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特開2022-188685車両用表示制御装置、車両用表示装置、表示制御方法及び表示制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188685
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】車両用表示制御装置、車両用表示装置、表示制御方法及び表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20221214BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20221214BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20221214BHJP
   G09G 5/10 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
B60K35/00 A
B60K35/00 Z
G01C21/36
G09G5/00 510G
G09G5/00 550C
G09G5/10 D
G09G5/00 550B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096915
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 玉テイ
(72)【発明者】
【氏名】廣田 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】前嶋 晃詠
【テーマコード(参考)】
2F129
3D344
5C182
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129GG17
2F129GG18
2F129HH14
3D344AA19
3D344AA20
3D344AB01
3D344AC25
3D344AD01
5C182AA04
5C182AB25
5C182AB31
5C182AC03
5C182BA14
5C182BA29
5C182BA47
5C182BA56
5C182BB01
5C182BB11
5C182CA01
5C182CA21
5C182CA54
5C182CB13
5C182CB14
5C182CB32
5C182CB47
5C182CB52
5C182CC02
5C182DA65
(57)【要約】
【課題】乗員に対して煩わしさを感じさせることを抑制できる車両用表示制御装置、車両用表示装置、表示制御方法及び表示制御プログラムを得る。
【解決手段】車両用表示制御装置は、車両からの前景の一部と重複する表示領域26Aに画像を表示する。車両用表示制御装置は、車両前方を走行する先行車両60の位置を検出し、先行車両60の位置に基づき、先行車両60全体が表示領域26Aから外れたか否かを検知する。車両用表示制御装置は、先行車両60の位置に応じた捕捉画像80を先行車両60に重畳又は隣接させて表示領域26Aに表示させ、かつ先行車両60全体が表示領域26Aから外れたことが検知された際に、表示領域26Aにおける先行車両60全体が外れた側の端部において捕捉画像80を点滅表示させる。これにより、車両用表示制御装置は、乗員に対して煩わしさを感じさせることを抑制できる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両からの前景の一部と重複する表示領域に画像を表示する車両用表示装置を制御する車両用表示制御装置であって、
前記車両前方を走行する先行車両の位置を検出する先行車両検出部と、
前記先行車両の位置に基づき、前記先行車両全体が前記表示領域から外れたか否かを検知する外れ検知部と、
前記先行車両の位置に応じた捕捉画像を前記先行車両に重畳又は隣接させて前記表示領域に表示させ、かつ前記外れ検知部により前記先行車両全体が前記表示領域から外れたことが検知された際に、前記表示領域における前記先行車両全体が外れた側の端部において前記捕捉画像を点滅表示させる表示制御部と、
を備える車両用表示制御装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記外れ検知部により前記先行車両全体が前記表示領域から外れたことが検知された際に、当該検知から一定時間経過後に前記捕捉画像を点滅表示させる請求項1に記載の車両用表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記外れ検知部により前記先行車両の少なくとも一部が前記表示領域の外側から内側に戻ったことが検知された際に、当該検知から一定時間経過後に前記捕捉画像を非点滅点灯表示させる請求項1又は2に記載の車両用表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記先行車両が前記表示領域から離れるに連れて前記点滅表示の点滅速度を速める請求項1~請求項3の何れか1項に記載の車両用表示制御装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記点滅速度を段階的に速める請求項4に記載の車両用表示制御装置。
【請求項6】
前記表示領域は、運転席の車両前方でヘッドアップディスプレイ装置によって投影された投影面である請求項1~請求項5の何れか1項に記載の車両用表示制御装置。
【請求項7】
前記車両の車室内に設けられ、前記表示領域を有する表示部と、
請求項1~請求項6の何れか1項に記載の車両表示制御装置と、
を備える車両用表示装置。
【請求項8】
