(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188679
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】画像形成方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 5/05 20060101AFI20221214BHJP
G03G 5/147 20060101ALI20221214BHJP
G03G 9/087 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
G03G5/05 101
G03G5/05 104B
G03G5/147 502
G03G5/147 504
G03G9/087 325
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096905
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】満田 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】時光 亮一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 武
【テーマコード(参考)】
2H068
2H500
【Fターム(参考)】
2H068AA03
2H068AA04
2H068AA13
2H068AA14
2H068AA37
2H068BB07
2H068BB31
2H068BB51
2H068BB52
2H500AA01
2H500CA04
2H500EA14A
2H500EA42B
(57)【要約】
【課題】 出力画像に画像スジを形成させにくい画像形成方法を提供すること。
【解決手段】 帯電工程と、像露光工程と、現像工程と、転写工程と、クリーニング工程と、定着工程と、を有する画像形成方法であって、トナーはトナー粒子を含有し、トナー粒子は、式(1)で示されるユニットA1を有する樹脂Aを含有し、電子写真感光体は、(i)フッ素含有樹脂粒子と、(ii)式(2)で示されるユニットB1、及び式(3)で示されるユニットB2を有するフッ素系ポリマーBと、を含む表面層を有することを特徴とする画像形成方法。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真感光体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電された該電子写真感光体の表面に像露光光を照射して該電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する像露光工程と、
該静電潜像をトナーにより現像して該電子写真感光体の表面にトナー像を形成する現像工程と、
該トナー像を該電子写真感光体の表面から転写材に転写する転写工程と、
該転写工程の後に該電子写真感光体の表面に残留するトナーを、クリーニングブレードを用いて除去するクリーニング工程と、
該転写材に転写された該トナー像を該転写材に定着する定着工程と、
を有する画像形成方法であって、
該トナーはトナー粒子を含有し、
該トナー粒子は、下記式(1)で示されるユニットA1を有する樹脂Aを含有し、
【化1】
(式(1)中、R
Z1は、水素原子又はメチル基を表し、R
Z2は、炭素数18~36のアルキル基を表す。)
該電子写真感光体は、
(i)フッ素含有樹脂粒子と、
(ii)下記式(2)で示されるユニットB1、及び下記式(3)で示されるユニットB2を有するフッ素系ポリマーBと、
を含む表面層を有する
ことを特徴とする画像形成方法。
【化2】
(上記式(2)、及び上記(3)中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、各々独立に、水素原子、又はアルキル基を表す。Xは、アルキレン基、ハロゲン置換アルキレン基、-S-、-O-、-NH-、又は単結合を表す。Yは、アルキレン基、ハロゲン置換アルキレン基、ヒドロキシ基を有するアルキレン基、又は単結合を表す。Zは、-O-、又は-NH-を表す。m1、m2、及びm3は、各々独立に、1以上の整数を表す。n1、n2、n3、及びn4は、各々独立に、0以上の整数を表す。nfは、1~5の整数を表す。)
【請求項2】
該式(2)において、nfが2又は3である、請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
該フッ素含有樹脂粒子が、ポリテトラフルオロエチレン粒子であり、
該ポリテトラフルオロエチレン粒子の1次粒子の個数平均粒径が、150nm以上195nm以下であり、
該ポリテトラフルオロエチレン粒子のうち、1次粒子径が150nm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子の存在比率が10%以上、であり、
該ポリテトラフルオロエチレン粒子のうち、1次粒子径が250nm以上のポリテトラフルオロエチレン粒子の存在比率が5%以下である、
請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
該フッ素含有樹脂粒子が、ポリテトラフルオロエチレン粒子であり、
該ポリテトラフルオロエチレン粒子の数平均分子量が、12000以上20000以下である
請求項1~3の何れか一項に記載の画像形成方法。
【請求項5】
該ユニットA1の含有割合が、該樹脂Aの質量に対して、20.0質量%以上である、請求項1~4の何れか一項に記載の画像形成方法。
【請求項6】
該樹脂Aの含有割合が、該トナー粒子の質量に対して、40.0質量%以上である、請求項1~5の何れか一項に記載の画像形成方法。
【請求項7】
該トナーの軟化点が、70℃以上120℃以下である、請求項1~6の何れか一項に記載の画像形成方法。
【請求項8】
該電子写真感光体が、支持体、該支持体上の電荷発生層、及び該電荷発生層上の電荷輸送層を有し、
該電荷輸送層が該表面層である
請求項1~7の何れか一項に記載の画像形成方法。
【請求項9】
該電子写真感光体が、支持体、該支持体上の電荷発生層、該電荷発生層上の電荷輸送層、及び該電荷輸送層上の保護層を有し、
該保護層が該表面層である請求項1~7の何れか一項に記載の画像形成方法。
【請求項10】
電子写真装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、
該プロセスカートリッジは、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段を一体に支持し、
該プロセスカートリッジは、トナー及び電子写真感光体を有し、
該トナーはトナー粒子を含有し、
該トナー粒子は、下記式(1)で示されるユニットA1を有する樹脂Aを含有し、
【化3】
(式(1)中、R
Z1は、水素原子又はメチル基を表し、R
Z2は、炭素数18~36のアルキル基を表す。)
該電子写真感光体は、
(i)フッ素含有樹脂粒子と、
(ii)下記式(2)で示されるユニットB1、及び下記式(3)で示されるユニットB2を有するフッ素系ポリマーBと、
を含む表面層を有する
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【化4】
(上記式(2)、及び上記(3)中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、各々独立に、水素原子、又はアルキル基を表す。Xは、アルキレン基、ハロゲン置換アルキレン基、-S-、-O-、-NH-、又は単結合を表す。Yは、アルキレン基、ハロゲン置換アルキレン基、ヒドロキシ基を有するアルキレン基、又は単結合を表す。Zは、-O-、又は-NH-を表す。m1、m2、及びm3は、各々独立に、1以上の整数を表す。n1、n2、n3、及びn4は、各々独立に、0以上の整数を表す。nfは、1~5の整数を表す。)
【請求項11】
帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段、及びクリーニング手段を有する画像形成装置であって、
該画像形成装置はトナー及び電子写真感光体を有し、
該トナーはトナー粒子を含有し、
該トナー粒子は、下記式(1)で示されるユニットA1を有する樹脂Aを含有し、
【化5】
(式(1)中、R
Z1は、水素原子又はメチル基を表し、R
Z2は、炭素数18~36のアルキル基を表す。)
該電子写真感光体は、
(i)フッ素含有樹脂粒子と、
(ii)下記式(2)で示されるユニットB1、及び下記式(3)で示されるユニットB2を有するフッ素系ポリマーBと、
を含む表面層を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【化6】
(上記式(2)、及び上記(3)中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、各々独立に、水素原子、又はアルキル基を表す。Xは、アルキレン基、ハロゲン置換アルキレン基、-S-、-O-、-NH-、又は単結合を表す。Yは、アルキレン基、ハロゲン置換アルキレン基、ヒドロキシ基を有するアルキレン基、又は単結合を表す。Zは、-O-、又は-NH-を表す。m1、m2、及びm3は、各々独立に、1以上の整数を表す。n1、n2、n3、及びn4は、各々独立に、0以上の整数を表す。nfは、1~5の整数を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は画像形成方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機電子写真感光体(以下、「電子写真感光体」と称する)として、表面層に、フッ素樹脂含有樹脂粒子を含有させた電子写真感光体が提案されている。例えば特許文献1では、フッ素系樹脂微粒子と、特定のユニットを含むフッ化アルキル基含有共重合体を含有する表面層により、優れた画質維持性を有する電子写真感光体が得られることが開示されている。
【0003】
また、近年、画像形成装置のエネルギー使用量を少なくするため、低温で定着できるトナーが求められている。例えば特許文献2では、炭素数が18以上のアルキル基を持つポリアルキル(メタ)アクリレートであり、かつカルボキシ基含有モノマーを10~50モル%の割合で有する結晶性樹脂により、優れた低温定着性を有するトナーが得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-200418号公報
【特許文献2】特開2007-193069号公報
【特許文献3】特開2009-104145号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】高分子論文集, Vol.36, No.6, pp.393-399(1979)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らの検討の結果、長鎖アルキル基を有するポリアルキル(メタ)アクリレートを含有するトナーと、特許文献1に記載の電子写真感光体とを用いて画像を形成すると、出力画像に画像スジが生じやすくなる場合があることを発見した。
【0007】
本開示の一態様は、出力画像に画像スジを形成させにくい画像形成方法の提供に向けたものである。
【0008】
また、本開示の他の態様は、本開示に係る画像形成方法で用いるプロセスカートリッジの提供に向けたものである。
【0009】
また、本開示の他の態様は、本開示に係る画像形成方法で用いる画像形成装置の提供に向けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様によれば、電子写真感光体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電された該電子写真感光体の表面に像露光光を照射して該電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する像露光工程と、
該静電潜像をトナーにより現像して該電子写真感光体の表面にトナー像を形成する現像工程と、
