(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188758
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】支持構造体を製造するシステム
(51)【国際特許分類】
B29D 30/02 20060101AFI20221214BHJP
B60C 7/00 20060101ALI20221214BHJP
B60B 9/04 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
B29D30/02
B60C7/00 H
B60B9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022089370
(22)【出願日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】17/342833
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513158760
【氏名又は名称】ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ジェイハン セリック
【テーマコード(参考)】
3D131
4F215
【Fターム(参考)】
3D131BB19
3D131BC31
3D131BC51
3D131CC03
3D131CC04
4F215AH21
4F215VA02
4F215VC08
4F215VD03
4F215VK32
4F215VL27
(57)【要約】
【課題】スポークの耐荷重性及び耐久性を増大し、トップローダの非空気入りタイヤの性能を増大すると同時に、製造の柔軟性も低減するシステムを提供する。
【手段】本発明によるシステムは、部分的に硬化されたタイヤ組立体を硬化し製造する。このシステムは、部分的に硬化されたタイヤ組立体の対応する半径方向内側の環状面に滑入される機能的なホイール部材と、複数の細長いスペーサ部材と、ホイール部材およびスペーサ部材を互いに対して軸方向に固定する第1の環状硬化プラテンと、ホイール部材およびスペーサ部材を互いに対して軸方向に固定する第2の環状硬化プラテンと、挿入体の半径方向外面とスペーサ部材の半径方向最外面によって位置決めされたタイヤ組立体のフラップ部材とによって形成される実質的に平滑で均一な外側円筒面を形成する複数の細長い挿入体と、を含む。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分的に硬化されたタイヤ組立体を硬化し製造するシステムであって、
車両に回転可能に取り付ける機能的なホイール部材であって、前記部分的に硬化されたタイヤ組立体の対応する半径方向内側の環状面に滑入されるホイール部材と、
複数の細長いスペーサ部材であって、該スペーサ部材を前記部分的に硬化されたタイヤ組立体のフラップ部材でハブ部材に固定し、それによって前記スペーサ部材の各々の半径方向最外面を取り囲むことによって、前記部分的に硬化されたタイヤ組立体内の対応する均一なキャビティ容積を維持する複数の細長いスペーサ部材と、
前記ホイール部材およびスペーサ部材を互いに対して軸方向に固定する第1の環状硬化プラテンと、
前記ホイール部材およびスペーサ部材を互いに対して軸方向に固定する第2の環状硬化プラテンと、
複数の細長い挿入体であって、各挿入体の半径方向外面と前記スペーサ部材の前記半径方向最外面によって位置決めされた前記タイヤ組立体のフラップ部材とによって形成される実質的に平滑で均一な外側円筒面を形成する複数の細長い挿入体と、を有することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ホイール部材は、前記部分的に硬化されたタイヤ組立体と前記ホイール部材との間の界面における表面積および結合強度を増加させるために粗面化した凹面を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ホイール部材の前記凹面は、前記部分的に硬化されたタイヤ組立体の対応する凸面と前記ホイール部材との間のより効率的なトルクおよび力の伝達のために、隆起した先端を規定することを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
