(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188786
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ICパッケージの検査用ソケット
(51)【国際特許分類】
H01R 33/76 20060101AFI20221215BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20221215BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20221215BHJP
【FI】
H01R33/76 502C
H01R43/00 B
G01R31/26 J
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096202
(22)【出願日】2021-06-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000177690
【氏名又は名称】山一電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田原 将己
(72)【発明者】
【氏名】宮明 潤一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 優
【テーマコード(参考)】
2G003
5E024
5E051
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AG01
2G003AH07
5E024CA07
5E024CB04
5E051BA06
5E051BB01
(57)【要約】
【課題】上方又は下方又は上下両方から荷重を受けてICパッケージの裏面接触用のコンタクトピンがソケット本体に対して簡単に変位してしまうことを抑制すること。
【解決手段】ソケット本体10には、ソケット本体10の外周部に向かう接地コンタクトピン40の横移動を許容する空間8が設けられ、空間8における接地コンタクトピン40の横移動により接地コンタクトピン40がソケット本体10に取り付けられ、ソケット本体10により接地コンタクトピン40の上下方向の変位が阻止される。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICパッケージの検査用ソケットであって、
前記ICパッケージが載置される絶縁性のソケット本体と、
前記ICパッケージの端子に電気的に接続可能なように前記ソケット本体の外周部に取り付けられた一群の第1コンタクトピンと、
前記ICパッケージの底面で露出した放熱用及び/又は接地用パッドに接触可能なように前記ソケット本体に取り付けられ、前記第1コンタクトピンよりも前記ソケット本体の内側に位置する1以上の第2コンタクトピンと、を備え、
前記ソケット本体には、前記ソケット本体の外周部に向かう前記第2コンタクトピンの横移動を許容する空間が設けられ、前記空間における前記第2コンタクトピンの横移動により前記第2コンタクトピンが前記ソケット本体に取り付けられ、前記ソケット本体により前記第2コンタクトピンの上下方向の変位が阻止される、ソケット。
【請求項2】
前記空間は、前記第2コンタクトピンを保持するべく前記ソケット本体に設けられた保持溝を含み、前記保持溝は、前記ソケット本体の内側位置から前記ソケット本体の角部に向けて延びることを特徴とする請求項1に記載のソケット。
【請求項3】
前記空間は、前記第2コンタクトピンの前記保持溝への導入を促進するべく前記保持溝に空間的に連通した導入穴を更に含むことを特徴とする請求項2に記載のソケット。
【請求項4】
複数個の前記第2コンタクトピンを個別に保持するように複数個の前記保持溝が設けられ、前記導入穴は、複数個の前記保持溝に共通に設けられることを特徴とする請求項3に記載のソケット。
【請求項5】
前記空間は、前記第2コンタクトピンを保持するべく前記ソケット本体に設けられた保持溝を含み、
前記ソケット本体は、前記保持溝を画定するべく対向配置された一対の壁面と、前記一対の壁面の少なくとも一方に連結した複数の連結部を有し、前記複数の連結部は、前記第2コンタクトピンの挿入部が挿入される挿入路を形成するように設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のソケット。
【請求項6】
前記複数の連結部は、前記挿入路の長さ方向に沿って前記挿入路の上下両側に互い違いに配置されることを特徴とする請求項5に記載のソケット。
【請求項7】
前記複数の連結部は、前記第2コンタクトピンの挿入部が前記挿入路に圧入されるように設けられ、及び/又は、
前記第2コンタクトピンは、前記第2コンタクトピンの挿入部が前記挿入路に圧入されるように構成されることを特徴とする請求項5又は6に記載のソケット。
【請求項8】
前記第2コンタクトピンは、前記放熱用及び/又は接地用パッドに接触可能な上部接触部と、前記ソケットが実装される実装基板に接触可能な下部接触部と、前記上部接触部と前記下部接触部の間に設けられた中間部を有し、前記上部接触部は、上方から付与される荷重に応じて下方に弾性的に変位可能であり、前記下部接触部は、下方から付与される荷重に応じて上方に弾性的に変位可能であり、前記第2コンタクトピンの挿入部が前記中間部から横方向に延在することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載のソケット。
【請求項9】
前記ソケット本体からの前記第2コンタクトピンの脱落を阻止するべく、前記ソケット本体及び前記第2コンタクトピンに相補的な抜け止め構造が設けられることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のソケット。
【請求項10】