該トナー像を該電子写真感光体の表面から転写材に転写する転写工程と、
該転写工程の後に該電子写真感光体の表面に残留するトナーを、クリーニングブレードを用いて除去するクリーニング工程と、
該転写材に転写された該トナー像を該転写材に定着する定着工程と、
を有する画像形成方法であって、
該トナーはトナー粒子を含有し、
該トナー粒子は、下記式(1)で示されるユニットA1を有する樹脂Aを含有し、
【0011】
【0012】
(式(1)中、RZ1は、水素原子又はメチル基を表し、RZ2は、炭素数18~36のアルキル基を表す。)
該電子写真感光体は、
(i)フッ素含有樹脂粒子と、
(ii)下記式(2)で示されるユニットB1、及び下記式(3)で示されるユニットB2を有するフッ素系ポリマーBと、
を含む表面層を有する
ことを特徴とする画像形成方法が提供される。
【0013】
【0014】
(上記式(2)、及び上記(3)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、又はアルキル基を表す。Xは、アルキレン基、ハロゲン置換アルキレン基、-S-、-O-、-NH-、又は単結合を表す。Yは、アルキレン基、ハロゲン置換アルキレン基、ヒドロキシ基を有するアルキレン基、又は単結合を表す。Zは、-O-、又は-NH-を表す。m1、m2、及びm3は、各々独立に、1以上の整数を表す。n1、n2、n3、及びn4は、各々独立に、0以上の整数を表す。nfは、1~5の整数を表す。)
また、本開示の他の態様によれば、電子写真装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、
該プロセスカートリッジは、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段を一体に支持し、
該プロセスカートリッジは、本開示に係るトナー及び本開示に係る電子写真感光体を有することを特徴とするプロセスカートリッジが提供される。
【0015】
また、本開示の他の態様によれば、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段、及びクリーニング手段を有する画像形成装置であって、
該画像形成装置が、本開示に係るトナー及び本開示に係る電子写真感光体を有することを特徴とする、画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一態様によれば、出力画像に画像スジを形成させにくい画像形成方法を提供できる。
【0017】
また、本開示の他の態様によれば、本開示に係る画像形成方法で用いるプロセスカートリッジを提供できる。
【0018】
また、本開示の他の態様によれば、本開示に係る画像形成方法で用いる画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。また、本開示において、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
【0021】
<発明に至った経緯>
上述したように、長鎖アルキル基を有するポリアルキル(メタ)アクリレートをトナーに含有させることで、優れた低温定着性を有するトナーが得られやすい。また、本発明者らが上記のトナーについて検討した結果、トナーの滑り性が高まりやすいことを発見した。トナーの滑り性が高まるのは、長鎖アルキル基を有するポリアルキル(メタ)アクリレートにおいて、ポリマーの側鎖部分に存在する長鎖アルキル基が集合することで、密な結晶性部位が形成されやすいことに由来していると本発明者ら考えている。
【0022】
また、上記の長鎖アルキル基を有するポリアルキル(メタ)アクリレートを含有するトナーと、特許文献1に記載の電子写真感光体とを用いて画像を形成すると、画像スジが生じやすくなる場合があることを、本発明者らは発見した。この理由について、本発明者らは以下のように推測している。
【0023】
特許文献1に記載の、フッ素系樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体を含む表面層を有する電子写真感光体を用いて画像出力を行うと、フッ化アルキル基含有共重合体の一部がクリーニングブレードに削り取られ、付着する場合があると考えられる。その結果、滑り性が高いフッ化アルキル基含有共重合体により、クリーニングブレードと電子写真感光体の表面層との間の滑り性が高まりやすくなると考えられる。この状態で、滑り性が高い上記のトナーを使用すると、クリーニングブレードと電子写真感光体の表面層との間を、トナーがすり抜けやすくなると考えられ、このすり抜けたトナーが画像スジを発生させると本発明者らは推測している。高品位な画像を得られやすくする観点から、当然に、画像スジを生じさせにくい画像形成方法であることが求められ、この点について改善が必要であるとの認識を得た。
【0024】
上記の考察に基づき本発明者らは、長鎖アルキル基を有するポリアルキル(メタ)アクリレートを含むトナーと、フッ化アルキル基含有共重合体を含む表面層を有する電子写真感光体を用いた場合でも、画像スジを生じさせにくい画像形成方法の検討を行った。その結果、フッ化アルキル基含有共重合体のフッ化アルキル基の炭素数、及びポリアルキル(メタ)アクリレートの長鎖アルキル基の炭素数を特定の範囲内とすることが、上記の如き特性を備えた画像形成方法として有効であることを見出した。上記のフッ化アルキル基及び長鎖アルキル基の炭素数を特定の範囲内とすることで、表面層とクリーニングブレード間の滑り性、及びトナーの滑り性が過剰に高まりにくく、トナーのすり抜けによる画像スジを生じさせにくくなると、本発明者らは推測している。
【0025】
<トナー>
本開示に係るトナーはトナー粒子を含有し、トナー粒子は、下記式(1)で示されるユニットA1を有する樹脂Aを含有する。
【0026】
【0027】
(式(1)中、RZ1は、水素原子又はメチル基を表し、RZ2は、炭素数18~36のアルキル基を表す。)
【0028】
<樹脂A及びユニットA1>
本開示に係る樹脂Aは、上記式(1)で示されるユニットA1を有する。ユニットA1は、側鎖にRZ2で示される炭素数18~36のアルキル基を有していることから、該アルキル基が集合して結晶性部位を形成させやすいと考えられ、樹脂Aの結晶性が高まりやすい。また、樹脂Aの結晶性が高まりやすいことに由来して、樹脂Aを含有するトナーの滑り性が高まりやすくなると、本発明者らは考えている。
【0029】
また、樹脂Aの結晶性が高まりやすいことから、該樹脂Aがシャープメルト性を有しやすく、トナーの軟化点が低くなりやすいため、樹脂Aを含有するトナーは優れた低温定着性を有するトナーとなりやすい。本開示に係るユニットA1は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0030】
式(1)中のRZ2の炭素数が18以上であることにより、樹脂Aがシャープメルト性を有しやすく、トナーの軟化点が低くなりやすいため、樹脂Aを含有するトナーは優れた低温定着性を有するトナーとなりやすい。また、RZ2の炭素数が36以下であることにより、樹脂Aを含有するトナーの滑り性が過剰に高まりにくくなると考えられ、トナーのすり抜けによる画像スジを生じさせにくくなる。式(1)中のRZ2の炭素数としてより好ましくは、18~22である。また、式(1)中のRZ2は、直鎖のアルキル基であることが好ましい。
【0031】
また、ユニットA1の含有割合が、樹脂Aの質量に対して、20.0質量%以上であることが好ましい。20.0質量%以上であることで、トナーの軟化点が制御されやすく、優れた低温定着性を有するトナーが得られやすい。そのため20.0質量%以上であることが好ましく、30.0質量%以上であることがより好ましく、50.0質量%以上であることがより好ましい。上限は特に制限されず、100質量以下であることが好ましく、90.0質量%以下であることが好ましく、80.0質量%以下であることが好ましい。
【0032】
ユニットA1は、炭素数18~36のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーのユニットであることが好ましい。
【0033】
炭素数18~36のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ヘンエイコサニル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸リグノセリル、(メタ)アクリル酸セリル、(メタ)アクリル酸オクタコシル、(メタ)アクリル酸ミリシル、(メタ)アクリル酸ドトリアコンチルなど]及び炭素数18~36の分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸2-デシルテトラデシルなど]が挙げられる。
【0034】
これらの内、低温定着性の観点から、炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。さらに好ましくは、直鎖の(メタ)アクリル酸ステアリル、及び/又は、直鎖の(メタ)アクリル酸ベヘニルである。
【0035】
樹脂Aが結晶性樹脂であることが好ましい。本開示において結晶性樹脂とは、示差走査熱量計(DSC)測定において明確な吸熱ピークを示す樹脂を指す。
【0036】
樹脂Aは、低温定着性と他の特性の制御のしやすさの観点から、ビニル系樹脂であることが好ましい。また、ビニル系樹脂と、ビニル系樹脂以外の樹脂と、が結合したハイブリッド樹脂であってもよい。該樹脂Aがビニル系樹脂である場合、各ユニットを形成する重合性単量体のランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
【0037】
また、樹脂Aの含有割合が、トナー粒子の質量に対して、40.0質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、50.0質量%以上であり、さらに好ましくは60.0質量%以上である。上限は特に制限されず、100質量%以下であることが好ましい。また、トナー粒子に含有される着色剤や離型剤の含有量を考慮すると、90.0質量%以下であることが好ましく、また、80.0質量%以下であることが好ましい。
【0038】
<ユニットA2>
樹脂Aは、上述したユニットA1以外のユニットA2を含有してもよい。ユニットA2を形成する重合性単量体としては、例えば以下のものが挙げられる。
・ニトリル基を有する単量体;例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど。
・ヒドロキシ基を有する単量体;例えば、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピルなど。
・アミド基を有する単量体;例えば、アクリルアミド、炭素数1~30のアミンとエチレン性不飽和結合を有する炭素数2~30のカルボン酸(アクリル酸及びメタクリル酸など)を公知の方法で反応させた単量体。
・ウレア基を有する単量体:例えば、炭素数3~22のアミン[1級アミン(ノルマルブチルアミン、t-ブチルアミン、プロピルアミン及びイソプロピルアミンなど)、2級アミン(ジノルマルエチルアミン、ジノルマルプロピルアミン、ジノルマルブチルアミンなど)、アニリン及びシクロキシルアミンなど]と、エチレン性不飽和結合を有する炭素数2~30のイソシアネートとを公知の方法で反応させた単量体など。
・カルボキシ基を有する単量体;例えば、メタクリル酸、アクリル酸、(メタ)アクリル酸-2-カルボキシエチル。
・ビニルエステル類;例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、及びオクチル酸ビニル。
・スチレン、o-メチルスチレンなどのスチレン及びその誘導体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステル類も挙げられる。
・エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンのような不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンのような不飽和ポリエン類も挙げられる。
