(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188782
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】スタッカクレーン
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
B65G1/04 527
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019211508
(22)【出願日】2019-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】崔 ▲イン▼
(72)【発明者】
【氏名】石川 和広
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA08
3F022BB09
3F022EE05
3F022FF01
3F022JJ09
3F022MM03
3F022MM11
3F022MM13
(57)【要約】
【課題】据付け現場において複数の柱部材を連結する際に、調整された位置関係を容易に再現する。
【解決手段】スタッカクレーン7は、連結構造150を備える。連結構造150は、外側部材151と、第1内側部材152と、第2内側部材153と、第1内側部材152及び外側部材151を上側柱部材120に固定する第1固定部材154と、第2内側部材153及び外側部材151を下側柱部材130に固定する第2固定部材155と、第1内側部材152を上側柱部材120に固定する第3固定部材156と、第2内側部材153を下側柱部材130に固定する第4固定部材157と、を有する。外側部材151及び第1内側部材152の位置関係を規定する第1孔151d及び第1ピンP1が設けられ、外側部材151及び第2内側部材153の位置関係を規定する第2孔151e及び第2ピンP2が設けられている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向に複数の柱部材が連結されて構成されたマストと、前記マストに沿って昇降する昇降台と、を具備するスタッカクレーンであって、
複数の前記柱部材のうち隣接する第1及び第2柱部材を連結する連結構造を備え、
前記連結構造は、
前記第1及び第2柱部材に渡って取り付けられる外側部材と、
前記第1柱部材と前記外側部材との間に配置される第1内側部材と、
前記第2柱部材と前記外側部材との間に配置される第2内側部材と、
前記第1内側部材と共に前記外側部材を前記第1柱部材に固定する第1固定部材と、
前記第2内側部材と共に前記外側部材を前記第2柱部材に固定する第2固定部材と、
前記第1内側部材を前記第1柱部材に固定する第3固定部材と、
前記第2内側部材を前記第2柱部材に固定する第4固定部材と、を有し、
前記外側部材及び前記第1内側部材には、前記外側部材と前記第1内側部材との位置関係を規定する第1位置決め部が設けられ、
前記外側部材及び前記第2内側部材には、前記外側部材と前記第2内側部材との位置関係を規定する第2位置決め部が設けられている、スタッカクレーン。
【請求項2】
前記第1位置決め部は、前記外側部材及び前記第1内側部材の一方に形成された第1孔と、前記外側部材及び前記第1内側部材の一方に形成され当該第1孔に嵌合する第1ピンと、を含み、
前記第2位置決め部は、前記外側部材及び前記第2内側部材の一方に形成された第2孔と、前記外側部材及び前記第2内側部材の一方に形成され当該第2孔に嵌合する第2ピンと、を含む、請求項1に記載のスタッカクレーン。
【請求項3】
前記第1孔及び前記第1ピンは、それぞれ複数形成され、
前記第2孔及び前記第2ピンは、それぞれ複数形成され、
複数の前記第1孔のうちの何れか及び複数の第2孔のうちの何れかは、長孔である、請求項2に記載のスタッカクレーン。
【請求項4】
前記連結構造は、前記第1内側部材と前記第1柱部材との間、及び、前記第2内側部材と前記第2柱部材との間の少なくとも何れかに介在されるシム板を有する、請求項1~3の何れか一項に記載のスタッカクレーン。
【請求項5】
前記連結構造は、前記第1及び第2柱部材の側壁及び後壁の少なくとも何れかに設けられる、請求項1~4の何れか一項に記載のスタッカクレーン。
【請求項6】
