(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188675
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】サービス提供サーバ、サービス提供システム、及びサービス提供方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20221214BHJP
G06Q 10/04 20120101ALI20221214BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096900
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】521042770
【氏名又は名称】ウーブン・プラネット・ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西城 洋志
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】整備事業者にとって自身が準備しているメンテナンス資源を有効に活用してメンテンナンス需要に応えることの助けになる技術を提供する。
【解決手段】サービス提供サーバ10は、車両の車載機器で取得された車両情報と、車両の走行履歴に関連する環境情報とを車両ごとに収集し蓄積する。次に、蓄積された車両情報と環境情報とに基づいて、車両ごとにメンテナンスの必要性についての予測診断を行い、予測診断の結果に基づいて、メンテナンスの内容と時期とを含むメンテナンス予測情報を車両ごとに生成する。そして、複数の車両についてのメンテナンス予測情報に基づいて、整備事業者30がメンテナンスを提供する地域内でのメンテナンス需要を予測し、メンテナンス需要の予測量と整備事業者30が準備しているメンテナンス資源の準備量とに基づいて、整備事業者30が提示するメンテナンス価格を動的に設定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両に通信ネットワークにより接続されたサービス提供サーバであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサで実行可能な少なくとも1つのプログラムを記憶した少なくとも1つのメモリと、を備え、
前記少なくとも1つのプログラムは、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されたとき、
前記車両ごとにメンテナンスの必要性についての予測診断を行うこと、
前記予測診断の結果に基づいて、前記メンテナンスの内容と時期とを含むメンテナンス予測情報を前記車両ごとに生成すること、
複数の前記車両についての前記メンテナンス予測情報に基づいて、整備事業者がメンテナンスを提供する地域内でのメンテナンス需要を予測すること、及び、
予測された前記メンテナンス需要と前記整備事業者が準備しているメンテナンス資源の準備量とに基づいて、前記整備事業者が提示するメンテナンス価格を動的に設定すること、を前記サービス提供サーバに実行させる
ことを特徴とするサービス提供サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載のサービス提供サーバにおいて、
前記少なくとも1つのプログラムは、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されたとき、前記メンテナンス予測情報を前記車両の管理者に送信すること、を前記サービス提供サーバにさらに実行させる
ことを特徴とするサービス提供サーバ。
【請求項3】
請求項2に記載のサービス提供サーバにおいて、
前記少なくとも1つのプログラムは、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されたとき、動的に設定された最新の前記メンテナンス価格を前記管理者に送信すること、を前記サービス提供サーバにさらに実行させる
ことを特徴とするサービス提供サーバ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のサービス提供サーバにおいて、
前記少なくとも1つのプログラムは、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されたとき、予測された前記メンテナンス需要を前記整備事業者に送信すること、を前記サービス提供サーバにさらに実行させる
ことを特徴とするサービス提供サーバ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のサービス提供サーバにおいて、
前記少なくとも1つのプログラムは、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されたとき、
予測された前記メンテナンス需要と前記メンテナンス資源の前記準備量とに基づいて、前記メンテナンス資源の新規調達量を予測すること、及び、
予測された前記メンテナンス資源の前記新規調達量を前記整備事業者に送信すること、を前記サービス提供サーバにさらに実行させる
ことを特徴とするサービス提供サーバ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のサービス提供サーバにおいて、
