(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188839
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】制御装置、信号出力装置、信号分配装置、表示装置、システム、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20221215BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20221215BHJP
G09G 5/02 20060101ALI20221215BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20221215BHJP
H04N 21/431 20110101ALI20221215BHJP
【FI】
G09G5/00 510V
G09G5/00 550C
G09G5/00 555D
G09G5/10 B
G09G5/02 B
H04N5/74 D
H04N21/431
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097072
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】大森 秀一
【テーマコード(参考)】
5C058
5C164
5C182
【Fターム(参考)】
5C058BA23
5C058EA03
5C164PA34
5C164UB41S
5C164UB71S
5C164UB82P
5C164YA19
5C182AA02
5C182AA03
5C182AA04
5C182AB11
5C182BA01
5C182BA02
5C182BB04
5C182BB26
5C182BB27
5C182BC03
5C182BC11
5C182BC22
5C182BC25
5C182BC26
5C182CA01
5C182CA02
5C182CA32
5C182CA36
(57)【要約】
【課題】マルチ映像表示システムとして最適な識別データを生成可能な制御装置、信号出力装置、信号分配装置、表示装置、システム、制御方法、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】制御装置は、複数の表示装置のそれぞれの画質に関する表示性能を示す複数の識別データを取得する取得部と、複数の識別データを用いて複数の表示装置が対応可能な表示性能を示す最適識別データを生成する生成部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示装置のそれぞれの画質に関する表示性能を示す複数の識別データを取得する取得部と、
前記複数の識別データを用いて前記複数の表示装置が対応可能な表示性能を示す最適識別データを生成する生成部とを有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記複数の識別データは、HDR信号に対応可能かどうかを示す情報、又はSDR信号に対応可能かどうかを示す情報を含み、
前記生成部は、前記複数の表示装置の少なくとも一つが前記HDR信号に非対応である、又は前記SDR信号に対応可能である場合、前記SDR信号に対応可能であることを示す情報を前記最適識別データとして選択することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記複数の識別データは、対応する表示装置の最大表示輝度を含み、
前記生成部は、前記複数の表示装置の複数の最大表示輝度が異なる場合、前記複数の最大表示輝度のうち最小の最大表示輝度を前記最適識別データとして選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記複数の識別データは、対応する表示装置の最小表示輝度を含み、
前記生成部は、前記複数の表示装置の複数の最小表示輝度が異なる場合、前記複数の最小表示輝度のうち最大の最小表示輝度を前記最適識別データとして選択することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記複数の識別データは、対応する表示装置が対応可能なHDRに関する情報を含み、
前記生成部は、前記複数の表示装置の対応可能なHDRに関する情報が異なる場合、前記複数の表示装置が対応可能なHDRに関する情報を前記最適識別データとして選択することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記複数の識別データは、対応する表示装置が対応可能な色域に関する情報を含み、
前記生成部は、前記複数の表示装置の対応可能な色域に関する情報が異なる場合、前記複数の表示装置が対応可能な色域に関する情報を前記最適識別データとして生成することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記複数の識別データは、対応する表示装置が対応可能な色深度を含む、
前記生成部は、前記複数の表示装置の対応可能な色深度が異なる場合、前記複数の表示装置が対応可能な色深度を前記最適識別データとして選択することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