前記第2コンタクトピンは、前記放熱用及び/又は接地用パッドに接触可能な上部接触部と、前記ソケットが実装される実装基板に接触可能な下部接触部を有し、前記上部接触部は、上方から付与される荷重に応じて下方に弾性的に変位可能であり、前記下部接触部は、下方から付与される荷重に応じて上方に弾性的に変位可能であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のソケット。
【請求項11】
前記第1コンタクトピンの状態を切り替えるべく前記ソケット本体に対して上下動可能に設けられたカバーと、
前記第2コンタクトピンの状態を切り替えるべく前記カバーの上下動に連動して前記ソケット本体に対して上下動可能に設けられた浮動部材を更に備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のソケット。
【請求項12】
ICパッケージの検査用ソケットの製造方法であって、
絶縁性のソケット本体の外周部に一群の第1コンタクトピンを取り付ける工程と、
前記第1コンタクトピンよりも前記ソケット本体の内側の位置で前記ソケット本体に1以上の第2コンタクトピンを取り付ける工程にして、前記ソケット本体に設けられた空間において前記第2コンタクトピンが前記ソケット本体の外周部に向けて横移動して前記第2コンタクトピンが前記ソケット本体に取り付けられ、前記ソケット本体により前記第2コンタクトピンの上下方向の変位が阻止される工程を含む、ソケットの製造方法。
【請求項13】
前記第2コンタクトピンは、前記ICパッケージの底面で露出した放熱用及び/又は接地用パッドに接触可能な上部接触部と、前記ソケットが実装される実装基板に接触可能な下部接触部と、前記上部接触部と前記下部接触部の間に設けられた中間部を有し、前記上部接触部は、上方から付与される荷重に応じて下方に弾性的に変位可能であり、前記下部接触部は、下方から付与される荷重に応じて上方に弾性的に変位可能であり、前記中間部には前記空間として前記ソケット本体に設けられた保持溝に対して挿入される挿入部が設けられることを特徴とする請求項12に記載のソケットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC(Integrated Circuit)パッケージの検査用ソケット及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
SOP(Small Outline Package)やQFP(Quad Flat Package)といったICパッケージには、リード端子に加え、ICパッケージの裏面に放熱用及び/又は接地用のパッドが設けられる場合がある。このようなICパッケージの検査時、ICパッケージの裏面(例えば、パッド)に対して熱的又は電気的に接続されるコンタクトピンを設けることが望まれる場合がある(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-5130号公報
【特許文献2】特開2005-166270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リード端子に接続される信号コンタクトピンがソケット本体の外周部に設けられる場合、ICパッケージの裏面接触用のコンタクトピンをソケット本体に設ける態様に制約が生じる。このような制約の中、ソケット本体にICパッケージの裏面接触用のコンタクトピンを設けるため、ソケット本体に垂直方向にそのコンタクトピンを挿入して固定することができる。しかしながら、同垂直方向においてコンタクトピンに荷重が付与されると、コンタクトピンが容易に変位し、取付け姿勢が変化してしまうおそれがある。
【0005】
更には、コンタクトピンの上部接触部は、ICパッケージの検査の度に、ICパッケージの底面に接触して下向きの荷重を受ける場合がある。また、コンタクトピンの下部接触部は、ソケットが実装基板上に実装された状態で実装基板から上向きの荷重を受ける場合がある。更には、ソケットの製造過程又は運搬過程においてもコンタクトピンにはその変位又は姿勢変化を生じさせる外力が付与される可能性がある。ソケット本体におけるコンタクトピンの変位又は姿勢変化は、ICパッケージ又は実装基板との電気的又は熱的な接続状態に影響を与えるおそれがあり、望ましいものではない。
【0006】
上述の例示的な課題の下、本願発明者は、上方又は下方又は上下両方から荷重を受けてICパッケージの裏面接触用のコンタクトピンがソケット本体に対して簡単に変位してしまうことを抑制する課題を新たに見出した。なお、この課題は、ソケットのコンタクトピンが実装基板に対して半田付けにより電気又は熱的に接続される方式、ソケットのコンタクトピンが実装基板から上向きの荷重を受けた状態で実装基板に電気又は熱的に接続される方式、他の方式のいずれにおいても生じ得る。ソケットのコンタクトピンが実装基板から上向きの荷重を受けた状態で実装基板に電気又は熱的に接続される方式では、コンタクトピンが実装基板から上向きの荷重を常に受けるため、垂直方向の荷重をより受けやすいものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るICパッケージの検査用ソケットは、ICパッケージが載置される絶縁性のソケット本体と、ICパッケージの端子(例えば、リード端子)に電気的に接続可能なようにソケット本体の外周部に取り付けられた一群の第1コンタクトピンと、ICパッケージの底面で露出した放熱用及び/又は接地用パッドに接触可能なようにソケット本体に取り付けられ、第1コンタクトピンよりもソケット本体の内側に位置する1以上の第2コンタクトピンを含む。ソケット本体には、ソケット本体の外周部に向かう第2コンタクトピンの横移動を許容する空間が設けられ、空間における第2コンタクトピンの横移動により第2コンタクトピンがソケット本体に取り付けられ、ソケット本体により第2コンタクトピンの上下方向の変位が阻止される。
【0008】
