(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188760
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】閉空間内に紫外線(UV)光ランプを移動可能に支持するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20221214BHJP
B64D 11/06 20060101ALI20221214BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
A61L2/10
B64D11/06
A61L9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】31
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022092561
(22)【出願日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】63/208,636
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】マテウス エス.ダクズコ
【テーマコード(参考)】
4C058
4C180
【Fターム(参考)】
4C058AA23
4C058BB06
4C058DD03
4C058KK02
4C058KK26
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH11
4C180HH18
4C180HH19
4C180MM07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】殺菌対象の領域や空間などに対して、迅速かつ容易に配置することができるUV光殺菌システム及び方法、ビークルの内部キャビンなどの限られた空間内に、移動可能に固定することができるUV光殺菌システム及び方法、ならびに使用電力がより少ないUV光殺菌システム及び方法を提供する。
【解決手段】閉空間用の殺菌システム100及び方法は、閉空間内の構造物404に移動可能に接続された多関節アーム104を含む。多関節アーム104には、紫外線(UV)ランプが接続されている。UVランプは、閉空間内の殺菌ゾーンに向けてUV光を放射するよう構成されている。多関節アーム104は、UVランプが殺菌ゾーンに対して移動することを可能にする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉空間用の殺菌システムであって、
前記閉空間内の構造物に移動可能に接続された多関節アームと、
前記多関節アームに接続されているとともに、前記閉空間内の殺菌ゾーンに向けて紫外線(UV)光を放射するよう構成されたUVランプと、を備え、
前記多関節アームは、前記UVランプが前記殺菌ゾーンに対して移動することを可能にする構成とされている、殺菌システム。
【請求項2】
前記多関節アームは、1つ又は複数のピボットジョイントを含む、請求項1に記載の殺菌システム。
【請求項3】
前記1つ又は複数のピボットジョイントに接続された1つ又は複数のダンパーをさらに備える、請求項2に記載の殺菌システム。
【請求項4】
前記多関節アームは、前記UVランプが収納位置と展開位置との間で移動することを可能にする、請求項1に記載の殺菌システム。
【請求項5】
前記構造物と前記多関節アームに接続されたラッチをさらに備え、前記ラッチは、ロック位置とロック解除位置の間で選択的に移動可能である、請求項1に記載の殺菌システム。
【請求項6】
前記ラッチを制御するよう構成された起動部材をさらに備える、請求項5に記載の殺菌システム。
【請求項7】
前記閉空間は、ビークルの内部キャビンである、請求項1に記載の殺菌システム。
【請求項8】
前記構造物は、前記内部キャビン内のスペーサーパネルである、請求項7に記載の殺菌システム。
【請求項9】
前記スペーサーパネルは、空洞部を含み、前記多関節アームの少なくとも一部分は、収納位置において前記空洞部に収容される、請求項8に記載の殺菌システム。
【請求項10】
前記構造物は、前記内部キャビン内の乗客サービスユニット(PSU)である、請求項7に記載の殺菌システム。
【請求項11】
前記構造物は、前記内部キャビン内の座席の一部分である、請求項7に記載の殺菌システム。
【請求項12】
前記座席の一部分は、ヘッドレストである、請求項11に記載の殺菌システム。
【請求項13】
前記UVランプは、前記座席に座っている個人の呼吸空間を含む前記殺菌ゾーンにUV光を放射するよう構成されている、請求項12に記載の殺菌システム。
【請求項14】
前記UVランプは、本体部に埋設されており、前記UVランプは、前記本体部の中を流れる空気流にUV光を放射するよう構成されている、請求項12に記載の殺菌システム。
【請求項15】
前記多関節アームは、互いに対して移動するよう構成された複数のアームセグメントを含む、請求項1に記載の殺菌システム。
【請求項16】
前記複数のアームセグメント間に複数のピボットジョイントをさらに備える、請求項1に記載の殺菌システム。
【請求項17】
前記UVランプは、前記多関節アームに対して移動可能である、請求項1に記載の殺菌システム。
【請求項18】
測距ユニットをさらに備える、請求項1に記載の殺菌システム。
【請求項19】
前記多関節アームが移動可能に接続された支持バーをさらに備える、請求項1に記載の殺菌システム。
【請求項20】
前記支持バーは、前記構造物に移動可能に接続されている、請求項19に記載の殺菌システム。
【請求項21】
前記支持バーに移動可能に接続された少なくとも1つの付加的な多関節アームと、
前記少なくとも1つの付加的な多関節アームに接続された少なくとも1つの付加的なUVランプと、をさらに備える、請求項19に記載の殺菌システム。
【請求項22】
閉空間用の殺菌方法であって、
前記閉空間内の構造物に多関節アームを移動可能に接続することと、
前記閉空間内の殺菌ゾーンに向けて紫外線(UV)光を放射するよう構成されたUVランプを、前記多関節アームに接続することと、
前記多関節アームを介して、前記UVランプを前記殺菌ゾーンに対して移動させることと、を含む殺菌方法。
