(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188691
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び、移動体
(51)【国際特許分類】
B60L 58/10 20190101AFI20221214BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20221214BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20221214BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221214BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
B60L58/10
B60L50/60
B60L53/14
H02J7/00 302A
H02J13/00 301A
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096924
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 祐
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊洋
【テーマコード(参考)】
5G064
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G064AC05
5G064DA11
5G503AA01
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC05
5H125BC24
5H125EE61
(57)【要約】 (修正有)
【課題】移動体のバッテリからユーザの機器等へ電力を供給する際に、バッテリをより適切に活用することが可能な、情報処理装置、情報処理方法及び、移動体を提供する。
【解決手段】情報処理装置は制御部を有し、災害に関する情報を取得した場合、バッテリからの電力供給が増加し得る所定のイベントが発生したと判定し、所定のイベントが発生していない時よりも、移動体に搭載されるバッテリの放電電力の上限値を大きくする指令を生成し、実行する。制御部はまた、所定のイベントの終了後に、放電電力の上限値を、所定のイベントの発生前の値に戻す指令を生成し、バッテリをより適切に活用する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のイベントが発生したときは、発生していないときよりも、移動体に搭載されるバッテリの放電電力の上限値を大きくする指令を生成すること、
を実行する制御部を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記所定のイベントが発生したときは、発生していないときよりも、前記バッテリの充電電力の上限値を大きくする指令を生成すること、
を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、災害に関する情報を取得した場合に、前記所定のイベントが発生したと判定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定のイベントが発生したときに、前記移動体を前記所定のイベントに対応する位置に移動させる指令を生成する、
請求項1から3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記所定のイベントに対応する位置に関する情報を記憶する記憶部を有する、
請求項1から4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記移動体と、前記バッテリの放電電力の上限値との関係を記憶する記憶部を有する、
請求項1から5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記移動体と、前記バッテリの充電電力の上限値との関係をさらに記憶する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記所定のイベントの終了後に、前記放電電力の上限値を、前記所定のイベントの発生前の値に戻す指令を生成する、
請求項1から7の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
所定のイベントが発生したことを取得することと、
前記所定のイベントが発生したときは、発生していないときよりも、移動体に搭載されるバッテリの放電電力の上限値を大きくする指令を生成することと、
を実行する情報処理方法。
【請求項10】
前記コンピュータが、
前記所定のイベントが発生したときは、発生していないときよりも、前記バッテリの充電電力の上限値を大きくする指令を生成すること、
を実行する、
請求項9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記コンピュータが、
災害に関する情報を取得した場合に、前記所定のイベントが発生したと判定する、
請求項9または10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記コンピュータが、
前記所定のイベントが発生したときに、前記移動体を前記所定のイベントに対応する位置に移動させる指令を生成する、
請求項9から11の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記コンピュータが、
