(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188840
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】集音補助具および集音補助具セット
(51)【国際特許分類】
A61F 11/30 20220101AFI20221215BHJP
【FI】
A61F11/00 325
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097075
(22)【出願日】2021-06-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】399028078
【氏名又は名称】ハイソル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 和幸
(72)【発明者】
【氏名】村井 祐子
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡易な構成で、前方からの音を捉えやすくする集音補助具および集音補助具セットを提供する。
【解決手段】耳介3の付け根4の上面及び後部に沿うように、前後方向に湾曲し、付け根に掛止する掛止部1と、回転軸が貫通している貫通孔が形成され、貫通孔が掛止部1に挿入された回転体2とを備え、掛止部1および回転体2は、弾性素材で形成されており、回転体2は、耳介3と側頭部との角度を拡げる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳介の付け根の上面及び後部に沿うように湾曲し、該付け根に掛止される掛止部と、
回転軸に貫通孔が形成され、該貫通孔に前記掛止部が挿入された回転体とを備え、
前記掛止部および前記回転体は、弾性素材で形成されており、
前記回転体は、前記耳介と側頭部との角度を拡げる
ことを特徴とする集音補助具。
【請求項2】
耳介の付け根の上面及び後部に沿うように湾曲し、該付け根に掛止する掛止部と、
回転軸に貫通孔が形成された回転体とを備え、
前記貫通孔に前記掛止部を挿入可能であり、
前記掛止部および前記回転体は、弾性素材で形成されており、
前記回転体の最大半径は、前記耳介と側頭部とに当接可能な大きさに設定されている
ことを特徴とする集音補助具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集音補助具および集音補助具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
耳は、耳介の形状に基づく集音性能を有している。つまり、耳は、主として前方からの音を聞くものであるが、側方や後方からの音も拾っている。必要に応じて、前方からの音を強くし、側方や後方からの音を弱くすることが好ましいことがある。
【0003】
特許文献1には、耳介の付け根に掛止する逆J字状の掛止部と、耳介を裏側からの押圧により折り曲げる可塑性押圧部とを備えた集音補助具が開示されている。この可塑性押圧部は、可塑性材料(例えば、可塑性樹脂、針金)で形成されており、耳介を屈曲自在に折り曲げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3221753号公報(
図4,段落0024、0030)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の可塑性押圧部は、実際に音を聞きながら、最適な聴取角度になるように耳介の形状を微修正するものである。しかしながら、多くの場合、前方からの音を捉えやすくするために、耳を立てるだけで足り、形状の微修正までは必要無い。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、前方からの音を捉えやすくすることのできる集音補助具および集音補助具セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、第1発明の集音補助具は、耳介(3)の付け根(4)の上面に沿うように湾曲し、該付け根に掛止される掛止部(1)と、回転軸(O)に貫通孔(2a)が形成され、該貫通孔が前記掛止部に挿入された回転体(2)とを備え、前記掛止部および前記回転体は、弾性素材で形成されており、前記回転体は、前記耳介と側頭部との角度を拡げることを特徴とする。
【0008】