前記少なくとも1つのプログラムは、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されたとき、
前記車両の車載機器で取得された予測保全のための車両情報を複数の前記車両から取得すること、
複数の前記車両のそれぞれについて前記車両の走行履歴に関連する環境情報を取得すること、
前記車両情報と前記環境情報とを前記車両ごとに収集し蓄積すること、及び、
蓄積された前記車両情報と前記環境情報とに基づいて、前記車両ごとに前記予測診断を行うこと、を前記サービス提供サーバにさらに実行させる
ことを特徴とするサービス提供サーバ。
【請求項7】
請求項6に記載のサービス提供サーバにおいて、
前記少なくとも1つのプログラムは、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されたとき、予測された前記メンテナンス需要と実際の前記メンテナンス需要とに基づいて、前記予測診断を行うための予測診断モデルを更新すること、を前記サービス提供サーバにさらに実行させる
ことを特徴とするサービス提供サーバ。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のサービス提供サーバに少なくとも複数の前記車両を前記通信ネットワークにより接続してなるサービス提供システムであって、
前記車両は、
車両間で共通のオペレーティングシステムと、前記オペレーティングシステム上で動作し、前記車載機器で取得した予測保全のための前記車両情報を前記サービス提供サーバに送信するアプリケーションと、を記憶した車載メモリと、
前記オペレーティングシステム及び前記アプリケーションを実行する車載プロセッサと、を備える
ことを特徴とするサービス提供システム。
【請求項9】
複数の車両と通信ネットワークにより接続されたコンピュータにより実行されるサービス提供方法であって、
前記車両ごとにメンテナンスの必要性についての予測診断を行うステップ、
前記予測診断の結果に基づいて、前記メンテナンスの内容と時期とを含むメンテナンス予測情報を前記車両ごとに生成するステップ、
複数の前記車両についての前記メンテナンス予測情報に基づいて、整備事業者がメンテナンスを提供する地域内でのメンテナンス需要を予測するステップ、及び、
予測された前記メンテナンス需要と前記整備事業者が準備しているメンテナンス資源の準備量とに基づいて、前記整備事業者が提示するメンテナンス価格を動的に設定するステップ、を含む
ことを特徴とするサービス提供方法。
【請求項10】
請求項9に記載のサービス提供方法において、
前記メンテナンス予測情報を前記車両の管理者に提供するステップをさらに含む
ことを特徴とするサービス提供方法。
【請求項11】
請求項10に記載のサービス提供方法において、
動的に設定された最新の前記メンテナンス価格を前記管理者に提供するステップをさらに含む
ことを特徴とするサービス提供方法。
【請求項12】
請求項9乃至11の何れか1項に記載のサービス提供方法において、
予測された前記メンテナンス需要を前記整備事業者に提供するステップをさらに含む
ことを特徴とするサービス提供方法。
【請求項13】
請求項9乃至12の何れか1項に記載のサービス提供方法において、
予測された前記メンテナンス需要と前記メンテナンス資源の前記準備量とに基づいて、前記メンテナンス資源の新規調達量を予測するステップ、及び、
予測された前記メンテナンス資源の前記新規調達量を前記整備事業者に提供するステップをさらに含む
ことを特徴とするサービス提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の管理者が需要者となり車両のメンテナンスを行う整備工場が供給者となる市場において、少なくとも整備工場にとって有用なサービスを提供するサービス提供サーバ、サービス提供システム、及びサービス提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の消耗品の需要を予測する技術が開示されている。特許文献1に開示された従来技術によれば、各車両において収集された車両情報、及び当該車両におけるメンテナンス結果に基づいて各車両における消耗品の劣化度が算出される。消耗品の劣化度はデータベースに記録され、記録された劣化度の集計に基づいて消耗品の劣化速度が算出される。そして、劣化度と劣化速度と劣化度の閾値と車両の所在位置と整備工場がサービスを提供するエリアとを含む情報に基づいて、整備工場において所定の期間内に交換が必要となり得る消耗品の種類と数量とが算出される。
【0003】
しかし、必要な種類と数量の消耗品を必ずしも事前に準備できるとは限らない。また、交換する消耗品を準備できたとしても、交換のために必要な人員を確保できない場合がある。つまり、特許文献1に開示された従来技術は、メンテナンスの需要が事前に分かったとしても、メンテナンス資源の制約によって需要に応えることができない虞がある。また、メンテナンス資源の不足を危惧するあまりにメンテナンス資源を過剰に抱えてしまい、結果としてメンテナンス資源の管理等に伴うコストが増大してしまう虞も捨てきれない。
【0004】
なお、本開示の技術分野における出願時の技術レベルを示す文献としては、上記特許文献1の他にも下記の特許文献2及び特許文献3を例示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016/071993号
【特許文献2】国際公開第2018/179307号