前記所定のイベントに対応する位置に関する情報を記憶部に記憶させる、
請求項9から12の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記コンピュータが、
前記移動体と、前記バッテリの放電電力の上限値との関係を記憶部に記憶させる、
請求項9から13の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記コンピュータが、
前記記憶部に、前記移動体と、前記バッテリの充電電力の上限値との関係をさらに記憶させる、
請求項14に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記コンピュータが、
前記所定のイベントの終了後に、前記放電電力の上限値を、前記所定のイベントの発生前の値に戻す指令を生成する、
請求項9から15の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項17】
所定のイベントが発生したときは、発生していないときよりも、搭載しているバッテリの放電電力の上限値を大きくすること、
を実行する制御部を有する移動体。
【請求項18】
前記制御部は、前記所定のイベントが発生したときは、発生していないときよりも、前記バッテリの充電電力の上限値を大きくすること、
を実行する、
請求項17に記載の移動体。
【請求項19】
前記制御部は、前記所定のイベントが発生したときに、前記移動体を前記所定のイベントに対応する位置に移動させる指令を生成する、
請求項17または18に記載の移動体。
【請求項20】
前記制御部は、前記所定のイベントの終了後に、前記放電電力の上限値を、前記所定のイベントの発生前の値に戻す、
請求項17から19の何れか1項に記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び、移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
温度に応じてバッテリの充電電力上限値及び放電電力上限値を定め、この上限値を超えないように充電電力を制御する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常はバッテリの劣化を考慮して電力が制御されるが、状況によっては大きな電力が必要となる場合もある。本開示の目的は、バッテリをより適切に活用することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様の一つは、
所定のイベントが発生したときは、発生していないときよりも、移動体に搭載されるバッテリの放電電力の上限値を大きくする指令を生成すること、
を実行する制御部を有する情報処理装置である。
【0006】
本開示の態様の一つは、
コンピュータが、
所定のイベントが発生したことを取得することと、
前記所定のイベントが発生したときは、発生していないときよりも、移動体に搭載されるバッテリの放電電力の上限値を大きくする指令を生成することと、
を実行する情報処理方法である。
【0007】
本開示の態様の一つは、
所定のイベントが発生したときは、発生していないときよりも、搭載しているバッテリの放電電力の上限値を大きくすること、
を実行する制御部を有する移動体である。
【0008】
また、本開示の他の態様は、上記の情報処理装置における処理をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、このプログラムを非一時的に記憶した記憶媒体である。また、本開示の他の態様は、上記の移動体における処理をコンピュータが実行する情報処理方法、上記の移動体における処理をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、このプログラムを非一時的に記憶した記憶媒体である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、バッテリをより適切に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るシステムの概略構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係るシステム1を構成する車両、及び、サーバのそれぞれの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図4】車両情報DBのテーブル構成を例示した図である。
【
図7】実施形態に係る指令生成処理のフローチャートである。
【
図8】実施形態に係る車両における処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の態様の一つである情報処理装置は、制御部を有する。制御部は、所定のイベントが発生したときは、発生していないときよりも、移動体に搭載されるバッテリの放電電力の上限値を大きくする指令を生成することを実行する。移動体は、例えば、車両である。移動体は、自律的に移動してもよく、運転者が運転することで移動してもよい。移動体は、ハイブリッド車両であってもよく、電気自動車であってもよい。移動体は、バッテリを備えている。このバッテリは、移動体の外部の機器等に対して電力の供給が可能なバッテリである。たとえば、移動体のバッテリで、ユーザのスマートフォンなどを充電することができる。
【0012】
所定のイベントは、バッテリからの電力供給が増加し得るイベントである。例えば、災害が発生して送電線又は変電所等が破損した場合には、ユーザに対して電力の供給が困難になり得る。また、例えば、野外で公演がある場合には、電力を供給する設備が整っていないことも考えられる。上記の場合に、移動体のバッテリからユーザの機器等へ電力を供給することができる。