幾つかの実施形態においては、第1コンタクトピンが信号コンタクトピンであり、第2コンタクトピンが接地又は放熱コンタクトピンである。第1コンタクトピンは、ICパッケージのリード端子を挟むように構成され得る。
【0009】
幾つかの実施形態においては、空間は、第2コンタクトピンを保持するべくソケット本体に設けられた保持溝を含む。空間は、第2コンタクトピンの保持溝への導入を促進するべく保持溝に空間的に連通した導入穴を更に含むことができる。保持溝は、ソケット本体の内側位置からソケット本体の角部に向けて延び得る。ソケット本体を上面視する時、保持溝は、ソケット本体の角部(例えば、柱部)と角部の間を細長く延び得る。ソケット本体に導入穴が設けられる場合、ソケット本体を上面視する時、保持溝は、ソケット本体の角部(例えば、柱部)と導入穴の間を細長く延び得る。導入穴の形状や大きさは、様々であり得る。導入穴には、第2コンタクトピンとは同じ又は異なる目的のために設けられた第3コンタクトピン(例えば、放熱コンタクトピン)が配置され得る。
【0010】
幾つかの実施形態においては、複数個の第2コンタクトピンを個別に保持するように複数個の保持溝が設けられ、導入穴は、複数個の保持溝に共通に設けられる。
【0011】
幾つかの実施形態においては、空間は、第2コンタクトピンを保持するべくソケット本体に設けられた保持溝を含み、ソケット本体は、保持溝を画定するべく対向配置された一対の壁面と、一対の壁面の少なくとも一方に連結した複数の連結部を有し、複数の連結部は、第2コンタクトピンの挿入部が挿入される挿入路を形成するように設けられる。
【0012】
幾つかの実施形態においては、複数の連結部は、挿入路の長さ方向に沿って挿入路の上下両側に互い違いに配置される。
【0013】
幾つかの実施形態においては、複数の連結部は、第2コンタクトピンの挿入部が挿入路に圧入されるように設けられ、及び/又は、第2コンタクトピンは、第2コンタクトピンの挿入部が挿入路に圧入されるように構成される。
【0014】
幾つかの実施形態においては、第2コンタクトピンが、複数個、別々にソケット本体に設けられ、導入穴は、複数個の第2コンタクトピンを個別に保持するように設けられた複数個の保持溝に共通に設けられる。
【0015】
幾つかの実施形態においては、第2コンタクトピンは、放熱用及び/又は接地用パッドに接触可能な上部接触部と、ソケットが実装される実装基板に接触可能な下部接触部と、上部接触部と下部接触部の間に設けられた中間部を有し、上部接触部は、上方から付与される荷重に応じて下方に弾性的に変位可能であり、下部接触部は、下方から付与される荷重に応じて上方に弾性的に変位可能であり、第2コンタクトピンの挿入部が中間部から横方向に延在する。
【0016】
幾つかの実施形態においては、ソケット本体からの第2コンタクトピンの脱落を阻止するべく、ソケット本体及び第2コンタクトピンに相補的な抜け止め構造が設けられる。
【0017】
幾つかの実施形態においては、第2コンタクトピンは、放熱用及び/又は接地用パッドに接触可能な上部接触部と、ソケットが実装される実装基板に接触可能な下部接触部を有し、上部接触部は、上方から付与される荷重に応じて下方に弾性的に変位可能であり、下部接触部は、下方から付与される荷重に応じて上方に弾性的に変位可能である。
【0018】
幾つかの実施形態においては、検査用ソケットは、第1コンタクトピンの状態を切り替えるべくソケット本体に対して上下動可能に設けられたカバーと、第2コンタクトピンの状態を切り替えるべくカバーの上下動に連動してソケット本体に対して上下動可能に設けられた浮動部材を更に含む。
【0019】
本開示の別態様に係るICパッケージの検査用ソケットの製造方法は、絶縁性のソケット本体の外周部に一群の第1コンタクトピンを取り付ける工程と、第1コンタクトピンよりもソケット本体の内側の位置でソケット本体に1以上の第2コンタクトピンを取り付ける工程にして、ソケット本体に設けられた空間において第2コンタクトピンがソケット本体の外周部に向けて横移動して第2コンタクトピンがソケット本体に取り付けられ、ソケット本体により第2コンタクトピンの上下方向の変位が阻止される工程を含む。
【発明の効果】
【0020】
本開示の一態様によれば、上方又は下方又は上下両方から荷重を受けてICパッケージの裏面接触用のコンタクトピンがソケット本体に対して簡単に変位してしまうことを抑制することができ、ICパッケージとの電気的又は熱的な接続の信頼性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の一態様に係るICパッケージの検査用ソケットの概略的な斜視図である。
【
図2】本開示の一態様に係る検査用ソケットの概略的な分解斜視図である。なお、ソケット本体には信号コンタクトピンが取り付けられていない。
【
図3】本開示の一態様に係る検査用ソケットの概略的な上面図である。
【
図4】
図3の一点鎖線A-Aに沿う概略的な断面図であり、ソケットが第1状態にある。
【
図5】
図3の一点鎖線A-Aに沿う概略的な断面図であり、ソケットが第2状態にある。
【
図6】
図3の一点鎖線B-Bに沿う概略的な断面図であり、ソケットが第1状態にある。
【
図7】
図3の一点鎖線B-Bに沿う概略的な断面図であり、ソケットが第2状態にある。
【
図8】ソケットが第2状態の時、ICパッケージがソケット本体上に載置される過程を示す模式図である。
【
図9】ソケットが第2状態から第1状態になり、ICパッケージのリード端子が信号コンタクトピンにより挟持されることを示す模式図である。
【
図10】ソケットが第2状態の時、接地コンタクトピンがICパッケージ(不図示)に接触しない状態にあることを示す模式図である。
【
図11】ソケットが第2状態から第1状態になり、接地コンタクトピンがICパッケージ(不図示)の裏面に接触可能な状態にあることを示す模式図である。
【
図12】接地コンタクトピンがICパッケージの裏面に接触した状態を示す模式図である。
【