【特許文献3】特開2020-140245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、上述のような課題に鑑みてなされたものである。本開示は、車両のメンテナンスを提供する整備事業者にとって、自身が準備しているメンテナンス資源を有効に活用してメンテンナンス需要に応えることの助けになる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示はサービス提供サーバを提供する。本開示のサービス提供サーバは、複数の車両に通信ネットワークにより接続されたサーバであって、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサで実行可能な少なくとも1つのプログラムを記憶した少なくとも1つのメモリとを備える。上記少なくとも1つのプログラムは、上記少なくとも1つのプロセッサにより実行されたとき、以下の処理をサービス提供サーバに実行させる。
【0008】
本開示のサービス提供サーバによる第1の処理では、車両ごとにメンテナンスの必要性についての予測診断を行うことが実行される。第2の処理では、予測診断の結果に基づいて、メンテナンスの内容と時期とを含むメンテナンス予測情報を車両ごとに生成することが実行される。第3の処理では、複数の車両についてのメンテナンス予測情報に基づいて、整備事業者がメンテナンスを提供する地域内でのメンテナンス需要を予測することが実行される。そして、第4の処理では、予測されたメンテナンス需要と整備事業者が準備しているメンテナンス資源の準備量とに基づいて、整備事業者が提示するメンテナンス価格を動的に設定することが実行される。
【0009】
本開示において、上記少なくとも1つのプログラムは、上記少なくとも1つのプロセッサにより実行されたとき、以下の付加的な処理をサービス提供サーバに実行させてもよい。1つの付加的な処理では、メンテナンス予測情報を車両の管理者に送信することが実行される。別の付加的な処理では、動的に設定された最新のメンテナンス価格を管理者に送信することが実行される。さらに別の付加的な処理では、予測されたメンテナンス需要を整備事業者に送信することが実行される。また、予測されたメンテナンス需要とメンテナンス資源の準備量とに基づいて、メンテナンス資源の新規調達量を予測し、予測されたメンテナンス資源の新規調達量を整備事業者に送信することをサービス提供サーバに実行させてもよい。
【0010】
さらに、車両の車載機器で取得された予測保全のための車両情報を複数の車両から取得すること、複数の車両のそれぞれから車両の走行履歴に関連する環境情報を取得すること、及び、車両情報と環境情報とを車両ごとに収集し蓄積することをサービス提供サーバに付加的に実行させてもよい。この場合、サービス提供サーバは、蓄積された車両情報と環境情報とに基づいて車両ごとに予測診断を行うことができる。また、予測されたメンテナンス需要と実際のメンテナンス需要とに基づいて、予測診断を行うための予測診断モデルを更新することをサービス提供サーバに付加的に実行させてもよい。
【0011】
本開示はサービス提供システムを提供する。本開示のサービス提供システムは、本開示のサービス提供サーバに少なくとも複数の車両を通信ネットワークにより接続してなるシステムである。本開示のサービス提供システムでは、各車両は車載メモリと車載プロセッサとを備える。車載メモリは、車両間で共通のオペレーティングシステムと、オペレーティングシステム上で動作し、車載機器で取得した予測保全のための車両情報をサーバに送信するアプリケーションとを記憶している。車載プロセッサは、車載メモリに記憶されたオペレーティングシステム及びアプリケーションを実行する。
【0012】
本開示はサービス提供方法を提供する。本開示のサービス提供方法は、複数の車両と通信ネットワークにより接続されたサーバにより実行される方法である。本開示のサービス提供方法は、少なくとも以下のステップを含む。
【0013】
本開示のサービス提供方法が含む第1のステップは、車両ごとにメンテナンスの必要性についての予測診断を行うステップである。第2のステップは、予測診断の結果に基づいて、メンテナンスの内容と時期とを含むメンテナンス予測情報を車両ごとに生成するステップである。第3のステップは、複数の車両についてのメンテナンス予測情報に基づいて、整備事業者がメンテナンスを提供する地域内でのメンテナンス需要を予測するステップである。そして、第4のステップは、予測されたメンテナンス需要と整備事業者が準備しているメンテナンス資源の準備量とに基づいて、整備事業者が提示するメンテナンス価格を動的に設定するステップである。
【0014】
本開示のサービス提供方法は、以下の付加的なステップを含んでもよい。1つの付加的なステップは、メンテナンス予測情報を車両の管理者に提供するステップである。別の付加的なステップは、動的に設定された最新のメンテナンス価格を管理者に提供するステップである。さらに別の付加的なステップは、予測されたメンテナンス需要を整備事業者に提供するステップである。また、本開示のサービス提供方法は、予測されたメンテナンス需要とメンテナンス資源の準備量とに基づいてメンテナンス資源の新規調達量を予測するステップと、予測されたメンテナンス資源の新規調達量を整備事業者に提供するステップとをさらに付加的に含んでもよい。
【0015】
