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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188667
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】クレーン走行支援装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/88 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
B66C23/88 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096888
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 和彰
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA06
3F205CA03
(57)【要約】
【課題】付属部品の着脱状態に応じて、走行しているクレーンを、適切な離間距離に停止させることができるクレーン走行支援装置を提供する。
【解決手段】クレーン1の走行を支援するクレーン走行支援装置1Aであって、クレーン1の走行方向における物体Gとの距離を検知する距離検知手段40と、クレーン1に着脱可能に取り付けられる付属部品(ブーム30,カウンタウェイト55)の着脱状態を検知する着脱状態検知手段56と、着脱状態検知手段56の検知情報に基づいて、クレーン1の走行方向における先端部Tを判断する先端判断部64と、距離検知手段40の検知情報と、先端判断部64の判断した先端部Tとに基づいて、走行中のクレーン1を停止させたときの、物体Gと、先端部Tとの離間距離Eを算出する離間距離算出部65と、離間距離算出部65の算出した離間距離Eに基づいて、クレーン1の走行を停止させる停止制御部66と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンの走行を支援するクレーン走行支援装置であって、
前記クレーンの走行方向における物体との距離を検知する距離検知手段と、
前記クレーンに着脱可能に取り付けられる付属部品の着脱状態を検知する着脱状態検知手段と、
前記着脱状態検知手段の検知情報に基づいて、前記クレーンの走行方向における先端部を判断する先端判断部と、
前記距離検知手段の検知情報と、前記先端判断部の判断した前記先端部とに基づいて、走行中の前記クレーンを停止させたときの、前記物体と、前記先端部との離間距離を算出する離間距離算出部と、
前記離間距離算出部の算出した前記離間距離に基づいて、前記クレーンの走行を停止させる停止制御部と、を備えることを特徴とする、クレーン走行支援装置。
【請求項2】
前記付属部品は、旋回体に着脱可能に取り付けられるブームであり、
前記着脱状態検知手段が、前記ブームの取付状態を検知した場合、前記先端判断部は、前記ブームの先端を前記先端部と判断し、
前記着脱状態検知手段が、前記ブームの取り外し状態を検知した場合、前記先端判断部は、前記ブームを支持していた起伏シリンダの先端を前記先端部と判断する、ことを特徴とする請求項1に記載のクレーン走行支援装置。
【請求項3】
前記付属部品は、車体より後方に突出した状態で、旋回体に着脱可能に取り付けられるカウンタウェイトであり、
前記着脱状態検知手段が、前記カウンタウェイトの取付状態を検知した場合、前記先端判断部は、前記カウンタウェイトの後端を前記先端部と判断し、
前記着脱状態検知手段が、前記カウンタウェイトの取り外し状態を検知した場合、前記先端判断部は、前記車体の後端を前記先端部と判断する、ことを特徴とする請求項1に記載のクレーン走行支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンの走行を支援するクレーン走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車には、衝突被害軽減ブレーキを搭載することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、障害物に自車両が衝突する前に自車両を停車させるように自動的に自車両のブレーキ手段を作動させる自動ブレーキシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-083550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、クレーンにおいては、ブームやカウンタウェイト等の着脱可能な付属部品を備えている。