは、ここでは、帯状の正極22と帯状の負極24とが帯状のセパレータ26を介して積層され、捲回軸WLを中心として捲回されてなる扁平形状の捲回電極体である。
【0035】
電極体20aは、捲回軸WLが長辺方向Yと平行になる向きで、外装体12の内部に配置されている。言い換えれば、電極体20aは、捲回軸WLが底壁12aと平行になり、短側壁12cと直交する向きで、外装体12の内部に配置されている。電極体20aの端面(言い換えれば、正極22と負極24とが積層された積層面、
図7の長辺方向Yの端面)は、短側壁12cと対向している。
【0036】
図3に示すように、電極体20aは、外装体12の底壁12aおよび封口板14と対向する一対の湾曲部20rと、一対の湾曲部20rを連結し、外装体12の長側壁12bに対向する平坦部20fと、を有する。ただし、電極体20aは、複数枚の方形状(典型的には矩形状)の正極と、複数枚の方形状(典型的には矩形状)の負極とが、絶縁された状態で積み重ねられてなる積層電極体であってもよい。
【0037】
正極22は、
図7に示すように、正極集電体22cと、正極集電体22cの少なくとも一方の表面上に固着された正極活物質層22aおよび正極保護層22pと、を有する。ただし、正極保護層22pは必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。正極集電体22cは、帯状である。正極集電体22cは、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっている。正極集電体22cは、ここでは金属箔、具体的にはアルミニウム箔である。正極集電体22cの長辺方向Yに直交する幅(
図7参照)は、ここに開示される技術の効果が発揮される限りにおいて特に制限されないが、例えば0.5mm以上であることが好ましい。
【0038】
正極集電体22cの長辺方向Yの一方の端部(
図7の左端部)には、複数の正極タブ22tが設けられている。複数の正極タブ22tは、それぞれ長辺方向Yの一方側(
図7の左側)に向かって突出している。複数の正極タブ22tは、セパレータ26よりも長辺方向Yに突出している。複数の正極タブ22tは、正極22の長手方向に沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。複数の正極タブ22tは、それぞれ台形状である。正極タブ22tは、ここでは正極集電体22cの一部であり、金属箔(アルミニウム箔やアルミニウム合金箔等)からなっている。正極タブ22tは、正極集電体22cの正極活物質層22aおよび正極保護層22pが形成されていない部分(集電体露出部)である。ただし、正極タブ22tは、正極集電体22cとは別の部材であってもよい。また、正極タブ22tは、長辺方向Yの他方の端部(
図7の右端部)に設けられていてもよいし、長辺方向Yの両端部にそれぞれ設けられていてもよい。
【0039】
図4に示すように、複数の正極タブ22tは長辺方向Yの一方の端部(
図4の左端部、即ち、一対の短側壁12c(第2側壁)のうち一方の短側壁側)で積層され、正極タブ群23を構成している。複数の正極タブ22tは、外方側の端が短側壁12cに沿って延びるように折り曲げられて湾曲している。正極タブ群23は、正極集電部50を介して正極端子30と電気的に接続されている。複数の正極タブ22tは、折り曲げられ、後述する正極第2集電部52における電極体側の面に接合され、正極端子30と電気的に接続されていることが好ましい。また、
図4に示すように、正極タブ群23は、一対の平坦外面27のうち一方の平坦外面側に集められた状態で接合されることが好ましい。複数の正極タブ22tのサイズ(長辺方向Yの長さおよび長辺方向Yに直交する幅、
図7参照)は、正極集電部50に接続される状態を考慮し、例えばその形成位置等によって、適宜調整することができる。正極タブ22tの長辺方向Yに直交する幅は、ここに開示される技術の効果が発揮される限りにおいて特に制限されないが、好ましくは3μm~50μmであり、より好ましくは5μm~30μmであり、特に好ましくは10μm~20μmとすることができる。複数の正極タブ22tは、ここでは湾曲させたときに外方側の端が揃うように相互にサイズが異なっている。正極タブ群23は、ここに開示される電極タブ群の一例である。
【0040】
正極活物質層22aは、
図7に示すように、帯状の正極集電体22cの長手方向に沿って、帯状に設けられている。正極活物質層22aは、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出可能な正極活物質(例えば、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物)を含んでいる。正極活物質層22aの固形分全体を100質量%としたときに、正極活物質は、概ね80質量%以上、典型的には90質量%以上、例えば95質量%以上を占めていてもよい。正極活物質層22aは、正極活物質以外の任意成分、例えば、導電材、バインダ、各種添加成分等を含んでいてもよい。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等の炭素材料を使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)等を使用し得る。