前記第1及び第2柱部材の側壁に設けられる前記連結構造は、前記外側部材に連結され前記第1及び第2柱部材の前壁に固定される前側部材を更に有する、請求項5に記載のスタッカクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッカクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、高さ方向に複数の柱部材が連結されて構成されたマストと、マストに沿って昇降する昇降台と、を具備するスタッカクレーンが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなスタッカクレーンにおいては、マストを構成する複数の柱部材は、例えば、工場等にて位置関係が調整されて連結された後、当該連結が解除されて出荷され、据付け現場にて再び連結される。据付け現場では、調整された位置関係が再現されるように複数の柱部材が連結されるが、当該位置関係の再現には手間がかかる場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、据付け現場において複数の柱部材を連結する際に、調整された位置関係を容易に再現することが可能なスタッカクレーンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るスタッカクレーンは、高さ方向に複数の柱部材が連結されて構成されたマストと、マストに沿って昇降する昇降台と、を具備するスタッカクレーンであって、複数の柱部材のうち隣接する第1及び第2柱部材を連結する連結構造を備え、連結構造は、第1及び第2柱部材に渡って取り付けられる外側部材と、第1柱部材と外側部材との間に配置される第1内側部材と、第2柱部材と外側部材との間に配置される第2内側部材と、第1内側部材と共に外側部材を第1柱部材に固定する第1固定部材と、第2内側部材と共に外側部材を第2柱部材に固定する第2固定部材と、第1内側部材を第1柱部材に固定する第3固定部材と、第2内側部材を第2柱部材に固定する第4固定部材と、を有し、外側部材及び第1内側部材には、外側部材と第1内側部材との位置関係を規定する第1位置決め部が設けられ、外側部材及び第2内側部材には、外側部材と第2内側部材との位置関係を規定する第2位置決め部が設けられている。
【0007】
このスタッカクレーンでは、例えば工場等において、位置関係を調整して第1及び第2柱部材を連結構造により連結した後、当該連結を解除する際には、第1及び第2固定部材を取り外すことで、外側部材を第1及び第2内側部材から取り外す一方、第1及び第2内側部材のそれぞれは、第1及び第2柱部材のそれぞれに固定したままとすることができる。そして、据付け現場において、第1及び第2固定部材を再び取り付け、外側部材を第1及び第2内側部材に固定することで、第1及び第2柱部材を再び連結することができる。このとき、第1及び第2位置決め部により、外側部材と第1及び第2内側部材との位置関係が規定されることから、工場等において調整した位置関係が再現されるようにして第1及び第2柱部材が連結されることになる。したがって、据付け現場において複数の柱部材を連結する際に、調整された位置関係を容易に再現することが可能となる。
【0008】
本発明に係るスタッカクレーンでは、第1位置決め部は、外側部材及び第1内側部材の一方に形成された第1孔と、外側部材及び第1内側部材の一方に形成され当該第1孔に嵌合する第1ピンと、を含み、第2位置決め部は、外側部材及び第2内側部材の一方に形成された第2孔と、外側部材及び第2内側部材の一方に形成され当該第2孔に嵌合する第2ピンと、を含んでいてもよい。この構成では、外側部材と第1内側部材との位置関係の規定を、第1孔への第1ピンの嵌合により実現することができる。また、外側部材と第2内側部材との位置関係の規定を、第2孔への第2ピンの嵌合により実現することができる。
【0009】
本発明に係るスタッカクレーンでは、第1孔及び第1ピンは、それぞれ複数形成され、第2孔及び第2ピンは、それぞれ複数形成され、複数の第1孔のうちの何れか及び複数の第2孔のうちの何れかは、長孔であってもよい。この構成では、第1孔と第1ピンとを容易に嵌合させることができ、且つ、第2孔と第2ピンとを容易に嵌合させることができる。
【0010】
本発明に係るスタッカクレーンでは、連結構造は、第1内側部材と第1柱部材との間、及び、第2内側部材と第2柱部材との間の少なくとも何れかに介在されるシム板を有していてもよい。第1内側部材は第1柱部材に一度固定されると取り外す必要がなく、同様に、第2内側部材は第2柱部材に一度固定されると取り外す必要がないことから、それらの間に介在されるシム板も、一度取り付けると取り外す必要がない。よって、据付け現場において複数の柱部材を連結する際に、シム板の管理が不要となり、調整された位置関係を一層容易に再現することが可能となる。
【0011】
本発明に係るスタッカクレーンでは、連結構造は、第1及び第2柱部材の側壁及び後壁の少なくとも何れかに設けられていてもよい。この構成では、第1及び第2柱部材を精度よく連結することができる。
【0012】