さらに、本開示のサービス提供方法は、車両の車載機器で取得された予測保全のための車両情報を複数の車両から取得するステップと、複数の車両のそれぞれについて車両の走行履歴に関連する環境情報を取得するステップと、車両情報と環境情報とを車両ごとに収集し蓄積するステップとを含んでもよい。この場合、蓄積された車両情報と環境情報とに基づいて車両ごとに予測診断を行うことができる。また、本開示のサービス提供方法は、予測されたメンテナンス需要と実際のメンテナンス需要とに基づいて、予測診断を行うための予測診断モデルを更新するステップをさらに付加的に含んでもよい。
【0016】
さらに、本開示はサービス提供プログラムを提供する。本開示のサービス提供プログラムは、本開示のサービス提供方法をコンピュータに実行させるコードを含むプログラムである。また、本開示は本開示のサービス提供プログラムが記憶されたコンピュータで読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0017】
車両のメンテナンス需要は、整備事業者が提示するメンテナンス価格にてコントロールすることができる。例えば、メンテナンス価格を上げることで、メンテナンス需要を低下させることができる。逆に、メンテナンス価格を下げることで、メンテナンス需要を上昇させることができる。本開示の技術によれば、車両ごとにメンテナンスの必要性について予測診断を行った結果からメンテナンス需要が予測される。そして、予測されたメンテナンス需要と、整備事業者が準備しているメンテナンス資源とに基づいて、整備事業者が提示するメンテナンス価格が動的に設定される。このようなダイナミックプライシングによってメンテナンス需要をコントロールすることで、整備事業者は、自身が準備しているメンテナンス資源を有効に活用してメンテンナンス需要に応えることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の実施形態に係るサービス提供システムの構成を示す概略図である。
【
図2】本開示の実施形態に係るサービス提供サーバの予測診断機能に係る構成と車両の車載システムの構成とを示す概略図である。
【
図3】本開示の実施形態に係るサービス提供サーバのダイナミックプライシング機能に係る構成を示す概略図である。
【
図4】本開示の実施形態に係るサービス提供サーバと車両管理者と整備事業者との間での処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。ただし、以下に示す実施形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る思想が限定されるものではない。また、以下に示す実施形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、本開示に係る思想に必ずしも必須のものではない。
【0020】
1.サービス提供システムの構成とサービス提供サーバの機能
図1は、本開示の実施形態に係るサービス提供システムの構成を示す概略図である。サービス提供システム2は、車両40をメンテナンスする整備事業者30にとって有用なサービスや、車両40を管理する車両管理者20にとって有用なサービスを提供するシステムである。サービス提供システム2は、車両管理者20によって管理される複数の車両40と、車両管理者20と、整備事業者30とがインターネットを含む通信ネットワーク4を介してサービス提供サーバ10に接続されてなる。
【0021】
車両管理者20は、例えば、車両40を用いたサービスを提供するモビリティサービス事業者である。車両40を用いたサービスには、例えば、オンライン配車サービス、カーシェアリングサービス、ライドシェアリングサービスが含まれる。車両管理者20は、通信ネットワーク4に接続可能な端末装置を用いてサービス提供サーバ10に接続されている。
図1では、サービス提供サーバ10に接続された車両管理者20は1つであるが、サービス提供システム2には、複数の車両管理者20が参加することができる。なお、車両管理者20は、車両40を専用する個人或いは法人であってもよい。
【0022】
整備事業者30は、例えば、車両40のメンテナンスを専門で行う整備専門店でもよいし、整備工場を抱えるディーラーでもよい。整備事業者30は、常に一定量のメンテナンス資源を準備している。整備事業者30によって準備されるメンテナンス資源は、物的資源である車両40のメンテナンス対象部品(以下、単にパーツとも呼ぶ)と、人的資源であるメンテナンス作業のための作業人員とを含む。特に準備されるパーツは消耗品であり、作業人員は具体的には整備士である。整備事業者30は、通信ネットワーク4に接続可能な端末装置を用いてサービス提供サーバ10に接続されている。
図1では、サービス提供サーバ10に接続された整備事業者30は1つであるが、サービス提供システム2には、複数の整備事業者30が参加することができる。
【0023】
サービス提供システム2において管理及び整備の対象となる車両40には、例えば、内燃機関自動車(ICEV)、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、及び燃料電池自動車(FCV)が含まれる。運転方法で区別した場合、車両40は、例えば、運転者により運転される車両でもよいし、自動運転車両でもよいし、遠隔運転者により遠隔運転される遠隔運転車両でもよい。また、用途で区別した場合、車両40は、例えば、個人或いは法人により専用される車両でもよいし、モビリティサービス用の車両でもよい。
【0024】
