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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188793
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】容器体
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/21 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
A47J27/21 101S
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096999
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】家中 達朗
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA31
4B055BA04
4B055CA21
4B055CA73
4B055CC28
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、容器体の使用時や使用後において、液体で容器体の周りをできるだけ濡らさないようにすることである。
【解決手段】本発明に係る容器体100は、本体200と、前記本体の上部に配置される蓋体500と、前記蓋体の内部に形成される蒸気経路と、前記蒸気経路と連通する排液口522bと、を備え、前記排液口に設けられ、前記蒸気経路へ流体が流入することを阻止する逆止弁PKをさらに備える。なお、前記蓋体には、前記本体に貯留される液体を外部へ吐出する液体吐出口523と、前記液体を前記液体吐出口へ導くことが可能である液体吐出経路DPが形成されており、前記液体吐出経路は、前記排液口を介して前記蒸気経路に連通しており、前記逆止弁は、前記蒸気経路から前記排液口を通じて前記液体吐出経路に流体が流れることを許容すると好適である。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体の上部に配置される蓋体と、
前記蓋体の内部に形成される蒸気経路と、
前記蒸気経路と連通する排液口と、を備え、
前記排液口に設けられ、前記蒸気経路へ流体が流入することを阻止する逆止弁をさらに備える、容器体。
【請求項2】
前記蓋体には、前記本体に貯留される液体を外部へ吐出する液体吐出口と、前記液体を前記液体吐出口へ導くことが可能である液体吐出経路が形成されており、
前記液体吐出経路は、前記排液口を介して前記蒸気経路に連通しており、
前記逆止弁は、前記蒸気経路から前記排液口を通じて前記液体吐出経路に流体が流れることを許容する、請求項1に記載の容器体。
【請求項3】
前記逆止弁は、可撓性を有し、前記排液口の液体吐出経路側に配設されている、請求項1または2に記載の容器体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器体、特に、容器本体と蓋体とを備える容器体に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「液体容器と、前記液体容器の内部を加熱する加熱部と、前記液体容器の上方に位置し、液体を吐出口へと導く吐出経路と、前記液体容器の上部に配置されている蓋体と、前記蓋体の内部に配置され、前記液体容器と連通している気体流路と、前記吐出経路と前記気体流路との間を連通する連通口とを備え、前記気体流路内には、前記気体流路から前記連通口へと流れる液体の流れを規制する規制壁部が設けられている電気ケトル」が提案されている(例えば、特開2019-205713号公報等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-205713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような電気ケトルでは、液体容器内に液体が多量に入れられた状態で液体容器内の液体を吐出するために急に傾けられたりすると、液体容器から連通口を通じて気体流路に液体が流入することがある。ここで、液体容器内の液体が全量吐出される場合、気体流路に流入した液体は、最終的に気体流路から連通口を通じて吐出口から吐出される。しかし、液体容器内の液体が全量吐出されない場合、気体流路に流入した液体は、そのまま気体流路に残ることがある。かかる場合、例えば、気体流路に液体が残った状態で加熱部により液体容器の内部が加熱される等して電気ケトルが使用されると、液体容器の内部で発生した蒸気が、液体容器から気体流路に流入し、気体流路に残った液体を連通口を通じて吐出口に向かって押し出すおそれがある。このため、上述のような電気ケトルでは、電気ケトル周りが液体で濡れるおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、容器体の使用時や使用後において、液体で容器体の周りをできるだけ濡らさないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る容器体は、
本体と、
前記本体の上部に配置される蓋体と、
前記蓋体の内部に形成される蒸気経路と、
前記蒸気経路と連通する排液口と、を備え、
前記排液口に設けられ、前記蒸気経路へ流体が流入することを阻止する逆止弁をさらに備える。
【0007】
上記構成によれば、本体に液体等の流体が多量に入れられた状態でその流体を吐出するために本体を急に傾けたりした際に、排液口を通じて蒸気経路へ液体等の流体が流入することを阻止することができる。すなわち、蒸気経路に液体が残るおそれをできるだけ低減することができる。このため、容器体の使用時や使用後において、液体で容器体の周りをできるだけ濡らさないようにすることができる。
【0008】
本発明では、
前記蓋体には、前記本体に貯留される液体を外部へ吐出する液体吐出口と、前記液体を前記液体吐出口へ導くことが可能である液体吐出経路が形成されており、
前記液体吐出経路は、前記排液口を介して前記蒸気経路に連通しており、
前記逆止弁は、前記蒸気経路から前記排液口を通じて前記吐出経路に流体が流れることを許容すると好適である。
【0009】
上記構成によれば、本体内の液体が加熱され蒸気となり、本体内から蒸気経路に蒸気が流入した場合に、蒸気を蒸気経路から排液口を通じて排出することが可能となる。
【0010】
本発明では、
前記逆止弁は、可撓性を有し、前記排液口の液体吐出経路側に配設されていると好適である。
【0011】
上記構成によれば、逆止弁の構造を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る電気ケトルの斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る電気ケトルの平面図である。なお、本図では、移動ボール載置部材等の一部の部材を隠れ線で表示している。
図3図2のA-A断面図である。
図4図2のB-B断面図である。なお、本図では、蓋ユニット部分が拡大表示されている。また、本図では、本体ユニットに対して蓋ユニットがロックされている状態が示されている。