本発明に係るスタッカクレーンでは、第1及び第2柱部材の側壁に設けられる連結構造は、外側部材に連結され第1及び第2柱部材の前壁に固定される前側部材を更に有していてもよい。この構成では、前側部材によってマストの変形を効果的に抑えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、据付け現場において複数の柱部材を連結する際に、調整された位置関係を容易に再現することが可能なスタッカクレーンを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係るスタッカクレーンを備えたストッカを示す断面図である。
【
図5】連結構造の外側部材を厚さ方向から見た図である。
【
図6】連結構造の前側部材を厚さ方向から見た図である。
【
図7】(a)は、連結構造の第1内側部材を厚さ方向から見た図である。(b)は、連結構造の第2内側部材を厚さ方向から見た図である。
【
図11】マストの据付けの一例を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。「上」及び「下」の語は、鉛直方向の上方向及び下方向にそれぞれ対応する。
【0016】
一実施形態に係るスタッカクレーンを備えたストッカについて説明する。
図1に示されるように、ストッカ1は、半導体ウエハ及びガラス基板等の被格納物が格納されたFOUP(Front Opening Unified Pod)等の格納容器(搬送物)90を保管する保管庫としての機能を有している。ストッカ1は、例えば、クリーンルームに設けられる。ストッカ1は、ストッカ本体3、ラック4、スタッカクレーン7、及び、コントローラ80を主に備えている。
【0017】
ストッカ本体3は、ストッカ1の内部空間Aを画成する部分であり、複数のパーティションにより形成されている。ラック4は、格納容器90を保管する部分であり、通常、1~2列(ここでは、2列)設けられている。各ラック4は、X方向(幅方向)に延在しており、隣り合う2つのラック4,4が対向するように略平行に配置されている。各ラック4は、格納容器90を載置して保管する複数の収納棚50を有している。収納棚50は、X方向及びZ方向(鉛直方向)に沿って配列されている。
【0018】
スタッカクレーン7は、格納容器90を収納棚50に対して出し入れすると共に、格納容器90を図示しない入庫ポート及び出庫ポートと収納棚50との間、あるいは収納棚50間で移動させる機構である。スタッカクレーン7は、対向するラック4,4に挟まれた領域に配置されている。スタッカクレーン7は、ラック4の延在方向(X方向)に沿って床面に配置された軌道(図示せず)を走行して、ラック4に沿ってX方向に移動することができる。
【0019】
スタッカクレーン7は、走行部71と、昇降部74と、旋回部75と、ハンド79と、を備える。走行部71は、モータ等の走行駆動部によって軌道に沿ってX方向に走行可能に設けられている。昇降部74は、マスト100及び昇降台73を含む。マスト100は、走行部71に設けられ、Z方向に延在する部材である。昇降台73は、モータ等の昇降駆動部によって、マスト100に沿って昇降可能に設けられている。旋回部75は、当該旋回部75上に搭載されたハンド79等を、Z方向に沿う軸回り回転方向に回転させる。
【0020】
ハンド79は、格納容器90を載置する。ハンド79は、昇降台73に設けられている。ハンド79は、移載装置(不図示)によって進退(平面視において昇降台73の外に進出及び昇降台73上に退入)して、格納容器90を移載する。なお、走行部71、昇降部74、旋回部75及びハンド79の構成、機構ないし配置については、特に限定されない。走行部71、昇降部74、旋回部75及びハンド79としては、公知の種々の機構ないし装置を採用することができる。
【0021】
コントローラ80は、スタッカクレーン7における各部を制御する。コントローラ80は、例えば、ストッカ本体3の内部に配置される。コントローラ80は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有している。コントローラ80では、CPU、RAM及びROM等のハードウェアとプログラム等のソフトウェアとが協働することによって、各種制御を実行する。
【0022】
次に、スタッカクレーン7のマスト100について詳細に説明する。
【0023】
図2に示されるように、マスト100は、Z方向(高さ方向)に複数の柱部材110が連結されて構成されている。柱部材110は、Z方向に長尺状を呈し、互いに突き合わせるようにしてZ方向に隣接して配置されている。スタッカクレーン7は、Z方向に隣接する一対の柱部材110を連結する連結構造150を複数備える。
【0024】
