(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188834
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ホームドア
(51)【国際特許分類】
B61B 1/02 20060101AFI20221215BHJP
E01F 1/00 20060101ALI20221215BHJP
E01F 13/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B61B1/02
E01F1/00
E01F13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097060
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】住吉 広昭
【テーマコード(参考)】
2D101
3D101
【Fターム(参考)】
2D101CA17
2D101CB07
2D101EA02
3D101AA03
3D101AA06
3D101AA10
3D101AA12
3D101AA17
3D101AA24
3D101AA32
(57)【要約】
【課題】本開示は、扉が閉じた状態のときに、扉を支持する部分にかかる荷重を抑制することを目的とする。
【解決手段】本開示は、戸袋と扉との間に介在する案内支持部により扉をスライド式に移動させて乗降通路を開閉するホームドアであって、戸袋は、本体部と、本体部における扉の閉方向側の端部の上部及び下部のうち、案内支持部が配置される位置に対応する部分に設けられ、端部から扉の閉方向側に突出する戸先収容部とを有し、案内支持部は、戸袋及び扉のうち一方に設けられ、扉の開閉方向に沿って延びる案内部と、戸袋及び扉のうち他方に設けられ、案内体に案内され、扉の荷重を支持する支持部とを有し、扉が開いた状態のときに、扉の戸先部材と、戸袋の本体部における扉の閉方向側の端部との間に隙間が形成され、扉が閉じた状態のときに、支持部が戸袋の戸先収容部に収容される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸袋と、
前記戸袋に収容され、スライド式に移動することで乗降通路を開閉する扉と、
前記戸袋と前記扉との間に介在し、前記扉をスライド式に移動させる案内支持部と、
を備えるホームドアであって、
前記戸袋は、
本体部と、
前記本体部における前記扉の閉方向側の端部の上部及び下部のうち、前記案内支持部が配置される位置に対応する部分に設けられ、前記端部から前記扉の閉方向側に突出する戸先収容部とを有し、
前記扉は、
前記扉の開閉方向に延び、鉛直方向に間隔をあけて配置される扉上部横梁及び扉下部横梁と、
前記扉上部横梁及び前記扉下部横梁の戸先側の端部に接合される戸先部材とを有し、
前記案内支持部は、
前記戸袋及び前記扉のうち一方に設けられ、前記扉の開閉方向に沿って延びる案内部と、
前記戸袋及び前記扉のうち他方に設けられ、前記案内部に案内され、前記扉にかかる荷重を支持する支持部とを有し、
前記扉が開いた状態のときに、前記扉の前記戸先部材と、前記戸袋の前記本体部における前記扉の閉方向側の前記端部との間に隙間が形成され、
前記扉が閉じた状態のときに、前記支持部が前記戸袋の戸先収容部に収容される、
ホームドア。
【請求項2】
前記案内支持部は、前記戸袋と前記扉上部横梁との間、または前記戸袋と前記扉下部横梁との間に介在して前記扉をスライド式に移動させ、
前記扉上部横梁と前記扉下部横梁のうち、前記戸袋との間に前記案内支持部が介在する横梁の少なくとも一部が前記戸袋の前記戸先収容部に収容される、
請求項1に記載のホームドア。
【請求項3】
前記戸先収容部は、前記本体部の前記扉の閉方向側の端部の上部に設けられ、
前記扉上部横梁は、少なくとも一部が前記戸先収容部に収容され、前記扉上部横梁の下端部が前記戸先収容部の下端部と同じ高さ、または前記戸先収容部の下端部より下側に位置するように配置される、
請求項1または2のいずれか1項に記載のホームドア。
【請求項4】
前記戸先収容部は、前記本体部の前記扉の閉方向側の端部の上部に設けられ、
前記扉上部横梁は、少なくとも一部が前記戸先収容部に収容され、前記扉上部横梁の下端部が前記戸先収容部の下端部より上側に位置するように配置され、
前記戸先収容部には、前記戸先収容部の前記扉の閉方向側の端部の下側角部を面取りして形成され、前記扉が開いた状態のときに、前記扉の前記戸先部材との間に隙間が形成される面取部が設けられる、請求項1または2のいずれか1項に記載のホームドア。
【請求項5】
前記戸先収容部は、前記本体部の前記扉の閉方向側の端部の下部に設けられ、
前記扉下部横梁は、少なくとも一部が前記戸先収容部に収容され、前記扉下部横梁の上端部が前記戸先収容部の上端部と同じ高さ、または前記戸先収容部の上端部より上側に位置するように配置される、
請求項1から4のいずれか1項に記載のホームドア。
【請求項6】
前記戸先収容部は、前記本体部の前記扉の閉方向側の端部の下部に設けられ、
前記扉下部横梁は、少なくとも一部が前記戸先収容部に収容され、前記扉下部横梁の上端部が前記戸先収容部の上端部より下側に位置するように配置され、
前記戸先収容部には、前記戸先収容部の前記扉の閉方向側の端部の上側角部を面取りして形成され、前記扉が開いた状態のときに、前記扉の前記戸先部材との間に隙間が形成される面取部が設けられる、請求項1または4のいずれか1項に記載のホームドア。
【請求項7】
前記戸袋は、前記扉の開閉方向に沿って延び、前記扉に当接して前記扉の振れを抑制する抑制部材を内部に備え、
前記抑制部材の少なくとも一部が前記戸先収容部に収容される、
請求項1から6のいずれか1項に記載のホームドア。
【請求項8】
前記扉は、前記扉の開閉方向に延び、前記扉上部横梁及び前記扉下部横梁との間に鉛直方向に間隔をあけて配置され、前記戸袋の前記本体部に収容されるバー部材を備え、
前記戸先部材は、前記バー部材の戸先側の端部に接合される、
請求項1から7のいずれか1項に記載のホームドア。
【請求項9】
前記戸袋の前記本体部は、前記扉の開閉方向に沿って延びる筒形状のバー部材収容部を備え、
前記バー部材は、前記バー部材収容部に収容され、前記扉の開閉方向に移動可能に支持される、
請求項8に記載のホームドア。
【請求項10】
前記戸先部材における前記扉の開方向側の端面に緩衝部材が設けられる、
請求項1から9のいずれか1項に記載のホームドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラットホームに設置されるホームドアに関する。
【背景技術】
【0002】
駅のプラットホームには、乗客の転落等を防止するため、プラットホームの端部に沿って複数のホームドアが設けられる。ホームドアは、プラットホーム上に固定される戸袋と、戸袋に収納される扉とを備え、扉がスライド式に移動して戸袋の開口部から進退することにより、隣接する戸袋間の乗降通路を開閉する。扉の一例として、扉の開閉方向に延びる複数の水平部材を鉛直方向に間隔を空けて配置し、鉛直方向に延びる戸先部材で複数の水平部材の端部を連結したフレーム構造を有するものが知られている。
【0003】
このような構成のホームドアは、扉が戸袋に収納されるときに、扉の戸先部材と戸袋との間に手又は荷物等が挟まれるのを防止するため、扉が開いた状態であっても、扉の戸先が戸袋から突出して戸先部材と戸袋との間に隙間が生じる状態に保たれる。そのため、乗降通路の幅は、隣接する戸袋の間隔よりも、扉の戸先が戸袋から突出する長さの分だけ狭くなる。
【0004】
これに対し、特許文献1には、戸袋のプラットホーム側及び軌道側の面に、戸袋の開口部から扉の開方向側に延びる切り欠きを設け、扉の上下方向の大きさを切り欠きの上下方向の大きさよりも小さく設定し、切り欠きに対応する位置を扉がスライド式に移動するように構成したホームドアが開示されている。このような構成により、扉が開いた状態のときに、扉の戸先を戸袋から突出させることなく、扉の戸先部材と切り欠きの底部との間に隙間を確保することができるので、乗降通路の幅が狭くなるのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のホームドアは、乗客が扉にもたれる等して扉に荷重がかかった場合、切り欠きの底部に対応する位置よりも扉の開方向側の位置で、扉にかかる荷重を支える。このようなホームドアでは、戸袋に切り欠きが設けられていない場合と比較して、戸先から荷重を支える部分までの距離が長くなり、扉にかかる荷重が大きくなる。そのため、戸袋を長くしたり重くしたりする必要があり、設計上の制約が生じる。
