(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188844
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】プロテクタ、及び、ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/30 20060101AFI20221215BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20221215BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20221215BHJP
F16L 3/12 20060101ALI20221215BHJP
F16L 3/24 20060101ALI20221215BHJP
F16B 7/20 20060101ALI20221215BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H02G3/30
H02G3/04 037
H02G3/04 006
H01B7/00 301
F16L3/12 G
F16L3/24 A
F16B7/20 A
B60R16/02 623V
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097079
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 聖
(72)【発明者】
【氏名】加藤 友和
(72)【発明者】
【氏名】塩野目 義朗
(72)【発明者】
【氏名】田所 真一
【テーマコード(参考)】
3H023
3J039
5G309
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AB01
3H023AC07
3H023AD02
3H023AD54
3J039AA03
3J039BB01
3J039JA03
3J039JA04
3J039JA11
5G309AA09
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD02
5G357DD05
5G357DD10
5G357DG04
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DA15
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】汎用性を向上することができるプロテクタ、及び、ワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【解決手段】ワイヤハーネスWHは、配索材Wと、内部に配索材Wが挿通される外装部材Tと、車両に固定され外装部材Tを保持するプロテクタ1とを備え、プロテクタ1は、外装部材Tを保持する保持部材10と、車両に固定される固定部材20と、筒状に形成され、保持部材10及び固定部材20が設けられる筒状部材30とを備え、保持部材10、又は、固定部材20の少なくとも一方は、柱状に形成され筒状部材30の内部にスライド嵌合可能である柱状構造体12、22を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に配索材が挿通された外装部材を保持する保持部材と、
車両に固定される固定部材と、
筒状に形成され、前記保持部材及び前記固定部材が設けられる筒状部材とを備え、
前記保持部材、又は、前記固定部材の少なくとも一方は、柱状に形成され前記筒状部材の内部にスライド嵌合可能である柱状構造体を含む、
プロテクタ。
【請求項2】
前記筒状部材の内周面又は前記柱状構造体の外周面の一方に周方向に沿って形成された凹状部、及び、前記筒状部材の内周面又は前記柱状構造体の外周面の他方に前記周方向に沿って形成された凸状部を含んで構成され、前記筒状部材の内部に前記柱状構造体がスライド嵌合した状態で前記凹状部と前記凸状部とが嵌合するロック機構を備える、
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記筒状部材は、当該筒状部材に対する前記柱状構造体のスライド方向に沿って延在する切り欠き部を有する、
請求項1又は請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記保持部材、又は、前記固定部材の他方は、前記筒状部材と一体で形成される、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプロテクタ。