【0041】
正極保護層22pは、
図7に示すように、長辺方向Yにおいて正極集電体22cと正極活物質層22aとの境界部分に設けられている。正極保護層22pは、ここでは正極集電体22cの長辺方向Yの一方の端部(
図7の左端部)に設けられている。ただし、正極保護層22pは、長辺方向Yの両端部に設けられていてもよい。正極保護層22pは、正極活物質層22aに沿って、帯状に設けられている。正極保護層22pは、無機フィラー(例えば、アルミナ)を含んでいる。正極保護層22pの固形分全体を100質量%としたときに、無機フィラーは、概ね50質量%以上、典型的には70質量%以上、例えば80質量%以上を占めていてもよい。正極保護層22pは、無機フィラー以外の任意成分、例えば、導電材、バインダ、各種添加成分等を含んでいてもよい。導電材およびバインダは、正極活物質層22aに含み得るとして例示したものと同じであってもよい。
【0042】
負極24は、
図7に示すように、負極集電体24cと、負極集電体24cの少なくとも一方の表面上に固着された負極活物質層24aと、を有する。負極集電体24cは、帯状である。負極集電体24cは、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっている。負極集電体24cは、ここでは金属箔、具体的には銅箔である。負極集電体24cの長辺方向Yに直交する幅(
図7参照)は、ここに開示される技術の効果が発揮される限りにおいて特に制限されないが、例えば0.5mm以上であることが好ましい。
【0043】
負極集電体24cの長辺方向Yの一方の端部(
図7の右端部)には、複数の負極タブ24tが設けられている。複数の負極タブ24tは、長辺方向Yの一方側(
図7の右側)に向かって突出している。複数の負極タブ24tは、セパレータ26よりも長辺方向Yに突出している。複数の負極タブ24tは、負極24の長手方向に沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。複数の負極タブ24tは、それぞれ台形状である。負極タブ24tは、ここでは負極集電体24cの一部であり、金属箔(銅箔や銅合金等)からなっている。負極タブ24tは、ここでは、負極集電体24cの負極活物質層24aが形成されていない部分(集電体露出部)である。ただし、負極タブ24tは、負極集電体24cとは別の部材であってもよい。また、負極タブ24tは、長辺方向Yの他方の端部(
図7の左端部)に設けられていてもよいし、長辺方向Yの両端部にそれぞれ設けられていてもよい。
【0044】
図4に示すように、複数の負極タブ24tは長辺方向Yの一方の端部(
図4の右端部、即ち、一対の短側壁12c(第2側壁)のうち他方の短側壁側)で積層され、負極タブ群25を構成している。複数の負極タブ24tは、外方側の端が短側壁12cに沿って延びるように折り曲げられて湾曲している。負極タブ群25は、負極集電部60を介して負極端子40と電気的に接続されている。複数の負極タブ24tは、折り曲げられ、後述する負極第2集電部62における電極体側の面に接合され、負極端子40と電気的に接続されていることが好ましい。また、
図4に示すように、負極タブ群25は、一対の平坦外面27のうち一方の平坦外面側に集められた状態で接合されることが好ましい。複数の負極タブ24tのサイズ(長辺方向Yの長さおよび長辺方向Yに直交する幅、
図7参照)は、負極集電部60に接続される状態を考慮し、例えばその形成位置等によって、適宜調整することができる。負極タブ24tの長辺方向Yに直交する幅は、ここに開示される技術の効果が発揮される限りにおいて特に制限されないが、好ましくは3μm~50μmであり、より好ましくは5μm~30μmであり、特に好ましくは5μm~20μmとすることができる。複数の負極タブ24tは、ここでは湾曲させたときに外方側の端が揃うように相互にサイズが異なっている。負極タブ群25は、ここに開示される電極タブ群の一例である。
【0045】
負極活物質層24aは、帯状の負極集電体24cの長手方向に沿って、帯状に設けられている。負極活物質層24aは、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出可能な負極活物質(例えば、黒鉛等の炭素材料)を含んでいる。負極活物質層24aの固形分全体を100質量%としたときに、負極活物質は、概ね80質量%以上、典型的には90質量%以上、例えば95質量%以上を占めていてもよい。負極活物質層24aは、負極活物質以外の任意成分、例えば、バインダ、分散剤、各種添加成分等を含んでいてもよい。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類を使用し得る。分散剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロール類を使用し得る。
【0046】
