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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188802
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ガス絶縁開閉装置
(51)【国際特許分類】
   H02B 13/065 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
H02B13/065 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097016
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 拓海
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕太
(72)【発明者】
【氏名】砂塚 隆
(72)【発明者】
【氏名】細川 修
(72)【発明者】
【氏名】中山 椋平
【テーマコード(参考)】
5G017
【Fターム(参考)】
5G017AA05
5G017AA06
5G017BB01
5G017BB02
5G017BB03
5G017BB09
5G017BB11
5G017BB14
5G017BB21
5G017EE01
5G017FF06
5G017JJ01
(57)【要約】
【課題】部品点数を少なくすることができるガス絶縁開閉装置を提供することである。
【解決手段】実施形態のガス絶縁開閉装置は、容器部と、複数の電力機器と、絶縁スペーサと、1つの部分放電検出装置と、を持つ。容器部は、絶縁スペーサによって区切られた複数の密閉空間を形成する。複数の電力機器は、前記複数の密閉空間のそれぞれに配置され、主母線を介して互いに接続される。絶縁スペーサは、前記主母線を支持する。1つの部分放電検出装置は、前記容器部の内部における部分放電を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁スペーサによって区切られた複数の密閉空間を形成する容器部と、
前記複数の密閉空間のそれぞれに配置され、主母線を介して互いに接続された複数の電力機器と、
前記主母線を支持する絶縁スペーサと、
前記容器部の内部における部分放電を検出する1つの部分放電検出装置と、を備える、
ガス絶縁開閉装置。
【請求項2】
複数の前記電力機器は、遮断器を含み、
前記部分放電検出装置は、前記遮断器を収容する前記容器部に設けられる、
請求項1に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項3】
前記複数の密閉空間は、前記主母線に沿って配列されており、
前記主母線の一端部と前記部分放電検出装置の間の前記絶縁スペーサの数と、前記主母線の他端部と前記部分放電検出装置の間の前記絶縁スペーサの数との差の絶対値が1以下となる前記主母線の位置に、前記部分放電検出装置が設けられる、
請求項1または2に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項4】
複数の前記絶縁スペーサのうち少なくとも一部は、前記主母線の長手方向の側面における周方向の一部と接触して前記主母線を支持する絶縁スペーサである、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項5】
複数の前記電力機器は、開閉器を更に含み、
前記部分放電検出装置は、前記主母線における前記開閉器を挟む前記絶縁スペーサ同士の間に設けられる、
請求項1から4のうちいずれか1項に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項6】
前記部分放電検出装置は、UHF帯域の高周波電磁波を検出することにより、前記容器部の内部における部分放電を検出する、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項7】
前記部分放電検出装置は、前記容器部の内部に設けられ、部分放電による電波を検出する検出部を備える、