【請求項5】
配索材と、
内部に前記配索材が挿通される外装部材と、
車両に固定され前記外装部材を保持するプロテクタとを備え、
前記プロテクタは、
前記外装部材を保持する保持部材と、
前記車両に固定される固定部材と、
筒状に形成され、前記保持部材及び前記固定部材が設けられる筒状部材とを備え、
前記保持部材、又は、前記固定部材の少なくとも一方は、柱状に形成され前記筒状部材の内部にスライド嵌合可能である柱状構造体を含む、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテクタ、及び、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ワイヤハーネス本体と、複数のハーネス保持部材とを備えるワイヤハーネスが開示されている。複数のハーネス保持部材は、ワイヤハーネス本体の一部を直線状に保持する直線状保持部と、直線状保持部を車両に固定する固定部とを含み、ワイヤハーネス本体のうち曲げ経路部分に応じた箇所で間隔をあけて取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載のワイヤハーネスは、例えば、様々な車種や仕様に対応すべく汎用性向上の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、汎用性を向上することができるプロテクタ、及び、ワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るプロテクタは、内部に配索材が挿通された外装部材を保持する保持部材と、車両に固定される固定部材と、筒状に形成され、前記保持部材及び前記固定部材が設けられる筒状部材とを備え、前記保持部材、又は、前記固定部材の少なくとも一方は、柱状に形成され前記筒状部材の内部にスライド嵌合可能である柱状構造体を含む。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、配索材と、内部に前記配索材が挿通される外装部材と、車両に固定され前記外装部材を保持するプロテクタとを備え、前記プロテクタは、前記外装部材を保持する保持部材と、前記車両に固定される固定部材と、筒状に形成され、前記保持部材及び前記固定部材が設けられる筒状部材とを備え、前記保持部材、又は、前記固定部材の少なくとも一方は、柱状に形成され前記筒状部材の内部にスライド嵌合可能である柱状構造体を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るプロテクタ、及び、ワイヤハーネスは、汎用性を向上することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るワイヤハーネスの概略構成を表す模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るプロテクタの概略構成を表す模式的な分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るプロテクタの概略構成を表す模式的な部分分解斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るプロテクタが備える固定部材を表す模式的な斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るプロテクタが備える筒状部材を表す模式的な部分斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るプロテクタが備える筒状部材と柱状構造体との嵌合部分を表す模式的な部分斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る柱状構造体が備えるロック機構を含む模式的な部分断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るワイヤハーネスのバリエーションを表す模式的な斜視図である。
【
図9】
図9は、変形例に係るワイヤハーネスの概略構成を表す模式的な部分斜視図である。
【
図10】
図10は、変形例に係るワイヤハーネスの概略構成を表す模式的な部分斜視図である。
【
図11】
図11は、変形例に係るワイヤハーネスの概略構成を表す模式的な部分斜視図である。
【
図12】
図12は、変形例に係るワイヤハーネスの概略構成を表す模式的な部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
