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特開2022-188850リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188850
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20221215BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20221215BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H01F37/00 M
H01F37/00 F
H01F37/00 A
H01F27/28 152
H02M3/155 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097095
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116366
【弁理士】
【氏名又は名称】二島 英明
(72)【発明者】
【氏名】小林 健人
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 和宏
【テーマコード(参考)】
5E043
5H730
【Fターム(参考)】
5E043AB04
5E043EA01
5H730AS04
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB14
5H730DD04
5H730ZZ17
(57)【要約】
【課題】コイルの端末部の位置を規制できるリアクトルを提供する。
【解決手段】平角線で構成されたエッジワイズ型のコイルと、前記コイルが配置された磁性コアと、前記コイルの少なくとも一方の端部に配置された保持部材とを備え、前記コイルは、複数のターンで構成された本体部と、前記本体部の一方の端部から前記本体部の端面に沿う方向に引き出された第一端末部とを有し、前記保持部材は、前記本体部の端面と向かい合う第一面と、前記第一端末部を保持する固定部とを有し、前記固定部は、前記第一端末部に貫通されるスリットを有する、リアクトル。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平角線で構成されたエッジワイズ型のコイルと、
前記コイルが配置された磁性コアと、
前記コイルの少なくとも一方の端部に配置された保持部材とを備え、
前記コイルは、
複数のターンで構成された本体部と、
前記本体部の一方の端部から前記本体部の端面に沿う方向に引き出された第一端末部とを有し、
前記保持部材は、
前記本体部の端面と向かい合う第一面と、
前記第一端末部を保持する固定部とを有し、
前記固定部は、前記第一端末部に貫通されるスリットを有する、
リアクトル。
【請求項2】
前記複数のターンの各々は、
前記平角線における前記ターンの内周側を構成する内周部と、
前記平角線における前記ターンの外周側を構成する外周部とを有し、
前記外周部は、前記内周部に対して前記本体部の軸方向の第一の方向に向かって傾くように曲げられている請求項1に記載のリアクトル。
【請求項3】
前記複数のターンの各々は、前記平角線が屈曲された角部を有し、
前記角部における前記内周部と前記外周部との前記本体部の軸方向の変位量が0.1mm以上0.5mm以下である請求項2に記載のリアクトル。
【請求項4】
前記第一面は、第一領域を有し、
前記第一領域は、前記複数のターンのうちの前記第一面に接するターンを、前記本体部の軸方向の第二の方向に押圧する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。
【請求項5】
前記磁性コアは、前記本体部の内側に配置される内側コア部を有し、
前記保持部材は、
前記内側コア部の端部が挿入された貫通孔と、
前記本体部と前記内側コア部との間に配置された内側突起とを有する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリアクトル。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリアクトルを備える、
コンバータ。
【請求項7】
請求項6に記載のコンバータを備える、
電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コイルと、コアと、枠状ボビンとを備えるリアクトルを開示する。コイルは、平角線で構成されたエッジワイズコイルである。枠状ボビンは、コイルの両端部に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-246220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コイルの端末部に対するバスバーの接続作業性を向上することが望まれる。コイルの両端部には、バスバーと接続される端末部が設けられている。端末部は、コイルの端部からコイルの軸方向と直交する方向に引き出される場合がある。バスバーは、外部の電気回路とコイルとを電気的に接続する部材である。
【0005】
特許文献1のリアクトルでは、コイルの端面に枠状ボビンが接しているだけであるため、コイルの端末部の位置が十分に規制されないことがある。枠状ボビンにおけるコイル端面との接触面の構造によっては、接触面から端末部が離れる方向にずれることがある。端末部の位置が定まらないと、端末部とバスバーとが離れて溶接できなかったり、仮に溶接できたとしても接合強度が不足したりするおそれがある。コイルの端末部とバスバーとの接続作業性の悪化は、リアクトルを備えるコンバータなどの装置の生産性の低下を招き得る。
【0006】