映像信号を出力可能な信号出力装置であって、
請求項1乃至7の何れか一項に記載の制御装置を有することを特徴とする信号出力装置。
【請求項9】
信号出力装置からの映像信号を分割して複数の表示装置に送信可能な信号分配装置であって、
請求項1乃至7の何れか一項に記載の制御装置を有することを特徴とする信号分配装置。
【請求項10】
プライマリとして設定され、複数のセカンダリの表示装置と通信可能に接続される表示装置であって、
請求項1乃至7の何れか一項に記載の制御装置を有することを特徴とする表示装置。
【請求項11】
映像信号を出力する信号出力装置と、
前記映像信号を取得する複数の表示装置とを有し、
前記信号出力装置、又は前記複数の表示装置の少なくとも一つが請求項1乃至7の何れか一項に記載の制御装置を備えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
映像信号を出力する信号出力装置と、
前記映像信号を分割する信号分配装置と、
それぞれが分割された前記映像信号を取得する複数の表示装置とを有し、
前記信号出力装置、前記信号分配装置、又は前記複数の表示装置の少なくとも一つが請求項1乃至7の何れか一項に記載の制御装置を備えることを特徴とするシステム。
【請求項13】
複数の表示装置のそれぞれの画質に関する表示性能を示す複数の識別データを取得するステップと、
前記複数の識別データを用いて前記複数の表示装置が対応可能な表示性能を示す最適識別データを生成するステップとを有することを特徴とする制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載の制御方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、信号出力装置、信号分配装置、表示装置、システム、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サイネージ、ライブ、イベント、又はプロジェクションマッピング等の用途において、複数の表示装置を用いて1つの大画面を構成するマルチ映像表示システムが知られている。特許文献1には、自機器が後段側機器と異なる機種である場合、リピータ機能を有効にするために自機器の識別データを後段側機器の識別データに書き換える映像機器が開示されている。特許文献2には、各ディスプレイの配置、表示解像度、及び輝度情報を把握し、入力画像を各ディスプレイの解像度に合わせて分割すると共に、各ディスプレイの輝度を均一に調整する制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6773294号公報
【特許文献2】特許第4529553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチ映像表示システムにおいて複数の表示装置のそれぞれの画質に関する表示性能を示す識別データが異なる場合、マルチ映像表示システムとして最適な1つの識別データを生成しなければ、映像信号を正しく表示できない表示装置が出てくるという問題がある。しかしながら、特許文献1及び特許文献2には、上記問題を解決する構成は開示されていない。
【0005】
本発明は、マルチ映像表示システムとして最適な識別データを生成可能な制御装置、信号出力装置、信号分配装置、表示装置、システム、制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての制御装置は、複数の表示装置のそれぞれの画質に関する表示性能を示す複数の識別データを取得する取得部と、複数の識別データを用いて複数の表示装置が対応可能な表示性能を示す最適識別データを生成する生成部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、マルチ映像表示システムとして最適な識別データを生成可能な制御装置、信号出力装置、信号分配装置、表示装置、システム、制御方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態のマルチ映像表示システムを示す図である。
【
図2】第1の実施形態のマルチ映像表示システムのブロック図である。
【
図3】第1の実施形態の信号分配装置による設定処理を示すフローチャートである。
【
図4】第2の実施形態のマルチ映像表示システムを示す図である。
【
図5】第2の実施形態のマルチ映像表示システムのブロック図である。
【
図6】第2の実施形態の信号出力装置による設定処理を示すフローチャートである。
【
図7】第3の実施形態のマルチ映像表示システムを示す図である。
【
図8】第3の実施形態のマルチ映像表示システムのブロック図を示す図である。
【
図9】第3の実施形態の表示装置による設定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態のマルチ映像表示システムを示す図である。本実施形態のマルチ映像表示システムは、信号出力装置101、信号分配装置102、及び表示装置103~106を有する。
【0010】
