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  • 特開-ゴム組成物の評価方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188741
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】ゴム組成物の評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/085 20180101AFI20221214BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20221214BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20221214BHJP
   C08K 3/06 20060101ALI20221214BHJP
   C08L 97/00 20060101ALI20221214BHJP
   G01N 23/046 20180101ALI20221214BHJP
【FI】
G01N23/085
C08L7/00
C08K3/22
C08K3/06
C08L97/00
G01N23/046
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067764
(22)【出願日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2021096243
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】鹿久保 隆志
(72)【発明者】
【氏名】唯 美津木
(72)【発明者】
【氏名】松井 公佑
【テーマコード(参考)】
2G001
4J002
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001BA12
2G001CA01
2G001HA14
2G001JA08
2G001LA05
2G001NA08
2G001NA13
2G001PA12
4J002AC011
4J002AC021
4J002AC032
4J002AC061
4J002AC072
4J002AC082
4J002AH003
4J002BB182
4J002BD002
4J002DA047
4J002DA078
4J002DA108
4J002DC008
4J002DE106
4J002FD016
4J002FD017
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】金属部材への接着性に影響を及ぼす金属成分を3次元的に検出するゴム組成物の評価方法を提供する。
【解決手段】銅および/または亜鉛を含む金属と接触するゴム組成物を試料として、該試料中に存在する0価、1価および2価の銅成分および/または亜鉛化合物を、X線吸収微細構造解析により3次元的に定量することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅および/または亜鉛を含む金属と接触するゴム組成物を試料として、該試料中に存在する0価、1価および2価の銅成分および/または亜鉛化合物を、コンピュータトモグラフィー-X線吸収微細構造解析により三次元的に定量することを特徴とするゴム組成物の評価方法。
【請求項2】
前記試料中の0価、1価および2価の銅成分および/または亜鉛化合物を測定する初期評価工程および前記試料を湿熱劣化処理した後にその試料中の0価、1価および2価の銅成分および/または亜鉛化合物を測定する処理後評価工程を有し、(1)湿熱劣化処理前後の0価の銅成分の減少量、(2)初期の1価の銅成分に対する処理後の1価の銅成分の比、(3)湿熱劣化処理前後の全亜鉛化合物中のZnSの存在割合の増加量、から選ばれる少なくとも1つを算出することを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物の評価方法。
【請求項3】
前記試料を、回転させながら、各回転角における投影像を撮像してコンピュータトモグラフィー-X線吸収微細構造解析を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のゴム組成物の評価方法。
【請求項4】
前記試料が、粒子径1~100μmの黄銅粉末を0.1~10質量%配合したゴム組成物の硬化物であり、前記黄銅粉末が銅50~90質量%、亜鉛50~10質量%からなることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム組成物の評価方法。