本開示は、コイルの端末部の位置を規制できるリアクトルを提供することを目的の一つとする。本開示は、上記リアクトルを備えるコンバータ、及び上記コンバータを備える電力変換装置を提供することを他の目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のリアクトルは、平角線で構成されたエッジワイズ型のコイルと、前記コイルが配置された磁性コアと、前記コイルの少なくとも一方の端部に配置された保持部材とを備え、前記コイルは、複数のターンで構成された本体部と、前記本体部の一方の端部から前記本体部の端面に沿う方向に引き出された第一端末部とを有し、前記保持部材は、前記本体部の端面と向かい合う第一面と、前記第一端末部を保持する固定部とを有し、前記固定部は、前記第一端末部に貫通されるスリットを有する。
【0008】
本開示のコンバータは、本開示のリアクトルを備える。
【0009】
本開示の電力変換装置は、本開示のコンバータを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示のリアクトルは、コイルの端末部の位置を規制できる。
【0011】
本開示のコンバータ、及び本開示の電力変換装置は、生産性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係るリアクトルの一例を示す概略上面図である。
図2図2は、実施形態に係るリアクトルの一例を示す概略分解上面図である。
図3図3は、実施形態に係るリアクトルに用いられるコイルの一例を示す概略斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るリアクトルに用いられるコイルと保持部材とが組み付けられた状態を示す概略斜視図である。
図5図5は、実施形態に係るリアクトルに用いられるコイルを軸方向から見た概略端面図である。
図6図6は、図5のVI-VI断面を模式的に示す概略断面図である。
図7図7は、実施形態に係るリアクトルに用いられるコイルと保持部材とが分離した状態を模式的に示す概略上面図である。
図8図8は、実施形態に係るリアクトルに用いられるコイルの製造に用いる巻線機における曲げ加工部の構成を説明する概略図である。
図9図9は、曲げ加工部の動作を説明する概略図である。
図10図10は、曲げ加工部の動作を説明する別の概略図である。
図11図11は、実施形態に係るリアクトルに用いられるコイルの製造方法を説明するための概略図である。
図12図12は、実施形態に係るリアクトルに用いられるコイルと磁性コアと保持部材とが組み付けられた状態を模式的に示す概略上面図である。
図13図13は、図4に示す第一保持部材を第一面側から見た概略端面図である。
図14図14は、図4に示す第一保持部材を第一面側から見た概略斜視図である。
図15図15は、図4に示す第一保持部材の概略上面図である。
図16図16は、図4に示す第二保持部材を図4の反対側から見た概略斜視図である。
図17図17は、図4に示す第二保持部材を第一面側から見た概略端面図である。
図18図18は、ハイブリッド自動車の電源系統を模式的に示す構成図である。
図19図19は、コンバータを備える電力変換装置の一例の概略を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0014】
(1)本開示の実施形態に係るリアクトルは、平角線で構成されたエッジワイズ型のコイルと、前記コイルが配置された磁性コアと、前記コイルの少なくとも一方の端部に配置された保持部材とを備え、前記コイルは、複数のターンで構成された本体部と、前記本体部の一方の端部から前記本体部の端面に沿う方向に引き出された第一端末部とを有し、前記保持部材は、前記本体部の端面と向かい合う第一面と、前記第一端末部を保持する固定部とを有し、前記固定部は、前記第一端末部に貫通されるスリットを有する。
【0015】
本開示のリアクトルは、保持部材によって、コイルの第一端末部の位置を規制できる。コイルの本体部の端部において、第一端末部が固定部に形成されたスリットに挿入されることで、第一端末部の位置が規制される。これにより、第一端末部の位置精度が向上するため、第一端末部に対するバスバーの接続作業性が向上する。特に、コイルの端末部とバスバーとの接続作業を自動化する場合に有効である。
【0016】
保持部材は、本体部の端面に沿う方向にスライドさせて、本体部の端部に容易に組み付けられる。保持部材をスライドさせることによって、第一端末部をスリットに挿入することができる。
【0017】
(2)本開示のリアクトルの一形態として、前記複数のターンの各々は、前記平角線における前記ターンの内周側を構成する内周部と、前記平角線における前記ターンの外周側を構成する外周部とを有し、前記外周部は、前記内周部に対して前記本体部の軸方向の第一の方向に向かって傾くように曲げられていてもよい。
【0018】
上記形態は、コイルのみの状態で、本体部の端部において第一端末部を第一の方向に開いた状態にできる。保持部材をスライドさせて本体部の端部に組み付ける際、第一端末部をスリットに挿入し易い。よって、コイルへの保持部材の組み付け作業性が向上する。
【0019】
(3)上記(2)に記載のリアクトルの一形態として、前記複数のターンの各々は、前記平角線が屈曲された角部を有し、前記角部における前記内周部と前記外周部との前記本体部の軸方向の変位量が0.1mm以上0.5mm以下であってもよい。
【0020】
上記形態は、第一端末部を本体部の軸方向の第一の方向に開いた状態にし易い。
【0021】
(4)本開示のリアクトルの一形態として、前記第一面は、第一領域を有してもよい。前記第一領域は、前記複数のターンのうちの前記第一面に接するターンを、前記本体部の軸方向の第二の方向に押圧する。
【0022】
上記形態は、第一面に接するターンが第二の方向に押圧されることで、第一端末部が本体部の端面に沿う方向に矯正される。これにより、第一端末部の位置精度が向上する。
【0023】
(5)本開示のリアクトルの一形態として、前記磁性コアは、前記本体部の内側に配置される内側コア部を有し、前記保持部材は、前記内側コア部の端部が挿入された貫通孔と、前記本体部と前記内側コア部との間に配置された内側突起とを有してもよい。
【0024】
上記形態は、内側突起によって、本体部と内側コア部との間隔を保持できる。
【0025】
(6)本開示の実施形態に係るコンバータは、上記(1)から(5)のいずれか1項に記載のリアクトルを備える。