図5図2のC-C断面図である。なお、本図では、蓋ユニット部分が拡大表示されている。また、本図では、本体ユニットに対して蓋ユニットがロックされている状態が示されている。
図6】本発明の実施形態に係る電気ケトルの移動ボール載置部材材の斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係る電気ケトルのレバーストッパーの斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係る電気ケトルのレバーストッパーの正面図である。
図9】本発明の実施形態に係る電気ケトルの係止レバーの斜視図である。
図10】本発明の実施形態に係る蓋ユニットを、図2に示されるB-B面で切ったときの断面図である。なお、本図では、本体ユニットに対して蓋ユニットがロックされている状態を解除するための操作が行われている状態が示されている。
図11】本発明の実施形態に係る蓋ユニットを、図2に示されるC-C面で切ったときの断面図である。なお、本図では、本体ユニットに対して蓋ユニットがロックされている状態を解除するための操作が行われている状態が示されている。
図12】本発明の実施形態に係る蓋ユニットを、図2に示されるB-B面で切ったときの断面図である。なお、本図では、吐出口形成部の傾斜部に係止レバーの爪部の下面が当接してレバーストッパー、係止レバーおよび軸受け部が内方にスライド移動している状態が示されている。
図13】本発明の実施形態に係る蓋ユニットを、図2に示されるC-C面で切ったときの断面図である。なお、本図では、吐出口形成部の傾斜部に係止レバーの爪部の下面が当接してレバーストッパー、係止レバーおよび軸受け部が内方にスライド移動している状態が示されている。
図14】本発明の実施形態に係る蓋ユニットを、図2に示されるB-B面で切ったときの断面図である。なお、本図では、本体ユニットが傾倒しているときに本体ユニットに対して蓋ユニットがロックされている状態を解除するための操作が行われている状態が示されている。
図15】本発明の実施形態に係る蓋ユニットを、図2に示されるC-C面で切ったときの断面図である。なお、本図では、本体ユニットが傾倒しているときに本体ユニットに対して蓋ユニットがロックされている状態を解除するための操作が行われている状態が示されている。
図16図3に示される蓋ユニット部分の拡大図である。
図17】本発明の実施形態に係る電気ケトルの蓋ユニットの底面図である。なお、本図では、開閉弁の描画が省略され、パッキンが描画されている。
図18】本発明の実施形態に係る電気ケトルの蓋ユニットの底面図である。なお、本図では、開閉弁およびパッキンの描画が省略されている。
図19】本発明の実施形態に係る電気ケトルのパッキンの斜視図である。
図20】本発明の実施形態に係る電気ケトルの軸受け部およびトーションバネの斜視図である。
図21】本発明の実施形態に係る電気ケトルの軸受け部の平面図である。
図22】本発明の実施形態に係る電気ケトルの係止レバーおよび軸受け部の斜視図である。なお、本図では、係止レバーの基体部の前後方向中央部に形成される空間に軸受け部が配置されている状態が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<本発明の実施形態に係る電気ケトルの構成>
本発明の実施形態に係る電気ケトル100は、図1および図3に示されるように、主に、ケトル本体200および電源台600などから構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0014】
1.ケトル本体
ケトル本体200は、電源台600に着脱自在に載置される。電気ケトル100の使用者は、お湯を沸かしたいときにケトル本体200を電源台600上に載置し、カップや湯飲みなどの容器にお湯を注ぐためにケトル本体200を電源台600から取り外すことができる。そして、このケトル本体200は、図1図3に示されるように、主に、本体ユニット300、取っ手ユニット400および蓋ユニット500から構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。なお、図1図3に示されるように、ケトル本体200の前上方部にお湯などの液体の注ぎ口(吐出口)301が形成されている
【0015】
(1)本体ユニット
本体ユニット300は、図1図3に示されるように、主に、側壁部材310、液体容器320、底部材330、ヒータユニット340および吐出口形成部350などから構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0016】
(1-1)側壁部材
側壁部材310は、樹脂やステンレスなどの金属などで形成された部材であって、図1および図3に示されるように、略円筒状を呈しており、本体ユニット300の外周面を形成している。そして、図3に示されるように、この側壁部材310は、液体容器320および吐出口形成部350などを収容している。また、図3に示されるように、この側壁部材310は、底部材330と共にヒータユニット340を収容している。なお、ここで、側壁部材310の上端部は、図1図3図5に示されるように、吐出口形成部350の上端部を支持している。また、側壁部材310の後部の上端部には切欠き部が形成されており、図3に示されるように、この切欠き部に取っ手ユニット400の本体接続部402が嵌め込まれている。また、側壁部材310の前部の上部には、前側に向かって傾斜する前側突出部311が形成されている。
【0017】
(1-2)液体容器
液体容器320は、その内部に液体を溜めることができる部材であって、上述したように、側壁部材310の内部に収容されている。また、液体容器320は、図3に示されるように、内側壁部材321およびヒータプレート322から形成されている。内側壁部材321は、樹脂やステンレスなどの金属などで形成された部材であって、略円筒状を呈しており、図3に示されるように、液体容器320の側壁を構成している。また、図3図5に示されるように、内側壁部材321の上端部には、吐出口形成部350の下端部が取り付けられている。なお、内側壁部材321の内周面には、フッ素樹脂等の耐蝕性樹脂(図示せず)が塗装されていてもよい。ヒータプレート322は、金属製の板材であって、図3に示されるように、内側壁部材321の下側の開口を閉塞するように覆っている。すなわち、ヒータプレート322は、液体容器320の底部を構成している。また、このヒータプレート322の下面には、ヒータユニット340の一構成部品であるプリントヒータ341が配設されている。
【0018】
(1-3)底部材
底部材330は、図1および図3に示されるように、本体ユニット300の底部を構成しており、側壁部材310の下側に取り付けられ、液体容器320やヒータユニット340などを下から覆っている。なお、底部材330には、給電端子342の下端を露出させる開口が形成されている。
【0019】
(1-4)ヒータユニット