サービス提供サーバ10は、車両管理者20とも整備事業者30とも異なる中立のサービス提供事業者によって運営されている。サービス提供事業者は、車両管理者20と整備事業者30のそれぞれからサービス料金を受け取り、サービス提供サーバ10が有する機能を用いて車両管理者20と整備事業者30にサービスを提供している。以下、サービス提供サーバ10が有する機能について説明する。
【0025】
サービス提供サーバ10は、車両40ごとにメンテナンスの必要性についての予測診断を行う機能を有している。この予測診断を行うため、サービス提供サーバ10は、各車両40から予測保全のための車両情報を取得するとともに、情報提供業者50から気象情報などの環境情報を取得する。サービス提供サーバ10が有する予測診断機能については追って詳細に説明する。
【0026】
また、サービス提供サーバ10は、予測診断の結果に基づいて車両40ごとにメンテナンス予測情報を生成する機能を有している。メンテナンス予測情報は、車両40に対して施すことが推奨されるメンテナンスの内容と時期とを含む情報である。メンテナンスの内容には、点検箇所や交換すべき消耗品のリストが含まれている。メンテナンスの時期としては、例えば、何年何月頃とおおよその目安が示される。
【0027】
サービス提供サーバ10は、後述するダイナミックプライシング機能によって動的に設定されるメンテナンス価格とともに、メンテナンス予測情報を車両管理者20に送信する。車両管理者20は、車両40ごとに生成されたメンテナンス予測情報を受け取ることにより、各車両40に対して過不足のないメンテナンスを丁度良い時期に受けさせることができる。その結果、車両管理者20にとっては、車両40のメンテナンスコストを低減することができる。
【0028】
また、サービス提供サーバ10は、車両40ごとに生成されたメンテナンス予測情報を集計し、整備事業者30がメンテナンスを提供する地域内でのメンテナンス需要を予測する機能を有している。整備事業者30がメンテナンスを提供する地域は、例えば、X市やY区などのように行政区で特定されてもよいし、整備事業者30の所在地を中心に周囲半径Zkm以内などのように距離で特定されてもよい。整備事業者30がメンテナンスを提供する地域においてモビリティサービス事業を展開している車両管理者20や、同地域において車両40を所有している車両管理者20は、整備事業者30にとっての潜在的な顧客となる。
【0029】
サービス提供サーバ10は、地域のメンテナンス需要の予測(以下、地域メンテナンス需要予測と呼ぶ)を整備事業者30に送信する。整備事業者30は、地域メンテナンス需要予測を受け取ることにより、前もって準備しておくべきメンテナンス資源の準備量を最適化することができる。地域メンテナンス需要予測は、車両管理者20に送られるメンテナンス予測情報とリンクしているので、車両管理者20と整備事業者30との間において、車両40のメンテナンスに対する需要と供給とのバランスが崩れることは抑えられる。
【0030】
また、サービス提供サーバ10は、整備事業者30が現時点で準備しているメンテナンス資源の準備量に関する情報、具体的には、パーツの在庫と人員業務計画とを受信する。そして、地域メンテナンス需要予測とメンテナンス資源の準備量とに基づき、メンテナンス資源の新規調達量を予測する。予測されるメンテナンス資源の新規調達量には、パーツの予測発注量と作業人員の予測手配人数とが含まれる。例えば、メンテナンス資源の準備量が地域メンテナンス需要予測に対して不足しているのであれば、地域メンテナンス需要予測に見合ったメンテナンス資源を準備できるように新規調達量が計算される。サービス提供サーバ10は、予測されたメンテナンス資源の新規調達量を整備事業者30に送信する。
【0031】
さらに、サービス提供サーバ10は、地域メンテナンス需要予測とメンテナンス資源の準備量とに基づき、整備事業者30が提示するメンテナンス価格を動的に設定する。例えば、メンテナンス資源の準備量が地域メンテナンス需要予測に対して不足している場合、提示するメンテナンス価格を上げることで、メンテナンス需要を低下方向に進めることができる。逆に、メンテナンス資源の準備量が地域メンテナンス需要予測に対して過剰である場合、提示するメンテナンス価格を下げることで、メンテナンス需要を上昇方向に進めることができる。このようなダイナミックプライシングによってメンテナンス需要をコントロールすることで、整備事業者30は、自身が準備しているメンテナンス資源を有効に活用してメンテンナンス需要に応えることができるようになる。
【0032】
また、サービス提供サーバ10は、メンテナンスの受付、注文、及び予約を仲介する。まず、サービス提供サーバ10は、車両管理者20からメンテナンス計画を受け付ける。メンテナンス計画には、メンテナンスを受ける車両40のID、メンテナンスの内容、及びメンテナンスの希望時期などが含まれる。車両管理者20は、前述のメンテナンス予測情報に基づいて車両40ごとにメンテンナンス計画を立てることができる。
【0033】
次に、サービス提供サーバ10は、車両管理者20から受け付けたメンテナンス計画を整備事業者30のパーツ在庫及び人員業務計画に照らし合わせ、メンテナンスの日程を確定する。メンテナンスの日程が定まった場合、サービス提供サーバ10は、整備事業者30に対してメンテナンスの注文を入れる。メンテナンスの注文には、メンテナンスを受ける車両40のID、メンテナンスの内容、及びメンテナンスの日程などが含まれる。また、サービス提供サーバ10は、車両管理者20に対しては、予約されたメンテナンスの内容と日程、及びメンテナンス価格を通知する。
