(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188769
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】喫煙具用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20221214BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20221214BHJP
A24F 40/485 20200101ALI20221214BHJP
【FI】
A24D1/20
A24F40/42
A24F40/485
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093900
(22)【出願日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2022077577
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021096851
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍志
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA21
4B045AA50
4B045AB11
4B045AB16
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC06
4B162AC14
4B162AC41
4B162AC50
(57)【要約】
【課題】誘導加熱式の喫煙具に用いられる喫煙具用カートリッジにおいて、エアロゾル形成基材の加熱ムラを抑制する。
【解決手段】被加熱体(20)と、被加熱体の長手方向における一端側に配置されるマウスピース(30)と、を備え、誘導加熱式の喫煙具(70)に装着されて使用される喫煙具用カートリッジ(1)であって、記被加熱体は、複数のエアロゾル形成基材(23)と、複数のエアロゾル形成基材を収容する収容体(25)と、を有し、収容体は、通気性を有すると共に磁性体を含む金属材料から成る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱体と、前記被加熱体の長手方向における一端側に配置されるマウスピースと、を備え、誘導加熱式の喫煙具に装着されて使用される喫煙具用カートリッジであって、
前記被加熱体は、複数のエアロゾル形成基材と、前記複数のエアロゾル形成基材を収容する収容体と、を有し、
前記収容体は、通気性を有すると共に磁性体を含む金属材料から成るか、または磁性体から成るサセプタを含んだ紙によって構成されることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記収容体は、
網目状に形成されると共に、
一端側に第1開口が形成され、他端側に第1底部が形成された第1収容部と、
一端側に第2開口が形成され、他端側に第2底部が形成された第2収容部と、
を備えたカプセル構造であることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項3】
請求項1に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記収容体は、筒状部と、前記筒状部の一端側を覆う第1蓋部と、前記筒状部の他端側を覆う第2蓋部と、を有し、
前記第1蓋部および前記第2蓋部にはそれぞれ、貫通孔が形成されていることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項4】
請求項1に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記収容体は、筒状部と、前記マウスピースと反対側である前記筒状部の一端側に形成された底部と、前記筒状部の他端側に形成された開口と、を有し、
前記底部には、通気孔が形成されていることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項5】
請求項2に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記第1底部と前記第2底部のうち前記マウスピースと反対側に配置される方には、通電により発熱する加熱体を挿入可能とするスリットが形成されていることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項6】
請求項3に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記第1蓋部と前記第2蓋部のうち前記マウスピースと反対側に配置される方には、通電により発熱する加熱体を挿入可能とするスリットが前記貫通孔とは別個に形成されていることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項7】
請求項4に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記底部には、通電により発熱する加熱体を挿入可能とするスリットが前記通気孔とは別個に形成されていることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記磁性体は、強磁性体であることを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙具用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火炎を用いることなく、タバコの成分を含むタバコカートリッジを加熱して、気化したタバコ成分を吸引する方式のタバコ製品が広く知られている。また、嗜好の多様化から、タバコ成分を含まない植物の芳香や味わいを、タバコ同様に火炎を用いずに楽しむためのカートリッジも知られ始めている。このようなカートリッジ等は、加熱式の喫煙具に装着されることで使用される。