【0013】
ここで、バッテリの充電時または放電時には、充電電力または放電電力が制限されることがある。すなわち、充電電力または放電電力が大きくなると、バッテリの寿命が短くなるため、充電電力または放電電力に上限を設けてバッテリの寿命が短くなることを抑制している。一方で、充電電力が大きいほど、バッテリを早く充電することが可能となる。また、放電電力が大きいほど、外部のより多くの機器に電力を供給することができる。
【0014】
したがって、上記のようにバッテリの寿命を延ばそうとして放電電力を制限すると、例えば、同時に電力を供給可能な機器の数が少なくなってしまう。したがって、所定のイベントの発生時には、電力不足を招く虞がある。同様に、バッテリの寿命を延ばそうとして充電電力を制限すると、例えば、バッテリの充電に時間がかかるために、外部の機器に電力を供給可能となるまでに時間がかかってしまう。
【0015】
そこで、制御部は、所定のイベントが発生したときは、発生していないときよりも、移動体に搭載されるバッテリの放電電力の上限値を大きくするように、指令を生成する。これにより、電力の需要の増大に対応することができる。一方、イベントが発生していないときは放電電力の上限値を下げることで、バッテリの劣化を抑制できる。
【0016】
また、制御部は、前記所定のイベントが発生したときは、発生していないときよりも、バッテリの充電電力の上限値を大きくするように、指令を生成してもよい。これにより、急速充電が可能になる。一方、イベントが発生していないときは充電電力の上限値を下げることで、バッテリの劣化を抑制できる。
【0017】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。また、以下の実施形態は可能な限り組み合わせることができる。
【0018】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係るシステム1の概略構成を示す図である。システム1は、所定のイベント(例えば、災害)が発生したときに、その発生した位置へ車両10を派遣して、車両10のバッテリ18からユーザへ電力を供給するシステムである。車両10は移動体の一例である。車両10は、自律走行可能な車両であってもよく、運転者による手動走行可能な車両であってもよい。車両10は、車両10の外部に電源を供給する機能を有する例えば電気自動車またはハイブリッド車両である。
【0019】
図1の例では、システム1は、車両10、及び、サーバ30を含む。車両10、及び、サーバ30は、ネットワークN1によって相互に接続されている。ネットワークN1は、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網でありWAN(Wide Area Network)やその他の通信網が採用されてもよい。また、ネットワークN1は、携帯電話等の電話通信網、または、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信網を含んでもよい。
【0020】
図2に基づいて、車両10、及び、サーバ30のハードウェア構成及び機能構成について説明する。
図2は、本実施形態に係るシステム1を構成する車両10、及び、サーバ30のそれぞれの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【0021】
サーバ30は、一般的なコンピュータの構成を有している。サーバ30は、プロセッサ31、主記憶部32、補助記憶部33、及び、通信部34を有する。これらは、バスにより相互に接続される。プロセッサ31は、制御部の一例である。主記憶部32及び補助記憶部33は、記憶部の一例である。
【0022】
プロセッサ31は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等である。プロセッサ31は、サーバ30を制御し、様々な情報処理の演算を
行う。主記憶部32は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。補助記憶部33は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディ
スクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)、リムーバブルメディア等である。補助記憶
部33には、オペレーティングシステム(Operating System :OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。補助記憶部33に格納されたプログラムをプロセッサ31が主記憶部32の作業領域にロードして実行し、このプログラムの実行を通じて各構成部等が制御される。これにより、所定の目的に合致した機能をサーバ30が実現する。主記憶部32および補助記憶部33は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体である。なお、サーバ30は、単一のコンピュータであってもよいし、複数台のコンピュータが連携したものであってもよい。また、補助記憶部33に格納される情報は、主記憶部32に格納されてもよい。また、主記憶部32に格納される情報は、補助記憶部33に格納されてもよい。
【0023】
通信部34は、ネットワークN1経由で、車両10と通信を行う手段である。通信部34は、例えば、LAN(Local Area Network)インターフェースボード、無線通信のための無線通信回路である。LANインターフェースボードや無線通信回路は、ネットワークN1に接続される。