システム全体の最初から前記機能的なホイール部材を使用することにより、全体的な複雑さを軽減し、前記車両に取り付ける前に前記ホイール部材およびタイヤ組立体を組み立てる後工程を排除することを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記細長い挿入体は、三角形の断面を有することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記成形部材は、完成した、硬化したタイヤ組立体の周囲から半径方向に取り外し可能であることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1および第2の硬化プラテンは、前記ホイール部材、前記細長いスペーサ部材、および細長い挿入体から軸方向に取り外し可能であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1および第2の硬化プラテンは、高温液体によって加熱されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記細長いスペーサ部材は、蒸気によって加熱されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記細長い挿入体は、電気によって加熱されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
部分的に硬化されたタイヤ組立体の硬化を完了する方法であって、
機能的なホイール部材を前記部分的に硬化されたタイヤ組立体の対応する半径方向内側の環状面に滑入するステップと、
前記部分的に硬化されたタイヤ組立体の対応する均一なキャビティ内に複数のスペーサ部材を維持するステップと、
前記スペーサ部材の各々の半径方向最外面を囲む前記部分的に硬化されたタイヤ組立体の未硬化のフラップ部材で前記スペーサ部材を前記ホイール部材に固定するステップと、
第1および第2の硬化プラテン、前記ホイール部材、および前記スペーサ部材を互いに対して軸方向に固定するステップと、
各スペーサ部材の半径方向外面と、前記スペーサ部材の半径方向最外面によって位置決めされた前記部分的に硬化されたタイヤ組立体の未硬化フラップ部材の各々とで形成される実質的に滑らかで均一な外側円筒面を形成するステップと、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記均一な外側円筒面の周囲に、前記部分的に硬化されたタイヤ組立体の未硬化の内側環状せん断帯および未硬化の外側環状トレッド部材を周方向に連続して配置するステップを含むことをさらに特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記部分的に硬化されたタイヤ組立体の前記未硬化の内側環状せん断帯と前記未硬化の外側環状トレッド部材とを互いに固定するステップを含むことをさらに特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記トレッド部材の半径方向外面の周りに複数の成形部材を周方向に配置するステップを含むことをさらに特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記成形部材の半径方向内面によって前記トレッド部材の前記外面にトレッド形状の外面を形成するステップを含むことをさらに特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記フラップ部材、せん断帯、およびトレッド部材を完全に硬化したタイヤ組立体に形成するために、前記スペーサ部材、硬化プラテン、細長い挿入体、および成形部材を加熱するステップを含むことをさらに特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記完全に硬化したタイヤ組立体の周りから前記成形部材を半径方向に除去するステップを含むことをさらに特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ホイール部材から前記硬化プラテンを軸方向に除去するステップを含むことをさらに特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
完全に硬化したタイヤ組立体から前記スペーサ部材および挿入体を軸方向に引き出して、完全に硬化したタイヤ組立体のスポーク構造内に安定したキャビティを露出させるステップを含むことをさらに特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記加熱するステップが、高温液体、蒸気、および電気からなる群からの媒体を含むことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホイール/タイヤ組立体に関し、より詳細には、非空気入りホイール/タイヤ組立体を製造するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ラジアル空気入りタイヤは、リムとベルト層との間で荷重を担持し伝達するためにプライ補強材に依存する。