【0003】
加熱式の喫煙具として、例えばブレード加熱式のものや誘導加熱式のものが知られている。誘導加熱式の喫煙具に用いられるカートリッジの構成として、例えば特許文献1が公知である。特許文献1に記載のタバコ製品では、エアロゾル形成体と、サセプタ粒子と、を含有するタバコシート(エアロゾル形成基材)が棒状に折り畳まれた状態でラッパーによって包まれている。このタバコ製品が誘導加熱式の喫煙具に装着され、スイッチがオンされると、喫煙具に内蔵されたコイルに交流電流が流れることにより、交流磁界が発生する。これにより、サセプタ粒子に誘導電流が流れてサセプタ粒子が誘導加熱される。そして、サセプタ粒子からエアロゾル形成体に熱が伝達されることで、エアロゾル形成体が加熱されてエアロゾルが生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のタバコ製品では、タバコシートが上記のようにして加熱されると、その中央領域の加熱温度が、中央領域から径方向の外側に広がる中間領域や周辺領域の加熱温度よりも高くなってしまい、加熱ムラが生じてしまう。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、その目的は、誘導加熱式の喫煙具に用いられる喫煙具用カートリッジにおいて、エアロゾル形成基材の加熱ムラを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、被加熱体と、前記被加熱体の長手方向における一端側に配置されるマウスピースと、を備え、誘導加熱式の喫煙具に装着されて使用される喫煙具用カートリッジであって、前記被加熱体は、複数のエアロゾル形成基材と、前記複数のエアロゾル形成基材を収容する収容体と、を有し、前記収容体は、通気性を有すると共に磁性体を含む金属材料から成るか、または磁性体から成るサセプタを含んだ紙によって構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エアロゾル形成基材の加熱ムラを抑制できる。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
【
図3】
図1に示す喫煙具用カートリッジに設けられた収容体の分解斜視図。
【
図4】
図1に示す喫煙具用カートリッジが誘導加熱式の喫煙器具に装着されたときの模式図。
【
図5】第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
【
図6】
図5に示す喫煙具用カートリッジに設けられた収容体の斜視図。
【
図7】
図5に示す喫煙具用カートリッジが誘導加熱式の喫煙器具に装着されたときの模式図。
【
図8】第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
【
図9】
図8に示す喫煙具用カートリッジに設けられた収容体の斜視図。
【
図10】
図8に示す喫煙具用カートリッジが誘導加熱式の喫煙器具に装着されたときの模式図。
【
図11】第3実施形態の変形例に係る喫煙具用カートリッジの断面図
【
図12】
図11に示す喫煙具用カートリッジに設けられた斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジの断面図、
図2は
図1のII-II線断面図、
図3は喫煙具用カートリッジに設けられる収容体の分解斜視図である。
【0012】
図1および
図2に示すように、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1は、被加熱体20と、マウスピース30と、外装部材40と、を備える。被加熱体20は、カプセル構造を有しており、喫煙具用カートリッジ1の中心軸Cに沿って配置される。マウスピース30は、被加熱体20の長手方向における一端側に被加熱体20と所定間隔を存して配置される。外装部材40は、例えば紙から成るシート状の部材であり、被加熱体20およびマウスピース30を包んで一体化する。
【0013】
ここで、
図1に示す喫煙具用カートリッジ1は、例えば、直径が6.5~7.5mm、長さが40~60mmに形成される。勿論、喫煙具用カートリッジ1は、これ以外の寸法で形成されても良い。
【0014】
被加熱体20は、粒状に形成された複数のエアロゾル形成基材23を収容体25内に封入したカプセル27で構成されている。
図3に示すように、収容体25は、第1収容部25aと、第2収容部25bと、を有する。第1収容部25aは、一端側に第1開口250aが形成され、他端側に半球状の第1底部251aが形成されている。同様に、第2収容部25bも、一端側に第2開口250bが形成され、他端側に半球状の第2底部251bが形成されている。第1収容部25aおよび第2収容部25bの少なくとも一方に複数のエアロゾル形成基材23を収容した後に、第1収容部25aと第2収容部25bの開口端部同士を嵌め合わせて一体化することで、カプセル27が作製される。
【0015】
収容体25は網目状に形成されており、その網目の大きさはエアロゾル形成基材23の粒径(例えば0.1mm~3.0mm)よりも小さい。これにより、粒状のエアロゾル形成基材23が、網目から零れたり、網目に詰まらないようになっている。そして、収容体25は網目が多数設けられることによって、通気性が確保されている。
【0016】
図2に示すように、収容体25は、磁性体を含む金属材料から成る。磁性体は、強磁性体、常磁性体、反磁性体に大別される。強磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁気を強く帯び、外部磁界をゼロにしても強い磁気が残る材料であり、例えば鉄、ニッケル、コバルト、およびフェライト系ステンレス等が挙げられる。強磁性体の比透磁率は、1よりも極めて大きく、例えば、鉄であれば5000程度であり、ニッケルであれば600程度であり、コバルトであれば250程度であり、フェライト系ステンレスであれば1000~1800程度である。