【0007】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであり、フレーム構造の扉を備えるホームドアにおいて、扉が開いた状態のときに、乗降通路の幅が狭くなるのを防止するとともに扉の戸先部材と戸袋との間に隙間を形成して手又は荷物等が挟まれるのを防止し、扉が閉じた状態のときに、扉を支持する部分にかかる荷重を抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るホームドアは、戸袋と、戸袋に収容され、スライド式に移動することで乗降通路を開閉する扉と、戸袋と扉との間に介在し、扉をスライド式に移動させる案内支持部と、を備えるホームドアであって、戸袋は、本体部と、本体部における扉の閉方向側の端部の上部及び下部のうち、案内支持部が配置される位置に対応する部分に設けられ、端部から扉の閉方向側に突出する戸先収容部とを有し、扉は、扉の開閉方向に延び、鉛直方向に間隔をあけて配置される扉上部横梁及び扉下部横梁と、扉上部横梁及び扉下部横梁の戸先側の端部に接合される戸先部材とを有し、案内支持部は、戸袋及び扉のうち一方に設けられ、扉の開閉方向に沿って延びる案内部と、戸袋及び扉のうち他方に設けられ、案内体に案内され、扉の荷重を支持する支持部とを有し、扉が開いた状態のときに、扉の戸先部材と、戸袋の本体部における扉の閉方向側の端部との間に隙間が形成され、扉が閉じた状態のときに、支持部が戸袋の戸先収容部に収容されるホームドアである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、フレーム構造の扉を備えるホームドアにおいて、扉が開いた状態のときに、乗降通路の幅が狭くなるのを防止するとともに扉の戸先部材と戸袋との間に隙間を形成して手又は荷物等が挟まれるのを防止し、扉が閉じた状態のときに、扉を支持する部分にかかる荷重を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係るホームドアの構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係るホームドアの構成を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係るホームドアの内部構成を示す図である。
【
図4】実施の形態1に係るホームドアの構成の変形例を示す図である。
【
図5】実施の形態1に係るホームドアの構成を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係るホームドアの構成の変形例を示す図である。
【
図7】実施の形態1に係るホームドアの構成の変形例を示す図である。
【
図8】実施の形態1に係るホームドアの構成の変形例を示す図である。
【
図9】実施の形態1に係るホームドアの構成の変形例を示す図である。
【
図10】実施の形態2に係るホームドアの構成を示す図である。
【
図11】実施の形態2に係るホームドアの構成の変形例を示す図である。
【
図12】実施の形態3に係るホームドアの構成を示す図である。
【
図13】実施の形態3に係るホームドアの構成を示す図である。
【
図14】ホームドアの戸先の位置がずれた状態を示す説明図である。
【
図15】実施の形態4に係るホームドアの構成を示す図である。
【
図16】規制部を備えないホームドアの構成を示す図である。
【
図17】実施の形態4に係るホームドアの動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本開示の実施の形態に係るホームドアについて説明する。図中、同一又は対応する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。なお、以降では、ホームドアをプラットホーム側から見たときの扉の開閉方向を左右方向として説明する。
【0012】
<実施の形態1>
実施の形態1に係るホームドアは、戸袋の本体部が板状のパネル部材によって形成されるホームドアである。まず、図面を参照し、本実施の形態のホームドア100の構成について説明する。
【0013】
図1および
図2は、本実施の形態に係るホームドア100の構成の一例を示す図である。
図1(a)は、プラットホーム側から見たホームドア100の正面図、
図1(b)は、
図1(a)に示すA-A断面線における断面図、
図1(c)は、
図1(a)の点線の円S1で示す部分の拡大図、
図1(d)は、
図1(a)の点線の円S2で示す部分の拡大図である。なお、
図1(a)は、ホームドア100の扉2R、2Lが戸袋1から進み出て乗降通路を閉じた状態を示す。また、
図1(b)においては、ホームドア100の左側がプラットホーム側P、右側が軌道側Tである。
図2は、ホームドア100の扉2R、2Lが戸袋1へ退いて乗降通路を開いた状態を示す。
【0014】
図3は、本実施の形態に係るホームドア100の内部構成を示す図である。
図3(a)は、ホームドア100の扉2R、2Lが戸袋1から進み出て乗降通路を閉じた状態を示す。
図3(b)は、ホームドア100の扉2R、2Lが戸袋1へ退いて乗降通路を開いた状態を示す。
図4(a)、
図4(b)は、本実施の形態に係るホームドアの構成の変形例を示す図である
【0015】
図1に示すように、ホームドア100は、鉄道のプラットホーム3に設置される戸袋1と、戸袋1に収容され、戸袋1にスライド自在に支持される一対の扉2R,2Lとを備える。ホームドア100は、停車する列車のドアの間隔に対応するように、プラットホーム3の端部に沿って所定の間隔を空けて複数配置される。乗客が列車に乗降するための乗降通路は、隣接するホームドア100の間に形成され、扉2R,2Lが進退することにより開閉される。なお、扉2R,2Lは、配置される位置は異なるものの、同一の構成を有するので、以降の説明では、扉2Rと扉2Lを区別しない場合は、「R」及び「L」を省略して単に扉2という。
【0016】
次に、
図1を参照し、戸袋1の構成について説明する。
戸袋1は、
図1(a)に示すように、本体部10と、上部戸先収容部11と、下部戸先収容部12と、カバー13と、脚部14とを備える。なお、上部戸先収容部11と下部戸先収容部12とを区別しない場合は、これらをまとめて単に戸先収容部という。
【0017】
本体部10は、板状のパネル部材を接合して箱型に形成されたモノコック構造を有する。戸袋1の本体部10の構成は、これに限定されず、例えば、プラットホーム3に固定された複数の支柱、及び複数の支柱間を結合する横梁で枠組みを形成し、枠組みに板状のパネル部材を取り付けるフレーム構造であってもよい。
【0018】
本体部10の左右方向両側の端部10aには、
図1(b)に示すように、扉2が出入りする開口部15が設けられる。本体部10の右側の端部10aには、扉2Rが出入りするときに通過する位置に開口部15が設けられる。図示は省略するが、本体部10の左側の端部10aにも同様に、扉2Lが出入りするときに通過する位置に開口部15が設けられる。本体部10の内部には、扉2を進退させるための駆動機構、駆動機構を制御する制御装置、及び案内支持部が収容される。駆動機構、制御装置及び案内支持部については後述する。
【0019】
上部戸先収容部11は、
図1(a)に示すように、戸袋1の本体部10の左右両側の端部10aの上部、つまり、上下方向における上側に設けられる。上部戸先収容部11は、プラットホーム側から視たときに、本体部10の左右両側の端部10aの上部から扉2の開閉方向における閉方向側に向かって突出する。また、上部戸先収容部11は、プラットホーム側から視たときに、戸袋1に支持される扉2の上部の少なくとも一部に重なる位置に設けられ、下方、及び左右方向の両側の側方11bが開放された形状を有する。このような構成により、上部戸先収容部11の内部に扉2の上部が収容される。なお、上部戸先収容部11の下方、及び左右方向の両側の側方が開放された形状とは、
図1(b)に示すように、上部戸先収容部11の下面、及び側面において、少なくとも、扉2が通過する位置に対応する部分が開放された形状であればよい。
【0020】
下部戸先収容部12は、
図1(a)に示すように、戸袋1の本体部10の左右両側の端部10aの下部、つまり、上下方向における下側に設けられる。下部戸先収容部12は、プラットホーム側から視たときに、本体部10の左右両側の端部10aの下部から扉2の開閉方向における閉方向側に向かって突出する。また、下部戸先収容部12は、プラットホーム側から視たときに、戸袋1に支持される扉2の下部の少なくとも一部に重なる位置に設けられ、上方、及び左右方向の両側の側方12bが開放された形状を有する。このような構成により、下部戸先収容部12の内部に扉2の下端が収容される。なお、下部戸先収容部12の上方、及び左右方向の両側の側方が開放された形状とは、
図1(b)に示すように、下部戸先収容部12の上面、及び側面において、少なくとも、扉2が通過する位置に対応する部分が開放された形状であればよい。
【0021】
カバー13は、戸袋1の本体部10、及び上部戸先収容部11の上に設けられ、開閉可能に構成される。つまり、戸袋1の上部に開閉式のカバー13が構成される。カバーの内部には、後述する制御装置が収納されてもよい。また、カバー13の最上面は、
図1(b)に示すように、テーパがついた斜め形状となっており、プラットホーム側Pと軌道側Tとで傾斜角度が異なる。
【0022】
脚部14は、
図1(a)に示すように、プラットホーム側から見たときに、本体部10の下に左右方向に間隔を空けて複数配置される。ホームドア100は、脚部14によりプラットホーム3に固定される。
【0023】
次に、
図1から
図3を参照し、扉2の構成について説明する。
扉2は、戸袋1にスライド可能に支持され、戸袋1の内部に収容される。このとき、扉2Rと扉2Lは、