【請求項23】
前記移動させることは、前記UVランプを収納位置と展開位置の間で移動させることを含む、請求項22に記載の殺菌方法。
【請求項24】
前記閉空間は、ビークルの内部キャビンである、請求項22に記載の殺菌方法。
【請求項25】
前記構造物は、前記内部キャビン内のスペーサーパネル、乗客サービスユニット(PSU)、座席の一部分、又は、頭上収納棚アセンブリのうちの1つ又は複数である、請求項24に記載の殺菌方法。
【請求項26】
閉空間であって、
構造物と、
前記構造物に移動可能に接続された殺菌システムと、を備え、前記殺菌システムは、
前記閉空間内の構造物に移動可能に接続された多関節アームと、
前記多関節アームに接続されているとともに、前記閉空間内の殺菌ゾーンに向けて紫外線(UV)光を放射するよう構成されたUVランプと、を含み、
前記多関節アームは、前記UVランプが前記殺菌ゾーンに対して移動することを可能にする構成とされている、閉空間。
【請求項27】
前記閉空間は、ビークルの内部キャビンである、請求項26に記載の閉空間。
【請求項28】
前記構造物は、前記内部キャビン内のスペーサーパネルである、請求項27に記載の閉空間。
【請求項29】
前記構造物は、前記内部キャビン内の乗客サービスユニット(PSU)である、請求項27に記載の閉空間。
【請求項30】
前記構造物は、前記内部キャビン内の座席の一部分である、請求項27に記載の閉空間。
【請求項31】
前記一部分は、前記座席のヘッドレストである、請求項30に記載の閉空間。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、概して、民間航空機の内部キャビンなどの閉空間内における表面等を衛生的にするためのシステム及び方法に関し、より具体的には、そのような閉空間内に紫外線(UV)光ランプを移動可能に支持するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
民間航空機などのビークルは、様々な場所から場所へ乗客を輸送するために使用される。現在、航空機内の表面を殺菌ないし衛生的にするためのシステムが開発されており、例えば、紫外線(UV)光を用いるシステムがある。
【0003】
一般的に、UV光による殺菌は、UV発光素子が殺菌対象の表面に近いほど効果的である。しかしながら、例えば、民間航空機の内部キャビンの限られた空間内など、様々な状況において、UV発光素子を殺菌対象の表面や領域の近傍に配置することが現実的でない場合がある。よって、UV発光素子が殺菌対象の表面や領域から比較的離れた距離に配置されることがある。その場合、UV発光素子は、通常、対象表面や領域を効果的に殺菌するために十分な出力を有することが求められる。殺菌対象までの距離が長くなるほど、UV発光素子に必要な電力も概ね増加する。このように、特定の状況において効果的なUV光殺菌を実施するには、通常、より多くの時間と電力を必要とする可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
殺菌対象の領域や空間などに対して、迅速かつ容易に配置することができるUV光殺菌システム及び方法が必要とされている。さらに、ビークルの内部キャビンなどの限られた空間内に、移動可能に固定することができるUV光殺菌システム及び方法が必要とされている。また、使用電力がより少ないUV光殺菌システム及び方法が必要とされている。
【0005】
これらの要望を念頭に、本開示の特定の実施例は、閉空間用の殺菌システムを提供する。前記閉空間用の殺菌システムは、前記閉空間内の構造物に移動可能に接続された多関節アームを備える。前記多関節アームに、紫外線(UV)ランプが接続されている。前記UVランプは、前記閉空間内の殺菌ゾーンに向けてUV光を放射するよう構成されている。前記多関節アームは、前記UVランプが前記殺菌ゾーンに対して移動することを可能にする。
【0006】
少なくとも1つの実施例において、前記多関節アームは、1つ又は複数のピボットジョイントを含む。さらなる実施例において、前記1つ又は複数のピボットジョイントに1つ又は複数のダンパーが接続されている。
【0007】
少なくとも1つの実施例において、前記多関節アームは、前記UVランプが収納位置と展開位置との間で移動することを可能にする。
【0008】
少なくとも1つの実施例において、前記構造物と前記多関節アームに、ラッチが接続されている。前記ラッチは、ロック位置とロック解除位置の間で選択的に移動可能である。さらなる実施例において、起動部材は、前記ラッチを制御するよう構成されている。
【0009】
少なくとも1つの実施例において、前記閉空間は、ビークルの内部キャビンである。少なくとも1つの実施例において、前記構造物は、前記内部キャビン内のスペーサーパネルである。少なくとも1つの実施例において、前記スペーサーパネルは、空洞部を含む。前記多関節アームの少なくとも一部分は、収納位置において前記空洞部に収容される。
【0010】
少なくとも1つの実施例において、前記構造物は、前記内部キャビン内の乗客サービスユニット(PSU)である。
【0011】
少なくとも1つの実施例において、前記構造物は、前記内部キャビン内の座席の一部分である。例えば、前記一部分は、前記座席のヘッドレストである。さらなる実施例において、前記UVランプは、前記座席に座っている個人の呼吸空間を含む前記殺菌ゾーンにUV光を放射するよう構成されている。さらに別の実施例において、前記UVランプは、本体部に埋設されており、前記UVランプは、前記本体部の中を流れる空気流にUV光を放射するよう構成されている。
【0012】
少なくとも1つの実施例において、前記多関節アームは、互いに対して移動するよう構成された複数のアームセグメントを含む。さらに、少なくとも1つの実施例において、前記複数のアームセグメント間に複数のピボットジョイントが設けられている。
【0013】
少なくとも1つの実施例において、前記UVランプは、前記多関節アームに対して移動可能である。
【0014】
少なくとも1つの実施例において、前記殺菌システムは、測距ユニットをさらに備える。
【0015】
