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特開2022-188804品揃え推奨システム、品揃え推奨方式およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188804
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】品揃え推奨システム、品揃え推奨方式およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221215BHJP
【FI】
G06Q30/02 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097018
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 昌樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB04
(57)【要約】
【課題】制約条件を満足しながら想定利益などの指標値が最大となるよう、品揃え計画対象期間の各日に品揃えすべき商品リストを生成し、推奨する。
【解決手段】品揃え推奨システムは、品揃え推奨期間の各日に販売可能な商品が商品コードと日付の組み合わせた形で保持されている品揃え計画対象期間販売可能商品・日と、品揃え計画対象期間販売可能商品・日の需要予測あるいは推奨生産数と、任意の分類単位の商品数制約条件とに基づいて品揃え推奨を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
品揃え推奨期間の各日に販売可能な商品が商品コードと日付の組み合わせた形で保持されている品揃え計画対象期間販売可能商品・日と、
前記品揃え計画対象期間販売可能商品・日の需要予測数あるいは推奨生産数と、
任意の分類単位の商品数制約条件と、
に基づいて品揃え推奨を算出する品揃え推奨システム。
【請求項2】
前記品揃え計画対象期間販売可能商品・日は、さらに、売単価、原単価、値入率の少なくとも1つの情報が付加されている
請求項1に記載の品揃え推奨システム。
【請求項3】
前記品揃え計画対象期間販売可能商品・日は、前記商品コードと前記日付の組み合わせごとに優先指定情報が付加されている
請求項1または2に記載の品揃え推奨システム。
【請求項4】
前記商品数制約条件は、商品数実績参照日と過去の実績データとに基づいて算出される
請求項1から3のいずれか1項に記載の品揃え推奨システム。
【請求項5】
前記品揃え推奨の計算結果には、前記商品コードと前記日付の組み合わせごとに推奨する品揃え商品を決定するときの計算で利用した前記需要予測数あるいは前記推奨生産数の少なくとも1つが付加されている
請求項1から4のいずれか1項に記載の品揃え推奨システム。
【請求項6】
前記品揃え推奨の計算結果には、前記商品を品揃え推奨として選出する優先順位の指標であるメトリックが付加されている
請求項1から5のいずれか1項に記載の品揃え推奨システム。
【請求項7】
前記メトリックは、前記商品コードと前記日付の組み合わせごとに、期待販売額、値入額、想定値引廃棄額、想定粗利の少なくとも1つに基づいて算出する
請求項6に記載の品揃え推奨システム。
【請求項8】
優先指定情報により指定される優先指定商品がある場合は、当該優先指定商品を無条件に選択する、あるいは、前記商品数制約条件の商品数を上限として当該商品数制約条件の分類に属する商品から前記メトリックが大きい順あるいは小さい順に選択し、
さらに前記商品数制約条件の商品数に達しなかった場合には、前記商品数制約条件の商品数と既に選択した前記優先指定商品の商品数との差を上限として当該商品数制約条件の分類に属する優先指定ではなかった商品から前記メトリックが大きい順あるいは小さい順に選択する
ことにより前記品揃え推奨を算出する
請求項6または7に記載の品揃え推奨システム。
【請求項9】
品揃え推奨期間の各日に販売可能な商品が商品コードと日付の組み合わせた形で保持されている品揃え計画対象期間販売可能商品・日と、
前記品揃え計画対象期間販売可能商品・日の需要予測数あるいは推奨生産数と、
任意の分類単位の商品数制約条件と、