これらのプライコードには、荷重を担持するために張力をかける必要がある。これらのプライコードへの張力の印加は、タイヤの内部チャンバ内の加圧空気によって達成される。空気圧が失われると、空気入りタイヤの耐荷重性が著しく低下する。タイヤメーカにとって、ゆっくりした、または急激な空気圧の低下を防止することが課題であった。1つの提案された解決策は、非空気入りタイヤを使用することである。トップローダの非空気入りタイヤは、その耐久性、速度定格/制限および耐荷重を空気入りタイヤのレベルまで増加させることができれば、空気入りタイヤと同様の性能を発揮することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くのトップローダの非空気入りタイヤは、車両の荷重を担持するためにポリマースポークに依存する。スポークは荷重をリムからせん断帯に伝達する。これらのタイヤのスポークに使用されるポリマー材料の特性により、これらのタイヤの性能は制限される。
本発明の目的は、この制限を克服し、これらのスポークの耐荷重性及び耐久性を増大し、トップローダの非空気入りタイヤの性能を増大すると同時に、製造の柔軟性も低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
定義
本明細書および特許請求の範囲において、以下の意味で使用される。
【0005】
「環状」とは、リングのように形成されることを意味する。
【0006】
「軸方向の」および「軸方向に」とは、タイヤの回転軸に平行な線または方向を示す。
【0007】
「周方向の」および「周方向に」とは、赤道面(EP)に平行で軸方向に垂直な環状のタイヤの表面の周縁部に沿って延びる線または方向を意味し、隣接する円形曲線の複数の組であって、断面視において、それらの円形曲線の半径がトレッドの軸方向の湾曲を画定する複数の円形曲線の組の方向を示すこともある。
【0008】
「赤道面(EP)」とは、タイヤの回転軸に垂直で、タイヤのトレッドの中心を通る面、またはトレッドの周方向中心線を含む面を意味する。
【0009】
「内側」とはタイヤの内側に向かうことを意味し、「外側」とはタイヤの外側に向かうことを意味する。
【0010】
「横方向」とは、軸方向を意味する。
【0011】
「通常荷重」は、タイヤの使用条件について、適切な標準化機構によって割り当てられた荷重を意味する。
【0012】
「半径方向の」および「半径方向に」とは、タイヤの回転軸に径方向に向かう方向、または、タイヤの回転軸から径方向に離れる方向を意味する。
【0013】
「ばねレート」とは、所与の圧力における荷重撓み曲線の傾きで表されるタイヤの剛性を意味する。
【0014】
「トレッド」とは、タイヤケースに結合されたときに、タイヤが正常に膨張し通常荷重を受けているときに路面に接するタイヤの部分を含む、成形ゴム部材を意味する。
【0015】
「トレッド要素」または「牽引要素」とは、リブまたはブロック要素を意味する。
【0016】
「トレッド幅」とは、タイヤの回転軸を含む平面におけるトレッド面の弧の長さを意味する。
【0017】
「垂直撓み」とは、タイヤが荷重を受けてたわむ量を意味する。
【0018】
「ホイール」または「ハブ」とは、タイヤを支持し、車両アクスルに取り付けるための構造を意味する。
【0019】
本発明によるシステムは、部分的に硬化されたタイヤ組立体を硬化し製造する。このシステムは、車両に回転可能に取り付ける機能的なホイール部材であって、前記部分的に硬化されたタイヤ組立体の対応する半径方向内側の環状面に滑入されるホイール部材と、複数の細長いスペーサ部材であって、該スペーサ部材を前記部分的に硬化されたタイヤ組立体のフラップ部材で前記ハブ部材に固定し、それによって前記スペーサ部材の各々の半径方向最外面を取り囲むことによって、前記部分的に硬化されたタイヤ組立体内の対応する均一なキャビティ容積を維持する複数の細長いスペーサ部材と、前記ホイール部材およびスペーサ部材を互いに対して軸方向に固定する第1の環状硬化プラテンと、前記ホイール部材およびスペーサ部材を互いに対して軸方向に固定する第2の環状硬化プラテンと、複数の細長い挿入体であって、各挿入体の半径方向外面と前記スペーサ部材の前記半径方向最外面によって位置決めされた前記タイヤ組立体のフラップ部材とによって形成される実質的に平滑で均一な外側円筒面を形成する複数の細長い挿入体と、を含む。
【0020】
本システムの別の態様によれば、前記ホイール部材は、前記部分的に硬化されたタイヤ組立体と前記ホイール部材との間の界面における表面積および結合強度を増加させるために粗面化した凹面を有する。
【0021】