一実施例において、前記殺菌システムは、支持バーをさらに備える。前記多関節アームは、前記支持バーに移動可能に接続されている。さらに、前記支持バーは、前記構造物に移動可能に接続されている。さらなる実施例において、少なくとも1つの付加的な多関節アームが前記支持バーに移動可能に接続されており、少なくとも1つの付加的なUVランプが前記少なくとも1つの付加的な多関節アームに接続されている。
【0016】
本開示の特定の実施例は、閉空間用の殺菌方法を提供する。前記殺菌方法は、前記閉空間内の構造物に多関節アームを移動可能に接続することと、前記閉空間内の殺菌ゾーンに向けて紫外線(UV)光を放射するよう構成されたUVランプを、前記多関節アームに接続することと、前記多関節アームを介して、前記UVランプを前記殺菌ゾーンに対して移動させることと、を含む。
【0017】
本開示の特定の実施例は、構造物と、前記構造物に移動可能に接続された、本明細書に記載の殺菌システムと、を備える閉空間を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の実施例による、閉空間内の殺菌システムの概略ブロック図である。
【
図2】本開示の実施例による航空機を前側からみた斜視図である。
【
図3A】本開示の実施例による航空機の内部キャビンの平面図である。
【
図3B】本開示の実施例による航空機の内部キャビンの平面図である。
【
図4】本開示の実施例による航空機の内部キャビンの内装を示す斜視図である。
【
図5】本開示の実施例による、ビークルの内部キャビン内の殺菌システムの側面図である。
【
図6】
図5の内部キャビン内の殺菌システムの正面図である。
【
図7】本開示の実施例による、ビークルの内部キャビン内の殺菌システムの側面図である。
【
図8】
図7の内部キャビン内の殺菌システムの正面図である。
【
図9】本開示の実施例による、ビークルの内部キャビン内の殺菌システムの側面図である。
【
図10】
図9の内部キャビン内の殺菌システムの正面図である。
【
図11】本開示の実施例による、ビークルの内部キャビン内の殺菌システムの正面図である。
【
図12】本開示の実施例による、ヘッドレストに固定された殺菌システムの側面図である。
【
図14】本開示の実施例による殺菌方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上述した概要、及び、後述する実施例の詳細は、添付図面を参照して読むことにより、さらに明瞭に理解されよう。本明細書において、単数形で記載されている要素又はステップは、必ずしも複数の要素又はステップを排除するものではない。また、「一実施例」に言及することは、その実施例に記載した特徴を取り入れた他の実施例の存在を排除することを意図するものではない。さらに、特に明記されていない限り、特定の状態にある1つ又は複数の要素を「備える/含む」又は「有する」実施例は、その状態にない別の要素を付加的に含んでいてもよい。
【0020】
本開示の特定の実施例は、紫外線(UV)ランプを、殺菌対象ゾーンの近傍に位置させるためのシステム及び方法に関する。当該システム及び方法は、UVランプを構造物に対して、例えば収納位置と展開位置の間で移動させる機構を含む。少なくとも1つの実施例において、当該機構は、ビークルの内部キャビンなどの閉空間内の構造物にUVランプを移動可能に固定する多関節アームである。
【0021】
図1は、本開示の実施例による、閉空間102内の殺菌システム100の概略ブロック図である。少なくとも1つの実施例において、閉空間102は、民間航空機などのビークルの内部キャビンである。少なくとも1つの他の実施例において、閉空間102は、居住用又は商業用のビルにおける1つ又は複数の部屋である。一実施例として、閉空間102は、病院の手術室である。少なくとも1つの他の実施例において、閉空間102は、球場、コンサート会場などの屋外施設である。
【0022】
殺菌システム100は、閉空間102内の構造物108に紫外線(UV)ランプ106を移動可能に固定する多関節アーム104を含む。少なくとも1つの実施例において、構造物108は、閉空間102内の天井である。他の実施例において、構造物108は、閉空間内のパネルである。例えば、構造物108は、壁である。少なくとも1つの実施例において、構造物108は、ビークルの内部キャビン内のスペーサーパネル、乗客サービスユニット(passenger service unit:PSU)、又は頭上収納棚アセンブリなどである。少なくとも1つの実施例において、構造物108は、閉空間内の座席アセンブリ(seat assembly)である。例えば、構造物108は、ビークルの内部キャビン内の座席アセンブリである。
【0023】
多関節アーム104は、1つ又は複数のピボットジョイント110を含んでおり、これが、多関節アーム104の枢動、回転、その他の動作を可能にする。少なくとも1つの実施例において、1つ又は複数のピボットジョイント110に、多関節アーム104の動作速度(rate of motion)を制御する1つ又は複数のダンパー112が接続されている。例えば、ダンパー112は、1つ又は複数のブレーキ、クラッチ、サーボ機構などを含む。ダンパー112は、例として空圧ダンパーを含むことができる。他の例として、ダンパー112は、電力供給源を要しない受動マグネット(passive magnet)と組み合わされた金属ブレーキ(例えば、アルミニウムブレーキ)を含むことができる。他の例として、ダンパー112は、電磁ブレーキ及び/又は電磁クラッチを含むことができる。代替的に、多関節アーム104は、ダンパーを含まない構成でもよい。
【0024】
多関節アーム104は、UVランプ106が様々な位置の間で移動することを可能にする。例えば、多関節アーム104により、UVランプ106は、収納位置(例えば、天井、スペーサーパネル、PSU、座席アセンブリのヘッドレストなどに退避した位置)と、UVランプ106の稼働により殺菌ゾーン114を殺菌するための展開位置と、の間で移動することができる。ダンパー112は、異なる位置間でUVランプ106を移動する際に、多関節アーム104の動作速度を制御する。
【0025】
任意に、アーム104は、関節式以外の方式で移動する構成でもよい。例えば、アーム104は、枢動式、回転式、伸縮式(telescoping)などの構成でもよい。他の例として、アーム104は、位置が固定されており、移動可能でない構成でもよい。