に基づいて品揃え推奨を算出する品揃え推奨方式。
【請求項10】
品揃え推奨期間の各日に販売可能な商品が商品コードと日付の組み合わせた形で保持されている品揃え計画対象期間販売可能商品・日を読み込むステップと、
品揃え計画対象期間販売可能商品・日の需要予測数あるいは推奨生産数を読み込むステップと、
任意の分類単位の商品数制約条件と、
に基づいて品揃え推奨を算出するステップと
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、品揃え推奨システム、品揃え推奨方式およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品の在庫数を最適化する方法としては、従来、過去の販売データや曜日、気象等データから、将来の需要予測を行い、発注数や生産数を決定する方法がある。例えば当該方法を、食品の店頭在庫最適化に用いることにより、値引損失、廃棄損失を削減したり、売上を拡大することができる。
【0003】
しかし従来、需要予測によって店頭在庫数を最適化しようとする日付と商品を、販売主体者が明示する必要がある。例えば食品小売店舗における惣菜などは、消費者が飽きないよう、限られた陳列スペースに日替わりで品揃えを計画する必要がある。このような商品カテゴリの場合、販売しようとする日付と商品を、販売主体者が販売戦略・企画の意志と、過去の販売実績、商品の偏り防止、与えられた売上・粗利予算と想定の売上・粗利との比較から、決定する必要がある。この日付と商品の決定作業(本明細書では「品揃え計画」という)に労力がかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-9169号公報
【特許文献2】特開2015-232865号公報
【特許文献3】特開2014-229252号公報
【特許文献4】国際公開第2018/8303号
【特許文献5】特開2007-200185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、品揃え計画しようとする期間(品揃え計画対象期間、実施例では1週間ごと)に販売可能な商品の集合と、販売主体者の販売戦略・企画意図を反映した優先指定商品・日などの制約条件から、制約条件を満足しながら想定売上や想定利益などの希望する指標値が最大となるよう、当該品揃え計画対象期間の各日に品揃えすべき商品リストを生成し、推奨することである。これにより、販売主体者の品揃え計画の作業軽減、業務属人化防止、1商品(1商品コード)1日あたりの売上・利益、買上点数1点あたり(1品あたり)の売上・利益の改善をもたらすことができる、品揃え推奨システム、品揃え推奨方式およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の品揃え推奨システムは、品揃え推奨期間の各日に販売可能な商品が商品コードと日付の組み合わせた形で保持されている品揃え計画対象期間販売可能商品・日と、前記品揃え計画対象期間販売可能商品・日の需要予測数あるいは推奨生産数と、任意の分類単位の商品数制約条件と、に基づいて品揃え推奨を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の食品小売事業者の販売計画業務フローと品揃え推奨システムの位置づけを示す図。
図2】優先指定情報付き品揃え計画対象期間販売可能商品・日のデータ形式を示す図。
図3】基本ルールの週対応を示すテーブル、基本ルールの曜日対応を示すテーブル、および上書きルール設定情報を示すテーブルの一例を示す図。
図4】品揃え計画対象期間販売可能商品・日の需要予測あるいは推奨生産数のデータ形式を示す図。
図5】過去の販売等実績データのデータ形式を示す図。
図6】品揃え推奨のデータ形式を示す図。
図7】品揃え推奨システム10における、品揃え推奨のロジックの実施例を示すフローチャート。
図8】小分類単位商品数計算の内部データ形式を示す図。
図9】「商品コード」と「商品名」の例を示す図。