【請求項5】
前記湿熱劣化処理を、70℃、96%RH、2週間の条件で行い、(4)前記湿熱劣化処理後の0価の銅成分の存在比が、初期の1価の銅成分を100%としたとき10~80%であるか、(5)前記湿熱劣化処理前後の2価の銅成分の増加量が、初期の1価の銅成分を100%としたとき110~300%であるか、(6)前記湿熱劣化処理前後の全亜鉛化合物中のZnSの存在割合(%)の増加が40%以下であるか、から選ばれる少なくとも1つを評価することを特徴とする請求項2に記載のゴム組成物の評価方法。
【請求項6】
請求項5に記載のゴム組成物の評価方法の評価結果が、(4)前記湿熱劣化処理後の0価の銅成分の存在比が初期の1価の銅成分を100%としたときの10~80%であり、かつ(5)前記湿熱劣化処理前後の2価の銅成分の増加量が初期の1価の銅成分を100%としたときの110~300%であることを特徴とする金属接着用ゴム組成物。
【請求項7】
天然ゴムを50質量%以上含むジエン系ゴム100質量部に、酸化亜鉛を5~12質量部、硫黄を4~10質量部、リグニン発酵残渣および/またはリグニン抽出物を0.5~10質量部配合したことを特徴とする請求項6に記載の金属接着用ゴム組成物。
【請求項8】
前記酸化亜鉛を配合したゴム組成物を少なくとも10分間混合し、かつ前記硫黄を配合したゴム組成物を少なくとも5分間混合することを特徴とする請求項7に記載の金属接着用ゴム組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属部材との接着性の良否を検出するゴム組成物の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤを構成する金属部材に接触するゴム組成物は、その金属部材および隣接するゴム材料を強固に接着する必要がある。例えば、金属接着用ゴム組成物は、タイヤ内部のブラスめっきスチールワイヤおよびベルトコートゴムを強固に接着させ、かつ接着耐久性を向上することが求められる(例えば、特許文献1を参照)。初期の接着強度や、劣化による接着強度の低下の防止を可能にするためには、ゴムとブラスめっきスチールワイヤとの間の接着の状態や、劣化の程度を評価することが求められる。従来は、引張試験や剥離試験などを行い、接着の状態や劣化の程度を評価していた。しかしながら、このような評価方法では、ゴムとブラスめっきスチールワイヤとを強固に接着するため、金属接着用ゴム組成物をその適正なゴム組成や加硫条件に関しミクロ的に判定したり、劣化状態をより詳細に把握することはできなかった。
【0003】
ゴム材料と金属材料との接着では湿熱老化によるダメージが大きく、ブラスめっきスチールワイヤのブラス成分や硫化金属層の銅成分(Cu)や亜鉛化合物(Zn)がイオン化してゴム中に拡散し、湿熱老化等に伴う劣化を促進させて接着性が低下すると考えられる。よって、金属材料と接触したゴム材料において、金属成分がゴム中に拡散して増減する様子を三次元的に定量し評価する方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10‐250310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、金属部材への接着性に影響を及ぼす金属成分を三次元的に検出するゴム組成物の評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明のゴム組成物の評価方法は、銅および/または亜鉛を含む金属と接触するゴム組成物を試料として、該試料中に存在する0価、1価および2価の銅成分および/または亜鉛化合物を、コンピュータトモグラフィー-X線吸収微細構造解析により三次元的に定量することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のゴム組成物の評価方法は、ゴム組成物中に存在する0価、1価および2価の銅成分および/または亜鉛化合物を、コンピュータトモグラフィー-X線吸収微細構造解析により三次元的に定量することで、金属部材への接着性に影響を及ぼす金属成分の拡散およびその増減を三次元的に検出することができる。特に湿熱環境下におけるゴム中の金属成分の増減をミクロ的に把握することにより、ゴム組成の設計や加硫条件の改良をより効率的に行うことができる。
【0008】
本発明の評価方法は、前記試料中の0価、1価および2価の銅成分および/または亜鉛化合物を測定する初期評価工程および前記試料を湿熱劣化処理した後にその試料中の0価、1価および2価の銅成分および/または亜鉛化合物を測定する処理後評価工程を有し、(1)湿熱劣化処理前後の0価の銅成分の減少量、(2)初期の1価の銅成分に対する処理後の1価の銅成分の比、(3)湿熱劣化処理前後の全亜鉛化合物中のZnSの存在割合の増加量、から選ばれる少なくとも1つを算出することができる。