【0026】
UVランプ106は、1つ又は複数の電球や発光ダイオード(LED)などの1つ又は複数のUV発光素子118を有するハウジング116を含む。UV発光素子118は、UV光120を、非立体的又は立体的な殺菌ゾーン114に放射するよう構成されている。例えば、少なくとも1つの実施例において、殺菌ゾーン114は、閉空間102内の呼吸空間(breathing space)などの空間領域を含む。また他の実施例において、殺菌ゾーン114は、構造物(例えば、構造物108及び/又は他の構造物)における、殺菌対象の表面を含む。この表面は、閉空間102内の任意の物理的な表面であってもよい。例えば、そのような表面として、閉空間102内の壁、床、天井、テーブル、カウンター、座席などが含まれる。閉空間102がビークルの内部キャビンである実施例では、そのような表面として、客室キャビン、ギャレー、化粧室などの床、壁、天井、乗客用座席、カウンター、引き出し、キャビネットなどが含まれる。他の実施例において、殺菌ゾーン114は、空間領域、及び構造物の表面を含む。
【0027】
少なくとも1つの実施例において、UVランプ106は(UV発光素子118などにより)、人体へのリスクなしに微生物(例えば、ウィルス及び細菌)を無力化する(例えば死滅させる)ことができる、波長222nmなどの遠紫外スペクトルのUV光120を放射する。UVランプ106は、閉空間102内の病源菌の除去及び殺菌に使用される。任意に、UVランプ106は、UVCスペクトル(例えば、波長254nm)など、他の波長域のUV光120を放射する構成でもよい。
【0028】
少なくとも1つの実施例において、構造物108にラッチ122が接続されている。このラッチ122は、多関節アーム104にも接続されている。ラッチ122は、ロック位置とロック解除位置に選択的に係合するとともに、非係合状態において両位置間を移動可能である。これにより、多関節アーム104を所定の位置にロックし(例えば収納位置にある場合)、また、ロックを解除する(例えば展開位置にある場合)ことが可能なように構成されている。例えば、ラッチ122がロック位置にあるときは、多関節アーム104が収納位置に収納されていることが保証される。ロック解除位置にあるときは、ラッチが多関節アーム104から切り離されるので、多関節アーム104及びUVランプ106は、1つ又は複数のダンパー112による制御下で展開位置に移動する(例えば落下する)ことができる。
【0029】
少なくとも1つの実施例において、起動部材(activation member)124が、ラッチ122を制御するよう構成されている。例えば、起動部材124は、スイッチ126に接続されており、このスイッチがラッチ122に接続されている。例えば、起動部材124は、人(以下「個人」と言う)による操作が可能なように構成されたボタン、ダイヤル、レバーなどである。起動部材124は、構造物108の表面又はその内部に設けることができる。例えば、起動部材124は、座席アセンブリのアームレスト部分に設けたり、壁や天井などに取り付けたりすることができる。個人が起動部材124を操作すると、スイッチ126がロック位置からロック解除位置に移動し、これにより、殺菌システム100は、展開位置に移動可能な状態になる。また、個人が殺菌システム100を収納位置に戻すと、ラッチ122が自動的にロックして、殺菌システム100を所定の位置に固定する。任意に、殺菌システム100は、構造物108にラッチ122を介して接続されない構成も可能である。また、殺菌システムは、起動部材124及びスイッチ126を含まない構成も可能である。
【0030】
本明細書に記載されているように、閉空間102用の殺菌システム100は、閉空間102内の構造物108に移動可能に接続された多関節アーム104を含む。多関節アーム104には、UVランプ106が接続されている。UVランプ106は、閉空間102内の殺菌ゾーン114に向かう(ひいては殺菌ゾーンに到達する)UV光120を放射するよう構成されている。多関節アーム104は、UVランプ106が殺菌ゾーン114に対して移動することを可能にする。
【0031】
図2は、本開示の実施例による航空機210を前側からみた斜視図である。航空機210は、例えばエンジン214などの推進系212を含む。任意に、推進系212は、図示より多くのエンジン214を含むことができる。エンジン214は、航空機210の翼216に搭載されている。他の実施例では、エンジン214は、胴体218及び/又は尾部220に搭載することができる。尾部220は、水平安定板222及び垂直安定板224も支持することができる。
【0032】
航空機210の胴体218は、内部キャビン230を画定しており、内部キャビンは、フライトデッキ又はコックピット、1つ又は複数の作業セクション(例えばギャレー、乗務員用持ち込み手荷物領域など)、1つ又は複数の客室セクション(例えばファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスの各セクション)、1つ又は複数の化粧室などを含む。内部キャビン230は、
図1に示す閉空間102の一例である。
【0033】
代替的に、本開示の実施例は、航空機に代えて、自動車、バス、機関車や鉄道の車両、船舶などの他の様々なビークルにおいて用いることができる。さらに、本開示の実施形態は、商業や居住用ビルなどの固定の構造物において用いることもできる。概して、本明細書に記載の殺菌システムは、閉空間や屋外空間などにおける様々なコンポーネントの殺菌に使用することができる。
【0034】
図3Aは、本開示の実施例による航空機の内部キャビン230の平面図である。例えば、内部キャビン230は、