請求項1から6のうちいずれか1項に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項8】
前記部分放電検出装置は、前記絶縁スペーサの内部に設けられ、部分放電による電波を検出する検出部を備える、
請求項1から6のうちいずれか1項に記載のガス絶縁開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ガス絶縁開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス絶縁開閉装置は、例えば、遮断器や断路器などの電力機器を含む回線を主母線に接続してなる。ガス絶縁開閉装置を構成する各電力機器の高電圧充電部は、SF6ガスなどの絶縁ガスとともに接地金属容器内に収容される。接地金属容器のうち、隣接する接地金属容器同士の間は、例えば、絶縁スペーサを配設して接続される。
【0003】
ガス絶縁開閉装置の内部異常を検出するにあたり、接地金属容器内で発生する内部放電を検出するために、ガス絶縁開閉装置には、例えば、内部放電検出装置が設けられる。内部放電検出装置は、例えば、複数の絶縁スペーサのそれぞれに設けられていた。このため、内部放電検出装置の設置数が多くなり、部品点数の増大につながっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3086720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、部品点数を少なくすることができるガス絶縁開閉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のガス絶縁開閉装置は、容器部と、複数の電力機器と、絶縁スペーサと、1つの部分放電検出装置と、を持つ。容器部は、絶縁スペーサによって区切られた複数の密閉空間を形成する。複数の電力機器は、前記複数の密閉空間のそれぞれに配置され、主母線を介して互いに接続される。絶縁スペーサは、前記主母線を支持する。1つの部分放電検出装置は、前記容器部の内部における部分放電を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態のガス絶縁開閉装置1の構成及び各構成要素の配置の一例を示す配置図。
図2】第2の実施形態のガス絶縁開閉装置2の構成及び各構成要素の配置の一例を示す配置図。
図3】第3の実施形態のガス絶縁開閉装置3の構成及び各構成要素の配置の一例を示す配置図。
図4】第4の実施形態のガス絶縁開閉装置4の構成及び各構成要素の配置の一例を示す配置図。
図5】コーン型スペーサ41の一例を示す断面図。
図6】ポスト型スペーサ42の一例を示す断面図。
図7】第5の実施形態のガス絶縁開閉装置5の構成及び各構成要素の配置の一例を示す配置図。
図8】アンテナ型部分放電検出装置31の一例を示す構成図。
図9】埋込型部分放電検出装置32の一例を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態のガス絶縁開閉装置を、図面を参照して説明する。ガス絶縁開閉装置(Gas Insulated Switchgear:GIS)は、電力機器を接地金属容器内にコンパクトに収納する。ガス絶縁開閉装置は、例えば、工場などの一般電力需要家や再生エネルギー発電事業者により設置される。ガス絶縁開閉装置は、例えば、変電所や発電所などの高電圧を扱う電力施設に設置される場合もある。電力施設では、複数のガス絶縁開閉装置が設置される場合もある。
【0009】
ガス絶縁開閉装置は、絶縁性に優れた気体中で、母線を流れる電流の開閉を行う保護装置である。ガス絶縁開閉装置は、例えば、遮断器(Gas Circuit Breaker:GCB)や、断路器(Disconnecting Switch:DS)、接地開閉器(Earthing Switch:ES)などといった複数(2つ以上)の電力機器(部品)を組み合わせ製造される。ガス絶縁開閉装置を構成するそれぞれの電力機器は、高電圧充電部を備える。電力機器は、例えば、SF(六フッ化硫黄)ガスなどの絶縁ガスが封入された金属製であって筒状の接地金属容器内に収容される。
【0010】