図13】ソケット本体に対して接地コンタクトピンを横方向に動かして取り付けることを示す模式図である。
【
図14】接地コンタクトピンの変位又は脱落を阻止するプラグを用いるバリエーションを示す模式図である。
【
図15】ソケット本体及び接地コンタクトピンに相補的な抜け止め構造が設けられるバリエーションを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る様々な実施形態及び特徴について説明する。当業者は、過剰説明を要せず、各実施形態及び/又は各特徴を組み合わせることができ、この組み合わせによる相乗効果も理解可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明の記述を主たる目的とするものであり、作図の便宜のために簡略化されている。各特徴は、本明細書に開示されたソケット及びその製造方法にのみ有効であるものではなく、本明細書に開示されていない他の様々なソケット及びその製造方法にも通用する普遍的な特徴として理解される。
【0023】
図1は、ICパッケージの検査用ソケット91(以下、単にソケット91)の概略的な斜視図である。
図2は、ソケット91の概略的な分解斜視図である。
図3は、ソケット91の概略的な上面図である。なお、ソケット本体10には信号コンタクトピン20が取り付けられていない。
図4は、
図3の一点鎖線A-Aに沿う概略的な断面図であり、ソケットが第1状態にある。
図5は、
図3の一点鎖線A-Aに沿う概略的な断面図であり、ソケットが第2状態にある。
【0024】
図1に示すように、ソケット91は、オープントップ型ソケットであり、テストボードと呼ばれる実装基板92上に実装される。実装基板92に対してソケット91を固定する態様は様々であり、例えば、ネジ止めにより強固に固定される。ソケット91に受け入れられたICパッケージがソケット91を介して実装基板92に電気的及び熱的に接続される。言うまでもなく、オープントップ型以外の種類のソケットも採用可能である。
【0025】
ICパッケージは、典型的には、SOP(Small Outline Package)やQFP(Quad Flat Package)といったものである。ICパッケージは、1以上のICチップがリードフレームに実装され、これが樹脂封止されて製造される。ICパッケージの樹脂封止部から多数のリード端子(例えば、ガルウィング形リード端子)が延出する。ICパッケージの底面において、放熱用及び/又は接地用のパッド(露出金属領域)が露出して設けられる。換言すれば、そのパッドの露出のためにICパッケージの絶縁材料が部分的に除去され、又は形成されない。このパッドを介してICパッケージ内の半導体チップで生じる熱をICパッケージ外に放熱することができ、及び/又は、ICパッケージ内の半導体チップの接地電位をICパッケージ外から設定可能にすることができる。QFPにおいては、その矩形の樹脂封止部の4辺にてリード端子が一定ピッチで高密度に整列されている。
【0026】
図1及び
図2に示すように、ソケット91は、ICパッケージが載置される絶縁性のソケット本体10と、ICパッケージのリード端子に電気的に接続可能なようにソケット本体10の外周部に取付固定された信号コンタクトピン20(第1コンタクトピン)と、信号コンタクトピン20よりもソケット本体10の内側の位置でICパッケージの底面に接触可能なようにソケット本体10に取付固定された接地コンタクトピン40(第2コンタクトピン)を有する。更に、ソケット91は、信号コンタクトピン20よりもソケット本体10の内側の位置でICパッケージの底面に接触可能なようにソケット本体10に設けられた放熱コンタクトピン30(第3コンタクトピン)と、信号コンタクトピン20の状態を切り替えるべくソケット本体10に対して上下動可能に設けられたカバー50と、放熱コンタクトピン30と接地コンタクトピン40の状態を切り替えるべくカバー50の上下動に連動してソケット本体10に対して上下動可能に設けられた浮動部材60を有する。
【0027】
ソケット本体10は、実装基板92上に固定される絶縁性の固定部材であり、必ずしもこの限りではないが、ベース部材10Aと底カバー10Bの組み合わせにより構成される。ベース部材10Aは、信号コンタクトピン20が取付固定される外周部6と、放熱コンタクトピン30と接地コンタクトピン40が設けられる内側部分7を有する。内側部分7は、ICパッケージの受容空間が形成されるように外周部6の上面から下方にオフセットして設けられる。底カバー10Bは、浮動部材60を挟むようにベース部材10Aの内側部分7に取付固定され、この結果、内側部分7と浮動部材60が底カバー10Bにより上方から被覆される。
【0028】
ベース部材10Aの外周部6の角部には柱11が設けられる。柱11には後述の浮動部材60の円筒部63を受容する空間が設けられ、また、柱11の内側壁には、浮動部材60の上下変位を許容するための上下に長い切り欠きが設けられる。隣接する柱11の間には保持溝配置部12が設けられる。各保持溝配置部12には信号コンタクトピン20が挿し込まれて保持される多数の保持溝が設けられる。隣接する隔壁の間に各保持溝が形成され、隣接する保持溝に保持された信号コンタクトピン20同士の絶縁が確保される。
【0029】
底カバー10Bは、ICパッケージが載置される上面14を有し、ベース部材10Aの内側部分7上に取付固定される。特には、底カバー10Bの上面14の周縁には上向きに突出したリブ15が設けられ、上面14上でのICパッケージ(特に、その樹脂封止部)の位置決めが促進される。底カバー10Bは、浮動部材60の上下変位を案内するX字状の案内穴G1を有し、これが底カバー10Bの上面14に開口を形成する。案内穴G1には、後述の浮動部材60の一部(例えば、中央部61の全体及び延在部62の一部)が受容される。底カバー10Bに4つの脚96が設けられ、脚96が、各々、ベース部材10Aの内側部分7の保持溝に挿入される。保持溝への脚96の挿入過程で、脚96の下端の突起が、保持溝の壁面に設けられた突起を乗り越え、これにより、ベース部材10Aに底カバー10Bが係止される。