・芳香族ジビニル化合物;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;ポリエステル型ジアクリレート類;多官能の架橋剤。
【0039】
該芳香族ジビニル化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどが挙げられる。
【0040】
該アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものなどが挙げられる。
【0041】
ユニットA2及びユニットA2を形成する重合性単量体は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0042】
<樹脂Aの製造例>
該樹脂Aがビニル系樹脂である場合、対応する重合性単量体と重合開始剤を用いて製造することができる。該重合開始剤は、効率の観点から、重合性単量体100質量部に対して、0.05質量部以上10質量部以下で用いることが好ましい。
【0043】
該重合開始剤としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0044】
2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、2-カーバモイルアゾイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2-フェニルアゾ-2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドのようなケトンパーオキサイド類、2,2-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ブタン、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m-トリオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロビルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシアセテート、tert-ブチルパーオキシイソブチレート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシラウレート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ-tert-ブチルパーオキシイソフタレート、tert-ブチルパーオキシアリルカーボネート、tert-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ-tert-ブチルパーオキシアゼレート。
【0045】
また、樹脂Aがビニル系樹脂以外の樹脂と結合したハイブリッド樹脂である場合、該ビニル系樹脂以外の樹脂としては、例えば以下のものが挙げられる。
シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油系樹脂など。
【0046】
これらの中で、低温定着性、帯電性制御の観点で、ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。ポリエステル樹脂としては非晶性ポリエステル、結晶性ポリエステルのいずれであってもよいが、非晶性ポリエステルがより好ましい。
【0047】
ポリエステル樹脂を構成する成分としては、具体的には、2価以上のアルコールモノマー成分と、2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分とが挙げられる。
【0048】
例えば、該2価以上のアルコールモノマー成分として、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)-ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタジエングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビット、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセリン、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0049】
これらの中で好ましく用いられるアルコールモノマー成分としては、芳香族ジオールであり、ポリエステル樹脂を構成するアルコールモノマー成分において、芳香族ジオールは、80モル%以上の割合で含有することが好ましい。
【0050】
一方、該2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6~18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
【0051】
これらの中で好ましく用いられる酸モノマー成分としては、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸である。
【0052】
また、本開示に係るトナー粒子は、該樹脂A以外の樹脂を含有してもよい。樹脂A以外の樹脂としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0053】
ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油系樹脂。
【0054】
トナー粒子中の該樹脂A以外の樹脂の含有量は、30.0質量%以下であることが好ましく、また、20.0%以下であることが好ましい。下限は特に制限されず、0.0質量%以上である。
【0055】
<トナー物性>
低温定着性と保存安定性の観点から、トナーの軟化点が70℃以上120℃以下であることが好ましい。また、75℃以上であることがより好ましく、110℃以下であることがより好ましい。さらに好ましくは、100℃以下である。
【0056】
また、トナーの重量平均粒径(D4)が、3.0~10.0μmであることが好ましく、より好ましくは4.0~8.0μmである。
【0057】
また、トナーの平均円形度が、0.940以上0.990以下であることが好ましく、より好ましくは0.955以上0.980以下である。
【0058】
<ワックス>
トナーは、離型剤としてワックスを含んでいてもよい。ワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0059】
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物。
【0060】
これらのワックスの中でも、低温定着性、定着分離性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス、若しくはカルナバワックスのような脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスがより好ましい。
【0061】
上記ワックスの含有量は、トナー粒子に含有される樹脂100質量部あたり3質量部~20質量部であることが好ましい。
【0062】
<着色剤>
トナーは、必要に応じて着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。
【0063】
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤としては、顔料を単独で使用してもよく、染料と顔料とを併用してもよい。フルカラー画像の画質の観点から、染料と顔料とを併用することが好ましい。マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
【0064】
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパースバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
【0065】
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料。
【0066】
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70が挙げられる。
【0067】
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
【0068】
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられる。
【0069】
これらの着色剤は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。
【0070】
着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及びトナーへの分散性の点から選択される。
【0071】
着色剤の含有量は、樹脂成分の総量に対して0.1質量部~30.0質量部であることが好ましい。
【0072】
<荷電制御剤>
トナーは、必要に応じて荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く、且つ一定の帯電量を安定して保持できる、芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
【0073】
ネガ系荷電制御剤としては、例えば以下のものが挙げられる。
サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物。スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物。カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物。ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンなど。
【0074】
荷電制御剤はトナー粒子に対して内添してもよいし、外添してもよい。荷電制御剤の含有量は、トナーに含有される樹脂100質量部に対し、0.2質量部~10.0質量部が好ましく、0.5質量部~10.0質量部がより好ましい。
【0075】
<無機微粒子>
トナーは、必要に応じて無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子は、トナー粒子に内添してもよいし、外添剤としてトナーと混合してもよい。
【0076】
無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子又はそれらの複酸化物微粒子のような微粒子が挙げられる。無機微粒子の中でもシリカ微粒子及び酸化チタン微粒子が、流動性改良及び帯電均一化のために好ましい。
【0077】
また、無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
【0078】
流動性、耐久安定性を向上させる観点からは、外添剤としての無機微粒子は、比表面積が50m2/g~400m2/gであることが好ましい。
【0079】
外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部~10.0質量部であることが好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーのような公知の混合機を用いることができる。
【0080】
<現像剤>
トナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、また、長期にわたり安定した画像を供給するために、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることが好ましい。
【0081】
該磁性キャリアとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