ガス絶縁開閉装置を構成するそれぞれの電力機器は、3相交流が流れる3本の内部導体または1本の内部導体などにより接続される。内部導体は、接地金属容器に収容され、3相交流が流れる3本の内部導体は、まとめて収容されたり、まとめられることなくそれぞれ収容されていたりする。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のガス絶縁開閉装置1の構成及び各構成要素の配置の一例を示す配置図である。図1には、1回線分のガス絶縁開閉装置1を側方側から見たときの構成及び各構成要素の配置の一例を示している。ガス絶縁開閉装置1のレイアウトは、1線路回線の主母線に1変圧器回線が設けられた1線路回線1変圧器回路(1Line1Bank)である。
【0012】
ガス絶縁開閉装置1は、例えば、遮断器10と、トランス取合部(Trance Joint:TR-J)12と、接地形計器用変圧器(Earthed Voltage Transformer:EVT)14と、計器用変流器(Current Transformer:CT)16と、計器用変圧器(Voltage Transformer:VT)18と、保護・計測用変流器(Current Transformer:CT)19と、断路器20と、避雷器(Lightning Arrester:LA)24と、ケーブルヘッド(Cable Head:CH)26と、部分放電検出装置30と、絶縁スペーサ40と、接地金属容器50と、を備える。
【0013】
円筒状の接地金属容器50に電力機器がそれぞれ収容されているため、図1における各電力機器の符号は、電力機器を収容する接地金属容器50に付している。各電力機器を収容する接地金属容器50の間には、それぞれ絶縁スペーサ40が配設されている。接地金属容器50は、絶縁スペーサによって区切られた複数の密閉空間を形成する。複数の電力機器は、複数の密閉空間にそれぞれ配置され、内部導体を介して互いに接続される。接地金属容器50は、容器部の一例である。容器部は、金属製以外でもよく、例えば、樹脂製でもよい。複数の密閉空間は、内部導体に沿って配列される。
【0014】
ガス絶縁開閉装置1は、遮断器10が、遮断器操作機構11の上側に配置されて鉛直方向に延在する構成となる、いわゆる、縦型遮断器のガス絶縁開閉装置である。ガス絶縁開閉装置1は、送電方向の上流側から下流側に送電する電気経路を保護する。以下の説明においては、ガス絶縁開閉装置1が備えるトランス取合部12側を上流側とし、ケーブルヘッド26側を下流側とする。トランス取合部12とケーブルヘッド26の間で主母線が形成される。トランス取合部12と、断路器20は、接地開閉器を備える。接地開閉器は、開閉器の一例である。
【0015】
遮断器10は、送電電流の開閉やガス絶縁開閉装置1に侵入する事故電流を遮断し、その他の機器を保護する機能を有する。遮断器10は、開閉器を含む。遮断器10の上流側には、例えば、トランス取合部12と、第1接地形計器用変圧器14と、計器用変流器16と、計器用変圧器18が接続される。遮断器10の下流側には、例えば、断路器20と、第2接地形計器用変圧器22と、避雷器24と、ケーブルヘッド26が接続される。ガス絶縁開閉装置1は、計器用変圧器18と断路器20の間に配置された電流遮断用の接点(遮断部)を備える。遮断部は、例えば、三相交流のそれぞれの内部導体ごとに設けられる。内部導体は、主母線の一例である。
【0016】
トランス取合部12は、ガス絶縁開閉装置1の上流側に設けられる。トランス取合部12は、図示しない主母線とガス絶縁開閉装置1を接続する。第1接地形計器用変圧器14は、上流側の端部(以下、一端部)がトランス取合部12に接続され、下流側の端部(以下、他端部)に計器用変流器16が接続される。トランス取合部12は、内部導体の一端側に配置されている。
【0017】
第1接地形計器用変圧器14は、例えば、上流側の電気経路に流れる高電圧の対地電圧を低圧で取扱いし易い電圧に変成して、計測器に出力する。ガス絶縁開閉装置1における第1接地形計器用変圧器14の1次側の一端部はトランス取合部12から図示されないトランスに接続されている内部導体に接続され、他端部は接地される。計器用変圧器の2次側は図示されない計測器等に接続される。内部導体はさらに計器用変流器16に接続される。