図1(b)に示すように、戸袋1の厚み方向、つまり、プラットホーム側Pから軌道側Tに向かう方向に、扉2L、扉2Rの順に並べて配置される。また、扉2は、戸袋1から進退することにより、隣接するホームドア100間に形成される乗降通路を開閉する。
図1(a)に示すように、扉2Rは、戸袋1の本体部10の右側に設けられる開口部15から進退し、右隣に配置される別のホームドア100との間に形成される乗降通路を開閉する。扉2Lは、戸袋1の本体部10の左側に設けられる開口部15から進退し、左隣に配置される別のホームドア100との間に形成される乗降通路を開閉する。
【0024】
扉2は、
図3に示すように、扉上部横梁20と、扉下部横梁21と、バー部材22と、戸先部材23と、戸尻部材24とを備える。
【0025】
扉上部横梁20、及び扉下部横梁21は、四角筒形状に形成され、扉2の開閉方向に沿って延びる。扉上部横梁20、及び扉下部横梁21は、鉛直方向に間隔をあけて配置される。扉上部横梁20は、少なくとも一部が戸袋1の上部戸先収容部11の内部に収容される位置に配置される。扉下部横梁21は、少なくとも一部が戸袋1の下部戸先収容部12の内部に収容される位置に配置される。
【0026】
バー部材22は、筒形状に形成され、扉の開閉方向に沿って延びる。バー部材22は、扉上部横梁20と扉下部横梁21との間に、鉛直方向に互いに間隔をあけて配置される。扉2が複数のバー部材22を備える場合、バー部材22は、互いに間隔を空けて鉛直方向に並ぶように配置される。バー部材22は、断面視において、円形状又は楕円形状に形成される。断面視とは、バー部材22の延びる方向、つまり、扉の開閉方向に垂直な面でバー部材22を切断した断面を視ることをいう。なお、本実施の形態では、扉2がバー部材22を備える構成について説明するが、例えば、扉上部横梁20と扉下部横梁21の間隔が、人の手又は荷物等、通過を阻止したい物の大きさよりも小さい場合には、扉2がバー部材22を備えない構成であってもよい。
【0027】
戸先部材23は、鉛直方向に延びる部材であり、扉上部横梁20、扉下部横梁21、及びバー部材22の戸先側の端部に接合される。
図2に示すように、本実施の形態のホームドア100においては、扉2が開いた状態のときに、扉2の戸先部材23と、戸袋1の本体部10との間に隙間が形成される。より具体的には、プラットホーム側から視たときに、戸袋1の本体部10における扉2の閉方向側の端部10aのうち、上部戸先収容部11が設けられる位置と下部戸先収容部12が設けられる位置との間の部分に、隙間が形成される。
【0028】
戸尻部材24は、
図3に示すように、鉛直方向に延びる部材であり、扉上部横梁20、扉下部横梁21、及びバー部材22の戸尻側の端部に接合される。
【0029】
ここで、本実施の形態の扉2の構成により得られる効果について説明する。
ホームドアの風圧荷重仕様は、台風等の最も過酷な状況を想定した仕様となっている。扉が板状のパネル部材により形成される場合、扉が受ける風荷重がそのままプラットホームにかかるため、補強工事を行いプラットホームの強度を高める必要がある。これに対し、本実施の形態のホームドアは、扉上部横梁、扉下部横梁、バー部材、戸先部材、及び戸尻部材により形成されるフレーム構造の扉を備えるので、風が扉を抜けやすくなり、扉が受ける風荷重を低減することができる。
【0030】
次に、
図3及び
図4を参照し、ホームドア100の駆動機構4、及び案内支持部5について説明する。なお、
図3は、ホームドア100の内部構造を把握し易くするため、戸袋1の本体部10、上部戸先収容部11、及び下部戸先収容部12を透視した状態で示すとともに、これらを一体化して破線で示した。また、扉2Lのみ図示し、扉2Rを省略した。なお、本実施の形態のホームドア100においては、扉2R,2Lにそれぞれに駆動機構4、及び案内支持部5が設けられるが、同一の構成を有するので、扉2Lの説明を省略する。
【0031】
ホームドア100は、扉2を駆動するための駆動機構4、及び扉2のスライド式の移動を円滑に行うための案内支持部5を備える。駆動機構4はホームドア100の下部に配置され、案内支持部5はホームドア100の上部に配置される。
【0032】
駆動機構4は、駆動プーリ40と、従動プーリ41,42と、タイミングベルト43とを備える。なお、本実施の形態では、ベルト方式の駆動機構を備える構成について説明するが、これに限定されず、例えば、ピニオンラック方式の駆動機構を備える構成であってもよい。
【0033】
駆動プーリ40は、戸袋1の内部の下部に軸支され、図示しないモータにより回転駆動される。
【0034】
従動プーリ41,42は、戸袋1の内部の下部に軸支され、駆動プーリ40を間に挟んで左右方向に離れた位置に配置される。
【0035】
タイミングベルト43は、扉2の下部に固定される。タイミングベルト43の両端部のうち、一方は、扉2の戸先側の端部に固定され、他方は、扉2の戸尻側の端部に固定される。より具体的には、タイミングベルト43の一方の端部は、扉下部横梁21の戸先側の端部に固定され、他方の端部は、扉下部横梁21の戸尻側の端部に固定される。タイミングベルト43は、駆動プーリ40と従動プーリ41,42に掛け渡される。図示しないモータが駆動して駆動プーリ40が回転すると、駆動プーリ40及び従動プーリ41,42と、タイミングベルト43との接合点が移動して扉2が開閉する。
【0036】
案内支持部5は、案内部52と、案内部52をスライド移動する支持部50,51とを備える。例えば、案内部52は、リニアガイドレールにより実現され、支持部50,51は、リニアガイドベアリングにより実現される。
【0037】
案内部52は、戸袋1の内部の上部に設けられ、扉2の開閉方向に沿って延びる。案内部52の両端部は、戸袋1の本体部10の左右両側に設けられる上部戸先収容部11の内部にそれぞれ固定される。
【0038】
支持部50,51は、扉2の戸尻側の上部に、扉2の開閉方向に沿って間隔を空けて配置される。例えば、支持部50,51のうち、戸先側に配置される支持部50は、扉上部横梁20に固定され、戸尻側に配置される支持部51は、扉上部横梁20に固定される。扉2に荷重がかかると、支持部50,51に荷重がかかる。つまり、支持部50,51は、扉にかかる荷重を支持する。支持部50,51は、支持部50,51間の間隔が大きいほど、大きい荷重を支えることができる。一方、扉2の戸先から支持部50までの距離が長くなるほど、支持部50,51にかかる荷重が大きくなる。よって、支持部50,51の配置は、支持部50,51で支える過重の大きさに応じて決定される。
【0039】
なお、本実施の形態では、駆動機構4がホームドア100の下部に配置される構成を例として示したが、駆動機構4がホームドア100の上部に配置される構成としてもよい。例えば、タイミングベルト43が扉2の扉上部横梁20に固定され、駆動プーリ40と従動プーリ41,42が戸袋1の内部の上部に軸支される構成としてもよい。駆動機構4、及び案内支持部5がホームドア100の上部に配置される場合には、
図4(a)に示すホームドア101のように、下部戸先収容部12を備えず、上部戸先収容部11のみ備える構成の戸袋1aとしてもよい。
【0040】
同様に、本実施の形態では、案内支持部5がホームドア100の上部に配置される構成を例として示したが、案内支持部5がホームドア100の下部に配置される構成としてもよい。例えば、案内部52が、戸袋1の内部の下部に設けられ、支持部50,51が、扉2の戸尻側の下部に、扉の開閉方向に沿って間隔を空けて配置される構成としてもよい。駆動機構4、及び案内支持部5がホームドア100の下部に配置される場合には、
図4(b)に示すホームドア102のように、上部戸先収容部11を備えず、下部戸先収容部12のみ備える構成の戸袋1bとしてもよい。
【0041】
また、本実施の形態では、案内部52を戸袋1に設け、支持部50,51を扉2に設ける構成について説明したが、案内部52を扉2に設け、支持部50,51を戸袋1に設ける構成としてもよい。つまり、案内支持部5は、戸袋1と扉2との間に介在して扉2をスライド式に移動させることができればよい。いずれの構成においても、支持部50,51は、扉にかかる荷重を支持する。
【0042】
次に、
図3を参照し、ホームドア100の動作について説明する。
図3(a)は、扉2が戸袋1から進み出て乗降通路を閉じた状態、つまり、扉2が閉じた状態を示し、
図3(b)は、扉2が戸袋1へ退いて乗降通路を開いた状態、つまり、扉2が開いた状態を示す。
【0043】
ホームドア100は、扉2が戸袋1に収納された状態のときに、図示しない制御装置から扉2を閉じる旨の指令を受けると、モータを作動させることにより扉2をスライド式に移動させ、扉2を戸袋1から進み出させる。これにより、ホームドア100は、
図3(a)に示すように、扉2が閉じた状態となる。
【0044】
扉2が閉じた状態のとき、扉上部横梁20に設けられた支持部50,51のうち戸先側に配置された支持部50は、上部戸先収容部11の内部、つまり、戸袋1の本体部10よりも扉2の開閉方向における閉方向側に位置する。このように、上部戸先収容部11を設けたことにより、扉が閉じた状態のときに、従来よりも戸先側の位置に支持部50を配置することができるので、扉2の戸先から支持部50までの距離が短くなり、支持部50,51で支える荷重が低減する。その結果、ホームドア100に必要な強度が低減し、ホームドア100を薄型化、または軽量化することが可能となる。