【0026】
本開示のコンバータは、上記リアクトルを備えることで、コイルの端末部とバスバーとの接続作業が容易である。よって、本開示のコンバータは生産性に優れる。
【0027】
(7)本開示の実施形態に係る電力変換装置は、上記(6)に記載のコンバータを備える。
【0028】
本開示の電力変換装置は、上記コンバータを備えることで、生産性に優れる。
【0029】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のリアクトル、コンバータ、及び電力変換装置の具体例を、図面を参照して説明する。図中の同一符号は同一又は相当部分を示す。
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0030】
<リアクトルの概要>
実施形態に係るリアクトル100の概要を説明する。リアクトル100は、図1図2に示すように、コイル10と磁性コア30と保持部材40とを備える。コイル10は、図3に示すように、本体部110と端末部130とを有する。本実施形態では、端末部130として、第一端末部131と第二端末部132とを有する。保持部材40は、コイル10の端部に配置される。本実施形態では、図4に示すように、保持部材40として、第一保持部材40aと第二保持部材40bとを有する。リアクトル100の特徴の一つは、第一端末部131と第一保持部材40aとが特定の構造を備える点にある。以下、リアクトル100の構成を詳細に説明する。
【0031】
(コイル)
図3図5を主に参照して、コイル10の概要を説明する。コイル10は、平角線1で構成されたエッジワイズ型のコイルである。図3では、第二端末部132をコイル10の軸方向にフラットワイズ曲げする前であって、図2に示すコイル10の形状とする前の状態を示している。図5は、図3に示すコイル10を第一端部121側からコイル10の軸方向に見た図である。図5では、第二端末部132の図示を省略している。
以下の説明において、端末部130が設けられた側を上とする。コイル10の第一端部121側の端面を正面とし、コイル10の第二端部122側の端面を背面とする。正面から背面に向かう方向から見て右側を右とし、左側を左とする。図中、矢印Xは右方向、矢印Yは軸方向、矢印Zは上方向をそれぞれ示している。
【0032】
(平角線)
平角線1は、断面が矩形の巻線である。上記断面とは、平角線1の長手方向に直交する断面である。上記矩形は、図8に示す平角線1のように、一対の短辺と一対の長辺とを有する。平角線1の幅は、向かい合う短辺同士の距離であり、長辺の長さに相当する。平角線1の幅方向は、実質的に矩形の長辺に沿う方向である。平角線1の厚さは、向かい合う長辺同士の距離であり、短辺の長さに相当する。平角線1の厚さ方向は、実質的に矩形の短辺に沿う方向である。平角線1の幅及び厚さは適宜選択できる。平角線1の幅は、例えば3mm以上15mm以下、更に5mm以上12mm以下である。平角線1の厚さは、例えば0.5mm以上5mm以下、更に0.8mm以上3mm以下である。
【0033】
(本体部)
本体部110は、図3に示すように、平角線1をエッジワイズ巻きして螺旋状に形成された部分である。本体部110は複数のターン2によって構成される。本体部110は、第一端部121と第二端部122とを含む。第一端部121は、本体部110の軸方向の一方の端部である。第二端部122は、本体部110の軸方向の他方の端部である。
【0034】
本体部110の形状は、円筒状でもよいし、角筒状でもよい。円筒状とは、本体部110を軸方向から見た端面の形状が、円形状であるものをいう。円形状には、真円形状のみならず、楕円形状も含む。角筒状とは、上記端面の形状が、多角形状であるものをいう。多角形状としては、例えば、三角形状、四角形状、六角形状、八角形状などがある。四角形状には、矩形状、台形状が含まれる。矩形状には、正方形状が含まれる。本実施形態では、本体部110が角筒状である。本体部110の端面が矩形状である。
【0035】
各ターン2の形状は、上述した本体部110の端面の形状と実質的に同じである。ターン2の形状とは、ターン2の軸方向から見た形状である。本実施形態では、図5に示すように、ターン2の形状が矩形状である。ターン2は、平角線1が直線状に配置された4つの直線部20sと、平角線1が屈曲された4つの角部20cとを有する。
【0036】
ターン2の数は適宜選択できる。ターン2の数は、例えば10ターン以上60ターン以下、更に20ターン以上50ターン以下である。
【0037】
(端末部)
端末部130は、図3に示すように、本体部110の軸方向における端部120から平角線1が引き出された部分である。端末部130は、本体部110の輪郭から外側に突出する。端末部130のうち、第一端末部131は、第一端部121から引き出されている。第二端末部132は、第二端部122から引き出されている。第一端末部131及び第二端末部132には、図12に示すように、バスバー61,62が接続される。
【0038】
〈第一端末部〉
第一端末部131は、図3に示すように、本体部110の第一端部121側の端面に沿う方向に引き出されている。本体部110の端面に沿う方向は、本体部110の軸方向と交差する。第一端末部131は、本体部110を構成する複数のターン2のうち、第一端部121側に位置する第一端部ターン2aにつながっている。第一端部ターン2aは、第一端部121側の端面を構成する。本実施形態では、図5に示すように、第一端末部131は第一端部ターン2aにおける上側の直線部20sの延長方向に沿って引き出されている。第一端末部131は直線部20sに連続して右方向に延びている。本実施形態とは異なり、第一端末部131を本体部110の軸方向と直交する方向にエッジワイズ曲げして、第一端末部131が直線部20sの延長方向と直交するように引き出されていてもよい。
【0039】
〈第二端末部〉