【0009】
また、前記試料を、回転させながら、各回転角における投影像を撮像して前記コンピュータトモグラフィー-X線吸収微細構造解析を行うとよい。
【0010】
さらに、前記試料が、粒子径1~100μmの黄銅粉末を0.1~10質量%配合したゴム組成物の硬化物であり、前記黄銅粉末が銅50~90質量%、亜鉛50~10質量%であるとよい。このように黄銅粉末を、評価対象の金属接着用ゴム組成物に配合することにより、湿熱老化前後に黄銅粉末の金属成分がゴム中に三次元的に拡散し、増減する様子を検出し、湿熱接着性との関係を把握することができる。
【0011】
前記湿熱劣化処理を、70℃、96%RH、2週間の条件で行い、(4)前記湿熱劣化処理後の0価の銅成分の存在比が、初期の1価の銅成分を100%としたとき10~80%であるか、(5)前記湿熱劣化処理前後の2価の銅成分の増加量が、初期の1価の銅成分を100%としたとき110%~300%であるか、(6)前記湿熱劣化処理前後の全亜鉛化合物中のZnSの存在割合(%)の増加が40%以下であるか、から選ばれる少なくとも1つを評価することができる。上述した評価結果が、(4)の存在比が10~80%であるか、(5)の増加量が110%~300%であるとき、金属接着用ゴム組成物の湿熱接着性が向上する。
【0012】
本発明の金属接着用ゴム組成物は、上述したゴム組成物の評価方法の評価結果が、(4)前記湿熱劣化処理後の0価の銅成分の存在比が初期の1価の銅成分を100%としたときの10~80%であり、かつ(5)前記湿熱劣化処理前後の2価の銅成分の増加量が初期の1価の銅成分を100%としたときの110%~300%であるとよい。
【0013】
また、金属接着用ゴム組成物は、天然ゴムを50質量%以上含むジエン系ゴム100質量部に、酸化亜鉛を5~12質量部、硫黄を4~10質量部、リグニン発酵残渣および/またはリグニン抽出物を0.5~10質量部配合することが好ましい。金属接着用ゴムに、リグニン発酵残渣および/またはリグニン抽出物のような吸水性の高い成分を配合することで初期接着性が同等でも、湿熱老化後の接着性を優れたものすることができる。
【0014】
上述したゴム組成からなる金属接着用ゴム組成物の製造方法は、前記酸化亜鉛を配合したゴム組成物を少なくとも10分間混合し、かつ前記硫黄を配合したゴム組成物を少なくとも5分間混合するとよい。酸化亜鉛および硫黄を配合してからの混合時間をそれぞれ前記範囲にすることにより、上記(4)の存在比および(5)の増加量を所定の範囲内とし、湿熱老化後の接着性を優れたものすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、試料中の0価、1価および2価の銅成分の存在比の変化を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のゴム組成物の評価方法は、銅および/または亜鉛を含む金属と接触するゴム組成物、すなわち金属接着用ゴム組成物を試料とする。本発明の評価方法により、金属材料およびゴム材料を、金属接着用ゴム組成物を介して接着したときの湿熱老化後の接着性を評価することができる。
【0017】
本発明のゴム組成物の評価方法は、試料である金属接着用ゴム組成物中に存在する0価、1価および2価の銅成分および/または亜鉛化合物を、コンピュータトモグラフィー-X線吸収微細構造解析により三次元的に定量することを特徴とする。すなわち、金属の表面近傍から離れた領域に至るまで、金属接着用ゴム組成物中に拡散した0価の銅Cu、1価の銅Cu、および2価の銅Cu2+および/または亜鉛化合物を、三次元的に定量する。このように三次元的に定量することにより、ゴム組成物を透過法でX線吸収微細構造を測定したときには得られないより三次元的な局所情報分布や形状情報を得ることができる。
【0018】
X線吸収微細構造解析により三次元的に銅Cuおよび亜鉛Znを定量する方法は例えば試料を回転させながら、X線吸収微細構造解析を行うことにより、三次元的に測定することができる。試料を回転させる方法として、例えば、直径100μm~2mmの円柱形のゴム試料を作製し、それをX線の光軸に対して±90度の角度にて微小角度ごとに回転させてX線を照射する方法を挙げることができる。ここで、X線の照射エネルギーは銅のK端吸収のある8857eVから9357eV(銅のK殻吸収端)とするよい。また、亜鉛のK端吸収のある9640eVから9700eV(亜鉛のK殻吸収端)とするとよい。
【0019】