図3に示されるように、柱部材110は、Z方向から見てX方向に沿って延び、且つ、Y方向に互いに対向する一対の側壁101を有する。一対の側壁101それぞれの前側(X方向の一方側)には、一対の側壁101からY方向内側に折れ曲がって連なるように前壁102がそれぞれ設けられている。一対の前壁102は、Z方向から見てY方向に沿って延びる。一対の側壁101におけるX方向中央よりも後側寄りには、一対の側壁101に架け渡すように後壁103が設けられている。後壁103は、Z方向から見てY方向に沿って延びる。後壁103におけるY方向中央には、側壁101と後壁103とで画成された後部空間を仕切るように後部中間壁104が設けられている。後部中間壁104は、Z方向から見てX方向に沿って延びる。
【0025】
一対の前壁102それぞれのY方向内側の端部には、Y方向に沿って延びるカバー105が設けられている。側壁101と前壁102とカバー105とは、前部空間FAを画成する。前部空間FAには、昇降台73(
図1)用のレール106と、昇降台73とのバランスをとるためのバランスウェイト(不図示)用のレール107と、がZ方向に延びるように配置されている。レール106は、後壁103の前面103aに設けられている。レール107は、何れか一方の側壁101の内面101aに設けられている。以下、複数の柱部材110のうちの任意の一つを上側柱部材(第1柱部材)120とし、複数の柱部材110のうちの他の一つであって上側柱部材120の下側に隣接するものを下側柱部材(第2柱部材)130として説明する。
【0026】
次に、上側柱部材120と下側柱部材130とを連結する構造について説明する。
【0027】
連結構造150は、上側柱部材120及び下側柱部材130における一対の側壁101の外面101bのそれぞれに設けられる。
図3~
図8の少なくとも何れかに示されるように、連結構造150は、外側と内側との2重の板構造を有する。連結構造150は、外側部材151、第1内側部材152、第2内側部材153、第1固定部材154、第2固定部材155、第3固定部材156及び第4固定部材157を有する。
【0028】
図3、
図4、
図5及び
図8に示されるように、外側部材151は、上側柱部材120及び下側柱部材130に渡って取り付けられる矩形板状の部材である。外側部材151は、例えば平面度が一般的に高い金属材料であるアルミニウムで形成されている。外側部材151は、第1内側部材152及び第2内側部材153に当接する。外側部材151は、第1固定部材154が挿通される第1固定用孔151aと、第2固定部材155が挿通される第2固定用孔151bと、第1内側部材152を固定している第3固定部材156及び第2内側部材153を固定している第4固定部材157との干渉を回避する貫通孔151cと、第1内側部材152の後述する第1ピンP1が嵌合する一対の第1孔151dと、第2内側部材153の後述する第2ピンP2が嵌合する一対の第2孔151eと、第1孔151dの周辺及び第2孔151eの周辺に設けられた抜きタップ151fと、を含む。
【0029】
第1固定用孔151aは、外側部材151の上部において例えば碁盤目状に並ぶように設けられている。第2固定用孔151bは、外側部材151の下部において例えば碁盤目状に並ぶように設けられている。貫通孔151cは、第1内側部材152を固定している第3固定部材156の頭部、及び、第2内側部材153を固定している第4固定部材157の頭部を露出させる空間である。貫通孔151cは、外側部材151におけるZ方向に隣接する第1固定用孔151aの間の各位置、及び、Z方向に隣接する第2固定用孔151bの間の位置に設けられている。
【0030】
第1孔151dは、第1内側部材152の第1ピンP1に対応する位置にて、第1ピンP1に対応する断面形状で設けられている。第1孔151dには、第1ピンP1が圧入されて、第1ピンP1がしまり嵌めで嵌合される。第1孔151dは、外側部材151の上部における3つの貫通孔151cの各間の位置に形成されている。一対の第1孔151dの一方は、真円孔である。一対の第1孔151dの他方は、当該一対の第1孔151dが並ぶ方向を長尺方向とする長孔である。
【0031】
第2孔151eは、第2内側部材153の第2ピンP2に対応する位置にて、第2ピンP2に対応する断面形状で設けられている。ここでの第2孔151eは、円形孔である。第2孔151eには、第2ピンP2が圧入されて、第2ピンP2がしまり嵌めで嵌合される。第2孔151eは、外側部材151の下部における3つの貫通孔151cの各間の位置に形成されている。一対の第2孔151eの一方は、真円孔である。一対の第2孔151eの他方は、当該一対の第2孔151eが並ぶ方向を長尺方向とする長孔である。
【0032】
抜きタップ151fは、第1孔151dの周辺及び第2孔151eの周辺のそれぞれに設けられている。抜きタップ151fは、第1ピンP1の第1孔151dからの抜き出し、及び、第2ピンP2の第2孔151eからの抜き出しの際に利用されるネジ孔である。