【0045】
一方、ホームドア100は、扉2が戸袋1から進み出た状態のときに、図示しない制御装置から、扉2を開く旨の指令を受けると、モータを作動させることにより扉2をスライド式に移動させ、扉2を戸袋1に退かせる。これにより、ホームドア100は、
図3(b)に示すように、扉2が開いた状態となる。
【0046】
扉2が開いた状態のとき、戸先部材23の上部は、戸袋1の上部戸先収容部11の内部に収容され、戸先部材23の下部は、戸袋1の下部戸先収容部12の内部に収容される。このように、扉2が開いた状態のときに、扉2の戸先部材23が戸袋1に収容される位置まで退き、扉2の戸先が戸袋1から乗降通路に突出しなくなるので、乗降通路の幅が狭くなるのを抑制することができる。
【0047】
また、扉2が開いた状態のときに、戸先部材23が戸袋1の本体部10よりも乗降通路側に位置し、戸先部材23と戸袋1の本体部10との間に隙間が形成される。特に、本実施の形態のホームドア100においては、上部戸先収容部11、及び下部戸先収容部12のうち少なくとも1つを戸袋1の本体部10の端部10aに設け、本体部10の端部10aに凹部が形成されるように構成することにより、戸先部材23と戸袋1の本体部10との間の隙間を容易に形成することができる。つまり、戸袋1の戸先収容部11,12の内部に扉2の戸先部材23が収納される位置まで扉2を退避させたとしても、戸先部材23と戸袋1の本体部10との間に隙間を形成することができる。これにより、乗降通路の幅が狭くなるのを抑制するとともに、扉2の戸先部材23と戸袋1との間に人の手又は荷物等が挟まれるのを抑制することができる。
【0048】
次に、戸先部材23と戸先収容部11,12との位置関係について、
図1(c)、
図1(d)、
図5を参照して説明する。
【0049】
図5は、本実施の形態のホームドア100と戸先収容部の構成が異なるホームドア103を示す図であって、
図5(a)は、ホームドア103の扉2の一部が戸袋1cから進み出た状態を示し、
図5(b)は、ホームドア103の扉2が戸袋1cに退いた状態を示す。
【0050】
まず、
図5を参照し、ホームドア103の構成について説明する。
図5(a)に示すように、ホームドア103の上部戸先収容部16は、ホームドア100の上部戸先収容部11と比較して上下方向に長く形成される。そのため、ホームドア103をプラットホーム側から視たとき、上部戸先収容部16の下端部16aの位置が、扉上部横梁20の下端部20aの位置よりも下側に配置される。同様に、ホームドア103の下部戸先収容部17は、ホームドア100の下部戸先収容部12と比較して上下方向に長く形成される。そのため、ホームドア103をプラットホーム側から視たとき、下部戸先収容部17の上端部17aの位置が、扉下部横梁21の上端部21aの位置よりも上側に配置される。
【0051】
このような構成のホームドア103において、
図5(b)に示すように、扉2を開いた状態にすると、戸先部材23と本体部10との間に隙間が形成されるので、ホームドア100と同様に、戸先部材23と本体部10との間に人の手又は荷物等が挟まれるのを防止することができる。また、従来よりも戸先側の位置に支持部50を配置することができるので、支持部で支える荷重を低減することもできる。
【0052】
しかしながら、ホームドア103の扉2が戸袋1から進出したときに、
図5(a)に点線の円S3で示した位置、つまり、戸先部材23と上部戸先収容部16との間に隙間が形成される。この隙間は、
図5(b)に示すように、扉2が戸袋1に退くと消失する。このため、扉2が開くときに戸先部材23と上部戸先収容部16との間に人の手又は荷物等が挟まれる可能性がある。同様に、ホームドア103の扉2が戸袋1から進出したときに、
図5(a)に点線の円S4で示した位置、つまり、戸先部材23と下部戸先収容部17との間に隙間が形成される。この隙間は、
図5(b)に示すように、扉2が戸袋1に退くと消失する。このため、戸先部材23と下部戸先収容部17との間に人の手又は荷物等が挟まれる可能性がある。
【0053】
これに対して、本実施の形態のホームドア100においては、
図1(c)に示すように、プラットホーム側から視たときに、扉上部横梁20の下端部20aの位置が、上部戸先収容部11の下端部11aの位置よりも下側、もしくは同じ位置になるように配置される。このような構成により、ホームドア100の戸先部材23と上部戸先収容部11との間には、常に、隙間が形成されない状態となるので、戸先部材23と上部戸先収容部11との間に人の手又は荷物等が挟まれるのを抑制することができる。同様に、
図1(d)に示すように、プラットホーム側から視たときに、扉下部横梁21の上端部21aの位置が、下部戸先収容部12の上端部12aの位置よりも上側、もしくは同じ位置になるように配置される。このような構成により、ホームドア100の戸先部材23と下部戸先収容部12との間には、常に、隙間が形成されない状態となるので、戸先部材23と下部戸先収容部12との間に人の手又は荷物等が挟まれるのを抑制することができる。
【0054】
<変形例1>
図面を参照し、本実施の形態に係るホームドア100の変形例1の構成について説明する。本変形例のホームドア104は、扉65の開閉動作時における扉65のばたつきを抑えるための振れ止め機能を備える点がホームドア100と異なる。以下、本実施の形態のホームドア100と異なる点を中心に説明する。
【0055】
図6は、本変形例に係るホームドア104の構成の一例を示す図であって、
図6(a)は、プラットホーム側から見たホームドア104の正面図、
図6(b)は、
図6(a)に示すB-B断面線の断面図である。なお、
図6(a)は、ホームドア104の内部構造を把握し易くするため、戸袋64の本体部10及び戸先収容部11,12を透視した状態で示すとともに、これらを一体化して破線で示した。
【0056】
本変形例のホームドア104は、
図6(a)に示すように、戸袋64と、扉65とを備える。振れ止め機能は、戸袋64に設けられる抑制部材70、及び扉65の扉下部横梁71に設けられる溝72により実現される。
【0057】
抑制部材70は、扉65の開閉方向に沿って延びる振れ止め用のレールであり、戸袋64の内部の底面に設けられる。抑制部材70の両端部は、戸袋64の本体部10の左右両側に設けられる下部戸先収容部12の内部にそれぞれ固定される。
【0058】
扉下部横梁71の下面には、
図6(b)に示すように、扉65の開閉方向に沿って延びる溝72が形成される。溝72は、抑制部材70の上面、プラットホーム側の面、及び軌道側の面と摺動するように形成され、溝72の内部に抑制部材70が挿入される。
【0059】
このように構成されたホームドア104においては、扉下部横梁71に設けられる溝72と戸袋64に設けられる抑制部材70が摺動自在に接触するので、扉65が開閉動作する際における扉下部横梁71のバタツキを抑えることができる。
【0060】
<変形例2>
図面を参照し、本実施の形態に係るホームドア100の変形例2の構成について説明する。本変形例のホームドア105は、変形例1とは異なる振れ止め機能を備える。以下、本実施の形態のホームドア100と異なる点を中心に説明する。
【0061】
図7は、本変形例に係るホームドア105の構成の一例を示す図であって、
図7(a)は、プラットホーム側から見たホームドア105の正面図、
図7(b)は、
図7(a)に示すC-C断面線の断面図である。なお、
図7(a)は、ホームドア105の内部構造を把握し易くするため、戸袋66の本体部10及び戸先収容部11,12を透視した状態で示すとともに、これらを一体化して破線で示した。
【0062】
本変形例のホームドア105は、
図7(a)に示すように、戸袋66と、扉67とを備える。振れ止め機能は、戸袋66に設けられる抑制部材73、及び扉67の扉下部横梁76に設けられる摺動部74により実現される。
【0063】
抑制部材73は、扉67の開閉方向に沿って延びる振れ止め用のレールであり、戸袋66の内部の底面に設けられる。抑制部材73の両端部は、戸袋66の本体部10の左右両側に設けられる下部戸先収容部12の内部にそれぞれ固定される。
【0064】
摺動部74は、扉下部横梁76の下部に、扉67の開閉方向に沿って間隔をあけて複数配置される。摺動部74は、扉下部横梁76の下面よりも下方に突出する。また、摺動部74は、扉下部横梁76のプラットホーム側の面に配置される摺動部材74aと、軌道側の面に配置される摺動部材74bとから構成される。摺動部材74aと摺動部材74bとは、扉下部横梁76を挟んで対向する位置に設けられる。摺動部材74a,74bの扉下部横梁76の下面よりも下方に突出する部分は、抑制部材73のプラットホーム側の面、及び軌道側の面と摺動するように形成される。摺動部材74a及び摺動部材74bの扉下部横梁76の下面よりも下方に突出した部分の間に抑制部材73が挿入される。
【0065】
このように構成されたホームドア105においては、扉下部横梁76に設けられる摺動部74と戸袋66に設けられる抑制部材73が摺動自在に接触するので、扉67が開閉動作する際における扉下部横梁76のバタツキを抑えることができる。
【0066】
<変形例3>