コンピュータトモグラフィー-X線吸収微細構造解析の測定条件は、特に制限されるものではないが、例えば、X線を供給できる装置を使用し、以下のように行うことができる。試料にX線を照射して、X線のエネルギーを上げていくと、銅のK吸収端のエネルギーおよび亜鉛のK吸収端のエネルギーで、X線の吸収が検出される。試料を透過したX線を二次元に投影して撮像して、試料の吸収量の二次元画像を得る。また、試料を微小角度回転させながら吸収の二次元画像を撮像し、各画像において、X線の吸収量および吸収ピークの強度や形状を解析することで、銅の定量と価数の評価および亜鉛化合物の定量を行うことができる。得られた銅の定量画像と価数の画像および亜鉛化合物の定量画像を再構成することにより、銅の分布と銅の価数の三次元像および亜鉛化合物の分布の三次元像が得られる。
【0020】
ゴム組成物の評価方法は、ゴムとワイヤ、板、粉末などの銅および/または亜鉛を含む金属成分を接触または含有させる試料にて湿熱劣化処理する前後の銅成分および/または亜鉛化合物の価数変化、拡散状況および増減を評価することができる。すなわち、図1に記載するように、初期の試料中のブラス粉末の0価の銅成分(Cu)i、1価の銅成分(Cu)i、および2価の銅成分(Cu2+)iを測定する初期評価工程、および試料を湿熱劣化処理した後(図1の例では14日後)にその試料中の0価の銅成分(Cu)t、1価の銅成分(Cu)t、および2価の銅成分(Cu2+)tを測定する処理後評価工程を含むとよい。ここで、初期の試料中の0価の銅成分(Cu)i、1価の銅成分(Cu)i、および2価の銅成分(Cu2+)iは、それぞれの銅成分の存在比であり、3つの合計を1.0とする。すなわち、(Cu)i+(Cu)i+(Cu2+)i=1.0である。同様に、湿熱劣化処理後の試料中の0価の銅成分(Cu)t、1価の銅成分(Cu)t、および2価の銅成分(Cu2+)tは、それぞれの銅成分の存在比であり、3つの合計を1.0とする。すなわち、(Cu)t+(Cu)t+(Cu2+)t=1.0である。なお、図1は、試料中の0価、1価および2価の銅成分の存在比の変化を説明するが、亜鉛化合物の存在比の変化についても同様に説明することができる。また、以降の説明において、初期の試料中の0価の亜鉛化合物を(Zn)i、2価の硫化亜鉛を(ZnS)i、湿熱劣化処理した試料中の0価の亜鉛化合物を(Zn)t、2価の硫化亜鉛を(ZnS)tと記載することがある。
【0021】
ゴムと金属の接着耐久性の加速試験として湿熱劣化処理が行われる。湿熱劣化前では疑似接着でも接着条件を満たすこともあるが、湿熱劣化後の接着性の優劣で接着評価の精度が向上する。湿熱劣化処理の条件は、例えば、70℃、96%RH、2週間の条件で行うことができる。なお、金属接着用ゴム組成物のゴム組成や加硫条件、および使用環境に応じて、湿熱劣化処理の条件は、適宜、変更してもよい。
【0022】
ゴム組成物の評価方法は、試料中の0価、1価および2価の銅成分および/または亜鉛化合物を測定する初期評価工程および前記試料を湿熱劣化処理した後にその試料中の0価、1価および2価の銅成分および/または亜鉛化合物を測定する処理後評価工程を有し、以下の(1),(2),(3)から選ばれる少なくとも1つを算出することができる。
(1)湿熱劣化処理前後の0価の銅成分の減少量[(Cu)i-(Cu)t]
(2)初期の1価の銅成分(Cu)iに対する処理後の1価の銅成分(Cu)tの比((Cu)t/(Cu)i)
(3)湿熱劣化処理前後の全亜鉛化合物中のZnSの存在割合の増加量
【0023】
さらに、ゴム組成物の評価方法は、以下の(4),(5),(6)から選ばれる少なくとも1つを算出することができる。
(4)湿熱劣化処理後の0価の銅成分(Cu)tが、初期の1価の銅成分(Cu)iを100%としたときの百分率;(Cu)t/(Cu)i×100
(5)湿熱劣化処理前後の2価の銅成分の増加量[(Cu2+)t-(Cu2+)i]が、初期の1価の銅成分(Cu)iを100%としたときの百分率;
[(Cu2+)t-(Cu2+)i]/(Cu)i×100
(6)湿熱劣化処理前後の全亜鉛化合物中の硫化亜鉛(ZnS)の存在割合(百分率)の増加量[(ZnS)t-(ZnS)i]
【0024】
上記(4)の0価の銅成分の存在比の百分率(Cu)t/(Cu)i×100は、好ましくは10~80%、より好ましくは30~70%であるとよい。また、上記(5)の2価の銅成分の増加量の百分率[(Cu2+)t-(Cu2+)i]/(Cu)i×100は、好ましくは110~300%、より好ましくは120~200%であるとよい。さらに、上記(6)の湿熱劣化処理前後の全亜鉛化合物中のZnSの存在割合(%)の増加[(ZnS)t-(ZnS)i]は、好ましくは40%以下、より好ましくは20%~35%であるとよい。上記(4),(5)および/または(6)の関係を満たすことにより、湿熱劣化処理後の耐久接着性をより優れたものにすることができる。