図10】商品の部門名、大分類コード・名、中分類コード・名、小分類コード・名を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の品揃え推奨システム、品揃え推奨方式およびプログラムを、図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、実施形態の食品小売事業者の販売計画業務フローと品揃え推奨システムの位置づけを示す図である。食品小売事業者の販売計画業務フローでは、まず品揃え計画1を立て、次に日別販売計画2を立て、そして時間帯別生産数量計画3を立てる。品揃え計画1では、品揃え計画対象期間(例えば、翌々週)の品揃え計画を立てる。日別販売計画2では、日別の販売数量を決定する。時間帯別生産数量計画3では、時間帯別の生産数量を決定する。なお、生産する品物ではなく発注する品物に関しては、生産数(生産数量)の代わりに発注数(発注数量)と置き換えればよい。
【0010】
需要予測・推奨生産数計算システム4は、過去の販売等実績データ5や気象データ6などを基に、品揃え計画対象期間販売可能商品・日(商品と日の組み合わせ)の需要予測あるいは推奨生産数を算出する。日別販売計画2および時間帯別生産数量計画3では、需要予測・推奨生産数計算システム4で算出された、品揃え計画対象期間販売可能商品・日の需要予測あるいは推奨生産数を基に、その日の販売数量および時間帯別の生産数量を決定する。なお、需要予測・推奨生産数計算システム4に関しては、既存のものを用いればよく、日別販売計画2および時間帯別生産数量計画3に関しても、既存の手法を用いればよい。
【0011】
品揃え推奨システム10には、販売主体者から、優先指定情報付き品揃え計画対象期間販売可能商品・日と、商品数実績参照日とが入力される。優先指定情報とは、特定の日には特定の商品(優先指定商品)を必ず取り揃えるという情報である。なお、優先指定商品がゼロで、優先指定情報がない場合もある。品揃え計画対象期間販売可能商品・日とは、品揃え計画対象期間(例えば翌々週)の販売可能な商品と日の組み合わせである。商品数実績参照日とは、商品数が偏らないようにするために、過去の実績を参考にして、分類ごとの商品数を何種類揃えるかという条件を、過去のどの日と同じにするか(参照日)を指定する。なお、商品には分類があり、大分類(例えば、ホット、冷惣菜)、中分類(例えば、中華、寿司)、小分類(例えば、1人前寿司、3人前寿司、ファミリー向け寿司)がある。
【0012】
品揃え推奨システム10は、需要予測・推奨生産数計算システム4に、品揃え計画対象期間販売可能商品・日を渡す。品揃え計画対象期間販売可能商品・日とは、品揃え計画対象期間において販売可能な全ての商品と日の組み合わせである。需要予測・推奨生産数計算システム4は、過去の販売等実績データ5や気象データ6などを基に、品揃え計画対象期間販売可能商品・日の需要予測あるいは推奨生産数を算出して、品揃え推奨システム10に返す。
【0013】
また、品揃え推奨システム10には、過去の実績データとして、販売等実績データ5が入力される。販売等実績データ5は、たとえば、対象とする店舗の過去1年間に渡る各日付の販売等実績であり、各商品の商品特定情報(商品コード)、販売金額、値下金額(値下率でもよい)や廃棄金額(廃棄率でもよい)を含む。また、品揃え推奨システム10は、商品コードと分類情報との対応関係を示す情報11を予め保持しており、当該商品コードと分類情報との対応関係を示す情報11を用いるか、販売等実績データ5に含まれた商品コードに対応する分類情報を用いて、過去の各日付の小分類ごとの販売商品数も集計することができ(どの小分類で何商品売られていたかを数えることができ)、販売主体者から入力されたデータの一つである商品数実績参照日に対応する過去の日の、小分類ごとの販売商品数を得る。また一方で、品揃え推奨システム10は、需要予測・推奨生産数計算システム4から入力されたデータ、および過去の販売等実績データ5を基に、販売主体者から入力されたデータの品揃え計画対象期間販売可能商品・日の各々に対応する想定利益を算出する。そして、品揃え推奨システム10は、前記のようにして得られた実績参照日の各小分類の販売商品数と、計画対象期間販売可能商品・日それぞれの想定利益とから、品揃えを推奨する商品・日を品揃え計画対象期間販売可能商品・日の中から選び取る計算を行い、品揃え推奨を算出し、品揃え計画1に反映させる。このとき、当該商品・日の需要予測あるいは推奨生産数を品揃え推奨に付加してもよい。