【0033】
図3、
図4、
図6及び
図8に示されるように、側壁101に設けられる連結構造150にあっては、前側部材158を更に有する。前側部材158は、上側柱部材120及び下側柱部材130に渡って取り付けられる矩形板状の部材である。前側部材158は、上側柱部材120及び下側柱部材130の前壁102に当接する。前側部材158は、例えばアルミニウムで形成されている。前側部材158は、外側部材151の前端の内側に、ネジ159により外側部材151と垂直となるように連結される。前側部材158は、ボルト162によって前壁102に固定される。前側部材158の前壁102への固定(締結)は、上側柱部材120及び下側柱部材130に形成されている縦溝MZを利用して実現することができる。
【0034】
図3、
図4、
図7(a)及び
図8に示されるように、第1内側部材152は、上側柱部材120と外側部材151との間に配置される矩形板状の部材である。第1内側部材152は、例えば剛性が高く且つ低コストな金属材料であるステンレス鋼で形成されている。第1内側部材152は、上側柱部材120の下端部の側壁101に当接する。第1内側部材152は、第1固定部材154が挿通される第1固定用孔152aと、第3固定部材156が挿通される第3固定用孔152bと、外側部材151の第1孔151dに嵌合する一対の第1ピンP1と、を含む。
【0035】
第1固定用孔152aは、第1内側部材152の縁部において外側部材151の第1固定用孔151aと連通可能な各位置に設けられている。第3固定用孔152bは、第1内側部材152において外側部材151の貫通孔151c内に配置可能な各位置に設けられている。第3固定用孔152bは、第1内側部材152においてZ方向に隣接する第1固定用孔152aの間に設けられている。
【0036】
第1ピンP1は、第1内側部材152における外側部材151の第1孔151dに対応する位置にて、第1孔151dに対応する断面形状で立設されている。ここでの第1ピンP1は、円柱形状を呈する。第1ピンP1は、第1内側部材152における隣接する第3固定用孔152bの間に形成されている。第1ピンP1は、第1孔151dに圧入されて、しまり嵌めで嵌合する。第1ピンP1は、外側部材151の厚さ以上の突出長を有する。第1ピンP1は、例えば第1内側部材152に溶接により固定されている。なお、第1ピンP1の固定は溶接に限定されず、種々の手法により固定できる。
【0037】
図3、
図4、
図7(b)及び
図8に示されるように、第2内側部材153は、下側柱部材130と外側部材151との間に配置される矩形板状の部材である。第2内側部材153は、例えば剛性が高く且つ低コストな金属材料であるステンレス鋼で形成されている。第2内側部材153は、下側柱部材130の上端部の側壁101に当接する。第2内側部材153は、第2固定部材155が挿通される第2固定用孔153aと、第4固定部材157が挿通される第4固定用孔153bと、外側部材151の第2孔151eに嵌合する一対の第2ピンP2と、を含む。
【0038】
第2固定用孔153aは、第2内側部材153の縁部において外側部材151の第2固定用孔151bと連通可能な各位置に設けられている。第4固定用孔153bは、第2内側部材153において外側部材151の貫通孔151c内に配置可能な各位置に設けられている。第4固定用孔153bは、第2内側部材153においてZ方向に隣接する第2固定用孔153aの間に設けられている。
【0039】
第2ピンP2は、第2内側部材153における外側部材151の第2孔151eに対応する位置にて、第2孔151eに対応する断面形状で立設されている。ここでの第2ピンP2は、円柱形状を呈する。第2ピンP2は、第2内側部材153における隣接する第4固定用孔153bの間に形成されている。第2ピンP2は、第2孔151eに圧入されて、しまり嵌めで嵌合する。第2ピンP2は、外側部材151の厚さ以上の突出長を有する。第2ピンP2は、例えば第2内側部材153に溶接により固定されている。なお、第2ピンP2の固定は溶接に限定されず、種々の手法により固定できる。
【0040】
図4及び
図8に示されるように、第1固定部材154は、第1内側部材152と共に外側部材151を上側柱部材120に固定する。第1固定部材154としては、例えば共締めボルトが用いられる。第1固定部材154は、第1固定用孔151a,152aに挿通される。第1固定部材154の上側柱部材120への固定(締結)は、上側柱部材120に形成されている縦溝MZを利用して実現することができる。
【0041】