【0025】
ゴム組成物の評価方法は、湿熱劣化処理後の耐久接着性を評価すべき金属接着用ゴム組成物に対し、粒子径1~100μmの黄銅粉末を0.1~10質量%配合したゴム組成物の硬化物を用いる。また黄銅粉末は、銅50~90質量%、亜鉛50~10質量%からなる黄銅の粉末であるとよい。評価すべき金属接着用ゴム組成物にこのような黄銅粉末を配合した試料を評価することにより、ブラスめっきスチールワイヤに接触したときの金属接着用ゴム組成物の接着性能をより詳細に評価することができる。
【0026】
黄銅粉末の配合量は、試料とする金属接着用ゴム組成物100質量%中、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~5質量%であるとよい。また、黄銅粉末の粒子径は、好ましくは1~100μm、より好ましくは1~20μmであるとよい。さらに、黄銅粉末の組成は、好ましくは銅50~90質量%、亜鉛50~10質量%、より好ましくは銅60~80質量%、亜鉛40~20質量%であるとよい。
【0027】
本発明の金属接着用ゴム組成物は、70℃、96%RH、2週間の条件で湿熱劣化処理を行った前後において、上述した(4)0価の銅成分の存在比率の百分率(Cu)t/(Cu)i×100は、好ましくは10~80%、より好ましくは30~70%であるとよい。また、湿熱劣化処理前後の(5)の2価の銅成分の増加量[(Cu2+)t-(Cu2+)i]が初期の1価の銅成分(Cu)iを100%としたときの百分率;[(Cu2+)t-(Cu2+)i]/(Cu)i×100は、好ましくは110~300%、より好ましくは120~200%であるとよい。金属接着用ゴム組成物が、上記(4)および/または(5)の関係を満たすことにより、湿熱劣化処理後の耐久接着性をより優れたものにすることができる。好ましくは、上記(4)および(5)の両方の関係を満たすとよい。
【0028】
金属接着用ゴム組成物は、天然ゴムを50質量%以上含むジエン系ゴム100質量部に、酸化亜鉛を5~12質量部、硫黄を4~10質量部、リグニン発酵残渣および/またはリグニン抽出物を1~10質量部配合するとよい。
【0029】
金属接着用ゴム組成物において、ジエン系ゴムは、天然ゴムおよび/または合成イソプレンゴムを含むとよく、好ましくは天然ゴム含むとよい。天然ゴムの含有量は、ジエン系ゴム100質量%中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90~100質量%である。天然ゴムの含有量を50質量%以上にすることにより金属部材に対する接着性(例えば引抜力およびクロスプライ剥離力)を確保することができる。
【0030】
本発明の金属接着用ゴム組成物は、ジエン系ゴムとして天然ゴムおよび合成イソプレンゴム以外の他のジエン系ゴムを配合することができる。他のジエン系ゴムとしては、例えばブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等を例示することができる。なかでもブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ハロゲン化ブチルゴムがよい。これらジエン系ゴムは、単独又は任意のブレンドとして使用することができる。他のジエン系ゴムの含有量は、ジエン系ゴム100質量%中、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは0~10質量%であるとよい。
【0031】
金属接着用ゴム組成物は、酸化亜鉛を、ジエン系ゴム100質量部に対し好ましくは5~12質量部、より好ましくは8~10質量部配合するとよい。酸化亜鉛の配合量が5質量部以上であると、加熱時および湿熱時の耐久接着性を確保することができ好ましい。更に発熱性を抑制し、ゴム硬度を維持向上することができる。また酸化亜鉛の配合量を12質量部以下にすることにより、加熱時の耐久接着性の低下を抑制することができる。
【0032】
金属接着用ゴム組成物は、硫黄を、ジエン系ゴム100質量部に、好ましくは4~10質量部、より好ましくは4~9質量部、更に好ましくは5~8質量部、より更に好ましくは6~8質量部配合するとよい。硫黄の配合量を4質量部以上にすると、湿熱時の耐久接着性およびゴム硬度の低下を抑制することができる。また硫黄の配合量が10質量部以下であると、ゴムの耐老化物性、湿熱時の耐久接着性の低下を抑制することができる。
【0033】