なお、商品コードと分類情報との対応関係を示す情報11のデータのイメージは、後述の図10と同じである。
【0014】
図2は、優先指定情報付き品揃え計画対象期間販売可能商品・日のデータ形式を示す図である。各店舗ごとに、品揃え計画対象期間(1週間)の各日に販売可能な商品が、商品コードと日付の組み合わせで、売単価、原単価、値入率、優先指定の各情報が付帯した形で列挙される。売単価、原単価、値入率の3つの値は、どれか2つの値によって残りの1つの値が計算できるので(関係式は後述)、例えば原単価の項目はなくてもよい。販売可能商品・日(販売可能な商品と日の組み合わせ)の数だけレコードが存在する。
【0015】
店舗コードの項目には、店舗ごとに決められた店舗コードが記入されている。日付は品揃え計画対象期間に含まれる日である。商品コードと日付の項目によって、品揃え計画対象期間に対象店舗において販売可能な商品・日が指定される。販売可能商品・日のレコードは、販売主体者の入力操作に基づいて品揃え推奨システム10によって作成されてもよいし、または販売主体者がエクセルなどで作成してもよい。
なお、本明細書における「店舗」は、複数の店舗を束ねた店舗グループであってもよい。
【0016】
付帯情報である売単価と原単価は、単位:円で記入されている。値入率は単位:%で記入されている。ここで、値入率とは、その商品をその日販売するときの売単価と原単価の差の、売単価に対する比率である。すなわち、
値入率=(売単価-原単価)/売単価×100[%]
で表される。例えば、ある商品のある日の売単価が200円、原単価が100円のとき、その商品・日の値入率は(200-100)/200×100=50[%]である。
【0017】
優先指定の項目には、商品が優先指定でない場合は0が記入され、商品が優先指定である場合は1が記入される。なお、優先指定は2値でなくてもよい。優先指定商品が存在しない場合は、優先指定の項目がなくてもよい。
【0018】
次に、商品数実績参照日を特定する方法について説明する。商品数実績参照日とは、過去の販売実績から品揃え推奨の制約条件を生成するとき、品揃え計画対象期間の各日に対して参照すべき過去の日を対応付けるための情報である。ここに示す実施例では、最新過去データの第何週(週番号)の何曜日を参照するかという基本的なルールを決めておき、そのうえで、特定の日について、過去の特定の日を参照する設定を上書きできるようにする。
【0019】
図3は、「基本ルールの週対応」を示すテーブル、「基本ルールの曜日対応」を示すテーブル、および「上書きルール設定情報」を示すテーブルの一例を示す図である。「基本ルールの週対応」のテーブルでは、品揃え推奨対象週(品揃え計画対象期間に含まれる週)ごとに、実績参照週(遡る様に検索して参照する過去の週)が週番号で指定されている。「基本ルールの曜日対応」のテーブルでは、品揃え推奨対象曜日(品揃え計画対象期間に含まれる曜日)ごとに、実績参照曜日(参照する過去の曜日)が指定されている。
【0020】
基本的なルールは、「基本ルールの週対応」のテーブルと「基本ルールの曜日対応」のテーブルを用いて、週番号と曜日の組み合わせで決定する。図3に示す実施例に従えば、品揃え計画日が例えば第52週の水曜日であるならば、「基本ルールの週対応」のテーブルより、対象週が52の実績参照週は52であるので、第52週(遡る様に検索すると通常、前年の第52週)が実績参照週となる。「基本ルールの曜日対応」のテーブルより、対象曜日が水曜日の実績参照曜日は火曜日であるので、(前年の)第52週の火曜日が実績参照日となる。すなわち、品揃え計画日が第52週の水曜日であるならば、販売実績に基づく品揃え推奨の制約条件を生成しようとするときに参照する過去の日は、第52週(通常、前年の第52週)の火曜日ということになる。
【0021】
「上書きルール設定情報」のテーブルでは、品揃え推奨対象日(品揃え計画対象期間に含まれる日)ごとに、実績参照日(参照する過去の日)が指定されている。図3の例では、クリスマスイブは1年前のクリスマスイブを参照するように指定している。「基本ルールの週対応」「基本ルールの曜日対応」の各テーブルに従って参照日を特定したとしても、「上書きルール設定情報」のテーブルに対応が書き込まれた日は、「上書きルール設定情報」のテーブルの対応が優先する。すなわち、2021年の12月24日の制約条件を生成しようとするときに参照する過去の日は2020年12月24日となる。