第二端末部132は、図3に示すように、本体部110を構成する複数のターン2のうち、第二端部122側に位置する第二端部ターン2bにつながっている。第二端部ターン2bは、第二端部122側の端面を構成する。本実施形態では、第二端末部132は、第一端末部131とは異なり、図2に示すようにリアクトル100を組み立てる前に、本体部110の軸方向に沿う方向に引き出される。本実施形態とは異なり、第二端末部132は、第一端末部131と同じように、本体部110の第二端部122側の端面に沿う方向に引き出されてもよい。この場合、第二端末部132は、図3に示すように、第二端部ターン2bにおける上側の直線部に連続して左方向に引き出される。
【0040】
《コイルの詳細》
図6図7を参照して、本実施形態におけるコイル10の構成を詳しく説明する。図6は、図5のVI-VI断面における切断面のみを示している。図6では、切断面より奥に見える構成は省略している。図5のVI-VI線は、ターン2の対角線である。コイル10の特徴の一つは、本体部110において、ターン2を形成する平角線1が特定の形状を有している点にある。図6図7では、コイル10の構成や保持部材40構成を簡略化して模式的に示している。図7は、保持部材40が組み付けられていないコイル10のみの状態を示している。保持部材40については後述する。
【0041】
図6に示すように、本体部110を構成する複数のターン2の各々は、内周部1iと外周部1eとを有する。内周部1iは、平角線1におけるターン2の内周側を構成する。外周部1eは、平角線1におけるターン2の外周側を構成する。外周部1eは、内周部1iに対して本体部110の軸方向の第一の方向に向かって傾くように曲げられている。換言すれば、ターン2を形成する平角線1が平角線1の幅方向の途中で屈曲されている。内周部1iと外周部1eとは屈曲部1bを介してつながっている。内周部1iは、平角線1における屈曲部1bよりもターン2の内周側に位置する部分である。外周部1eは、平角線1における屈曲部1bよりもターン2の外周側に位置する部分である。本実施形態では、図5に示す角部20c及び直線部20sのいずれにおいても、ターン2における平角線1が幅方向の途中で屈曲されている。
【0042】
内周部1iは、本体部110の軸方向に沿った断面を見たとき、ターン2の内周側から外周側に向かって実質的に径方向に沿って延びている。つまり、内周部1iは、ターン2の径方向と実質的に平行に延びている。内周部1iが平角線1の巻きピッチによって径方向からずれている分については、径方向に沿っているとみなす。
【0043】
上記第一の方向は、本体部110の軸方向の他方の端部から一方の端部に向かう方向である。即ち、第一の方向は、第二端部122から第一端部121に向かう方向である。第一の方向は、背面から正面に向かう方向と一致する。図6では、第一の方向は上から下に向かう方向である。つまり、外周部1eは、内周部1iに対して下方に向かって傾斜している。
【0044】
平角線1の幅方向における内周部1iの長さは、例えば、平角線1の幅の30%以上75%以下、更に40%以上70%以下である。平角線1の幅方向における外周部1eの長さは、例えば、平角線1の幅の25%以上70%以下、更に30%以上60%以下である。
【0045】
〈変位量〉
内周部1iと外周部1eとの本体部110の軸方向の変位量1dは、例えば0.1mm以上0.5mm以下、更に0.2mm以上0.4mm以下である。変位量1dは、ターン2における角部での変位量である。ターン2における直線部での変位量は、角部での変位量よりも小さくてもよい。上記角部とは、図5に示す角部20cである。上記直線部とは、図5に示す直線部20sである。
【0046】
複数のターン2において、全ての変位量1dが同じであってもよい。複数のターン2のうち、一部のターン2における変位量1dが、残りのターン2の少なくとも一部における変位量1dと異なってもよい。
【0047】
変位量1dは、例えば、レーザ距離計を用いて、次のようにして測定することができる。コイル10を、本体部110の軸方向が垂直となるように水平な台に置く。第一端部121が下、第二端部122が上になるようにコイル10を配置する。コイル10の上方の基準位置から、内周部1iの上面と側面との交点までの距離を測定する。この距離を第一の距離とする。内周部1iの側面は、ターン2の内周面であり、平角線1の断面における矩形の一方の短辺に対応する面である。上記基準位置から外周部1eの上面と側面との交点までの距離を測定する。この距離を第二の距離とする。外周部1eの側面は、ターン2の外周面であり、平角線1の断面における矩形のもう一方の短辺に対応する面である。第一の距離と第二の距離との差を変位量1dとする。そして、ターン2の全ての角部20cにおける変位量1dを測定する。本実施形態であれば、図5に示す4つの角部20cにおけるそれぞれの変位量1dを測定する。測定した全ての角部20cでの変位量1dの平均値をそのターン2における変位量1dとする。
【0048】
本実施形態では、図6を参照して説明したように、本体部110において、ターン2を形成する平角線1が幅方向の途中で屈曲されている。これにより、図7に示すように、第一端部121において第一端末部131が本体部110の軸方向の第一の方向に開いた状態になっている。具体的には、第一端末部131につながる第一端部ターン2aが、第一端部ターン2aに隣り合うターン2から離れている。このように、第一端末部131が第一の方向に開く理由については、後述するコイルの製造方法で説明する。
【0049】
更に、本実施形態では、図6に示すように、ターン2を形成する平角線1が幅方向の途中で屈曲されていることで、ターン2間の隙間2gを小さくすることができる。隙間2gが小さくなる理由については、後述するコイルの製造方法で説明する。
【0050】
隙間2gは、例えば0.076mm以下、更に0.06mm以下、0.05mm以下である。隙間2gは小さいほど好ましいので、下限は設けない。即ち下限はゼロである。
【0051】
隙間2gは、第一端部ターン2aを除く全てのターン2間の隙間2gの平均値として求めることができる。隙間2gは、[(L-n×t)/(n-1)]として求められる。Lは、第一端部ターン2aを含まない本体部110の長さ(mm)である。nは、第一端部ターン2aを除くターン2の数である。tは、平角線1の厚さ(mm)である。
【0052】