【0017】
一方、常磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁気を弱く帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えばアルミニウム、白金、マンガン、およびクロム等が挙げられる。常磁性体の比透磁率は1よりもわずかに大きく、例えば、アルミニウムであれば1.000021程度であり、白金であれば1.000265程度であり、マンガンであれば1.000830程度である。また、反磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と反対方向の磁気を弱く帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えば銅、グラファイトおよびビスマス等が挙げられる。反磁性体の比透磁率は、1よりもわずかに小さく、例えば、銅であれば0.999990程度であり、グラファイトであれば0.99980程度であり、ビスマスであれば0.999834程度である。
【0018】
強磁性体は、交流磁界が発生すると、誘導電流が流れてジュール熱が発生するだけでなく、分子同士の摩擦や振動によって熱(ヒステリシス損失)が発生するため、常磁性体や反磁性体に比べて容易に誘導加熱でき、エアロゾル形成基材23を十分に加熱できる。
【0019】
また、強磁性体は、キュリー温度が高く、例えば、ニッケルであれば358℃程度である。そのため、喫煙具用カートリッジ1を例えば200℃の高温で加熱する際にも、加熱温度がキュリー温度に達することはなく、強磁性体として性質を維持でき、エアロゾル形成基材23を安定して加熱できる。そのため、本実施形態では、第1収容部25aおよび第2収容部25bは、ニッケルから成る線材を用意して、その線材を編むことにより形成される。つまり、収容体25は、強磁性体であるニッケルを100%含む金属材料によって構成されている。
【0020】
線材として、ニッケルの他に、上述した鉄、コバルト、フェライト系ステンレス、またはこれらを組み合わせた金属材料を採用しても良い。また、収容体25は、強磁性体を主成分として含む金属材料によって構成されても良く、例えば強磁性体を、60%以上、好ましくは80%以上含む合金を採用しても良い。この場合でも、強磁性体が誘導加熱されることで、エアロゾル形成基材23を十分に加熱できる。なお、強磁性体の代わりに、常磁性体および反磁性体を含む金属材料を用いても良い。この場合でも誘導加熱自体は可能である。ただし、加熱時間の短縮化や消費電力の低減の観点から強磁性体を含む金属材料を用いる方が好ましい。
【0021】
図1に示すように、被加熱体20の軸方向の一端部は、マウスピース30と所定間隔を存して対向している。被加熱体20の一端部と反対側の他端部は、蓋部材(例えば紙)により覆われておらず、カプセル27が露出している。なお、カプセル27は、その表面が外装部材40と接着剤によって接着されており、中心軸C上に沿って移動しないようになっている。
【0022】
複数のエアロゾル形成基材23は、タバコ植物または非タバコ植物を原料とする多数の粒状の部材から成る。エアロゾル形成基材23の原料については後述する。
【0023】
マウスピース30は、喫煙具用カートリッジ1の吸口を構成する部分であり、例えば紙等を用いて形成される。また、マウスピース30は、微粒子を取り除くセルロースアセテートフィルタ等を含んでいても良い。被加熱体20で生成された水蒸気やエアロゾル中の微粒子の一部は、このマウスピース30のフィルタによってろ過される。
【0024】
なお、被加熱体20とマウスピース30との間には、エアロゾル形成基材23が加熱されることで生成されたエアロゾルをマウスピース30に移送させるための移送空間SPが形成されている。エアロゾルを移送空間SPに通すことで、エアロゾルを冷却可能となる。また、移送空間SPの長手方向の長さは、カプセル27の長手方向の長さの略半分以下である。カプセル27は収容体25の網目によって通気性が良好となっているので、移送空間SPはこの程度の大きさでも十分にエアロゾルの冷却効果を発揮できる。また、喫煙具用カートリッジ1には、支持部材が設けられないため、移送空間SPをこの程度の大きさ以下とすることで喫煙具用カートリッジ1の強度を保持できる。ただし、上記構成に限定されることなく、移送空間SPの大きさは、例えば喫煙具用カートリッジ1が使用される喫煙具に応じて、適宜変更可能である。
【0025】
次に、エアロゾル形成基材23として用いられる原料であるタバコ植物または非タバコ植物の具体例について説明する。エアロゾル形成基材23は、以下に示す原料のうち任意の1つまたは複数の組み合わせで構成される。
【0026】
タバコ植物としては、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコ、均質化タバコ等が挙げられる。非タバコ植物としては、タバコ植物以外の植物が挙げられる。非タバコ植物の好ましい部位としては、葉、果肉、種子、根(鱗根、塊根等)、茎、塊茎、皮(茎皮、樹皮等)、花(花弁、雄蕊、雌蕊等)、幹、枝等が挙げられる。
【0027】
なお、本明細書でいう「植物」とは動物に対する一群を意味し、草および木等のように、根があって場所が固定されて生きているような生物以外に、微細藻類および海藻等のような藻類、キノコ等の菌類等をも含む。
【0028】
エアロゾル形成基材23は、例えば、乾燥・粉砕された非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマ、微結晶セルロース、風味を追加する添加剤、保存料、結着剤または増粘剤等を適宜混合し、粉砕若しくは分級して粒状または粉状にしたり、シート状に成形した上で、所定の幅および長さを有するように切断して短冊状とされる。