【0022】
品揃え推奨システム10から需要予測・推奨生産数計算システム4に入力されるデータのデータ形式は、図2に示す、優先指定情報付き品揃え計画対象期間販売可能商品・日のレコードのうち、優先指定の項目を除く部分である。
【0023】
図4は、需要予測・推奨生産数計算システム4から品揃え推奨システム10に入力される、品揃え計画対象期間販売可能商品・日の需要予測あるいは推奨生産数のデータ形式を示す図である。店舗コード、日付、商品コード、需要予測数の各情報が列挙される。日付と商品コードは、品揃え計画対象期間に対象店舗において販売可能な商品と日の組み合わせを示す。需要予測数は、当該商品・日の需要予測、あるいは需要予想に基づく推奨生産数である。図4では「需要予測数」であるが、代わりに「推奨生産数」の項目が設けられていてもよい。
また、品揃え計画対象期間販売可能商品・日に含まれる商品コードに対応する、過去の実績が存在しなかった場合、すなわち、当該商品コードが新商品であった場合や、過去1年を超えた久しぶりの計画対象商品であった場合の需要予測数や推奨生産数の値の定め方も、需要予測・推奨生産数計算システムによる。通常、需要予測・推奨生産数計算システムは、商品コードと分類情報との対応関係を示す情報を保持しており、品揃え計画対象期間販売可能商品・日に含まれる商品コードの過去の実績情報が存在しなかった場合は、当該商品コードに対応する需要予測数や推奨生産数を、当該商品コードに対応する分類(例えば小分類)に所属するほかの商品の平均的な需要予測数や推奨生産数の値を計算し、それを以て定めるなどしてもよい。
【0024】
図5は、品揃え推奨システム10に入力される、過去の販売等実績データ5のデータ形式を示す図である。店舗コード、日付、商品コード、部門コード、大分類コード、中分類コード、小分類コード、販売金額、値下金額、廃棄金額の各情報が列挙される。日付は、品揃え計画対象期間販売可能商品・日に含まれる商品コードについて、販売実績があった日の日付(例えば過去1年分)が含まれる。販売実績があった日の判定方法は、需要予測・推奨生産数計算システムによる。需要予測・推奨生産数計算システムによる販売実績があった日の判定方法は、実績データで販売数が正であった日としてもよいし、売れ残りが店頭に並べられていたが売れなかった日もあることを考慮して、販売数が正であった日から商品によって定めた日数延長させてもよいし、生産数や入荷数も考え合わせた判定を行ってもよい。商品コードは、品揃え計画対象期間販売可能商品・日に含まれる商品コードである。
ここで、過去の販売等実績データ5は、後述するように、品揃え推奨システム10において、品揃え計画対象期間販売可能商品・日に含まれる商品の値引廃棄率を計算するために用いられるため、品揃え計画対象期間販売可能商品・日に含まれる商品コードの過去の実績情報が存在しなかった場合は、過去の販売等実績データ5にはそのような商品コードのレコードを含まないようにするとともに、品揃え推奨システム10において、品揃え計画対象期間販売可能商品・日に含まれるが過去の販売等実績データ5には含まれない商品コードの値引廃棄率はあらかじめ決定する代表値とすることにすればよい。
【0025】
部門コード、大分類コード、中分類コード、小分類コードは、当該商品の分類情報である。なお、分類情報は商品コードに対応して決まるものであり、本実施例においては、品揃え推奨システム10も、需要予測・推奨生産数計算システムと同様に、商品コードと分類情報との対応関係を示す情報11をあらかじめ保持しているため、必ずしも品揃え推奨システム10に入力される過去の実績データには含まれていなくてもよい。
【0026】
販売金額、値下金額、廃棄金額は、当該商品の過去実績値である。なお、販売金額、値下金額、廃棄金額は、一般的な過去の実績データに含まれるものと考えられる。また、これらの過去実績値は、後述するように、品揃え推奨システム10において、品揃え計画対象期間販売可能商品・日に含まれる商品の値引廃棄率を計算するために用いられるため、値下金額の項目は値下金額率、廃棄金額の項目は廃棄金額率でもよい。
