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特開2022-188805検査用プローブ及びプローブユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188805
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】検査用プローブ及びプローブユニット
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
G01R1/067 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097019
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】土屋 昌俊
【テーマコード(参考)】
2G011
【Fターム(参考)】
2G011AA09
2G011AA17
2G011AB01
2G011AB03
2G011AB04
2G011AB06
2G011AC31
2G011AC32
2G011AE03
(57)【要約】
【課題】高周波用途の被検査物や電極間ピッチが狭い被検査物への適用も可能な検査用プローブ、及び前記検査用プローブを備えたプローブユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】管状のバレル10と、バレル10の第1端部10a内に先端部分12aを露出させて設けられた第1プランジャ12と、バレル10の第2端部10b内に先端部分14aを露出させて設けられた第2プランジャ14と、バレル10内の第1プランジャ12と第2プランジャ14の間に設けられたゴム部20と、を備えた検査用プローブ1であって、ゴム部20によって第1プランジャ12と第2プランジャ14が互いに離間する向きに付勢されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状のバレルと、
前記バレルの中心軸方向の少なくとも一方の端部内に、先端部分を露出させて設けられたプランジャと、
前記バレル内に設けられたゴム部と、を備え、
前記ゴム部によって前記プランジャがその先端方向に付勢されている、検査用プローブ。
【請求項2】
前記バレルの第1端部内に先端部分を露出させて設けられた第1プランジャと、前記バレルの第2端部内に先端部分を露出させて設けられた第2プランジャとを備え、前記ゴム部が前記バレル内の前記第1プランジャと前記第2プランジャの間に設けられ、前記ゴム部によって前記第1プランジャと前記第2プランジャが互いに離間する向きに付勢されている、請求項1に記載の検査用プローブ。
【請求項3】
前記ゴム部が、エラストマに導電性物質が配合された導電ゴムを含有する、請求項1又は2に記載の検査用プローブ。
【請求項4】
前記ゴム部が、前記導電ゴムからなる導電部とエラストマからなる絶縁部とを備え、かつ前記導電部と前記絶縁部とが前記バレルの中心軸に直交する径方向に交互に設けられてそれぞれ前記バレルの中心軸方向に延在している異方導電ゴムからなる、請求項3に記載の検査用プローブ。
【請求項5】
前記ゴム部が、エラストマからなる絶縁部に、複数の金属線が前記バレルの中心軸方向に貫通して設けられた異方導電ゴムからなる、請求項1又は2に記載の検査用プローブ。
【請求項6】
プローブホルダと、前記プローブホルダによって保持された請求項1~5のいずれか一項に記載の検査用プローブの複数本と、を備えるプローブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査用プローブ及びプローブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス、電子デバイス等の検査においては、バレルの両端部にプランジャが設けられ、それぞれのプランジャがバレル内のバネによって外側に向かって付勢されたスプリングプローブが広く用いられている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-56764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、微小なバネを製造することは困難であることから、スプリングプローブの縮小化には制限がある。そのため、スプリングプローブの全長を短くして導通経路を短くしたり、バレル径を小さくしてスプリングプローブを狭ピッチで配置したりすることは難しく、高周波用途の被検査物や電極間ピッチが狭い被検査物への適用が困難である。
【0005】
本発明は、高周波用途の被検査物や電極間ピッチが狭い被検査物への適用も可能な検査用プローブ、及び前記検査用プローブを備えたプローブユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の構成を有する。