信号出力装置101は、本実施形態では映像コンテンツが含まれているBD(Blu-ray(登録商標)Disc)の再生が可能なBD再生装置である。なお、信号出力装置101は、HDR(High Dynamic Range)に対応する映像コンテンツを再生して映像信号として出力可能な装置であれば、BD再生装置に限定されない。信号分配装置102は、信号出力装置101からの映像信号を受信し、1画面分の映像データを4分割して表示装置103~106に送信可能である。表示装置103~106は本実施形態ではプロジェクタであり、本実施形態のマルチ映像表示システムは表示装置103~106からの4つの映像からなる1つの映像をスクリーン110に投影可能である。
図1に示されるように、表示装置103~106の解像度は同一であるが、輝度情報(Max/Min)、HDR対応フォーマット、表示可能な色域(色空間)、及びRGB信号のビット深度(色深度、ビット数)は同一ではない。なお、表示装置103~106は、ディスプレイであってもよい。
【0011】
図2は、本実施形態のマルチ映像表示システムのブロック図である。信号出力装置101は、ディスク制御部210、データ読取部211、データ再生部212、映像出力部213、装置制御部214、操作部215、及び識別データ取得部216を有する。ディスク制御部210は、装置制御部214からの信号を受けて、ディスクトレイの出し入れ、及びBDの回転や停止等のディスクに関する物理的な制御を行う。データ読取部211は、BDに記憶されている映像コンテンツデータを読み出す。データ再生部212は、読み出された映像コンテンツデータを、RGBやYUV等の映像信号にデコードする。データ再生部212は、デコードに際して、後述するマルチ映像表示システムとして最適な識別データに従って、最適な映像信号に調整する。映像出力部213は、データ再生部212からの映像データをHDMI(登録商標)(High Difinition Media Interface)やDP(Display Port)等の表示装置103~106に伝送するためのフォーマットに変換した上で出力する。また、映像出力部213は、信号分配装置102から取得したマルチ映像表示システムとして最適な識別データを識別データ取得部216に出力する。装置制御部214は、操作部215を通じてユーザーから入力された操作指示に従って、再生、停止、早送り、及び逆再生等の動作を各部に指示する。
【0012】
信号分配装置102は、映像入力部220、画質調整部221、画像分割部222、映像出力部223、識別データ保持部224、識別データ制御部225、操作部226、装置制御部227、及び情報表示部228を有する。映像入力部220は、外部装置からの映像信号を受信すると共に、識別データ保持部224が保持するマルチ映像表示システムとして最適な識別データを信号出力装置101に出力する。画質調整部221は、装置制御部227からの指示を受けて、入力映像の画質を調整する。画像分割部222は、装置制御部227から取得した表示装置の台数と配置・配列情報から、入力された画面を各表示装置に最適なサブ画面サイズに分割する。配置・配列情報は、本実施形態では
図1に示されるように表示装置103~106が縦横2台ずつ配置されていることを示す情報である。映像出力部223は、複数の接続端子を備え、分割された映像信号を表示装置103~106に伝送するためのフォーマットに変換した上で出力する。また、映像出力部223は、各表示装置と通信を行い、識別データを含む機能・性能を示す情報を取得する。
【0013】
識別データ制御部225は、識別データ再構成部(生成部)225a、及び識別データ取得部225bを備える。識別データ取得部225bは、映像出力部223から表示装置103~106のそれぞれの画質に関する表示性能を示す複数の識別データを取得する。識別データ再構成部225aは、識別データ取得部225bにより取得された複数の識別データの比較を行い、マルチ映像表示システムとして最適な(表示装置103~106が対応可能な)1つの識別データ(以下、最適識別データ)を生成する。識別データ再構成部225aにより生成された最適識別データは、識別データ保持部224に保存される。識別データ保持部224は、例えばEEPROMに代表されるメモリで構成される。なお、識別データ制御部225は、本実施形態では信号分配装置102内に設けられているが、信号分配装置102とは別の制御装置として構成されてもよいし、後述する実施形態で説明するように信号出力装置や表示装置に設けられてもよい。
【0014】
装置制御部227は、ユーザーが操作する操作部226からの入力信号を用いて信号分配装置102内の各部を制御する。情報表示部228は、小型ディスプレイやLED等で構成され、現在の信号分配装置102の設定情報等をユーザーに通知する。
【0015】
表示装置103は、映像入力部230、画像処理部231、パネル制御部232、パネル233、識別データ保持部234、光源制御部235、光源236、操作部237、及び装置制御部238を有する。映像入力部230は、外部装置からの映像信号を受信すると共に、識別データを信号分配装置102に出力する。画像処理部231は、装置制御部238からの指示に基づいて色調整や輝度調整を行う。パネル制御部232は、画像処理部231からの映像信号をパネル233に入力することが可能な信号フォーマットに変換し、変換後の映像信号を用いてパネル233を制御する。パネル233は、本実施形態では透過型液晶パネルであるが、反射型液晶パネルやDMD(Digital Mirror Device)でもよい。光源制御部235は、光源236を点灯/消灯させる。また、光源制御部235は、画像処理部231からの輝度制御値、又は映像入力部230からの映像信号から分離されたHDR信号を用いて、光源236の明るさを調整する。光源236は、本実施形態では高輝度のレーザーであるが、高輝度のランプでもよい。装置制御部238は、ユーザーが操作する操作部237からの入力信号を用いて表示装置103内の各部を制御する。