【0029】
例えば、非タバコ植物の部位が葉である場合は、好ましくは茶類を使用できる。茶類は茶になる植物が異なるだけでな<、同じ植物であっても加工法によって異なるお茶になる。具体的には、たとえば、日本茶、紅茶、明日葉茶、甘茶、アマチャヅル茶、アロエ茶、イチョウ葉茶、ウーロン茶、ウコン茶、ウラジロガシ茶、エゾウコギ茶、オオバコ茶、カキオドシ茶、柿の葉茶、カミツレ茶、カモミールティ、河原決明茶、カリン茶、菊花茶、ギムネマ茶、グァバ茶、クコ茶、柔の葉茶、黒豆茶、ゲンノショウコ茶、玄米茶、ゴボウ茶、コンフリー茶、毘布茶、桜茶、サフラン茶、シイタケ茶、シソ茶、ジャスミン茶、しょうが茶、スギナ茶、セキショウ茶、センブリ茶、ソバ茶、タラノキ茶、タンポポ茶、甜茶、ドクダミ茶、杜仲茶、ナタマメ茶、ニワトコ茶、ネズミモチ茶、ハトムギ茶、ハブ茶、ビワの葉茶、プーアル茶、紅花茶、松葉茶、マテ茶、麦茶、メグスリノキ茶、ヨモギ茶、ユーカリ茶、羅漢果茶、ルイボスティ、ゴーヤ茶などが挙げられる。これらお茶については飲用後の茶殻を使用しても良い。茶殻などを使用すれば高価なお茶などを再利用して有効活用できる。
【0030】
さらに、上記に例示した非タバコ植物の抽出物、所謂エキスや加工品も使用することができる。抽出物の形態としては、液体、水あめ状、粉末、顆粒、溶液等が挙げられる。
【0031】
エアロゾル形成基材23の原料としてのエアロゾルフォーマは、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン(グリセリンジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカンジオン酸ジメチル、テトラデカンサンジオン酸ジメチルなどが挙げられる。なかでも、グリセリン、プロピレングリコールが好ましい。
【0032】
エアロゾル形成基材23の原料としての微結晶セルロースとは、例えば、繊維性植物のパルプから得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合したものとして得られるものであり、セルロースから可溶性部分を取り除き、適宜、不溶性部分を結晶化したものである。
【0033】
微結晶セルロースは、粉体のままでも良いし、水などの溶媒に分散させて懸燭液でも良い。この場合、溶媒ヘの分散は、高速攪拌機や高圧ホモジナイザーなどが使用できる。
【0034】
さらに、必要に応じエアロゾル形成基材23の原料として風味を追加する風味添加剤も好ましく用いられる。風味添加剤としては、はっか、ココア、コーヒー、紅茶のエキス、茶抽出物のカテキンの粉末等が挙げられる。保存料としては食品に使用されるものが好ましく、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0035】
エアロゾル形成基材23に、メントールおよび非水溶性架橋ポリマー(好ましくはポリビニルポリピロリドン)を含有させても良い。メントールに非水溶性架橋ポリマーを組み合わせることで、メントールの昇華を効果的に抑制でき、メントールの風味を長期間保つことができる。ここで、メントールとは、天然物から得られたものに限られず、合成物でも良い。また、はっか、ミント、ハッカ油、その他のメントールを含むものを使用しても良い。
【0036】
風味添加剤は、例えば、マウスピース30の壁部に含浸させることによってマウスピース30に設けられている。風味添加剤がマウスピース30に設けられている態様は、このような態様に限られず、例えば、当該風味添加剤が封入されているカプセルをマウスピース30の壁部に埋設することによって、マウスピース30に風味添加剤が設けられているようにしても良い。または、マウスピース30と被加熱体20との間に風味添加剤が配置されるようにしても良い。風味添加剤がカプセルに封入されている場合、喫煙者は、カプセルを指で押圧することにより、カプセルを破壊することができ、所望のタイミングで風味添加剤の芳香成分を揮発させることが可能となる。
【0037】
さらに、風味添加剤は、例えば、マイクロカプセルに封入されている場合、封入されて
いるマイクロカプセルを被加熱体20に設けても良い。
【0038】
エアロゾル形成基材23の原料としての結着剤または増粘剤としては、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどのゴム、例えばヒドロキシプロピルセルレロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース結合剤、例えばデンプン、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラナギン、寒天およびペクチンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
(エアロゾル形成基材の製造方法)
既述のエアロゾル形成基材23の製造方法について、各工程に分けて説明する。エアロゾル形成基材23の製造工程は、主原料となるタバコ植物または非タバコ植物を乾燥・粉砕し、秤量等を行う乾燥・粉砕工程と、その他の原料の前処理、秤量等を行う準備工程と、原料を混合して組成物とする混合工程と、組成物を成形する充填物成形工程と、を有する。
【0040】
乾燥・粉砕工程では、主原料となるタバコ植物または非タバコ植物の使用部位(例えば、葉、種子、乾燥果実、茎、樹皮、根など)を組成物とするため、所定の粉砕物に加工する。その際、後に添加するエアロゾルフォーマ、水その他の成分を吸収あるいは担持するのに都合の良い水分量に調整することが好ましい。乾燥において、温度は60℃以上80℃以下が好ましい。この範囲とすることで、必要とする香味成分の散逸を避けながら、所望の水分量に到達させやすい。さらに、乾燥・粉砕工程には、粉砕物を篩分けする篩工程を設けることもでき、所望の粒度に調整して混合工程に投入することができる。