ヒータユニット340は、図3に示されるように、ヒータプレート322に取り付けられており、主に、プリントヒータ341および給電端子342から構成される。プリントヒータ341は、液体容器320内の液体を加熱する役目を担っている。電源台600に設けられた接続端子602と電気的に給電端子342が接続されると、接続端子602からプリントヒータ341へと給電が行われる。なお、このヒータユニット340としては、従来公知の電気ケトルのヒータユニットを適用することができる。
【0020】
(1-5)吐出口形成部
吐出口形成部350は、略円筒状を呈する部材であって、図1図3に示されるように、本体ユニット300に取り付けられている。上述したように、吐出口形成部350の上端部は、側壁部材310の上端部に支持され、吐出口形成部350の下端部は、液体容器320の内側壁部材321の上端部に取り付けられている。また、図1図3に示されるように、吐出口形成部350の前部の上部には、前側に向かうに従って上方に傾斜する前側突出部351が形成されている。前側突出部351は、図1および図3に示されるように、側壁部材310の前側突出部311に支持されている。このように、本発明の実施形態に係る電気ケトル100では、注ぎ口301は、吐出口形成部350の一部(すなわち、前側突出部351)で形成されている。また、図4および図5に示されるように、吐出口形成部350の左右部の中間部には、外方に凹む爪受け部352が形成されている。この爪受け部352に蓋ユニット500の係止機構LMの係止レバーRLの爪部RL2が係止される(図4および図5参照)。また、図4および図5に示されるように、爪受け部352の上側には外側に向かって傾斜する傾斜部353が形成されている。傾斜部353は、本体ユニット300に蓋ユニット500が装着される際や本体ユニット300から蓋ユニット500が取り外される際に蓋ユニット500の係止機構LMの係止レバーRLの爪部RL2と当接する。
【0021】
(2)取っ手ユニット
取っ手ユニット400は、図1図3に示されるように、主に、把持部401、本体接続部402およびダイヤル機構403などから構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0022】
(2-1)把持部
把持部401は、樹脂などで形成された部材であって、使用者がケトル本体200を持ち運ぶ際の持ち手としての役目を担う。把持部401は、図1図3に示されるように、本体接続部402の後部から下方に向かって延びている。
【0023】
(2-2)本体接続部
本体接続部402は、取っ手ユニット400を本体ユニット300と結合させるためのものである。本体接続部402は、上述の通り、側壁部材310の後部の上端部の切欠き部に嵌め込まれている。
【0024】
(2-3)ダイヤル機構
ダイヤル機構403は、ヒータユニット340のプリントヒータ341の温度(すなわち、液体容器320内の液体の水温)を調節するためのものであり、ヒータユニット340と接続される。ダイヤル機構403は、図1図3に示されるように、本体接続部402の後部に配設されている。
【0025】
(3)蓋ユニット
蓋ユニット500は、図1図5に示されるように、本体ユニット300の上方を覆う着脱自在の略円柱形の蓋体である。使用者は、蓋ユニット500に設けられる操作レバー560を介してロック機構550(後述)を操作することで、本体ユニット300から蓋ユニット500を取り外すことが可能になる。これにより、使用者は、本体ユニット300から蓋ユニット500を取り外した後、液体容器320内に液体を入れることが可能になる。そして、使用者は、液体容器320内に入れた液体を加熱するとき、蓋ユニット500を本体ユニット300に装着して液体容器320内を閉空間とする。蓋ユニット500は、図1図5に示されるように、主に、底板部材520、開閉ボタン530、開閉弁540、ロック機構550、係止機構LM、操作レバー560、ロック解除阻止構造RP、シール部材590およびパッキンPKなどから構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0026】
(3-1)底板部材
底板部材520は、図3図5図16に示されるように、蓋ユニット500の下側部分を主に構成しており、側壁部521および底壁部522から形成されている。側壁部521は、略円筒形状を呈している。図3図5図16に示されるように、側壁部521の上側には上面部材510(後述)が載置されている。これにより、上面部材510および底板部材520によって囲まれる蒸気流通空間SP1が形成される(図3および図16参照)。蒸気流通空間SP1には、液体容器320内で発生した蒸気の流通経路(図16の太線矢印参照)が形成されている。そして、図3図16図18に示されるように、側壁部521の前部には流路形成部523が形成されている。流路形成部523は、ケトル本体200の注ぎ口301へ向かって延びる流路すなわち吐出経路DPを形成する部位である。この流路形成部523によって、液体容器320内の液体が注ぎ口301へと導かれる。また、図4に示されるように、側壁部521の左右部の下側には開口521aが形成されており、係止機構LMの係止レバーRLの爪部RL2がこの開口521aから突出可能となる。底壁部522は、平面視において略円環形状を呈しており、図3図5図16図18に示されるように、縦断面視において段構造を形成している。図3図5図16に示されるように、底壁部522の下側には開閉弁540が配設されている。なお、ここで、底壁部522は、図3および図16に示されるように、開閉弁540が閉状態のとき開閉弁540のパッキン543と当接する。そして、底壁部522は、開閉弁540が開状態のとき開閉弁540のパッキン543と当接しない。これにより、開閉弁540が開状態のとき、液体容器320内の液体を吐出経路DPへ導くことが可能となる。また、図3図4および図16に示されるように、底壁部522の中央部には中央開口が形成されており、この中央開口には開閉弁540の軸部542が嵌め込まれている。また、図3および図16に示されるように、底壁部522の後部(すなわち、中央開口より後側)には後側連通穴522aが形成されている。後側連通穴522aは、開閉弁540が閉状態のとき開閉弁540のパッキン543と当接して閉じられた状態となり、開閉弁540が開状態のとき開かれた状態となって液体容器320の内部空間と蒸気流通空間SP1とを連通させる。また、図3および図16に示されるように、底壁部522の後側連通穴522aより後側の部位には蒸気口522cが形成されている。蒸気口522cは、後側連通穴522aとは異なり常に開かれた状態となっており、液体容器320の内部空間と蒸気流通空間SP1とを連通する。また、図3図16および図18に示されるように、底壁部522の中央開口より前側、且つ、流路形成部523より後側の部位には前側連通穴522bが形成されている。前側連通穴522bは、図3に示されるように、蒸気流通空間SP1と吐出経路DPとを連通する。また、図3図16および図18に示されるように、底壁部522の中央開口より前側、且つ、流路形成部523より後側、且つ、前側連通穴522bの左側の部位にはパッキン取付穴522dが形成されている。パッキン取付穴522dにはパッキンPKの棒部PK3が挿通され、パッキン取付穴522dの上側にはパッキンPKの鍔部PK4が配置される。
【0027】
(3-2)開閉ボタン