[1]管状のバレルと、前記バレルの中心軸方向の少なくとも一方の端部内に、先端部分を露出させて設けられたプランジャと、前記バレル内に設けられたゴム部と、を備え、前記ゴム部によって前記プランジャがその先端方向に付勢されている、検査用プローブ。
[2]前記バレルの第1端部内に先端部分を露出させて設けられた第1プランジャと、前記バレルの第2端部内に先端部分を露出させて設けられた第2プランジャとを備え、前記ゴム部が前記バレル内の前記第1プランジャと前記第2プランジャの間に設けられ、前記ゴム部によって前記第1プランジャと前記第2プランジャが互いに離間する向きに付勢されている、[1]に記載の検査用プローブ。
[3]前記ゴム部が、エラストマに導電性物質が配合された導電ゴムを含有する、[1]又は[2]に記載の検査用プローブ。
[4]前記ゴム部が、前記導電ゴムからなる導電部とエラストマからなる絶縁部とを備え、かつ前記導電部と前記絶縁部とが前記バレルの中心軸に直交する径方向に交互に設けられてそれぞれ前記バレルの中心軸方向に延在している異方導電ゴムからなる、[3]に記載の検査用プローブ。
[5]前記ゴム部が、エラストマからなる絶縁部に、複数の金属線が前記バレルの中心軸方向に貫通して設けられた異方導電ゴムからなる、[1]又は[2]に記載の検査用プローブ。
[6]プローブホルダと、前記プローブホルダによって保持された[1]~[5]のいずれかに記載の検査用プローブの複数本と、を備えるプローブユニット。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高周波用途の被検査物や電極間ピッチが狭い被検査物への適用も可能な検査用プローブ、及び前記検査用プローブを備えたプローブユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の検査用プローブを示した断面図である。
図2】他の実施形態の検査用プローブを示した断面図である。
図3】他の実施形態の検査用プローブを示した断面図である。
図4】他の実施形態の検査用プローブを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の一例について図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0010】
[検査用プローブ]
図1に示すように、本実施形態の検査用プローブ1は、バレル10と、第1プランジャ12と、第2プランジャ14と、ゴム部20と、を備えている。バレル10は管状であり、第1プランジャ12はバレル10の第1端部10a内に先端部分12aが露出するように設けられている。また、第2プランジャ14は、バレル10の第2端部10b内に先端部分14aが露出するように設けられている。ゴム部20は、バレル10内の第1プランジャ12と第2プランジャ14の間に設けられている。
【0011】
バレル10は、円筒状の胴部16と、胴部16の第1端16aから全周にわたって内側に突出する第1円環部17aと、胴部16の第2端16bから全周にわたって内側に突出する第2円環部17bと、を備えている。バレル10の両端には第1円環部17aの内側と第2円環部17bの内側にそれぞれ開口18a,18bが形成されている。
【0012】
バレル10の材質としては、特に限定されず、例えば公知の材質を制限なく使用できる。具体的には、例えば、真鍮、リン青銅、洋白、ベリリウム銅、白銅等の銅合金を例示できる。なかでも、強度が高く、機械的性質として曲げ、絞り加工性が良い点から、リン青銅が好ましい。バレル10の材質としては、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0013】
バレル10の内面にはメッキ膜が形成されていてもよい。バレル10の内面にメッキ膜が形成されていれば、該メッキ膜を通じて第1プランジャ12と第2プランジャ14との間の導通を確保できるため、検査用プローブ1の導通がより安定になる。メッキ膜の材質としては、特に限定されず、例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ニッケルを例示できる。なかでも、電気伝導性が高く、耐食性も高い点から、金が好ましい。メッキ膜は1層であってもよく、2層以上であってもよい。
【0014】
第1プランジャ12は、円柱状の先端部分12aと、先端部分12aの後端側に設けられた先端部分12aよりも径が大きい拡径部12bと、を備えている。第1プランジャ12は、拡径部12bがバレル10の第1端部10a内に収容され、先端部分12aがバレル10の第1端部10a側の開口18aから突き出ている。第1プランジャ12はゴム部20によって先端12c側に向かって付勢されているが、拡径部12bがバレル10の第1円環部17aに引っ掛かることで抜け落ちないようになっている。
【0015】