図面を参照し、本実施の形態に係るホームドア100の構成の変形例3について説明する。本変形例のホームドア106は、扉62に緩衝部材6が設けられる点がホームドア100と異なる。以下、本実施の形態のホームドア100と異なる点を中心に説明する。
【0067】
図8は、本変形例に係るホームドア106の構成の一例を示す図であって、プラットホーム側から見たホームドア106の正面図である。
【0068】
本変形例に係るホームドア106は、扉62が開いた状態のときに、扉62の戸先部材23と戸袋1の本体部10との間に隙間が設けられるように構成されるが、人の手又は荷物等が戸先部材23と戸袋1の本体部10との間に存在する状態で扉62が開くと、人の手又は荷物等が戸先部材23と戸袋1の本体部10との間に挟まれて衝撃を受ける。
【0069】
これに対して、本変形例3のホームドア106は、
図8に示すように、扉上部横梁20とバー部材22との間、隣接するバー部材22の間、及びバー部材22と扉下部横梁21との間の戸先部材23側の部分に緩衝部材6が設けられる。つまり、戸先部材23の戸袋1側の面、言い換えると、戸先部材23の扉の開方向側の端面に沿って緩衝部材6が設けられる。
【0070】
このように構成されたホームドア106においては、バー部材22の間等に人の手又は荷物等が挟まれた状態で扉62が開いたとしても、扉62の戸先部材23と戸袋1の本体部10との間ではなく、緩衝部材6と戸袋1の本体部10との間に人の手又は荷物等が挟まれるため、人の手又は荷物等が受ける衝撃を和らげることができる。緩衝部材6は、ゴム又は樹脂のような柔らかい材料により形成される。また、緩衝部材6は、接触センサであってもよい。例えば、戸先部材23の戸袋1側の面に接触センサを設置し、接触センサが扉62と戸袋1の本体部10との間における人の手又は荷物等の挟み込みを検知した場合には、扉62を反転動作させることにより、人の手又は荷物等への衝撃を和らげる構成としてもよい。
【0071】
<変形例4>
図面を参照し、本実施の形態に係るホームドア100の構成の変形例4について説明する。本変形例のホームドア107は、戸袋1dの戸先収容部18,19の構成がホームドア100と異なる。以下、本実施の形態のホームドア100と異なる点を中心に説明する。
【0072】
図9は、本変形例に係るホームドア107の構成の一例を示す図であって、
図9(a)は、ホームドア107の扉2の一部が戸袋1dから進み出た状態を示し、
図9(b)は、ホームドア107の扉2が戸袋1dに退いた状態を示す。
図9(c)は、
図9(b)の点線の円S5で示す部分の拡大図、
図9(d)は、
図9(b)の点線の円S6で示す部分の拡大図である。
【0073】
図9(a)に示すように、本変形例に係るホームドア107の戸袋1dは、本体部10と、上部戸先収容部18と、下部戸先収容部19と、カバー13と、脚部14とを備える。
【0074】
上部戸先収容部18は、下端部18aの位置が、扉上部横梁20の下端部20aの位置よりも下側になるように構成される。また、上部戸先収容部18には、上部戸先収容部18の扉2の閉方向側の端部18bの下側角部をC面取り、またはR面取りすることにより形成される面取部18cが設けられる。上部戸先収容部18の扉2の閉方向側の端部18bの下側角部とは、上部戸先収容部18の扉2の閉方向側の端部18bと上部戸先収容部18の下端部18aを延長することにより形成される角部である。つまり、面取部18cは、上部戸先収容部18の扉2の閉方向側の端部18bと、上部戸先収容部18の下端部18aとの間に位置する。上部戸先収容部18の扉2の閉方向側の端部18bの下端の位置は、扉上部横梁20の下端部20aの位置よりも上側になるように構成される。
【0075】
下部戸先収容部19は、上端部19aの位置が、扉下部横梁21の上端部21aの位置よりも上側になるように構成される。また、下部戸先収容部19には、下部戸先収容部19の扉2の閉方向側の端部19bの上側角部をC面取り、またはR面取りすることにより形成される面取部19cが設けられる。下部戸先収容部19の扉2の閉方向側の端部19bの上側角部とは、下部戸先収容部19の扉2の閉方向側の端部19bと下部戸先収容部19の上端部19aを延長することにより形成される角部である。つまり、面取部19cは、下部戸先収容部19の扉2の閉方向側の端部19bと、下部戸先収容部19の上端部19aとの間に位置する。下部戸先収容部19の扉2の閉方向側の端部19bの下端の位置は、扉下部横梁21の上端部21aの位置よりも下側になるように構成される。
【0076】
次に、ホームドア107の動作について説明する。
【0077】
ホームドア107の扉2が戸袋1dから進出したとき、
図9(a)に示すように、戸先部材23と上部戸先収容部18の扉2の閉方向側の端部18bとの間には、隙間が形成されない。また、ホームドア107の扉2が戸袋1dに退いたとき、
図9(b)に示すように、戸先部材23と上部戸先収容部18の扉2の閉方向側の端部18bとの間には、隙間が形成されない。
一方、ホームドア107の扉2が戸袋1dから進出したとき、
図9(a)に示すように、戸先部材23と上部戸先収容部18の面取部18cとの間には、隙間が形成される。また、ホームドア107の扉2が戸袋1dに退いたとき、
図9(b)に示すように、戸先部材23と上部戸先収容部18の面取部18cとの間には、隙間が形成される。
【0078】
同様に、ホームドア107の扉2が戸袋1dから進出したとき、
図9(a)に示すように、戸先部材23と下部戸先収容部19の扉2の閉方向側の端部19bとの間には、隙間が形成されない。また、ホームドア107の扉2が戸袋1dに退いたとき、
図9(b)に示すように、戸先部材23と下部戸先収容部19の扉2の閉方向側の端部19bとの間には、隙間が形成されない。
一方、ホームドア107の扉2が戸袋1dから進出したとき、
図9(a)に示すように、戸先部材23と下部戸先収容部19の面取部19cとの間には、隙間が形成される。また、ホームドア107の扉2が戸袋1dに退いたとき、
図9(b)に示すように、戸先部材23と下部戸先収容部19の面取部19cとの間には、隙間が形成される。
【0079】
このような構成により、扉上部横梁20の下端部20aが上部戸先収容部18の下端部18aより上側に位置するように配置されたとしても、戸先部材23と上部戸先収容部18の扉2の閉方向側の端部18bとの間には、常に、隙間が形成されない。また、戸先部材23と上部戸先収容部18の面取部18cとの間には、常に、
図9(c)に示す幅X1以上の大きさの隙間が形成される。つまり、戸先部材23と上部戸先収容部18との間には、扉の開閉動作により消失するような隙間は形成されない。よって、戸先部材23と上部戸先収容部18との間に人の手又は荷物等が挟まれるのを抑制することができる。
【0080】
同様に、扉下部横梁21の上端部21aが下部戸先収容部19の上端部19aより下側に位置するように配置されたとしても、戸先部材23と下部戸先収容部19の扉2の閉方向側の端部19bとの間には、常に、隙間が形成されない。また、戸先部材23と下部戸先収容部19の面取部19cとの間には、常に、
図9(d)に示す幅X2以上の大きさの隙間が形成される。つまり、戸先部材23と下部戸先収容部19との間には、扉の開閉動作により消失するような隙間は形成されない。よって、戸先部材23と下部戸先収容部19との間に人の手又は荷物等が挟まれるのを抑制することができる。
【0081】
上部戸先収容部18の面取部18cは、戸先部材23との間の隙間が、下部に向かうに従い大きくなるように形成される。また、下部戸先収容部19の面取部19cは、戸先部材23との間の隙間が、上部に向かうに従い大きくなるように形成される。このような構成により、戸先部材23と戸先収容部18,19との間に人の手又は荷物等が存在する場合に、面取部18c,19cの扉2の閉方向側の端面が案内体となり、戸先部材23と戸先収容部18,19との間の隙間よりも広い隙間、つまり、戸先部材23と戸袋1dの本体部10との間の隙間に人の手又は荷物等を誘導することができる。これにより、戸先部材23と戸先収容部18,19との間に人の手又は荷物等が挟まれるのを抑制することができる。
【0082】
なお、本実施の形態では、上部戸先収容部18と下部戸先収容部19を備える構成について説明したが、上部戸先収容部18と下部戸先収容部19のうち、いずれか一方を備える構成としてもよい。
【0083】
また、面取部18c,19cは、扉が開いた状態のときに、戸先部材23との間に隙間が形成されればよく、C面取り、又はR面取りにより形成される形状に限定されない。
【0084】
以上のように、本実施の形態のホームドアは、戸袋と、戸袋に収容され、スライド式に移動することで乗降通路を開閉する扉と、戸袋と扉との間に介在し、扉をスライド式に移動させる案内支持部と、を備えるホームドアであって、戸袋は、本体部と、本体部における扉の閉方向側の端部の上部及び下部のうち、案内支持部が配置される位置に対応する部分に設けられ、端部から扉の閉方向側に突出する戸先収容部とを有し、扉は、扉の開閉方向に延び、鉛直方向に間隔をあけて配置される扉上部横梁及び扉下部横梁と、扉上部横梁及び扉下部横梁の戸先側の端部に接合される戸先部材とを有し、案内支持部は、戸袋及び扉のうち一方に設けられ、扉の開閉方向に沿って延びる案内部と、戸袋及び扉のうち他方に設けられ、案内体に案内され、扉の荷重を支持する支持部とを有し、扉が開いた状態のときに、扉の戸先部材と、戸袋の本体部における扉の閉方向側の端部との間に隙間が形成され、扉が閉じた状態のときに、支持部が戸袋の戸先収容部に収容されることを特徴とする。