車両からの前景の一部と重複する表示領域に画像を表示させる表示方法であって、
前記車両前方を走行する先行車両の位置を検出し、
前記先行車両の位置に基づき、前記先行車両全体が前記表示領域から外れたか否かを検知し、
前記先行車両の位置に応じた捕捉画像を前記先行車両に重畳又は隣接させて前記表示領域に表示させ、かつ前記先行車両全体が前記表示領域から外れたことが検知された際に、前記表示領域における前記先行車両全体が外れた側の端部において前記捕捉画像を点滅表示させる、表示制御方法。
【請求項9】
車両からの前景の一部と重複する表示領域に画像を表示させるプログラムであって、
コンピュータに、
前記車両前方を走行する先行車両の位置を検出し、
前記先行車両の位置に基づき、前記先行車両全体が前記表示領域から外れたか否かを検知し、
前記先行車両の位置に応じた捕捉画像を前記先行車両に重畳又は隣接させて前記表示領域に表示させ、かつ前記先行車両全体が前記表示領域から外れたことが検知された際に、前記表示領域における前記先行車両全体が外れた側の端部において前記捕捉画像を点滅表示させる、ことを実行させる表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示制御装置、車両用表示装置、表示制御方法及び表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘッドアップディスプレイ装置によって、車両の乗員がウインドシールドガラス越しに見る前景に、マーカ画像等を重畳させて表示する技術が開示されている。この特許文献1では、先行車両を捕捉していることを示すマーカ画像を先行車両に合わせて表示させており、先行車両がヘッドアップディスプレイ装置の表示領域の車幅方向側端から外側に外れるに連れて、時間周波数を変えてマーカ画像を表示させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6536855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術においては、先行車両が表示領域から少しでも外側に外れると、マーカ画像が点滅するので、乗員が煩わしさを感じる虞がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、乗員に対して煩わしさを感じさせることを抑制できる車両用表示制御装置、車両用表示装置、表示制御方法及び表示制御プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係る車両用表示制御装置は、車両からの前景の一部と重複する表示領域に画像を表示する車両用表示装置を制御する車両用表示制御装置であって、前記車両前方を走行する先行車両の位置を検出する先行車両検出部と、前記先行車両の位置に基づき、前記先行車両全体が前記表示領域から外れたか否かを検知する外れ検知部と、前記先行車両の位置に応じた捕捉画像を前記先行車両に重畳又は隣接させて前記表示領域に表示させ、かつ前記外れ検知部により前記先行車両全体が前記表示領域から外れたことが検知された際に、前記表示領域における前記先行車両全体が外れた側の端部において前記捕捉画像を点滅表示させる表示制御部と、を備えている。
【0007】
請求項1に記載の本発明に係る車両用表示制御装置では、表示制御部が、先行車両の位置に応じた捕捉画像を先行車両に重畳又は隣接させて表示領域に表示させ、かつ外れ検知部により先行車両全体が表示領域から外れたことが検知された際に、表示領域における先行車両全体が外れた側の端部において捕捉画像を点滅表示させている。これにより、先行車両全体が表示領域から外れたことが検知された場合に捕捉画像が点滅表示され、先行車両の一部だけが表示領域から外れた場合には捕捉画像は点滅表示されないので、乗員に対して煩わしさを感じさせることを抑制できる。なお、ここでいう「重畳させて表示させる」とは、ウインドシールドガラス越しに見える先行車両に対して重畳表示を行う構成に限定されず、車室内のディスプレイなどに表示された先行車両の画像に重畳表示を行う構成を広く含む概念である。
【0008】
請求項2に記載の本発明に係る車両用表示制御装置は、請求項1に記載の構成において、前記表示制御部が、前記外れ検知部により前記先行車両全体が前記表示領域から外れたことが検知された際に、当該検知から一定時間経過後に前記捕捉画像を点滅表示させる。
【0009】
請求項2に記載の本発明に係る車両用表示制御装置では、表示制御部が、先行車両全体が表示領域から外れたことが検知された際に、当該検知から一定時間経過後に捕捉画像を点滅表示させるので、検知から一定時間経過させることにより先行車両が表示領域の内側から外側へ移動する切り替わり時に発生するハンチングを防止することができる。
【0010】
請求項3に記載の本発明に係る車両用表示制御装置は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記表示制御部が、前記外れ検知部により前記先行車両の少なくとも一部が前記表示領域の外側から内側に戻ったことが検知された際に、当該検知から一定時間経過後に前記捕捉画像を非点滅点灯表示させる。
【0011】
請求項3に記載の本発明に係る車両用表示制御装置では、表示制御部が、先行車両の少なくとも一部が表示領域の外側から内側に戻ったことが検知された際に、当該検知から一定時間経過後に捕捉画像を非点滅点灯表示させるので、検知から一定時間経過させることにより先行車両が表示領域の外側から内側へ戻る切り替わり時に発生するハンチングを防止することができる。
【0012】