第1プランジャ12は導電性を有する。なお、本発明において、「導電性を有する」とは、表面電気抵抗計により測定される表面電気抵抗値が10Ω以下であることを意味する。第1プランジャ12の材質としては、特に限定されず、例えば公知の材質を制限なく使用できる。具体的には、例えば、ベリリウム銅、パラジウム合金、快削炭素工具鋼、タングステンを例示できる。なかでも、低抵抗であることからメッキが不要であり、半田の転写を抑制できる点から、パラジウム合金が好ましい。第1プランジャ12の材質としては、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0016】
第1プランジャ12の表面にはメッキ膜が形成されていてもよい。第1プランジャ12の表面に形成するメッキ膜の材質としては、特に限定されず、例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ニッケルを例示できる。なかでも、電気伝導性が高く、耐食性も高い点から、金が好ましい。第1プランジャ12の表面のメッキ膜は、1層であってもよく、2層以上であってもよい。
【0017】
第2プランジャ14は、円柱状の先端部分14aと、先端部分14aの後端側に設けられた先端部分14aよりも径が大きい拡径部14bと、を備えている。第2プランジャ14は、拡径部14bがバレル10の第2端部10b内に収容され、先端部分14aがバレル10の第2端部10b側の開口18bから突き出ている。第1プランジャ12と同様に、第2プランジャ14はゴム部20によって先端14c側に向かって付勢されているが、拡径部14bがバレル10の第2円環部17bに引っ掛かることで抜け落ちないようになっている。検査用プローブ1では、第1プランジャ12と第2プランジャ14はゴム部20によって互いに離間する向きに付勢されている。
【0018】
第2プランジャ14は導電性を有する。第2プランジャ14の材質としては、第1プランジャ12で例示した材質と同じ材質を例示でき、好ましい態様も同じである。第2プランジャ14の材質としては、1種であってもよく、2種以上であってもよい。第1プランジャ12と第2プランジャ14の材質は同じであっても異なっていてもよく、同じであることが好ましい。第2プランジャ14の表面には、第1プランジャ12の表面と同様にメッキ膜が形成されていてもよい。第2プランジャ14の表面に形成するメッキ膜の材質及び態様としては、第1プランジャ12の表面に形成するメッキ膜において例示したものと同じものを例示でき、好ましい態様も同じである。
【0019】
この例のゴム部20は、エラストマに導電性物質が配合された導電ゴムからなり、導電性を有している。これにより、検査用プローブ1では、第1プランジャ12と第2プランジャ14とがゴム部20を介して電気的に接続されている。このように、この例のゴム部20は、第1プランジャ12と第2プランジャ14を互いに離間する向きに付勢しつつ、第1プランジャ12と第2プランジャ14とを電気的に接続する役割を果たしている。
【0020】
ゴム部20の形状は、特に限定されず、バレル10内に収容でき、かつ第1プランジャ12と第2プランジャ14をそれぞれ付勢できる範囲内で適宜設定すればよく、例えば、円柱状、球状、四角柱等の多角柱状を例示できる。
【0021】
バレル10の中心軸方向のゴム部20の厚みは、0.005mm以上5mm以下が好ましく、0.05mm以上3mm以下がより好ましく、0.1mm以上2mm以下がさらに好ましい。ゴム部20の厚みが前記範囲の下限値以上であれば、第1プランジャ12と第2プランジャ14を互いに離間する方向に付勢することが容易になる。ゴム部20の厚みが前記範囲の上限値以下であれば、導通経路が短くなり高周波特性が向上する。なお、ゴム部20の厚みは、ゴム部20の厚み方向の断面から任意に選択した10箇所の厚みを測定した値の平均値として求められる。
【0022】
ゴム部20に用いるエラストマとしては、特に限定されず、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等のエラストマ性の熱硬化性樹脂、合成ゴム、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ABS樹脂、軟質塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂を例示できる。なかでも、高弾性で耐熱性に優れる点から、シリコーン樹脂が好ましい。ゴム部20に用いるエラストマとしては、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0023】
ゴム部20に用いるエラストマのデュロメータに従って測定される硬度は、5以上95以下が好ましく、10以上80以下がより好ましい。エラストマの硬度が前記範囲の下限値以上であれば、エラストマによるプランジャへの付勢力を確保しやすいため、プランジャと電極の接触がより安定になる。エラストマの硬度が前記範囲の上限値以下であれば、プランジャから電極に加わる荷重が過度に高くなり難いため、複数の電極を有する被検査物を検査する場合でも被検査物の破損を抑制しやすい。
【0024】