酸化鉄;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、及び希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、それらの酸化物粒子。フェライトなどの磁性体。磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)。
【0082】
トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際の磁性キャリアの混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、2質量%~15質量%であることが好ましく、より好ましくは4質量%~13質量%以下である。
【0083】
<トナーの製造方法>
本開示のトナーについては、その製造方法は特に制限されず、粉砕法、懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化凝集法、分散重合法などの公知の方法を用いることができる。
【0084】
<電子写真感光体>
<フッ素系ポリマーB>
本開示の電子写真感光体は、(i)フッ素含有樹脂粒子と、(ii)下記式(2)で示されるユニットB1、及び下記式(3)で示されるユニットB2を有するフッ素系ポリマーBと、を含む表面層を有する。
【0085】
【0086】
(上記式(2)、及び上記(3)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、又はアルキル基を表す。Xは、アルキレン基、ハロゲン置換アルキレン基、-S-、-O-、-NH-、又は単結合を表す。Yは、アルキレン基、ハロゲン置換アルキレン基、ヒドロキシ基を有するアルキレン基、又は単結合を表す。Zは、-O-、又は-NH-を表す。m1、m2、及びm3は、各々独立に、1以上の整数を表す。n1、n2、n3、及びn4は、各々独立に、0以上の整数を表す。nfは、1~5の整数を表す。)
上記、n1、n2、n3、及びn4が、1~3であることが好ましい。また、上記R1、R2、R3及びR4が水素原子、又は、メチル基であることが好ましい。また、上記Xが、-S-、-O-であることが好ましい。また、上記Yがメチレン基、ハロゲン置換メチレン基、又はヒドロキシ置換メチレン基であることが好ましく、ヒドロキシ置換メチレン基であることがさらに好ましい。また、上記Zが、-O-であることが好ましい。また、上記m3が、50~70であることが好ましい。また、上記nfが、2又は3であることが好ましい。
【0087】
フッ素系ポリマーB中にユニットB1が含有されることで、フッ素含有樹脂粒子との親和性が高まりやすく、フッ素含有樹脂微粒子を凝集させにくくできると考えられる。また、ユニットB2が含有されることで表面層を形成する際の溶剤や他の樹脂材料との親和性が高まりやすく、フッ素系ポリマーBが表面層中に分散されやすくなると考えられる。
【0088】
ユニットB1の含有割合が、フッ素系ポリマーBの質量に対して、40.0~60.0質量%であることが好ましい。また、ユニットB2の含有割合が、フッ素系ポリマーBの質量に対して、40.0~60.0質量%であることが好ましい。
【0089】
また、フッ素系ポリマーBにおいて、ユニットB1及びユニットB2の共重合の形態は、特に制限されない。
【0090】
また、本開示に係るフッ素系ポリマーBの重量平均分子量は、60,000以上129,000以下であることが好ましい。また、90000以上であることがより好ましく、また、110000以下であることがより好ましい。
【0091】
<フッ素含有樹脂粒子>
画像スジを生じにくくさせる観点から、本開示に係るフッ素含有樹脂粒子は、ポリテトラフルオロエチレン粒子であることが好ましい。また、表面層に含有されるポリテトラフルオロエチレン粒子は、1次粒子の個数平均粒径が150nm以上195nm以下であることが好ましい。より好ましくは、170nm以上195nm以下である。
【0092】
また、フッ素含有樹脂粒子の含有量は、表面層の質量に対し20.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
【0093】
また、表面層に含有されるポリテトラフルオロエチレン粒子のうち、1次粒子径が150nm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子の存在比率が10%以上であり、1次粒子径が250nm以上のポリテトラフルオロエチレン粒子の存在比率が5%以下であることが好ましい。
【0094】
また、ポリテトラフルオロエチレン粒子の数平均分子量が、12000以上20000以下であることが好ましい。より好ましくは、14000以上であり、また、より好ましくは、18000以下である。ポリテトラフルオロエチレン粒子の一次粒子径、及び数平均分子量の測定方法は後述する。
【0095】
本開示に係るユニットB1及びユニットB2を有するフッ素系ポリマーは、例えば、特許文献3に記載されている手順に従い、合成することができる。
【0096】
<表面層>
本開示に係る表面層とは、電子写真感光体の最外面に存在する層である。本開示の電子写真感光体では、導電性支持体上に感光層を形成し、表面層としても良い。この場合、感光層が単層型の場合、感光層自体が表面層である。また、感光層が積層型の場合であって、感光層の最表面を電荷輸送層とした場合には、該電荷輸送層が本開示に係る表面層である。また、導電性支持体上に形成した感光層上に保護層を形成して、保護層を表面層としても良い。また、本開示の電子写真感光体は、導電性支持体と電荷発生層の間に、導電層又は下引き層、又はこの両方を設けてもよい。
【0097】
本開示の電子写真感光体を製造する方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率性及び生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。
【0098】
以下、導電性支持体、導電層、下引き層、感光層、保護層といった、電子写真感光体の各構成要素について説明する。
【0099】
<導電性支持体>
本開示において、電子写真感光体は、導電性支持体を有する。また、導電性支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状であることが好ましい。また、導電性支持体の表面に、陽極酸化などの電気化学的な処理や、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
【0100】
導電性支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレスや、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合又は被覆するなどの処理によって、導電性を付与したものが好ましい。
【0101】
<導電層>
本開示において、導電性支持体の上に、導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、導電性支持体表面の傷や凹凸を隠蔽することや、導電性支持体表面における光の反射を制御することができる。
【0102】
導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。
【0103】
導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0104】
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
【0105】
これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物を用いることが好ましく、特に、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
【0106】
導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にリンやアルミニウムなど元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。
【0107】
また、導電性粒子は、芯材粒子と、その粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズなどの金属酸化物が挙げられる。
【0108】
また、導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、その体積平均粒子径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
【0109】
導電層に含有される樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
【0110】
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などを更に含有してもよい。
【0111】
導電層の平均膜厚は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
【0112】
導電層は、上述の各材料及び溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
【0113】
<下引き層>
本開示において、導電性支持体又は導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷注入阻止機能を付与することができる。
【0114】
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
【0115】
下引き層に含有される樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
【0116】
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素-炭素二重結合基などが挙げられる。
【0117】
また、下引き層は、電気特性を高める目的で、電子輸送物質、金属酸化物、金属、導電性高分子などを更に含有してもよい。これらの中でも、電子輸送物質、金属酸化物を用いることが好ましい。
【0118】
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上述の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
【0119】
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミなどが挙げられる。
【0120】
また、下引き層は、添加剤を更に含有してもよい。
【0121】
下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上40μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
【0122】
下引き層は、上述の各材料及び溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
【0123】
<感光層>
電子写真感光体の感光層は、主に、(1)積層型感光層と、(2)単層型感光層とに分類される。(1)積層型感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する。(2)単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を共に含有する感光層を有する。
【0124】
(1)積層型感光層
積層型感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層と、を有する。
【0125】
(1-1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
【0126】
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
【0127】