【0034】
以上の機能を有するサービス提供サーバ10は、少なくとも1つのプロセッサ10a(以下、総称してプロセッサと呼ぶ)とプロセッサ10aに結合された少なくとも1つのメモリ10b(以下、総称してメモリと呼ぶ)とを備えるコンピュータ或いはコンピュータ群である。メモリ10bには、プロセッサ10aで実行可能な少なくとも1つのプログラム10c(以下、総称してプログラムと呼ぶ)とそれに関連する種々のデータとが記憶されている。プログラム10cがプロセッサ10aで実行されることにより、上述の各機能がサービス提供サーバ10において実現される。なお、メモリ10bは主記憶装置と補助記憶装置とを含む。プログラム10c及びデータは、主記憶装置に記憶されることもできるし、補助記憶装置であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されることもできる。
【0035】
2.サービス提供サーバの予測診断機能の詳細
次に、サービス提供サーバ10の予測診断機能の詳細について
図2を用いて説明する。
図2には、サービス提供サーバ10の予測診断機能に係る構成と、予測診断で用いる車両情報を取得するための車両40の車載システムの構成とが表されている。
【0036】
サービス提供サーバ10による予測診断では、車両40で取得された予測保全のための車両情報と、各車両40の走行履歴に関連する環境情報とが用いられる。環境情報は、気象情報提供会社などの情報提供業者50から配信される。情報提供業者50は、気象情報データベース52、酸性雨情報データベース54、空気質情報データベース56などの環境情報を記憶した各種のデータベースを有している。これらのデータベースに登録された環境情報の中から、サービス提供サーバ10から要求された情報、具体的には、車両40の品質に影響を与える環境条件に関する情報が定期的にサービス提供サーバ10に配信される。車両40の品質に影響を与える環境条件とは、例えば、天候、気温、湿度、酸性雨、空気質等である。
【0037】
車両情報は、車両40の車載機器、例えば、内部センサ44、外部センサ46、及びアクチュエータ48によって取得される。内部センサ44は、典型的には、車両40の運動に関する情報を取得する状態センサである。状態センサとしては、例えば、車輪速センサ、加速度センサ、角速度センサ、及び舵角センサが例示される。外部センサ46は、典型的には、車両40の周囲の状況を認識するための情報を取得する認識センサである。認識センサとしては、カメラ、LiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)、及びミリ波レーダが例示される。また、外部センサ46には、自己位置を推定するためのGPSセンサも含まれる。GPSセンサからは車両40の走行履歴に関する情報が取得される。アクチュエータ48は、典型的には、車両40を操舵する操舵装置、車両40を駆動する駆動装置、及び車両40を制動する制動装置である。アクチュエータ48からは、アクチュエータ48の動作状態を示す情報が取得される。
【0038】
車両40は、ECU(Electronic Control Unit)42を備える。上述の車載機器で取得された各種の情報はECU42に入力される。ECU42は、少なくとも1つの車載プロセッサ420(以下、総称して車載プロセッサと呼ぶ)と車載プロセッサ420に結合された少なくとも1つの車載メモリ422(以下、総称して車載メモリと呼ぶ)とを備えている。車載メモリ422には、サービス提供システム2において管理及び整備の対象となる車両40間で共通のオペレーティングシステム424と、オペレーティングシステム424上で動作するアプリケーション426とが記憶されている。
【0039】
アプリケーション426には、車載機器で取得された予測保全のための車両情報をサービス提供サーバ10に送信するためのアプリケーションが含まれる。オペレーティングシステム424及びアプリケーション426が車載プロセッサ420によって実行されることで、内部センサ44、外部センサ46、及びアクチュエータ48を含む車載機器で取得された車両情報がサービス提供サーバ10に送信される。ECU42による車両情報の送信は定期的に行われる。
【0040】
本実施形態では、サービス提供システム2において管理及び整備の対象となるいずれの車両40も、車両40間で共通のオペレーティングシステム424を有している。そのため、車両40ごとのハードウェアの違いはオペレーティングシステム424で吸収される。また、車両40間で共通のオペレーティングシステム424により、車両40ごとの情報の定義のばらつきは無くなり、サービス提供サーバ10で要求される情報への加工が容易になる。結果、サービス提供システム2において車両40から得られる車両情報は、共通のオペレーティングシステム424を有しない車両から得られる車両情報に比較して、質と量の双方において向上する。
【0041】
サービス提供サーバ10は、車両品質情報データベース11、車両メンテナンス記録データベース12、相関係数計算部13、及び予測診断部14を備える。車両品質情報データベース11及び車両メンテナンス記録データベース12は、メモリ10bに格納されている。相関係数計算部13及び予測診断部14は、プログラム10cがプロセッサ10aで実行されることにより、サービス提供サーバ10の機能として実現される。
【0042】