第2固定部材155は、第2内側部材153と共に外側部材151を下側柱部材130に固定する。第2固定部材155としては、例えば共締めボルトが用いられる。第2固定部材155は、第2固定用孔151b,153aに挿通される。第2固定部材155の下側柱部材130への固定(締結)は、下側柱部材130に形成されている縦溝MZを利用して実現することができる。
【0042】
第3固定部材156は、第1内側部材152を上側柱部材120に固定する。第3固定部材156としては、例えばその取付け及び取外し作業に専用工具が必要な特殊ねじ(いたずら防止ねじ)が用いられる。第3固定部材156は、第3固定用孔152bに挿通される。第3固定部材156の上側柱部材120への固定(締結)は、上側柱部材120に形成されている縦溝MZを利用して実現することができる。第4固定部材157は、第2内側部材153を下側柱部材130に固定する。第4固定部材157としては、例えばその取付け及び取外し作業に専用工具が必要な特殊ねじ(いたずら防止ねじ)が用いられる。第4固定部材157は、第4固定用孔153bに挿通される。第4固定部材157の下側柱部材130への固定(締結)は、下側柱部材130に形成されている縦溝MZを利用して実現することができる。第3固定部材156及び第4固定部材157の頭部は、外側部材151の貫通孔151c内において露出する。
【0043】
以上に説明した連結構造150において、第1内側部材152の第1ピンP1と外側部材151の第1孔151dとは、外側部材151と第1内側部材152との位置関係を規定する第1位置決め部を構成する。第2内側部材153の第2ピンP2と外側部材151の第2孔151eとは、外側部材151と第2内側部材153との位置関係を規定する第2位置決め部を構成する。
【0044】
図3及び
図9に示されるように、スタッカクレーン7は、上側柱部材120と下側柱部材130とを連結する構造として、中間壁連結板160を更に備える。中間壁連結板160は、上側柱部材120及び下側柱部材130に渡って取り付けられる矩形板状の部材である。中間壁連結板160は、上側柱部材120及び下側柱部材130の後部中間壁104に当接する。中間壁連結板160は、例えばアルミニウムで形成されている。中間壁連結板160は、ボルト163によって上側柱部材120及び下側柱部材130の後部中間壁104に固定される。中間壁連結板160の後部中間壁104への固定(締結)は、後部中間壁104に形成されている縦溝MZを利用して実現することができる。
【0045】
図10に示されるように、連結構造150は、第1内側部材152と上側柱部材120との間、及び、第2内側部材153と下側柱部材130との間に介在されるシム板170を有する。シム板170は、厚さ方向から見てU字状を呈する板部材である。シム板170は、厚さ方向から見て、そのU字状の内側に1又は複数の第3固定部材156ないし第4固定部材157が位置するように(第3固定部材156ないし第4固定部材157がU字状で囲まれるように)、配置される。用いるシム板170は、複数種の厚さのシム板170の中から適宜のものが選択されたり、使用する枚数が選択される。シム板170は、第1内側部材152の表面と第2内側部材153の表面とを、同一の鉛直面上に位置するように調整する。
【0046】
図3に戻り、スタッカクレーン7では、連結構造150は、上側柱部材120及び下側柱部材130の後壁103の後面103bにも設けられている。後壁103に設けられる連結構造150は、後面103bにおける後部中間壁104を介したY方向の一方側と他方側とのそれぞれに設けられている。後壁103に設けられる連結構造150は、側壁101に設けられる連結構造150に対して前側部材158を備えない点で異なり、それ以外の点では同様に構成されている。
【0047】
次に、マスト100を据付け現場に据え付ける場合の一例を説明する。
【0048】
まず、例えば工場等の製造現場において、外側部材151の一対の第1孔151dに第1内側部材152の一対の第1ピンP1を嵌合させつつこれらを重ね合わせる。これと共に、外側部材151の一対の第2孔151eに第2内側部材153の一対の第2ピンP2を嵌合させつつこれらを重ね合わせる。これにより、外側部材151と第1内側部材152及び第2内側部材153とを組み付けた、連結構造150のサブアッシーを得る。
【0049】
サブアッシーにおける外側部材151及び第1内側部材152を、第1固定部材154により上側柱部材120に共締めで固定する。サブアッシーにおける外側部材151及び第2内側部材153を、第2固定部材155により下側柱部材130に共締めで固定する。サブアッシーにおける第1内側部材152のみを、第3固定部材156により上側柱部材120に固定する。サブアッシーにおける第2内側部材153のみを、第4固定部材157により下側柱部材130に固定する。これにより、上側柱部材120及び下側柱部材130が連結構造150により連結される。
【0050】