金属接着用ゴム組成物は、リグニン発酵残渣および/またはリグニン抽出物を、ジエン系ゴム100質量部に、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部配合、更に好ましくは2~5質量部配合するとよい。リグニン発酵残渣および/またはリグニン抽出物の配合量を0.5質量部以上にすると、物性バランスを維持しながら、接着耐久性を向上することができる。また、リグニン発酵残渣および/またはリグニン抽出物の配合量を10質量部以下にすると、破断強度を低下することなく接着耐久性を向上することができる。
【0034】
リグニン発酵残渣として、例えば、樹木からの木質原料を蒸気等で処理しながら粉砕し、酵素をもちいて12~48時間加熱発酵させ、固形物として残った残渣を乾燥したもの等を例示することができる。
【0035】
リグニン抽出物として、例えば、樹木からの木質原料を粉砕した後、熱水を通水しながら昇温させ、150℃~220℃で加圧熱水処理してその後冷却をしながら処理後、冷却を行い、水分や溶媒と残渣を分離し、残渣を乾燥させる、等を例示することができる。
【0036】
金属接着用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に、カーボンブラックを好ましくは30~80質量部、より好ましくは50~70質量部配合するとよい。カーボンブラックの配合量が30質量部以上であると、ゴム硬度を確保し、加熱時および湿熱時の耐久接着性を維持向上することができ好ましい。またカーボンブラックの配合量が80質量部以下であると、ゴム粘度や発熱性が大きくなるのを抑制することができる。カーボンブラックは、窒素吸着比表面積NSAが好ましくは20~150m/g、より好ましくは40~140m/gであるとよい。NSAが20m/g以上であると補強性を確保することができ好ましい。またNSAが150m/g以下であると、発熱性が大きくなるのを抑制することができる。本明細書においてカーボンブラックのNSAは、JIS K6217-7に準拠して、測定するものとする。
【0037】
金属接着用ゴム組成物は、任意にコバルト含有化合物を配合してもよい。コバルト含有化合物を含むことにより、金属接着用ゴム組成物の接着性、耐久接着性をより優れたものにすることができる。コバルト含有化合物の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し好ましくは0~5質量部、より好ましくは0.5質量部~2.5質量部にするとよい。
【0038】
コバルト含有化合物として、有機酸コバルト塩、有機コバルト錯体が例示され、例えばナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ロジン酸コバルト、バーサチック酸コバルト、トール油酸コバルト、ネオデカン酸ホウ酸コバルト、アセチルアセトナートコバルト等を挙げることができる。また、これらの有機酸コバルト塩のなかでも、ホウ素を含む有機酸コバルト塩が好ましく、例えば有機酸の一部をホウ酸等で置き換えた複合塩であるとよい。
【0039】
金属接着用ゴム組成物には、加硫促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を配合することができ、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0040】
本発明の金属接着用ゴム組成物は、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。金属接着用ゴム組成物を製造するとき、酸化亜鉛を配合したゴム組成物を少なくとも10分間、より好ましくは10~15分間混合し、かつ硫黄を配合したゴム組成物を少なくとも5分間、より好ましくは5~8分間混合するとよい。酸化亜鉛および硫黄を配合してからのゴム組成物の混合時間をそれぞれ上述した範囲にすることにより、上記(4)の減少量および(5)の増加量を所定の範囲内とし、湿熱老化後の接着性を優れたものすることができる。
【0041】
金属接着用ゴム組成物は、金属部材と接触または金属部材を被覆するゴム材料として好適であり、とりわけ空気入りタイヤのスチールコードの被覆ゴムを構成するのに好適であり、ベルト層および/またはカーカス層および/またはビード部のスチールコード、ブラスめっきスチールを被覆、接触するするゴム材料に使用することができる。
【0042】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例0043】
表1に示す配合からなる11種類のゴム組成物(実験例1~13)を調製するに当たり、それぞれ硫黄および加硫促進剤を除く成分を秤量し、1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後(酸化亜鉛が混合されてから2分間混合)、そのマスターバッチをミキサー外に放出し室温冷却した。このマスターバッチを同バンバリーミキサーに供し、再度0分間~3分混合した。さらにこのマスターバッチを同バンバリーミキサーに供し、硫黄および加硫促進剤を加えて3~10分間混合した。混合し、金属接着用ゴム組成物を得た。