本体部110の長さLは、次のように測定する。本体部110の外周面の周方向の任意の位置に本体部110の軸方向と平行な直線を採る。この直線は、ターン2の外周面に接する仮想の直線である。直線上のターン2のうち、第一端部ターン2aを除いて本体部110の両端に位置するターン2間の距離を求める。この距離を長さLとする。本体部110の長さLは、本体部110の軸方向が水平になるようにコイル10を水平な台に置いて測定するとよい。測定は、本体部110に対して荷重をかけていない状態で行う。ターン2の数nは、上記直線と交差するターン2のうち、第一端部ターン2aを引いた数とする。(n-1)は、第一端部ターン2aを含まないターン2間の隙間2gの数を表している。
【0053】
(コイルの製造方法)
図8から図12を主に参照して、上述したコイル10の製造方法について説明する。コイル10は巻線機を使用して製造できる。巻線機には、公知の巻線機を利用できる。
【0054】
(巻線機)
巻線機は、図8に示す曲げ加工部800と、図示しない送り機構とを備える。曲げ加工部800は、平角線1をエッジワイズ曲げ加工する。送り機構は、平角線1を送り出す。曲げ加工部800は、巻線機の主要な部分の一つである。
【0055】
(曲げ加工部)
曲げ加工部800は、図8図9に示すように、保持部810とガイド部820とを有する。保持部810は、平角線1の内周部1iを保持する。平角線1の内周部1iは、平角線1をエッジワイズ曲げする際に、平角線1における曲げの内周側に位置する部分である。ガイド部820は、平角線1の外周部1eを保持する。平角線1の外周部1eは、平角線1における曲げの外周側に位置する部分である。
【0056】
〈保持部〉
保持部810は、シャフト811と、シャフト811を支持する支持体812とを有する。シャフト811は、平角線1における内周部1iの側面と接触する円柱状の部材である。内周部1iの側面は、平角線1の断面における矩形の一方の短辺に対応する面である。支持体812は円筒状である。シャフト811は、支持体812の中心を貫通する。シャフト811は、支持体812に対して、シャフト811の軸方向にスライド可能である。シャフト811の先端は、支持体812の端面から突出する。シャフト811の先端には、円板状のフランジ813を有する。支持体812とフランジ813とは離間して配置されている。
【0057】
保持部810は、支持体812の端面によって構成される第一面812fと、支持体812と向かい合うフランジ813の面によって構成される第二面813fとを有する。第一面812fと第二面813fとは、平角線1の内周部1iを厚さ方向に挟むように向かい合って配置される。第一面812fと第二面813fとの間に平角線1の内周部1iが通されて保持される。第一面812fと内周部1iとの間、及び第二面813fと内周部1iとの間は、平角線1を送り出した際に平角線1が通過できるように、若干のクリアランスが設けられている。
【0058】
〈ガイド部〉
ガイド部820は、シャフト811の中心軸を回転中心にして回動可能である。ガイド部820は、平角線1の内周部1iを厚さ方向に挟むようにガイド溝821が形成されている。このガイド溝821に、平角線1の外周部1eが通されて保持される。ガイド溝821の幅は、平角線1を送り出した際に平角線1が通過できるように、平角線1の外周部1eの厚さよりも若干大きい。
【0059】
本実施形態では、保持部810に対してガイド部820がシャフト811の軸方向にスライド可能である。ガイド部820の位置は、例えば図示しない駆動装置によって制御される。駆動装置としては、例えばサーボモータなどが利用できる。
【0060】
図9図10を参照して、平角線1をエッジワイズ曲げする際の曲げ加工部800の動作を説明する。ここでは、図3図5に示す四角筒状のコイル10を形成する場合を例に挙げて説明する。図9図10は、曲げ加工部800をフランジ813側、即ち図8の下側からシャフト811の軸方向に見ている。図9に示すように、図示しない送り機構によって平角線1を直線状に送り出す。図9中の矢印は、平角線1の送り方向を示す。次に、図10に示すように、ガイド部820がシャフト811の中心軸を回転中心にして回動する。内周部1iの側面がシャフト811の外周面に押し付けられて、平角線1がシャフト811の外周面に沿って曲がる。これにより、平角線1がエッジワイズ曲げされた角部が形成される。本実施形態では、ガイド部820が90°回動することによって、平角線1を90°曲げる。この動作を繰り返すことによって、1つのターン2を形成する。平角線1の送り出しとエッジワイズ曲げ加工とを4回繰り返すことにより、矩形状のターン2を形成する。そして、ターン2の形成を複数回繰り返し行うことにより、複数のターン2を形成することで、コイル10が形成される。
【0061】
平角線1の送り出し時は、図8に示すように、支持体812とフランジ813とは、平角線1の内周部1iとの間に隙間が形成されるような間隔に保持される。平角線1のエッジワイズ曲げ加工時は、支持体812とフランジ813とは、平角線1の内周部1iを上下から挟むような間隔に閉じられる。平角線1をエッジワイズ曲げしたとき、曲げの内周側が厚さ方向に膨らむように変形して、内周部1iが厚くなる。支持体812とフランジ813とで平角線1の内周部1iを平角線1の厚さ方向から挟むことで、エッジワイズ曲げ加工時に平角線1の内周部1iが厚くなることを抑制できる。
【0062】
一般に、巻線機を使用してコイルを作製する場合、保持部810とガイド部820との位置関係は、図8に示すように、シャフト811の軸方向において、平角線1の内周部1iを保持する位置と、平角線1の外周部1eを保持する位置とが略一致するように設定されている。つまり、平角線1における内周部1iと外周部1eとが平坦になるように、保持部810に対してガイド部820が位置する。このときのガイド部820の位置をガイド部820の基準位置とする。基準位置とは、保持部810が平角線1の内周部1iを保持したときの第一面812fと第二面813fとの間の中心線と、ガイド部820のガイド溝821の幅の中心線とが揃う位置である。
【0063】