【0024】
次に、車両10は、例えば自律的に走行可能な移動体であり、コンピュータを有している。車両10は、プロセッサ11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部14、位置情報センサ15、環境情報センサ16、駆動部17、バッテリ18、インバータ19、パワーアウトレット20、及び、パワーインレット21を有する。これらは、バスにより相互に接続される。プロセッサ11、主記憶部12、及び、補助記憶部13は、サーバ30のプロセッサ31、主記憶部32、及び、補助記憶部33と同様であるため、説明を省略す
る。
【0025】
通信部14は、車両10をネットワークN1に接続するための通信手段である。通信部14は、例えば、移動体通信サービス(例えば、5G(5th Generation)、4G(4th Generation)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)等の電話通信網
)、Wi-Fi(登録商標)、または、Bluetooth(登録商標)等の無線通信を利用して、ネットワークN1経由で他の装置(例えばサーバ30等)と通信を行うための回路である。
【0026】
位置情報センサ15は、所定の周期で、車両10の位置情報(例えば緯度、経度)を取得する。位置情報センサ15は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信部
、無線通信部等である。位置情報センサ15で取得された情報は、例えば、補助記憶部13等に記録され、サーバ30に送信される。
【0027】
環境情報センサ16は、車両10の状態をセンシングしたり、または、車両10の周辺をセンシングしたりする手段である。車両10の状態をセンシングするためのセンサとして、ジャイロセンサ、加速度センサ、または、方位角センサが挙げられる。車両10の周辺をセンシングするためのセンサとして、ステレオカメラ、レーザスキャナ、LIDAR、または、レーダなどが挙げられる。
【0028】
駆動部17は、プロセッサ11が生成した制御指令に基づいて、車両10を走行させるための装置である。駆動部17は、例えば、車両10が備えるロータを駆動するための複数のモータ等を含んで構成され、制御指令に従って複数のモータ等が駆動されることで、車両10の自律走行が実現される。
【0029】
バッテリ18は、充放電が可能な蓄電装置である。バッテリ18は、外部の機器に電力を供給することもでき、車両10の機器に電力を供給することもできる。インバータ19は、直流電流と交流電流との変換、及び、電流若しくは電圧の調整を行う。パワーアウトレット20は、車両10の外部に電力を供給するためのユニットである。パワーアウトレット20にプラグを差し込むことで、車両10から電力の供給を受けることができる。パワーインレット21は、車両10の外部から電力の供給を受けるためのユニットである。この電力によりバッテリ18が充電される。車両10がプラグインハイブリッド車両の場合には、パワーインレット21にバッテリ18を充電するためのプラグが含まれていてもよい。パワーアウトレット20及びパワーインレット21と、バッテリ18との電力のやりとりは、インバータ19を介して行われる。
【0030】
次に、サーバ30の機能について説明する。
図3は、サーバ30の機能構成を例示した図である。サーバ30は、機能構成要素として、制御部301、及び、車両情報DB311を備える。サーバ30のプロセッサ31は、主記憶部32上のコンピュータプログラムにより、制御部301の処理を実行する。ただし、各機能構成素のいずれか、またはその処理の一部がハードウェア回路により実行されてもよい。
【0031】
車両情報DB311は、プロセッサ31によって実行されるデータベース管理システム(Database Management System、DBMS)のプログラムが、補助記憶部33に記憶されるデータを管理することで構築される。車両情報DB311は、例えば、リレーショナルデータベースである。
【0032】
なお、サーバ30の各機能構成要素のいずれか、またはその処理の一部は、ネットワークN1に接続される他のコンピュータにより実行されてもよい。
【0033】
制御部301は、イベントが発生した場合(例えば、災害情報を受信した場合、停電情報を受信した場合、避難情報を受信した場合、津波ハザード情報を受信した場合、又は、屋外で公演若しくは祭りが行われる情報を受信した場合等)に、車両10の運行指令を生成する。なお、イベントの発生を通知する情報は、省庁、自治体、電力会社、又は、イベントの主催者などのサーバから発信される。イベントの発生を通知する情報には、イベントが発生した位置に関する情報、及び、イベントの種類に関する情報が含まれる。また、運行指令には、イベントが発生した位置へ移動する指令、イベントが発生した位置でバッテリ18の電力を供給する指令、及び、放電電力(kW)及び充電電力(kW)の上限値を変更する指令が含まれる。サーバ30は、イベントが発生した位置に車両10を移動させるためのルートを生成してもよい。このルートを生成するために、補助記憶部33に地図情報が記憶されていてもよい。
【0034】