【0085】
このような構成により、扉が開いた状態のときに、扉の戸先部材と戸袋の本体部との間に隙間が形成されるので、乗降通路の幅が狭くなるのを防止するとともに、人の手又は荷物等が挟まれるのを防止することができる。また、扉が閉じた状態のときに、扉の荷重を支える部分が戸先収容部の内部に位置することにより、戸先から扉の荷重を支える位置までの距離を従来よりも狭くすることができるので、扉の荷重を支える位置にかかる荷重を低減し、ホームドアの薄型化、軽量化を図ることができる。
【0086】
また、扉を構成する扉上部横梁と扉下部横梁との間に隙間が形成されることにより、プラットホーム側または軌道側から吹く風の圧力が扉にかかり難くなるので、扉が風により破損され難い。
【0087】
また、本実施の形態のホームドアは、案内支持部が、戸袋と扉上部横梁との間に介在して扉をスライド式に移動させる場合には、扉上部横梁の少なくとも一部が上部戸先収容部に収容され、案内支持部が、戸袋と扉下部横梁との間に介在して扉をスライド式に移動させる場合には、扉下部横梁の少なくとも一部が下部戸先収容部に収容されることを特徴とする。
【0088】
このような構成により、扉の上下方向の寸法を従来よりも大きくすることができる。
【0089】
また、本実施の形態のホームドアは、本体部の扉の閉方向側の端部の上部に上部戸先収容部が設けられる場合には、扉上部横梁の少なくとも一部が上部戸先収容部に収容され、扉上部横梁の下端部が上部戸先収容部の下端部と同じ高さ、または上部戸先収容部の下端部より下側に位置するように配置され、本体部の扉の閉方向側の端部の下部に下部戸先収容部が設けられる場合には、扉下部横梁の少なくとも一部が下部戸先収容部に収容され、扉下部横梁の上端部が下部戸先収容部の上端部と同じ高さ、または下部戸先収容部の上端部より上側に位置するように配置されることを特徴とする。
【0090】
このような構成により、戸先部材と戸先収容部との間に、隙間が形成されない状態となるので、戸先部材と戸先収容部との間に人の手又は荷物が挟まれるのを抑制することができる。
【0091】
また、本実施の形態のホームドアは、本体部の扉の閉方向側の端部の上部に上部戸先収容部が設けられる場合には、扉上部横梁の少なくとも一部が上部戸先収容部に収容され、扉上部横梁の下端部が上部戸先収容部の下端部より上側に位置するように配置され、上部戸先収容部には、上部戸先収容部の扉の閉方向側の端部の下側角部を面取りして形成され、扉が開いた状態のときに、扉の戸先部材との間に隙間が形成される面取部が設けられ、
本体部の扉の閉方向側の端部の下部に下部戸先収容部が設けられる場合には、扉下部横梁の少なくとも一部が下部戸先収容部に収容され、扉下部横梁の上端部が下部戸先収容部の上端部より下側に位置するように配置され、下部戸先収容部には、下部戸先収容部の扉の閉方向側の端部の上側角部を面取りして形成され、扉が開いた状態のときに、扉の戸先部材との間に隙間が形成される面取部が設けられることを特徴とする。
【0092】
このような構成により、扉上部横梁の下端部が上部戸先収容部の下端部より上側に位置するように配置されたり、扉下部横梁の上端部が下部戸先収容部の上端部より下側に位置するように配置されたりしたとしても、戸先部材と戸先収容部との間には、扉の開閉動作により消失する隙間が形成されないので、戸先部材と戸先収容部との間に人の手又は荷物が挟まれるのを抑制することができる。
【0093】
また、本実施の形態のホームドアの戸袋は、扉の開閉方向に沿って延び、扉に当接して扉の振れを抑制する抑制部材を内部に備えることを特徴とする。
【0094】
このような構成により、扉が開閉動作する際における扉のバタツキを抑えることができる。
【0095】
また、本実施の形態のホームドアの扉は、扉の開閉方向に延び、扉上部横梁及び扉下部横梁との間に鉛直方向に間隔をあけて配置され、戸袋の本体部に収容されるバー部材を備え、戸先部材は、バー部材の戸先側の端部に接合されることを特徴とする。
【0096】
このように、扉が扉上部横梁と扉下部横梁との間にバー部材を備える構成であっても、バー部材を備えない場合と同様に、扉に隙間が形成され、プラットホーム側または軌道側から吹く風の圧力が扉にかかり難くなるので、扉が風により破損され難い。
【0097】
また、本実施の形態のホームドアは、戸先部材における扉の開方向側の端面に緩衝部材が設けられることを特徴とする。
【0098】
このような構成により、戸先部材と戸袋の本体部との間に人の手又は荷物が挟まれたとしても、人の手又は荷物が受ける衝撃を和らげることができる。
【0099】
<実施の形態2>
実施の形態1のホームドア100では、本体部10のプラットホーム側及び軌道側に板状のパネル部材を配置する構成の戸袋1について説明した。これに対し、本実施の形態のホームドア200は、戸袋の本体部が筒形状の部材で構成される点が異なる。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。また、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能又は構成については同一の符号を用いて説明する。
【0100】
図面を参照して、本実施の形態に係るホームドア200の構成について説明する。
図10は、本実施の形態のホームドア200の構成の一例を示す図であって、
図10(a)は、プラットホーム側から見たホームドア200の正面図、
図10(b)は、
図10(a)に示すD-D断面線の断面図、
図10(c)は、
図10(a)に示すE-E断面線の断面図である。
【0101】
本実施の形態のホームドア200は、戸袋201と、扉202とを備える。
【0102】
次に、図を参照し、戸袋201の構成について説明する。
戸袋201は、
図10(a)に示すように、戸袋縦梁210,211、戸袋上部横梁212、戸袋下部横梁213、バー部材収容部214、上部戸先収容部11、下部戸先収容部12、カバー13、及び脚部14を備える。本実施の形態においては、戸袋縦梁210,211、戸袋上部横梁212、戸袋下部横梁213、及びバー部材収容部214が、戸袋201の本体部に対応する。
【0103】
戸袋上部横梁212は、左右方向に長い箱形状に形成され、
図10(b)に示すように、扉202の開閉方向の両側側面に開口部215を有する。開口部215は、扉202が戸袋201から出入りするときに、扉202の扉上部横梁20が通過する位置に設けられる。また、戸袋上部横梁212の上下方向の寸法は、扉上部横梁20の上下方向の寸法より大きく構成される。よって、戸袋上部横梁212の内部に扉上部横梁20が収容可能であり、上部戸先収容部11のように下方が開放された形状とする必要がない。このように、下方が封止された形状とすることができるので、戸袋上部横梁212の内部へ異物が混入するのを防止することができる。本実施の形態においては、扉202を進退させるための案内支持部5は、戸袋上部横梁212の内部に収容される。また、戸袋上部横梁212の上にカバー13が配置される。
【0104】
戸袋下部横梁213は、左右方向に長い箱形状に形成され、
図10(b)に示すように、扉202の開閉方向の両側側面に開口部216を有する。開口部216は、扉202が戸袋201から出入りするときに、扉202の扉下部横梁21が通過する位置に設けられる。また、戸袋下部横梁213の上下方向の寸法は、扉下部横梁21の上下方向の寸法より大きく構成される。よって、戸袋下部横梁213の内部に扉下部横梁21が収容可能であり、下部戸先収容部12のように上方が開放された形状とする必要がない。このように、上方が封止された形状とすることができるので、戸袋下部横梁213の内部へ異物が混入するの防止することができる。本実施の形態においては、扉202を進退させるための駆動機構4は、戸袋下部横梁213の内部に収容される。また、戸袋下部横梁213の下に脚部14が配置される。
【0105】
戸袋上部横梁212,及び戸袋下部横梁213は、上下方向に間隔をあけて配置される。
【0106】
バー部材収容部214は、筒形状に形成され、扉の開閉方向に沿って延びる。バー部材収容部214は、戸袋上部横梁212と戸袋下部横梁213との間に配置される。本実施の形態においては、扉202のバー部材22に対応してバー部材収容部214が設けられる。つまり、扉202のバー部材22と同数のバー部材収容部214が、扉202のバー部材22と同一のピッチで、戸袋上部横梁212と戸袋下部横梁213との間に配置される。バー部材22は、バー部材収容部214に収容され、扉202が開閉動作する際にバー部材収容部214から出入りする。バー部材収容部214は、バー部材22が内部を摺動可能に構成される。本実施の形態においては、
図10(c)に示すように、扉202R,202Lのバー部材22のうち、同じ高さに配置されるバー部材22が同一のバー部材収容部214に収容される。
【0107】