導電性物質は、表面電気抵抗計により測定される表面電気抵抗値が10Ω以下である物質である。導電ゴムに配合する導電性物質としては、特に限定されず、例えば、黒鉛、カーボンナノチューブ等のカーボン系導電材、銀粒子、金粒子、銅粒子、パラジウム粒子等の金属粒子、ポリアセチレン、ポリチオフェン等の高分子系導電材を例示できる。なかでも、電気伝導性が高く、耐食性も高く、材料価格の点から、銀粒子が好ましい。導電ゴムに配合する導電性物質としては、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0025】
導電ゴム中の導電性物質の配合量は、導電ゴム中のエラストマ100質量部に対して、10質量部以上90質量部以下が好ましく、20質量部以上80質量部以下がより好ましい。導電性物質の配合量が前記範囲の下限値以上であれば、ゴム部20を介した第1プランジャ12と第2プランジャ14との間の導通がより安定になる。導電性物質の配合量が前記範囲の上限値以下であれば、導電ゴムの圧縮後の復元性を確保しやすいために第1プランジャ12と第2プランジャ14を互いに離間する方向に十分に付勢しやすい。
【0026】
検査用プローブ1の全長、すなわちバレルの中心軸方向の第1プランジャ12の先端12cと第2プランジャ14の先端14cとの距離は、0.1mm以上15mm以下が好ましく、0.2mm以上10mm以下がより好ましい。検査用プローブ1の全長が前記範囲の下限値以上であれば、被検査物の電極高さのばらつきを吸収するストロークを確保でき、導通がより安定になる。検査用プローブ1の全長が前記範囲の上限値以下であれば、導通経路を短くすることができ高周波特性に優れるため、高周波用途の半導体デバイス、電子デバイス等の検査に好適に使用できる。
【0027】
検査用プローブ1のバレル径、すなわちバレル10の外径は、0.01mm以上2mm以下が好ましく、0.02mm以上1mm以下がより好ましい。バレル径が前記範囲の下限値以上であれば、バレルに強度があり、繰り返し使用することができる。バレル径が前記範囲の上限値以下であれば、プローブユニットにおいて複数の検査用プローブ1を狭ピッチで配置しやすいため、電極間ピッチが狭い半導体デバイス、電子デバイス等の検査に好適に使用できる。
【0028】
検査用プローブ1の製造方法としては、特に限定されず、例えばバネの代わりに導電ゴムからなるゴム部20を用いる以外は公知のスプリングプローブの製造方法を利用できる。
【0029】
以上説明したように、検査用プローブ1では、スプリングプローブのバネの代わりにゴム部20がバレル10内に設けられている。縮小化には限界があるバネに比べて、抜き加工、レーザー加工、微細成形金型による成形等によって寸法を容易に小さくできるゴム部20をバレル10内に設けることで、検査用プローブ1は全長及びバレル径を容易に小さくすることができる。検査用プローブ1の全長が短くなると導通経路が短くなり高周波特性が向上する。またバレル径が小さくなると検査用プローブ1を狭ピッチで配置できる。これらのことから、検査用プローブ1は高周波用途の被検査物や電極間ピッチが狭い被検査物の検査に好適に使用できる。
【0030】
また、ゴム部20は容易に小さくできることから、検査時に電極を検査用プローブ1に圧接する際に要する荷重を小さくするこができる。そのため、たとえ被検査物の電極面積が大きく複数本の検査用プローブ1が電極と接する場合であっても検査時に要する荷重を小さくなり、検査が容易になる。さらに、ゴム部20を小さくできることで、第1プランジャ12と第2プランジャ14の電気的な接続が熱膨張によって不安定になることも抑制しやすい。
【0031】
本実施形態のようにゴム部20が導電ゴムからなる場合には、第1プランジャ12と第2プランジャ14との間をゴム部20によって電気的に接続できるため、バレル10の内面にメッキ膜が形成されていなくても導通を確保することができる。この場合、第1プランジャ12と第2プランジャ14を必ずしもバレル10の内面に接触させる必要がなく設計の自由度が高くなるうえ、バレル10の内面にメッキ処理を施さない分だけ検査用プローブ1を低コスト化することもできる。
【0032】
また、検査用プローブ1では検査時にゴム部20が電極とは接触せず、第1プランジャ12又は第2プランジャ14が電極と接する。そのため、繰り返し検査を行った場合の半田ボールのカスはゴム部20上ではなくプランジャ上に堆積するため、半田ボールのカスの除去が容易である。また検査時に検査用プローブ1を被検査物の電極ごとに配置すれば、検査用プローブ1に欠陥があった場合に欠陥のある検査用プローブ1のみを交換することが容易になる。
【0033】
なお、本発明の検査用プローブは、前記した検査用プローブ1には限定されない。例えば、図2に例示した検査用プローブ2であってもよい。図2における図1と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。検査用プローブ2は、ゴム部20の代わりにゴム部20Aを備えている以外は、検査用プローブ1と同様の態様である。
【0034】