【0016】
本実施形態では、表示装置104~106も表示装置103と同様の構成を有する。ただし、
図1に示されるように、表示装置103~106のそれぞれの画質に関する表示性能を示す複数の識別データは異なっており、各表示装置の識別データは識別データ保持部234に保存されている。
【0017】
図3は、本実施形態の信号分配装置102による設定処理を示すフローチャートである。本実施形態の設定処理は、マルチ映像表示システム内の全ての装置の電源が入ることで開始される。
【0018】
ステップS301では、装置制御部227は、ユーザーが操作する操作部226からの入力信号を用いて表示装置の台数と配置・配列情報を取得する。
【0019】
ステップS302では、信号分配装置102は、信号出力装置101が接続されているかどうかを判定する。接続されていると判定された場合、ステップS303に進み、そうでないと判定された場合、本ステップの処理が繰り返される。
【0020】
ステップS303では、識別データ取得部225bは、映像出力部223を介して表示装置103~106の識別データを取得する。
【0021】
ステップS304では、識別データ再構成部225aは、ステップS303で取得された識別データを用いて表示装置103~106がHDR信号又はSDR(Standard Dynamic Range)信号に対応可能であるかどうかを判定する。表示装置103~106がHDR信号に対応可能であると判定された場合、ステップS305に進む。表示装置103~106の少なくとも一つがHDR信号に非対応である、又はSDR信号に対応可能であると判定された場合、ステップS310に進む。
【0022】
ステップS305では、識別データ再構成部225aは、表示装置103~106の識別データの複数の最大表示輝度のうち最小の最大表示輝度を、最適識別データとして選択する。このように、複数の最大表示輝度が異なる場合には、複数の最大表示輝度のうち最小の最大表示輝度を最適識別データとして選択することができる。
【0023】
ステップS306では、識別データ再構成部225aは、表示装置103~106の識別データの複数の最小表示輝度のうち最大の最小表示輝度を、最適識別データとして選択する。このように、複数の最小表示輝度が異なる場合には、複数の最小表示輝度のうち最大の最小表示輝度を最適識別データとして選択することができる。
【0024】
ステップS307では、識別データ再構成部225aは、表示装置103~106の識別データのHDRに関する情報のうち、全ての表示装置が対応可能なHDRに関する情報を、最適識別データとして選択する。ここで、HDRに関する情報とは、HDR規格、HDR方式、及びHDR設定値等である。例えば、全ての表示装置がHDR10、及びHLG(Hyblid LOG Gamma)に対応している場合、これらを最適識別データとして選択する。
【0025】
ステップS308では、識別データ再構成部225aは、表示装置103~106の識別データの色域(色空間)に関する情報のうち、全ての表示装置が対応可能な色域に関する情報を、最適識別データとして選択する。例えば、全ての表示装置がRec.2020に対応している場合、これを最適識別データとして選択する。
【0026】
ステップS309では、識別データ再構成部225aは、表示装置103~106の識別データの色深度(ビット深度)情報のうち、全ての表示装置が対応可能な色深度情報を、最適識別データとして選択する。
【0027】
ステップS310では、信号分配装置102は、最適識別データとして、SDRフォーマットを選択(HDRフォーマットを非選択)する。
【0028】
ステップS311では、識別データ保持部224は、ステップS305乃至ステップS309、又はステップS310で選択されたデータを含む最適識別データを内部のメモリに保存する。
【0029】
ステップS312では、映像入力部220は、識別データ保持部224が保持する最適識別データを信号出力装置101の映像出力部213に出力する。
【0030】
以上説明したように本実施形態の構成によれば、最適識別データを生成可能であり、高品位な映像を提供することができる。
[第2の実施形態]
図4は、本実施形態のマルチ映像表示システムを示す図である。本実施形態のマルチ映像表示システムは、信号出力装置401、及び表示装置103~106を有し、表示装置103~106からの4つの映像からなる1つの映像をスクリーン110に投影可能である。なお、本実施形態では、第1の実施形態と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0031】
信号出力装置401は、映像コンテンツの保存と再生、及び1画面分の映像データを複数のサブ画面に分割して信号出力する。
【0032】