開閉ボタン530は、図3図5図16に示されるように、上面部材510の開口に嵌め込まれており、開閉弁540の軸部542の先端と連結されている。図2図5図16に示されるように、開閉ボタン530の外側にはロック機構550の移動ボール載置部材BPの円筒壁部BP2が配置されている。また、開閉ボタン530は、開閉弁540の軸部542を取り囲むように配置されたコイルバネCS1によって上方に向かって付勢されている。そして、使用者によってコイルバネCS1の付勢力に逆らって開閉ボタン530が下方に向かって押圧されると、その押圧動作に連動して開閉弁540が下方に移動する。これにより、開閉弁540が開状態となる。
【0028】
(3-3)開閉弁
開閉弁540は、図3図5図16に示されるように、弁本体部541、軸部542およびパッキン543から構成されている。弁本体部541は、略円盤形状を呈しており、図3図5図16に示されるように、蓋ユニット500の底板部材520の下側に配置されている。軸部542は、図3図4および図16に示されるように、弁本体部541の上面の後部から上方に向かって延びる棒状部材である。上述したように、軸部542は底板部材520の底壁部522の中央開口に嵌め込まれ、軸部542の先端は開閉ボタン530と連結されている。パッキン543は、略円環形状を呈しており、図3図5図16に示されるように、弁本体部541の外縁部に取り付けられている。
【0029】
(3-4)ロック機構
ロック機構550は、本体ユニット300に蓋ユニット500が装着された状態において本体ユニット300に対して蓋ユニット500をロック(図4および図5参照)させるためのものである。ロック機構550は、図4および図5に示されるように、主に、移動ボール載置部材BPおよびレバーストッパーLSから構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0030】
(3-4-1)移動ボール載置部材
移動ボール載置部材BPは、図4および図5に示されるように、レバーストッパーLSの上側に載置されてレバーストッパーLSと連結されると共に操作レバー560と連結されている。この移動ボール載置部材BPは、図2図4および図6に示されるように、主に、基体部BP1、円筒壁部BP2、台座部BP3、第1バネ設置部BP4および第2バネ設置部BP5から形成される。なお、これらの部位のうちロック機構550に寄与する部位は、基体部BP1、円筒壁部BP2、第1バネ設置部BP4および第2バネ設置部BP5である。基体部BP1は、図6に示されるように、略長方形状の板状部位である。図4に示されるように、基体部BP1の中央部には開口が形成される。円筒壁部BP2は、図4および図6に示されるように、略円筒形状を呈しており、基体部BP1の開口の上縁から上方に向かって延びている。また、この円筒壁部BP2は、図3図5に示されるように、開閉ボタン530と操作レバー560との間に挟まれており、操作レバー560とのみ連結されている。すなわち、操作レバー560および移動ボール載置部材BP(およびレバーストッパーLS)は互いに連動するが、開閉ボタン530および移動ボール載置部材BPは互いに連動しない。このため、操作レバー560および移動ボール載置部材BPが上方向に持ち上げられた場合、開閉ボタン530は上方向に持ち上げられず、操作レバー560および移動ボール載置部材BPと、開閉ボタン530との高さ位置関係が変化する(図4および図5参照)。台座部BP3は、図2図4および図6に示されるように、基体部BP1の上面の左右に形成され、上部が下側に凹んだ(言い換えれば、上部が略逆円錐状に切り欠かれた)略円柱形状を呈している。図2および図4に示されるように、台座部BP3には移動ボール570が移動自在に載置される。また、図2および図6に示されるように、平面視における台座部BP3の中心から放射状に広がる凸状の案内部BP3aが台座部BP3に形成されている。第1バネ設置部BP4は、図2図4および図6に示されるように、基体部BP1の上面の台座部BP3より外側に左右一対形成されている。図4および図6に示されるように、第1バネ設置部BP4には、移動ボール載置部材BPおよびレバーストッパーLSを下方に向かって付勢するコイルバネCS2の一端が嵌め込まれる。第2バネ設置部BP5は、図4に示されるように、基体部BP1の下面の中央部の左右に形成されており、それぞれ左右方向外側に向かって延びている。図4に示されるように、レバーストッパーLS、係止レバーRLおよび軸受け部580を左右外方に向かって付勢するコイルバネCS3の一端が第2バネ設置部BP5に嵌め込まれる。
【0031】
(3-4-2)レバーストッパー
レバーストッパーLSは、図4図5図7および図8に示されるように、左右一対の部材であって、移動ボール載置部材BPと連結されると共に移動ボール載置部材BPを介して操作レバー560と連結されている。このレバーストッパーLSは、図7および図8に示されるように、主に、基体部LS1、上側立壁部LS2、下側立壁部LS3、バネ設置部LS4および凸嵌合部LS5から形成される。なお、図7および図8においては、左右一対のレバーストッパーLSのうち一方だけが描画されている。基体部LS1は、図7に示されるように、蓋ユニット500の軸線側に凹部LS1aが形成された略長方形状の板部材である。基体部LS1の上側に移動ボール載置部材BPが載置されて、レバーストッパーLSが移動ボール載置部材BPに対してスライド移動自在に嵌合される。上側立壁部LS2は、図7および図8に示されるように、基体部LS1の前部および後部からそれぞれ上方向に向かって延びている。この上側立壁部LS2は、基体部LS1の上側に移動ボール載置部材BPが載置されるときに移動ボール載置部材BPの基体部BP1の下側に形成される溝部(図示せず)に嵌め込まれる。下側立壁部LS3は、図4図7および図8に示されるように、基体部LS1の凹部LS1aの内縁部位から下方に向かって延びている。バネ設置部LS4は、図4および図7に示されるように、下側立壁部LS3の内側面(すなわち、蓋ユニット500の軸線側の面)に形成されている。図4に示されるように、バネ設置部LS4にはコイルバネCS3の一端が嵌め込まれる。凸嵌合部LS5は、図5図7および図8に示されるように、基体部LS1の外側端部の前部および後部それぞれから下方に向かって延びている。凸嵌合部LS5は、後に詳述するが、係止レバーRLの凹嵌合部RL1aと嵌合可能である。
【0032】
(3-5)係止機構
係止機構LMは、図4および図5に示されるように、主に、係止レバーRL、軸受け部580およびトーションバネTSから構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0033】
(3-5-1)係止レバー