図2に示す胴体218などの胴体232の内部にある。例えば、内部キャビン230は、1つ又は複数の胴体壁によって画定される。内部キャビン230は、例えば、前方セクション233、ファーストクラスセクション234、ビジネスクラスセクション236、前方ギャレーステーション238、拡張エコノミーセクション240、標準エコノミーセクション242、及び後方セクション244などの複数の領域を含んでおり、これらのセクションには、複数の化粧室及びギャレーステーションが含まれうる。なお、内部キャビン230に含まれる領域は、図示より多くても、少なくてもよい。例えば、内部キャビン230は、ファーストクラスセクションを含まない場合や、図示よりも多くの、或いは、少ないギャレーステーションを含む場合もある。各セクションは、例えば、キャビン境界領域246で分離されており、当該領域には、クラスを分ける仕切りアセンブリが通路間に設けられている場合もある。
【0035】
図3Aに示すように、内部キャビン230は、後方セクション244に至る2つの通路250及び252を含む。任意に、内部キャビン230が有する通路は、図示よりも多くても、或いは、少なくてもよい。例えば、内部キャビン230は、内部キャビン230の中央を通って後方セクション244に至る通路を1本だけ含む構成でもよい。
【0036】
図1に示す殺菌システム100は、例えば、内部キャビン230内の空間領域、乗客用座席290、内装設備、収納棚アセンブリ、化粧室のコンポーネント、ギャレーの設備及びコンポーネントなど、様々な殺菌ゾーンを殺菌ないし衛生的にするために使用される。
【0037】
図3Bは、本開示の実施例による航空機の内部キャビン280の平面図である。内部キャビン280は、
図2に示す内部キャビン230の一例である。内部キャビン280は、例えば、航空機の胴体281の内部にある。例えば、内部キャビン280は、1つ又は複数の胴体壁によって画定される。内部キャビン280は、乗客用座席が設けられたメインキャビン282、及び、メインキャビン282の後方に設けられた後方セクション285などの複数の領域を含む。なお、内部キャビン280に含まれる領域は、図示より多くても、少なくてもよい。
【0038】
内部キャビン280は、後方セクション285に繋がる1本の通路284を含む構成でもよい。この1本の通路284は、内部キャビン280の中央を通って後方セクション285に至る構成でもよい。例えば、この1本の通路284は、内部キャビン280の中央長手方向面(central longitudinal plane)と同軸に配置されている。
【0039】
図1に示す殺菌システム100は、例えば、内部キャビン280内の空間領域、乗客用座席290、内装設備、収納棚アセンブリ、化粧室のコンポーネント、ギャレーの設備及びコンポーネントなど、様々な殺菌ゾーンを殺菌ないし衛生的にするために使用される。
【0040】
図4は、本開示の実施例による航空機の内部キャビン300の内装を示す斜視図である。内部キャビン300は、天井304に繋がる外側壁302を含む。外側壁302には、例えば窓306が設けられている。床308は、複数列の座席310を支持する。
図4に示すように、1つの列312は、通路313の両側に2つの座席310を含む。ただし、一列312あたりの座席310の数は、図示よりも多くても、少なくてもよい。加えて、内部キャビン300は、図示よりも多くの通路を含んでいてもよい。
【0041】
乗客サービスユニット(PSU)314は、通路313両側の外側壁302と天井304との間に固定されている。PSU314は、内部キャビン300の前端から後端までの間に複数設けられている。例えば、PSU314は、一列312における各座席310の上方に1つずつ設けられている。各PSU314は、ハウジング316を含み、当該ハウジングには、一列312の各座席310(又は複数の座席の組)の上方に、通気口、読書灯、酸素ボンベ落下パネル、乗務員呼び出しボタン、及びその他の制御機構が収容されている。
【0042】
頭上収納棚アセンブリ318は、通路313の両側において、PSU314より上方且つ内側に位置する天井304及び/又は外側壁302に固定されている。頭上収納棚アセンブリ318は、座席310の上方に固定されている。頭上収納棚アセンブリ318は、内部キャビン300の前端から後端までの間に複数設けられている。各収納棚アセンブリ318は、ストロングバック(strongback)に枢動可能に固定された枢動式のボックス又は容器320を含む。頭上収納棚アセンブリ318は、例えば、PSU314の下面よりも上方且つ内側に配置されている。頭上収納棚アセンブリ318は、枢動式に開くように構成されており、乗客の手荷物や所持品を入れることができる。
【0043】
本明細書において用いられる「外側」なる用語は、他のコンポーネントと比較して、内部キャビン300の中央長手方向面322から遠い側を意味する。また、「内側」なる用語は、他のコンポーネントと比較して、内部キャビン300の中央長手方向面322に近い側を意味する。例えば、PSU314の下面は、収納棚アセンブリ318に対して外側に位置する。
【0044】
図1に示す殺菌システム100は、例えば、内部キャビン300内の空間領域、乗客用座席310、内装設備、収納棚アセンブリ、化粧室のコンポーネント、ギャレーの設備及びコンポーネントなど、様々な殺菌ゾーンを殺菌ないし衛生的にするために使用される。
図1の構造物108など、殺菌システム100を移動可能に接続可能な構造物の例としては、座席310、PSU314、PSU314の間に設けられたスペーサーパネル、収納棚アセンブリ318、外側壁302、天井304などが挙げられる。
【0045】
図5は、本開示の実施例による、ビークル402(例えば、民間航空機)の内部キャビン400内の殺菌システム100の側面図である。内部キャビン400は、
図1に示す閉空間102の例である。殺菌システム100は、内部キャビン400内の座席406の上方に位置するスペーサーパネル404に移動可能に接続されている。スペーサーパネル404は、
図1に示す構造物108の例である。
【0046】
少なくとも1つの実施例において、殺菌システム100は、互いに対して移動するよう構成された複数のアームセグメントを含む。これら複数のアームセグメントは、複数のピボットジョイントを介して、互いに対して移動可能に接続されている。本開示に記載のいずれの実施例も、このような複数のアームセグメントを含むことができる。例えば、殺菌システム100に含まれる多関節アーム104は、第1アームセグメント410及び第2アームセグメント412を含む。第1アームセグメント410は、第1ピボットジョイント110aを介して、スペーサーパネル404に移動可能に接続されている。第1アームセグメント410は、第2ピボットジョイント110bを介して、第2アームセグメント412に移動可能に接続されている。多関節アーム104は、第1ピボットジョイント110a及び第2ピボットジョイント110bを中心に枢動、回転、及び/又はその他の移動が可能である。第1ピボットジョイント110a及び第2ピボットジョイント110bは、多関節アーム104が、