上述したコイル10の製造方法の詳細を説明する。コイル10の製造方法は、上述した曲げ加工部800を備える巻線機を使用する。コイル10の製造方法は、平角線1を螺旋状にエッジワイズ巻きして複数のターン2を形成する工程を備える。コイル10の製造方法の特徴の一つは、図11に示すように保持部810に対してガイド部820を特定の方向に変位させた状態で、ターン2を形成する点にある。以下の説明では、図5から図7を適宜参照するものとする。
【0064】
本実施形態では、本体部110の第一端部121側から巻き始める。つまり、初めに、第一端部ターン2aを形成する。第一端部ターン2aを形成するときは、図5図7に示す第一端末部131となる長さ分、平角線1を送り出す。このときの平角線1の送り量は、第一端末部131と1つの直線部20sとを含む長さである。平角線1を直線状に送り出した後、平角線1をエッジワイズ曲げして角部20cを形成する。その後、図9図10を参照して説明したように、平角線1の送り出しとエッジワイズ曲げ加工とを繰り返すことにより、第一端部ターン2aを形成する。次いで、この動作を繰り返して、ターン2を連続して形成する。所定の数のターン2を形成することにより、本体部110を形成する。最終のターン2となる第二端部ターン2bを形成した後、第二端末部132となる長さ分、平角線1を送り出す。
【0065】
ターン2を形成する工程は、図11に示すように、保持部810に対してガイド部820をシャフト811の軸方向の第一の方向に変位させた状態で行う。具体的には、保持部810を基準としてガイド部820を下方にスライドさせることにより、保持部810に対してガイド部820を下方に変位させる。つまり、第一の方向は、図11の上から下に向かう方向である。保持部810に対してガイド部820を下方に変位させることで、平角線1における外周部1eが内周部1iに対して下方に傾斜するように平角線1を屈曲させることができる。この状態でターン2を形成することにより、図6に示すように、外周部1eが内周部1iに対して下方に向かって傾斜したターン2を形成できる。
【0066】
ターン2を形成する間は、ガイド部820を変位させた状態を維持する。つまり、保持部810とガイド部820との位置関係は維持される。エッジワイズ曲げ加工時は支持体812とフランジ813とで平角線1の内周部1iを挟むため、ターン2の角部20cでは、平角線1が折り曲げられる。一方、平角線1を送り出すときは、支持体812とフランジ813とは、平角線1の内周部1iとの間に隙間が形成されるような間隔で保持される。そのため、ターン2の直線部20sでは、角部20cに比べて平角線1を折り曲げる力が加わり難く、平角線1の曲げが小さくなる場合があると考えられる。本実施形態では、第一端末部131となる長さ分、及び第二端末部132となる長さ分、平角線1を送り出すときもガイド部820を変位させた状態を維持する。
【0067】
保持部810に対してガイド部820を変位させることによって、ターン2を形成する平角線1を幅方向の途中で屈曲させる。ターン2を形成するとき、平角線1を幅方向の途中で屈曲させることで、ターン2間の隙間2gを小さくすることができる。この理由は明らかではないが、次のように考えられる。平角線1が幅方向に折り曲げられることによって、平角線1を曲げた方向に引っ張られる力がターン2に加わることで、ターン2間が狭くなるものと推測される。上述したターン2の変位量1dが0.1mm以上であると、隙間2gを低減する効果が得られ易い。また、変位量1dが0.5mm以下であれば、平角線1が幅方向の途中で折れ曲がっていることが一見して分かり難い。つまり、従来と遜色ない見栄えのよいコイルを得易い。変位量1dは、例えば0.2mm以上0.4mm以下が好ましい。
【0068】
更に、平角線1を幅方向の途中で屈曲させることで、図7に示すように、第一端部121において第一端末部131が本体部110の軸方向の第一の方向に開いた状態になる。具体的には、第一端末部131につながる第一端部ターン2aが、第一端部ターン2aに隣り合うターン2から離れる。第一端末部131が開いた状態になる理由は、次のように考えられる。最初の第一端部ターン2aを形成するとき、第一端末部131となる長さ分、平角線1を送り出す。このとき、第一端末部131と、第一端末部131につながる直線部20sとは直線状になっている。第一端部ターン2aの角部20cで平角線1が幅方向に折り曲げられることによって、第一端部ターン2aの角部20cが次に巻回されるターン2の角部20cと当たる。そのため、第一端部ターン2aと次のターン2との間に隙間が形成される。第一端部ターン2aより時系列で後に巻回される複数のターン2の各々は、各ターン2の直前に巻回されたターン2が平角線1の幅方向に曲げられることによって、直前に巻回されたターン2側に引っ張られる。この引っ張りが隣り合うターン2間に作用することから、ターン2間が狭くなる。最初のターン2である第一端部ターン2aは、直前に巻回されたターン2の影響を受けないため、次に巻回されたターン2から離れた状態になる。上述したターン2の変位量1dが0.1mm以上であると、第一端末部131を第一の方向に開いた状態にし易い。ターン2の変位量1dが大きいほど、第一端末部131がより開いた状態になる。ターン2の変位量1dは0.2mm以上が好ましい。
【0069】
保持部810を基準としたガイド部820の変位量Gdは、例えば0.1mm以上0.5mm以下、更に0.2mm以上0.4mm以下が好ましい。ガイド部820の変位量Gdは、ガイド部820を上述した基準位置からシャフト811の軸方向にスライドさせた距離である。変位量Gdは、第一の方向、即ち下方への変位量である。
【0070】
保持部810によって保持する平角線1の内周部1iの幅は、例えば、平角線1の幅の30%以上75%以下、更に40%以上70%以下である。ガイド部820によって保持する平角線1の外周部1eの幅は、例えば、平角線1の幅の25%以上70%以下、更に30%以上60%以下である。
【0071】
(磁性コア)