【0018】
計器用変流器16は、変圧器の下流側の電気経路に流れる送電電流の大きさを変換する。ガス絶縁開閉装置1における計器用変流器16の2次側は図示されない計測器等に接続される。計器用変流器16を通過した内部導体は計器用変圧器18の1次側に接続されている。計器用変流器16は、1つの接地金属容器50に2つ接続されている。
【0019】
計器用変圧器18は、下流側の電気経路に流れる電圧の大きさを変換して計測器に出力する。ガス絶縁開閉装置1における計器用変圧器18の1次側の一端部は内部導体のある相に接続され、他端部は別の相の内部導体に接続される。内部導体はさらに遮断器10の上流側端子に接続されている。計器用変圧器18は、電気経路に流れる相間電圧の大きさを変換して計測器に出力する。計器用変流器16及び計器用変圧器18は、それぞれ計器用変流変圧器であってもよい。
【0020】
遮断器20の下流側端子は内部導体により断路器20の上流側端子に接続される。断路器20は、例えば、内部導体に送電電流が流れていない状態のときに、管理者による操作等に基づいて、上流側と下流側の電気経路を分離させる。断路器20は、例えば、送電系統を切り替えたり保守点検を行ったりする際に、電力機器を回路から切り離すために使用される。断路器20は、接地開閉器を備える場合がある。第2接地形計器用変圧器22における1次端子は断路器20の下流側に接続されている内部導体に接続されている。さらに断路器20の下流側の内部導体は避雷器24の一端に接続される。第2接地形計器用変圧器22は、例えば、断路器20の下流側の電気経路に流れる高電圧を低圧で取扱いがし易い電圧に変成する。
【0021】
避雷器24は、ケーブルヘッド26が接続された電気経路から侵入してくる雷などによる突発的な高電圧からガス絶縁開閉装置1のそれぞれの機器を保護する。断路器20の下流側に接続された内部導体は避雷器24の一端と第2接地形計器用変圧器22の1次側に接続され、さらにケーブルヘッド26に接続される。
【0022】
ケーブルヘッド26は、上流側の主母線により送電された三相それぞれの相の送電電流をガス絶縁開閉装置1の外部の機器に出力させる。ケーブルヘッド26の一端部は避雷器24に接続され、他端部は電力ケーブル(不図示)に接続されている。ケーブルヘッド26は、図1に示したガス絶縁開閉装置1の構成では、ケーブルヘッド26の下側に接続された電力ケーブルにより、三相交流のそれぞれの相の電流がガス絶縁開閉装置1の外部の機器に出力される。ケーブルヘッド26は、内部導体の他端部に配置されている。
【0023】
部分放電検出装置30は、遮断器10が収容された接地金属容器50に設けられる。部分放電検出装置30は、接地金属容器50に収容されたアンテナを備える。部分放電検出装置30は、接地金属容器50に収容されたアンテナを用いて、接地金属容器50内で発生するUHF帯域の高周波電磁波を検出する。
【0024】
部分放電検出装置30は、高周波電磁波の検出に基づいて、接地金属容器50内で発生する部分放電を検出する。アンテナは、検出部の一例である。部分放電検出装置30は、1線路回線に1つ設けられる。部分放電検出装置30は、UHF帯域の高周波電磁波以外の電波を検出するものでもよい。
【0025】
絶縁スペーサ40は、電力機器を収容する接地金属容器50同士の接続部分に設けられる。絶縁スペーサ40は、いわゆるコーン型スペーサであり、隣接する接地金属容器50が接続される開口部分を塞ぐ。絶縁スペーサ40の中央部分に開口が形成されており、この開口部に内部導体が通される。内部導体と開口部の間は気密処理がなされる。絶縁スペーサ40は、接地金属容器50に収容される内部導体を支持するとともに、隣接する接地金属容器50の間で、収容されるSF6ガスを区分する。絶縁スペーサ40は、内部導体支持用かつガス区分用のスペーサである。
【0026】
ガス絶縁開閉装置内において、例えば、絶縁材料の内部の欠損や微小な空洞、異物などの欠陥部が生じる内部異常が発生すると、欠陥部に電界が集中して局所的に放電する部分放電が発生することがある。部分放電が発生すると、例えば、絶縁スペーサが絶縁破壊するなどの不具合が生じる原因となる。
【0027】