上記で得られた金属接着用ゴム組成物100質量%に、黄銅粉末(平均粒子径が3μm、銅75質量%、亜鉛25質量%からなる黄銅粉末(ブロンズパウダー3L7 ダイヤ工業社製)を3質量%配合し、オープンロールにて5分混合した。
【0044】
上記で得られたゴム組成物を、それぞれ所定形状の金型中で、160℃、20分間加硫して評価用試料を作製した。得られた評価用試料を使用し、温度70℃、相対湿度96%RH、2週間(336)時間の湿熱劣化の促進試験を行い、湿熱後の評価用試料を作製した。得られ評価用試料および湿熱後の評価用試料を使用して、コンピュータトモグラフィー-X線吸収微細構造解析により、各試料中の銅成分および/または亜鉛化合物の三次元的に定量を以下の方法で測定した。
【0045】
コンピュータトモグラフィー-X線吸収微細構造解析(CT-XAFSによる定量)
CT-XAFSの解析にあたり、X線の光軸に対して異なる回転角で測定した二次元透過XAFS像をフィッティング解析してCuの量および亜鉛化合物の量の二次元投影像を得た。さらに線形結合解析して、0価のCu(黄銅)、1価のCu(CuS)、2価のCuの比率の二次元投影像および/または0価のZn(黄銅)、2価のZn(ZnO)および2価のZn(ZnS)の二次元投影像を得た。これらの画像を再構成することによって、三次元画像を得た。
【0046】
上記コンピュータトモグラフィー-X線吸収微細構造解析により得られた値に基づき、0価、1価および2価の銅成分を以下の値を算出した。
(1)湿熱劣化処理前後の0価の銅成分の減少量[(Cu)i-(Cu)t]を算出し、表1の「湿熱後Cuの減少量 [(Cu)i-(Cu)t]」の欄に記載した。
(2)初期の1価の銅成分に対する処理後の1価の銅成分の比[(Cu)t/(Cu)i]を算出し、表1の「湿熱前後Cuの比 (Cu)t/(Cu)i」の欄に記載した。
(4)湿熱劣化処理後の0価の銅成分の、初期の1価の銅成分を100%としたときの百分率[(Cu)t/(Cu)i×100]を算出し、表1の「湿熱後Cu存在比 (Cu)t/(Cu)i*100」の欄に記載した。
(5)湿熱劣化処理前後の2価の銅成分の増加量の、初期の1価の銅成分を100%としたときの百分率[(Cu2+)t-(Cu2+)i]/(Cu)i×100を算出し、表1の「湿熱後Cu2+増加率 [(Cu2+)t-(Cu2+)i]/(Cu)i×100」の欄に記載した。
【0047】
同様に、コンピュータトモグラフィー-X線吸収微細構造解析により得られた値に基づき、0価、および2価の亜鉛化合物を以下の値を算出した。
(3)湿熱劣化処理前後の全亜鉛化合物中の硫化亜鉛(ZnS)の存在割合(%)の増加を算出して、「湿熱前後ZnS存在割合増加[(ZnS)t-(ZnS)i]」の欄に記載した。
【0048】
湿熱劣化後のゴム付
得られたゴム組成物を使用し、12.7mm間隔で平行に並べたブラスめっきスチールコードを被覆すると共に、埋め込み長さ12.7mmで埋め込み、160℃×20分間の加硫条件で加硫接着してゴム付評価用サンプルを作製した。得られたゴム付評価用サンプルを使用し、温度70℃、相対湿度96%、2週間(336時間)の湿熱劣化の促進試験を行った。ASTM D-2229に準拠し、得られた湿熱劣化させたゴム付評価用サンプルからスチールコードを引き抜き、その表面を被覆するゴム付着量(%)を評価した。得られた結果は実験例1の値を100にする指数として「湿熱劣化後のゴム付」の欄に記載した。この指数が大きいほどスチールコードに対し湿熱劣化後の耐久接着性が優れることを意味する。
【0049】
【表1】
【0050】
表1において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、RSS#3
・カーボンブラック:東海カーボン社製シースト300
・ステアリン酸コバルト:DIC社製
・リグニン残渣:溶媒抽出残渣物、日鉄エンジニアリング社製
・リグニン残渣発酵物:発酵残渣物、日鉄エンジニアリング社製
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・硫黄:アクゾノーベル社製クリステックスHSOT20
・加硫促進剤:大内新興化学社製ノクセラーDZ
【0051】
表1から明らかなように実験例2~9および11の金属接着用ゴム組成物は、初期の1価の銅成分に対する湿熱劣化処理後の0価の銅成分の百分率[(Cu)t/(Cu)i×100]が10~80%を満たし、初期の1価の銅成分を100%としたときの湿熱劣化処理前後の2価の銅成分の増加量の百分率[((Cu2+)t-(Cu2+)i)/(Cu)i×100]が110~300%を満たし、湿熱劣化処理前後の全亜鉛化合物中の硫化亜鉛(ZnS)の存在割合(%)の増加[(ZnS)t-(ZnS)i]が40%以下であるので、実験例1に比べ湿熱劣化後のゴム付を実験例1のレベル以上に高くすることが確認された。