なお、以下で説明する
図1、
図8、
図9、
図10は、配索材の一部を二点鎖線で省略して図示し、他図では配索材の図示自体を省略している。同様に、
図1、
図8、
図9、
図10は、外装部材の一部を実線で省略して図示し、他図では外装部材の図示自体を省略している。
【0012】
[実施形態]
図1に示すプロテクタ1は、車両等に搭載されるワイヤハーネスWHに組み込まれ、導電性を有する配索材Wに組み付けられるものである。ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の配索材Wを各装置に接続するようにしたものである。本実施形態のワイヤハーネスWHは、配索材Wと、外装部材Tと、プロテクタ1とを備える。配索材Wは、例えば、導電性を有する複数の金属素線を束ねた芯線を、絶縁被覆部によって被覆した絶縁電線である。配索材Wは、複数の絶縁電線を束ねたものであってもよい。また、配索材Wは、導電性を有する金属棒を、絶縁被覆部によって被覆した絶縁金属棒であってもよい。外装部材Tは、内部に配索材Wが挿通、配索され当該配索材Wに外装され、内部に配索された当該配索材Wを保護するものである。外装部材Tは、絶縁性の樹脂材料等によって可撓性を有する略円筒チューブ状に形成される。ここでは、外装部材Tは、延在方向(中心軸線に沿った方向)に沿って凹凸形状が繰り返して連続して形成された蛇腹形状をなしており、コルゲートチューブなどとも呼ばれることもある。プロテクタ1は、車両に固定されると共に外装部材Tを保持することで配索材Wの配索経路を規制するものである。ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、グロメット、電気接続箱、固定具、コネクタ等の種々の構成部品を含んで構成されてもよい。
【0013】
このような構成にあって、本実施形態に係るプロテクタ1は、保持部材10と、固定部材20と、筒状部材30とを備え、保持部材10、固定部材20が筒状部材30に嵌合する柱状構造体12、22を含んで構成される。この構成により、本実施形態に係るプロテクタ1は、保持部材10と固定部材20とが筒状部材30介して連結、一体化されることで、汎用性の向上を実現している。以下、
図1~
図8を参照してプロテクタ1の構成について詳細に説明する。
【0014】
保持部材10は、
図1、
図2、
図3に示すように、内部に配索材Wが挿通された外装部材Tを保持する部材である。保持部材10は、本体部11と、柱状構造体12と、連結部13とを含んで構成され、これらが絶縁性の樹脂材料等によって一体で形成される。
【0015】
本体部11は、保持部材10において外装部材Tを保持するための主たる部分である。本体部11は、略U字型樋形状あるいは略C字型樋形状に形成されており、内面側に外装部材Tを保持する。ここでは、本体部11は、内面側に噛み込み構造11aや抜け防止構造11bを有している。噛み込み構造11aは、本体部11の内面に沿って略円弧状に形成された突起によって構成される。噛み込み構造11aは、当該突起が本体部11に保持された外装部材Tの外面の蛇腹形状(凹凸形状)に噛み込むことで当該外装部材Tが本体部11からずれることを防止する。一方、抜け防止構造11bは、本体部11の内面に形成された突状部によって構成される。抜け防止構造11bは、当該突状部が本体部11に保持された外装部材Tの外面を押さえることで、当該外装部材Tが本体部11から抜けることを防止する。
【0016】
柱状構造体12は、柱状に形成され筒状部材30の内部にスライド嵌合可能な部分である。ここでは、柱状構造体12は、中心軸線が配索材Wの配索方向Xに沿う略円柱状に形成されている。柱状構造体12は、樋形状に形成された本体部11において、底面と側面とが交わる角部分に設けられ、当該本体部11の全長(配索方向Xに沿った長さ)に渡って延在している。
【0017】
連結部13は、本体部11と柱状構造体12との間に介在し、本体部11と柱状構造体12とを連結する部分である。連結部13は、上述したように柱状構造体12の中心軸線が配索方向Xに沿う位置関係で、本体部11の角部分と当該柱状構造体12とを連結する。
【0018】
なお、保持部材10は、例えば、
図8にバリエーションとして例示したワイヤハーネスWHAのプロテクタ1Aのように、本体部11によって保持する外装部材Tの外径や数に応じて複数のバリエーションが用意されている。保持部材10は、バリエーションの1つとして、例えば、本体部11が固定部材20と一体で形成されたものが含まれていてもよい。保持部材10は、車種や要求される仕様等に応じて当該バリエーションから実際に使用するものが適宜選択され使用される。また、保持部材10は、1つに限らず、