【0027】
図6は、品揃え推奨システム10から品揃え計画1の工程に渡される、品揃え推奨のデータ形式を示す図である。店舗コード、日付、商品コード、部門コード、大分類コード、中分類コード、小分類コード、需要予測数、値引廃棄率、期待販売額、値引額、想定値引廃棄額、想定粗利、メトリック、優先指定、品揃え推奨の各情報が列挙される。
【0028】
日付と商品コードは、品揃え計画対象期間に対象店舗において販売可能な商品と日の組み合わせを示す。部門コード、大分類コード、中分類コード、小分類コードは、当該商品の分類情報である。店舗コード、日付、商品コードは、優先指定情報付き品揃え計画対象期間販売可能商品・日のデータからのコピーでよく、分類コード、大分類コード、中分類コード、小分類コードは、商品コードと分類情報との対応を関係づけるデータを参照して並べる。
【0029】
需要予測数の項目には、当該商品・日の需要予測、あるいは需要予想に基づく推奨生産数が記載される。値引廃棄率、期待販売額、値引額、想定値引廃棄額、想定粗利、メトリックは、当該商品の過去実績データおよび、当該商品・日の需要予測、あるいは、需要予測に基づく推奨生産数から計算された値である。ここで、メトリックは商品を品揃え推奨として選び取る優先順位を示す。優先指定された商品がまず優先して用意されるが、優先指定でない商品について、メトリックが高い順に品揃え推奨として選択される。
【0030】
優先指定は、当該商品・日の優先指定情報であり、0または1が記載されている。0は当該商品・日が優先指定ではないことを示し、1は当該商品・日が優先指定であることを示す。優先指定は、優先指定情報付き品揃え計画対象期間販売可能商品・日のデータからのコピーでよい。
品揃え推奨は、当該商品・日の品揃え推奨計算結果であり、0または1が記載されている。0は当該商品・日の品揃え推奨しないことを示し、1は当該商品・日の品揃え推奨することを示す。優先指定された商品は必ず品揃え推奨として選択するとしているこの実施例においては、優先指定が1の場合は、品揃え推奨も1となる。
【0031】
品揃え推奨システム10から品揃え計画1の工程に渡される、品揃え推奨のレコード数は、販売主体者から品揃え推奨システム10に入力された優先指定情報付き品揃え計画対象期間販売可能商品・日のレコード数と同じである。すなわち、販売可能商品・日(販売可能な商品と日の組み合わせ)の数だけレコードが存在する。
【0032】
図7は、品揃え推奨システム10における、品揃え推奨のロジックの実施例を示すフローチャートである。
【0033】
まず、販売主体者が入力した、優先指定情報付き品揃え計画対象期間販売可能商品・日情報を読み込む(ステップS1)。
【0034】
次に、販売主体者が入力した、商品数実績参照日情報を読み込む(ステップS2)。
【0035】
次に、需要予測・推奨生産数計算システム4から、品揃え計画対象期間販売可能商品・日の需要予測数、あるいは推奨生産数を読み込む(ステップS3)。具体的には、優先指定情報付き品揃え計画対象期間販売可能商品・日から、優先指定を取り外して、需要予測・推奨生産数計算システム4に入力する。そして、需要予測・推奨生産数計算システム4から、品揃え計画対象期間販売可能商品・日の需要予測数、あるいは推奨生産数を得る。
【0036】
次に、過去の実績データとして、販売等実績データを読み込む(ステップS4)。具体的には、品揃え計画対象期間販売可能商品・日に含まれる商品コードごとに、過去の販売数が正であった日(販売があった日)の日付(例えば過去1年分)の、販売金額、値下金額、廃棄金額の各実績値を販売等実績データから得る。
【0037】
そして、小分類単位商品数を計算する(ステップS5)。すなわち、品揃え計画対象期間販売可能商品・日の各商品・日に対応する商品数実績対象日の小分類単位商品数を、販売等実績データによって計算する。
【0038】
図8は、小分類単位商品数計算の内部データ形式を示す図である。店舗コード、日付、部門コード、大分類コード、中分類コード、小分類コード、商品数の各情報が列挙される。日付は、品揃え計画対象期間に含まれる日付である。部門コード、大分類コード、中分類コード、小分類コードは、対象店舗で販売しうる商品の分類情報である。商品数の項目は、品揃え計画対象期間販売可能商品・日の各商品・日に対応する商品数実績対象日の小分類単位商品数(商品コードの種類)を、販売等実績データによって計算した結果を示す。