ゴム部20Aは、導電ゴムからなる導電部22と、エラストマからなる絶縁部24とを備えている。ゴム部20Aは、ゴム部20Aをバレル10の中心軸に沿って切断した断面において導電部22と絶縁部24とがバレル10の中心軸に直交する径方向に交互に設けられ、それぞれバレル10の中心軸方向に延在している異方導電ゴムからなる。
【0035】
導電部22を構成する導電ゴムとしては、例えば検査用プローブ1のゴム部20を構成する導電ゴムと同様の導電ゴムを用いることができ、好ましい態様も同じである。
絶縁部24を構成するエラストマとしては、特に限定されず、例えば検査用プローブ1のゴム部20において例示したエラストマと同じエラストマを例示でき、好ましい態様も同じである。
【0036】
検査用プローブ1のゴム部20のように全体に導電性物質が配合されていると、エラストマ単独の場合に比べて圧縮後の復元性が低くなりやすく、第1プランジャ12と第2プランジャ14を互いに離間する方向に付勢する力が低下することがある。これに対し、絶縁部24は導電性物質を含まないため、導電性物質に起因する復元力の低下がない。そのため、ゴム部20Aのようにバレル10の中心軸に直交する径方向に導電部22と絶縁部24を交互に設けることで、十分な付勢力を維持できる優れた耐久性と、導電部22による第1プランジャ12と第2プランジャ14の電気的接続を両立することができる。
【0037】
バレル10の中心軸方向のゴム部20Aの厚みは、0.005mm以上5mm以下が好ましく、0.05mm以上2.5mm以下がより好ましく、0.1mm以上1mm以下がさらに好ましい。ゴム部20Aの厚みが前記範囲の下限値以上であれば、第1プランジャ12と第2プランジャ14を互いに離間する方向に付勢することが容易になる。ゴム部20Aの厚みが前記範囲の上限値以下であれば、導通経路が短くなり高周波特性が向上する。なお、ゴム部20Aの厚みは、ゴム部20の厚み方向の断面から任意に選択した10箇所の厚みを測定した値の平均値として求められる。
【0038】
ゴム部20Aをバレル10の中心軸に沿って切断した断面におけるゴム部20Aの総面積に対する導電部22の合計面積の割合は、10%以上90%以下が好ましく、30%以上70%以下がより好ましい。導電部22の合計面積の割合が前記範囲の下限値以上であれば、第1プランジャ12と第2プランジャ14との電気的な接続がより安定になる。導電部22の合計面積の割合が前記範囲の上限値以下であれば、第1プランジャ12と第2プランジャ14を互いに離間する方向に付勢する力が十分に得られやすい。
【0039】
また、本発明の検査用プローブは、図3に例示した検査用プローブ3であってもよい。図3における図1と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。検査用プローブ3は、ゴム部20の代わりにゴム部20Bを備えている以外は、検査用プローブ1と同様の態様である。
【0040】
ゴム部20Bは、エラストマからなる絶縁部24に、複数の金属線26がバレル10の中心軸方向に第1プランジャ12側から第2プランジャ14側まで貫通して設けられた異方導電ゴムからなる。この例の複数の金属線26は、各々の長さ方向がバレル10の中心軸方向に延び、かつ互いに平行に設けられている。なお、複数の金属線26は、バレル10の中心軸方向に対して傾斜していてもよい。
【0041】
金属線26としては、特に限定されず、例えば、純金線、金合金線、銀線、銀合金線、半田線、銅合金線、CNTヤーン、ピアノ線、タングステン線を例示できる。金属線26としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0042】
金属線26の外周にはメッキ膜が形成されていてもよい。金属線26の外周に形成されるメッキ膜の材質としては、特に限定されず、例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ニッケルを例示できる。金属線26の外周に形成されるメッキ膜としては、1層であってもよく、2層以上であってもよい。
【0043】
金属線26の両端部は絶縁部24から突き出ていてもよい。金属線26の両端部は絶縁部24から突き出ている場合、金属線26の両端の突き出た部分の平均長さは、例えば5μ以上60μm以下とすることができる。
金属線26の線径は、特に限定されず、例えば2μm以上100μm以下とすることができる。
金属線26同士の間隔は、特に限定されず、例えば1μm以上100μm以下とすることができる。
【0044】
バレル10の中心軸方向のゴム部20Bの厚みは、0.005mm以上5mm以下が好ましく、0.05mm以上2.5mm以下がより好ましく、0.1mm以上1mm以下がさらに好ましい。ゴム部20Bの厚みが前記範囲の下限値以上であれば、第1プランジャ12と第2プランジャ14を互いに離間する方向に付勢することが容易になる。ゴム部20Bの厚みが前記範囲の上限値以下であれば、導通経路が短くなり高周波特性が向上する。なお、ゴム部20Bの厚みは、ゴム部20の厚み方向の断面から任意に選択した10箇所の厚みを測定した値の平均値として求められる。
【0045】