セパレータ26は、正極22の正極活物質層22aと、負極24の負極活物質層24aと、を絶縁する部材である。セパレータ26としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂からなる多孔性の樹脂シートが好適である。なお、セパレータ26の表面には、無機フィラーを含む耐熱層(Heat Resistance Layer:HRL)が設けられていてもよい。無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、チタニア等を使用し得る。
【0047】
電解液は従来と同様でよく、特に制限はない。電解液は、例えば、非水系溶媒と支持塩とを含有する非水電解液である。非水系溶媒は、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート類を含んでいる。支持塩は、例えば、LiPF6等のフッ素含有リチウム塩である。ただし、電解液は固体状(固体電解質)で、電極体群20と一体化されていてもよい。
【0048】
正極集電部50は、複数の正極タブ22tからなる正極タブ群23と、正極端子30と、を電気的に接続する導通経路を構成している。
図2に示すように、正極集電部50は、封口板14と電極体20aとの間に配置された正極第1集電部51と、正極タブ群23が接合されている正極第2集電部52と、を備えている。正極第1集電部51および正極第2集電部52は、正極集電体22cと同じ金属種、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっていてもよい。
【0049】
図8は、
図2の正極端子30の近傍を模式的に示す部分拡大断面図である。
図9は、封口板14を模式的に示す斜視図である。
図10は、
図9の封口板を裏返した斜視図である。
図10は、封口板14の外装体12の側(内側)の面を示している。
図8~
図10に示すように、正極第1集電部51は、封口板14の内側の面に取り付けられている。正極第1集電部51は、ここに開示される集電部の一例である。正極第1集電部51は、第1領域51aと、第2領域51bと、を有する。正極第1集電部51は、一つの部材を例えばプレス加工等によって折り曲げることで構成されてもよく、複数の部材を溶接接合等によって一体化することで構成されてもよい。正極第1集電部51は、ここでは、かしめ加工によって、封口板14に固定されている。
【0050】
第1領域51aは、封口板14と電極体群20との間に配置される部位である。第1領域51aは、長辺方向Yに沿って延びている。第1領域51aは、封口板14の内側の表面に沿って水平に広がっている。封口板14と第1領域51aとの間には、正極絶縁部材70が配置されている。第1領域51aは、正極絶縁部材70によって封口板14と絶縁されている。第1領域51aは、ここでは、かしめ加工により、正極端子30と電気的に接続されている。第1領域51aにおいて、封口板14の端子引出孔18に対応する位置には、上下方向Zに貫通した貫通孔51hが形成されている。第2領域51bは、外装体12の短側壁12cと電極体群20との間に配置される部位である。第2領域51bは、第1領域51aの長辺方向Yの一方側の端(
図8の左端)から外装体12の短側壁12cに向かって延びている。第2領域51bは、上下方向Zに沿って延びている。
【0051】
正極第2集電部52は、外装体12の短側壁12cに沿って延びている。正極第2集電部52は、
図6に示すように、集電板接続部52aと、傾斜部52bと、タブ接合部52cと、を有する。集電板接続部52aは、正極第1集電部51と電気的に接続される部位である。集電板接続部52aは、上下方向Zに沿って延びている。集電板接続部52aは、電極体20a、20b、20cの捲回軸WLに対して略垂直に配置されている。集電板接続部52aには、その周囲よりも厚みが薄い凹部52dが設けられている。凹部52dには、短辺方向Xに貫通した貫通孔52eが設けられている。貫通孔52eには、正極第1集電部51との接合部が形成されている。接合部は、例えば、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等の溶接によって形成された溶接接合部である。正極第2集電部52には、ヒューズを設けてもよい。
【0052】
タブ接合部52cは、正極タブ群23に付設され、複数の正極タブ22tと電気的に接続される部位である。
図5に示すように、タブ接合部52cは、上下方向Zに沿って延びている。タブ接合部52cは、電極体20a、20b、20cの捲回軸WLに対して略垂直に配置されている。タブ接合部52cの複数の正極タブ22tと接続される面は、外装体12の短側壁12cと略平行に配置されている。
図4に示すように、タブ接合部52cには、正極タブ群23との接合部Jが形成されている。接合部Jは、例えば、複数の正極タブ22tを重ねた状態で、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等の溶接によって形成された溶接接合部である。溶接接合部は、複数の正極タブ22tを電極体20a、20b、20cの短辺方向Xの一方側に寄せて配置されている。これにより、複数の正極タブ22tをより好適に折り曲げて、
図4に示すような湾曲形状の正極タブ群23を安定して形成することができる。
【0053】