請求項4に記載の本発明に係る車両用表示制御装置は、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の構成において、前記表示制御部が、前記先行車両が前記表示領域から離れるに連れて前記点滅表示の点滅速度を速める。
【0013】
請求項4に記載の本発明に係る車両用表示制御装置では、表示制御部が、先行車両が表示領域から離れるに連れて点滅表示の点滅速度を速めるので、乗員は表示領域から先行車両までの距離を点滅速度の異なる点滅表示によって視覚的に把握することができる。
【0014】
請求項5に記載の本発明に係る車両用表示制御装置は、請求項4に記載の構成において、前記表示制御部が、前記点滅速度を段階的に速める。
【0015】
請求項5に記載の本発明に係る車両用表示制御装置では、表示制御部が点滅速度を段階的に速めるので、表示領域から先行車両までの距離を算出する際の誤差を補正して表示することができる。
【0016】
請求項6に記載の本発明に係る車両用表示制御装置は、請求項1~請求項5の何れか1項に記載の構成において、前記表示領域が、運転席の車両前方でヘッドアップディスプレイ装置によって投影された投影面である。
【0017】
請求項6に記載の本発明に係る車両用表示制御装置では、表示領域が、運転席の車両前方でヘッドアップディスプレイ装置によって投影された投影面なので、運転席からの前景に重畳させて捕捉画像が表示されるため、運転席の乗員が視線を大きく動かすことなく先行車両の位置を視認することができる。
【0018】
請求項7に記載の本発明に係る車両用表示装置は、前記車両の車室内に設けられ、前記表示領域を有する表示部と、請求項1~請求項6の何れか1項に記載の車両表示制御装置と、を備える。
【0019】
請求項7に記載の本発明に係る車両用表示装置では、車両用表示装置が、車両の車室内に設けられ表示領域を有する表示部と、車両表示制御装置とを備えている。この車両表示制御装置は、請求項1~請求項6の何れか1項に記載の車両表示制御装置であるため、前述した作用及び効果が得られる。
【0020】
請求項8に記載の本発明に係る表示制御方法は、車両からの前景の一部と重複する表示領域に画像を表示させる表示方法であって、前記車両前方を走行する先行車両の位置を検出し、前記先行車両の位置に基づき、前記先行車両全体が前記表示領域から外れたか否かを検知し、前記先行車両の位置に応じた捕捉画像を前記先行車両に重畳又は隣接させて前記表示領域に表示させ、かつ前記先行車両全体が前記表示領域から外れたことが検知された際に、前記表示領域における前記先行車両全体が外れた側の端部において前記捕捉画像を点滅表示させる。
【0021】
請求項8に記載の本発明に係る表示制御方法では、先行車両の位置に応じた捕捉画像を先行車両に重畳又は隣接させて表示領域に表示させ、かつ先行車両全体が表示領域から外れたことが検知された際に、表示領域における先行車両全体が外れた側の端部において捕捉画像を点滅表示させる。これにより、車両の乗員は、先行車両全体が表示領域から外れたことが検知された場合に捕捉画像が点滅表示され、先行車両の一部だけが表示領域から外れた場合には捕捉画像は点滅表示されないので、乗員に対して煩わしさを感じさせることを抑制できる。
【0022】
請求項9に記載の本発明に係る表示制御プログラムは、車両からの前景の一部と重複する表示領域に画像を表示させるプログラムであって、コンピュータに、前記車両前方を走行する先行車両の位置を検出し、前記先行車両の位置に基づき、前記先行車両全体が前記表示領域から外れたか否かを検知し、前記先行車両の位置に応じた捕捉画像を前記先行車両に重畳又は隣接させて前記表示領域に表示させ、かつ前記先行車両全体が前記表示領域から外れたことが検知された際に、前記表示領域における前記先行車両全体が外れた側の端部において前記捕捉画像を点滅表示させる、ことを実行させる。
【0023】
請求項9に記載の本発明に係る表示制御プログラムでは、コンピュータが、先行車両の位置に応じた捕捉画像を先行車両に重畳又は隣接させて表示領域に表示させ、かつ先行車両全体が表示領域から外れたことが検知された際に、表示領域における先行車両全体が外れた側の端部において捕捉画像を点滅表示させることを実行させる。これにより、車両の乗員は、先行車両全体が表示領域から外れたことが検知された場合に捕捉画像が点滅表示され、先行車両の一部だけが表示領域から外れた場合には捕捉画像は点滅表示されないので、乗員に対して煩わしさを感じさせることを抑制できる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明に係る車両用表示制御装置、車両用表示装置、表示制御方法及び表示制御プログラムは、乗員に対して煩わしさを感じさせることを抑制できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る車両用表示装置が適用された車両における車室内の前部を車両後方側から見た概略図である。
図2】本実施形態に係る車両用表示装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る車両用表示装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】フロントカメラにより取得された撮像画像の一例を示す一例図である。
図5】運転席の乗員から視認されるウインドシールドガラスの一例を示す図である。
図6】運転席の乗員から視認されるウインドシールドガラスの一例を示す図である。
図7】本実施形態における表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】本実施形態の変形例に係る車両用表示装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の一実施形態に係る車両用表示装置10が適用された車両12について、図面を参照して説明する。なお、図1に記載された矢印UPは車両上下方向の上方側を示し、矢印RHは車両幅方向の右方側を示す。以下の説明中の上下方向及び左右方向はそれぞれ、車両上下方向の上下及び車両幅方向の左右を意味する。