本システムのさらに別の態様によれば、前記ホイール部材の前記凹面は、前記部分的に硬化されたタイヤ組立体の対応する凸面と前記ホイール部材との間のより効率的なトルクおよび力の伝達のために、隆起した先端を規定する。
【0022】
本システムのさらに別の態様によれば、システム全体の最初から前記機能的なホイール部材を使用することにより、全体的な複雑さを軽減し、前記車両に取り付ける前に前記ホイール部材およびタイヤ組立体を組み立てる後工程を排除する。
【0023】
本システムのさらに別の態様によれば、前記細長い挿入体は、三角形の断面を有する。
【0024】
本システムのさらに別の態様によれば、前記成形部材は、完成した、硬化したタイヤ組立体の周囲から半径方向に取り外し可能である。
【0025】
本システムのさらに別の態様によれば、前記硬化プラテンは、前記ホイール部材、前記細長いスペーサ部材、および細長い挿入体から軸方向に取り外し可能である。
【0026】
本システムのさらに別の態様によれば、前記硬化プラテンは、高温液体によって加熱される。
【0027】
本システムのさらに別の態様によれば、前記細長いスペーサ部材は、蒸気によって加熱される。
【0028】
本システムのさらに別の態様によれば、前記細長い挿入体は、電気によって加熱される。
【0029】
本発明による方法は、部分的に硬化されたタイヤ組立体の硬化を完了する。本方法は、機能的なホイール部材を前記部分的に硬化されたタイヤ組立体の対応する半径方向内側の環状面に滑入するステップと、前記部分的に硬化されたタイヤ組立体の対応する均一なキャビティ内に複数のスペーサ部材を維持するステップと、前記スペーサ部材の各々の半径方向最外面を囲む前記部分的に硬化されたタイヤ組立体の未硬化のフラップ部材で前記スペーサ部材を前記ホイール部材に固定するステップと、第1および第2の硬化プラテン、前記ホイール部材、および前記スペーサ部材を互いに対して軸方向に固定するステップと、各スペーサ部材の半径方向外面と、前記スペーサ部材の半径方向最外面によって位置決めされた前記部分的に硬化されたタイヤ組立体の未硬化フラップ部材の各々とで形成される実質的に滑らかで均一な外側円筒面を形成するステップと、を含む。
【0030】
本方法の別の態様によれば、さらなるステップは、前記均一な外側円筒面の周囲に、前記部分的に硬化されたタイヤ組立体の未硬化の内側環状せん断帯および未硬化の外側環状トレッド部材を周方向に連続して配置するステップを含む。
【0031】
本方法のさらに別の態様によれば、さらなるステップは、前記部分的に硬化されたタイヤ組立体の前記未硬化の内側環状せん断帯と前記未硬化の外側環状トレッド部材とを互いに固定するステップを含む。
【0032】
本方法のさらに別の態様によれば、さらなるステップは、前記トレッド部材の半径方向外面の周りに複数の成形部材を周方向に配置するステップを含む。
【0033】
本方法のさらに別の態様によれば、さらなるステップは、前記成形部材の半径方向内面によって前記トレッド部材の前記外面にトレッド形状の外面を形成するステップを含む。
【0034】
本方法のさらに別の態様によれば、さらなるステップは、前記フラップ部材、せん断帯、およびトレッド部材を完全に硬化したタイヤ組立体に形成するために、前記スペーサ部材、硬化プラテン、細長い挿入体、および成形部材を加熱するステップを含む。
【0035】
本方法のさらに別の態様によれば、さらなるステップは、前記完全に硬化したタイヤ組立体の周りから前記成形部材を半径方向に除去するステップを含む。
【0036】
本方法のさらに別の態様によれば、さらなるステップは、前記ホイール部材から前記硬化プラテンを軸方向に除去するステップを含む。
【0037】
本方法のさらに別の態様によれば、さらなるステップは、完全に硬化したタイヤ組立体から前記スペーサ部材および挿入体を軸方向に引き出して、完全に硬化したタイヤ組立体のスポーク構造内に安定したキャビティを露出させるステップを含む。
【0038】
本方法のさらに別の態様によれば、前記加熱するステップが、高温液体、蒸気、および電気からなる群からの媒体を含む。
本発明は、添付の図面を参照して、そのいくつかの実施例の以下の説明によって、より明確に理解されるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明によるシステムの一部の概略斜視図である。
【
図2】本発明によるシステムの別の部分を有する
図1の部分の概略斜視図である。
【
図3】本発明で使用するための例示的なホイール/タイヤ組立体の一部の概略斜視図である。
【
図4】
図3の組立体の一部の別の概略斜視図である。
【
図5】
図3の組立体の別の部分の概略斜視図である。
【
図6】
図3の組立体のさらに別の部分の概略斜視図である。
【
図7】
図3の組立体のさらに別の部分の概略斜視図である。
【
図8】
図3の組立体のさらに別の部分の概略斜視図である。