図5に示すような展開位置と、多関節アーム104がスペーサーパネル404に設けられた空洞部420の中に退避した収納位置との間で移動することを可能にする。UVランプ106も、例えば、1つ又は複数の軌道(track)を摺動するなどして、第2アームセグメント412に対して矢印Aの方向に移動可能である。任意に、UVランプ106は、第2アームセグメント412に対して固定されていてもよい。
【0047】
多関節アーム104により、殺菌システム100は、UVランプ106を展開位置に移動させて、座席406に座っている個人424の呼吸空間などの殺菌ゾーン114により近づけることができる。
図5に示す様に、ピボットジョイント110a及び110bは、多関節アーム104が関節動作によってX-Z平面に沿って変位することを可能にする。
【0048】
図6は、
図5の内部キャビン内の殺菌システム100の正面図である。スペーサーパネル404は、PSU405に隣接して設けられている。
図5及び
図6を参照すると、ピボットジョイント110a及び110bによる関節動作により、多関節アーム104は、X-Z平面に加えて、Y-Z平面およびX-Y平面に沿った変位も可能である。
【0049】
多関節アーム104に含まれるピボットジョイントは、図示より多くても、少なくてもよい。例えば、多関節アーム104は、スペーサーパネル404に対して単一のピボットジョイントを介して接続された単一のアームセグメントを含む構成でもよい。他の例では、多関節アーム104は、少なくとも3つのピボットジョイントを介して互いに接続された3つのアームセグメントを含む構成でもよい。
【0050】
図1、
図5、及び
図6を参照すると、起動部材124は、座席406の一部分(例えば、アームレスト)、及び/又はPSUの一部分などに接続することができる。任意に、起動部材124を含まない構成のシステムも可能である。
【0051】
図7は、本開示の実施例による、ビークル502の内部キャビン500内の殺菌システム100の側面図である。
図8は、
図7の内部キャビン500内の殺菌システム100の正面図である。
図7及び
図8を参照すると、本実施例では、殺菌システム100が移動可能に接続される構造物は、座席アセンブリ512のヘッドレスト510である。多関節アーム104においては、第1アームセグメント511と第2アームセグメント513が第1ピボットジョイント110aを介して接続されており、これにより、第1アームセグメント511及び第2アームセグメント513は、互いに対して関節的に移動することができる。第2アームセグメント513は、ヘッドレスト510に第2ピボットジョイント及び/又は伸縮式の接続部を介して接続されている。このようにして、多関節アーム104は、
図7に示す展開位置と、殺菌システム100がヘッドレスト510の後方に収納された収納位置と、の間で移動可能である。
【0052】
少なくとも1つの実施例において、殺菌システム100は、例えば、レーザーセンサ、赤外線センサ、超音波センサなどの測距ユニット530をさらに含む。測距ユニット530は、個人540に対する殺菌システム100の適切な距離を検知するよう構成されている。測距ユニット530は、1つ又は複数の有線又は無線接続を介してUVランプ106と通信可能である。少なくとも1つの実施例において、UVランプ106は、所定の適切な距離に関連付けられた個人540から所定の距離にUVランプ106が位置することを示す信号を測距ユニット530から受け取ると、UV光を放射するよう構成されている。測距ユニット530は、本明細書に記載のいずれの実施例においても使用することができる。任意に、殺菌システム100は、測距ユニット530を含まない構成でもよい。
【0053】
殺菌システム100は、例えば、ヘッドレスト510の側面部分やアームレスト514など、座席アセンブリ512の他の一部分に移動可能に固定することができる。さらに、多関節アーム104に含まれるアームセグメントは、図示より多くても、少なくてもよい。
【0054】
図1、
図7、及び
図8を参照すると、起動部材124は、座席アセンブリ512の一部分(例えば、アームレスト)、PSUの一部分などに接続することができる。任意に、起動部材124を含まない構成のシステムも可能である。
【0055】
図9は、本開示の実施例によるビークル602の内部キャビン600内の殺菌システム100の側面図である。
図10は、
図9の内部キャビン600における殺菌システム100の正面図である。
図9及び
図10を参照すると、殺菌システム100は、PSU604又はそれに接続されたスペーサーパネルに移動可能に接続されている。多関節アーム104に含まれるアームセグメントは、図示より多くても、少なくてもよい。
【0056】
図1、
図9、及び
図10を参照すると、起動部材124は、座席の一部分(例えば、アームレスト)、PSUの一部分などに接続することができる。任意に、起動部材124を含まない構成のシステムも可能である。
【0057】
図11は、本開示の実施例によるビークル702の内部キャビン700内の殺菌システム100の正面図である。本実施例では、殺菌システム100は、PSU706や、当該PSUに接続されたスペーサーパネルなどの構造物に接続される支持バー704を含む。支持バー704は、構造物に固定されてもよいし、1つ又は複数のピボットジョイントなどを介して移動可能に接続されてもよい。本明細書に記載したような複数の多関節アーム104a、104b、及び104cは、1つ又は複数のピボットジョイントなどを介して、支持バー704に移動可能に接続されている。多関節アーム104a、104b、及び104cは、UVランプ116a、116b、及び116cにそれぞれ接続されている。支持バー704及び多関節アーム104a~104Cを移動させることで、UVランプ116a~116cのそれぞれを、座席706a、706b、及び706cの上方に位置させることができる。なお、支持バー704に接続される多関節アーム及びUVランプは、さらに多くても、少なくてもよい。