【0039】
次に、値引廃棄率計算を行う(ステップS6)。すなわち、品揃え計画対象期間販売可能商品・日に含まれる商品コードについて、過去の販売実績があった日の日付(例えば過去1年分)の、販売金額、値下金額、廃棄金額の各実績値から、値引廃棄率を計算する。本実施例では、品揃え推奨システム10が需要予測・推奨生産数計算システム4から受信した販売実績等データから値引廃棄率を計算しているが、予め需要予測・推奨生産数計算システムにおいて値引廃棄率を計算しておき、その結果を計算システム4から品揃え推奨システム10に渡してもよい。
【0040】
ここで、値引廃棄率計算の計算式について説明する。過去の一定期間のデータから、商品ごとに計算する。下記に計算式の例を示す。
例1:値引廃棄率[%] = (Σ(廃棄金額[円]+値下金額[円])/Σ(販売金額[円])) ×100
例2:値引廃棄率[%] = (Σ(廃棄金額[円]+値下金額[円])/Σ(販売金額[円]+値下金額[円])) ×100
例3:値引廃棄率[%] = (Σ(廃棄金額[円]+値下金額[円])/Σ(販売金額[円]+値下金額[円]+廃棄金額[円])) ×100
ここで、Σは、過去の一定期間に渡る合計を意味する。
【0041】
なお、値引廃棄率計算の計算式は上のものに限定されない。例えば、販売実績日数が任意の閾値に満たなかった場合など、集計結果の信頼性が低いと判断される場合は、当該商品が所属する分類において、当該商品以外の商品の平均値引廃棄率を用いたり、代表値引廃棄率を定めて用いたりしてもよい。
【0042】
次に、メトリックを計算する(ステップS7)。具体的には、品揃え計画対象期間販売可能商品・日の各商品・日について、売単価、値入率、需要予測数または推奨生産数、値引廃棄率から、期待販売額、値入額、想定値引廃棄額、想定粗利、メトリックを計算する。
【0043】
ここで、メトリック計算の計算式について説明する。当該商品・日について、売単価、値入率、需要予測数または推奨生産数、値引廃棄率から、期待販売額、値入額、想定値引廃棄額、想定粗利を求める計算式は以下のようになる。
期待販売額[円] = 売単価[円]×(需要予測数 あるいは 推奨生産数)
値入額[円] = 期待販売額[円]×値入率[%]/100
想定値引廃棄額[円] = 期待販売額[円]×値引廃棄率[%]/100
想定粗利[円] = 値入額[円] - 想定値引廃棄額[円]
【0044】
期待販売額、値入額、想定値引廃棄額、想定粗利を計算した後、メトリックの算出に進む。メトリックは、品揃え推奨を決定する(揃える商品を選択する)ときの指標である。メトリックは、期待販売額、値入額、想定粗利のいずれかと同じにしてもよいし、これらの数値を重み付け加算するなど組み合わせた式で計算してもよい。なお、メトリックの算出に値引廃棄率を考慮しないケースもありうる。
【0045】
また、これら以外で利用可能な数値も使ってメトリックを算出してもよい。例えば、売単価が300円以上の商品を積極的に品揃えしつつ想定粗利の最大化を狙うのであれば、
売単価が300円以上の商品ならメトリック = 想定粗利×1.0
売単価が300円未満の商品ならメトリック = 想定粗利×0.7
などとしてもよい。
【0046】
次に、品揃え推奨計算を行う(ステップS8)。具体的には、品揃え計画対象期間販売可能商品・日の中から、優先指定情報、小分類単位商品数、メトリックによって、品揃え推奨する商品・日を選択する。
【0047】
品揃え推奨計算の詳細手順について説明する。以前のステップによってメトリックまで算出したとする。品揃え計画対象期間販売可能商品・日の中から、優先指定情報、小分類単位商品数、メトリックによって、品揃え推奨する商品・日を選択する。具体的には、品揃え推奨の各対象日(品揃え計画対象期間の各日)について、次の手順によって商品を選択する。
【0048】
まず、手順1として、優先指定商品を選択する。このとき、優先指定商品を無条件に選択してもよいし、各小分類に対して与えられた小分類単位商品数を上限として、当該小分類に属する商品から、メトリックが大きい順(または小さい順)に選択してもよい。小分類単位商品数は、品揃えを偏らずバランスよくするための制約条件として設定されている。なお、優先指定商品がない場合、手順1はない。