【0041】
準備工程においては、エアロゾル形成基材23を作製するにあたり必要な原料を準備することができる。なお、前述の微結晶セルロースは、準備工程において秤量され、混合工
程に投入される。
【0042】
混合工程においては、通常の混合機を使用することができる。例えば、混合槽中の原料を撹拌羽根にて、剪断力を加えつつ混合するような形態が好ましく用いられる。
【0043】
充填物成形工程では、各種原料が混合された組成物を適宜粉砕または分級することで粒状のエアロゾル形成基材23が形成される。粒状のエアロゾル形成基材23の平均粒径は、例えば0.1mm~3.0mmの範囲内が好ましく、0.5mm~0.7mmの範囲内がさらに好ましい。こうすれば、エアロゾル形成基材23の喫味成分を保持できるとともに、粒状のエアロゾル形成基材23が、収容体25の網目から零れたり、網目に詰まることを防止できる。なお、上記したエアロゾル形成基材の平均粒径は、例えばJIS K 0069-1992に記載された「化学製品のふるい分け試験方法」によって求められる。つまり、この平均粒径は、複数のふるいによる試験結果について、目開きの大きい方から質量の積算を行い、その質量50%に相当する径をいう。また、レーザ回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を平均粒径としても良い。
【0044】
充填物成形工程では、組成物を加圧によりオリフィスを通過させて成形するなど、他の手段を用いても良い。また、充填物成形工程では、必要に応じて、非タバコ植物、エアロゾルフォーマ、結着剤または増粘剤等、風味添加剤、保存料をさらに添加しても良いし、水などを添加しても良い。
【0045】
充填物成形工程で得られるシートの厚さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。得られたシートは、カッター、回転刃方式のロータリーカッター等により、所定の幅に切断される。
【0046】
(被加熱体の製造方法)
次に、上記工程により作製されたエアロゾル形成基材23を収容体25に収容する。この際に、第1収容部25aおよび第2収容部25bの少なくとも一方に複数のエアロゾル形成基材23を収容した後に、第1収容部25aと第2収容部25bの開口端部同士を嵌め合わせて一体化する。これにより、被加熱体20(カプセル27)が完成する。
【0047】
(喫煙具用カートリッジの使用方法)
次に、喫煙具用カートリッジ1の使用方法について
図4を参照して説明する。
図4は、喫煙具用カートリッジ1を喫煙具70に挿入した状態の断面図である。
【0048】
図4に示すように、喫煙具用カートリッジ1は、誘導加熱式の喫煙具70に装着されて使用される。喫煙具70は、喫煙具用カートリッジ1を挿入するための挿入部71と、挿入部71の周りに円筒状に巻回するように内蔵されたコイル72と、コイル72に交流電流を流すよう制御するCPUを含む回路基板(不図示)と、を有する。喫煙具用カートリッジ1が挿入部71に挿入されると、被加熱体20(カプセル27)はコイル72の内側に配置された状態となる。この状態で、喫煙具70のスイッチがオンされると、CPUによる制御によってコイル72に交流電流が流れ、カプセル27を貫くように交流磁界が発生する。これにより、カプセル27の磁性体を含む金属材料から成る収容体25に誘導電流が流れることでジュール熱が発生するとともにヒステリシス損失によって熱が発生するため、収容体25が誘導加熱されて発熱する。これにより、収容体25から各エアロゾル形成基材23に熱伝達されることにより、各エアロゾル形成基材23が加熱されてエアロゾルが生成される。この際に、複数のエアロゾル形成基材23は収容体25によって全体を覆われているため、収容体25から伝達される熱がこれらエアロゾル形成基材23全体に満遍なく伝達される。この状態で喫煙者がマウスピース30をくわえて吸引すると、エアロゾルがマウスピース30に流れて、喫煙者の口内へと流入される。
【0049】
このように構成された第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1によれば、以下の効
果を奏することができる。
【0050】
複数のエアロゾル形成基材23を収容した収容体25が、通気性を有すると共に磁性体を含む金属材料から成るので、収容体25が誘導加熱されて発熱すると、その熱が収容体25内の複数のエアロゾル形成基材23全体に伝達される。ここで、収容体25は、複数のエアロゾル形成基材23全体を覆うように形成されているため、収容体25の発熱により、複数のエアロゾル形成基材23全体を十分に加熱できるようになっている。よって、エアロゾル形成基材23の加熱ムラを抑制できる。本実施形態では、収容体25が強磁性体であるニッケルから構成されているため、交流磁界が発生すると、収容体25が、誘導電流が流れることで発生するジュール熱だけでなく、ヒステリシス損失で発生する熱によっても加熱されるので、複数のエアロゾル形成基材23全体を満遍なく加熱でき、加熱ムラの抑制に極めて効果的である。
【0051】
また、被加熱体20は、網目状の収容体25により複数のエアロゾル形成基材23を収容したカプセル27で構成されているため、粒状に形成されたエアロゾル形成基材23を容易に収納でき、製造が簡単である。また、粒状のエアロゾル形成基材23が喫煙具用カートリッジ1内で移動することを防止できる。
【0052】
また、収容体25は、ニッケルから成るため、収容体25の材料を容易に入手できる。なお、収容体25は、ニッケルの他に、鉄、コバルト、またはフェライト系ステンレス等(強磁性体)から成る構成でも良い。また、収容体25は、上記複数の金属の組み合わせから成る構成でも良く、例えば鉄とニッケルの合金を採用できる。さらに、収容体25は、強磁性体に限定されず、強磁性体と常磁性体とを組み合わせた構成でも良く、例えば鉄とアルミニウムとクロムの合金を採用できる。この場合、鉄とアルミニウムとクロムの割合は、鉄の割合が最も多くなるようにしたうえで適宜設定することができる。