傾斜部52bは、集電板接続部52aの下端とタブ接合部52cの上端とを連結する部位である。傾斜部52bは、集電板接続部52aとタブ接合部52cとに対して傾斜している。傾斜部52bは、長辺方向Yにおいて、集電板接続部52aがタブ接合部52cよりも中央側に位置するように、集電板接続部52aとタブ接合部52cとを連結している。これにより、電極体群20の収容空間を広げて、電池100の高エネルギー密度化を図ることができる。傾斜部52bの下端(言い換えれば、外装体12の底壁12aの側の端部)は、正極タブ群23の下端よりも下方に位置することが好ましい。これにより、複数の正極タブ22tをより好適に折り曲げて、
図4に示すような湾曲形状の正極タブ群23を安定して形成することができる。
【0054】
負極集電部60は、複数の負極タブ24tからなる負極タブ群25と、負極端子40と、を電気的に接続する導通経路を構成している。
図2に示すように、負極集電部60は、封口板14と電極体20aとの間に配置された負極第1集電部61と、負極タブ群25が接合されている負極第2集電部62と、を備えている。負極第1集電部61は、ここに開示される集電部の一例である。負極第1集電部61および負極第2集電部62は、負極集電体24cと同じ金属種、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっていてもよい。負極第1集電部61および負極第2集電部62の構成は、正極集電部50の正極第1集電部51および正極第2集電部52と同等であってよい。
【0055】
負極第1集電部61は、
図10に示すように、第1領域61aと、第2領域61bと、を有する。封口板14と第1領域61aとの間には負極絶縁部材80が配置されている。第1領域61aは、負極絶縁部材80によって封口板14と絶縁されている。第1領域51aにおいて、封口板14の端子引出孔19に対応する位置には、上下方向Zに貫通した貫通孔61hが形成されている。負極第2集電部62は、
図6に示すように、負極第1集電部61と電気的に接続される集電板接続部62aと、傾斜部62bと、負極タブ群25に付設され、複数の負極タブ24tと電気的に接続されるタブ接合部62cと、を有する。集電板接続部62aは、タブ接合部62cと連結される凹部62dを有する。凹部62dには、短辺方向Xに貫通した貫通孔62eが設けられている。
【0056】
正極絶縁部材70は、電池ケース10の内部で、封口板14と正極第1集電部51とを絶縁する部材である。正極絶縁部材70は、例えば、使用する電解液に対する耐性と電気絶縁性とを有し、弾性変形が可能な樹脂材料からなる。正極絶縁部材70は、例えば、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、四フッ化エチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)等のフッ素化樹脂や、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等からなることが好ましい。正極絶縁部材70は、
図2に示すように、ベース部70aと、突出部70bと、を有する。ベース部70aと突出部70bとは、ここでは一体成型されている。
【0057】
ベース部70aは、上下方向Zにおいて、封口板14と、正極第1集電部51の第1領域51aと、の間に配置される部位である。ベース部70aは、正極第1集電部51の第1領域51aに沿って水平に広がっている。ベース部70aは、上下方向Zに貫通した貫通孔(図示せず)を有する。貫通孔は封口板14の端子引出孔18と対応する位置に形成されている。
【0058】
突出部70bは、それぞれ、ベース部70aよりも電極体群20の側に突出している。
図10に示すように、長辺方向Yにおいて、突出部70bは、ベース部70aよりも封口板14の中央側(
図10の右側)に設けられている。
図3に示すように、突出部70bは、ここでは電極体群20を構成する電極体20a、20b、20cの湾曲部20rと対向している。
【0059】
負極絶縁部材80は、
図2に示すように、電極体群20の長辺方向Yに対して、正極絶縁部材70と対称に配置されている。負極絶縁部材80の具体的な構成は、正極絶縁部材70と同様であってよい。負極絶縁部材80は、ここでは正極絶縁部材70と同様に、封口板14と負極第1集電部61との間に配置されるベース部80aと、突出部80bと、を有する。
【0060】
図5に示すように、本実施形態に係る電池100では、固定部材1が、平坦外面27aから平坦外面27fにかけて、3つの電極体20a、20b、20cが備える正極第2集電部52を覆うようにコの字状に配置されている。このように、固定部材1を用いて電極体20a、20b、20cを固定することによって、電極体20bの長手方向における移動をより好適に抑制することができる。また、本実施形態に係る固定部材1は、正極1集電部51と正極第2集電部52との接合部3箇所を覆うように配置されている。このように、正極集電部50における封口板14に近い位置に対して電極体群20が固定されることで、電極体群20の長手方向における移動をより好適に抑制することができる。
【0061】