【0027】
図1に示されるように、車両12における車室13内の前部には、インストルメントパネル14が設けられている。インストルメントパネル14は、車両幅方向に延在されており、このインストルメントパネル14の車両右側にはステアリングホイール16が設けられている。すなわち、本実施形態では一例として、右側にステアリングホイール16が設けられた、いわゆる右ハンドル車とされており、運転席が車両右側に設定されている。また、インストルメントパネル14の前端部には、ウインドシールドガラス18が設けられている。
【0028】
ウインドシールドガラス18は、インストルメントパネル14の前端部から車両上方側へ延びており、車両12の車室外側と車室13内側とを区画している。また、ウインドシールドガラス18の車両右側端部は、車両右側のフロントピラー20に固定されている。フロントピラー20は、車両上下方向に延在されており、このフロントピラー20の車両幅方向内側端部にはウインドシールドガラス18が固定されている。また、フロントピラー20の車両幅方向外側端部にはフロントサイドガラス22の前端部が固定されている。なお、ウインドシールドガラス18の車両左側端部は、図示しない車両左側のフロントピラーに固定されている。
【0029】
ここで、インストルメントパネル14には、画像の表示領域24Aを備えた第一表示部24が設けられている。第一表示部24は、インストルメントパネル14の車両右側において、運転席の車両前方に設けられたメータディスプレイによって構成されている。第一表示部24は、車両12に搭載された各種メータ機器と接続されており、運転者が車両前方へ視線を向けた状態で視界に入る位置に設けられている。
【0030】
インストルメントパネル14には、画像の表示領域25Aを備えた第二表示部25が設けられている。第二表示部25は、インストルメントパネル14の車両幅方向の中央部に配設されたセンタディスプレイによって構成されている。
【0031】
ウインドシールドガラス18には、画像の表示領域26Aを有する第三表示部26が設けられている。第三表示部26は、第一表示部24の車両上方側に設定されており、表示領域26Aは、ヘッドアップディスプレイ装置44(図2参照)によって投影された投影面によって構成されている。具体的には、インストルメントパネル14の車両前方側にヘッドアップディスプレイ装置44が設けられており、このヘッドアップディスプレイ装置44からウインドシールドガラス18の第三表示部26の表示領域26Aへ画像が投影されるように構成されている。すなわち、第三表示部26は、ヘッドアップディスプレイ装置44の投影面とされたウインドシールドガラス18の一部とされている。
【0032】
(車両用表示装置10のハードウェア構成)
車両12には、車両用表示装置10の制御部である車両用表示制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)28が設けられている。図2は、車両用表示装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0033】
この図2に示されるように、車両用表示装置10のECU28は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)30、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)34、ストレージ36、通信インタフェース(通信I/F)38及び入出力インタフェース(入出力I/F)40を含んで構成されている。各構成は、バス42を介して相互に通信可能に接続されている。
【0034】
CPU30は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU30は、ROM32又はストレージ36からプログラムを読み出し、RAM34を作業領域としてプログラムを実行する。CPU30は、ROM32又はストレージ36に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0035】
ROM32は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM34は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ36は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。本実施形態では、ROM32又はストレージ36には、表示処理を行うためのプログラム、及び各種データなどが格納されている。
【0036】
通信I/F38は、車両用表示装置10が図示しないサーバ及び他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、LTE、FDDI、Wi-Fi(登録商標)などの規格が用いられる。
【0037】
入出力I/F40には、第一表示部24、第二表示部25、ヘッドアップディスプレイ装置(HUD)44及びセンサ部46が接続されている。また、ヘッドアップディスプレイ装置44によって第三表示部26へ画像が投影される。
【0038】
センサ部46には、カメラ、レーダ、ライダ(LIDAR;Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Ranging)、GPS(global positioning system)センサなどの各種センサのうちの複数のセンサが含まれる。カメラは、車両12の周辺を撮影する。本実施形態のカメラは少なくとも、車両前方を撮像するフロントカメラを含んで構成されている。