【0030】
放熱コンタクトピン30は、上下方向に伸縮可能なばね性を持つロッド型の金属製部材である。例えば、放熱コンタクトピン30が複数パーツの組立品であり、
図2に示すように、相対的に変位可能な上下パーツ31,32と、上下パーツ31,32のフランジ33,34の間で保持され、上下パーツ31,32を上下方向にて反対側に付勢するばね35を有する。上パーツ31は、その上面にてICパッケージの底面の放熱パッドに接触する。下パーツ32は、その下面にて実装基板92の放熱配線に接触する。上パーツ31と下パーツ32は、放熱コンタクトピン30の伸縮可能とする態様でお互いに分離しないように機械的に連結されている。
【0031】
接地コンタクトピン40は、上下方向に伸縮可能なばね性を持つピン型の金属製部材であり、例えば、表面にめっき層が形成された銅又は銅合金から成る。接地コンタクトピン40は、
図2に示すように、中間部41と、実装基板92の配線パッドに弾性的に接触するべく中間部41にばね部43を介して連結した下部接触部42と、ICパッケージの底面に弾性的に接触するべく中間部41にばね部45を介して連結した上部接触部44と、浮動部材60の押圧部66により下方に押されるべく上部接触部44及びばね部45を介して中間部41に連結した被押圧部46を有する。接地コンタクトピン40の中間部41には挿入部49が設けられ、後述のベース部材10Aの保持溝17に設けられた挿入路81に挿入されて保持される。
【0032】
放熱コンタクトピン30の数と接地コンタクトピン40の数は、適宜、変更可能である。例えば、放熱コンタクトピン30の増加によりソケット91の放熱性能が高められる。接地コンタクトピン40の数の増加により接地抵抗が低減される。
【0033】
信号コンタクトピン20は、上下方向に伸縮可能なばね性を持つピン型の金属製部材であり、例えば、表面にめっき層が形成された銅又は銅合金から成る。
図4及び
図5に示すように、信号コンタクトピン20は、中間部21と、実装基板92の配線パッドに弾性的に接触するべく中間部21にばね部23を介して連結した下部接触部22と、ICパッケージのリード端子の端部を挟み込むべく構成された挟み込み部24を有する。
【0034】
挟み込み部24は、ICパッケージのリード端子の端部が置かれて接触する接触部25と、接触部25に向けて付勢されるべくばね部27を介して中間部21に連結した押さえ部26と、押さえ部26を接触部25から引き離すべくカバー50により操作されるレバー28を有する。
【0035】
中間部21には挿入部29が設けられ、ベース部材10Aの外周部6の保持溝配置部12に設けられたスロット13に圧入される。スロット13へ挿入部29が圧入されることによりベース部材10Aの保持溝配置部12に信号コンタクトピン20が取付固定される。なお、信号コンタクトピン20は、データ伝送、制御信号伝送、テスト信号伝送、クロック信号伝送といった様々な目的のために用いられる伝送線路である。
【0036】
カバー50は、ICパッケージが通過可能な窓が形成された樹脂製の矩形枠51を有する。矩形枠51の内面には下方に向かって窓幅を狭くする傾斜案内面が形成されており、ソケット本体10へのICパッケージの円滑な移動が促進される。矩形枠51の四隅には下方に延びる4本の中空の円筒部52が設けられる。円筒部52の孔は、矩形枠51の上面に到達し、矩形枠51の上面にて開口する。
【0037】
矩形枠51には信号コンタクトピン20のレバー28が下方から挿入される溝53が設けられる。カバー50が下降する時、レバー28が溝53により深く進入し、溝53の底面53Bに接触する。更なるカバー50の下降により、レバー28が溝53の底面53Bにより外側に押され、接触部25から押さえ部26が上方に引き離される。
【0038】
浮動部材60は、中央部61と、中央部61から放射状に延びる4本の延在部62を有するX字状部材である。中央部61には放熱コンタクトピン30の上部が配置されて係合する係合孔64が設けられる。浮動部材60の係合孔64は、上部孔64Aと下部孔64Bに区分され、両者の間に中心軸CLに交差又は直交する段差面である被押圧面が形成される。この被押圧面に放熱コンタクトピン30(例えば、フランジ33)が接触し、浮動部材60が上方に付勢される。なお、上部孔64Aは、下部孔64Bと比較して縮径されている。なお、放熱コンタクトピン30は、浮動部材60が下降する時、浮動部材60から下向きの荷重を受けて収縮する。このカバー50への下向きの荷重が解除されると、放熱コンタクトピン30が伸長し、放熱コンタクトピン30により浮動部材60が上向きに押される。
【0039】
延在部62には接地コンタクトピン40の上部(端的には、上部接触部44、ばね部45、被押圧部46)の挿入を許容する挿入溝65が設けられる。挿入溝65には、浮動部材60の下降時、接地コンタクトピン40の被押圧部46を下方に押す押圧部66が設けられる。押圧部66の直下に被押圧部46が設けられ、浮動部材60の下降時、被押圧部46が押圧部66により下方に押される。押圧部66と比較してソケット91の中心軸CL側に隣接して上部接触部44の挿入空間が設けられ、この反対側にばね部45の挿入空間が設けられる。押圧部66が被押圧部46を下方に押すと、接地コンタクトピン40の上部接触部44がソケット91の中心軸CL寄り及び/又は下方に変位する。カバー50への下向きの荷重が解除されると、浮動部材60が上昇し、接地コンタクトピン40が初期姿勢に復帰する。
【0040】
各延在部62の外端には、カバー50の円筒部52と同軸上に配置されるべき中空の円筒部63が設けられる。浮動部材60の円筒部63の貫通孔にカバー50の円筒部52が挿入される。浮動部材60の円筒部63とカバー50の円筒部52の間にばね71が設けられた状態で、浮動部材60とカバー50がピン72により機械的に連結される。ばね71は、圧縮コイルばねであり、カバー50と浮動部材60は、ばね71により上下方向でお互いに離れる方向に付勢される。ベース部材10Aとカバー50の間にばね71’が設けられ、ばね71’によりこれらがお互いに離れる方向に付勢される。