なお、イベントが発生した場合には、イベントが発生していない場合よりも、放電電力の上限値及び充電電力の上限値が大きくなるように、放電電力の上限値及び充電電力の上限値を変更する。別法として、放電電力の上限値及び充電電力の上限値の何れか一方だけを変更してもよい。例えば、充電電力の上限値を上げると、バッテリ18の充電に要する時間を短縮することができる。したがって、充電及び放電を繰り返す場合に、すぐに電力の供給を行うことが可能となる。一方、放電電力の上限値を上げると、一度により多くの機器に電力を供給することが可能となる。例えば、イベントが発生していない場合にはスマートフォンの満充電が一時間当たり30台可能である場合であっても、イベントが発生した場合にはスマートフォンの満充電が一時間当たり40台可能となる。イベントが発生した場合の充電電力の上限値及び放電電力の上限値、並びに、イベントが発生していない場合の充電電力の上限値及び放電電力の上限値は、予め補助記憶部33に記憶させておく。
【0035】
充電電力の上限値及び放電電力の上限値を大きくする期間は、例えば、サーバ30から車両10へ送信されたイベントに対応する運行指令を車両10が受信してから、イベントへの対応を終了させる運行指令を車両10が受信するまでの期間としてもよい。これにより、車両10では、イベントに対応する運行指令を受信してから、イベントへの対応を終了させる運行指令を受信するまでの期間、充電電力の上限値及び放電電力の上限値が大きくされる。また、別法として、例えば、車両10がイベントの発生した位置に到着してから、イベントが終了するまでの期間、充電電力の上限値及び放電電力の上限値を大きくしてもよい。
【0036】
次に、車両情報DB311に格納される車両情報の構成について、
図4に基づいて説明する。
図4は、車両情報DB311のテーブル構成を例示した図である。車両情報テーブルは、車両ID、現在地、イベント種類、及び、イベント位置の各フィールドを有する。車両IDフィールドには、車両を識別可能な情報(車両ID)が入力される。車両IDは、各車両に例えば制御部301によって付与される。現在地フィールドには、車両10の現在地に関する情報(位置情報)が入力される。車両10の現在地は、車両10の位置情報センサ15で検出され、サーバ30に送信される。
【0037】
イベント種類フィールドには、イベントの種類に関する情報が入力される。イベントの種類は、イベント情報に含まれる。イベント情報は、例えば、外部のサーバから発信される情報であり、イベントが発生したことに関する情報、または、イベントの発生により車両10の派遣を要請する情報が含まれる。イベント位置フィールドには、イベントが発生した位置に関する情報、または、イベントに対応する位置に関する情報が入力される。イベントに対応する位置に関する情報は、例えば、イベントに関連して車両10が移動するときの目的地に関する情報(例えば、住所、座標又はメッシュコード)である。イベント位置は、例えば、イベント情報に含まれる。
【0038】
次に、車両10の機能について説明する。
図5は、車両10の機能構成を示した図である。車両10は、機能構成要素として、走行部101、及び、充放電部102を有する。車両10のプロセッサ11は、主記憶部12上のコンピュータプログラムにより、走行部101、及び、充放電部102の処理を実行する。ただし、各機能構成素のいずれか、またはその処理の一部がハードウェア回路により実行されてもよい。なお、車両10の各機能構成要素のいずれか、またはその処理の一部は、ネットワークN1に接続される他のコンピュータにより実行されてもよい。
【0039】
走行部101は、車両10の自律走行時に車両10の走行を制御する。走行部101は、環境情報センサ16によって検出したデータを用いて、駆動部17を制御するための制御指令を生成する。走行部101は、例えば、複数のモータを制御して複数のロータの回転速度に差を発生させることにより、車両10の速度、及び、舵角などを制御する。
【0040】
走行部101は、例えば、環境情報センサ16によって検出したデータに基づいて車両10の走行軌跡を生成し、当該走行軌跡に沿って走行するように、駆動部17を制御する。なお、車両10を自律走行させる方法については、公知の方法を採用することができる。走行部101は、自律走行時に、環境情報センサ16の検出値に基づいたフィードバック制御を実施してもよい。走行部101は、予め定められたルートを巡るように自律走行する。このルートは、サーバ30から送信される運行指令に含まれる。
【0041】
例えば、走行部101は、サーバ30から受信した運行指令に含まれる走行ルート及び目的地に基づいて車両10を走行させる。イベントが発生した場合には、イベントが発生した位置が目的地になる。そして、イベントが発生した位置において外部の機器へ電力を供給するために車両10を停止させる。
【0042】
充放電部102は、バッテリ18の充電制御及び放電制御を実行する。充放電部102は、バッテリ18に蓄えられた電力による駆動部17の駆動、及び、回生ブレーキによる電力の回収などを制御する。また、充放電部102は、外部の商用電源から電力の供給を受けてバッテリ18に充電する制御を実施する。さらに、充放電部102は、バッテリ18蓄えられた電力を外部の機器に供給する制御を行う。
【0043】
バッテリ18の充電を実施する充電制御では、充放電部102は、パワーインレット21からバッテリ18に入力される電力が上限値以下となるように、インバータ19を制御する。一方、バッテリ18からの電力の供給を実施する放電制御では、充放電部102は、バッテリ18からパワーアウトレット20へ出力される電力が上限値以下となるように、インバータ19を制御する。充電電力の上限値及び放電電力の上限値は、予め補助記憶部13に記憶されている。この充電電力の上限値及び放電電力の上限値は、サーバ30から指示されてもよい。
【0044】