【0058】
図1及び
図11を参照すると、起動部材124は、座席の一部分(例えば、アームレスト)、PSUの一部分などに接続することができる。また、起動部材124を含まない構成のシステムも可能である。
【0059】
図12は、本開示の実施例による、座席802のヘッドレスト800に固定された殺菌システム100の側面図である。
図13は、
図12の殺菌システム100の正面図である。殺菌システム100に含まれる多関節アーム104は、ヘッドレスト800の側面806にピボットジョイント110を介して枢動可能に接続されており、これにより多関節アーム104が枢動して、
図12及び
図13に示す様に、殺菌システム100の本体部810が座席802に座っている個人814の頭部812の側方に位置する展開位置と、当該本体部810が座席と座席の間、及び/又は、座席の側面後方などに位置する収納位置との間で移動可能である。
【0060】
少なくとも1つの実施例において、本体部810は、個人814の呼吸空間などの殺菌ゾーン114にUV光を放射するよう構成されたUVランプ106を含む。任意に、UVランプ106は、本体部810に埋設されており、本体部810の中を流れて殺菌ゾーン114に供給される空気流にUV光を放射する構成でもよい。このように、UVランプ106は、殺菌ゾーン114にUV光を直接放射するのではなく、本体部810内の空気路に放射する。また、本体部810の中に内部ファン830が設けられており、本体部810に設けられた吹出し口832から殺菌済みの空気流を送出する構成でもよい。少なくとも1つの実施例において、殺菌システム100は、殺菌ゾーン114にUV光を放射するよう構成された第1UVランプ106aに加えて、本体部810に埋設された第2UVランプ106bであって、当該本体部810の中を流れる空気流にUV光を放射するよう構成された第2UVランプを含む。少なくとも1つの実施例において、殺菌システム100は、UVランプ106a又はUVランプ106bのうちの1つを含む。
【0061】
図1、
図12、及び
図13を参照すると、起動部材124は、座席の一部分(例えば、アームレスト)、PSUの一部分などに接続することができる。任意に、起動部材124を含まない構成のシステムも可能である。
【0062】
図14は、本開示の実施例による殺菌方法のフローチャートである。
図1及び
図14を参照すると、閉空間102用の殺菌方法は、900において、閉空間102内の構造物108に多関節アーム104を移動可能に接続することと、902において、閉空間102内の殺菌ゾーン114に向けてUV光120を放射するよう構成されたUVランプ106を、多関節アーム104に接続することと、904において、多関節アーム104を介して、UVランプ106を殺菌ゾーン114に対して移動させることと、を含む。少なくとも1つの実施例において、904の移動は、UVランプ106を収納位置と展開位置の間で移動させることを含む。
【0063】
少なくとも1つの実施例において、閉空間102は、ビークルの内部キャビンである。さらに他の実施例では、構造物108は、内部キャビン内のスペーサーパネル、乗客サービスユニット(PSU)、座席の一部分、又は、頭上収納棚アセンブリのうちの1つ又は複数である。
【0064】
さらに、本開示は、以下の付記による実施例も含む。
【0065】
付記1. 閉空間用の殺菌システムであって、
前記閉空間内の構造物に移動可能に接続された多関節アームと、
前記多関節アームに接続されているとともに、前記閉空間内の殺菌ゾーンに向けて紫外線(UV)光を放射するよう構成されたUVランプと、を備え、
前記多関節アームは、前記UVランプが前記殺菌ゾーンに対して移動することを可能にする構成とされている、殺菌システム。
【0066】
付記2. 前記多関節アームは、1つ又は複数のピボットジョイントを含む、付記1に記載の殺菌システム。
【0067】
付記3. 前記1つ又は複数のピボットジョイントに接続された1つ又は複数のダンパーをさらに備える、付記2に記載の殺菌システム。
【0068】
付記4. 前記多関節アームは、前記UVランプが収納位置と展開位置との間で移動することを可能にする、付記1~3のいずれかに記載の殺菌システム。
【0069】
付記5. 前記構造物と前記多関節アームに接続されたラッチをさらに備え、前記ラッチは、ロック位置とロック解除位置の間で選択的に移動可能である、付記1~4のいずれかに記載の殺菌システム。
【0070】
付記6. 前記ラッチを制御するよう構成された起動部材をさらに備える、付記5に記載の殺菌システム。
【0071】
付記7. 前記閉空間は、ビークルの内部キャビンである、付記1~6のいずれかに記載の殺菌システム。
【0072】
付記8. 前記構造物は、前記内部キャビン内のスペーサーパネルである、付記7に記載の殺菌システム。
【0073】
付記9. 前記スペーサーパネルは、空洞部を含み、前記多関節アームの少なくとも一部分は、収納位置において前記空洞部に収容される、付記8に記載の殺菌システム。
【0074】
付記10. 前記構造物は、前記内部キャビン内の乗客サービスユニット(PSU)である、付記7に記載の殺菌システム。
【0075】
付記11. 前記構造物は、前記内部キャビン内の座席の一部分である、付記7に記載の殺菌システム。
【0076】
付記12. 前記座席の一部分は、ヘッドレストである、付記11に記載の殺菌システム。
【0077】
付記13. 前記UVランプは、前記座席に座っている個人の呼吸空間を含む前記殺菌ゾーンにUV光を放射するよう構成されている、付記12に記載の殺菌システム。
【0078】
付記14. 前記UVランプは、本体部に埋設されており、前記UVランプは、前記本体部の中を流れる空気流にUV光を放射するよう構成されている、付記12に記載の殺菌システム。
【0079】
付記15. 前記多関節アームは、互いに対して移動するよう構成された複数のアームセグメントを含む、付記1~14のいずれかに記載の殺菌システム。
【0080】