図8に例示するように複数(
図8の例では3つ)設けられてもよく、車種や要求される仕様等に応じて適用される数が適宜決定される。
【0019】
固定部材20は、
図1、
図2、
図4に示すように、車両に固定される部材である。固定部材20は、本体部21と、柱状構造体22と、連結部23とを含んで構成され、これらが絶縁性の樹脂材料等によって一体で形成される。
【0020】
本体部21は、固定部材20において車両に固定される主たる部分である。本体部21は、略矩形箱状に形成されており、内側に車両の車両フレーム側に設けられたブラケットBが挿入、嵌合されることで当該ブラケットBに固定される。本体部11は、種々の公知の固定構造によって構成され、例えば、アーム部21aに設けられた係止爪部21b(
図1参照)に、ブラケットBに形成された係止孔部Baが係止されることで当該ブラケットBに固定される。
【0021】
柱状構造体22は、上述した柱状構造体12と同様に、柱状に形成され筒状部材30の内部にスライド嵌合可能な部分である。ここでは、柱状構造体22は、上述した柱状構造体12とほぼ同様の形成に形成される。すなわち、柱状構造体22は、中心軸線が配索材Wの配索方向Xに沿う略円柱状に形成されている。柱状構造体22は、略矩形箱状に形成された本体部21において、底部分に設けられ、当該本体部21の全長(配索方向Xに沿った長さ)に渡って延在している。
【0022】
連結部23は、本体部21と柱状構造体22との間に介在し、本体部21と柱状構造体22とを連結する部分である。連結部23は、上述したように柱状構造体22の中心軸線が配索方向Xに沿う位置関係で、本体部21の底部分と当該柱状構造体22とを連結する。
【0023】
なお、この固定部材20も保持部材10と同様に、1つに限らず、複数設けられてもよく、車種や要求される仕様等に応じて適用される数が適宜決定される。
【0024】
筒状部材30は、
図1、
図2、
図3、
図5、
図6に示すように、筒状に形成され、保持部材10及び固定部材20が設けられる部材である。ここでは、筒状部材30は、絶縁性の樹脂材料等によって可撓性を有する略円筒チューブ状に形成される。筒状部材30は、略円筒チューブ状の内部が中空状に形成される。筒状部材30は、配索材Wの配索方向Xに沿って延在する。筒状部材30は、各端部から内部に配索方向Xに沿って柱状構造体12、22がスライド嵌合可能である。筒状部材30は、内部にスライド嵌合された柱状構造体12、22を介して保持部材10、固定部材20が組み付けられることで、当該保持部材10と当該固定部材20とを連結しプロテクタ1として一体化する。ここでは、筒状部材30は、各端部に切り欠き部31を有している。切り欠き部31は、各端部から、筒状部材30に対する柱状構造体12、22のスライド方向(ここでは配索方向X)に沿って略直線状に延在する。切り欠き部31は、柱状構造体12、22を筒状部材30の内部にスライド嵌合させる際に、保持部材10、固定部材20全体のスライドを許容するための部分として機能する。
【0025】
なお、筒状部材30は、例えば、
図8にバリエーションとして例示したワイヤハーネスWHAのプロテクタ1Aのように、配索材Wの配索経路等に応じて複数のバリエーションが用意されている。
図1では、筒状部材30は、バリエーションの1つとして、I字型形状(直線形状)に形成されたものを例示している。一方、
図8では、筒状部材30は、他のバリエーションの1つとして、例えば、T字型形状に形成されたものを例示している。この他、筒状部材30は、例えば、十字型形状(クロス形状)に形成されたものが含まれていてもよい。筒状部材30は、車種や要求される仕様等に応じて当該バリエーションから実際に使用するものが適宜選択され使用される。
【0026】
ここで、本実施形態に係るプロテクタ1は、
図7に示すように、上記に加えてさらに、ロック機構40も備えている。ロック機構40は、筒状部材30の内部に柱状構造体12、22がスライド嵌合した状態で筒状部材30に対して当該柱状構造体12、22を固定するための機構である。具体的には、ロック機構40は、凹状部41、及び凸状部42を含んで構成される。凹状部41は、筒状部材30の内周面又は柱状構造体12、22の外周面の一方に周方向に沿って凹状に形成される。凸状部42は、筒状部材30の内周面又は柱状構造体12、22の外周面の他方に周方向に沿って凸状に形成される。ここでは、凹状部41は、筒状部材30の内周面に形成され、凸状部42は、柱状構造体12、22の外周面に形成されている(
図2、
図3、
図4、