図5は、本実施形態のマルチ映像表示システムのブロック図である。信号出力装置401は、映像データ記憶部510、データ入力部511、映像データ再生部512、画質調整部513、画像分割部514、映像出力部515、識別データ制御部516、操作部517、装置制御部518、及び情報表示部519を有する。映像データ記憶部510は、ハードディスク又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置からなり、映像コンテンツデータを保存する。データ入力部511は、映像コンテンツデータを映像データ記憶部510に書き込むためのインターフェースである。映像データ再生部512は、映像データ記憶部510からデータを読み出し、RGBやYUV等の映像信号にデコードすると共に、識別データ制御部516からの情報に従って、表示装置103~106に最適なHDR信号となるよう調整する。画質調整部513は、装置制御部518からの指示を受けて、画面全体の明るさ、色味、及びコントラスト等を調整する。画像分割部514は、装置制御部518から取得した表示装置の台数と配置・配列情報から、入力された画面を各表示装置に最適なサブ画面サイズに分割する。配置・配列情報は、本実施形態では表示装置103~106が
図4に示されるように縦横2台ずつ配置されていることを示す情報である。映像出力部515は、分割された映像信号を表示装置103~106に伝送するためのフォーマットに変換した上で出力する。また、映像出力部515は、各表示装置と通信を行い、識別データを含む機能・性能を示す情報を取得する。
【0033】
識別データ制御部516は、識別データ再構成部(生成部)516a、及び識別データ取得部516bを備える。識別データ取得部516bは、映像出力部515から表示装置103~106のそれぞれの画質に関する表示性能を示す複数の識別データを取得する。識別データ再構成部516aは、識別データ取得部516bにより取得された複数の識別データの比較を行い、マルチ映像表示システムとして最適な(表示装置103~106が対応可能な)1つの識別データ(以下、最適識別データ)を生成する。最適識別データは、映像データ再生部512に出力され、デコードされる際に、各表示装置の画質を示す表示性能を示す情報として使用される。なお、識別データ制御部516は、本実施形態では信号出力装置401内に設けられているが、信号出力装置401とは別の制御装置として構成されてもよい。
【0034】
装置制御部518は、ユーザーが操作する操作部517からの入力信号を用いて信号出力装置401内の各部を制御する。情報表示部519は、小型ディスプレイやLED等で構成され、現在の信号出力装置401の設定情報等をユーザーに通知する。
【0035】
図6は、本実施形態の信号出力装置401による設定処理を示すフローチャートである。本実施形態の設定処理は、マルチ映像表示システム内の全ての装置の電源が入ることで開始される。
【0036】
ステップS601では、装置制御部518は、ユーザーが操作する操作部517からの入力信号を用いて表示装置の台数と配置・配列情報を取得する。
【0037】
ステップS602では、識別データ取得部516bは、映像出力部515を介して表示装置103~106の識別データを取得する。
【0038】
ステップS603乃至ステップS609までの処理はそれぞれ、
図3のステップS304乃至ステップ310の処理と同様であり、信号分配装置102での処理を信号出力装置401での処理に置き換えればよい。
【0039】
ステップS610では、識別データ再構成部516aは、ステップS604乃至ステップS608、又はステップS609で選択されたデータを含む最適識別データを映像データ再生部512に出力する。
【0040】
以上説明したように本実施形態の構成によれば、マルチ映像表示システムとして対応可能な識別データを生成可能であり、高品位な映像を提供することができる。
[第3の実施形態]
図7は、本実施形態のマルチ映像表示システムを示す図である。本実施形態のマルチ映像表示システムは、信号出力装置701、及び表示装置702~705を有する。なお、本実施形態では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0041】
信号出力装置701は、映像コンテンツの保存や再生をしたり、映像信号を表示装置702~705に出力したりする。各表示装置に映像信号を伝送するケーブルは、カスケード接続されている。表示装置702~705は、本実施形態ではプロジェクタであり、無線でネットワーク接続されている。本実施形態のマルチ表示システムは、表示装置702~706からの4つの映像からなる1つの映像をスクリーン110に投影可能である。
図7に示されるように、表示装置702~705の解像度は同一であるが、輝度情報(Max/Min)、HDR(High Dynamic Range)対応フォーマット、表示可能な色域(色空間)、及びRGB信号のビット深度(色深度、ビット数)は同一ではない。なお、表示装置702~705は、ディスプレイであってもよい。
【0042】
図8は、本実施形態のマルチ映像表示システムのブロック図である。信号出力装置701は、映像データ記憶部810、データ入力部811、映像データ再生部812、画質調整部813、映像出力部814、識別データ取得部815、操作部816、装置制御部817、及び情報表示部818を有する。映像データ記憶部810、データ入力部811、画質調整部813、及び映像出力部814はそれぞれ、
図5の映像データ記憶部510、データ入力部511、画質調整部513、及び映像出力部515と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、識別データ取得部815、操作部816、装置制御部817、及び情報表示部818はそれぞれ、