係止レバーRLは、図4図5図9および図22に示されるように、左右一対の部材であって、レバーストッパーLSと連結可能である。この係止レバーRLは、図9および図18に示されるように、主に、基体部RL1、爪部RL2、外側翼部RL3および内側翼部RL4から形成される。なお、図9および図22においては、左右一対の係止レバーRLのうち一方だけが描画されている。基体部RL1は、図9および図22に示されるように、略円柱状を呈している。図5図9および図22に示されるように、基体部RL1には、前端部および後端部それぞれの部位において上側から下側に向かって凹む凹嵌合部RL1aが形成され、前端部から後端部まで通じる軸受孔RL1bが形成され、前後方向中央部に空間RL1cが形成される。凹嵌合部RL1aは、図5に示されるように、トーションバネTS(図9および図20参照)によって、爪部RL2が本体ユニット300の吐出口形成部350の爪受け部352に係止される方向に(すなわち、爪部RL2の上面が蓋ユニット500の軸線と直交する面と略平行になるように)付勢されている場合に、レバーストッパーLSの凸嵌合部LS5と嵌合する。そして、図4図5および図22に示されるように、軸受孔RL1bには軸AXが挿通される。軸AXは蓋ユニット500内において固定されるため、係止レバーRLは、軸AXを中心として回動可能となる(図10等参照)。そして、図4図9および図22に示されるように、空間RL1cにはトーションバネTSや、軸受け部580の円筒部582および円柱部583が配置される。爪部RL2は、図4図5図9および図22に示されるように、基体部RL1の上部の外端部から外方に向かって延びており、本体ユニット300の吐出口形成部350の爪受け部352に対して係止することができる。なお、かかる場合、爪部RL2の上面が吐出口形成部350の爪受け部352と当接する(図4および図5参照)。外側翼部RL3は、図9および図22に示されるように、基体部RL1の前端部および後端部それぞれから内方に向かって延びている。内側翼部RL4は、図9および図22に示されるように、基体部RL1の空間RL1cの形成部位の前端部および後端部からそれぞれ内方に向かって延びている。
【0034】
(3-5-2)軸受け部
軸受け部580は、図4および図5に示されるように、左右一対の部材であって、蓋ユニット500内において軸AXの高さ位置を規定している。軸受け部580は、図20図22に示されるように、基体部581、円筒部582、円柱部583、翼部584および底板部585から形成される。なお、図20図22においては、左右一対の軸受け部580のうち一方だけが描画されている。基体部581は、図20に示されるように、略長方形状の板状部位である。円筒部582は、図20図22に示されるように、略円筒形状を呈しており、基体部581の前側に形成されている。円柱部583は、図20に示されるように、略円柱状を呈しており、円筒部582の内部空間に形成されている。なお、図20に示されるように、円柱部583には、前端部から後端部まで通じる軸受孔583aが形成されており、軸受孔583aには軸AXが挿通される。また、図20に示されるように、円筒部582および円柱部583によって囲まれる空間には、トーションバネTSが配置される。そして、上述したように、円筒部582および円柱部583(およびトーションバネTS)は、係止レバーRLの空間RL1cに配置される。翼部584は、図20図22に示されるように、基体部581の前端部および後端部から内方に向かって延びる一対の部位である。底板部585は、図20図22に示されるように、翼部584の下側に形成される板状部位である。なお、ここで、図20および図21に示されるように、底板部585の前後方向の長さは、一対の翼部584間の長さよりも大きく、底板部585の左右方向の長さは、翼部584の左右方向の長さよりも小さい。そして、図21に示されるように、基体部581、翼部584および底板部585によって囲まれる下側立壁部挿通口586が軸受け部580に形成される。この下側立壁部挿通口586には、本体ユニット300に対して蓋ユニット500がロックされている状態において、レバーストッパーLSの下側立壁部LS3が挿通される。また、軸受け部580の基体部581の内側面は、図4および図10に示されるように、本体ユニット300に対して蓋ユニット500がロックされているか否かに関わらず、レバーストッパーLSの下側立壁部LS3の外側面の少なくとも一部と当接している。このため、レバーストッパーLSだけではなく軸受け部580(および軸受け部580を介して係止レバーRL)も、コイルバネCS3によって左右外方に向かって付勢されることになる。
【0035】
(3-5-3)トーションバネ
トーションバネTSは、上述したように、係止レバーRLの爪部RL2を本体ユニット300の吐出口形成部350の爪受け部352に係止させる方向に付勢(すなわち、係止レバーRLの爪部RL2の上面が蓋ユニット500の軸線と直交する面と略平行になるように係止レバーRLの爪部RL2を付勢)するためのものである。また、トーションバネTSは、軸AXの外周に配設されると共に、軸受け部580の円筒部582および円柱部583で囲まれる空間に配設される(図20参照)。そして、トーションバネTSは、軸受け部580の円筒部582および円柱部583と共に、係止レバーRLの空間RL1cに配置される。
【0036】
(3-6)操作レバー
操作レバー560は、ロック機構550を解除状態にする際に使用者に操作されるものであり、上述したように、ロック機構550の移動ボール載置部材BPと連結されると共に、ロック機構550の移動ボール載置部材BPを介してロック機構550のレバーストッパーLSと連結される。操作レバー560は、図3図5図16に示されるように、基体部561および鍔部562から形成される。基体部561は、略円筒状を呈しており、図3図5に示されるように、上面部材510の開口に嵌め込まれている。鍔部562は、使用者が操作レバー560を指で支えるための略円盤形状部位であって、図3図5図16に示されるように、基体部561の上端部から外方に向かって延びている。図3図5図16に示されるように、この鍔部562の中央部には開口が形成されており、この開口を通じて開閉ボタン530が露出している。また、鍔部562の下面には溝部が形成されている。この溝部は、使用者の指の滑り止めとして機能する。
【0037】
(3-7)ロック解除阻止構造
ロック解除阻止構造RPは、ケトル本体200の傾倒時に、本体ユニット300に対して蓋ユニット500がロックされている状態を解除する操作を阻止するためのものである。ロック解除阻止構造RPは、図4に示されるように、主に、移動ボール載置部材BP、上面部材510および移動ボール570等から構成されている。
【0038】
(3-7-1)移動ボール載置部材
移動ボール載置部材BPは、上述のロック機構550の一部を構成すると共に、ロック解除阻止構造RPの一部も構成している。なお、上述の通り、移動ボール載置部材BPは、主に、基体部BP1、円筒壁部BP2、台座部BP3、第1バネ設置部BP4および第2バネ設置部BP5から形成されているが、これらの部位のうちロック解除阻止構造RPに寄与する部位は台座部BP3のみである。移動ボール載置部材BPの詳細については既述したため、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0039】
(3-7-2)上面部材