また、充放電部102は、イベントが発生した場合には、イベントが発生していない場合よりも、充電電力の上限値及び放電電力の上限値を大きくする。なお、「イベントが発生した場合」には、イベントが発生することに関連した充放電が行われる場合を含む。イベント発生時における充電電力の上限値及び放電電力の上限値は、予め補助記憶部13に記憶されていてもよく、サーバ30からの運行指令に含まれていてもよい。また、イベントの種類に応じて充電電力の上限値及び放電電力の上限値を変えてもよい。例えば、より多くのユーザが電力の供給を望むようなイベントほど、充電電力の上限値及び放電電力の上限値を大きくしてもよい。なお、本実施形態では、イベントが発生した場合に、充電電力及び放電電力の両方の上限値を変更しているが、別法として、充電電力及び放電電力の何れか一方の上限値を変更してもよい。
【0045】
また、充放電部102は、イベントが終了した場合には、充電電力の上限値及び放電電力の上限値をイベント発生前の元の値に戻す。「イベントが終了した場合」には、イベントが発生することに関連した充放電を行う必要がなくなった場合を含む。イベントが終了した場合には、サーバ30から新たな運行指令を受信する。
【0046】
走行部101は、バッテリ18の蓄電量が閾値以下になると、バッテリ18の充電が可能な位置に移動するように、運行制御を実施する。そして、車両10が充電可能な位置に到着すると、充放電部102は、バッテリ18の充電制御を実施する。このときには、イベントが発生した位置から離れた位置で充電が実施される場合もあるが、発生したイベントに対応した充電が行われる場合には、イベントが発生していない場合よりも、充電電力の上限値を大きくする。これにより、急速充電が可能となるため、より速やかに外部へ電力が供給可能となる。
【0047】
次に、システム1全体の処理について説明する。
図6は、システム1の処理のシーケンス図である。サーバ30は、イベントが発生したと判定すると(S11)、車両10の運行指令を生成する(S12)。この運行指令は、例えば、イベントが発生した所定エリアまで車両10が走行し、到着地点でバッテリ18の電力を外部の機器に提供し、バッテリ18の蓄電量が閾値以下になるとバッテリ18を充電可能な位置に移動して充電するように生成される。運行指令には、走行ルートに関する情報が含まれていてもよい。また、運行指令には、目的地の座標に関する情報が含まれていてもよい。サーバ30が運行指令を生成すると、その運行指令を車両10に送信する(S13)。また、サーバ30は、送信した運行指令に応じて、車両情報DB311を更新する(S14)。
【0048】
運行指令を受信した車両10は、運行指令に基づいて駆動部17を制御するための制御指令を生成する(S15)。そして、車両10は、制御指令にしたがって走行制御を行い(S16)、目的地まで自律的に移動する。目的地に到着すると、車両10は、充電電力の上限値及び放電電力の上限値を、イベントが発生していない場合よりも大きくする(S17)。このときの充電電力の上限値及び放電電力の上限値は、サーバ30の運行指令に含まれていてもよく、車両10の補助記憶部13に予め記憶させておいてもよい。なお、別法として、S16において走行制御を開始するときに、充電電力の上限値及び放電電力の上限値を、イベントが発生していない場合よりも大きくしてもよい。
【0049】
また、イベントが終了したとサーバ30が判断すると(S21)、車両10の運行指令を生成する(S22)。この運行指令は、例えば、次の所定エリアまで車両10が走行する指令、所定の地域を巡回する指令、または、基地に戻る指令が含まれる。また、この指令には、例えば、充電電力の上限値、及び、放電電力の上限値をイベントが発生する前の元に戻す指令が含まれる。なお、別法として、充電電力の上限値、及び、放電電力の上限値を所定のパラメータ(例えばバッテリ18の温度)に応じて設定する指令を含んでいてもよい。サーバ30が運行指令を生成すると、その運行指令を車両10に送信する(S23)。また、サーバ30は、送信した運行指令に応じて、車両情報DB311を更新する(S24)。
【0050】
運行指令を受信した車両10は、充電電力の上限値及び放電電力の上限値を、運行指令に含まれる値に変更する(S25)。なお、別法として、充電電力の上限値及び放電電力の上限値を、現時点で設定されている値よりも小さくしてもよい。このときに設定される充電電力の上限値及び放電電力の上限値を、予め補助記憶部13に記憶しておいてもよい。次に、車両10は、運行指令に基づいて駆動部17を制御するための制御指令を生成する(S26)。なお、
図6に示した例では、サーバ30から車両10に運行指令が送信されてから車両10が走行制御を開始するが、これに代えて、車両10の走行部101が、
イベントが終了したと判定した場合(例えば、イベントが終了したことに関する情報を受信した場合、所定の時間電力の需要がなかった場合、所定の時間が経過した場合、または、基地に戻る情報が車両10に入力された場合など)に、自律走行を開始してもよい。すなわち、サーバ30からの指示がなくても、車両10が走行制御を開始してもよい。そして、車両10は、制御指令にしたがって走行制御を行い(S27)、目的地まで自律的に移動する。
【0051】
次に、サーバ30における指令生成処理について説明する。
図7は、本実施形態に係る指令生成処理のフローチャートである。
図7に示した指令生成処理は、サーバ30において、所定の時間毎に実行される。
【0052】