付記16. 前記複数のアームセグメント間に複数のピボットジョイントをさらに備える、付記1~15のいずれかに記載の殺菌システム。
【0081】
付記17. 前記UVランプは、前記多関節アームに対して移動可能である、付記1~16のいずれかに記載の殺菌システム。
【0082】
付記18. 測距ユニットをさらに備える、付記1~17のいずれかに記載の殺菌システム。
【0083】
付記19. 前記多関節アームが移動可能に接続された支持バーをさらに備える、付記1~18のいずれかに記載の殺菌システム。
【0084】
付記20. 前記支持バーは、前記構造物に移動可能に接続されている、付記19に記載の殺菌システム。
【0085】
付記21. 前記支持バーに移動可能に接続された少なくとも1つの付加的な多関節アームと、
前記少なくとも1つの付加的な多関節アームに接続された少なくとも1つの付加的なUVランプと、をさらに備える、付記19に記載の殺菌システム。
【0086】
付記22. 閉空間用の殺菌方法であって、
前記閉空間内の構造物に多関節アームを移動可能に接続することと、
前記閉空間内の殺菌ゾーンに向けて紫外線(UV)光を放射するよう構成されたUVランプを、前記多関節アームに接続することと、
前記多関節アームを介して、前記UVランプを前記殺菌ゾーンに対して移動させることと、を含む殺菌方法。
【0087】
付記23. 前記移動させることは、前記UVランプを収納位置と展開位置の間で移動させることを含む、付記22に記載の殺菌方法。
【0088】
付記24. 前記閉空間は、ビークルの内部キャビンである、付記22又は23に記載の殺菌方法。
【0089】
付記25. 前記構造物は、前記内部キャビン内のスペーサーパネル、乗客サービスユニット(PSU)、座席の一部分、又は、頭上収納棚アセンブリのうちの1つ又は複数である、付記24に記載の殺菌方法。
【0090】
付記26. 閉空間であって、
構造物と、
前記構造物に移動可能に接続された殺菌システムと、を備え、前記殺菌システムは、
前記閉空間内の構造物に移動可能に接続された多関節アームと、
前記多関節アームに接続されているとともに、前記閉空間内の殺菌ゾーンに向けて紫外線(UV)光を放射するよう構成されたUVランプと、を含み、
前記多関節アームは、前記UVランプが前記殺菌ゾーンに対して移動することを可能にする構成とされている、閉空間。
【0091】
付記27. 前記閉空間は、ビークルの内部キャビンである、付記26に記載の閉空間。
【0092】
付記28. 前記構造物は、前記内部キャビン内のスペーサーパネルである、付記27に記載の閉空間。
【0093】
付記29. 前記構造物は、前記内部キャビン内の乗客サービスユニット(PSU)である、付記27に記載の閉空間。
【0094】
付記30. 前記構造物は、前記内部キャビン内の座席の一部分である、付記27に記載の閉空間。
【0095】
付記31. 前記一部分は、前記座席のヘッドレストである、付記30に記載の閉空間。
【0096】
本明細書に記載したように、本開示は、殺菌対象の領域や空間などに対して、迅速かつ容易に配置可能なUV光殺菌システム及び方法を提供する。さらに、本開示の実施例は、ビークルの内部キャビンなどの限られた空間内に移動可能に固定することができるUV光殺菌システム及び方法を提供する。また、本開示の実施例は、殺菌ゾーンの近傍にUVランプを移動できることにより、使用電力を低減可能なUV光殺菌システム及び方法を提供する。
【0097】
本開示の実施例の説明において、上、底、下、中央、側方、水平、垂直、前など、空間及び方角に関する様々な用語を用いる場合があるが、これらの用語は図面に示した向きについて用いているに過ぎない。これらの向きは、反転、回転、又は他の方法で、上部が下部に、又はその逆になるように、或いは、水平方向が垂直方向に、又はその逆になるように変更可能である。
【0098】
本明細書において、ある処理や動作を実行する「よう構成された」構造、限定事項、又は要素は、当該処理や動作に対応するように具体的に構造的な形成、構成、又は適合化がなされたものである。明瞭化のため、また疑義を避けるために付言すると、当該処理や動作を実行するように単に改変可能であるに過ぎないものは、ここでいう、処理や動作を実行するように「構成された」ものには該当しない。
【0099】
上述した説明は、例示的なものであり、限定を意図するものではない。例えば、上述の実施例(及び/又はその態様)は、互いに組み合わせて用いることができる。加えて、様々な実施例の範囲を逸脱することなく、そのような実施例の教示に特定の状況や材料を適合させる多くの変形が可能である。本明細書で説明した寸法や材料の種類は、本開示の様々な実施例のパラメータを定義することを意図するものではあるが、これらの実施例は、なんら限定を課すものではなく、あくまでも例示に過ぎない。当業者が上述の説明を検討すれば、他にも多くの実施形態が明らかであろう。したがって、本開示の様々な実施例の範囲は、添付の請求の範囲、並びに、これら請求の範囲に認められる均等範囲を参照することで決定されるべきである。添付の請求の範囲、及び、詳細な説明における「含み(including)」及び「において(in which)」などの用語は、それぞれ、「備える/有する(comprising)」及び「であって(wherein)」と意味を同じくする通常の表現として用いられている。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単なる区別のための標識として用いられており、これらにより言及される対象に数的な要件を課すものではない。
【0100】
本明細書の記載は、ベストモードを含む様々な実施例を、例示を用いて開示するとともに、任意の装置又はシステムの作製及び使用、並びに、組み入れられた方法の実行を含む本開示の様々な実施例を当業者にとって実施可能にするためのものである。本開示の様々な実施例について特許可能な範囲は、請求項によって定義されるとともに、当業者が想定しうる他の実施例も含むことができる。そのような他の実施例は、それらが、特許請求の範囲の文言と相違のない構成要素を有する場合、又は、特許請求の範囲の文言に対して非本質的な相違を有するだけの均等の構成要素を含む場合、特許請求の範囲に包含されると考えられるべきである。
【外国語明細書】