【0041】
カバー50と浮動部材60は次のように組立可能である。まず、円筒部52が、ばね71に通され、続いて浮動部材60の円筒部63に通される。円筒部52と円筒部63の間にばね71が配置された状態になる。円筒部52内にピン72を挿入し、ピン72の挿入端を加締める。このようにしてカバー50と浮動部材60が組付けられる。
【0042】
底カバー10Bがベース部材10Aに取り付けられる時、ベース部材10Aと底カバー10Bにより浮動部材60が挟まれる。従って、浮動部材60とカバー50の組立品がソケット本体10から脱落することは阻止されている。当然ながら、浮動部材60とカバー50の組立品は、ソケット本体10に対して上下動可能に設けられる。
【0043】
図6は、
図3の一点鎖線B-Bに沿う概略的な断面図であり、ソケットが第1状態にある。
図7は、
図3の一点鎖線B-Bに沿う概略的な断面図であり、ソケットが第2状態にある。
図6及び
図7から分かるように、ソケット本体10には、接地コンタクトピン40を保持する保持溝17と、接地コンタクトピン40の保持溝17への導入を促進するべく保持溝17に空間的に連通した導入穴16が設けられる。導入穴16は、ソケット91の中心軸CL上に設けられ、ソケット本体10の内側部分(例えば、内側部分7)を貫通する。保持溝17は、ソケット本体10の内側位置から外周部6に向けて延びる部分を含む。詳細には、保持溝17を画定する各壁面18は、導入穴16を画定する壁面からソケット本体10の外周部6(例えば、その角部(例えば、柱11))に向けて延びる。
【0044】
本実施形態においては、ソケット本体10には、ソケット本体10の外周部6に向かう接地コンタクトピン40の横移動を許容する空間8が設けられ、空間8における接地コンタクトピン40の横移動により接地コンタクトピン40がソケット本体10に取り付けられ、ソケット本体10により接地コンタクトピン40の上下方向の変位が阻止される。例えば、接地コンタクトピン40の下側部分が導入穴16に上方から導入されて収容される。次に、接地コンタクトピン40の下側部分が導入穴16から保持溝17に向けて動かされ、保持溝17に挿入されて保持される。このように、接地コンタクトピン40の横移動を介して接地コンタクトピン40がソケット本体10に取り付けられ、ソケット本体10により接地コンタクトピン40の上下方向の変位が阻止される。ソケット本体10における接地コンタクトピン40の変位又は姿勢変化が抑制され、ICパッケージ又は実装基板との電気的又は熱的な接続の信頼性が高められる。
【0045】
なお、上述の空間8には、保持溝17の保持空間が含まれる。ソケット本体10に導入穴16が設けられる場合、上述の空間8には、導入穴16の内部空間も含まれる。必ずしもこの限りではないが、完成状態のソケット91では、導入穴16に放熱コンタクトピン30が配置され、保持溝17に接地コンタクトピン40が配置される。従って、本明細書において、空間とは、そこに何も物体が置かれていない状態を意味しないことに留意されたい。
【0046】
接地コンタクトピン40の横移動方向は、典型的にはソケット91の中心軸CLに対して直交する方向に一致するが、必ずしもこれに限られず、ソケット91の中心軸CLに対して直交する方向に対してある角度(例えば、35°以下)をなすように傾斜しても構わない。導入穴16は、保持溝17への接地コンタクトピン40の挿入を可能とするために設けられる。導入穴16に放熱コンタクトピン30を配置することは必ずしも必要ない。
【0047】
幾つかの場合、複数個の接地コンタクトピン40を個別に保持するように複数個の保持溝17が(例えば、放射状に)設けられる。導入穴16は、複数個の保持溝17に共通に設けられ、ソケット本体10の小型化が促進される。
【0048】
幾つかの場合、ソケット本体10は、保持溝17を画定するべく対向配置された一対の壁面18と、一対の壁面18の少なくとも一方(図示例では、両方)に連結した複数の連結部19を有し、複数の連結部19が、接地コンタクトピン40の挿入部49が挿入される挿入路81を形成するように配置される。接地コンタクトピン40の挿入部49が挿入路81に挿入(例えば、圧入)されて保持される。
【0049】
2以上(好ましくは3つ以上)の連結部19が、挿入路81の長さ方向に沿って挿入路81の上下両側に互い違いに配置され得る。この場合、汎用の射出成型技術で連結部19を形成することができる。挿入路81の長さ方向は、典型的には、ソケット91の中心軸CLに直交する方向であるが、ある角度で傾斜しても構わない。挿入路81への圧入のために接地コンタクトピン40の挿入部49を適切に形状付けることもできる。接地コンタクトピン40の保持のため、又は別の目的のため、壁面18に凸部又は凹部を設けることもできる。
【0050】
以下、
図8乃至
図12を参照してICパッケージ200をソケット本体10上に載置する過程について説明する。
図8は、ソケット91が第2状態の時、ICパッケージ200がソケット本体上に載置される過程を示す模式図である。
図9は、ソケット91が第2状態から第1状態になり、ICパッケージ200のリード端子202が信号コンタクトピンにより挟持されることを示す模式図である。
図10は、ソケット91が第2状態の時、第2コンタクトピンがICパッケージ(不図示)に接触しない状態にあることを示す模式図である。
図11は、ソケット91が第2状態から第1状態になり、第2コンタクトピンがICパッケージ(不図示)の裏面に接触可能な状態にあることを示す模式図である。
図12は、第2コンタクトピンがICパッケージの裏面に接触した状態を示す模式図である。
【0051】
図8及び