上面部材510は、図1図3図16に示されるように、略円環形状を呈する部材であって、蓋ユニット500の上面を構成している。すなわち、この上面部材510の中央部には開口が形成されている。図3図5図16に示されるように、上面部材510の開口には、開閉ボタン530、ロック機構550の移動ボール載置部材BPの円筒壁部BP2、操作レバー560の基体部561などが嵌め込まれている。また、図4に示されるように、上面部材510の下面の左右部には移動ボール受け部511が形成されている。移動ボール受け部511は、ロック機構550の移動ボール載置部材BPが上方向に移動した際にロック機構550の移動ボール載置部材BPに載置された移動ボール570を受ける(すなわち、ロック機構550の移動ボール載置部材BPと協働して移動ボール570を挟む)ための部位であって、図4に示されるように、中心部511aおよび周囲部511bから形成されている。中心部511aは、略半球形状の凹部であって、図4に示されるように、縦断面視において周囲部511bより上方に位置している。周囲部511bは、略円環状の凹部(縦断面視において略半円形状を呈する。)であって、図4に示されるように、中心部511aの周囲に形成されており縦断面視において中心部511aより僅かに下方に位置している。また、図4に示されるように、上面部材510の下面の移動ボール受け部511より外側にはバネ設置部512が形成されている。図4に示されるように、ロック機構550の移動ボール載置部材BPおよびロック機構550のレバーストッパーLSを下方に向かって付勢するコイルバネCS2の一端がバネ設置部512に嵌め込まれている。
【0040】
(3-7-3)移動ボール
移動ボール570は、球状を呈しており、上述したように、移動ボール載置部材BPの台座部BP3に移動自在に載置される。移動ボール570は、隣接する案内部BP3aの間を傾倒方向に向かって移動する。また、ケトル本体200の正立時において、移動ボール570は、ロック機構550の移動ボール載置部材BPが上方向に移動した際に、上面部材510の移動ボール受け部511に嵌め込まれる(図10および図14参照)。
【0041】
(3-8)シール部材
シール部材590は、ゴムやエラストマー等の弾性材料から形成される円環状の部材であって、図3図5図16に示されるように、底板部材520の底壁部522の下面の外周部に取り付けられている。そして、シール部材590は、図3図5に示されるように、本体ユニット300に蓋ユニット500が装着されている場合に、液体容器320と底板部材520との間の隙間を塞ぐ(言い換えれば、液体容器320と底板部材520とを密に保つ)役目を担っている。
【0042】
(3-9)パッキン
パッキンPKは、可撓性を有する材料から形成される部材であって、底板部材520の前側連通穴522bを下側から塞ぐ逆止弁としての役目を担っており、図16図17および図19に示されるように、主に、基体部PK1、閉塞部PK2、棒部PK3および鍔部PK4から形成される。基体部PK1は、図19に示されるように、略直方体状を呈している。また、基体部PK1は、図16図18に示されるように、底板部材520の前側連通穴522bおよび底板部材520のパッキン取付穴522dより下側に位置している。閉塞部PK2は、図17および図19に示されるように、基体部PK1の上端部から右方に向かって延びる板状の部位である。また、閉塞部PK2は、図16図18に示されるように、底板部材520の前側連通穴522bおよび底板部材520のパッキン取付穴522dより下側に位置し、底板部材520の前側連通穴522bを下側から塞いで閉状態としている。なお、液体容器320内で発生した蒸気が、底板部材520の蒸気口522cを通じて蒸気流通空間SP1に流入し、蒸気流通空間SP1の前方側へ流れた場合(図16の太線矢印参照)、閉塞部PK2の右端部は、蒸気に押されて下側に撓垂れ、底板部材520の前側連通穴522bを開状態とする。棒部PK3は、図19に示されるように、基体部PK1と閉塞部PK2との境界部分から上方に向かって延びる略円柱状の部位であって、底板部材520のパッキン取付穴522dの下側から上側に向かって底板部材520のパッキン取付穴522dに差し込まれる。鍔部PK4は、棒部PK3が底板部材520のパッキン取付穴522dに差し込まれている状態を維持するための略切頭円錐状の部位であって、図19に示されるように、棒部PK3の下部から外方に向かって延びている。鍔部PK4は、底板部材520のパッキン取付穴522dの下側から上側に向かって底板部材520のパッキン取付穴522dに棒部PK3と共に差し込まれる。なお、鍔部PK4の直径は、底板部材520のパッキン取付穴522dの内径よりも大きくなるように設計されている。しかし、パッキンPKは可撓性を有するため、鍔部PK4は、収縮することで、底板部材520のパッキン取付穴522dに差し込まれて底板部材520のパッキン取付穴522dを通り抜けることができる。そして、鍔部PK4は、底板部材520のパッキン取付穴522dを通り抜けた後は元の形状に戻り、底板部材520のパッキン取付穴522dの上側に載置される。これにより、棒部PK3が底板部材520のパッキン取付穴522dに差し込まれている状態が維持され、延いては、底板部材520の前側連通穴522bが閉塞部PK2により塞がれている状態となる。
【0043】
2.電源台
電源台600は、電気ケトル100へ電気を供給する給電部の役割を果たすともに、電気ケトル100の台座の役割を果たす。電源台600は、図1および図3に示されるように、主に、電源スイッチ(図示せず)、電源コード601、電源プラグ(図示せず)、ヒータユニット340と電気的に接続される接続端子602から構成される。電源スイッチは、ヒータユニット340の給電端子342と、接続端子602との接続状態を切り換えるためのスイッチである。電源スイッチがONになると、ヒータユニット340は電源台600と通電される。これにより、ヒータユニット340には電気が供給され、液体容器320内の液体が加熱される。なお、電源台600については、従来公知の電気ケトルの電源台と同様の構成が適用できる。
【0044】
<本発明の実施形態に係る電気ケトルにおける本体ユニットに対して蓋ユニットがロックされている状態を解除する操作およびその操作に伴う各機構の動作について>
本発明の実施形態に係る電気ケトル100では、蓋ユニット500のロック機構550により、本体ユニット300に蓋ユニット500が装着された状態において本体ユニット300に対して蓋ユニット500をロックさせることができる。そして、使用者は、操作レバー560を介してロック機構550を操作することによって、本体ユニット300に対して蓋ユニット500がロックされている状態(以下、「ロック状態」という。)を解除することができる(以下、この操作を「ロック解除操作」という。)。以下、ロック解除操作が行われる際の操作レバー560、ロック機構550および係止機構LMの動作について説明する。
【0045】
まず、ロック状態について図4および図5を参照しながら説明する。ロック状態では、吐出口形成部350の爪受け部352に対して係止機構LMの係止レバーRLの爪部RL2が係止されている。なお、このとき、トーションバネTSが、吐出口形成部350の爪受け部352に対して係止機構LMの係止レバーRLの爪部RL2を係止させる方向に係止機構LMの係止レバーRLの爪部RL2を付勢している。また、コイルバネCS3は、ロック機構550のレバーストッパーLS、係止機構LMの係止レバーRLおよび軸受け部580を左右外方に向かって付勢している。また、コイルバネCS2は、ロック機構550の移動ボール載置部材BPおよびロック機構550のレバーストッパーLSを下方に向かって付勢している。なお、このとき、ロック機構550のレバーストッパーLSの凸嵌合部LS5は、係止機構LMの係止レバーRLの凹嵌合部RL1aと嵌合している。これにより、係止機構LMの係止レバーRLは、軸AXを中心として回動不可能(すなわちロック状態)とされている。また、係止状態では、操作レバー560の高さ位置および開閉ボタン530の高さ位置は、ほぼ同じとなる。