これらの付属部品がクレーンに取り付けられた状態で走行する場合と、クレーンから取り外された状態で走行する場合とでは、クレーンの全長が変化する。そのため、付属部品の着脱状態に応じて、走行しているクレーンを、適切な離間距離に停止させることができない、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、付属部品の着脱状態に応じて、走行しているクレーンを、適切な離間距離に停止させることができるクレーン走行支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のクレーン走行支援装置は、クレーンの走行を支援するクレーン走行支援装置であって、前記クレーンの走行方向における物体との距離を検知する距離検知手段と、前記クレーンに着脱可能に取り付けられる付属部品の着脱状態を検知する着脱状態検知手段と、前記着脱状態検知手段の検知情報に基づいて、前記クレーンの走行方向における先端部を判断する先端判断部と、前記距離検知手段の検知情報と、前記先端判断部の判断した前記先端部とに基づいて、走行中の前記クレーンを停止させたときの、前記物体と、前記先端部との離間距離を算出する離間距離算出部と、前記離間距離算出部の算出した前記離間距離に基づいて、前記クレーンの走行を停止させる停止制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された本発明のクレーン走行支援装置は、付属部品の着脱状態に応じて、走行しているクレーンを、適切な離間距離に停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のクレーンを示す側面図である。
図2】実施例1のクレーンを示す平面図である。
図3】実施例1のクレーン走行支援装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】実施例1のブームが取り付けられたクレーンの走行状態を示す側面図である。
図5】実施例1のブームが取り外されたクレーンの走行状態を示す側面図である。
図6】実施例1の表示部に表示される画像の一例を示す図である。
図7】実施例1の制御部による処理の流れを示すフローチャートである。
図8】実施例2のカウンタウェイトが取り付けられたクレーンの走行状態を示す側面図である。
図9】実施例2のカウンタウェイトが取り外されたクレーンの走行状態を示す側面図である。
図10】実施例2の制御部による処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明によるクレーン走行支援装置を実現する実施形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【実施例0011】
実施例1におけるクレーン走行支援装置は、走行可能なクレーンとしてのラフテレーンクレーン(以下、単にクレーンという)に適用される。
【0012】
[クレーンの構成]
図1は、実施例1のクレーンを示す側面図である。図2は、実施例1のクレーンを示す平面図である。以下、実施例1のクレーンの構成を説明する。なお、クレーンの前後方向を前後方向Dとする。
【0013】
図1及び図2に示すように、クレーン1は、車体10と、旋回体20と、ブーム30とを備えている。
【0014】
車体10は、アウトリガ11と、道路や作業現場を自走するための走行装置等を備えている。
【0015】
アウトリガ11は、作業時に、水平方向及び垂直方向に張り出し、車体10全体を持ち上げて、姿勢を安定させる。
【0016】
旋回体20は、車体10の上方に設けられ、車体10に対して、鉛直軸C1回りに回転可能となっている。旋回体20は、キャビン21を備えている。
【0017】
図2に示すように、キャビン21は、クレーン1の進行方向を向いて、ブーム30の右側に設けられている。すなわち、キャビン21は、旋回体20が前方を向いた姿勢において、ブーム30の右側に設けられている。なお、キャビン21は、旋回体20が前方を向いた姿勢において、ブーム30の左側に設けられてもよい。
【0018】
キャビン21は、車体10の走行を制御するための操作部(例えば、ステアリング、シフトレバー、アクセルペダル、及びブレーキペダル等)を有している。また、キャビン21は、旋回体20やブーム30やウィンチ24等を操作する操作部を有する。キャビン21に搭乗した運転者Mは、操作部を操作して、旋回体20を旋回させ、ブーム30を起伏及び伸縮させ、ウィンチ24を回転させて作業を行う。
【0019】
図1及び図2に示すように、旋回体20の後側には、付属部品としてのカウンタウェイト55が着脱可能に取り付けられている。カウンタウェイト55は、車体10の後端から後方に突出した状態で旋回体20に取り付けられる。