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
【0128】
電荷発生層に含有される樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
【0129】
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤を更に含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
【0130】
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
【0131】
電荷発生層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
【0132】
(1-2)電荷輸送層
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有する。
【0133】
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。これらは、単独で使用しても良く、2種以上混合して使用しても良い。
【0134】
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
【0135】
電荷輸送層に含有される樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
【0136】
電荷輸送層が電子写真感光体の最表面となり、電荷輸送層を表面層とする場合には、電荷輸送層が、上述のフッ素含有樹脂粒子及びフッ素系ポリマーBを含有する。
【0137】
電荷輸送層は、さらに、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
【0138】
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。さらに、電荷輸送層を表面層とする場合は、30μm以上45μm以下であることがより好ましい。また、電荷輸送層の上に保護層を設ける場合には、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
【0139】
電荷輸送層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤又は芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
【0140】
(2)単層型感光層
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂及び溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂としては、上記「(1)積層型感光層」における材料の例示と同様である。
【0141】
<保護層>
本開示において、感光層の上に、保護層を設けてもよい。保護層を設けることで、感光層を削れから保護することができ、電子写真感光体の耐久性を向上することができる。保護層が電子写真感光体の表面層となり、保護層を表面層とする場合には、保護層が、上述のフッ素含有樹脂粒子及びフッ素系ポリマーBを含有する。
【0142】
保護層は、上述のフッ素含有樹脂粒子及びフッ素系ポリマーB以外に、電荷輸送物質を含有してもよい。電荷輸送物質としては、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
【0143】
また、保護層は、上述のフッ素含有樹脂粒子及びフッ素系ポリマーB以外に、その他の樹脂を含有してもよい。保護層に含有されるその他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0144】
また、保護層は、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を硬化・重合させることで硬化膜として形成させてもよい。その際の反応としては、熱重合反応、光重合反応、放射線重合反応などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、(メタ)アクリル基などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーとして、電荷輸送能を有する材料を用いてもよい。
【0145】
さらに、保護層は、上述のフッ素含有樹脂粒子及びフッ素系ポリマーB以外に、導電性粒子を含有してもよい。導電性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物の粒子が挙げられる。また、保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
【0146】
保護層の平均膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることが好ましい。
【0147】
保護層は、上述の各材料及び溶剤を含有する保護層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
【0148】
<画像形成方法>
本開示に係る画像形成方法は、電子写真感光体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電された該電子写真感光体の表面に像露光光を照射して該電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する像露光工程と、
該静電潜像をトナーにより現像して該電子写真感光体の表面にトナー像を形成する現像工程と、
該トナー像を該電子写真感光体の表面から転写材に転写する転写工程と、
該転写工程の後に該電子写真感光体の表面に残留するトナーを、クリーニングブレードを用いて除去するクリーニング工程と、
該転写材に転写された該トナー像を該転写材に定着する定着工程と、
を有する画像形成方法である。
【0149】
<プロセスカートリッジ、電子写真装置>
本開示に係るプロセスカートリッジは、電子写真装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段を一体に支持する。また、プロセスカートリッジは本開示に係るトナー及び電子写真感光体を有する。
【0150】
また、本開示に係る電子写真装置は帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段、及びクリーニング手段を有する画像形成装置であって、本開示に係るトナー及び電子写真感光体を有する。
【0151】
上記の帯電手段とは、電子写真感光体の表面を帯電する手段である。また、露光手段とは、帯電された電子写真感光体の表面に像露光光を照射して電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する手段である。また、現像手段とは、静電潜像をトナーにより現像して電子写真感光体の表面にトナー像を形成する手段である。また、転写手段とは、トナー像を該電子写真感光体の表面から転写材に転写する手段である。また、クリーニング手段とは、転写工程の後に該電子写真感光体の表面に残留するトナーを、クリーニングブレードを用いて除去する手段である。
【0152】
図1に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。
【0153】
1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、帯電手段3により、正又は負の所定電位に帯電される。尚、図においては、ローラ型帯電部材によるローラ帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式、近接帯電方式、注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写される。トナー像が転写された転写材7は、定着手段8へ搬送され、トナー像の定着処理を受け、電子写真装置の外へプリントアウトされる。電子写真装置は、転写後の電子写真感光体1の表面に残ったトナーなどの付着物を除去するための、クリーニング手段9を有していてもよい。また、クリーニング手段を別途設けず、上記付着物を現像手段などで除去する、所謂、クリーナーレスシステムを用いてもよい。電子写真装置は、電子写真感光体1の表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理する除電機構(除電手段)を有していてもよい。また、本開示のプロセスカートリッジを電子写真装置本体に着脱するために、レールなどの案内手段12を設けてもよい。
【0154】
本開示の電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LEDプリンター、複写機、ファクシミリ、及び、これらの複合機などに用いることができる。
【0155】
<各種測定方法>
<重量平均分子量の測定方法>
試料の重量平均分子量は、常法に従い、以下のようにして測定する。
試料をテトラヒドロフラン中に入れ、数時間放置した後、振盪しながら測定対象物とテトラヒドロフランとをよく混合し(測定対象物の合一体がなくなるまで混合し)、さらに12時間以上静置する。その後、サンプル処理フィルター(商品名:マイショリディスクH-25-5、東ソー(株)製)を通過させたものを、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)用試料とする。
【0156】
次に、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mLの流速で流し、GPC用試料を10μL注入して、測定対象物の重量平均分子量を測定する。カラムには、東ソー(株)製のカラム(商品名:TSK gel Super HM-M)を用いる。
【0157】
重量平均分子量の測定にあたっては、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から、測定対象物が有する分子量分布を算出することでGPCチャートが得られる。検量線作成用の標準ポリスチレン試料には、アルドリッチ社製の単分散ポリスチレンの分子量が次の10点のものを用いる。3500、12000、40000、75000、98000、120000、240000、500000、800000、1,800000。
【0158】
検出器には、RI(屈折率)検出器を用いる。
【0159】
<粒子試料の一次粒子径の測定方法>
粒子試料を市販のカーボン導電テープにつけ、圧縮エアで導電テープについていない粒子を取り除き、白金蒸着を行った。蒸着した粒子を日立ハイテクノロジー社製FE-SEM(S-4700)を使用して観察する。なお、FE-SEMの測定条件は以下のとおりに設定する。
加速電圧:2kV
WD:5mm
倍率:2万倍
画素数:縦1280画素、横960画素(1画素あたりの大きさ:5nm)
得られた画像から、ImageJ(アメリカ国立衛生研究所(NIH)製のオープンソースソフトウェア)を使用して500個分の粒子のフェレ径を求め、その平均を一次粒子の個数平均粒径とする。また、求めた値から粒子の存在比率を算出する。
【0160】
<ポリテトラフルオロエチレン粒子の数平均分子量の測定方法>
ポリテトラフルオロエチレン粒子の数平均分子量は、非特許文献1に記載の方法により、示差走査熱量測定(以下DSCと省略する)の測定結果から算出する。以下に具体的に説明する。
【0161】
DSCとしてMETTLER TOLEDO社製のDSC822eを使用し、窒素雰囲気下で測定を行う。40μlのアルミニウムサンプルパンにポリテトラフルオロエチレン粒子を入れ、25℃から16℃/分の昇温速度で350℃まで昇温する。次に、350℃で10分保持したのち、16℃/分の降温速度で280℃まで降温する。この降温時のピークから結晶化熱ΔHcを求める。
【0162】
さらに、式(a)を用いて、結晶化熱ΔHcから数平均分子量Mnを求める。
Mn=2.1×1010×ΔHc-5.16 ・・・ 式(a)
【0163】
<トナーの軟化点の測定>