実験例10の金属接着用ゴム組成物は、初期の1価の銅成分を100%としたときの湿熱劣化処理前後の2価の銅成分の増加量の百分率[((Cu2+)t-(Cu2+)i)/(Cu)i×100]が300%を超え、湿熱劣化処理前後の全亜鉛化合物中の硫化亜鉛(ZnS)の存在割合(%)の増加[(ZnS)t-(ZnS)i]が40%を超えるので、実験例1に比べ湿熱劣化後のゴム付が実験例1に比べ劣ることが確認された。
【0052】
表1から明らかなように実験例12の金属接着用ゴム組成物は、初期の1価の銅成分に対する湿熱劣化処理後の0価の銅成分の百分率[(Cu)t/(Cu)i×100]が80%を超え、初期の1価の銅成分を100%としたときの湿熱劣化処理前後の2価の銅成分の増加量の百分率[((Cu2+)t-(Cu2+)i)/(Cu)i×100]が300%を超え、湿熱劣化処理前後の全亜鉛化合物中の硫化亜鉛(ZnS)の存在割合(%)の増加[(ZnS)t-(ZnS)i]が40%を超えるので、実験例1に比べ湿熱劣化後のゴム付が実験例1のレベル以下になることが確認された。
【0053】
実験例13の金属接着用ゴム組成物は、初期の1価の銅成分を100%としたときの湿熱劣化処理前後の2価の銅成分の増加量の百分率[((Cu2+)t-(Cu2+)i)/(Cu)i×100]が300%を超え、湿熱劣化処理前後の全亜鉛化合物中の硫化亜鉛(ZnS)の存在割合(%)の増加[(ZnS)t-(ZnS)i]が40%を超えるので、湿熱劣化後のゴム付が実験例1のレベル以下になることが確認された。
【0054】
本発明は、以下の発明を包含する。
発明[1] 銅および/または亜鉛を含む金属と接触するゴム組成物を試料として、該試料中に存在する0価、1価および2価の銅成分および/または亜鉛化合物を、コンピュータトモグラフィー-X線吸収微細構造解析により三次元的に定量することを特徴とするゴム組成物の評価方法。
発明[2] 前記試料中の0価、1価および2価の銅成分および/または亜鉛化合物を測定する初期評価工程および前記試料を湿熱劣化処理した後にその試料中の0価、1価および2価の銅成分および/または亜鉛化合物を測定する処理後評価工程を有し、(1)湿熱劣化処理前後の0価の銅成分の減少量、(2)初期の1価の銅成分に対する処理後の1価の銅成分の比、(3)湿熱劣化処理前後の全亜鉛化合物中のZnSの存在割合の増加量、から選ばれる少なくとも1つを算出することを特徴とする発明[1]に記載のゴム組成物の評価方法。
発明[3] 前記試料を、回転させながら、各回転角における投影像を撮像してコンピュータトモグラフィー-X線吸収微細構造解析を行うことを特徴とする発明[1]または[2]に記載のゴム組成物の評価方法。
発明[4] 前記試料が、粒子径1~100μmの黄銅粉末を0.1~10質量%配合したゴム組成物の硬化物であり、前記黄銅粉末が銅50~90質量%、亜鉛50~10質量%からなることを特徴とする請求項発明[1]~[3]のいずれかに記載のゴム組成物の評価方法。
発明[5] 前記湿熱劣化処理を、70℃、96%RH、2週間の条件で行い、(4)前記湿熱劣化処理後の0価の銅成分の存在比が、初期の1価の銅成分を100%としたとき10~80%であるか、(5)前記湿熱劣化処理前後の2価の銅成分の増加量が、初期の1価の銅成分を100%としたとき110~300%であるか、(6)前記湿熱劣化処理前後の全亜鉛化合物中のZnSの存在割合(%)の増加が40%以下であるか、から選ばれる少なくとも1つを評価することを特徴とする発明[2]~[4]のいずれかに記載のゴム組成物の評価方法。
発明[6] 発明[5]に記載のゴム組成物の評価方法の評価結果が、(4)前記湿熱劣化処理後の0価の銅成分の存在比が初期の1価の銅成分を100%としたときの10~80%であり、かつ(5)前記湿熱劣化処理前後の2価の銅成分の増加量が初期の1価の銅成分を100%としたときの110~300%であることを特徴とする金属接着用ゴム組成物。
発明[7] 天然ゴムを50質量%以上含むジエン系ゴム100質量部に、酸化亜鉛を5~12質量部、硫黄を4~10質量部、リグニン発酵残渣および/またはリグニン抽出物を0.5~10質量部配合したことを特徴とする発明[6]に記載の金属接着用ゴム組成物。
発明[8] 前記酸化亜鉛を配合したゴム組成物を少なくとも10分間混合し、かつ前記硫黄を配合したゴム組成物を少なくとも5分間混合することを特徴とする発明[7]に記載の金属接着用ゴム組成物の製造方法。
図1