【0020】
図1に示すように、付属部品としてのブーム30は、旋回体20に着脱可能に取り付けられている。ブーム30は、基端側の基端ブーム31と、中間ブーム32と、先端側の先端ブーム33と、を備えている。中間ブーム32と先端ブーム33は、順次、基端ブーム31の内部に格納される入れ子式になっている。
【0021】
基端ブーム31は、旋回体20に設けられた起伏シリンダ22に支持されている。起伏シリンダ22が伸縮することで、ブーム30は起伏し、伸縮シリンダ(不図示)が伸縮することによって、ブーム30が伸縮するようになっている。
【0022】
先端ブーム33の先端に設けられたブームヘッド33aには、シーブ34が配置されている。旋回体20に設けられたウィンチ24には、吊り荷用のワイヤロープ35が巻かれている。ワイヤロープ35は、ウィンチ24からシーブ34までブーム30に沿って配置されている。シーブ34に掛け回されたワイヤロープ35は、シーブ34から鉛直方向の下方に吊り下げられている。ワイヤロープ35の最下部には、フック36が設けられている。
【0023】
フック36には、荷物を引っ掛けて吊ることができる。ウィンチ24によってワイヤロープ35が繰り出されることで、フック36が降下し、ワイヤロープ35が巻き上げられることで、フック36が上昇するようになっている。
【0024】
図1及び図2に示すように、クレーン1には、距離検知手段40が設けられている。距離検知手段40は、クレーン1の走行時に、進行方向にある物体との距離を検知する。距離検知手段40は、例えば、ミリ波レーダや、超音波センサや、LiDAR(Light Detection and Ranging)等にすることができる。
【0025】
物体としては、自動車や、自転車や、人物や、建設物や、工事現場に置かれている建設資材等があげられる。物体は、静止している静止体であっても、移動している移動体であってもよい。
【0026】
距離検知手段40は、第1距離検知手段41と、第2距離検知手段42とを有している。
【0027】
第1距離検知手段41は、車体10の前側(前端)に前方を向いた姿勢で取り付けられている。
【0028】
第2距離検知手段42は、車体10の後側(後端)に後方を向いた姿勢で取り付けられている。
【0029】
図2に示すように、キャビン21には、表示部71が設けられている。表示部71は、画像を表示するモニタとすることができる。
【0030】
車体10には、着脱状態検知手段56が設けられている。着脱状態検知手段56は、例えば、光電センサとすることができる。着脱状態検知手段56は、付属部品の着脱状態を検知する。
【0031】
なお、着脱状態検知手段56は、自動的に入力する光電センサ等に限定されない。すなわち、実際のクレーン作業においては、センサ等がクレーンの作業状態を自動的に検知する場合であっても、その自動的に検知した作業状態で間違いないか否かを、運転者M等の操作者が目視等で最終的に確認を行い、間違いがないことを確認した場合に、確認ボタン等を手動で操作している。したがって、着脱状態検知手段56としては、操作者が手動で確認の意思を入力し、その入力を受け付ける確認ボタン等を適用することもできる。
【0032】
着脱状態検知手段56は、ブーム30の旋回体20への着脱状態を検知する。また、着脱状態検知手段56は、カウンタウェイト55の旋回体20への着脱状態を検知する。
【0033】
車体10には、後述する制御部60により制御される制動装置80が備えられている。制動装置80は、制御部60からの情報によって、走行しているクレーン1を制動する。
【0034】
このように構成されたクレーン1は、ウィンチ24によるワイヤロープ35の繰り出し・巻き上げ、ブーム30の起伏及び伸縮、並びに旋回体20の旋回により、フック36に吊られた荷物を所定の位置に移動させる作業を行うことができる。
【0035】
クレーン1は、ブーム30が旋回体20に取り付けられた状態でも、ブーム30が旋回体20から取り外された状態でも走行可能とする。なお、ブーム30が旋回体20に取り付けられた状態では、クレーン1は、格納された状態で伏した姿勢のブーム30の先端が車体10から前方に突き出した状態で、走行する。
【0036】
また、クレーン1は、カウンタウェイト55が旋回体20に取り付けられた状態でも、カウンタウェイト55が旋回体20から取り外された状態でも走行可能とする。なお、カウンタウェイト55が旋回体20に取り付けられた状態では、クレーン1は、カウンタウェイト55の後端が車体10から後方に突き出した状態で、走行する。
【0037】
[クレーン走行支援装置の機能構成]