固定部材1としては、例えば、基材と、当該基材上に形成された接着層とを具備するものを好ましく用いることができる。上記基材の一例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、ナイロン、塩化ビニル、テフロン(登録商標)、ポリイミド、カプトン(登録商標)、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。上記基材の厚みは、ここに開示される技術の効果が発揮される限りにおいて特に制限されないが、概ね5μm~100μmであり、好ましくは10μm~50μmとすることができる。また、上記接着層を構成する材料の一例としては、アクリル系接着材、シリコン系接着材、ゴム接着材等が挙げられる。上記接着層は、常温(典型的には、20℃程度)で粘着性を有することが好ましい。上記接着層の厚みは、ここに開示される技術の効果が発揮される限りにおいて特に制限されないが、概ね5μm~100μmであり、好ましくは5μm~20μmとすることができる。
【0062】
図3に示すように、本実施形態に係る電池100では、電池ケース10内において、一対の長側壁12b(第1側壁)のうち平坦外面27aと対向する長側壁と、平坦外面27aとの間、および、一対の長側壁12bのうち他方の長側壁と、平坦外面27fとの間に、絶縁部材29が配置されている。そして、電極体20a、20b、20cが具備する摩擦係数(即ち、平坦外面27bおよび平坦外面27c、平坦外面27dおよび平坦外面27eが具備する摩擦係数;以下、摩擦係数Aともいう)は、絶縁部材29aと平坦外面27aとが具備する摩擦係数、および、絶縁部材29bと平坦外面27fとが具備する摩擦係数(以下、摩擦係数Bともいう)よりも大きい。かかる構成によると、電極体群20の長手方向における移動が抑制されるため、好ましい。ここで、上記摩擦係数AおよびBとしては、例えば、JIS K7125の規定に基づいて測定される摩擦係数を採用することができる。また、上記摩擦係数AおよびBの差は、概ね0.1~0.9程度とすることができ、好ましくは0.5~0.8程度とすることができるが、これに限られたものではない。なお、上記摩擦係数AおよびBに上述したような差を具備する方法としては、絶縁部材29、平坦外面27を構成する材料を適切に選択する方法が挙げられる。当業者は、予備試験等を行うことで、かかる材料の選択を容易に実施することができる。
【0063】
また、本実施形態に係る電池100では、電極体20aと電極体20bとが具備する摩擦係数(即ち、平坦外面27bと平坦外面27cとが具備する摩擦係数)、および、電極体20bと電極体20cとが具備する摩擦係数(即ち、平坦外面27dと平坦外面27eとが具備する摩擦係数)(以下、摩擦係数Cともいう)は、絶縁部材29と長側壁12bとが具備する摩擦係数(即ち、絶縁部材29aと長側壁12bとが具備する摩擦係数、および、絶縁部材29bと長側壁12bとが具備する摩擦係数;以下、摩擦係数Dともいう)よりも大きい。かかる構成によると、電極体群20の長手方向における移動が抑制されるため、好ましい。ここで、上記摩擦係数CおよびDとしては、例えば、JIS K7125の規定に基づいて測定される摩擦係数を採用することができる。また、上記摩擦係数CおよびDの差は、概ね0.1~0.9程度とすることができ、好ましくは0.5~0.8程度とすることができるが、これに限られたものではない。なお、上記摩擦係数CおよびDに上述したような差を具備する方法としては、絶縁部材29、長側壁12b、平坦外面27を構成する材料を適切に選択する方法が挙げられる。当業者は、予備試験等を行うことで、かかる材料の選択を容易に実施することができる。
【0064】
図5に示すように、本実施形態に係る電池100では、電極体20aと電極体20bとの間、および、電極体20bと電極体20cとの間に、固定部材1が配置されていない。かかる構成によると、電極体群20の積算厚みを小さくすることができるため、電極体群20を構成する各々の電極体が具備する圧力分布を緩和することができる。これによって、電極体群20を構成する各々の電極体における反応ムラを好適に抑制することができるため、好ましい。
【0065】
<電池100の製造方法>
電池100の製造方法は、上記したような固定部材1を備えることで特徴付けられる。それ以外の製造プロセスは従来同様であってよい。電池100は、固定部材1に加えて、上記したような電池ケース10(外装体12および封口板14)と、電極体群20(電極体20a、20b、20c)と、電解液と、正極端子30と、負極端子40と、正極集電部50(正極第1集電部51および正極第2集電部52)と、負極集電部60(負極第1集電部61および負極第2集電部62)と、正極絶縁部材70、負極絶縁部材80と、を用意し、例えば、第1取付工程と、第2取付工程と、挿入工程と、封口工程と、を含む製造方法によって製造することができる。また、ここに開示される製造方法は、任意の段階でさらに他の工程を含んでもよい。
【0066】
第1取付工程では、
図9、
図10に示すような第1合体物を作製する。具体的にはまず、封口板14に、正極端子30と、正極第1集電部51と、正極絶縁部材70と、負極端子40と、負極第1集電部61と、負極絶縁部材80と、を取り付ける。
【0067】
正極端子30と正極第1集電部51と正極絶縁部材70とは、例えば、かしめ加工(リベッティング)によって封口板14に固定する。かしめ加工は、