【
図9】
図3の組立体のさらに別の部分の概略斜視図である。
【
図10】
図3の組立体のさらに別の部分の概略斜視図である。
【
図11】
図3の組立体のさらに別の部分の分解概略斜視図である。
【
図12】
図3の組立体のさらに別の部分の概略斜視図である。
【
図13】
図3の組立体のさらに別の部分の概略斜視図である。
【
図14】
図3の組立体のさらに別の部分の概略斜視図である。
【
図15】
図3の組立体のさらに別の部分の概略斜視図である。
【
図16】
図3の組立体のさらに別の部分の概略斜視図である。
【
図17】
図3の組立体のさらに別の部分の概略斜視図である。
【
図18】
図3の組立体のさらに別の部分の概略斜視図である。
【
図19】
図3の組立体のさらに別の部分の概略斜視図である。
【
図20】
図3の組立体のさらに別の部分の分解概略斜視図である。
【
図21】
図3の組立体のさらに別の部分の概略斜視図である。
【
図22】
図3の組立体のさらに別の部分の概略斜視図である。
【
図23】
図3の組立体のさらに別の部分の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
従来のホイール/タイヤ組立体は、軽量複合ばねによって中央ハブに柔軟に接続された、せん断帯のような外側リングを有することができる。ばねは、リングおよびハブに固定されたプレートであってもよい。ハブは、減速歯車ユニットおよび/または電動機を含むことができ、車両シャーシを各ホイールに接続するためのサスペンション機構を有していてもよい。リングは、炭素繊維強化ナイロン材料のような可撓性複合材料から構成することができ、ツインゴムタイヤと、路面に係合しトラクションを改善する、周方向に間隔を置いて配置された複数の半径方向クリートとを有していてもよい。ハブも、炭素繊維強化複合材料から形成されてもよい。別の従来のホイールは、グリップを改善する複合リングに結合された成形トレッドを有するゴムストリップを有していてもよい。さらに、リングとハブとを相互接続するばねは、S字型の軽量複合ばねであってもよい。
【0041】
別の従来のホイール/タイヤ組立体は、炭素繊維強化ポリアミドなどの軽量複合材料から形成することができる。組立体は、円筒状の中央ハブと、中央ハブと円形リムとの間に延在する無端ループ状のバネバンドによって中央ハブに取り付けられた円形の外側可撓性リムとを有していてもよい。6つの半径方向のループは、ばねバンドによって規定されてもよい。ばねバンドは、接着、凝集、はんだ付け、および/またはボルト、リベット、および/またはクランプによる機械的固定などの任意の好適な手段によって、中央ハブおよび円形リムに取り付けてもよい。
【0042】
図22~23に示されるように、本発明で使用する例示的なタイヤ組立体(例えば、本出願人の米国特許出願第17/109,901号および米国特許出願第17/111,741号に記載されているものであり、これら出願は両方ともその全体を参照することにより本明細書に組み込まれる)は、例えば、標準的なタイヤゴムコンパウンド、熱可塑性ポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、天然ゴムのような架橋ポリマー、合成ゴム状ポリマー、エポキシ樹脂、および/またはフェノール樹脂などの軽量ポリマー材料から形成されてもよい。組立体は、自動車のホイール(図示せず)のような内側中央リムと、内側中央リムと外側リングとの間に延在する連続コード/布補強スポーク構造によって内側中央リムに取り付けられた、せん断帯及びトレッド構造を含むことができる円形外側可撓リングとを有していてもよい。
【0043】
スポーク構造は、内側中央リムの周りに同心円状に配置された複数のキャビティを画定してもよく、これにより、スポーク構造が荷重を受けて撓むことが可能となり、それにより、組立体のフットプリント内の乗り心地とトラクションのための柔軟性と、車両ハンドリングのための剛性と、低転がり抵抗と、スポーク構造内の熱蓄積の抑制との間の適切なバランスをとることができる。スポーク構造の各キャビティは、キャビティ内を延び、スポーク構造を内側中央リムに固定する内側中央リムの複数のアーム用の複数の開口部をさらに画定してもよい。アームは、一部分に、機械的連動構成をなすように係合してもよい。内側中央リムは、アームと共に、スポーク構造の部分を挟み、内側中央リムとスポーク構造との間にさらなる摩擦固定部および/または接着固定部を作り出すことができるプレートをさらに含んでいてもよい。スポーク構造は、均質ポリマー、または異種ポリマーおよび/または充填ポリマーを含んでいてもよい。
【0044】