図3は、実施例1のクレーン走行支援装置の機能構成を示すブロック図である。図4は、実施例1のブーム30が取り付けられたクレーン1の走行状態を示す側面図である。図5は、実施例1のブーム30が取り外されたクレーン1の走行状態を示す側面図である。図6は、実施例1の表示部71に表示される画像の一例を示す図である。以下、実施例1のクレーン走行支援装置の機能構成を説明する。
【0038】
図3に示すように、クレーン走行支援装置1Aは、第1距離検知手段41が検知した検知情報、又は、第2距離検知手段42が検知した検知情報と、着脱状態検知手段56が検知した検知情報と、が制御部60に入力され、制御部60で処理された処理情報が、制動装置80と表示部71に出力される。
【0039】
第1距離検知手段41は、クレーン1の前方への走行時や発進前等の静止時に使用され、クレーン1の進行方向の物体との距離を検知する。第1距離検知手段41が検知した検知情報は、制御部60に入力される。
【0040】
第2距離検知手段42は、クレーン1の後方への走行時や発進前等の静止時に使用され、クレーン1の進行方向の物体との距離を検知する。第2距離検知手段42が検知した検知情報は、制御部60に入力される。
【0041】
着脱状態検知手段56は、ブーム30の旋回体20への着脱状態を検知する。また、着脱状態検知手段56は、カウンタウェイト55の旋回体20への着脱状態を検知する。着脱状態検知手段56の検知情報は、制御部60に入力される。
【0042】
制御部60は、着脱情報取得部61と、距離情報取得部62と、着脱状態判断部63と、先端判断部64と、離間距離算出部65と、停止制御部66と、を備えている。
【0043】
着脱情報取得部61は、着脱状態検知手段56の検知情報を取得する。距離情報取得部62は、第1距離検知手段41の検知情報、又は、第2距離検知手段42の検知情報を取得する。具体的には、距離情報取得部62は、クレーン1が前方に走行している場合は、第1距離検知手段41の検知情報を取得し、クレーン1が後方に走行している場合は、第2距離検知手段42の検知情報を取得する。
【0044】
着脱状態判断部63は、着脱情報取得部61が取得した着脱状態検知手段56の検知情報に基づいて、ブーム30とカウンタウェイト55が旋回体20に取り付けられているか否かを判断する。
【0045】
先端判断部64は、着脱状態判断部63の判断情報に基づいて、クレーン1の走行方向におけるクレーン1の先端部を判断する。
【0046】
具体的には、クレーン1が前方に走行している場合であって、着脱状態検知手段56がブーム30の取付状態を検知し、ブーム30が旋回体20に取り付けられていると着脱状態判断部63が判断した場合、図4に示すように、先端判断部64は、ブーム30の先端をクレーン1の先端部T1(T)と判断する。
【0047】
クレーン1が前方に走行している場合であって、着脱状態検知手段56がブーム30の取り外し状態を検知し、ブーム30が旋回体20に取り付けられていないと着脱状態判断部63が判断した場合、図5に示すように、先端判断部64は、ブーム30を支持していた起伏シリンダ22の先端をクレーン1の先端部T2(T)と判断する。なお、ブーム30を旋回体20から取り外した状態では、起伏シリンダ22が車体10の前方に突出する。
【0048】
離間距離算出部65は、第1距離検知手段41の検知情報と、先端判断部64の判断した先端部Tとに基づいて、走行中のクレーン1を停止させたときの、物体と、先端部Tとの離間距離を算出する。
【0049】
具体的には、図4に示すように、ブーム30が旋回体20に取りけられたクレーン1が前方に走行して、走行方向の前方の物体Gを検知した場合、離間距離算出部65は、走行中のクレーン1を停止させたときの、物体Gと、先端部T1としてのブーム30の先端との離間距離E1(E)を算出する。
【0050】
図5に示すように、ブーム30が旋回体20から取り外されたクレーン1が前方に走行して、走行方向の前方の物体Gを検知した場合、離間距離算出部65は、走行中のクレーン1を停止させたときの、物体Gと、先端部T2としての起伏シリンダ22の先端との離間距離E2(E)を算出する。
【0051】
なお、離間距離E1は、離間距離E2と同じ距離とすることができるが、離間距離E2より長くすることも、短くすることもできる。
【0052】
停止制御部66は、離間距離算出部65の算出した離間距離Eに基づいて、クレーン1の走行を停止させる指示を制動装置80に与える。すなわち、停止制御部66は、離間距離算出部65の算出した離間距離Eに停止するように、クレーン1の走行を停止させる指示を制動装置80に与える。
【0053】