図10に示す時、ソケット91が第2状態にあり、ソケット91にICパッケージ200をセットすることが可能である。カバー50が下方に押され、ソケット91は、第1状態から第2状態に推移する。詳細には、カバー50の下降に同調して浮動部材60も下降する。カバー50及び浮動部材60が下降する過程で、カバー50が信号コンタクトピン20を操作し、ICパッケージのリード端子を受け入れ可能な状態とする。例えば、カバー50がレバー28を外側に倒し、押さえ部26が接触部25から上方に引き離される。また、浮動部材60が放熱コンタクトピン30を下方に押し、続いて接地コンタクトピン40の被押圧部46を下方に押して上部接触部44の位置が低くなる。これにより、ICパッケージの底面に放熱コンタクトピン30及び接地コンタクトピン40が接触することが回避される。
【0052】
図9及び
図11に示す時、ソケット91が第1状態に復帰しており、ソケット91上にICパッケージ200がしっかりとセットされている。カバー50の下方への押圧を解除すると、ソケット91は自動的に第2状態から第1状態に復帰する。詳細には、カバー50の上昇に同調して浮動部材60も上昇する。カバー50及び浮動部材60が上昇する過程で、信号コンタクトピン20が初期姿勢に復帰し、レバー28が内側に動き、押さえ部26が接触部25に接近し、両者の間でICパッケージ200のリード端子202の先端が挟まれる。放熱コンタクトピン30が上方に伸長し、浮動部材60が上方に押され、接地コンタクトピン40の上部接触部44が元の高さまで移動する。これによって、ICパッケージ200の本体部201の底面への放熱コンタクトピン30及び接地コンタクトピン40の接触が確保される(
図12参照)。
【0053】
ソケット91からICパッケージを取り外す方法については、上述の説明から理解可能であり、省略する。
【0054】
次に、ソケット91の製造方法の概要について説明する。該製造方法は、絶縁性のソケット本体10の外周部6に一群の信号コンタクトピン20を取り付ける工程と、信号コンタクトピン20よりもソケット本体10の内側の位置でソケット本体10に1以上の接地コンタクトピン40を取り付ける工程を含む。ここで、ソケット本体10に設けられた空間8において接地コンタクトピン40がソケット本体10の外周部6に向けて横移動して接地コンタクトピン40がソケット本体10に取り付けられ、ソケット本体10により接地コンタクトピン40の上下方向の変位が阻止される。接地コンタクトピン40のセット後、放熱コンタクトピン30が導入穴16に配置される。接地コンタクトピン40の移動は、ヒト又はロボットにより行われる。コンタクトピンは、変形しやすい金属部品であるため、ピンセット等により慎重に取り扱うことが望まれる。ベース部材10Aと底カバー10Bの連結や、浮動部材60とカバー50の組立品の取り付けについては既に説明しており、これらの繰り返しの説明は省略する。
【0055】
図13に示すように、接地コンタクトピン40を下降することにより接地コンタクトピン40を導入穴16内に配置する。続いて、接地コンタクトピン40をソケット本体10の外周部6に向けて横方向に移動する。これにより、接地コンタクトピン40の挿入部49が保持溝17に挿入されて保持される。具体的には、接地コンタクトピン40の挿入部49が、複数の連結部19により形成された挿入路81に挿入されて保持される。
【0056】
ソケット本体10に接地コンタクトピン40に加えて放熱コンタクトピン30も設けられる場合、ソケット本体10における放熱コンタクトピン30の配置空間(端的には、導入穴16)を保持溝17への接地コンタクトピン40の横移動のために兼用していると理解することができる。
【0057】
なお、導入穴16に放熱コンタクトピン30を配置することにより接地コンタクトピン40が保持溝17から脱落することを阻止することもでき得る。放熱コンタクトピン30の代替として、保持溝17から接地コンタクトピン40が抜けることを阻止する抜け止め部材250を設けることもできる(
図14参照)。
【0058】
ソケット本体10からの接地コンタクトピン40の脱落を阻止するべく、ソケット本体10及び接地コンタクトピン40に相補的な抜け止め構造を設けることもできる(
図15参照)。ソケット本体10の保持溝17の壁面18に係止部181が設けられ、接地コンタクトピン40に被係止部47が設けられる。接地コンタクトピン40を保持溝17に挿入すると被係止部47が係止部181により係止される。接地コンタクトピン40の挿入完了を示すスナップ感覚も得られ、接地コンタクトピン40の不十分な挿入が抑制される。被係止部47は、凹部であり、係止部181は、凹部に進入可能なランス(斜めに傾斜した金属片)である。係止部181と被係止部47の凸凹関係を反転させても良い。
【0059】
上述の教示を踏まえると、当業者は、各実施形態及び各特徴に対して様々な変更を加えることができる。ソケット本体10上に置かれたICパッケージの底面に接触しないように放熱コンタクトピン30と接地コンタクトピン40を操作することはオプションであり、実施形態によっては省略可能である。導入穴は円柱状の空間に限られず、保持溝と同様に、所定方向に細長いスリット状に形成されても良い。導入穴の位置、個数は変更可能である。
【符号の説明】
【0060】
8 空間
10 ソケット本体
16 導入穴
17 保持溝
20 信号コンタクトピン(第1コンタクトピン)
30 放熱コンタクトピン
40 接地コンタクトピン(第2コンタクトピン)
91 ソケット
【手続補正書】
【提出日】2022-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICパッケージの検査用ソケットであって、
前記ICパッケージが載置される絶縁性のソケット本体と、
前記ICパッケージの端子に電気的に接続可能なように前記ソケット本体の外周部に取り付けられた一群の第1コンタクトピンと、
前記ICパッケージの底面で露出した放熱用及び/又は接地用パッドに接触可能なように前記ソケット本体に取り付けられ、前記第1コンタクトピンよりも前記ソケット本体の内側に位置する1以上の第2コンタクトピンと、を備え、