【0049】
次に、手順2として、非優先指定商品(優先指定でない商品)を選択する。なお、手順1の優先指定商品の選択によって、各小分類に対して与えられた小分類単位商品数に達した場合は、手順2は不要である。
【0050】
手順2では、手順1の優先指定商品の選択によって、各小分類に対して与えられた小分類単位商品数に達しなかった商品数を、当該小分類に属する優先指定ではなかった商品から、メトリックが大きい順(または小さい順)に選択する。
【0051】
なお、本実施例では、過去の販売等実績データから小分類単位商品数を計算し、小分類単位商品数を品揃え推奨計算の条件データ(商品数制約条件)として用いたが、小分類単位商品数に限らず、中分類単位商品数、大分類単位商品数、あるいは、新たに定義する分類単位の商品数を商品数制約条件として用いてもよい。また、過去の販売実績データを参照して生成せずに、任意の分類単位の商品数制約条件を、人が決定することも含めた別な方法で与えてもよい。それぞれの分類に属する商品が定義してあれば、どのような分類も商品数制約条件として利用できる。
また、本実施例では、優先的に選択する商品を、販売可能商品・日と対応する優先指定情報で与えているが、別途、販売主体者や組織が決定する名物商品リストなどから生成して与えてもよい。この場合、例えば、名物商品リストに含まれている商品は優先して選択する。
【0052】
次に、これまでの計算結果を結合して、品揃え推奨データを出力する(ステップS9)。品揃え推奨データには、品揃え計画対象期間販売可能商品・日の推奨生産数が含んでもよいが、この場合の推奨生産数は、当該商品・日の需要予測に基づき、例えば、次のように決定される。
推奨生産数 = 整数切り上げ(需要予測数)
あるいは、kを製造単位(製造するときには、この数の整数倍でなければならないという整数)として、
推奨生産数 = 整数切り上げ(需要予測数/k) × k
【0053】
なお、品揃え推奨システム10が需要予測・推奨生産数計算システム4から受け取る推奨生産数をそのまま品揃え計画1に反映させる場合は、この推奨生産数の計算は不要である。
【0054】
本明細書において、「商品」とは、記号や番号(商品コードという)によって特定され管理される単位である。例えば惣菜の場合、「サーモンにぎり5巻入り」など、1パックの入り数まで含めて定義されるのが慣例である。図9は、5商品の「商品コード」と「商品名」の例を示す。「小分類単位商品数」の「商品数」とは、上記「商品」の数え方に対応する数であり、生産数や、販売数(買上点数)の数え方とは異なる。
【0055】
商品は、一般的に、販売会社あるいは、複数の店舗群で定められる分類体系に紐づけられる。分類体系は、一般的に、部門-大分類-中分類-小分類といった階層構造で定義されている。例えば、図10のように、「サーモンにぎり3巻入り」は、「惣菜」部門の「寿司」大分類の「にぎり寿司」中分類の「1人前にぎり」小分類に所属させるなどする。
【0056】
品揃え推奨システム10、需要予測・推奨生産数計算システム4などの構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large-scale integrated circuit)やASIC(Application Specific integrated circuit)、FPGA(Field-Programmable gate array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
1:品揃え計画、2:日別販売計画、3:時間帯別生産数量計画、4:需要予測・推奨生産数計算システム、5:販売等実績データ、6:気象データ、10:品揃え推奨システム、11:商品コードと分類情報との対応関係を示す情報
図1
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図3
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図10