制動装置80は、停止制御部66から出力された指示に基づいて、クレーン1の制動力を発生させる。すなわち、制動装置80は、停止制御部66から出力された指示に基づいて、走行しているクレーン1を停止させる衝突被害軽減ブレーキとして機能する。
【0054】
なお、停止制御部66は、制動装置80に制動する指示を出力するとともに、又は制動装置80に制動する指示を出力するのに代えて、警報音を発するブザー等の発音装置に対して警報音を発する指示や、警報光を発するインジケータランプ等の点灯装置又は表示装置に警報光を発する指示を出力してもよい。
【0055】
制御部60は、制御部60での処理情報に基づいて、ブーム30の着脱状態を示す表示を表示部71に出力する。
【0056】
表示部71は、着脱状態判断部63の判断情報に基づいて、付属部品の着脱状態を表示する。すなわち、表示部71は、クレーン1の付属部品の着脱状態を表示する。
【0057】
具体的には、着脱状態判断部63が、ブーム30が旋回体20に取り付けられていないと判断した場合、図6に示すように、表示部71は、ブーム30が旋回体20に取り付けられていない状態のクレーン1を表示する。
【0058】
一方、着脱状態判断部63が、ブーム30が旋回体20に取り付けられていると判断した場合、表示部71は、ブーム30が旋回体20に取り付けられている状態のクレーン1を表示する。
【0059】
[制御部による処理]
図7は、実施例1の制御部60による処理の流れを示すフローチャートである。以下、実施例1の制御部60による処理の流れを説明する。
【0060】
クレーン1が前方に走行している場合、図7に示すように、距離情報取得部62は、第1距離検知手段41の検知情報を取得する(ステップS101)。
【0061】
次いで、着脱情報取得部61は、着脱状態検知手段56の検知情報を取得する(ステップS102)。
【0062】
次いで、着脱状態判断部63は、着脱情報取得部61が取得した着脱状態検知手段56の検知情報に基づいて、ブーム30が旋回体20に取り付けられているか否かを判断する(ステップS103)。
【0063】
ブーム30が旋回体20に取り付けられていると判断した場合(ステップS103でYES)、先端判断部64は、ブーム30の先端を先端部T1と判断する(ステップS104)。
【0064】
次いで、離間距離算出部65は、物体Gと、先端部T1としてのブーム30の先端との離間距離E1を算出する(ステップS105)。
【0065】
次いで、制御部60は、ブーム30が旋回体20に取り付けられた状態のクレーン1を表示部71に表示する指示を与える(ステップS106)。
【0066】
次いで、停止制御部66は、離間距離算出部65の算出した離間距離E1に基づいて、クレーン1の走行を停止させる指示を制動装置80に与えて(ステップS107)、処理を終了する。
【0067】
一方、ブーム30が旋回体20に取り付けられてないと判断した場合(ステップS103でNO)、先端判断部64は、ブーム30を支持していた起伏シリンダ22の先端を先端部T2と判断する(ステップS108)。
【0068】
次いで、離間距離算出部65は、物体Gと、先端部T2としての起伏シリンダ22の先端との離間距離E2を算出する(ステップS109)。
【0069】
次いで、制御部60は、ブーム30が旋回体20に取り付けられていない状態のクレーン1を表示部71に表示する指示を与える(ステップS110)。
【0070】
次いで、停止制御部66は、離間距離算出部65の算出した離間距離E2に基づいて、クレーン1の走行を停止させる指示を制動装置80に与えて(ステップS111)、処理を終了する。
【0071】
[クレーン走行支援装置の作用]
以下、実施例1のクレーン走行支援装置1Aの作用を説明する。
【0072】
実施例1のクレーン走行支援装置1Aは、クレーン1の走行を支援するクレーン走行支援装置1Aであって、クレーン1の走行方向における物体Gとの距離を検知する距離検知手段40と、クレーン1に着脱可能に取り付けられる付属部品(ブーム30,カウンタウェイト55)の着脱状態を検知する着脱状態検知手段56と、着脱状態検知手段56の検知情報に基づいて、クレーン1の走行方向における先端部Tを判断する先端判断部64と、距離検知手段40の検知情報と、先端判断部64の判断した先端部Tとに基づいて、走行中のクレーン1を停止させたときの、物体Gと、先端部Tとの離間距離Eを算出する離間距離算出部65と、離間距離算出部65の算出した離間距離Eに基づいて、クレーン1の走行を停止させる停止制御部66と、を備える(図3)。
【0073】