図1図2を参照して、磁性コア30の構成を説明する。磁性コア30には、コイル10が配置される。本実施形態における磁性コア30は、全体としてθ状に構成されている。磁性コア30は、ミドルコア部300と、第一エンドコア部310と、第二エンドコア部320と、第一サイドコア部330と、第二サイドコア部340とを有する。本実施形態では、磁性コア30は、第一コア31と第二コア32との組物である。第一コア31と第二コア32については、後述する。
【0072】
(ミドルコア部)
ミドルコア部300は、磁性コア30のうち、コイル10の内側に配置される部分である。つまり、ミドルコア部300は内側コア部に相当する。本実施形態では、ミドルコア部300は、ミドルコア部300の長手方向に二分割されており、第一ミドルコア部301と第二ミドルコア部302とを有する。ミドルコア部300の長手方向の途中に、ギャップ部30gが設けられている。ギャップ部30gは、第一ミドルコア部301と第二ミドルコア部302との間に配置されている。ギャップ部30gは、エアギャップであってもよいし、樹脂やセラミクスなどの非磁性材料の板材であってもよい。本実施形態とは異なり、ミドルコア部300にはギャップ部30gが設けられていなくてもよい。
【0073】
(第一エンドコア部・第二エンドコア部)
第一エンドコア部310は、磁性コア30のうち、コイル10の第一端部121と向かい合う部分である。第二エンドコア部320は、コイル10の第二端部122と向かい合う部分である。第一エンドコア部310と第二エンドコア部320とは、コイル10を軸方向から挟むように間隔をあけて配置される。
【0074】
(第一サイドコア部・第二サイドコア部)
第一サイドコア部330及び第二サイドコア部340は、磁性コア30のうち、ミドルコア部300を挟むように、コイル10の外側に配置される部分である。第一サイドコア部330と第二サイドコア部340とは、コイル10の軸方向に沿う両側面を挟むように間隔をあけて配置される。第一サイドコア部330及び第二サイドコア部340は、第一エンドコア部310と第二エンドコア部320とをつなぐ長さを有している。
【0075】
(第一コア・第二コア)
磁性コア30は、第一コア31と第二コア32とが組み合わされることで構成されている。第一コア31及び第二コア32の各々の形状は、種々の組み合わせから選択できる。本実施形態では、磁性コア30は、E字状の第一コア31と、T字状の第二コア32とを組み合わせたE-T型である。その他の組み合わせとしては、例えば、E-U型、E-I型、T-U型などがある。
【0076】
本実施形態では、第一コア31は、第一エンドコア部310と、ミドルコア部300の一部である第一ミドルコア部301と、第一サイドコア部330及び第二サイドコア部340の各々の全部とを含む。第一エンドコア部310と、第一ミドルコア部301と、第一サイドコア部330と、第二サイドコア部340とは一体に形成されている。第二コア32は、第二エンドコア部320と、ミドルコア部300の残部である第二ミドルコア部302とを含む。第二エンドコア部320と、第二ミドルコア部302とは一体に成形されている。
【0077】
(保持部材)
図4図7及び図12を参照して、保持部材40の概要を説明する。以下の説明では、コイル10の構成については図3図5を適宜参照するものとする。磁性コア30の構成については、図1図2を適宜参照するものとする。図12では、コイル10、保持部材40、及び磁性コア30の構成を簡略化して模式的に示している。図12では、磁性コア30のうち、コイル10の内側に配置される内側コア部30iのみを示している。内側コア部30iは、磁性コア30のミドルコア部300に相当する。本実施形態では、コイル10の両端部にそれぞれ、保持部材40が配置されている。第一保持部材40aは、本体部110の第一端部121に配置される。第二保持部材40bは、コイル10の第二端部122に配置される。
【0078】
(第一保持部材)
第一保持部材40aは、図2に示すように、本体部110の第一端部121側の端面と磁性コア30の第一エンドコア部310との間に配置される。第一保持部材40aは、本体部110と第一エンドコア部310との電気的絶縁を確保する。以下、図13から図15を参照して、第一保持部材40aの構成を詳しく説明する。図13は、第一保持部材40aを内側から見た図である。図14は、第一保持部材40aを内側から見た斜視図である。第一保持部材40aの内側とは、図3に示す本体部110の第一端部121側の端面と向かい合う側である。つまり、第一保持部材40aの内側は、第一端部ターン2aと向かい合う。第一保持部材40aの外側は、第一エンドコア部310と向かい合う。第一保持部材40aの内側は背面側である。第一保持部材40aの外側は正面側である。図13では、第一端末部131と第一端部ターン2aとを二点鎖線で示している。図15では、第一端部ターン2aを含む一部のターン2を実線で示している。
【0079】
図13図14に示すように、第一保持部材40aは枠状の部材である。第一保持部材40aの形状は、本体部110の端面に対応した形状である。本実施形態では、第一保持部材40aは矩形枠状である。
【0080】
〈第一面〉
第一保持部材40aは第一面41を有する。第一面41は、図13に示すように、本体部110の第一端部121側の端面を構成する第一端部ターン2aと向かい合う。
【0081】
第一面41は第一領域42を有する。第一領域42は、第一面41のうち、第一端部ターン2aに接する領域である。第一領域42は、第一面41に接する第一端部ターン2aを、本体部110の軸方向の第二の方向に押圧する。第二の方向は、上述した第一の方向とは逆向きである。即ち、第二の方向は、第一端部121から第二端部122に向かう方向である。換言すれば、第二の方向は、第一端部ターン2aを隣り合うターン2に近づける方向である。第二の方向は、正面から背面に向かう方向と一致する。本実施形態では、図14に示すように、第一領域42が、第一端部ターン2aに対応するように螺旋状に傾斜している。図12に示すように第一保持部材40aをコイル10に組み付けたとき、第一領域42によって、第一端部ターン2aを第二の方向に押圧することが可能である。第一端部ターン2aが押圧されることで、第一端末部131が本体部110の軸方向と直交する方向に矯正される。
【0082】
〈固定部〉