戸袋縦梁210,211は、断面が四角形状に形成され、鉛直方向に延びる。また、戸袋縦梁210,211は、扉202の開閉方向に間隔を空けて配置される。戸袋縦梁210,211の上端部は、戸袋201のカバー13の下面に固定され、戸袋縦梁210,211の下端部は、戸袋201の脚部14の上面に固定される。戸袋縦梁210の側面にはバー部材収容部214の一方の端部が接合され、戸袋縦梁211の側面にはバー部材収容部214の他方の端部が接合される。
【0108】
また、戸袋縦梁210,211には、
図10(b)に示すように、扉の開閉方向に貫通する貫通穴217が形成される。貫通穴217は、バー部材収容部214と同数、かつ同一ピッチで形成される。バー部材収容部214は、戸袋縦梁210,211の貫通穴217が設けられた位置に接合され、貫通穴217とバー部材収容部214の内部は、連通する。
【0109】
上部戸先収容部11は、
図10(a)に示すように、戸袋1の戸袋上部横梁212の左右両側の端部212aに設けられ、戸袋上部横梁212の端部212aから扉2の開閉方向における閉方向側に向かって突出する。上部戸先収容部11は、プラットホーム側から視たときに、戸袋201に支持される扉202の上部の少なくとも一部に重なる位置に設けられ、下方、及び側方が開放された形状を有する。このような構成により、上部戸先収容部11の内部に扉202の上部が収容される。なお、上部戸先収容部11の下方、及び左右方向の両側の側方が開放された形状とは、
図10(b)に示すように、上部戸先収容部11の下面、及び側面における、少なくとも、扉202が通過する位置に対応する部分が開放された形状であればよい。また、扉202の扉上部横梁20は、プラットホーム側から視たとき、下端部20aが上部戸先収容部11の下端部11aと同じ高さ、もしくは上部戸先収容部11の下端部11aよりも下方に位置するように配置される。
【0110】
下部戸先収容部12は、9(a)に示すように、戸袋1の戸袋下部横梁213の左右両側の端部213aに設けられ、戸袋上部横梁212の端部213aから扉2の開閉方向における閉方向側に向かって突出する。下部戸先収容部12は、プラットホーム側から視たときに、戸袋201に支持される扉202の下部の少なくとも一部に重なる位置に設けられ、上方、及び側方が開放された形状を有する。このような構成により、下部戸先収容部12の内部に扉202の下部が収容される。なお、下部戸先収容部12の上方、及び左右方向の両側の側方が開放された形状とは、
図10(b)に示すように、下部戸先収容部12の上面、及び側面における、少なくとも、扉202が通過する位置に対応する部分が開放された形状であればよい。また、扉202の扉下部横梁21は、プラットホーム側から視たとき、上端部21aが下部戸先収容部12の上端部12aと同じ高さ、もしくは下部戸先収容部12の上端部12aよりも上方に位置するように配置される。
【0111】
次に、扉202の構成について説明する。
扉202は、扉上部横梁20、扉下部横梁21、バー部材22、及び戸先部材23を備えるが、戸尻部材24を備えない。そのため、扉上部横梁20、扉下部横梁21、及びバー部材22の戸尻側の端部が開放された状態となっている点が実施の形態1のホームドア100の扉2と異なる。扉上部横梁20は、戸袋201の戸袋上部横梁212及び上部戸先収容部11に収容される。扉下部横梁21は、戸袋201の戸袋下部横梁213及び下部戸先収容部12に収容される。バー部材22はバー部材収容部214に収容される。
【0112】
以上のように、本実施の形態のホームドア200においては、戸袋の本体部は、扉の開閉方向に沿って延びる筒形状のバー部材収容部を備え、扉のバー部材は、バー部材収容部に収容され、扉の開閉方向に移動可能に支持されることを特徴とする。
【0113】
このような構成により、プラットホーム側または軌道側から吹く風の圧力が扉だけでなく戸袋にもかかり難くなるので、ホームドア全体が風により破損され難い。
【0114】
<変形例1>
図面を参照し、本実施の形態に係るホームドア200の変形例1の構成について説明する。本変形例のホームドア220は、戸先収容部218,219の構成がホームドア200と異なる。本変形例の戸先収容部218,219の構造は、実施の形態1の変形例4の戸先収容部18,19の構造と同様であるが、本変形例と実施の形態1の変形例4とは、戸袋の本体部の構成が異なる。よって、以下では、実施の形態1の変形例4、及び実施の形態2と異なる点を中心に説明する。
【0115】
図11は、本変形例に係るホームドア220の構成の一例を示す図である。
【0116】
戸袋221は、
図11に示すように、戸袋縦梁210,211、戸袋上部横梁212、戸袋下部横梁213、バー部材収容部214、上部戸先収容部218、下部戸先収容部219、カバー13、及び脚部14を備える。本実施の形態の変形例1においては、戸袋縦梁210,211、戸袋上部横梁212、戸袋下部横梁213、及びバー部材収容部214が、戸袋221の本体部に対応する。
【0117】
上部戸先収容部218は、戸袋221の戸袋上部横梁212の左右両側の端部212aに設けられ、戸袋上部横梁212の端部212aから扉202の開閉方向における閉方向側に向かって突出する。上部戸先収容部218の上下方向の寸法は、戸袋上部横梁212の上下方向の寸法と同一になるように形成され、上部戸先収容部218の下端部218aは、戸袋上部横梁212の下端部212bと同じ高さに位置するように配置されてもよい。上部戸先収容部218は、下端部218aの位置が、扉上部横梁20の下端部20aの位置よりも下側になるように構成される。また、上部戸先収容部218には、上部戸先収容部218の扉2の閉方向側の端部218bの下側角部をC面取り、またはR面取りすることにより形成される面取部218cが設けられる。
【0118】
下部戸先収容部219は、戸袋221の戸袋下部横梁213の左右両側の端部213aに設けられ、戸袋下部横梁213の端部213aから扉202の開閉方向における閉方向側に向かって突出する。下部戸先収容部219の上下方向の寸法は、戸袋下部横梁213の上下方向の寸法と同一になるように形成され、下部戸先収容部219の上端部219aは、戸袋下部横梁213の上端部213bと同じ高さに位置するように配置されてもよい。下部戸先収容部219は、上端部219aの位置が、扉下部横梁21の上端部21aの位置よりも上側になるように構成される。また、下部戸先収容部219には、下部戸先収容部219の扉2の閉方向側の端部219bの下側角部をC面取り、またはR面取りすることにより形成される面取部219cが設けられる。
【0119】
このような構成により、扉上部横梁の下端部が上部戸先収容部の下端部より上側に位置するように配置されたり、扉下部横梁の上端部が下部戸先収容部の上端部より下側に位置するように配置されたりしたとしても、戸先部材と戸先収容部との間には、扉の開閉動作により消失するような隙間は形成されないので、戸先部材と戸先収容部との間に人の手又は荷物が挟まれるのを抑制することができる。
【0120】
また、戸袋上部横梁212の下端部212bと上部戸先収容部218の下端部218aとの間の段差、及び戸袋下部横梁213の上端部213bと下部戸先収容部219の上端部219aとの間の段差が無くなり、戸袋221の形状の見た目が整然とする上、製造が容易になる。
<実施の形態3>
本実施の形態3のホームドア300は、扉302の戸先部材が弾性部材325で覆われている点が実施の形態1及び実施の形態2のホームドアと異なる。以下、実施の形態1及び実施の形態2と異なる点を中心に説明する。また、特に記述しない項目については実施の形態1及び実施の形態2と同様とし、同一の機能又は構成については同一の符号を用いて説明する。
【0121】
図面を参照して、本実施の形態に係るホームドア300の構成について説明する。
図12は、本実施の形態のホームドア300の構成の一例を示す図である。
図12(a)はプラットホーム側から見たホームドア300の正面図であって、隣接するホームドア300の戸袋1から進み出た扉の302の戸先が対向する様子を示す図である。
図12(b)から
図12(d)及び
図13(a)から
図13(c)は、
図12(a)に示すF-F線から視た上面図であって、扉302の戸先の弾性部材325の変形例を示す図である。
【0122】
本実施の形態3のホームドア300においては、扉302の戸先部材23は、樹脂製またはゴム製等の弾性部材325により覆われる。一般的に、扉302の戸先部材23は、金属により構成される。よって、戸先部材23を金属よりも弾性力が高い部材で覆うことにより、扉302の戸先に人又は荷物が接触したときの衝撃を緩和することができる。
【0123】
弾性部材325は、上方から視たときの形状が、例えば、
図12(b)に示すような半円形状、
図12(c)に示すような四角形状、または
図12(d)に示すような角部をR面取り、もしくは曲面とした四角形状となるように構成してもよい。
【0124】
また、戸先が対向する一対の扉302R,302Lの戸先の弾性部材325は、
図12(b)から
図12(d)に示すように、同一形状でもよいし、
図13(a)から
図13(c)に示すように、異なる構成でもよい。例えば、
図13に示すように、一方の弾性部材325Rが半円形状、他方の弾性部材325Lが四角形状、又は角部がR面取りされた四角形状となるように構成するとさらに好ましい。
【0125】