ステップS101では、制御部301が、イベントが発生したか否か判定する。制御部301は、例えば、イベント情報を受信したか否か判定することにより、イベントが発生したか否か判定してもよい。このイベント情報は、イベントが発生したことに関する情報、または、イベントの発生により車両10の派遣を要請することに関する情報である。制御部301は、イベント情報を外部のサーバから受信する。外部のサーバは、例えば、災害情報を配信するサーバ、野外の公演に関する情報を配信するサーバ、停電情報を配信するサーバ、避難情報を配信するサーバ、及び、津波ハザード情報を配信するサーバなどである。制御部301は、例えば、災害に関する情報を受信した場合に、イベントが発生したと判定する。また、イベント情報にはイベントが発生した位置に関する情報が含まれており、制御部301は、イベントが発生した位置に関する情報を補助記憶部33に記憶させる。ステップS101で肯定判定された場合にはステップS102へ進み、否定判定された場合にはステップS106へ進む。
【0053】
ステップS102では、制御部301が、車両10を選定する。このときに、制御部301は、例えば、車両10の位置情報、バッテリの蓄電量、イベントの規模などに基づいて車両10を選定する。なお、制御部301は、必要に応じて複数の車両10を選定してもよい。例えば、災害の規模が大きいほど、または、避難する人数が多いほど、より多くの車両10を選定してもよい。制御部301は、例えば、各車両10の位置情報に基づいて、イベントが発生した位置から所定距離内に位置する車両10、または、イベントが発生した位置に最も近い車両10を選定してもよい。また、制御部301は、バッテリ18の蓄電量が所定値以上の車両を選定してもよい。ここでいう所定値は、車両10が、イベントが発生した位置まで移動し、且つ、その位置で電力を提供可能な蓄電量である。
【0054】
ステップS103では、制御部301が、運行指令を生成する。運行指令は、イベントが発生した位置を目的地として走行し、その目的地において電力を供給するように生成される。また、バッテリ18の蓄電量が閾値以下になった場合には、充電のために例えば基地に移動して充電を行い、充電が終わるとイベントが発生した位置に戻るように運行指令を生成する。さらに、制御部301は、イベントが発生していない場合よりも充電電力の上限値及び放電電力の上限値を大きくして放電及び充電を行うように運行指令を生成する。この場合、イベントの発生に関連する充放電の場合に電力の上限値が大きくなるようにする。したがって、例えば、バッテリ18を充電するためにイベントが発生した地域から車両10が離れたとしても、車両10の走行時及びバッテリ18の充電時における各電力の上限値を、イベントが発生していな場合よりも大きくする。充電電力の上限値及び放電電力の上限値は、予め補助記憶部33に記憶されている。また、運行指令には、ルートに関する情報、充電電力の上限値に関する情報、及び、放電電力の上限値に関する情報が含まれていてもよい。また、運行指令には、車両10が充電を行う位置に関する情報、及び、車両10が充電を行う位置に移動するルートに関する情報が含まれていてもよい。ルートを生成するために、サーバ30の補助記憶部33に地図情報が記憶されていてもよい。
【0055】
ステップS104では、制御部301が、車両10へ運行指令を送信する。この車両10は、ステップS102で選定した車両10である。なお、別法として、イベントが発生した位置に向かう指令を生成及び送信し、その指令にしたがって車両10が移動した後に、充電電力の上限値及び放電電力の上限値を上げる指令を生成して車両10に送信してもよい。ステップS105では、制御部301が、車両情報DB311を更新する。制御部301は、対応する車両10のレコードのイベントの種類、及び、イベント位置の各フィールドを更新する。
【0056】
また、ステップS106では、制御部301が、イベントが終了したか否か判定する。制御部301は、例えば、イベント終了情報を受信したか否か判定することによって、イベントが終了したか否か判定する。イベント終了情報は、イベントが終了したことに関する情報、または、イベントの発生により派遣した車両10の帰還を要請することに関する情報である。制御部301は、イベント終了情報を上記の外部のサーバから受信する。なお、別法として、車両10を派遣してから所定の時間が経過した場合に、イベントが終了したものとみなしてもよい。ステップS106で肯定判定された場合にはステップS107へ進み、否定判定された場合には本ルーチンを終了させる。
【0057】
ステップS107では、制御部301が、運行指令を生成する。運行指令は、例えば基地を目的地として走行するように生成される。さらに、制御部301は、イベントが発生する前の充電電力の上限値及び放電電力の上限値に戻すように運行指令を生成する。運行指令には、ルートに関する情報、充電電力の上限値に関する情報、及び、放電電力の上限値に関する情報が含まれていてもよい。
【0058】
ステップS108では、制御部301が、車両10へ運行指令を送信する。この車両10は、終了したイベントに派遣されている車両10である。各イベントに派遣されている車両10の情報は、車両情報DB311に格納されている。ステップS109では、制御部301が、車両情報DB311を更新する。制御部301は、対応する車両10のレコードのイベント種類、及び、イベント位置の各フィールドを空欄にして更新する。
【0059】
次に、車両10における処理について説明する。
図8は、本実施形態に係る車両10における処理のフローチャートである。
図8に示した処理は、車両10において、所定の時間毎に実行される。
【0060】
ステップS201では、走行部101が、サーバ30から運行指令を受信したか否か判定する。ステップS201で肯定判定された場合にはステップS202へ進み、否定判定された場合には本ルーチンを終了させる。ステップS202では、走行部101が、受信した運行指令がイベントの発生に対応した運行指令であるか否か判定する。例えば、イベントの発生に対応した運行指令であるか否かは、運行指令に含まれる情報から判定してもよい。別法として、走行部101は、充電電圧及び放電電圧の上限値を大きくする指令が含まれているか否か判定してもよい。ステップS202で肯定判定された場合にはステップS203へ進み、否定判定された場合にはステップS207へ進む。