トナーの軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
【0164】
また、「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。
【0165】
まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量(流出終了点、Smaxとする)と、流出が開始した時点におけるピストンの降下量(最低点、Sminとする)との差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax-Smin)/2)。そして、ピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
【0166】
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT-100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
【0167】
測定における具体的な操作は、装置に付属のマニュアルに従って行う。
【0168】
CFT-500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
【0169】
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
【0170】
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
【0171】
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定」ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
【0172】
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm~60μmに設定する。
【0173】
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、富士フィルム和光純薬社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)上記(2)のビーカーを上記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)上記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子10mgを少量ずつ上記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃~40℃となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した上記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した上記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
【0174】
<トナーの平均円形度の測定方法>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
【0175】
フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
【0176】
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
【0177】
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200以上1.000以下の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
【0178】
具体的な測定方法は、以下の通りである。
【0179】
まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、富士フィルム和光純薬社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。
【0180】
さらに測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃~40℃となる様に適宜冷却する。
【0181】
超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS-150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に該コンタミノンNを約2mL添加する。
【0182】
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した該フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE-900A」(シスメックス社製)を使用する。
【0183】
該手順に従い調製した分散液を該フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。
【0184】
そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.98μm~39.96μmとし、トナーの平均円形度を求める。
【0185】
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
【実施例0186】
以下、本開示を製造例及び実施例によりさらに具体的に説明するが、これらは本開示を限定するものではない。なお、以下の配合における部数は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
【0187】
<電子写真感光体の製造例>
まず、各実施例で用いた電子写真感光体1~13の製造例を記載する。
【0188】
<電子写真感光体1の製造例>
・支持体
支持体(導電性支持体)として、長さ357.5mm、厚さ0.7mm、外径30mmのアルミニウムシリンダーを用意した。用意したアルミニウムシリンダーを、旋盤を用いて表面の切削加工を行った。
【0189】
切削条件として、R0.1のバイトを用い、主軸回転数=10000rpm、バイトの送り速度を0.03~0.06mm/rpmの範囲で連続的に変化させて加工した。
【0190】
・下引き層の形成
酸化亜鉛粒子(平均粒子径:70nm、比表面積値:15m2/g)60部をテトラヒドロフラン500部と撹拌混合した。これにシランカップリング剤(化合物名:N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、商品名:KBM603、信越化学社製)0.75部を添加し、2時間撹拌した。その後、テトラヒドロフランを減圧留去して、120℃で3時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
【0191】
続いて、ポリオールとしてブチラール(商品名:BM-1、積水化学工業(株)製)25部、およびブロック化イソシアネート(商品名:スミジュールBL-3173、住友バイエルンウレタン社製)22.5部を、メチルエチルケトン142部に溶解させた。この溶液に、上記表面処理された酸化亜鉛粒子を100部、アントラキノン1部を加え、これを直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて5時間分散した。
【0192】
分散処理後、ジオクチルスズジラウレート0.008部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)6.5部を加えて撹拌し、下引き層用塗布液を調製した。
【0193】
得られた下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を190℃で24分間乾燥させることによって、膜厚が15μmの下引き層を形成した。
【0194】
・電荷発生層の形成
次に、下記の材料を混合し、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルにて4時間分散処理し、電荷発生層用塗布液を調製した。
・CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶 15部
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂(商品名:VMCH、日本ユニオンカーバイト社製) 10部
・n-ブチルアルコール 300部
この電荷発生層用塗布液を上記下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を80℃で10分間乾燥させることによって、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0195】
・電荷輸送層の形成
下記材料を、液温20℃を保って48時間撹拌混合し、調合液Aを得た。
・ポリテトラフルオロエチレン粒子(一次粒子の個数平均粒径、一次粒子径が150nm以下の存在比率、一次粒子径が250nm以上の存在比率、及び数平均分子量は表1に記載) 8部
・下記式(P-1)で示されるフッ素系ポリマーB(重量平均分子量が105000、共重合比m1:m2=1:1) 0.15部
【0196】
【0197】
・テトラヒドロフラン 4部
・トルエン 1部
次に、下記材料を混合、溶解させ、調合液Bを得た。
・N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-[1,1’]ビフェニル-4,4’-ジアミン 12部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40000) 12部
・酸化防止剤:2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール 0.1部
・テトラヒドロフラン 24部
・トルエン11部
上記の調合液Bに調合液Aを加えて撹拌混合した後、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM-110EH、米Microfluidics(株)製)に通し、分散液を得た。その後、ジメチルシリコーンオイル(商品名:KP-340 信越シリコーン社製)を5ppmとなるように上記分散液に加え、ポリフロンフィルター(商品名:PF-040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、電荷輸送層用塗布液を調製した。
【0198】
この電荷輸送層用塗布液を上記の電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を115℃で50分間乾燥させることによって、膜厚40μmの電荷輸送層を形成した。このようにして、電荷輸送層が表面層である、電子写真感光体1を作製した。
【0199】
<電子写真感光体2の製造例>
電子写真感光体1の製造例において、フッ素系ポリマーBを、下記式(P-2)で示されるフッ素系ポリマー(重量平均分子量が103500、共重合比 m1:m2=1:1)に変更した。また、ポリテトラエチレン粒子を表1の記載の粒子に変更した。それ以外は、電子写真感光体1の製造例と同様の操作を行い、電子写真感光体2を作製した。
【0200】
【0201】
<電子写真感光体3の製造例>
電子写真感光体1の製造例において、フッ素系ポリマーBを、下記式(P-3)で示されるフッ素系ポリマー(重量平均分子量が103000、共重合比 m1:m2=1:1)に変更した。それ以外は、電子写真感光体1の製造例と同様の操作を行い、電子写真感光体3を作製した。
【0202】
【0203】
<電子写真感光体4の製造例>
電子写真感光体1の製造例において、フッ素系ポリマーBを、下記式(P-4)で示されるフッ素系ポリマー(重量平均分子量が107000、共重合比 m1:m2=1:1)に変更した。それ以外は、電子写真感光体1の製造例と同様の操作を行い、電子写真感光体4を作製した。