【0046】
次に、ロック解除操作について図10および図11を参照しながら説明する。使用者は、操作レバー560の鍔部562に片方の手の指を引っ掛け、もう片方の手で本体ユニット300を押さえながら、操作レバー560を上方向に持ち上げる。なお、このとき、操作レバー560の動きに連動して、ロック機構550の移動ボール載置部材BPおよびロック機構550のレバーストッパーLSもコイルバネCS2の付勢力に逆らって上方向に持ち上げられる。これにより、平面視におけるロック機構550の移動ボール載置部材BPの台座部BP3の中心部に載置された移動ボール570は、上面部材510の移動ボール受け部511の中心部511aに押し込まれ、使用者は、操作レバー560、ロック機構550の移動ボール載置部材BPおよびロック機構550のレバーストッパーLSだけをこれ以上上方向に持ち上げることができなくなる。また、この操作によって、ロック機構550のレバーストッパーLSの凸嵌合部LS5が、係止機構LMの係止レバーRLの凹嵌合部RL1aから抜け出る。その結果、ロック機構550のレバーストッパーLSの凸嵌合部LS5と係止機構LMの係止レバーRLの凹嵌合部RL1aとの嵌合状態が完全に解除され、係止機構LMの係止レバーRLが軸AXを中心として回動可能となり、ロック状態が解除される。また、ロック解除操作が行われる際、使用者がもう片方の手で本体ユニット300を押さえずに操作レバー560を上方向に持ち上げても本体ユニット300は上方向に持ち上げられない。これは、ロック解除操作に要する力、すなわち、ロック機構550の移動ボール載置部材BPおよびロック機構550のレバーストッパーLSをコイルバネCS2の付勢力に逆らって上方向に持ち上げるのに要する力が、本体ユニット300を持ち上げるのに要する力よりも小さくなるようにコイルバネCS2の付勢力が調整されているためである。なお、液体容器320に液体が入っている場合、その重量がさらに重くなるため、同様の結果となる。また、ロック解除操作が行われると、操作レバー560の高さ位置は、開閉ボタン530の高さ位置よりも高くなる。
【0047】
続いて、蓋ユニット500を本体ユニット300から取り外す方法について説明する。使用者は、ロック解除操作後、操作レバー560の鍔部562に指を引っ掛けたまま、操作レバー560をさらに上方向に持ち上げることで蓋ユニット500全体を上方向に持ち上げる。なお、このとき、係止機構LMの係止レバーRLの爪部RL2が吐出口形成部350の爪受け部352の上端部と当接しながら、係止機構LMの係止レバーRLが上方向に持ち上げられつつ軸AXを中心としてトーションバネTSの付勢力に逆らって回動することで、最終的に、係止機構LMの係止レバーRLの爪部RL2は吐出口形成部350の爪受け部352の上側に位置することになる。このため、使用者は、蓋ユニット500を本体ユニット300から取り外すことが可能になる。なお、係止機構LMの係止レバーRLの爪部RL2は、吐出口形成部350の傾斜部353の上側に到達すると、再びトーションバネTSによって、上面が蓋ユニット500の軸線と直交する面と略平行になるように付勢される。そして、蓋ユニット500が本体ユニット300から取り外されて使用者が操作レバー560の鍔部562から指を離すと、ロック機構550の移動ボール載置部材BPおよびロック機構550のレバーストッパーLSがコイルバネCS2によって再び下方に向かって付勢される。そして、ロック機構550のレバーストッパーLSの凸嵌合部LS5と係止機構LMの係止レバーRLの凹嵌合部RL1aとの嵌合状態が形成される。すなわち、本体ユニット300から完全に取り外された蓋ユニット500は、図4および図5に示される蓋ユニット500部分だけを見た場合に図4および図5に示される蓋ユニット500と同じ状態になる。また、蓋ユニット500が本体ユニット300から取り外される際、使用者がもう片方の手で本体ユニット300を押さえずに蓋ユニット500全体を上方向に持ち上げても本体ユニット300は上方向に持ち上げられない。これは、係止機構LMの係止レバーRLの爪部RL2を吐出口形成部350の爪受け部352の上端部と当接させながら上方向に持ち上げて軸AXを中心としてトーションバネTSの付勢力に逆らって回動させるのに要する力が、本体ユニット300を持ち上げるのに要する力よりも小さくなるようにトーションバネTSの付勢力が調整されているためである。なお、液体容器320に液体が入っている場合、その重量がさらに重くなるため、同様の結果となる。
【0048】
<本発明の実施形態に係る電気ケトルにおけるロック状態にする操作について>
ここでは、本体ユニット300から取り外した蓋ユニット500を再び本体ユニット300に装着させて、本体ユニット300に対して蓋ユニット500をロックさせる操作(ロック状態にする操作)について図12および図13を参照しながら説明する。まず、使用者は、係止機構LMの係止レバーRLの爪部RL2が吐出口形成部350の傾斜部353の上側に到達するまで蓋ユニット500を押し込む。そして、使用者は、係止機構LMの係止レバーRLの爪部RL2が吐出口形成部350の爪受け部352の下側に到達するまで蓋ユニット500をさらに押し込む。このとき、吐出口形成部350の傾斜部353に係止機構LMの係止レバーRLの爪部RL2の下面が当接し、これによってロック機構550のレバーストッパーLS、係止機構LMの係止レバーRLおよび軸受け部580がコイルバネCS3の付勢力に逆らって内方にスライド移動する(図12および図13参照)。そして、係止機構LMの係止レバーRLの爪部RL2の上面が吐出口形成部350の爪受け部352の上端部の下側に到達すると、係止機構LMの係止レバーRLの爪部RL2が吐出口形成部350の爪受け部352に係止される。また、この状態において、係止機構LMの係止レバーRLの爪部RL2の回動を阻止するロック状態が維持されている。
【0049】
<本発明の実施形態に係る電気ケトルにおける傾倒時のロック解除操作の阻止について>