これにより、付属部品(ブーム30,カウンタウェイト55)の着脱状態に応じて、クレーン1の進行方向における先端部Tを特定することができる。そして、特定した先端部Tと物体Gとが離間距離Eだけ離れた位置に、走行中のクレーン1を停止させることができる。そのため、付属部品(ブーム30,カウンタウェイト55)の着脱状態に応じて、走行しているクレーン1を、適切な離間距離Eに停止させることができる。
【0074】
実施例1のクレーン走行支援装置1Aにおいて、付属部品は、旋回体20に着脱可能に取り付けられるブーム30であり、着脱状態検知手段56が、ブーム30の取付状態を検知した場合、先端判断部64は、ブーム30の先端を先端部Tと判断し、着脱状態検知手段56が、ブーム30の取り外し状態を検知した場合、先端判断部64は、ブーム30を支持していた起伏シリンダ22の先端を先端部Tと判断する(図4及び図5)。
【0075】
これにより、ブーム30が旋回体20に取り付けられている状態では、クレーン1の進行方向(前方)における先端部Tをブーム30の先端とすることができる。一方、ブーム30が旋回体20に取り付けられていない状態では、クレーン1の進行方向における先端部Tを起伏シリンダ22の先端とすることができる。そのため、ブーム30の着脱状態に応じて、前方に走行しているクレーン1を、適切な離間距離Eに停止させることができる。
【実施例0076】
実施例2のクレーン走行支援装置は、クレーンの走行方向が異なる点で、実施例1のクレーンと相違する。
【0077】
[クレーン走行支援装置の機能構成]
図8は、実施例2のカウンタウェイト55が取り付けられたクレーンの走行状態を示す側面図である。図9は、実施例2のカウンタウェイト55が取り外されたクレーンの走行状態を示す側面図である。以下、実施例2のクレーン走行支援装置の機能構成を説明する。なお、上記実施例で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一の用語又は同一の符号を用いて説明する。
【0078】
図3に示すように、先端判断部64は、着脱状態判断部63の判断情報に基づいて、クレーン1の走行方向におけるクレーン1の先端部Tを判断する。
【0079】
具体的には、クレーン1が後方に走行している場合であって、着脱状態検知手段56がカウンタウェイト55の取付状態を検知し、カウンタウェイト55が旋回体20に取り付けられていると着脱状態判断部63が判断した場合、図8に示すように、先端判断部64は、カウンタウェイト55の後端をクレーン1の先端部T3(T)と判断する。なお、カウンタウェイト55を旋回体20に取り付けた状態では、カウンタウェイト55が車体10の後方に突出する。
【0080】
クレーン1が後方に走行している場合であって、着脱状態検知手段56がカウンタウェイト55の取り外し状態を検知し、カウンタウェイト55が旋回体20に取り付けられていないと着脱状態判断部63が判断した場合、図9に示すように、先端判断部64は、車体10の後端をクレーン1の先端部T4(T)と判断する。なお、カウンタウェイト55を旋回体20から取り外した状態では、車体10が旋回体20の後方に突出する。
【0081】
離間距離算出部65は、第2距離検知手段42の検知情報と、先端判断部64の判断した先端部Tとに基づいて、走行中のクレーン1を停止させたときの、物体Gと、先端部Tとの離間距離を算出する。
【0082】
具体的には、図8に示すように、カウンタウェイト55が旋回体20に取りけられたクレーン1が後方に走行して、走行方向の前方の物体Gを検知した場合、離間距離算出部65は、走行中のクレーン1を停止させたときの、物体Gと、先端部T3としてのカウンタウェイト55の後端との離間距離E3(E)を算出する。
【0083】
図9に示すように、カウンタウェイト55が旋回体20から取り外されたクレーン1が後方に走行して、走行方向の前方の物体Gを検知した場合、離間距離算出部65は、走行中のクレーン1を停止させたときの、物体Gと、先端部T4としての車体10の後端との離間距離E4(E)を算出する。
【0084】
なお、離間距離E3は、離間距離E4と同じ距離とすることができるが、離間距離E4より長くすることも、短くすることもできる。
【0085】
[制御部による処理]
図10は、実施例2の制御部60による処理の流れを示すフローチャートである。以下、実施例2の制御部60による処理の流れを説明する。
【0086】
クレーン1が後方に走行している場合、図10に示すように、距離情報取得部62は、第2距離検知手段42の検知情報を取得する(ステップS201)。
【0087】
次いで、着脱情報取得部61は、着脱状態検知手段56の検知情報を取得する(ステップS202)。
【0088】
次いで、着脱状態判断部63は、着脱情報取得部61が取得した着脱状態検知手段56の検知情報に基づいて、カウンタウェイト55が旋回体20に取り付けられているか否かを判断する(ステップS203)。