【0204】
【0205】
<電子写真感光体5~9の製造例>
電子写真感光体1の製造例において、ポリテトラエチレン粒子を表1の記載の粒子に変更した以外は、電子写真感光体1の製造例と同様の操作を行い、電子写真感光体5~9を作製した。
【0206】
<電子写真感光体10の製造例>
まず、電子写真感光体1の製造例と同様の方法で、支持体上に下引き層及び、電荷発生層を形成させた。
・電荷輸送層の形成
下記材料を混合、溶解して、電荷輸送層用塗布液を得た。
・N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-[1,1’]ビフェニル-4,4’-ジアミン 8部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40000) 12部
・酸化防止剤:2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール 0.1部
・テトラヒドロフラン 24部
・トルエン 11部
この電荷輸送層用塗布液を上記の電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を115℃で50分乾燥させることによって、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
・保護層の形成
下記材料を撹拌混合したのち、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM-110EH、米Microfluidics(株)製)に通し、分散液を得た。
・ポリテトラフルオロエチレン粒子(一次粒子の個数平均粒径、一次粒子径が150nm以下の存在比率、一次粒子径が250nm以上の存在比率、数平均分子量、は表1に記載) 8部
上記式(P-1)で示されるフッ素系ポリマーB(重量平均分子量が105000、共重合比 m1:m2=1:1) 0.20部
・シクロペンタノン 15部
次に、下記式(4)で示される電荷輸送性化合物18部、下記式(5)で示されるメラミン化合物1部、シクロペンタノン10部、NACURE5225(キングインダストリー社製)0.04部を混合溶解して、調合液を得た。
【0207】
【0208】
【0209】
この調合液に上記の分散液を加えて攪拌混合した後、ポリテトラフルオロエチレン製フィルター(商品名:PF-040、アドバンテック東洋(株)製)でろ過し、表面層用塗布液を調製した。この塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布して、得られた塗膜を150℃で60分間加熱処理を行い、膜厚が4.8μmである表面層を形成させ、電子写真感光体10を作製した。
【0210】
<電子写真感光体11の製造例>
電子写真感光体10の製造例において、フッ素系ポリマーBを、上記式(P-4)で示されるフッ素系ポリマー(重量平均分子量が107000、共重合比 m1:m2=1:1)に変更した。それ以外は、電子写真感光体10の製造例と同様の操作を行い、電子写真感光体11を作製した。
【0211】
<電子写真感光体12の製造例>
電子写真感光体10の製造例と同様の方法で、支持体上に下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層を形成させた。
・保護層の形成
下記材料を撹拌混合したのち、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM-110EH、米Microfluidics(株)製)に通し、分散液を得た。
・ポリテトラフルオロエチレン粒子(一次粒子の個数平均粒径、一次粒子径が150nm以下の存在比率、一次粒子径が250nm以上の存在比率、数平均分子量、は表1に記載) 8部
・上記式(P-1)で示されるフッ素系ポリマーB(重量平均分子量が105000、共重合比 m1:m2=1:1) 0.20部
・1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン 12部
・1-プロパノール 17部
次に、下記式(6)で示される化合物20部、1-プロパノール5部、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン5部を混合溶解して、調合液を得た。
【0212】
【0213】
この調合液に上記の分散液を加えて攪拌混合した後、ポリテトラフルオロエチレン製フィルター(商品名:PF-040、アドバンテック東洋(株)製)でろ過し、表面層用塗布液を調製した。この塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布して、得られた塗膜を5分間50℃で加熱処理を行った。
【0214】
加熱処理後、窒素雰囲気下にて、加速電圧70kV、吸収線量5000Gyの条件で1.6秒間、シリンダーを回転させながら電子線を塗膜に照射し、塗膜を硬化させた。その後、窒素雰囲気下にて、塗膜が130℃になる条件で25秒間加熱処理を行った。なお、電子線の照射から25秒間の加熱処理までの酸素濃度は18ppmであった。次に、大気中において、塗膜が110℃になる条件で15分間加熱処理を行い、膜厚が5.0μmである表面層を形成させ、電子写真感光体12を作製した。
【0215】
<電子写真感光体13の製造例>
電子写真感光体12の製造例において、フッ素系ポリマーBを上記式(P-4)で示されるフッ素系ポリマー(重量平均分子量が107000、共重合比 m1:m2=1:1)に変更した。それ以外は、電子写真感光体12の製造例と同様の操作を行い、電子写真感光体13を作製した。
【0216】
【0217】
表1中の、フッ素系ポリマーBの重量平均分子量、ポリテトラフルオロエチレン粒子の個数平均粒径、存在比率、及び数平均分子量は、上述した測定方法で測定した。
【0218】
<二成分現像剤>
次に、各実施例で用いた、二成分現像剤1~8の製造例について記載する。
【0219】
<二成分現像剤1の製造例>
(樹脂A1の製造例)
・トルエン 150.0部
・アクリル酸ベヘニル 48.0部
(80.0質量%)
・アクリル酸 12.0部
・重合開始剤 アゾイソブチロニトリル(AIBN) 1.5部
還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下で上記材料を投入した。反応容器内を200rpmで撹拌しながら、70℃に加熱して12時間重合反応を行い、単量体組成物の重合体がトルエンに溶解した溶解液を得た。続いて、上記溶解液を25℃まで降温した後、1000.0部のメタノール中に上記溶解液を撹拌しながら投入し、メタノール不溶分を沈殿させた。得られたメタノール不溶分をろ別し、さらにメタノールで洗浄後、40℃で24時間真空乾燥して樹脂A1を得た。
【0220】
(樹脂A1分散液の製造例)
・トルエン(和光純薬製) 300部
・樹脂A1 100部
上記材料を秤量・混合し、90℃で溶解させ、トルエン溶液を得た。
【0221】
また、別途、イオン交換水700部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0部、ラウリン酸ナトリウム4.0部を加え90℃で加熱溶解させた。 次いで該トルエン溶液と該水溶液を混ぜ合わせ、超高速撹拌装置T.K.ロボミックス(プライミクス製)を用いて7000rpmで撹拌した。さらに、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)用いて200MPaの圧力で乳化した。その後、エバポレーターを用いて、トルエンを除去し、イオン交換水で濃度調整を行い、濃度が20質量%の水系分散液(樹脂A1分散液)を得た。
【0222】
(樹脂Bの製造例)
・キシレン 100.0部
・スチレン 100.0部
・n-ブチルアクリレート 10.0部
・アクリル酸 1.5部
・ドデカンチオール 6.0部
・四臭化炭素 1.0 部
還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下で上記材料を投入した。反応容器内を200rpmで撹拌しながら、185℃に加熱して10時間重合反応を行った。続いて、溶媒を除去し、40℃で24時間真空乾燥し樹脂Bを得た。
【0223】
(樹脂B分散液の製造例)
・テトラヒドロフラン(和光純薬製) 300部
・樹脂B 100部
・アニオン界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬製) 0.5部
上記材料を秤量・混合し、溶解させた。
【0224】
次いで、1mol/Lのアンモニア水を20.0部加え、超高速撹拌装置T.K.ロボミックス(プライミクス製)を用いて4000rpmで撹拌した。さらに、イオン交換水700部を8g/minの速度で添加し、樹脂Bを析出させた。その後、エバポレーターを用いて、テトラヒドロフランを除去し、イオン交換水で濃度調整を行い、濃度が20質量%の樹脂Bの水系分散液(樹脂B分散液)を得た。
【0225】
(離型剤微粒子分散液の製造例)
・脂肪族炭化水素化合物HNP-51(日本精蝋製) 120部
・アニオン界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬製) 6部
・イオン交換 400部
上記材料を秤量し、撹拌装置付きの混合容器に投入した後、90℃に加熱し、クレアミックスWモーション(エム・テクニック製)へ循環させて分散処理を60分間行った。分散処理の条件は、以下のようにした。
・ローター外径:3cm
・クリアランス:0.3mm
・ローター回転数:19000r/min
・スクリーン回転数:19000r/min
分散処理後、ローター回転数1000r/min、スクリーン回転数0r/min、冷却速度10℃/minの冷却処理条件にて40℃まで冷却することで、離型剤の濃度が20質量%の水系分散液(離型剤分散液)を得た。
【0226】
(着色剤微粒子分散液の製造)
・シアン顔料(大日精化製:Pigment Blue 15:3) 50.0部
・アニオン界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬製) 7.5部
・イオン交換水 442.5部
上記材料を秤量・混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)を用いて約1時間分散して、着色剤を分散させてなる着色剤微粒子の濃度が10質量%の水系分散液(着色剤微粒子分散液)を得た。
【0227】
(トナー1の製造例)
・樹脂A1分散液 500部
・樹脂B分散液 120部
・離型剤分散液 50部
・着色剤微粒子分散液 80部
・イオン交換水 160部
上記の各材料を丸型ステンレス製フラスコに投入し、混合した後、10%硫酸マグネシウム水溶液10部を添加した。続いて、ホモジナイザー ウルトラタラックスT50(IKA社製)を用いて5000r/minで10分間分散した。その後、加熱用ウォーターバス中で撹拌翼を用いて、混合液が撹拌されるような回転数を適宜調節しながら58℃まで加熱した。
【0228】
形成された凝集粒子の体積平均粒径を、コールターマルチサイザーIIIを用い、適宜確認し、体積平均粒径が約6.00μmである凝集粒子が形成されたところで、エチレンジアミンテトラ4酢酸ナトリウム100部を追加した。その後、撹拌を継続しながら、75℃まで加熱した。そして、75℃で1時間保持することで凝集粒子を融合させた。
【0229】
その後、50℃まで冷却し、3時間保持することで重合体の結晶化を促進させた。
【0230】
さらに、その後、25℃まで冷却し、ろ過・固液分離した後、イオン交換水で洗浄を行った。洗浄終了後に真空乾燥機を用いて乾燥することで、重量平均粒径(D4)が6.05μmのトナー粒子1を得た。トナー粒子1中の樹脂A1の含有割合は、70.4質量%であった。
【0231】
続いて、下記の材料をヘンシェルミキサーFM-10C型(三井三池化工機製)で回転数30s-1、回転時間10minで混合して、トナー1を得た。
・トナー粒子1 100部
・平均粒径130nmのヘキサメチルジシラザンで表面処理したシリカ微粒子 3部