このような不具合を抑制するために、ガス絶縁開閉装置では、内部で発生する部分放電を検出する。従来、ガス絶縁開閉装置内の内部異常に基づく部分放電を検出する際には、例えば、接地金属容器の間に設けられる絶縁スペーサごとに部分放電検出装置を設けていた。このため、多数の部分放電検出装置を要して、部品点数が増大する傾向にあった。
【0028】
これに対して、第1の実施形態のガス絶縁開閉装置1は、1線路回線に1つの部分放電検出装置30が設けられる。このため、従来、部分放電検出装置30を絶縁スペーサ40の数だけ必要としていたところ、第1の実施形態では、部分放電検出装置30を1つで済ませることができる。したがって、従来と比較して大幅に減少させることができるので、部品点数の削減に寄与することができる。
【0029】
また、第1の実施形態のガス絶縁開閉装置1において、部分放電検出装置30は、遮断器10を収容する接地金属容器50に設けられる。遮断器10は、ガス絶縁開閉装置1のスペーサの数が概略等しくなる位置に配置される。このため、ガス絶縁開閉装置1の広い範囲で部分放電の発生を部分放電検出装置30により均質に検出することができる。
【0030】
また、第1の実施形態のガス絶縁開閉装置1において、接地金属容器50に収容されたアンテナを用いてUHF帯域の高周波電磁波を検出する。このため、ガス絶縁開閉装置1の内部における広範囲で発生する部分放電を精度よく検出することができる。さらには、ガス絶縁開閉装置1のレイアウトが拡張された場合にも、ガス絶縁開閉装置1の内部における部分放電の発生を精度よく検出することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図2は、第2の実施形態のガス絶縁開閉装置2の構成及び各構成要素の配置の一例を示す配置図である。第2の実施形態のガス絶縁開閉装置2は、第1の実施形態のガス絶縁開閉装置1と比較して、遮断器10が設けられていない点で主に異なる。
【0032】
ガス絶縁開閉装置2は、内部に内部導体が収容され、他の電力機器が収容されていない接地金属容器50を備える。接地金属容器50の一端部は計器用変圧器18に接続され、他端部は第2接地形計器用変圧器22に接続される。接地金属容器50内には遮断器などの電力機器は収容されていない。その他の点は、上記の第1の実施形態と共通する。
【0033】
接地金属容器50には、部分放電検出装置30が取り付けられている。部分放電検出装置30は、ガス絶縁開閉装置2における内部導体の中央に配置されている。具体的に、トランス取合部12と接地金属容器50の間に設けられた絶縁スペーサ40の数と、接地金属容器50よりも下流側に設けられた絶縁スペーサ40の数は、いずれも3つであり、同数である。
【0034】
接地金属容器50の上流側に設けられた絶縁スペーサ40の数と、上流側に設けられた絶縁スペーサ40の数は同数とするのがよいが、ガス絶縁開閉装置1に含まれる絶縁スペーサ40の数量が奇数であるに場合には、両者の数は同数とならない。このため、接地金属容器50の上流側に設けられた絶縁スペーサ40の数と、上流側に設けられた絶縁スペーサ40の数の差の絶対値は、ガス絶縁開閉装置1に含まれる絶縁スペーサ40の数量が奇数である場合を考慮して、1であってもよい。
【0035】
第2の実施形態のガス絶縁開閉装置2は、第1の実施形態のガス絶縁開閉装置1と同様の作用効果を奏する。さらに、第2の実施形態のガス絶縁開閉装置2は、遮断器は設けられていないが、部分放電検出装置30は、複数の絶縁スペーサ40の中央に配置されている。このため、遮断器が設けられていないガス絶縁開閉装置においても、広い範囲で部分放電の発生を部分放電検出装置30により均質に検出することができる。
【0036】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。図3は、第3の実施形態のガス絶縁開閉装置3の構成及び各構成要素の配置の一例を示す配置図である。第3の実施形態のガス絶縁開閉装置3は、第1の実施形態のガス絶縁開閉装置1と比較して、複数の接続接地金属容器60が設けられている点で主に異なる。
【0037】