第2発明の集音補助具セットは、耳介(3)の付け根(4)の上面及び後部に沿うように湾曲し、該付け根に掛止する掛止部(1)と、回転軸に貫通孔(2a)が形成された回転体(2)とを備え、前記貫通孔に前記掛止部を挿入可能であり、前記掛止部および前記回転体は、弾性素材で形成されており、前記回転体の最大半径は、前記耳介と側頭部とに当接可能な大きさに設定されていることを特徴とする。なお、括弧内の符号や文字は、実施形態において付した符号等であって、本発明を限定するものではない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な構成で、前方からの音を捉えやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態である集音補助具の正面図及び側面図である。
【
図2】本発明の実施形態である集音補助具で使用される掛止部の正面図及び側面図である。
【
図3】本発明の実施形態である集音補助具で使用される回転体の正面図及び平面図である。
【
図4】集音補助具を耳に装着した状態を示す図である。
【
図5】(a)は、集音補助具10を耳に装着する前の顔を正面からみた図であり、(b)は、集音補助具10を耳に装着した後の顔を正面からみた図である。
【
図6】(a)は、集音補助具10を耳に装着する前に、上方から頭頂部を見た様子を示す図であり、(b)は、集音補助具10を耳に装着した後に、上方から頭頂部を見た様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本実施形態を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0012】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態である集音補助具の正面図及び側面図である。また、
図2は、集音補助具で使用される掛止部の正面図及び側面図であり、
図3は、集音補助具で使用される回転体の正面図及び平面図である。
【0013】
集音補助具10は、掛止部1と回転体2とから構成される。集音補助具10は、掛止部1が回転体2に挿入されたものである。集音補助具セットは、掛止部1が回転体2に挿入されていない状態のものである。掛止部1は、例えば、弾性を有したシリコーンで形成されており、回転体2は、例えば、弾性を有したエラストマで形成されている。なお、回転体2の方が掛止部1よりも軟性である。
【0014】
掛止部1は、側頭部5(
図6)と耳介3(
図4)との間の付け根4(
図4)に掛けることによって、使用者に装着されるものである。そのため、掛止部1は、正面視で、全体として、C字状に形成されており、付け根4の上面及び後部に沿って湾曲している。また、掛止部1の断面は、円形に形成されている。掛止部1の外径φ1は、側頭部5と耳介3との間に掛止部1を挿入可能な大きさが適切である。言い換えれば、掛止部1の外径φ1は、付け根4の後面と水平面とが交わってできる円弧の半径と略等しい。なお、掛止部1の断面は、円形に限らず、楕円形状等でも構わない。
【0015】
掛止部1は、耳介3の付け根4に掛けた状態で、付け根4の上側前部に沿う上側前部1aと、付け根4の上部に沿う上部1bと、付け根4の後側に沿う後部1cと、付け根4の下側前部に沿う下側前部1dとが連続形成されている。
【0016】
回転体2は、回転軸O(
図3(a))に貫通孔2aが形成されている回転楕円体や略円筒形状を呈する。その内径(貫通孔2aの径)は、掛止部1の後部1c(
図2)の外径と等しいか僅かに小さい。そのため、回転体2は、掛止部1の後部1cまで回転させられながら挿入された状態で、掛止部1に、摩擦力で固定される。回転体2の挿入位置をずらすことができるので、耳の形状に拘わらず、万人に適合させることができる。なお、回転体2は、回転軸Oを中心に平面曲線を回転させて得られた立体形状をしているので、掛止部1に挿入したとき、挿入角まで耳の形状に適合させる必要が無い。
【0017】
また、回転体2の最大半径Rは、耳に装着されていない状態では、付け根4の後面と水平面とが交わってできる円弧の半径よりも大きい。言い変えれば、回転体2の最大半径Rは、耳に装着されていない状態では、介3と側頭部5とに当接可能な大きさに設定されている。また、回転体2の表面に、線状の窪み(凹部)を形成することで、通気性や汗蒸れ防止を行うことができる。なお、線状の窪み(凹部)を回転軸に平行に形成したときには、最外周が形成する面が回転体形状になっていれば構わない。
【0018】
図4は、集音補助具10を耳に装着した状態を示す図である。ここで、上下、左右、前後は、矢印の方向に従う。