図8に示すように、封口板14の外側の表面と正極端子30との間にガスケット90を挟み、さらに封口板14の内側の表面と正極第1集電部51との間に正極絶縁部材70を挟んで行われる。なお、ガスケット90の材質は、正極絶縁部材70と同様であってもよい。詳しくは、かしめ加工前の正極端子30を、封口板14の上方から、ガスケット90の貫通孔90hと、封口板14の端子引出孔18と、正極絶縁部材70の貫通孔70hと、正極第1集電部51の貫通孔51hと、に順番に挿入して、封口板14の下方に突出させる。そして、上下方向Zに対して圧縮力が加わるように正極端子30の封口板14よりも下方に突出した部分をかしめる。これにより、正極端子30の先端部(
図2の下端部)に、かしめ部30cを形成する。
【0068】
このようなかしめ加工によって、ガスケット90と封口板14と正極絶縁部材70と正極第1集電部51とが封口板14に一体に固定されるとともに、端子引出孔18がシールされる。なお、かしめ部30cは、正極第1集電部51に溶接接合されていてもよい。これにより、導通信頼性をさらに向上することができる。
【0069】
負極端子40と、負極第1集電部61と、負極絶縁部材80との固定は、上記した正極側と同様に行うことができる。即ち、かしめ加工前の負極端子40を、封口板14の上方から、ガスケットの貫通孔と、封口板14の端子引出孔19と、負極絶縁部材80の貫通孔と、負極第1集電部61の貫通孔と、に順番に挿入して、封口板14の下方に突出させる。そして、上下方向Zに対して圧縮力が加わるように負極端子40の封口板14よりも下方に突出した部分をかしめる。これにより、負極端子40の先端部(
図2の下端部)に、かしめ部40cを形成する。
【0070】
次に、封口板14の外側の表面に、外部絶縁部材92を介して、正極外部導電部材32と負極外部導電部材42とを取り付ける。なお、外部絶縁部材92の材質は、正極絶縁部材70と同様であってもよい。また、正極外部導電部材32と負極外部導電部材42とを取り付けるタイミングは、挿入工程の後(例えば注液孔15を封止した後)であってもよい。
【0071】
第2取付工程では、第1取付工程で作製した第1合体物を用いて、
図5に示すような第2合体物を作製する。即ち、封口板14と一体化された電極体群20を作製する。具体的にはまず、
図6に示すように、正極第2集電部52および負極第2集電部62の付設された電極体20aを3つ用意し、電極体20a、20b、20cとして、短辺方向Xに並べて配置する。このとき、電極体20a、20b、20cは、いずれも、正極第2集電部52が長辺方向Yの一方側(
図5の左側)に配置され、負極第2集電部62が長辺方向Yの他方側(
図5の右側)に配置されるように、並列に並べてもよい。
【0072】
次に、
図4に示すように複数の正極タブ22tを湾曲させた状態で、封口板14に固定された正極第1集電部51(詳しくは第2領域51b)と、電極体20a、20b、20cの正極第2集電部52(詳しくは集電板接続部52a)と、をそれぞれ接合する。また、複数の負極タブ24tを湾曲させた状態で、封口板14に固定された負極第1集電部61と、電極体20a、20b、20cの負極第2集電部62と、をそれぞれ接合する。接合方法としては、例えば、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等の溶接を用いることができる。特に、レーザ等の高エネルギー線の照射による溶接を用いることが好ましい。このような溶接加工によって、正極第2集電部52の凹部52dおよび負極第2集電部62の凹部62dに、それぞれ接合部を形成する。
【0073】
続いて、
図5に示すように、固定部材1を、平坦外面27aから平坦外面27fにかけて、3つの電極体20a、20b、20cが備える正極第2集電部52を覆うようにコの字状に配置する。なお、固定部材1を配置するタイミングは、封口板14に固定された正極第1集電部51(詳しくは第2領域51b)と、電極体20a、20b、20cの正極第2集電部52(詳しくは集電板接続部52a)とをそれぞれ接合する前であってもよい。即ち、
図6に示す態様において、正極タブ群23を湾曲させた後、固定部材1を配置してもよい。なお、作業効率を向上させる観点から、前述のタイミングで固定部材1を配置する場合がより好ましい。
【0074】
挿入工程では、第2取付工程で作製した第2合体物を外装体12の内部空間に収容する。
図11は、挿入工程を説明する模式的な断面図である。具体的には、まず、例えば、ポリエチレン(PE)等の樹脂材料からなる絶縁性の樹脂シート(樹脂フィルム)を、袋状または箱状に折り曲げて、絶縁部材29を用意する。次に、絶縁部材29に電極体群20を収容する。そして、絶縁部材29で覆われた電極体群20を、外装体12に挿入する。電極体群20の重量が重い場合、概ね1kg以上、例えば1.5kg以上、さらには2~3kgである場合は、外装体12の長側壁12bが重力方向と交差するように(外装体12を横向きに)配置して、電極体群20を外装体12に挿入するとよい。
【0075】