このとき、必要に応じて、シム板170を第1内側部材152と上側柱部材120との間及び第2内側部材153と下側柱部材130との間に介在させ、上側柱部材120と下側柱部材130との位置関係を調整する。また、上側柱部材120及び下側柱部材130それぞれの後部中間壁104に中間壁連結板160を固定し、これらを連結する。
【0051】
続いて、第1固定部材154及び第2固定部材155を取り外す。外側部材151の抜きタップ151fを利用して、第1内側部材152及び第2内側部材153を上側柱部材120及び下側柱部材130に固定したまま、外側部材151を第1内側部材152及び第2内側部材153から取り外す。また、中間壁連結板160を上側柱部材120及び下側柱部材130から取り外す。これにより、上側柱部材120及び下側柱部材130の連結を解除する。連結を解除した状態において上側柱部材120及び下側柱部材130が出荷され、据付け現場(「現地」又は「据付け現地」とも称する)に移送される。
【0052】
このとき、例えば
図11に示されるように、後壁103に設けられる連結構造150では、外側部材151を下側柱部材130には固定したままとしてもよい。また、中間壁連結板160を下側柱部材130には固定したままとしてもよい。これにより、後述の再連結時において、外側部材151及び中間壁連結板160を、上側柱部材120及び下側柱部材130を突き合わせる際のガイドとして機能させることができる。
【0053】
また、側壁101に設けられる連結構造150では、外側部材151を一旦取り外した後に、図示されるように上方へオフセットして上側柱部材120に仮固定してもよい。具体的には、外側部材151を第1内側部材152及び第2内側部材153から取り外した後、その上下幅の1/2ほど上方へ移動させ、第2固定用孔151bに第1固定部材154を挿通して、外側部材151を第1内側部材152と共に上側柱部材120に固定してもよい。これにより、連結構造150のハンドリング性を高めることができる。
【0054】
そして、据付け現場において、上側柱部材120及び下側柱部材130を再連結する。具体的には、立姿勢の下側柱部材130の前側から、立姿勢の上側柱部材120を水平方向に沿って接近させて、上側柱部材120及び下側柱部材130をZ方向に突き合わせるように配置する。外側部材151の一対の第1孔151dに第1内側部材152の一対の第1ピンP1を嵌合させつつこれらを重ね合わせると共に、外側部材151の一対の第2孔151eに第2内側部材153の一対の第2ピンP2を嵌合させつつこれらを重ね合わせる。外側部材151及び第1内側部材152を、第1固定部材154により上側柱部材120に共締めで固定すると共に、外側部材151及び第2内側部材153を、第2固定部材155により下側柱部材130に共締めで固定する。上側柱部材120及び下側柱部材130それぞれの後部中間壁104に中間壁連結板160を固定する。以上により、上側柱部材120及び下側柱部材130が再連結され、マスト100の据付けが完了する。
【0055】
以上、スタッカクレーン7では、例えば工場等において、位置関係を調整して上側柱部材120及び下側柱部材130を連結構造150により連結した後、当該連結を解除する際には、第1固定部材154及び第2固定部材155を取り外すことで、外側部材151を第1内側部材152及び第2内側部材153から取り外す一方、第1内側部材152及び第2内側部材153のそれぞれは、上側柱部材120及び下側柱部材130のそれぞれに固定したままとすることができる。そして、据付け現場において、第1固定部材154及び第2固定部材155を再び取り付け、外側部材151を第1内側部材152及び第2内側部材153に固定することで、上側柱部材120及び下側柱部材130を再び連結することができる。このとき、第1及び第2位置決め部(第1孔151d、第2孔151e、第1ピンP1及び第2ピンP2)により、外側部材151と第1内側部材152及び第2内側部材153との位置関係が規定されることから、工場等において調整した位置関係が再現されるようにして上側柱部材120及び下側柱部材130が連結されることになる。したがって、特別な加工を施すことなく、調整した位置関係を再現できる。据付け現場において複数の柱部材110を連結する際に、調整された位置関係を容易に再現することが可能となる。品質の向上及び作業時間の短縮が可能となる。
【0056】
スタッカクレーン7では、第1位置決め部として第1孔151d及び第1ピンP1が設けられ、第2位置決め部として第2孔151e及び第2ピンP2が設けられている。外側部材151と第1内側部材152との位置関係の規定を、第1孔151dへの第1ピンP1の嵌合により実現することができる。また、外側部材151と第2内側部材153との位置関係の規定を、第2孔151eへの第2ピンP2の嵌合により実現することができる。