【0039】
レーダは、電波により車両12の周辺の物体との距離および方向を検出する。ライダは、レーザ光により車両12の周辺の物体との距離および方向を検出する。GPSセンサは、車両12の現在位置を検出する。なお、本実施形態において、レーダ及びライダは、周囲の物体の検出結果を処理する機能を有する信号処理部(図示省略)を備えている。信号処理部は、直近の複数回の検出結果に含まれる個々の物体との相対位置や相対速度の変化等に基づき、ノイズや動きのない物体としてガードレール等の路側物等を除外し、歩行者や他車両等の移動物体を追従監視する。また、センサ部46は、この他に、乗員の視線位置を検出するセンサなどを含んで構成されている。
【0040】
(車両用表示制御装置28の機能構成)
車両用表示制御装置28は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。車両用表示制御装置28が実現する機能構成について図3を参照して説明する。
【0041】
図3に示されるように、車両用表示制御装置28は、機能構成として、先行車両検出部52、外れ検知部54、画像生成部56、及び表示制御部58を含んで構成されている。なお、各機能構成は、CPU30がROM32又はストレージ36に記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0042】
先行車両検出部52は、車両12の前方を走行する先行車両60の位置に関する情報を取得する。具体的には、先行車両検出部52は、センサ部46によって検出された先行車両60の情報を取得する。例えば、先行車両検出部52は、フロントカメラが撮像した車両前方の撮像画像データを取得し、取得した先行車両60の撮像画像データに基づいて、先行車両60のyz方向の座標データを検出する。ここで、y方向は車両12の左右方向、z方向は車両12の上下方向とする。なお、x方向は車両12の前後方向とする。
【0043】
図4はフロントカメラが撮像した車両前方の撮像画像データが示す撮像画像70の一例を示す一例図である。図4に示されるように、先行車両検出部52は、撮像画像70において水平方向をy軸、垂直方向をz軸として座標軸を設定する。なお、本実施形態においては、フロントカメラは車両12の前部の室内側の車幅方向中央に設置されており、本実施形態においては、撮像画像70の中央を原点とする。
【0044】
先行車両検出部52は、撮像画像70を解析することによって車両12の前方に存在する先行車両60を検出し、その先行車両60の車両12に対する位置及び形状を検出する。例えば図4において、先行車両検出部52は、撮像画像70から先行車両60を検出し、先行車両60において、先行車両60を囲む矩形状の外枠60A(図4中、二点鎖線で示す)を設定し、その外枠60Aのx軸方向の幅Sとy軸方向の高さHとを先行車両60の大きさ情報として検出する。
【0045】
また、先行車両検出部52は、一例として外枠60Aの左下の頂点の座標であるFL1(y1,z1)、外枠60Aの右下の頂点の座標であるFR1(y2,z2)、外枠60Aの左上の頂点の座標であるFL2(y3,z3)、及び外枠60Aの右上の頂点の座標であるFR2(y4,z4)を先行車両60の座標データとして検出する。
【0046】
外れ検知部54は、先行車両60の位置に基づき、先行車両60全体が第三表示部26の表示領域26Aから外れたか否かを検知する。具体的には、一例として外れ検知部54は、予め表示領域26Aに対応する位置座標を設定しておく。そして、先行車両検出部52により検出された先行車両60の位置を示す4つの座標データ、すなわちFL1(y1,z1)、FR1(y2,z2)、FL2(y3,z3)、及びFR2(y4,z4)が表示領域26Aの内側にあるのか外側にあるのかを判断する。外側にある場合には、外れ検知部54は、先行車両60全体が第三表示部26の表示領域26Aから外れたことを検知する。
【0047】
画像生成部56は、ヘッドアップディスプレイ装置44の投影面である第三表示部26に表示するための画像を生成する。図5及び図6はそれぞれ運転席の乗員から視認されるウインドシールドガラス18の一例を示す図である。なお、図5及び図6において、ウインドシールドガラス18は、長方形で示されているが、実際には厳密な長方形ではない。
【0048】
図5及び図6に示されるように、画像生成部56によって生成される画像には、例えば、車両12の走行速度を示すメータ表示を示すメータ画像82や、手動運転及び自動運転の支援を目的とする各種画像が含まれる。
【0049】
本実施形態では特に、画像生成部56は、外れ検知部54で先行車両60全体が第三表示部26の表示領域26Aから外れたと判定された場合に、捕捉している先行車両60を示す捕捉画像80として第1捕捉画像80Aと第2捕捉画像80Bを生成する。本実施形態においては、一例として、第1捕捉画像80Aと第2捕捉画像80Bとは同様の形状で構成されており、第1捕捉画像80Aは第2捕捉画像80Bよりも強調した色及び輝度で構成されている。本実施形態においては、一例として、捕捉画像80は、図5及び図6に示されるように両矢印で構成されている。
【0050】
また、画像生成部56は、先行車両60が複数検出された場合には、検出された先行車両60毎に捕捉画像80を生成する。この場合、一例として第1捕捉画像80Aの色は、先行車両60毎に異なる色とされる。なお、画像生成部56による上記捕捉画像80の生成は、予め行われ、一例としてストレージ36に記憶される。