図5の識別データ取得部516b、操作部517、装置制御部518、及び情報表示部519と同様であるため、詳細な説明は省略する。映像データ再生部812は、映像データ記憶部810からデータを読み出し、RGBやYUV等の映像信号にデコードすると共に、識別データ取得部815からの情報に従って映像信号を調整する。なお、本実施形態では映像を分割して複数の表示装置に伝送する必要がないため、信号出力装置701には接続端子が少なくとも1つ設けられていればよい。
【0043】
表示装置702は、映像入力部821、映像出力部822、識別データ制御部823、識別データ保持部824、画像分割部825、及びネットワーク通信部826を有する。また、表示装置702は、画像処理部231、パネル制御部232、パネル233、光源制御部235、光源236、操作部237、及び装置制御部238を有する。
【0044】
本実施形態では、表示装置703~705も表示装置702と同様の構成を有する。また、本実施形態では、信号出力装置701と接続される表示装置702をプライマリとして設定し、表示装置703~705をセカンダリとして設定する。上記設定はユーザーがマニュアルで表示装置ごとに設定してもよいし、プライマリだけをユーザーが設定し、セカンダリをプライマリがネットワーク通信により自動設定してもよい。
【0045】
映像入力部821は、外部装置からの映像信号を受信する。プライマリである表示装置702では、映像入力部821は、マルチ映像表示システムに最適な識別データを信号出力装置701に通知する。また、映像入力部821は、映像信号に含まれるHDR信号を、光源制御部235に通知する。映像出力部822は、映像入力部821から入力された映像信号をそのまま外部に出力する。ネットワーク通信部826は、外部装置との間でネットワーク通信を行うことができ、本実施形態では無線LANを使用する。また、ネットワーク通信部826は、ホスト機能やアクセスポイント機能を有する。プライマリである表示装置702では、ネットワーク通信部826は、無線LANのアクセスポイントとして機能し、表示装置703~705のネットワーク通信部826との間を無線LANで通信を確立する。なお、本実施形態では、ネットワーク通信部826は無線LANを使用するが、外部装置と通信可能に接続できれば、有線LANやシリアル通信をカスケードに接続する方式を使用してもよい。
【0046】
識別データ制御部823は、識別データ再構成部(生成部)825a、及び識別データ取得部823bを備える。プライマリである表示装置702では、識別データ取得部823bは、ネットワーク通信部826を介してセカンダリである表示装置703~705のそれぞれの画質に関する表示性能を示す複数の識別データを取得する。識別データ再構成部823は、識別データ保持部824に保存されている自機の識別データ、及び識別データ取得部823bにより取得された他機の複数の識別データの比較を行う。そして、識別データ再構成部823aは、マルチ映像表示システムとして最適な(表示装置702~705が対応可能な)1つの識別データ(以下、最適識別データ)を生成する。画像分割部825は、映像入力部821からの映像信号を各表示装置が分割表示するサブ画面サイズに切り出した上で、パネル233の表示解像度に適宜スケーリング処理を行う。
【0047】
図9は、本実施形態のプライマリである表示装置702による設定処理を示すフローチャートである。本実施形態の設定処理は、マルチ映像表示システム内の全ての装置の電源が入り、表示装置のプライマリ及びセカンダリが設定されることで開始される。
【0048】
ステップS901では、装置制御部238は、ユーザーが操作する操作部237からの入力信号を用いて表示装置の台数と配置・配列情報を取得する。配置・配列情報は、本実施形態では
図7に示されるように表示装置702~705が縦横2台ずつ配置されているということを示す情報である。
【0049】
ステップS902からステップS910までの処理はそれぞれ、
図3のステップS303乃至ステップS311の処理と同様であり、信号分配装置102での処理を表示装置702での処理に置き換えればよい。
【0050】
ステップS911では、映像入力部821は、識別データ保持部824が保持する最適識別データを信号出力装置701の映像出力部814に出力する。
【0051】
なお、本実施形態では、信号出力装置701と接続される表示装置702をプライマリとして設定しているが、本発明はこれに限定されない。ステップS911において、全ての表示装置の識別データ保持部824にネットワーク経由でプライマリとして設定されている表示装置から最適識別データを書き込むようにすれば、表示装置702以外の表示装置をプライマリとして設定してもよい。
【0052】
以上説明したように本実施形態の構成によれば、マルチ映像表示システムとして対応可能な識別データを生成可能であり、高品位な映像を提供することができる。
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
225,516,823 識別データ制御部(制御装置)
225a,516a,823a 識別データ再構成部(生成部)
225b,516b,823b 識別データ取得部(取得部)