スポーク構造の複数のスポークは、各スポークの座屈を軽減または増強するために、内側または外側に湾曲させてもよい。各スポークは、1つ以上の補強層を含んでいてもよい。補強層は、単一端部浸漬コード、従来の空気入りタイヤプライ/コード構造、短繊維、および/またはポリマーフィルムから構成されてもよい。さらに、これらの構成は、PET、ナイロン6、ナイロン66、レーヨン、鋼、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド、および/またはこれらの材料のハイブリッド構成であってもよい。各コードは、400デニール~9000デニールであってもよい。ポリマーフィルムは、0.1mm~2.0mmの厚さであってもよい。各スポークは、0度と90度との間の角度に向けられてもよい。各スポークの補強材は、その軸方向の全長にわたって連続的に補強することができる。連続的な補強層は、外側可撓性リングの所でせん断帯に隣接する複数の位置まで、半径方向外側に延在してもよい。
【0045】
各キャビティは、組立体の回転軸の周りに共通の断面形状を有していてもよい。さらに、各キャビティは、スポーク構造の一様な軸方向厚さに等しい共通の軸方向長さを有していてもよい。各キャビティは、1つまたは複数の補強層上の「ピンチ」ポイントを防ぎ、1つまたは複数の補強層に対する圧縮応力集中を軽減するように湾曲形状に成形されてもよい。キャビティの数は、大規模なタイヤ組立体の場合、2~60個とすることができる。内側中央リムは、鋼、鋳鉄、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、および/または鉄合金を含んでいてもよい。
【0046】
図3~
図24は、部分的に硬化された空気入りおよび/または非空気入りタイヤ組立体140を硬化し製造することができる、本発明で使用するシステム200を示す。システム200は、タイヤ組立体140の対応する半径方向内側の環状面142に滑入される環状ハブ部材210と、スペーサ部材220の各々の半径方向最外面222を囲むタイヤ組立体140のフラップ部材147でスペーサ部材220をハブ部材210に固定することによって、タイヤ組立体140内の対応する均一なキャビティ容積を維持する複数のスペーサ部材220と、ハブ部材210およびスペーサ部材220を互いに対して軸方向に固定する第1および第2の硬化プラテン230、240と、各三角挿入体250の半径方向外面252と各スペーサ部材220の半径方向最外面222によって位置決めされたタイヤ組立体140の各フラップ部材147とによって形成された実質的に滑らかで均一な外側円筒面を形成する複数の三角挿入体250とを含んでいてもよい。また、硬化プラテン230、240は、スペーサ部材220と組立体140の残りの部分との位置合わせを維持するばね掛け部材270を有していてもよい。
【0047】
タイヤ組立体140の内側環状せん断帯160および外側環状トレッド部材162は、均一な外側円筒面147、252の周囲に周方向に連続的に配置され、少なくとも一時的に外側円筒面147、252に貼り付けられ、かつ、互いに貼り付けられてもよい。これは、従来のタイヤ組立方法(図示せず)と同様に、組立体140の周囲に層160、162を形成することによって、またはせん断帯160およびトレッド部材162(
図17)から完全な環状バンド構造を形成することによって達成され得る。複数の成形部材260(
図18に示す6つ)を、トレッド部材162の半径方向外面163の周囲に周方向に配置することができる。成形部材260は、一緒にトレッド部材162の外面163内にトレッド形状の外面を形成する半径方向内面262を有していてもよい。
【0048】
スペーサ部材220、硬化プラテン230、240、三角挿入体250、及び成形部材260は、フラップ部材147、せん断帯160、及びトレッド部材162(例えば、タイヤ組立体140の未硬化部分)を硬化させて、適切なトレッド172(
図23)を有する完成した、硬化したタイヤ組立体170の成形一体部品にするために加熱することができる。硬化が完了すると、成形部材260は完全なタイヤ組立体170の周りから半径方向に取り外され、硬化プラテン230、240はハブ部材210から軸方向に取り外され、スペーサ部材220及び挿入体250はタイヤ組立体170から軸方向に引き出されて、取り付け準備完了タイヤ組立体170のスポーク構造174内に安定したキャビティ176を露出させる。
【0049】