【0051】
表示制御部58は、画像生成部56で生成された画像を第三表示部26の表示領域26Aに表示させる機能と、表示領域26Aに表示された画像を削除する機能を有する。
【0052】
表示制御部58は、例えば、運転席の乗員から第三表示部26(ウインドシールドガラス18)を通して視認される車両12の前景に融合させるように、各種画像を第三表示部26の表示領域26Aに表示させる。本実施形態では特に、表示制御部58は、先行車両60の位置に応じた捕捉画像80を先行車両60に重畳又は隣接させて第三表示部26の表示領域26Aに表示させ、かつ外れ検知部54により先行車両60全体が表示領域26Aから外れたことが検知された際に、表示領域26Aにおける先行車両60全体が外れた側の端部において捕捉画像80を点滅表示させる。なお、本実施形態において表示制御部58は、一例として、捕捉画像80を先行車両80の下端部に隣接させて表示させている。
【0053】
また、本実施形態においては、一例として、外れ検知部54により先行車両60全体が表示領域26Aの左端から外れたことが検知された際に、表示制御部58は、表示領域26Aの左端部に捕捉画像80を表示させる。具体的には、第1捕捉画像80Aと第2捕捉画像80Bとを一定の間隔で交互に表示させる。このとき、表示制御部58は、捕捉画像80において、両矢印の幅が先行車両検出部52によって大きさ情報として検出される幅Sの大きさに対応するように、捕捉画像80すなわち第1捕捉画像80A及び第2捕捉画像80Bを縮小又は拡大して表示させる。また、表示制御部58は、一例として、両矢印の傾きが図4に示される外枠60Aの下端線の傾きと一致するように、捕捉画像80すなわち第1捕捉画像80A及び第2捕捉画像80Bを回転させて表示させる。
【0054】
同様にして、表示制御部58は、外れ検知部54により先行車両60全体が表示領域26Aの右端から外れたことが検知された際には、表示領域26Aの右端部に捕捉画像80を表示させ、上端から外れたことが検知された際には、表示領域26Aの上端部に捕捉画像80を表示させる。
【0055】
また、図6に示されるように、表示制御部58は、先行車両60全体が表示領域26Aから外れていない場合、すなわち、先行車両60の一部のみが表示領域26Aから外れているか、もしくは先行車両60全体が表示領域26A内に位置している場合には、第1捕捉画像80Aを先行車両60の位置に応じて表示させることにより、捕捉画像を点滅ではなく点灯表示させる。
【0056】
なお、本実施形態においては、一例として表示制御部58は、外れ検知部54により先行車両60全体が表示領域26Aから外れたことが検知された際に、この検知から一定時間経過後に捕捉画像80を点滅表示させる。また、表示制御部58は、外れ検知部54により先行車両60の少なくとも一部が表示領域26Aの外側から内側に戻ったことが検知された際に、この検知から一定時間経過後に捕捉画像80を非点滅点灯表示させる。
【0057】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0058】
(表示処理)
ヘッドアップディスプレイ装置44の投影面である第三表示部26に捕捉画像80を表示させる表示処理の一例について、図7に示されるフローチャートを用いて説明する。この表示処理は、CPU30がROM32又はストレージ36から表示制御プログラムを読み出して、RAM34に展開して実行することによって実行される。
【0059】
図7に示されるように、CPU30は、ステップS11で先行車両60が検出されたか否かを判定する。具体的には、CPU30は、先行車両検出部52の機能によって、センサ部46に含まれるフロントカメラにより撮像された撮像画像70中に先行車両60が存在するか否かを判定する。
【0060】
先行車両60が検出されなかった場合、ステップS11が否定判定となり、CPU30は表示制御処理を終了させる。一方、先行車両60が検出された場合、ステップS11が肯定判定となり、CPU30はステップ12へ処理を移行させる。
【0061】
CPU30は、ステップ12で先行車両60の位置を検出する。具体的には、CPU30は、先行車両検出部52の機能によって、センサ部46で検出された先行車両60の情報を取得し、これらの情報に基づいて、上述したように先行車両60の外枠60Aの右下の頂点の座標であるFR1(y2,z2)、外枠60Aの左上の頂点の座標であるFL2(y3,z3)、及び外枠60Aの右上の頂点の座標であるFR2(y4,z4)を先行車両60の座標データとして検出する。
【0062】
CPU30は、ステップS13で先行車両60全体が表示領域26Aから外れたか否かを判定する。具体的には、CPU30は、外れ検知部54の機能によって、上記座標データ、すなわちFL1(y1,z1)、FR1(y2,z2)、FL2(y3,z3)、及びFR2(y4,z4)が撮像画像70において表示領域26Aの内側にあるのか外側にあるのかを判定する。外側にある場合、CPU30は先行車両60全体が表示領域26Aから外れたことを検知するため、ステップS13が肯定判定となり、CPU30は、ステップS14へ処理を移行させる。
【0063】
CPU30は、ステップS14にて、車両用表示制御装置28に搭載されたタイマ(図示省略)によって一定時間が経過したか否かを判定する。一定時間経過していない場合、ステップS14は否定判定となり、CPU30は一定時間が経過するまでステップS14の処理を繰り返し行う。一方、一定時間経過した場合、ステップS14は肯定判定となり、CPU30は、ステップS15へ処理を移行させる。
【0064】