封口工程では、外装体12の開口12hの縁部に封口板14を接合して、開口12hを封止する。封口工程は、挿入工程と同時または挿入工程の後に行うことができる。封口工程では、外装体12と封口板14とが溶接接合されることが好ましい。外装体12と封口板14との溶接接合は、例えばレーザ溶接等で行うことができる。その後、注液孔15から電解液を注入し、注液孔15を封止部材16で塞ぐことによって、電池100を密閉する。以上のようにして、電池100を製造することができる。
【0076】
電池100は各種用途に利用可能であるが、使用時に振動や衝撃等の外力が加わり得る用途、例えば移動体(典型的には、乗用車、トラック等の車両)に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)等が挙げられる。電池100は、複数の電池100を所定の配列方向に複数個並べて、配列方向から拘束機構で荷重を加えてなる組電池としても好適に用いることができる。
【0077】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本発明は、他にも種々の形態にて実施することができる。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0078】
上記実施形態では、電極体20aにおいて、正極タブ群23および負極タブ群25が共に平坦外面27a側に集められた状態で接合されているが(
図4参照)、これに限定されない。例えば、電極体20aにおいて、正極タブ群23が平坦外面27a側に集められた状態で接合され、負極タブ群25が平坦外面27b側に集められた状態で接合されていてもよい。あるいは、正極タブ群23(負極タブ群25)が平坦外面27a側と平坦外面27b側に分けて集められた状態で接合されていてもよい。電極体20b、20cについても同様である。
【0079】
上記実施形態では、電極体20aにおいて、正極タブ群23および負極タブ群25の折り曲げ回数を1回としているが(
図4参照)、これに限定されない。例えば、かかる折り曲げ回数を複数回とすることもできる。電極体20b、20cについても同様である。
【0080】
上記実施形態では、電極体20aの平坦外面27aにおいて、固定部材1のY方向における長さが、平坦外面27aのY方向における長さLaの1/20程度となるように配置されているが(
図5参照)、これに限定されない。例えば、固定部材のY方向における長さは、概ね(1/30)La以上とすることができ、固定強度を向上させるという観点から、好ましくは(1/20)La以上、より好ましくは(1/10)La以上、さらに好ましくは(1/5)La以上とすることができる。また、固定部材のY方向における長さはLaとしてもよいし、(3/4)La以下、(1/2)La以下、(1/3)La以下とすることもできる。平坦外面27fに配置される固定部材1のY方向における長さについても同様である。
【0081】
上記実施形態では、固定部材1が、平坦外面27aから平坦外面27fにかけて、3つの電極体20a、20b、20cが備える正極第2集電部52を覆うようにコの字状に配置される態様について説明したが、これに限定されない。例えば、固定部材が、平坦外面27aから平坦外面27fにかけて、3つの電極体20a、20b、20cが備える負極第2集電部62を覆うようにコの字状に配置されていてもよい。なお、固定部材は、正極側にコの字状に配置されている場合(即ち、前述の配置態様)と比較して、負極側にコの字状に配置されている場合(即ち、後述の配置態様)、電極体を負極側に固定することで、座屈・伸展しやすいとされる正極タブ群の座屈を好適に防止することができるため、好ましい。また、例えば、固定部材が、電極体20aが備える平坦外面27aから正極第2集電部52、電極体20bが備える正極第2集電部52にかけて配置され、電極体20cが備える平坦外面27fから負極第2集電部62、電極体20bが備える負極集電部62にかけて配置されていてもよい。なお、これらは一例であって、その他種々の形態とすることができる。
【0082】
上記実施形態では、固定部材1が、正極1集電部51と正極第2集電部52との接合部3箇所を覆うように配置される態様について説明したが、これに限定されない。例えば、
図12に示すように、固定部材1aが、3つの電極体20a、20b、20cが備える正極第2集電部52の真ん中付近を覆うようにコの字状に配置されていてもよい。また、例えば、
図13に示すように、固定部材1bが、3つの電極体20a、20b、20cが備える正極第2集電部52の下方を覆うようにコの字状に配置されていてもよい。さらに、
図5、
図12、
図13の態様を適宜組み合わせて実施することもできる。なお、固定部材が、
図12、
図13に示すように配置される場合、タブ接合部52cを覆わないことが好ましい。また、上記では正極第2集電部52に焦点を当てて説明しているが、当然のことながら、負極第2集電部62に対しても同様である。なお、これらは一例であって、その他種々の形態とすることができる。
【0083】
上記実施形態では、固定部材1が、電極体20bの正極第2集電部52においても配置される態様について説明したが、これに限定されない。例えば、