【0061】
ステップS203において走行部101は、運行指令にしたがって制御指令を生成する。制御指令は、例えば、車両10が基地から出発してイベントが発生したエリアの所定の地点に向かうように生成される。所定の地点は、車両10のバッテリ18の充電または放電を行う地点としてサーバ30から指示される。なお、制御指令は、公知の技術を用いて生成してもよい。ステップS204では、走行部101が制御指令にしたがって、駆動部17を制御することにより、走行制御が実施される。この走行制御により、イベントが発生したエリアの所定の地点まで車両10が走行する。
【0062】
ステップS205において走行部101は、車両10がイベントが発生したエリアの所定の地点に到着したか否か判定する。走行部101は、例えば、位置情報センサ15により取得される位置情報と、サーバ30から取得した所定の地点に関する情報とを比較して、車両10が所定の地点に到着したか否か判定する。ステップS205で肯定判定された場合にはステップS206へ進み、否定判定された場合にはステップS205を再度実行する。
【0063】
ステップS206では、充放電部102が、インバータ19を制御することにより、充電電力の上限値及び放電電力の上限値をイベントが発生していない場合よりも大きくする。このときには、充電電力の上限値及び放電電力の上限値を、サーバ30から受信した運行指令に含まれる値に設定してもよい。なお、別法として、ステップS204における走行制御が開始される前に、充電電力の上限値及び放電電力の上限値をイベントが発生していない場合よりも大きくしてもよい。これにより、例えば、車両10の減速時に得る回生電力を大きくすることができる。ステップS206の処理が完了すると本ルーチンを終了させる。
【0064】
また、ステップS207において充放電部102は、イベントが終了したか否か判定する。充放電部102は、例えば、サーバ30からイベント終了情報を受信した場合に、イベントが終了したと判定する。イベント終了情報は、運行指令に含まれる。別法として、充放電部102は、ステップS206の処理が完了してから所定の時間が経過した場合に、イベントが終了したと判定してもよい。ステップS207で肯定判定された場合にはステップS208へ進み、否定判定された場合にはステップS211へ進む。
【0065】
ステップS208において充放電部102は、充電電力の上限値及び放電電力の上限値を、ステップS206において変更する前の値に戻す。別法として、充放電部102は、充電電力の上限値及び放電電力の上限値を、サーバ30から受信した運行指令に含まれる値に設定してもよい。この場合であっても、充電電力の上限値及び放電電力の上限値を、現時点よりも小さくすることに変わりはない。
【0066】
ステップS209において走行部101は、運行指令にしたがって制御指令を生成する。制御指令は、例えば、車両10が基地へ戻るように生成される。別法として、運行指令に次のイベントの発生位置へ移動する指令が含まれている場合には、その発生位置に移動するように制御指令を生成する。ステップS210では、走行部101が制御指令にしたがって、駆動部17を制御することにより、走行制御が実施される。
【0067】
一方、ステップS211において走行部101は、運行指令にしたがって制御指令を生成する。このときの制御指令は、イベントの発生とは関係のない運行指令であり、車両10が所定の地点に向かって走行したり、所定の巡回ルートを走行したりするように生成される。そして、ステップS210では、走行部101が制御指令にしたがって、駆動部17を制御することにより、走行制御が実施される。
【0068】
以上説明したように本実施形態によれば、自律的に移動可能な車両10を利用して、イベントが発生した位置においてバッテリ18から外部の機器に対して電力を供給することができる。このときに、放電電圧の上限値を大きくするので、より多くの機器に電力を供給することができる。また、充電電圧の上限値を大きくするので、バッテリ18をより速やかに充電することができるため、より速やかに他の機器に電力を供給可能となる。また、イベントが発生していない場合には、放電電力の上限値及び充電電力の上限値を小さくすることにより、バッテリ18の劣化を抑制できる。このように、必要に応じて充放電時の電力の上限値を変更するため、バッテリの劣化を抑制しつつ、バッテリ18をより適切に活用することができる。
【0069】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【0070】
本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0071】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。例えば、車両10の機能の一部を、サーバ30が備えていてもよい。また、例えば、サーバ30の機能の一部または全部を、車両10が備えていてもよい。すなわち、車両10が外部のサーバからイベント情報を受信して自律走行してもよい。
【0072】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0073】
1 システム
10 車両
11 プロセッサ
13 補助記憶部
18 バッテリ
30 サーバ
31 プロセッサ
33 補助記憶部