サービス提供サーバ10は、車両40から送信される車両情報と情報提供業者50から提供される環境情報とを収集する。収集された車両情報と環境情報とは、車両品質情報データベース11に蓄積される。予測診断部14は、車両40ごとに車両品質情報データベース11から車両情報を取得するとともに、車両情報に含まれる車両40の走行履歴に基づき、車両40の走行履歴に関連する環境情報を車両品質情報データベース11から抽出する。例えば、車両40が運転されていた地域で酸性雨が降っていたという情報や、車両40が駐車されていた場所が高湿度であったという情報を抽出する。
【0043】
予測診断部14は、車両品質情報データベース11から取得した車両情報と、車両40の走行履歴に関連する環境情報とに基づいて車両40ごとにメンテナンス対象部品に対する予測診断を行う。車両情報からは、メンテナンス対象部品の劣化度や劣化速度に関する情報、及び、故障の兆候に関する情報を得ることができる。これらの情報に車両40が晒されてきた環境に関する環境情報を組み合わせることで、メンテナンスの要否を正確に判断することが可能となる。予測診断部14による予測診断には、予測診断モデルが用いられる。予測診断モデルとしては、例えば、ベイズ理論や深層学習を用いた機械学習モデルを用いることができる。
【0044】
車両メンテナンス記録データベース12には、車両40ごとのメンテナンスの実績が記録されている。記録されるメンテナンスの実績には、メンテナンスが実施された日時と、交換された部品名を含むメンテナンスの内容とが含まれる。相関係数計算部13は、車両品質情報データベース11に蓄積された情報に基づくメンテナンスの予測と、車両メンテナンス記録データベース12に記録されたメンテナンスの実績とを突き合わせて相関係数(或いは相関関数でもよい)を計算する。相関係数計算部13で計算された相関係数は、予測診断部14で用いられる予測診断モデルの更新に用いられる。相関係数計算部13による相関係数の計算と、それを用いた予測診断モデルの更新は定期的に繰り返し行われる。
【0045】
以上のように、サービス提供サーバ10では、質と量の双方において向上した車両情報が各車両40から取得されるとともに、車両40の品質に影響を与える環境条件に関連する環境情報が取得される。メンテナンスの必要性についての予測診断において、個々の車両40で取得される車両情報に加えて、外的要因である環境情報も用いることにより、予測診断の精度を高めることができる。さらに、予測診断で用いられる予測診断モデルは、車両40ごとのメンテナンスの実績を踏まえて繰り返し更新されるので、予測診断の精度は時間を追って向上していく。サービス提供サーバ10では、このように高い精度で行われた予測診断の結果に基づいて、車両管理者20向けのメンテナンス予測情報と、整備事業者30向けの地域メンテナンス需要予測とがそれぞれ生成される。
【0046】
3.サービス提供サーバのイナミックプライシング機能の詳細
次に、サービス提供サーバ10のダイナミックプライシング機能の詳細について
図3を用いて説明する。
図3には、サービス提供サーバ10のダイナミックプライシング機能に係る構成が表されている。
【0047】
サービス提供サーバ10は、シミュレーション部15、地域メンテナンス需要予測データベース16、計画メンテナンス作業データベース17、及びパーツ在庫データベース18を備える。各データベース16,17,18は、メモリ10bに格納されている。シミュレーション部15は、プログラム10cがプロセッサ10aで実行されることにより、サービス提供サーバ10の機能として実現される。
【0048】
地域メンテナンス需要予測データベース16には、各地域における地域メンテナンス需要予測が記憶される。計画メンテナンス作業データベース17には、整備事業者30から送信される人員業務計画が記憶される。パーツ在庫データベース18には、整備事業者30から送信されるパーツ在庫が記憶される。シミュレーション部15は、これらのデータベース16,17,18から取得した情報を用いて需要在庫シミュレーションを行う。需要在庫シミュレーションでは、整備事業者30が地域メンテナンス需要予測に見合ったメンテナンス資源を準備するために必要なメンテナンス資源の新規調達量が予測される。メンテナンス資源の新規調達量には、パーツの予測発注量と作業人員の予測手配人数とが含まれる。
【0049】
また、シミュレーション部15は、上記のデータベース16,17,18から取得した情報を用いて、整備事業者30が有するメンテナンス資源を最大限に有効活用できるメンテナンス価格をシミュレーションする。具体例として、機械学習によるダイナミックプライシングが行われる。ダイナミックプライシングにより設定されたメンテナンス価格は、サービス提供サーバ10から車両管理者20に対して提示される。
【0050】
このように、サービス提供システム2では、メンテナンス価格の設定は、整備事業者30に代わってサービス提供サーバ10が行う。サービス提供サーバ10は、ダイナミックプライシングに必要な需要と供給の両方の情報を有するとともに、車両管理者20にも整備事業者30にも属しない中立の存在である。このため、サービス提供サーバ10により動的に設定されるメンテナンス価格は、車両管理者20と整備事業者30のどちらか一方に偏ることのない、市場に連動した公平な価格となる。このような理由により、整備事業者30は、メンテナンス価格の設定をサービス提供サーバ10に安心して任せることができる。また、車両管理者20は、サービス提供サーバ10から提示されるメンテナンス価格を信用して受け入れることができる。