第3の実施形態のガス絶縁開閉装置3では、トランス取合部12と第1接地形計器用変圧器14の間に、2本の接続接地金属容器60が介在されている。さらに、避雷器24とケーブルヘッド26の間に2本の接続接地金属容器60が介在されている。また、トランス取合部12と接続接地金属容器60の間に設けられた絶縁スペーサ40の数と、接続接地金属容器60よりも下流側に設けられた絶縁スペーサ40の数は、いずれも5つであり、同数である。その他の点は、上記の第1の実施形態と共通する。
【0038】
第3の実施形態のガス絶縁開閉装置3は、第1の実施形態のガス絶縁開閉装置1と同様の作用効果を奏する。さらに、第3の実施形態のガス絶縁開閉装置3では、複数の絶縁スペーサ40の中央に遮断器10が配置されており、遮断器10が収容された接地金属容器50に部分放電検出装置30が設けられている。このため、広い範囲で部分放電の発生を部分放電検出装置30により均質に検出することができる。
【0039】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。図4は、第4の実施形態のガス絶縁開閉装置4の構成及び各構成要素の配置の一例を示す配置図である。第4の実施形態のガス絶縁開閉装置4は、第3の実施形態のガス絶縁開閉装置3と比較して、複数の絶縁スペーサ40のうち、一部がコーン型スペーサ41であり、他の一部がポスト型スペーサ42である。その他の点は、上記の第3の実施形態と共通する。
【0040】
内部導体の上流側では、接続接地金属容器60同士及び接続接地金属容器60と第1接地形計器用変圧器14を接続する絶縁スペーサ40がポスト型スペーサ42であり、その他の絶縁スペーサ40がコーン型スペーサ41である。内部導体の下流側では、接続接地金属容器60同士及び避雷器24と接続接地金属容器60を接続する絶縁スペーサ40がポスト型スペーサ42であり、その他の絶縁スペーサ40がコーン型スペーサ41である。
【0041】
図5は、コーン型スペーサ41の一例を示す断面図である。コーン型スペーサ41は、コーン形状のスペーサ本体と、スペーサ本体の周囲から周方向外側に張り出す張出部を備える。コーン型スペーサ41は、2つの接続接地金属容器60の間で2つの接続接地金属容器60のそれぞれに収容される。
【0042】
コーン型スペーサ41を収容する接続接地金属容器60は、例えば、筒状部61と、一端側接続部62と、他端側接続部63と、シールド部64と、を備える。筒状部61は、筒状をなす中空の部位である。一端側接続部62は、筒状部61の一端に設けられる。他端側接続部63は、筒状部61の他端に設けられる。
【0043】
一端側接続部62には、例えば雌ネジが設けられる。他端側接続部63には、例えば雄ネジが設けられる。内部導体の一端側に配置された接続接地金属容器60における他端側接続部63が、内部導体の他端側に配置された接続接地金属容器60における一端側接続部62にねじ込まれることにより、隣接する接続接地金属容器60同士が接続される。
【0044】
内部導体の一端側の接続接地金属容器60の他端側接続部63と、他端側の接続接地金属容器60の一端側接続部62とは、コーン型スペーサ41の張出部を挟み込んで接続可能とされている。内部導体の一端側と他端側で隣接する接続接地金属容器60にコーン型スペーサ41が挟み込まれることにより、コーン型スペーサ41は、隣接する接続接地金属容器60に保持されて固定される。
【0045】
シールド部64は、リング状をなす。シールド部64は、その外周部分をコーン型スペーサ41により保持される。シールド部64の中央貫通穴には、内部導体Cが貫通する。コーン型スペーサ41の張出部が隣接する接続接地金属容器60同士に挟み込まれて固定されることにより、シールド部64が接続接地金属容器60に対して固定される。シールド部64の中央貫通穴に内部導体Cが貫通することにより、内部導体の一端側の接続接地金属容器60に封入されるガスと他端側の接続接地金属容器60に封入されるガスが区分される。
【0046】
図6は、ポスト型スペーサ42の一例を示す断面図である。ポスト型スペーサ42は、略延長形状をなし、接続接地金属容器60の内側で接続接地金属容器60の下面に対して立設されている。ポスト型スペーサ42には、内部導体Cが載置される。ポスト型スペーサ42は、内部導体Cの長手方向の側面における周方向の一部と接触して内部導体Cを地側から支持する。線路回線で隣接する接続接地金属容器60は、他端側接続部63の雄ネジ部が一端側接続部62の雌ネジ部に直接にねじ込まれることによって接続されて固定される。