・平均粒径20nmのヘキサメチルジシラザンで表面処理したシリカ微粒子 1部
トナー1の重量平均粒径(D4)は6.1μm、平均円形度は0.975、軟化点は85℃であった。
【0232】
(磁性キャリアの製造例)
・個数平均粒径0.30μm、(1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ65Am2/kg)のマグネタイト1
・個数平均粒径0.50μm、(1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ65Am2/kg)のマグネタイト2
上記の材料それぞれ100部に対し、4.0部のシラン化合物(3-(2-アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内にて100℃以上で高速混合撹拌し、それぞれの微粒子を処理した。
・フェノール:10質量%
・ホルムアルデヒド溶液:6質量%
(ホルムアルデヒド40質量%、メタノール10質量%、水50質量%)
・上記シラン化合物で処理したマグネタイト1 :58質量%
・上記シラン化合物で処理したマグネタイト2 :26質量%
上記材料100部と、28質量%アンモニア水溶液5部、及び水20部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温し、3時間保持して重合反応させて、生成するフェノール樹脂を硬化させた。
【0233】
その後、硬化したフェノール樹脂を30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体分散型の球状の磁性キャリア1を得た。体積基準の50%粒径(D50)は、34.21μmであった。
【0234】
(二成分系現像剤1)
92.0部の磁性キャリア1と8.0部のトナー1をV型混合機(V-20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
【0235】
<二成分現像剤2~8の製造例>
二成分現像剤1の製造例において、樹脂A1を、表2に示す樹脂Aに変更したこと以外は同様の操作を行って、トナー2~8を得た後、二成分現像剤2~8を得た。以下に樹脂A2~樹脂A8の製造例を示す。また、表3にトナー1~トナー8の重量平均粒径(D4)、平均円形度、トナーの軟化点(Tm)を示す。
【0236】
【0237】
(樹脂A2の製造例)
樹脂A1の製造例において、アクリル酸ベヘニルの代わりに、メタクリル酸ベヘニルを用い、アクリル酸の代わりにメタクリル酸を用いたこと以外は同様の操作を行い、樹脂A2を製造した。
【0238】
(樹脂A3の製造例)
樹脂A1の製造例において、アクリル酸ベヘニルの代わりにアクリル酸ステアリルを用いたこと以外は同様の操作を行い、樹脂A3を製造した。
【0239】
(樹脂A4の製造例)
樹脂A1の製造例において、アクリル酸ベヘニルの代わりに、アクリル酸ヘキサトリアコンタン(アルキル基の炭素数36)を用いたこと以外は同様の操作を行い、樹脂A4を製造した。
【0240】
(樹脂A5の製造例)
樹脂A1の製造例において、アクリル酸ベヘニルの代わりに、アクリル酸オクタトリアコンタン(アルキル基の炭素数38)を用いたこと以外は同様の操作を行い、樹脂A5を製造した。
【0241】
(樹脂A6の製造例)
樹脂A1の製造例において、アクリル酸ベヘニルの量を60.0部に変更し、アクリル酸を用いなかったこと以外は同様の操作を行い、樹脂A6を製造した。
【0242】
(樹脂A7の製造例)
樹脂A1の製造例において、アクリル酸ベヘニルの量を30.0部に変更し、アクリル酸の量を30.0部に変更したこと以外は同様の操作を行い、樹脂A7を製造した。
【0243】
(樹脂A8の製造例)
樹脂A1の製造例において、アクリル酸ベヘニルの量を12.0部に変更し、アクリル酸の量を48.0部に変更したこと以外は同様の操作を行い、樹脂A8を製造した。
【0244】
【0245】
表3中の値は、上述した測定方法で測定した。
【0246】
<実施例1>
上述した、二成分現像剤1及び電子写真感光体1を用いて、下記の評価を行った。
【0247】
<画像スジの評価>
画像形成装置として、複写機(商品名:iR-ADV-C5255、キヤノン製)の改造機を用いた。該評価においては高速での画像出力を想定して、画像出力前に電子写真感光体がクリーニングブレードに当接した状態で回転することがないよう、画像出力前の制御動作を行われないように改造した。また、該評価は、温度32.5℃、相対湿度85%RHの環境下で行った。
【0248】
まず、評価機のシアンステーションに、上記で得られた電子写真感光体1を装着した。ここで、電子写真感光体のクリーニングブレードは、硬度77°のポリウレタンゴム製のクリーニングブレードを用い、電子写真感光体の周面に対して当接角28°、当接圧30g/cm(29.4N/m)で当接するように設定した。
【0249】
次に、二成分現像剤1を評価機のシアンステーションの現像器にいれ、上記の評価機にセットした。また、電子写真感光体の暗部電位(Vd)が-500v、明部電位(Vl)-200vとなるよう帯電装置及び露光装置の条件をあらかじめ設定した。
【0250】
続いて、A4用紙を用い、電子写真感光体用のヒーター(ドラムヒーター)をONにした状態で、画像濃度30%のハーフトーン画像を10枚連続で出力した。出力した10枚の画像を下記の評価基準に従って評価し、10枚のうち最も評価が低い評価であったものを評価結果とした。
【0251】
(評価基準)
A:画像上にスジの発生は認められない。
B:画像上にスジであると疑われるような画像が得られるが、スジであるかどうか判定ができないレベルにとどまっている。
C:画像上に極軽微なスジが確認できる。
D:画像上に明確なスジが確認できる。
【0252】
〔実施例2~20、比較例1~9〕
二成分現像剤1及び電子写真感光体1を、表4に記載の二成分現像剤及び電子写真感光体に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、画像スジの評価を行った。評価結果を表4に示す。参考例1~4については後述する。
【0253】
【0254】
<参考例で用いる、二成分現像剤9の製造例>
(結晶性ポリエステル樹脂Cの製造例)
・ドデカン二酸 50mol部
・1,6ヘキサンジオール 50mol部
・オクタデカン酸 5mol部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料及び、上記材料の質量100部に対して0.5部となるように、オクチル酸錫(II)を投入した。窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら、160℃まで徐々に昇温し、撹拌しながら、160℃で5時間かけて反応させた。
【0255】
その後、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、200℃に昇温し4時間反応させた(第一反応工程)。その後、反応槽内の圧力を徐々に開放して常圧へ戻した後、原料カルボン酸成分及びアルコール成分の総量100mol部に対して、5.0mol部のドデカン酸を加え、常圧下にて200℃で2時間反応させた。その後、再び反応槽内を5kPa以下へ減圧して200℃で3時間反応させることにより結晶性ポリエステル樹脂Cを得た(第二反応工程)。
【0256】
(非晶性ポリエステル樹脂Dの製造例)
窒素導入管、冷却管、撹拌機及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコを窒素で置換した後、下記材料を投入した。
・ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数2.7) 60モル部
・テレフタル酸 40モル部
・オクチル酸錫(II) 0.5部
そして、180℃で昇温後、10時間反応させた。さらに15mmHgで5時間反応させた後(第一反応工程)、第二反応工程として、0.04モル部の無水トリメリット酸を加え、180℃で3時間反応させて、非晶性ポリエステル樹脂Dを得た。
【0257】
(非晶性ポリエステル樹脂Eの製造例)
窒素導入管、冷却管、撹拌機及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコを窒素で置換した後、下記材料を投入した。
・ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数2.7) 57モル部
・ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数2.0) 3モル部
・テレフタル酸 40モル部
・オクチル酸錫(II) 0.5部
そして、180℃で昇温後、10時間反応させた。さらに15mmHgで5時間反応させた後(第一反応工程)、第二反応工程として、0.04モル部の無水トリメリット酸を加え、軟化点が135℃に到達したことを確認して反応を停止させ、非晶性ポリエステルEを得た。
【0258】
非晶性ポリエステル樹脂D、Eについてまとめたものを表5に示す。
【0259】
【0260】
表4中において、略号の意味は以下の通りである。
BPA-PO:ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物
BPA-EO:ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物
TPA:テレフタル酸
無水TMA:無水トリメリット酸
【0261】
(トナー9の製造例)
・結晶性ポリエステル樹脂C 15.0部
・非晶性ポリエステル樹脂D 62.5部
・非晶性ポリエステル樹脂E 30.0部
・炭化水素ワックス(日本精蝋(株)製:FNP0090) 5.0部
・シアン顔料(大日精化製:Pigment Blue 15:3) 7.0部
・3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.3部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度145℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にて溶融混練した。
【0262】
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらに、ファカルティF-300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子9を得た。
【0263】
100部のトナー粒子9、ヘキサメチルジシラザンで表面処理した疎水性シリカ微粒子(BET:200m2/g)1.0部、及びイソブチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン微粒子(BET:80m2/g)1.0部を、ヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、回転時間10minで混合して、トナー9を得た。
【0264】
トナー9の重量平均粒径(D4)は6.2μmであり、平均円形度は0.950であり、トナーの軟化点(Tm)は98℃であった。
【0265】
(二成分現像剤9)
実施例1で用いた磁性キャリア1を92.0部と、8.0部のトナー9を加え、V型混合機(V-20、セイシン企業製)により混合し、二成分現像剤9を得た。
【0266】
<参考例1~4>
二成分現像剤1及び電子写真感光体1を、二成分現像剤10及び表4に記載の電子写真感光体に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、画像スジの評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0267】
参考例1~4より、樹脂Aを含有せず、結晶性ポリエステルを含有するトナーでは、本開示に係る課題が発生しないことが分かった。これは、結晶性ポリエステルは、ポリマーの主鎖部分で集合することで結晶性部位を形成するため、形成される結晶性部位が密になりにくく、トナーの滑り性が高まりにくいためであると本発明者ら考えている。