図14に示すように、固定部材1cが、電極体20aが備える平坦外面27aから正極第2集電部52にかけて配置され、電極体20cが備える平坦外面27fから正極第2集電部52にかけて配置されていてもよい。この場合、平坦外面27bと平坦外面27cとの間、および、平坦外面27dと平坦外面27eとの間に生じる摩擦によって、電極体20bの長手方向における移動が抑制されることが好ましい。
【0084】
あるいは、本実施形態に係る電極体20a、20b、20cのように、平坦外面がセパレータ26から構成されている場合(
図7参照)、電極体20bの長手方向への移動を抑制するために、電極体20a、20b、20cが備える平坦外面(即ち、セパレータの最外面)に粘着層が具備されていてもよい。上記粘着層の一例としては、PVdFを含む層が挙げられる。また、上記粘着層は、無機フィラー等他の成分を含んでいてもよい。上記無機フィラーの一例としては、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、チタニア等が挙げられる。ここで、上記粘着層を構成する成分全体を100質量%としたとき、PVdFの含有量は、概ね5質量%以上とすることができ、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上とすることができる。また、PVdFの含有量は100質量%であってもよいし、例えば90質量%以下とすることができ、好ましくは80質量%以下とすることができる。
【0085】
また、好適な実施形態として、
図15に示すような固定部材の配置方法を挙げることができる。
図15では、固定部材1d、1eが、それぞれ平坦外面27aから平坦外面27fにかけて、3つの電極体20a、20b、20cが備える正極第2集電部52の真ん中付近、下方を覆うように配置されている。また、固定部材1f、1gが、それぞれ平坦外面27aから平坦外面27fにかけて、3つの電極体20a、20b、20cが備える負極第2集電部62の真ん中付近、下方を覆うように配置されている。そして、さらに、補助固定部材1h、1i、1jが、平坦外面27aから平坦外面27fにかけて、正極第2集電部52および負極第2集電部62以外の部分にコの字状に配置されている。これによって、電極体20bの長手方向における移動を好適に抑制することができる。なお、
図15では、固定部材1d、1e、1hと、固定部材1f、1g、1iとが、電池ケース10のY方向における中心部を通る中心線CLに対して対称となるように配置されているが、これに限定されず、CLに対して非対称に配置されていてもよい。また、
図15では、補助固定部材1jがLaの中心部に配置されているが、これに限定されず、適宜左右(
図15の左右)方向にずらして配置されていてもよい。
図15に示すように、電極体20bの長手方向における移動を効果的に抑制する観点から、補助固定部材1h、1i、1jが全て配置されている場合が好ましいが、適宜減らすこともできる。そして、
図15には掲載していないが、固定部材を、平坦外面27aから平坦外面27fにかけて、封口板14を覆うようにコの字状に配置することもできる。
【0086】
上記実施形態では、電極体を3つ備えた電池100について説明したが、これに限定されない。例えば、電極体20aおよび電極体20cの間に複数(即ち、2つ以上)の電極体が配置されていてもよい。この場合、電極体20aと、電極体20aおよび電極体20cの間に配置されている複数の電極体と、電極体20cとが固定されていることが好ましい。かかる電極体どうしの固定方法の一例としては、固定部材を、平坦外面27aから平坦外面27fにかけて、各電極体が備える正極第2集電部および/または負極第2集電部を覆うようにコの字状に配置する方法が挙げられる。また、各電極体が備える平坦外面に上述したような粘着層を具備させてもよい。これによって、各電極体の長手方向への移動を好適に抑制することができる。
【0087】
上記実施形態では、電極体を3つ備えた電池100について説明しているが、これに限定されない。例えば、電池が電極体を1つのみ備えていてもよい。例えば、電池が電極体20aを備えている場合、固定部材を、平坦外面27aから正極第2集電部52にかけてL字状に配置することができる。あるいは、固定部材を、平坦外面27aから平坦外面27bにかけてコの字状に配置することもできる。ここで、固定部材がコの字等、張力を持った状態で配置される場合、電極体20aが正極第2集電部52に対して強固に固定されるため、好ましい。また、上記では正極第2集電部52について説明しているが、当然のことながら、負極第2集電部62に対しても同様である。なお、これらは一例であって、その他種々の形態とすることができる。
【符号の説明】
【0088】
1、1a~1g 固定部材
1h~1j 補助固定部材
10 電池ケース
12 外装体
14 封口板
20 電極体群
20a(第1電極体)、20b、20c(第2電極体) 電極体
27 平坦外面
23 正極タブ群(電極タブ群)
25 負極タブ群(電極タブ群)
30 正極端子(端子)
40 負極端子(端子)
50 正極集電部
51 正極第1集電部(集電部)
52 正極第2集電部
60 負極集電部
61 負極第1集電部
62 負極第2集電部
70 正極絶縁部材(絶縁部材)
70a ベース部
70b 突出部
80 負極絶縁部材(絶縁部材)
80a ベース部
80b 突出部
100 電池