【0047】
第4の実施形態の第1の実施形態のガス絶縁開閉装置1と同様の作用効果を奏する。さらに、第4の実施形態のガス絶縁開閉装置4では、複数の絶縁スペーサ40として、コーン型スペーサ41のほかにポスト型スペーサ42を用いている。コーン型スペーサ41では、隣接する接続接地金属容器60を区切っているので、部分放電検出装置30の感度低下を招く懸念がある。この点、ポスト型スペーサ42では、隣接する接続接地金属容器60の間を区切ることなく内部導体を支持するので、部分放電検出装置30の感度低下を抑制することができる。
【0048】
隣接する接続接地金属容器60同士のガスを区分する観点では、絶縁スペーサ40としてポスト型スペーサ42よりもコーン型スペーサ41が好ましい。その一方で、コーン型スペーサ41では、部分放電検出装置30の感度の低下が懸念されることから、両者の特性を考慮して、絶縁スペーサ40を選択すればよい。部分放電検出装置30の検出感度の限界に基づいて、絶縁スペーサ40を選択してもよい。
【0049】
具体的には、ガス絶縁開閉装置4の設計過程において、絶縁スペーサ40としてすべてコーン型スペーサ41を用いても、部分放電検出装置30の検出感度が限界に到達しない場合には、そのまますべての絶縁スペーサ40をコーン型スペーサ41とする。また、絶縁スペーサ40としてすべてコーン型スペーサ41を用いた場合に、部分放電検出装置30の検出感度が限界を超えてしまうことがある。この場合には、順次絶縁スペーサ40をコーン型スペーサ41からポスト型スペーサ42に置き換え、部分放電検出装置30の検出感度が限界に到達しなくなった条件で絶縁スペーサとしてコーン型スペーサ41またはポスト型スペーサ42を選択すればよい。こうして、第4の実施形態のガス絶縁開閉装置4では、部分放電検出装置30の検出感度を確保しながら、接地金属容器50を単位として多くの単位でガスを区分することができる。
【0050】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。図7は、第5の実施形態のガス絶縁開閉装置5の構成及び各構成要素の配置の一例を示す配置図である。第5の実施形態のガス絶縁開閉装置5では、遮断器10における内部導体Cの主回路に設けられた開閉器の接点付近に部分放電検出装置30が設置されている点で、第1の実施形態と異なる。
【0051】
第5の実施形態のガス絶縁開閉装置5では、内部導体における部分放電検出装置30を挟む一対の絶縁スペーサ40同士(絶縁スペーサ40A,40B)の間に、部分放電検出装置30が設けられる。さらに、部分放電検出装置30は、遮断器10を通過する内部導体Cの主回路に設けられた開閉器10Sの接点Sが配置される。部分放電検出装置30は、内部導体Cの主回路に開閉器10Sの接点Sの付近に設けられる。その他の点は、上記の第1の実施形態と共通する。
【0052】
第5の実施形態のガス絶縁開閉装置5は、第1の実施形態のガス絶縁開閉装置1と同様の作用効果を奏する。また、第5の実施形態のガス絶縁開閉装置5では、開閉器の接点付近に部分放電検出装置30が設けられる。このため、部分放電検出装置30が部分放電を検出した際に、接点を切状態とし、上流側の回路と下流側の回路を切り離すことにより、部分放電の発生個所を絞り込むことができる。
【0053】
第5の実施形態において、部分放電検出装置30は、遮断器10における内部導体Cの主回路の接点付近に設置されるが、他の開閉器における内部導体Cの主回路の接点付近に設置されてもよい。例えば、部分放電検出装置30は、断路器20に設けられた接地開閉器の付近に設けられてもよい。
【0054】
例えば、遮断器20が開放状態で部分放電検出装置30が部分放電を検出した場合は、遮断器20を含め遮断器20より上流側に部分放電箇所が存在していることになる。たとえば遮断器20が投入状態で部分放電検出装置30が部分放電を検出し、遮断器20が開放状態で部分放電検出装置30が部分放電を検出しない場合は、遮断器20を含め遮断器20より下流側に部分放電箇所が存在していることとなる。