図5も参照)。言い換えれば、筒状部材30の内周面に形成された凹状部41と、柱状構造体12、22の外周面に形成された凸状部42とは、ロック機構40を構成する。ロック機構40は、筒状部材30の内部に柱状構造体12、22がスライド嵌合した状態で当該凹状部41と当該凸状部42とが嵌合する。この構成により、ロック機構40は、筒状部材30に対して柱状構造体12、22を固定し、保持部材10、固定部材20を筒状部材30に対して確実に位置決めする。
【0027】
上記のように構成されるプロテクタ1は、
図2、
図3、
図6に示すように、保持部材10の柱状構造体12が筒状部材30の一方の端部から筒状部材30の内部に配索方向Xに沿ってスライド嵌合することで、保持部材10が筒状部材30に組み付けられる。このとき、プロテクタ1は、保持部材10の本体部11と柱状構造体12との間に介在する連結部13が筒状部材30に形成された切り欠き部31内を移動する。これにより、プロテクタ1は、保持部材10の柱状構造体12を筒状部材30の内部にスライド嵌合する際に、当該保持部材10を筒状部材30に干渉させることなく、所定の位置までスライドさせることができる。そして、プロテクタ1は、
図7に示すように、ロック機構40を構成する凹状部41と凸状部42とが嵌合することで筒状部材30に対して柱状構造体12を固定し、保持部材10を筒状部材30に対して確実に位置決めすることができる。
【0028】
同様に、プロテクタ1は、
図2等に示すように、固定部材20の柱状構造体22が筒状部材30の他方の端部から筒状部材30の内部に配索方向Xに沿ってスライド嵌合することで、固定部材20が筒状部材30に組み付けられる。このとき、プロテクタ1は、固定部材20の本体部21と柱状構造体22との間に介在する連結部23が筒状部材30に形成された切り欠き部31内を移動する。これにより、プロテクタ1は、固定部材20の柱状構造体22を筒状部材30の内部にスライド嵌合する際に、当該固定部材20を筒状部材30に干渉させることなく、所定の位置までスライドさせることができる。そして、プロテクタ1は、
図7に示すように、ロック機構40を構成する凹状部41と凸状部42とが嵌合することで筒状部材30に対して柱状構造体22を固定し、固定部材20を筒状部材30に対して確実に位置決めすることができる。
【0029】
そして、ワイヤハーネスWHは、内部に配索材Wが挿通された外装部材Tをプロテクタ1の保持部材10に保持した上で、車両の車両フレーム側に設けられたブラケットBに固定部材20が固定される。これにより、ワイヤハーネスWHは、プロテクタ1によって配索材Wの配索経路を規制しつつ、当該配索材Wを車両内の配索経路に沿って配索し固定することができる。なお、
図8で例示したプロテクタ1A、ワイヤハーネスWHAについても上記で説明したプロテクタ1、ワイヤハーネスWHと同様に各部が組み付けられる。
【0030】
以上で説明したプロテクタ1、1Aは、筒状部材30の内部にスライド嵌合された柱状構造体12、22を介して保持部材10、固定部材20が筒状部材30に組み付けられる。これにより、プロテクタ1、1Aは、保持部材10と固定部材20とが筒状部材30介して連結され、一体化される。そして、ワイヤハーネスWH、WHAは、内部に配索材Wが挿通された外装部材Tを保持部材10に保持した上で、車両の車両フレーム側に設けられたブラケットBに固定部材20が固定される。この結果、ワイヤハーネスWH、WHAは、プロテクタ1、1Aによって配索材Wの配索経路を規制しつつ、当該配索材Wを車両内の配索経路に沿って配索し固定することができる。この場合に、プロテクタ1、1Aは、車種や要求される仕様、配索経路等に応じて、適宜、保持部材10、固定部材20、筒状部材30を選択して組み合わせて構成することができるので、要求に応じた所望の形状にし易い構成とすることができる。
【0031】
この結果、プロテクタ1、1A、ワイヤハーネスWH、WHAは、汎用性を向上することができる。これにより、プロテクタ1、1A、ワイヤハーネスWH、WHAは、例えば、部品の車両共用化、コスト抑制(設計費用抑制、成型費用抑制)等を実現することができると共に、使用する材料自体を低減し軽量化等を図ることもできる。
【0032】
また、以上で説明したプロテクタ1、1A、ワイヤハーネスWH、WHAは、凹状部41、及び、凸状部42を含んで構成されたロック機構40を備える。この構成により、ロック機構40は、筒状部材30の内部に柱状構造体12、22がスライド嵌合した状態で当該凹状部41と当該凸状部42とが嵌合することで、筒状部材30に対して柱状構造体12、22を固定することができる。この結果、プロテクタ1、1A、ワイヤハーネスWH、WHAは、保持部材10、固定部材20を筒状部材30に対して確実に位置決めすることができる。