検査用プローブ3のゴム部20Bにおいても、絶縁部24は導電性物質を含まないために復元力の低下がない。そのため、全体に導電性物質が配合されているゴム部20に比べてゴム部20Bは耐久性に優れ、十分な付勢力を維持しやすいうえ、金属線26によって第1プランジャ12と第2プランジャ14とを電気的に接続することができる。
【0046】
また、本発明の検査用プローブにおいては、バレルの内面にメッキ膜を形成して第1プランジャと第2プランジャとの間の導通を確保する場合には、ゴム部をエラストマからなる絶縁体としてもよい。
【0047】
本発明の検査用プローブは、前記した検査用プローブ1~3のように、バレルの中心軸方向の両側の端部にプランジャが設けられ、バレルの両端部で中心軸方向にプランジャが可動する態様には限定されない。例えば、バレルの中心軸方向の一方の端部のみにプランジャが設けられ、一方の端部のみでプランジャが可動する検査用プローブであってもよい。具体例としては、図4に示すように、バレル10の中心軸方向の第1端部10aのみにプランジャ12Aが設けられ、第1端部10aではプランジャ12Aが可動するが、第2端部10bは可動しない検査用プローブ4であってもよい。
バレルの中心軸方向の両側の端部にプランジャを設けた検査用プローブについて上記で述べたことのうち、プランジャを両側の端部に設ける以外のことは、バレルの中心軸方向の一方の端部のみにプランジャを設けた検査用プローブにも該当する。
【0048】
[プローブユニット]
本発明のプローブユニットは、プローブホルダと、プローブホルダによって保持された本発明の検査用プローブの複数本と、を備えるプローブユニットである。本発明のプローブユニットは、例えばBGA(Ball Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、QFP(Quad Flat Package)、CSP(Chip Size Package)といったICチップがパッケージの中に搭載された半導体デバイスの製造における電気検査に使用することができる。本発明のプローブユニットは、本発明の検査用プローブを備える以外は公知の態様を採用できる。例えば多数の半導体ICが形成されている半導体ウェハー内の各半導体ICをウェハー状態で電気検査(オンウェハー検査)するためのプローブカードとしてもよく、ウェハーを切断してチップ化したICチップをパッケージ化したパッケージド半導体(DUT)を電気検査するためのソケットとしてもよい。
【0049】
本発明のプローブユニットでは、複数本の検査用プローブは互いに平行となるようにプローブホルダによって保持され得る。
例えば前記した検査用プローブ1~3のような両端にプランジャが設けられた検査用プローブをプローブカードやソケットに用いる場合は、次のような態様を例示できる。
プローブカードは、例えば、複数本の検査用プローブが第1プランジャを上にして保持されたプローブホルダの第1プランジャ側に検査装置の回路基板が配置され、回路基板の電極が第1プランジャの先端に圧接された構成であり得る。この場合、プローブカードの下側から検査対象の半導体ウェハー内における各半導体ICの電極を第2プランジャの先端に圧接させて検査を実施する。
また、ソケットは、例えば、複数本の検査用プローブが第1プランジャを上にして保持されたプローブホルダの第2プランジャ側に検査装置の回路基板が配置され、回路基板の電極が第2プランジャの先端に圧接され、第1プランジャ側にパッケージド半導体(DUT)を収容する収容部が設けられた構成であり得る。この場合、検査対象のDUTをソケットの収容部に収容し、DUTの電極を第1プランジャの先端に圧接することにより検査を実施する。
バレルの一方の端部のみにプランジャを設けた検査用プローブをプローブカードやソケットに用いる場合には、該プランジャが検査対象のデバイス側に向くように各検査用プローブを配置する。
【0050】
プローブカードやソケットにおける各検査用プローブの長さ方向から見た検査用プローブの配置パターンは、特に限定されず、例えば、所定の間隔を空けて縦横にそれぞれ直線的に並んで配置された2次元アレイ状、千鳥状等を例示できる。
【0051】
プローブホルダに保持される検査用プローブの本数は、特に限定されず、用途に応じて適宜設定でき、1本以上であればよく、例えば1本以上1000本以下であり得る。プローブユニットにおいては、例えば前記した検査用プローブ1~3の2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0052】
以上説明した実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図するものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0053】
1~4…検査用プローブ、10…バレル、12…第1プランジャ、12A…プランジャ、14…第2プランジャ、20,20A,20B…ゴム部、22…導電部、24…絶縁部、26…金属線。
図1
図2
図3
図4