【0051】
4.サービス提供サーバと車両管理者と整備事業者との間での処理の流れ
以上、サービス提供サーバ10の機能を中心に、サービス提供システム2の機能について説明した。続いて、サービス提供サーバ10と車両管理者20と整備事業者30との間での処理の流れを
図4のシーケンス図を用いて説明する。このシーケンス図における処理の流れは、サービス提供サーバ10により実行されるサービス提供方法を表してもいる。
【0052】
例えば、車両管理者20がモビリティサービス事業を展開する場合、車両管理者20は、サービス提供システム2によるサービスを享受するにあたって車両40のフリートを購入する。そして、購入したフリートに関するフリート情報をサービス提供サーバ10に提供する(ステップS210)。フリート情報には、例えば、フリートに含まれる車両40ごとのID、車種、メンテナンス対象部品などの情報が含まれる。サービス提供サーバ10は、車両管理者20から提供を受けたフリート情報をデータベースに登録する(ステップS110)。
【0053】
車両管理者20は、車両40のフリートを運営する中で各車両40から取得した車両情報をサービス提供サーバ10に提供する(ステップS220)。サービス提供サーバ10は、車両管理者20から取得した車両情報と、車両40の走行履歴に関連する環境情報とを車両品質情報として記録する(ステップS120)。
【0054】
サービス提供サーバ10は、車両品質情報に基づいて車両管理者20向けのメンテナンス予測、すなわち、メンテナンスの必要性についての予測診断を行う。そして、予測診断の結果に基づいてメンテナンス予測情報を作成し、それを車両管理者20に提供する(ステップS130)。このとき提供されるメンテナンス予測情報には、後段のダイナミックプライシング処理によって設定された現在のメンテナンス価格が付されている。車両管理者20は、提供されたメンテナンス予測情報に基づいてメンテナンス計画を作成する(ステップS230)。
【0055】
次に、サービス提供サーバ10は、メンテナンス予測情報に基づいて整備事業者30向けのメンテナンス予測、すなわち、整備事業者30がメンテナンスを提供する地域内でのメンテナンス需要の予測を行う。そして、その予測結果に基づいて地域メンテナンス需要予測を作成し、それを整備事業者30に提供する(ステップS140)。整備事業者30は、提供された地域メンテナンス需要予測をそのまま利用するか、或いは、それを基礎として需要予測を行う(ステップS310)。
【0056】
整備事業者30は、保有しているパーツの在庫を確認し、パーツの在庫に関する情報をサービス提供サーバ10に提供する(ステップS320)。また、整備事業者30は、メンテナンス作業を行う作業人員の業務計画を策定し、人員業務計画に関する情報をサービス提供サーバ10に提供する(ステップS330)。サービス提供サーバ10は、提供されたパーツ在庫情報及び人員業務計画情報と、地域メンテナンス需要予測とに基づいて需要在庫シミュレーションを実施する(ステップS150)。需要在庫シミュレーションの結果は整備事業者30に提供される。
【0057】
整備事業者30は、需要在庫シミュレーションの結果として提供されるパーツの予測発注量と作業人員の予測手配人数とに基づいて、準備しておくパーツと作業人員のそれぞれの計画を修正する(ステップS340)。そして、修正された計画に基づいてパーツの発注と作業人員の手配とを行う(ステップS350)。整備事業者30は、都度、現状のパーツの在庫状態と作業予定を更新し、それらに関する情報をサービス提供サーバ10に提供する(ステップS360)。また、車両管理者20は、現在の確定したメンテナンス計画をサービス提供サーバ10に提供する(ステップS240)。
【0058】
サービス提供サーバ10は、パーツ在庫情報及び人員業務計画情報と、地域メンテナンス需要予測とに基づいたダイナミックプライシングによってメンテナンス価格を設定する。設定されたメンテナンス価格はステップS130の処理にフィードバックされる。また、サービス提供サーバ10は、車両管理者20と整備事業者30との間の取引を管理する。詳しくは、サービス提供サーバ10は、車両管理者20から受け付けたメンテナンス計画を整備事業者30のパーツの在庫状態と作業予定に照らし合わせ、メンテナンスの日程を確定する。メンテナンスの日程の確定後、サービス提供サーバ10は、整備事業者30に対してメンテナンスの注文を入れるとともに、車両管理者20に対してメンテナンスの予約の確定とメンテナンス価格とを通知する。メンテンナンスが実施された場合、その実績に関する情報はステップS130、S140、及びS150の処理にフィードバックされる(以上、ステップS160)。
【符号の説明】
【0059】
2 サービス提供システム
4 通信ネットワーク
10 サービス提供サーバ
10a プロセッサ
10b メモリ
10c プログラム
11 車両品質情報データベース
12 車両メンテナンス記録データベース
13 相関係数計算部
14 予測診断部
15 シミュレーション部
16 地域メンテナンス需要予測データベース
17 計画メンテナンス作業データベース
18 パーツ在庫データベース
20 車両管理者
30 整備事業者
40 車両
42 ECU
44 内部センサ(車載機器)
46 外部センサ(車載機器)
48 アクチュエータ(車載機器)
420 車載プロセッサ
422 車載メモリ
424 オペレーティングシステム
426 アプリケーション
50 情報提供業者