【0033】
また、以上で説明したプロテクタ1、1A、ワイヤハーネスWH、WHAは、筒状部材30が切り欠き部31を有する。この構成により、プロテクタ1、1A、ワイヤハーネスWH、WHAは、柱状構造体12、22を筒状部材30の内部にスライド嵌合する際に、保持部材10、固定部材20を筒状部材30に干渉させることなく、保持部材10、固定部材20のスライドを許容することができる。この結果、プロテクタ1、1A、ワイヤハーネスWH、WHAは、筒状部材30において、所望の位置に保持部材10、固定部材20を設けることができる。
【0034】
なお、上述した本発明の実施形態に係るプロテクタ、及び、ワイヤハーネスは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0035】
以上の説明では、プロテクタ1、1Aは、凹状部41、及び、凸状部42を含んで構成されたロック機構40を備えるものとして説明したがこれに限らない。例えば、プロテクタ1、1Aは、ロック機構40を備えず、柱状構造体12、22が筒状部材30の内部に圧入されることで、筒状部材30に対して柱状構造体12、22を固定する構造であってもよい。また、以上の説明では、凹状部41は、筒状部材30の内周面に形成され、凸状部42は、柱状構造体12、21の外周面に形成されているものとして説明したがこれに限らず、この逆であってもよい。
【0036】
以上の説明では、筒状部材30は、略円筒チューブ状に形成されるものとして説明したがこれに限らず、筒状に形成されていればよく、例えば、略矩形筒状等に形成されてもよい。この場合、柱状構造体12、22もこれに合わせて略矩形柱状に形成されればよい。
【0037】
以上の説明では、柱状構造体12は、樋形状に形成された本体部11において、底面と側面とが交わる角部分に設けられ、当該本体部11の全長に渡って延在しているものとして説明したがこれに限らず、別の位置に設けられていてもよい。柱状構造体22についても同様である。
【0038】
以上の説明では、外装部材Tは、凹凸形状が繰り返して連続して形成された蛇腹形状をなすコルゲートチューブであるものとして説明したがこれに限らない。例えば、
図9に例示した変形例に係るワイヤハーネスWHBが備える外装部材TBは、凹凸形状を有さない略円筒形状に形成されている。また、
図10に例示した変形例に係るワイヤハーネスWHCが備える外装部材TCは、一部に溝TCaが形成された略円筒形状に形成されている。これらの場合であっても、保持部材10は、抜け防止構造11b等によって外装部材TB、TCの外面を押さえることで、当該外装部材TB、TCが本体部11から抜けることを防止することができる。そして、これらの場合であっても、ワイヤハーネスWHB、WHCは、上記のように汎用性を向上することができる。
【0039】
以上の説明では、プロテクタ1、1Aは、保持部材10、及び、固定部材20の双方がそれぞれ柱状構造体12、22を含んで構成されるものとして説明したがこれに限らない。プロテクタ1、1Aは、保持部材10、又は、固定部材20の少なくとも一方が柱状構造体12、22を含んで構成されればよい。この場合、プロテクタ1、1Aは、保持部材10、又は、固定部材20の他方が筒状部材30と一体で形成されてもよい。
【0040】
図11、
図12に例示した変形例に係るワイヤハーネスWHDが備えるプロテクタ1Dは、保持部材10が上記と同様に柱状構造体12を含んで構成される一方、固定部材20Dが筒状部材30Dと一体で形成される。その上で、保持部材10は、上記と同様に、柱状構造体12が筒状部材30の端部から筒状部材30の内部にスライド嵌合することで、筒状部材30に組み付けられる。この場合、プロテクタ1D、ワイヤハーネスWHDは、固定部材20Dと筒状部材30Dとを一体化する一方、これとは別体で形成された保持部材10を適宜選択して組み合わせて構成することで、上記と同様に汎用性を向上することができる。
【0041】
本実施形態に係るプロテクタ、及び、ワイヤハーネスは、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1、1A、1D プロテクタ
10 保持部材
11、21 本体部
12、22 柱状構造体
13、23 連結部
20、20D 固定部材
30、30D 筒状部材
31 切り欠き部
40 ロック機構
41 凹状部
42 凸状部
T、TB、TC 外装部材
W 配索材
WH、WHA、WHB、WHC、WHD ワイヤハーネス
X 配索方向