本発明で使用するための方法は、部分的に硬化されたタイヤ組立体140を硬化させ、完成した「すぐに取り付けられる」完全硬化タイヤ組立体170に製造することができる。この方法は、環状ハブ部材210を部分的に硬化されたタイヤ組立体140の対応する半径方向内側の環状面142内に滑入させる第1のステップと、部分的に硬化されたタイヤ組立体140内の対応する均一なキャビティ容積内に複数のスペーサ部材220を維持する第2のステップと、スペーサ部材220の各々の半径方向最外面222を囲む部分的に硬化されたタイヤ組立体140のフラップ部材147でスペーサ部材220をハブ部材210に固定する第3のステップと、第1および第2の硬化プラテン230、240、ハブ部材210、及びスペーサ部材220を互いに対して軸方向に固定する第4のステップと、各スペーサ部材250の半径方向外面252と、スペーサ部材220の半径方向最外面222によって位置決めされた部分的に硬化されたタイヤ組立体140のフラップ部材147の各々とによって形成された実質的に滑らかで均一な外側円筒面を形成するために複数の三角挿入体250を使用する第5のステップと、部分的に硬化されたタイヤ組立体140の未硬化内側環状せん断帯160及び未硬化外側環状トレッド部材162を均一な外側円筒面147、252の周りに周方向に連続的に配置する第6のステップと、部分的に硬化されたタイヤ組立体140の未硬化の内側環状せん断帯160及び未硬化の外側環状トレッド部材162を互いに少なくとも一時的に貼り付ける第7のステップと、トレッド部材162の半径方向外面163の周りに周方向に複数の成形部材260を配置する第8のステップと、成形部材の半径方向内面262によってトレッド部材162の外面163にトレッド形状の外面を形成する第9のステップとを含むことができる。
【0050】
この方法は、フラップ部材147、せん断帯160、及びトレッド部材162(例えば、部分的に硬化されたタイヤ組立体140の未硬化部分)を硬化/形成して、適切なトレッド172を有する完成した、硬化したタイヤ組立体170の成形一体部分にするために、スペーサ部材220、硬化プラテン230、240、三角挿入体250、及び成形部材260を(例えば、高温液体、蒸気、電気等によって)加熱する第10のステップと、完全に硬化したタイヤ組立体170の周りから成形部材260を半径方向に除去する第11のステップと、硬化プラテン230、240をハブ部材210から軸方向に除去する第12のステップと、完全に硬化したタイヤ組立体170からスペーサ部材220及び挿入体250を軸方向に引き出して、リム取り付け可能な完全に硬化したタイヤ組立体170のスポーク構造174内に安定したキャビティ176を露出させる第13のステップとを更に含むことができる。
【0051】
本発明によれば、環状ハブ部材210を部分的に硬化されたタイヤ組立体140の対応する半径方向内側の環状面142内に滑入させる上記の第1のステップは、環状ホイール部材2210を部分的に硬化されたタイヤ組立体140の対応する半径方向内側の環状面142内に滑入させるステップ(
図1~
図2)に置き換えることができる。ホイール部材2210は、完全に完成したタイヤ170を完全に作動可能な車両に取り付けるための完全に機能的なリムであってもよい。ホイール部材2210は、ゴムタイヤ170とホイール部材との間の界面における表面積及び結合強度を増加させるために、凹面2211を粗面化してもよい。凹面は、タイヤ組立体140の対応する凸面2245とホイール部材との間のより効率的なトルクおよび力の伝達のために、隆起した先端2214をさらに規定することができる。したがって、タイヤ組立体140の凸面2245のゴム/ポリマー構成要素は、従来の空気入りタイヤまたは非空気入りタイヤのスチールワイヤまたはビードワイヤとゴム/ポリマー構成要素との間の結合と同様に、ホイール部材2210の凹面2211に結合することができる。
【0052】
これにより、ホイール部材2210は、タイヤ組立体140の一次硬化および上記の二次硬化方法の全体を通して、タイヤ組立体140と共に留まり、その結果、ホイール部材/タイヤ組立体2210、170を車両に回転固定することができる(
図2)。全体的な方法の最初から使用可能なホイール組立体2210を使用すると、全体的な複雑さが軽減され、その後のホイール部材2210およびタイヤ組立体170を組み立てる工程を排除することができる。
【0053】
本明細書で提供される本発明の説明に照らして、本発明の変形が可能である。本発明を説明する目的で、特定の代表的な実施形態および詳細を示したが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および/または修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、以下に添付する特許請求の範囲によって定義される本発明の全範囲内で、本明細書に記載される特定の実施形態において変更を行うことができることを理解されたい。さらに、本発明は、前述の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の全範囲内で構造および/または詳細を変更することができる。
【外国語明細書】