【0053】
さらに、カプセル27とマウスピース30との間には、移送空間SPが設けられているため、収容体25が誘導加熱されることで生成された高温のエアロゾルを冷却できる。また、エアロゾル形成基材23を支持する支持部材を必要としないため、喫煙具用カートリッジ1の構成を簡単にでき、製造コストを低減できる。
【0054】
(第2実施形態)
図5は第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2の断面図、
図6は喫煙具用カートリッジ2の一方の端部側を示す平面図である。第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2は、収容体25が、略中空円柱状に形成されている点で上記第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1と異なる。
【0055】
図5および
図6に示すように、収容体25は、筒状部25cと、筒状部25cの一端側を覆う第1蓋部25dと、筒状部25cの他端側を覆う第2蓋部25eと、を有する。筒状部25cは、サセプタを含んだ紙から成るシート状の部材であり、このシート状の部材の内側に複数のエアロゾル形成基材23を収容して円筒状に巻いた後に、その両端部を同材料から成る第1蓋部25dおよび第2蓋部25eで封止する。これにより、被加熱体20が作製される。被加熱体20(収容体25の筒状部25c)の外周面は外装部材40に接着される。
【0056】
収容体25は、紙の原料となるセルロースに多数のサセプタを混合させている。本実施形態では、サセプタは、第1実施形態で説明した磁性体を含む金属材料から成り、その形状が粒状に形成されたものである。サセプタの粒径は、概ね200μm~500μmの範囲内である。本実施形態では、サセプタとして強磁性体であるニッケル粒子が用いられる。サセプタとして、ニッケル粒子の他、鉄粒子、コバルト粒子、フェライト系ステンレス粒子等(強磁性体粒子)を採用しても良い。また、サセプタは上記複数の金属から成る合金粒子から成る構成でも良く、例えば鉄とニッケルの合金粒子を採用できる。さらに、サセプタは、強磁性体から成る合金粒子に限定されず、強磁性体と常磁性体とを組み合わせた合金粒子から成る構成でも良く、例えば鉄とアルミニウムとクロムの合金粒子を採用できる。なお、収容体25は、紙の表面に接着剤を介して多数のサセプタを付着させても良い。
【0057】
第1蓋部25dおよび第2蓋部25eにはそれぞれ、複数(本例では8個)の貫通孔26aが形成されている。8個の貫通孔26aは各蓋部25d,25eの外周縁に沿って等間隔で配置されている。これにより、収容体25の通気性が確保されている。
【0058】
第1蓋部25dは、マウスピース30と反対側に配置されており、この第1蓋部25dには、スリット26bが上述した8個の貫通孔26aとは別個に形成されている。スリット26bは、十字状に形成された貫通孔であり、通電により発熱する例えばブレード形状の加熱体を挿入可能とする。
【0059】
(喫煙具用カートリッジの使用方法)
次に、喫煙具用カートリッジ1の使用方法について
図7を参照して説明する。
図7は、
喫煙具用カートリッジ2を喫煙具80に挿入した状態の断面図である。
【0060】
図7に示すように、喫煙具用カートリッジ2は、誘導加熱式の喫煙具80に装着されて使用される。喫煙具80は、挿入部71内にブレード形状の加熱体81が設けられている点を除いて喫煙具70(
図4参照)と同様の構成である。喫煙具用カートリッジ2が挿入部71に挿入されると、収容体25のスリット26bを通って被加熱体20に加熱体81が挿入された状態となる。この状態で喫煙具80のスイッチがオンされると、収容体25に含まれるサセプタが誘導加熱されるとともに、加熱体81が通電により発熱する。これにより、複数のエアロゾル形成基材23が加熱されてエアロゾルが生成される。この際に、サセプタおよび加熱体81からの熱がこれらエアロゾル形成基材23全体に満遍なく伝達される。この状態で喫煙者がマウスピース30をくわえて吸引すると、エアロゾルがマウスピース30に流れて、喫煙者の口内へと流入される。
【0061】
このように構成された第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2によれば、以下の効果を奏することができる。
【0062】
収容体25は磁性体から成るサセプタを含んだ紙によって構成されるので、サセプタが誘導加熱されて発熱すると、その熱が収容体25内の複数のエアロゾル形成基材23全体に伝達される。ここで、収容体25は、複数のエアロゾル形成基材23を内部に収容しているため、収容体25(紙)に含有されたサセプタの発熱により、複数のエアロゾル形成基材23全体を十分に加熱できるようになっている。よって、エアロゾル形成基材23の加熱ムラを抑制できる。本実施形態では、サセプタが強磁性体であるニッケル粒子から成るので、上記第1実施形態と同様に、交流磁界が発生すると、サセプタが、ジュール熱とヒステリシス損失で生じる熱によって十分に加熱されるので、複数のエアロゾル形成基材23全体を満遍なく加熱でき、加熱ムラの抑制に極めて効果的である。
【0063】
また、収容体25は、筒状部25cと、第1蓋部25dと、第2蓋部25eと、を有し、第1蓋部25dおよび第2蓋部25eには貫通孔26aが形成されているので、筒状部25cの外周面によって外装部材40との接着面積を十分に確保できると共に、第1蓋部25dおよび第2蓋部25eの貫通孔26aによって通気性を十分に確保できる。
【0064】
また、収容体25の第1蓋部25dには、スリット26bが形成されているので、喫煙具用カートリッジ2を誘導加熱式の喫煙具のみならず、ブレード加熱式の喫煙具や誘導加熱式とブレード加熱式が組み合わされたハイブリッド加熱式の喫煙具80でも使用可能となる。よって、喫煙者の嗜好に対向可能な喫煙具用カートリッジ2を提供できる。