ここで、戸先が対向する一対の扉302の弾性部材325を
図13(a)に示す構成とした場合の効果について、図を参照して説明する。
図14は、対向する一対の扉302の弾性部材325が同一形状の場合に、戸先の位置がずれた状態を示す説明図である。
【0126】
一般的に、ホームドア300は、扉302が閉じるときに、対向する一対の扉302の戸先に人の手又は荷物などが挟まれる事象を検知する検知手段(図示せず)を備える。検知手段は、例えば、扉302を駆動するモータのトルク値によって挟み込みを検知してもよいし、弾性部材325の内部に設けた感圧センサの出力値によって挟み込みを検知してもよい。検知手段を精度よく機能させるためには、扉302が閉じたときに、弾性部材325の先端部が対向するようにホームドア300を配置する必要がある。なお、先端部とは、半円形状の弾性部材325の場合には、半円形状の頂点部分、四角形状の弾性部材325場合には、四角形状の戸先側の一辺、角部がR面取りされた四角形状の場合には、四角形状の戸先側の一辺のうちR面取りされていない部分を指す。また、対向する扉302の戸先の先端部は、扉302が閉じた状態のときに互いに当接してもよいし、所定の間隔を空けて近接してもよい。
【0127】
また、整然と配置されているように見せるため、扉302が閉じた状態のときに、対向する一対の扉302の戸先同士が整列するようにホームドア300を配置することが望ましい。
【0128】
このようなホームドア300において、半円形状の弾性部材を戸先に設けた場合、
図14(a)に示すように、対向する一対の扉302のうち一方の扉302の位置が他方の扉302より軌道側またはプラットホーム側の位置にずれると、戸先の先端部同士、つまり、弾性部材の半円形状の頂点同士が対向しなくなる。これにより、戸先の先端部が互いに当接しなくなる、もしくは、戸先の先端部の間隔X4が、挟み込みを検知するために予め設定されていた間隔よりも広くなる。その結果、傘又は腕などの比較的細い物が挟まれたことを正確に検知することが困難になる。
【0129】
また、四角形状の弾性部材を戸先に設けた場合、
図14(b)に示すように、対向する一対の扉302のうち一方の扉302の位置が他方の扉302より軌道側またはプラットホーム側の位置にずれると、戸先と戸先との間に急峻な段差が生じ、曲面形状を有する弾性部材を戸先に設けた場合と比較して扉302の位置のずれが目立ちやすい。
【0130】
このようにずれた戸先同士の位置を合わせるためには、扉302だけ配置調整することはできず、戸袋1も含めたホームドア300の配置調整をやり直す必要がある。一般に、戸袋1は3~5百Kg程度の重量物であるため、このような作業には、多大な手間や時間、コストがかかる。
【0131】
これに対して、本実施の形態のホームドア300は、
図13(a)に示すように、一方の弾性部材325Rは半円形状、他方の弾性部材325Lは四角形状、又は角部がR面取りされた四角形状となるように構成される。
【0132】
このように、一方の戸先が四角形状の弾性部材325で構成されることにより、扉302の戸先の位置がずれて配置されたとしても、
図13(b)および
図13(c)に示すように、四角形状の弾性部材325の先端部の奥行き方向の大きさX3の範囲内で戸先同士を当接、または近接させることができるので、ホームドア300の配置調整をする必要が無い。
【0133】
また、一方の戸先が半円形状の弾性部材325で構成されることにより、
図13(b)および
図13(c)に示すように、扉302の位置がずれたとしても、間に曲面があることで、戸先の間の段差が緩やかになり目立ち難くなるので、美観が損なわれ難い。
【0134】
<実施の形態4>
本実施の形態4のホームドア400は、扉401の厚み方向における戸先の移動を規制する規制部を扉402の戸先に備える点が実施の形態1から実施の形態3のホームドアと異なる。以下、実施の形態1から実施の形態3のホームドアと異なる点を中心に説明する。また、特に記述しない項目については実施の形態1から実施の形態3のホームドアと同様とし、同一の機能又は構成については同一の符号を用いて説明する。
【0135】
図面を参照して、本実施の形態に係るホームドア400の構成について説明する。
図15は、本実施の形態のホームドア400の構成の一例を示す図である。
図15(a)はプラットホーム側から見たホームドア400の正面図であって、隣接するホームドア400の戸袋1から進み出た扉の402の戸先が対向する様子を示す図である。
図15(b)及から
図15(d)は、扉402の規制部の変形例を示す図である。
図15(b)及び
図15(c)は、
図15(a)に示すH-H線から視た上面図、
図15(d)は、
図15(a)に示すG-G断面線における断面図である。
【0136】
本実施の形態のホームドア400は、対向する一対の扉402のうち、一方の扉402の戸先部材の戸先側の端面に凸部が設けられ、他方の扉402の戸先部材の戸先側の端面に、一方の扉402に設けられた凸部が嵌る形状の凹部が設けられ、ホームドア400が閉じた状態となったときに、凸部が凹部に嵌るように構成される。一方の扉402の戸先部材に設けられる凸部と、他方の扉402の戸先部材に設けられる凸部により、規制部が構成される。
【0137】
以下、
図15(b)から
図15(d)に示す、3種類の規制部の構成について説明する。
【0138】
図15(b)は、ホームドア400aの規制部の構成を示す上面図である。図に示すように、一方の扉402の戸先部材423には、上方から視たときの形状が三角形状の凸部423aが設けられる。また、他方の扉402の戸先部材424には、三角形状の凸部423aが嵌る形状の凹部424aが設けられる。
【0139】
図15(c)は、ホームドア400bの規制部の構成を示す上面図である。図に示すように、一方の扉402の戸先部材425には、上方から視たときの形状が面取りされていない四角形状の凸部425aが設けられる。また、他方の扉402の戸先部材426には、四角形状の凸部425aが嵌る形状の凹部426aが設けられる。
【0140】
図15(d)は、ホームドア400cの規制部の構成を示す上面図である。図に示すように、一方の扉402の戸先部材427は、横断面が半円形状となるように形成され、戸先部材427の端面に設けられた貫通穴からピン430の先端部が突出するように構成される。他方の扉402の戸先部材428は、横断面が半円形状となるように形成され、ピン30が嵌る形状の溝428aが戸先部材427の端面に形成される。ホームドア400cにおいては、ピン430の先端部が凸部、溝428aが凹部に対応する。なお、ピン430の基部には、一端が扉上部横梁20に固定されたバネ429の他端が固定され、ピン430は、戸先部材427の端面から出入り可能に構成されることが好ましい。
【0141】
次に、図を参照して、本実施の形態のホームドア400a,400b,400cの効果について説明する。
図16は、規制部を備えないホームドア500の扉の変位について説明する説明図である。
【0142】
規制部を備えないホームドア500の扉502は、
図16に示すように、乗客等により、プラットホーム側から軌道側に向かう方向、つまり、図中に矢印Kで示す方向に押圧されると、戸袋501から突出した扉502の戸先の位置が変位する可能性がある。しかしながら、本実施の形態のホームドア400a,400b,400cによれば、扉402が閉じた状態のときに、戸先部材の凸部と凹部とが嵌るように構成されることにより、乗客に押圧されたとしても、扉402の戸先の位置の変位を抑制することができる。
【0143】
次に、図を参照して、本実施の形態のホームドア400cの効果について説明する。
図17は、本実施の形態のホームドア400cの動作について説明する説明図である。
【0144】
本実施の形態のホームドア400cの構成によれば、
図17(a)に白い矢印で示すように、扉402が閉じる方向に動いているときに、乗降通路に残留している乗客に扉402の戸先が衝突したとしても、
図17(b)に示すように、ピン430が扉402の戸先部材427の内部に収容されるので、戸先が乗客に与える衝撃を緩和することができる。
【0145】
以上、実施の形態1から実施の形態4のホームドアについて説明したが、ホームドアの構成はこれに限定されない。例えば、右扉と左扉を備えるホームドアに限定されず、右扉と左扉のいずれか一方を備える構成であってもよい。
【0146】
なお、上述した実施の形態1から実施の形態4は本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0147】
1 戸袋、2 扉、3 プラットホーム、4 駆動機構、5 案内支持部、6 緩衝部材、10 本体部、11 上部戸先収容部、12 下部戸先収容部、13 カバー、14 脚部、15 開口部、18 上部戸先収容部、18c 面取部、19 下部戸先収容部、19c 面取部、20 扉上部横梁、21 扉下部横梁、22 バー部材、23 戸先部材、24 戸尻部材、40 駆動プーリ、41 従動プーリ、42 従動プーリ、43 タイミングベルト、50 支持部、51 支持部、52 案内部、70 抑制部材、71 扉下部横梁、72 溝、73 抑制部材、74 摺動部、100 ホームドア、214 バー部材収容部、325 弾性部材。