CPU30は、ステップS15で捕捉画像80を点滅表示させる。具体的には、CPU30は、画像生成部56の機能によって生成された第1捕捉画像80A及び第2捕捉画像80Bを、表示制御部58の機能によって第三表示部26の表示領域26Aに交互に表示させることにより捕捉画像80を表示領域26Aにおける先行車両60全体が外れた側の端部において点滅表示させる(図5参照)。
【0065】
他方CPU30は、ステップS13で、少なくとも1つの座標データが撮像画像70において表示領域26Aの内側にある場合、CPU30は先行車両60全体が表示領域26Aから外れていない、すなわち先行車両60の少なくとも一部が表示領域26Aに位置していることを検知するため、ステップS13が否定判定となり、CPU30は、ステップS16へ処理を移行させる。
【0066】
CPU30は、ステップS16にて、外れ検知部54の機能で、先行車両60が外側から内側に戻ってきたか否かを判定する。外側から内側に戻ってきていない場合、先行車両60は継続して表示領域26Aの内側にあるのでステップS16は否定判定となり、CPU30は、ステップS18へ処理を移行させる。一方、表示領域26Aの外側から内側に戻ってきた場合、ステップS16は肯定判定となり、CPU30は、ステップS17へ処理を移行させる。
【0067】
CPU30は、ステップS17にて、車両用表示制御装置28に搭載されたタイマ(図示省略)によって一定時間が経過したか否かを判定する。一定時間経過していない場合、ステップS17は否定判定となり、CPU30は一定時間が経過するまでステップS17の処理を繰り返し行う。一方、一定時間経過した場合、ステップS17は肯定判定となり、CPU30は、ステップS18へ処理を移行させる。
【0068】
CPU30は、ステップS18で捕捉画像80を先行車両60に隣接させて非点滅点灯表示させる。具体的には、CPU30は、画像生成部56の機能によって生成された第1捕捉画像80Aを、表示制御部58の機能によって第三表示部26の表示領域26Aに表示させることにより捕捉画像80を先行車両60の下端に隣接させて非点滅で点灯表示させる(図6参照)。
【0069】
そして、CPU30は、ステップS15又はステップS18の処理を継続したまま、ステップS11へ処理を移行し、先行車両検出部52の機能で、現在捕捉している先行車両60が検出されているか否かを判定する。先行車両60が検出されている場合、ステップS11は肯定判定となり、CPU30はステップS12以降の処理を引き続き行う。一方、先行車両60が検出されていない場合、ステップS11は否定判定となり、CPU30は表示制御処理を終了させる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用表示装置10及び車両用表示制御装置28では、表示制御部58が、先行車両60の位置に応じた捕捉画像80を先行車両60に重畳又は隣接させて表示領域に表示させ、かつ外れ検知部54により先行車両60全体が表示領域26Aから外れたことが検知された際に、表示領域26Aにおける先行車両60全体が外れた側の端部において捕捉画像80を点滅表示させている。これにより、先行車両60全体が表示領域26Aから外れたことが検知された場合に捕捉画像80が点滅表示され、先行車両60の一部だけが表示領域26Aから外れた場合には捕捉画像80は点滅表示されないので、乗員に対して煩わしさを感じさせることを抑制できる。
【0071】
また、本実施形態においては、表示制御部58が、先行車両60全体が表示領域26Aから外れたことが検知された際に、この検知から一定時間経過後に捕捉画像80を点滅表示させるので、検知から一定時間経過させることにより先行車両60が表示領域26Aの内側から外側へ移動する切り替わり時に発生するハンチングを防止することができる。
【0072】
また、本実施形態においては、表示制御部58が、先行車両60の少なくとも一部が表示領域26Aの外側から内側に戻ったことが検知された際に、この検知から一定時間経過後に捕捉画像80を非点滅点灯表示させるので、検知から一定時間経過させることにより先行車両60が表示領域26Aの外側から内側へ戻る切り替わり時に発生するハンチングを防止することができる。
【0073】
また、本実施形態においては、表示領域26Aが、運転席の車両前方でヘッドアップディスプレイ装置44によって投影された投影面なので、運転席からの前景に重畳させて捕捉画像80が表示されるため、運転席の乗員が視線を大きく動かすことなく先行車両60の位置を視認することができる。
【0074】
なお、上記実施形態では、図5に示されるように、捕捉画像80を点滅表示させる際に、表示制御部58は、第1捕捉画像80Aと第2捕捉画像80Bとを一定の間隔で交互に表示させたが、本発明はこれに限定されない。
【0075】
(第1変形例)
第1変形例においては、表示制御部58は、先行車両60が表示領域26Aから離れるに連れて点滅表示の点滅速度を速める。具体的には、表示制御部58は、第1捕捉画像80Aと第2捕捉画像80Bとの表示切替のタイミングを異ならせる。一例として、外れ検知部54が、センサ部46のGPSセンサによって検出される車両12の位置の座標を取得する。また、外れ検知部54は、先行車両検出部52によって検出される先行車両60のy方向(左右方向)及びz方向(上下方向)の位置の座標を取得すると共に、先行車両検出部52によって検出される先行車両60の大きさの情報を取得してx方向(前後方向)の変位量を導出する。
【0076】
外れ検知部54は、これらの情報から車両12から先行車両60までのx方向、y方向、及びz方向の距離を算出する。表示制御部58は、外れ検知部54により算出された距離が大きくなるほど、先行車両60が表示領域26Aから離れているとして、第1捕捉画像80Aと第2捕捉画像80Bとの表示の切替速度を速めることにより点滅表示の点滅速度を速める。