【0065】
(第3実施形態)
図8は第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジ3の断面図、
図9は喫煙具用カートリッジ3に設けられた収容体25の斜視図である。第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジ3は、収容体25の他端側が開口している点で上記第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジ2と主として異なる。
【0066】
図8および
図9に示すように、喫煙具用カートリッジ3は、被加熱体20と、支持部材50と、マウスピース30と、外装部材40と、を備えている。被加熱体20の収容体25は、筒状部25cと、筒状部25cの一端側を覆う蓋部(底部)25dと、を有する。筒状部25cの他端側には、開口25fが形成されており、上記第2実施形態と異なり、蓋部(第2蓋部)が設けられていない。そのため、生成されたエアロゾルは、開口25f全面を通して収容体25の外側に移送されるようになっており、上記第2実施形態よりも収容体25の通気性が向上している。
【0067】
蓋部25dには、複数(本例では、8個)の貫通孔(通気孔)26aおよび十字状のスリット26bが形成されている。これら筒状部25cおよび蓋部25dは、上記第2実施形態と同様の材料から成る。
【0068】
支持部材50は、筒状部25cの他端側と当接する円板状の第1当接部50aと、マウスピース30と当接する円板状の第2当接部50bと、これらを連結する棒状の連結部50cと、を有しており、移送空間SP内に配置されている。第1当接部50aおよび第2当接部には、エアロゾルを通過可能とする複数の貫通孔(不図示)が形成されており、これら貫通孔の直径は各エアロゾル形成基材の直径よりも小さい。
【0069】
喫煙具用カートリッジ3を作製する際には、まず、筒状部25cの一端側を蓋部25dで封止して収容体25を作製した後に、この収容体25内に開口25fから複数のエアロゾル形成基材23を収容することで、被加熱体20を作製する。こうして作製した被加熱体20は、複数のエアロゾル形成基材23が開口25fから零れてしまわないように、開口25fが上方を向いた姿勢で保管される。なお、予め被加熱体20の開口25fを支持部材50で塞ぐように両者を組み合わせても良い。
【0070】
次に、被加熱体20の開口25fを支持部材50の第1当接部50aと当接させて塞ぐとともに、支持部材50の第2当接部50bとマウスピース30とを当接させた状態で、被加熱体20、支持部材50およびマウスピース30を外装部材40によって包むようにする。これにより、喫煙具用カートリッジ3を作製することができる。
【0071】
(喫煙具用カートリッジの使用方法)
次に、喫煙具用カートリッジ3の使用方法について、
図10を参照して説明する。
図10は、喫煙具用カートリッジ3を喫煙具80に挿入した状態の断面図である。
【0072】
図10に示すように、喫煙具用カートリッジ3は、誘導加熱式の喫煙具80に装着されて使用される。喫煙具用カートリッジ3が挿入部71に挿入されると、収容体25のスリット26bを通って被加熱体20に加熱体81が挿入された状態となる。この状態で喫煙具80のスイッチがオンされると、収容体25に含まれるサセプタが誘導加熱されるとともに、加熱体81が通電により発熱する。これにより、複数のエアロゾル形成基材23が加熱されてエアロゾルが生成される。この状態で喫煙者がマウスピース30をくわえて吸引すると、生成されたエアロゾルは、収容体25の開口25f全面を通った後に、第1当接部50aの複数の貫通孔を介して移送空間SPに流れ、さらに、この移送空間SPから第2当接部50bの複数の貫通孔を介してマウスピース30に流れて、喫煙者の口内へと流入される。
【0073】
このように構成された第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジ3によれば、以下の効果を奏することができる。
【0074】
収容体25は、筒状部25cと、蓋部25dと、を有し、蓋部25dには、貫通孔26aが形成されており、筒状部25cの他端側には、開口25fが形成されている。よって、生成されたエアロゾルは開口25f全面を通して収容体25の外側に移送されるようになっているので、通気性をさらに十分に確保できる。
【0075】
また、収容体25は、筒状部25cの他端側には蓋部を必要としないので、収容体25の製造コストを抑制できる。
【0076】
また、蓋部25dには、スリット26bが形成されているので、上記したハイブリッド加熱式の喫煙具80でも使用可能な喫煙具用カートリッジ3を提供できる。
【0077】
さらに、支持部材50の第1当接部50aおよび第2当接部50bに設けられた複数の貫通孔の直径は、各エアロゾル形成基材の直径よりも小さくなっている。これにより、複数のエアロゾル形成基材23が収容体25の開口25fから移送空間SP内に零れ落ちることを防止できるとともに、エアロゾルの通気性を確保できる。
【0078】
(変形例3-1)
次に、
図11および
図12を参照して、喫煙具用カートリッジ3の変形例3-1について説明する。
図11は変形例3-1に係る喫煙具用カートリッジ3-1を示す断面図、
図12は喫煙具用カートリッジ3-1に設けられた収容体25の斜視図である。喫煙具用カートリッジ3-1は、収容体25が網目状に形成されている点で上記第3実施形態と主として異なる。
【0079】
図11および
図12に示すように、収容体25は、一端側が閉鎖しており、他端側が開口している円筒形状を有する。具体的には、収容体25は、筒状部25gと、筒状部25gの一端側に形成された半球状の底部25hと、筒状部25gの他端側に形成された開口25fと、を有する。筒状部25gおよび底部25hは、一体となって形成されている。本変形例3-1においても、収容体25に開口25fが形成されているため、上記第2実施形態よりも収容体25の通気性が向上している。