【0057】
スタッカクレーン7では、第1孔151d及び第1ピンP1は、それぞれ複数形成され、第2孔151eへの第2ピンP2は、それぞれ複数形成され、複数の第1孔151dのうちの何れか及び複数の第2孔151eのうちの何れかは、長孔である。この構成では、第1孔151dと第1ピンP1とを容易に嵌合させることができ、且つ、第2孔151eと第2ピンP2とを容易に嵌合させることができる。
【0058】
スタッカクレーン7では、連結構造150は、第1内側部材152と上側柱部材120との間、及び、第2内側部材153と下側柱部材130との間に介在されるシム板170を有している。第1内側部材152は上側柱部材120に一度固定されると取り外す必要がなく、同様に、第2内側部材153は下側柱部材130に一度固定されると取り外す必要がないことから、それらの間に介在されるシム板170も、一度取り付けると取り外す必要がない。よって、据付け現場において複数の柱部材110を連結する際に、シム板170の管理が不要となり、調整された位置関係を一層容易に再現することが可能となる。
【0059】
スタッカクレーン7では、連結構造150は、上側柱部材120及び下側柱部材130の側壁101及び後壁103に設けられていてもよい。この構成では、上側柱部材120及び下側柱部材130を精度よく連結することができる。また特に、高精度の連結が要求される面(例えば、側壁101の内面101a及び後壁103の前面103a)を、その高精度を満足して連結させることができる。
【0060】
スタッカクレーン7では、上側柱部材120及び下側柱部材130の側壁101に設けられる連結構造150は、外側部材151に連結され上側柱部材120及び下側柱部材130の前壁102に固定される前側部材158を更に有している。この構成では、マスト100の変形(例えば、一対の前壁102の間が開くような歪み)を効果的に抑えることができる。
【0061】
なお、スタッカクレーン7では、マスト100の剛性を高める(変形を抑える)ために、一つの柱部材110の側壁101の外面において上端部及び下端部に設けられた連結構造150の間の位置に、矩形板状の補強板190(
図2参照)が当接されて固定(締結)されている。このような補強板190は、場合によっては、設けられていなくてもよい。
【0062】
以上、実施形態について説明したが、本発明の一態様は、上記実施形態に限られず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0063】
例えば、上記実施形態では、上述のスタッカクレーン7とは異なる構成のスタッカクレーンに連結構造150を適用してもよい。上記実施形態では、搬送物の例としてFOUPのような格納容器90を例に挙げて説明したが、レチクルを格納するレチクルポッドであってもよい。また、段ボール、通函等の搬送物であってもよい。上記実施形態において、連結構造150の各部材の形状ないし材質は、特に限定されず、種々の形状ないし材質であってもよい。
【0064】
上記実施形態では、マスト100を構成する柱部材110の数は限定されず、2以上であればよい。上記実施形態では、連結構造150の数は限定されず、1又は2以上であればよい。上記実施形態では、第1固定部材154、第2固定部材155、第3固定部材156及び第4固定部材157は限定されず、例えばその他の一般的な締結具であってもよい。
【0065】
上記実施形態では、上側柱部材120及び下側柱部材130の側壁101及び後壁103の何れかのみに、1又は複数の連結構造150が設けられていてもよい。上記実施形態は、中間壁連結板160(
図3参照)を備えていなくてもよい。上記実施形態は、前側部材158(
図3参照)を備えていなくてもよい。上記実施形態では、シム板170(
図10参照)は、第1内側部材152と上側柱部材120との間、及び、第2内側部材153と下側柱部材130との間の少なくも一方に設けられていればよい。或いは、上記実施形態は、シム板170を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0066】
7…スタッカクレーン、73…昇降台、100…マスト、101…側壁、103…後壁、110…柱部材、120…上側柱部材(柱部材,第1柱部材)、130…下側柱部材(柱部材,第2柱部材)、150…連結構造、151…外側部材、151d…第1孔(第1位置決め部)、151e…第2孔(第2位置決め部)、152…第1内側部材、153…第2内側部材、154…第1固定部材、155…第2固定部材、156…第3固定部材、157…第4固定部材、158…前側部材、170…シム板、P1…第1ピン(第1位置決め部)、P2…第2ピン(第2位置決め部)。