仮に、ケトル本体200が傾倒している時にロック解除操作が可能であれば、蓋ユニット500が本体ユニット300から取り外されて液体容器320内の液体が流出するおそれが生じる。このため、本発明の実施形態に係る電気ケトル100では、ケトル本体200が傾倒している時はロック解除阻止構造RPによってロック解除操作が阻止されるように設計されている。以下、ケトル本体200の傾倒時にロック解除操作を阻止するロック解除阻止構造RPについて図14および図15を参照しながら説明する。なお、図14および図15では、ケトル本体200が左側に傾倒している状態が示されている。まず、ロック状態においてケトル本体200が傾倒すると、平面視におけるロック機構550の移動ボール載置部材BPの台座部BP3の中心部に載置された移動ボール570が、ロック機構550の移動ボール載置部材BPの台座部BP3上を傾倒方向に向かって転がる。なお、このとき、移動ボール570は、傾倒方向に形成されたロック機構550の移動ボール載置部材BPの案内部BP3aの間を転がる。この状態においてロック解除操作を行うために操作レバー560が持ち上げられると、移動ボール570が、上面部材510の移動ボール受け部511の周囲部511bに押し込まれる。かかる場合、移動ボール570が上面部材510の移動ボール受け部511の中心部511aに押し込まれた時(図10および図11参照)とは異なり、ロック機構550のレバーストッパーLSの凸嵌合部LS5と係止機構LMの係止レバーRLの凹嵌合部RL1aとの嵌合状態が解除されない。すなわち、係止機構LMの係止レバーRLの凹嵌合部RL1aが、ロック機構550のレバーストッパーLSの凸嵌合部LS5に嵌まり込んでいるため、係止機構LMの係止レバーRLは、軸AXを中心として回動することを阻止される。このため、ケトル本体200の傾倒時において吐出口形成部350の爪受け部352に対して係止機構LMの係止レバーRLの爪部RL2が係止された状態が維持される(すなわち、ロック解除操作が阻止される)。
【0050】
<本発明の実施形態に係る電気ケトルにおける液体経路の開閉状態、および、液体や蒸気の流れについて>
ここでは、注ぎ口301から液体容器320内の液体をカップや湯飲みなどの容器に注ぐため(液体吐出時)の液体経路の開閉状態について説明する。まず、開閉弁540が閉状態のとき(すなわち、開閉ボタン530が下方に向かって押圧されていないとき)は、開閉弁540のパッキン543が底板部材520の下面と密着した状態となる(図3図5参照)。これにより、液体経路が閉状態となる。このため、開閉弁540が閉状態のときにケトル本体200が傾倒しても、開閉弁540と底板部材520の下面との間から吐出経路DPへ直接液体が流れることがなくなる。そのため、誤ってケトル本体200を転倒させてしまった場合に、大量の液体が注ぎ口301から漏れ出すことを抑制することができる。なお、開閉弁540が閉状態のとき、液体容器320内は概ね閉鎖された空間となっているが、液体容器320の内部空間は、蒸気口522cを通じてのみ蒸気流通空間SP1と連通している。このため、液体容器320内の液体がヒータユニット340により加熱された場合、液体容器320内で蒸気が発生し、この蒸気が、底板部材520の蒸気口522cを通じて蒸気流通空間SP1に流入し、蒸気流通空間SP1の前方側へ流れることがある(図16の太線矢印参照)。かかる場合、蒸気は、底板部材520の前側連通穴522bを閉状態としているパッキンPKの閉塞部PK2押して撓垂れさせ、底板部材520の前側連通穴522bを開状態とさせる。そして、蒸気は、蒸気流通空間SP1から底板部材520の前側連通穴522bを通じて吐出経路DPに流入し、注ぎ口301から排出される。一方、開閉弁540が開状態のとき(すなわち、開閉ボタン530が下方に向かって押圧されたとき)は、開閉弁540のパッキン543が底板部材520の下面から離間した状態となり、液体容器320の上部が開放された状態となる。これにより、液体流路(すなわち、液体容器320、吐出経路DP、注ぎ口301へと繋がる流路)が開状態となる。なお、開閉ボタン530が下方に向かって一度押圧されると、ボタン係止機構(図示せず)によって開閉ボタン530が押圧された状態、すなわち、液体流路が開放された状態が維持される。そして、使用者は、液体流路が開放された状態でケトル本体200を注ぎ口301側に傾けることにより、液体容器320内の液体をカップや湯飲みなどの容器に注ぐことができる。なお、液体容器320内に液体が多量に入っているときにケトル本体200が注ぎ口301側に急に傾けられたりすると、液体容器320内の液体が吐出経路DPから底板部材520の前側連通穴522bを通じて蒸気流通空間SP1に流入するおそれがあるが、本発明の実施形態に係る電気ケトル100では、パッキンPKの閉塞部PK2が、底板部材520の前側連通穴522bを下側から塞いで閉状態としている。このため、液体容器320内の液体が吐出経路DPから底板部材520の前側連通穴522bを通じて蒸気流通空間SP1に流入することを阻止することができる。つまり、蒸気流通空間SP1に液体が残ることを阻止することができる。その後、使用者によって開閉ボタン530がもう一度押圧されると、開閉ボタン530が押圧された状態が解除され、コイルバネCS1の付勢力によって開閉弁540および開閉ボタン530が上方に戻される。これにより、開閉弁540によって液体流路が再び閉状態となる。
【0051】
<本発明の実施形態に係る電気ケトルの特徴>
(1)
本発明の実施形態にかかる電気ケトル100では、底板部材520の前側連通穴522bは、パッキンPKの閉塞部PK2によって塞がれて閉状態とされている。このため、この電気ケトル100では、液体流路が開放され、液体容器320内に液体が多量に入れられた状態で液体容器320内の液体をカップや湯飲みなどの容器に注ぐためにケトル本体200が注ぎ口301側に急に傾けられたりした場合でも、液体容器320内の液体が吐出経路DPから底板部材520の前側連通穴522bを通じて蒸気流通空間SP1に流入することを阻止することができ、蒸気流通空間SP1に液体が残ることを阻止することができる。このため、この電気ケトル100の使用時や使用後において、液体で電気ケトル100の周りをできるだけ濡らさないようにすることができる。
【0052】
(2)
本発明の実施形態にかかる電気ケトル100では、パッキンPKの閉塞部PK2は、底板部材520の前側連通穴522bより下側に位置している。そして、液体容器320内で発生した蒸気が、底板部材520の蒸気口522cを通じて蒸気流通空間SP1に流入し、蒸気流通空間SP1の前方側へ流れた場合、パッキンPKの閉塞部PK2は、蒸気に押されて底板部材520の前側連通穴522bを開状態とする。このため、この電気ケトル100では、液体容器320内から底板部材520の蒸気口522cを通じて蒸気流通空間SP1に蒸気が流入した場合に、蒸気を蒸気流通空間SP1から底板部材520の蒸気口522cを通じて排出することが可能となる。
【0053】
<変形例>
先の実施形態に係る電気ケトル100では、底板部材520の前側連通穴522bを塞ぐ逆止弁としてパッキンPKが採用されていた。しかし、パッキンPKの代わりに、リフト逆止弁、スイング逆止弁、バタフライ逆止弁、デュアルプレート逆止弁等の機械式の逆止弁が採用されてもよい。なお、これらの機械式の逆止弁は、前側連通穴522bの下側に配設されてもよいし、上側に配設されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
100 電気ケトル(容器体)
300 本体ユニット(本体)
500 蓋ユニット(蓋体)
522b 前側連通穴(排液口)
523 流路形成部(液体吐出口)
DP 吐出経路(液体吐出経路)
PK パッキン(逆止弁)
図1
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