【0080】
収容体(筒状部25gおよび底部25h)は、上記第1実施形態と同様の材料から成る線材を編むことで作製される。底部25hに形成されている網目は、通気孔として機能する。また、底部25hには、通気孔(網目)とは別個に十字状のスリット(不図示)が形成されており、上記喫煙具80の加熱体81を挿入可能となっている。
【0081】
喫煙具用カートリッジ3-1を作製する際には、上記のように収容体25を作製した後に、収容体25の開口25fから複数のエアロゾル形成基材23を収容することで被加熱体20を作製する。その後、上記第3実施形態と同様に、被加熱体20、支持部材50およびマウスピース30を外装部材40によって包むことで、喫煙具用カートリッジ3-1を作製することができる。
【0082】
このように構成された喫煙具用カートリッジ3-1でも、上記第3実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0083】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0084】
上記第1実施形態および第2実施形態では、被加熱体20とマウスピース30との間に移送空間SPが設けられていたが、この構成に限定されず、両者の間に被加熱体を支持する支持部材を設けても良い。支持部材は、複数のエアロゾル形成基材から生成されたエアロゾルをマウスピースに移送する流路を有する。この場合でも、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0085】
また、上記第3実施形態においては、被加熱体20とマウスピース30との間の移送空間SP内に支持部材50が設けられた構成であったが、この構成に限定されない。例えば複数のエアロゾル形成基材23を収容体25内で固定できれば、支持部材50を設けなくても良い。そのような固定方法として、例えば接着剤を用いて複数のエアロゾル形成基材23同士を接着するとともに、複数のエアロゾル形成基材23と筒状部25cとを接着する方法等を採用できる。第3実施形態に係る変形例3-1についても同様である。
【0086】
また、上記第2実施形態および第3実施形態では、収容体25に形成されたスリット26bは十字状となっていたが、加熱体81を挿入可能であれば、十字状に限定されることなく、例えば直線状であっても良い。
【0087】
また、上記第1実施形態では、収容体25にスリット26bが形成されていない構成であったが、この構成に限定されることなく、第2実施形態と同様に、マウスピース30と反対側に配置される第1底部251aにスリット26bが形成されても良い。この場合でも、上記第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0088】
さらに、上記第2実施形態および第3実施形態では、収容体に形成された貫通孔26aの個数は8個であったが、収容体25の通気性が確保できれば、8個に限定されることなく、1個以上あれば良い。
【0089】
また、上記実施形態では、エアロゾル形成基材23の形状は粒状であったが、この構成に限定されることなく、短冊状、棒状、またはペースト状等を含む各種形状のエアロゾル形成基材23を採用できる。この場合でも、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、短冊状またはペースト状のエアロゾル形成基材23を採用する場合には、収容体25の形状は両端部が開口している筒状であっても良い。
【0090】
また、上記第1実施形態の収容体25は、磁性体を含む金属材料から成り、上記第2実施形態の収容体25は、サセプタを含んだ紙から成る構成であったが、この構成に限定されない。上記第1実施形体の収容体25がサセプタを含んだ紙から成り、上記第2実施形態の収容体25が磁性体を含む金属材料から成る構成でも良い。この場合、上記第1実施形態の収容体25を作製するには、サセプタが混合された紙を網目状にした後に、その紙を第1収容部25aおよび第2収容部25bの形状に形成すれば良い。また、上記第2実施形態の収容体25を作製するには、磁性体を含む金属材料から成るシード状の金属薄膜を円柱状に巻いた後に、その両端部を同シート状の金属薄膜で封止すれば良い。この場合でも、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0091】
さらに、上記第2実施形態および第3実施形態では、サセプタの形状は、粒状であったが、この形状に限定されることなく、例えば線状、棒状、または短冊状であっても良い。この場合、線状のサセプタは、直径が例えば0.9mmであり、長さが例えば12mmであり、紙に十分に含ませることができ、紙の表面にも十分に付着させることができる。また、棒状のサセプタは、直径が例えば2mmであり、長さが例えば12mmであり、紙に十分に含ませることができる。さらに、短冊状のサセプタは、厚みが、例えば0.2mmであり、縦の長さが12mm、横の長さは例えば1.5mmであり、紙の表面に十分に付着させることができる。このようにサセプタが、線状、棒状、または短冊状の何れの形状でも、紙に含ませることができ、粒状の場合と同様に、エアロゾル形成基材23を満遍なく加熱できる。
【符号の説明】
【0092】
1,2,3,3-1 喫煙具用カートリッジ
20 被加熱体
23 エアロゾル形成基材
25 収容体
25a 第1収容部
25b 第2収容部
25f 開口
250a 第1開口
250b 第2開口
251a 第1底部
251b 第2底部
25c 筒状部
25d 第1蓋部、蓋部
25e 第2蓋部
25h 底部
26a 貫通孔
26b スリット
30 マウスピース
70,80 喫煙具
81 加熱体