【0055】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。第1の実施形態では、部分放電検出装置30として、アンテナ型の部分放電検出装置を用いたが、第6の実施形態では、部分放電検出装置30として、スペーサ埋込型(以下、埋込型)の部分放電検出装置を用いる点で異なる。以下、アンテナ型の部分放電検出装置(以下、アンテナ型部分放電検出装置)と埋込型の部分放電検出装置(以下、埋込型部分放電検出装置)の双方について説明する。
【0056】
図8は、アンテナ型部分放電検出装置31の一例を示す構成図である。アンテナ型部分放電検出装置31は、例えば、アンテナ71と、配線72と、処理部73と、を備える。アンテナ71は、接地金属容器90における筒状部91を拡幅して形成された空間に収容されることにより、接地金属容器90の内部に収容されて設けられる。アンテナ71は、接地金属容器90の内部で発生するUHF帯域の高周波電磁波を検出する。アンテナ71は、絶縁スペーサ40の近傍に配置される。
【0057】
アンテナ71は、配線72を介して処理部73に接続されている。アンテナ71は、検出した高周波電磁波の情報を処理部73に出力する。処理部73は、アンテナ71により出力された高周波電磁波の情報に基づいて、接地金属容器90内で発生した部分放電を検出する。
【0058】
図9は、埋込型部分放電検出装置32の一例を示す構成図である。埋込型部分放電検出装置32は、例えば、埋込アンテナ81と、配線82と、処理部83と、を備える。配線82及び処理部83は、アンテナ型部分放電検出装置31の配線72及び処理部73と同様の構成を有する。
【0059】
埋込アンテナ81は、コーン型スペーサ41(絶縁スペーサ40)の内部に設けられる。コーン型スペーサ41が接地金属容器90の内側に設けられることから、埋込アンテナ81は、接地金属容器90の内側に設けられる。埋込アンテナ81は、高周波電磁波を受信できる金属等であればよく、例えば、コーン型スペーサ41が金属製のボルトやワッシャなどを備える場合に、これらのボルトやワッシャを埋込アンテナ81として利用することができる。
【0060】
アンテナ型部分放電検出装置31は、接地金属容器90における筒状部91を拡幅して形成された空間に収容されて設けられる。このため、絶縁スペーサ40の位置にかかわらず、アンテナ型部分放電検出装置31を任意の位置に設置することができる。したがって、アンテナ型部分放電検出装置31を設置する位置の自由度を高めることができる。また、埋込アンテナ81は、絶縁スペーサ40が備える金属製の部材をそのまま利用することができる。したがって、埋込アンテナ81となる部材を別途設ける必要をなくすことができる。
【0061】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、絶縁スペーサによって区切られた複数の密閉空間を形成する容器部と、前記複数の密閉空間のそれぞれに配置され、主母線を介して互いに接続された複数の電力機器と、前記主母線を支持する絶縁スペーサと、前記容器部の内部における部分放電を検出する1つの部分放電検出装置と、を備える、を持つことにより、部品点数を少なくすることができる。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
1~5…ガス絶縁開閉装置、10…遮断器、10S…開閉器、11…遮断器操作機構、12…トランス取合部、14…第1接地形計器用変圧器、16…計器用変流器、18…計器用変圧器、20…断路器、22…第2接地形計器用変圧器、24…避雷器、26…ケーブルヘッド、30…部分放電検出装置、31…アンテナ型部分放電検出装置、32…埋込型部分放電検出装置、40(40A,40B)…絶縁スペーサ、41…コーン型スペーサ、42…ポスト型スペーサ、50,90…接地金属容器、60…接続接地金属容器、61,91…筒状部、62…一端側接続部、63…他端側接続部、64…シールド部、71…アンテナ、72,82…配線、73,83…処理部、81…埋込アンテナ、C…内部導体、S…接点
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9