前記ソケット本体には、前記ソケット本体の内側から前記ソケット本体の外周部に向かう前記第2コンタクトピンの横移動を許容する空間が設けられ、前記空間における前記第2コンタクトピンの前記横移動により前記第2コンタクトピンが前記ソケット本体に取り付けられ、前記ソケット本体により前記第2コンタクトピンの上下方向の変位が阻止され、
前記ソケット本体には、前記空間の形成のために少なくとも保持溝と導入穴が形成され、前記保持溝は、前記第2コンタクトピンを保持するべく形成され、かつ前記ソケット本体の内側から前記ソケット本体の角部に向けて延び、前記導入穴は、前記第2コンタクトピンの前記保持溝への導入を許すべく前記保持溝に空間的に連通する、ソケット。
【請求項2】
前記導入穴は、前記ソケットの中心軸上に設けられる、請求項1に記載のソケット。
【請求項3】
前記導入穴は、前記ソケット本体の内側部分を貫通する、請求項1又は2に記載のソケット。
【請求項4】
複数個の前記第2コンタクトピンを個別に保持するように複数個の前記保持溝が設けられ、前記導入穴は、複数個の前記保持溝に共通に設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のソケット。
【請求項5】
前記ソケット本体は、前記保持溝を画定するべく対向配置された一対の壁面と、前記一対の壁面の少なくとも一方に連結した複数の連結部を有し、前記複数の連結部は、前記第2コンタクトピンの挿入部が挿入される挿入路を形成するように設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のソケット。
【請求項6】
前記複数の連結部は、前記挿入路の長さ方向に沿って前記挿入路の上下両側に互い違いに配置されることを特徴とする請求項5に記載のソケット。
【請求項7】
前記複数の連結部は、前記第2コンタクトピンの挿入部が前記挿入路に圧入されるように設けられ、及び/又は、
前記第2コンタクトピンの挿入部は、前記挿入路に圧入されるように構成されることを特徴とする請求項5又は6に記載のソケット。
【請求項8】
ICパッケージの検査用ソケットであって、
前記ICパッケージが載置される絶縁性のソケット本体と、
前記ICパッケージの端子に電気的に接続可能なように前記ソケット本体の外周部に取り付けられた一群の第1コンタクトピンと、
前記ICパッケージの底面で露出した放熱用及び/又は接地用パッドに接触可能なように前記ソケット本体に取り付けられ、前記第1コンタクトピンよりも前記ソケット本体の内側に位置する1以上の第2コンタクトピンと、を備え、
前記ソケット本体には、前記ソケット本体の内側から前記ソケット本体の外周部に向かう前記第2コンタクトピンの横移動を許容する空間が設けられ、前記空間における前記第2コンタクトピンの前記横移動により前記第2コンタクトピンが前記ソケット本体に取り付けられ、前記ソケット本体により前記第2コンタクトピンの上下方向の変位が阻止され、
前記ソケット本体には、前記空間の少なくとも一部の形成のために少なくとも保持溝が形成され、前記保持溝は、前記第2コンタクトピンを保持するべく形成され、
前記ソケット本体は、前記保持溝を画定するべく対向配置された一対の壁面と、前記一対の壁面の少なくとも一方に連結した複数の連結部を有し、前記複数の連結部は、前記第2コンタクトピンの挿入部が挿入される挿入路を形成するように設けられ、
前記第2コンタクトピンは、前記放熱用及び/又は接地用パッドに接触可能な上部接触部と、前記ソケットが実装される実装基板に接触可能な下部接触部と、前記上部接触部と前記下部接触部の間に設けられた中間部を有し、前記上部接触部は、上方から付与される荷重に応じて下方に弾性的に変位可能であり、前記下部接触部は、下方から付与される荷重に応じて上方に弾性的に変位可能であり、前記第2コンタクトピンの挿入部が前記中間部から横方向に延在する、ソケット。
【請求項9】
前記ソケット本体からの前記第2コンタクトピンの脱落を阻止するべく、前記ソケット本体及び前記第2コンタクトピンに相補的な抜け止め構造が設けられることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のソケット。
【請求項10】
ICパッケージの検査用ソケットであって、
前記ICパッケージが載置される絶縁性のソケット本体と、
前記ICパッケージの端子に電気的に接続可能なように前記ソケット本体の外周部に取り付けられた一群の第1コンタクトピンと、
前記ICパッケージの底面で露出した放熱用及び/又は接地用パッドに接触可能なように前記ソケット本体に取り付けられ、前記第1コンタクトピンよりも前記ソケット本体の内側に位置する1以上の第2コンタクトピンと、を備え、
前記ソケット本体には、前記ソケット本体の内側から前記ソケット本体の外周部に向かう前記第2コンタクトピンの横移動を許容する空間が設けられ、前記空間における前記第2コンタクトピンの前記横移動により前記第2コンタクトピンが前記ソケット本体に取り付けられ、前記ソケット本体により前記第2コンタクトピンの上下方向の変位が阻止され、
前記第2コンタクトピンは、前記放熱用及び/又は接地用パッドに接触可能な上部接触部と、前記ソケットが実装される実装基板に接触可能な下部接触部を有し、前記上部接触部は、上方から付与される荷重に応じて下方に弾性的に変位可能であり、前記下部接触部は、下方から付与される荷重に応じて上方に弾性的に変位可能である、ソケット。
【請求項11】
前記第1コンタクトピンの状態を切り替えるべく前記ソケット本体に対して上下動可能に設けられたカバーと、
前記第2コンタクトピンの状態を切り替えるべく前記カバーの上下動に連動して前記ソケット本体に対して上下動可能に設けられた浮動部材を更に備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のソケット。