【0089】
カウンタウェイト55が旋回体20に取り付けられていると判断した場合(ステップS203でYES)、先端判断部64は、カウンタウェイト55の後端を先端部T3と判断する(ステップS204)。
【0090】
次いで、離間距離算出部65は、物体Gと、先端部T3としてのカウンタウェイト55の後端との離間距離E3を算出する(ステップS205)。
【0091】
次いで、制御部60は、カウンタウェイト55が旋回体20に取り付けられた状態のクレーン1を表示部71に表示する指示を与える(ステップS206)。
【0092】
次いで、停止制御部66は、離間距離算出部65の算出した離間距離E3に基づいて、クレーン1の走行を停止させる指示を制動装置80に与えて(ステップS207)、処理を終了する。
【0093】
一方、カウンタウェイト55が旋回体20に取り付けられてないと判断した場合(ステップS203でNO)、先端判断部64は、車体10の後端を先端部T4と判断する(ステップS208)。
【0094】
次いで、離間距離算出部65は、物体Gと、先端部T4としての車体10の後端との離間距離E4を算出する(ステップS209)。
【0095】
次いで、制御部60は、カウンタウェイト55が旋回体20に取り付けられていない状態のクレーン1を表示部71に表示する指示を与える(ステップS210)。
【0096】
次いで、停止制御部66は、離間距離算出部65の算出した離間距離E4に基づいて、クレーン1の走行を停止させる指示を制動装置80に与えて(ステップS211)、処理を終了する。
[クレーン走行支援装置の作用]
以下、実施例2のクレーン走行支援装置1Aの作用を説明する。
【0097】
実施例2のクレーン走行支援装置1Aにおいて、付属部品は、車体10より後方に突出した状態で、旋回体20に着脱可能に取り付けられるカウンタウェイト55であり、着脱状態検知手段56が、カウンタウェイト55の取付状態を検知した場合、先端判断部64は、カウンタウェイト55の後端を先端部Tと判断し、着脱状態検知手段56が、カウンタウェイト55の取り外し状態を検知した場合、先端判断部64は、車体10の後端を先端部Tと判断する(図8及び図9)。
【0098】
これにより、カウンタウェイト55が旋回体20に取り付けられている状態では、クレーン1の進行方向(後方)における先端部Tをカウンタウェイト55の後端とすることができる。一方、カウンタウェイト55が旋回体20に取り付けられていない状態では、クレーン1の進行方向における先端部Tを車体10の後端とすることができる。そのため、ブーム30の着脱状態に応じて、後方に走行しているクレーン1を、適切な離間距離Eに停止させることができる。
【0099】
なお、他の構成及び作用効果については、上記実施例と略同様であるので説明を省略する。
【0100】
以上、本発明のクレーン走行支援装置を実施例1及び実施例2に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や各実施例の組み合わせ等は許容される。
【0101】
実施例1及び実施例2では、付属部品をブーム30又はカウンタウェイト55とする例を示した。しかし、付属部品は、この態様に限定されず、アウトリガ11を備えるアウトリガユニット等のクレーン1の少なくとも一部の外縁を形成する着脱可能な部品であればよい。
【0102】
実施例1では、ブーム30が旋回体20から取り外された状態のクレーン1の先端部Tを、起伏シリンダ22の先端とする例を示した。実施例2では、カウンタウェイト55が旋回体20から取り外された状態のクレーン1の先端部Tを、車体10の後端とする例を示した。しかし、先端部は、クレーンの仕様により適宜変更することができる。
【0103】
実施例1及び実施例2では、距離検知手段40として、第1距離検知手段41と、第2距離検知手段42とを備える例を示した。しかし、距離検知手段は、1つであってもよいし、3つ以上設けてもよい。
【0104】
実施例1では、本発明をラフテレーンクレーンに適用する例を示した。しかし、本発明は、走行可能なクレーンに適用することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 クレーン
1A クレーン走行支援装置
20 旋回体
22 起伏シリンダ
30 ブーム(付属部品の一例)
40 距離検知手段
55 カウンタウェイト(付属部品の一例)
56 着脱状態検知手段
64 先端判断部
65 離間距離算出部
66 停止制御部
E 離間距離
G 物体
T 先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10