【0077】
このように変形例1においては、表示制御部58が、先行車両60が表示領域26Aから離れるに連れて点滅表示の点滅速度を速めるので、乗員は表示領域26Aから先行車両60までの距離を点滅速度の異なる点滅表示によって視覚的に把握することができる。
【0078】
なお、上記変形例1においては、x方向の変位量を、撮像画像70から取得された先行車両60の大きさの情報に基づいて算出したが、本発明はこれに限定されない。例えば、センサ部46のレーダ又はライダによって検出される車両12と先行車両60との距離に基づいて算出してもよい。
【0079】
(第2変形例)
第2変形例は、第1変形例において、例えば距離に対して3段階に区画される一定の閾値を設定しておき、外れ検知部54により算出された距離と上記の3段階の閾値とを比較する。この比較結果に基づいて、表示制御部58は、点滅速度を3段階で変化させる。
【0080】
このように第2変形例においては、表示制御部58が点滅速度を段階的に速めるので、表示領域26Aから先行車両60までの距離を算出する際の誤差を補正して表示することができる。
【0081】
[補足説明]
上記実施形態では、車両の前景を示す表示領域がヘッドアップディスプレイ装置44の投影面で構成される場合について説明したが、本発明はこれに限らない。図8に示す変形例のようにインストルメントパネル14に設けられたディスプレイである第二表示部25の表示領域に捕捉画像80を表示してもよい。
【0082】
図8に示されるように、本変形例では、第二表示部25の表示領域25Aが上下に分割されている。図8に示す第二表示部25には、表示領域の下部に車両12の現在位置を示す地図画像Nが表示されており、表示領域の上部に、車両の前景を示す前景画像Fが示されている。前景画像Fは、例えば、センサ部46を構成するフロントカメラで撮像された撮像画像70で構成される。上記実施形態とは異なり、変形例2においては、先行車両60が表示領域25Aから外れた場合、すなわち撮像画像70中に先行車両60が存在しなくなった場合に、表示領域25Aにおける先行車両60が外れた側の端部において捕捉画像が点滅表示される。
【0083】
このように、本変形例では、インストルメントパネル14に設けられた第二表示部25に捕捉画像80が表示され、先行車両60が表示領域25Aから外れた場合、表示領域25Aにおける先行車両60が外れた側の端部において捕捉画像が点滅表示される。これにより、着座位置に関わらず、第二表示部25を視認した乗員に対して、上記実施形態と同様に、点滅表示による煩わしさを抑制することができる。
【0084】
同様に、インストルメントパネル14において、運転席の車両前方に設けられたメータディスプレイである第一表示部24の表示領域24Aに捕捉画像80を表示してもよい。第一表示部24は運転席の車両前方に設けられているため、運転席の乗員は、車両の前景からほとんど視線を動かすことなく第一表示部24を視認することができる。
【0085】
また、上記実施形態では、表示領域に1つの捕捉画像80を表示する構成を説明したが、本発明はこれに限らない。先行車両60が複数検出された場合には、表示領域に複数の捕捉画像80を表示する構成でもよい。また、捕捉画像80は、両矢印形状に限らず、種々の形状に変更が可能である。例えば、実線や点線等で構成される直線形状であってもよいし、円形状等であってもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、撮像画像70において先行車両60の外枠60Aを設定し、この外枠60Aの各頂点の位置座標を先行車両60の位置座標として検出したが、本発明はこれに限定されない。例えば先行車両60の外形を抽出し、上下左右方向において最も外方に位置する点の位置座標を検出してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、先行車両60の下端部に隣接するように捕捉画像80を表示させたが、先行車両60の上端部や、左端部、右端部に隣接するように捕捉画像80を表示させてもよい。また、先行車両60に重畳させて捕捉画像80を表示させてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、表示制御部58は、捕捉画像80を点滅表示させる方法として、第1捕捉画像80Aと第2捕捉画像80Bとを交互に表示させているが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1捕捉画像80Aの表示と非表示を交互に行うようにしてもよい。
【0089】
また、本記実施形態で図2に示されるCPU22がソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0090】
また、本実施形態で説明した各プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0091】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0092】
10 車両用表示装置
12 車両
13 車室
14 インストルメントパネル
24 第一表示部(表示部)
24A 表示領域
25 第二表示部(表示部)
25A 表示領域
26 第三表示部(表示部)
26A 表示領域(投影面)
28 車両用表示制御装置(ECU)
44 ヘッドアップディスプレイ装置(HUD)
52 先行車両検出部
54 外れ検知部
58 表示制御部
60 先行車両
80 捕捉画像
80A 第1捕捉画像(捕捉画像)
80B 第2捕捉画像(捕捉画像)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8