集音補助具10は、掛止部1が耳介3の付け根4に掛けられ、回転体2が掛止部1に挿入されている。そのため、付け根4の後側には、掛止部1の外径φ1よりも太い回転体2が配設される。掛止部1が付け根4の上面及び後部に沿うように形成されているので、回転体2は、耳介3を左右方向外側に拡げる(
図6(b)参照)。
【0019】
図5(a)は、集音補助具10を耳に装着する前の顔を正面からみた図であり、
図5(b)は、集音補助具10を耳に装着した後の顔を正面からみた図である。
図5(b)のように、集音補助具10を耳に装着すると、顔の正面を見たとき、上側前部1aが露出すると共に、耳介3a(
図5(a))が耳介3bのように立ち、耳が大きくなったように見える。
【0020】
図6(a)は、集音補助具10を耳に装着する前に、上方から頭頂部5を見た様子を示す図であり、
図6(b)は、集音補助具10を耳に装着した後に、上方から頭頂部5を見た様子を示す図である。
集音補助具10を耳に装着していない状態において(
図6(a))、側頭部5と耳介3との角度θがθ=θ1であったとする。この状態で、集音補助具10を耳に装着すると(
図6(b))、回転体2が耳介3bを外側に拡げ、側頭部5と耳介3との角度θがθ=θ2>θ1となる。なお、側頭部5は、前後方向と平行であるとする。
【0021】
以上説明したように、本実施形態の集音補助具10の掛止部1は、側頭部5(
図6)と耳介3(
図4)との間の付け根4(
図4)に掛けることによって、付け根4の上面及び後部に沿うように固定される。貫通孔2aを有し、掛止部1を貫通孔2aに挿入する回転体2は、掛止部1の外径φ1よりも太いので、付け根4の後側で、耳介3を左右方向外側に拡げる。耳介3が左右方向外側に拡がるので、耳は、前方から到来する音を捉えやすくなり、後方から到来する音を遮音する。また、掛止部1と回転体2とは分離しており、回転体2を掛止部1に回転させながら挿入することが出来る。そのため、掛止部1に対する回転体2の挿入位置をずらすことができるので、耳の形状に拘わらず、万人に適合させることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 掛止部
1b 上部
1c 後部
2 回転体
2a 貫通孔
3,3a,3b 耳介
4 付け根
10 集音補助具
【手続補正書】
【提出日】2021-10-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳介の付け根の上面及び後部に沿うように湾曲し、該付け根に掛止される掛止部と、
回転軸に貫通孔が形成され、該貫通孔に前記掛止部が挿入された回転体とを備え、
前記掛止部および前記回転体は、弾性素材で形成されており、
前記回転体は、前記耳介と側頭部との角度を拡げる
ことを特徴とする集音補助具。
【請求項2】
耳介の付け根の上面及び後部に沿うように湾曲し、該付け根に掛止する掛止部と、
回転軸に貫通孔が形成された回転体とを備え、
前記貫通孔に前記掛止部を挿入可能であり、
前記掛止部および前記回転体は、弾性素材で形成されており、
前記掛止部が挿入された回転体は、前記付け根に装着された状態で、前記耳介と側頭部との角度を拡げる
ことを特徴とする集音補助具セット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
第2発明の集音補助具セットは、耳介(3)の付け根(4)の上面及び後部に沿うように湾曲し、該付け根に掛止する掛止部(1)と、回転軸に貫通孔(2a)が形成された回転体(2)とを備え、前記貫通孔に前記掛止部を挿入可能であり、前記掛止部および前記回転体は、弾性素材で形成されており、前記掛止部が挿入された回転体は、前記付け根に装着された状態で、前記耳介と側頭部との角度を拡げることを特徴とする。なお、括弧内の符号や文字は、実施形態において付した符号等であって、本発明を限定するものではない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
また、回転体2の最大半径Rは、耳に装着されていない状態では、付け根4の後面と水平面とが交わってできる円弧の半径よりも大きい。言い換えれば、回転体2の最大半径Rは、耳に装着されていない状態では、耳介3と側頭部5とに当接可能な大きさに設定されている。また、回転体2の表面に、線状の窪み(凹部)を形成することで、通気性や汗蒸れ防止を行うことができる。なお、線状の窪み(凹部)を回転軸に平行に形成したときには、最外周が形成する面が回転体形状になっていれば構わない。