第一保持部材40aは固定部51を有する。固定部51は第一端末部131を保持する。固定部51は、第一端部ターン2aから第一端末部131が引き出される部分に形成されている。本実施形態では、図4に示すように、固定部51は、第一保持部材40aを正面から見たときの右上角部に設けられている。第一保持部材40aの右とは、例えば図4であれば、紙面右側である。図13であれば、紙面左側である。固定部51は、本体部110の第一端部121の外周面の一部を覆う。
【0083】
固定部51はスリット51sを有する。スリット51sは第一端末部131に貫通される。スリット51sは、本体部110の軸方向と直交する方向に延びている。スリット51sは、第一保持部材40aの側面に開口している。スリット51sの開口形状は、平角線1の断面に対応した形状である。スリット51sの開口形状とは、スリット51sの軸方向から見た、スリット51sの輪郭の形状である。本実施形態では、スリット51sの開口形状が矩形状である。スリット51sは、第一端末部131を挿入するためのクリアランスを有することを許容する。固定部51は、第一端末部131を完全に不動に保持することを意図していない。つまり、第一端末部131とバスバー61との接続に支障がない程度にスリット51s内で第一端末部131が本体部110の軸方向に移動することは許容される。
【0084】
スリット51sは第一端末部131の全周を囲むように形成されている。図15に示すように、スリット51sの内周面のうち、第一面41側に位置する面は第一面41と面一になっている。
【0085】
〈貫通孔〉
第一保持部材40aは貫通孔43を有する。貫通孔43には、図12に示す内側コア部30iの端部が挿入される。貫通孔43の形状は、内側コア部30iの端部の外周形状に概ね対応した形状である。本実施形態では、貫通孔43の形状が矩形状である。
【0086】
〈内側突起〉
更に、第一保持部材40aは内側突起45を有する。内側突起45は、本体部110と内側コア部30iとの間に配置される。内側突起45は、貫通孔43を構成する第一保持部材40aの内周面から貫通孔43の軸方向に突出する。図13に示すように本体部110の内側に内側コア部30iが配置されたとき、内側突起45によって、本体部110の内周面と内側コア部30iの外周面との間に隙間が形成される。その隙間により、本体部110とミドルコア部300との電気的絶縁を確保することができる。また、第一保持部材40aをコイル10に組み付けたとき、内側突起45によって、コイル10に対して第一保持部材40aを位置決めできる。内側突起45の数や位置は特に限定されない。内側突起45は、本体部110の内周面の各辺に対応する箇所に形成されていることが好ましい。本実施形態では、内側突起45は、第一保持部材40aの内周面のうち、上下の辺に1つずつ、両側の辺に2つずつ設けられている。
【0087】
(第一保持部材の組み付け方法)
図7図12を参照して、第一保持部材40aの組み付け方法を説明する。図7に示すように、本体部110の第一端部121に対して、第一保持部材40aを本体部110の端面に沿う方向にスライドさせる。第一保持部材40aをスライドさせることによって、第一端末部131をスリット51sに挿通する。第一保持部材40aをスライドさせた後、第一保持部材40aを本体部110の第一端部121に押し付けて、第一保持部材40aを第一端部121に嵌め込む。これにより、図12に示すように、第一保持部材40aを本体部110の第一端部121に組み付けることができる。第一端部ターン2aが隣り合うターン2と離れていることで、第一端末部131をスリット51sに挿通し易い。第一保持部材40aをコイル10に組み付けた状態では、第一端部ターン2aが第一保持部材40aに押圧されることによって弾性変形し、第一端末部131が閉じた状態になる。図12では、第一端部ターン2aが隣り合うターン2と離れているように図示されているが、実際には、第一端部ターン2aが第一保持部材40aに押圧されることによって、第一端部ターン2aが隣り合うターン2と接している。
【0088】
(第二保持部材)
第二保持部材40bは、図2に示すように、本体部110の第二端部122側の端面と磁性コア30の第二エンドコア部320との間に配置される。第二保持部材40bは、本体部110と第二エンドコア部320との電気的絶縁を確保する。以下、図16図17を参照して、第二保持部材40bの構成を詳しく説明する。図16は、第二保持部材40bを外側から見た斜視図である。図17は、第二保持部材40bを内側から見た図である。第二保持部材40bの内側とは、図3に示す本体部110の第二端部122側の端面と向かい合う側である。つまり、第二保持部材40bの内側は、第二端部ターン2bと向かい合う。第二保持部材40bの外側は、第二エンドコア部320と向かい合う。第二保持部材40bの内側は正面側である。第二保持部材40bの外側は背面側である。図17では、第二端末部132と第二端部ターン2bとを二点鎖線で示している。第二保持部材40bの構成は、上述した第一保持部材40aの構成と同様である。以下では、第二保持部材40bについて、第一保持部材40aの相違点を中心に説明する。第一保持部材40aと共通する構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0089】
図16図17に示すように、第二保持部材40bは枠状の部材である。第二保持部材40bの形状は、第一保持部材40aと同様に、矩形枠状である。
【0090】
〈第一面〉
第二保持部材40bは第一面41を有する。第一面41は、図17に示すように、本体部110の第二端部122側の端面を構成する第二端部ターン2bと向かい合う。第一面41は、第一保持部材40aと同様に、第二端部ターン2bに接する第一領域42を有している。第一領域42は、第一面41に接する第二端部ターン2bを、本体部110の軸方向の第一の方向に押圧する。第一の方向は、第二端部122から第一端部121に向かう方向である。換言すれば、第一の方向は、第二端部ターン2bを隣り合うターン2に近づける方向である。ここでは、図示していないが、第一領域42は、第二端部ターン2bに対応するように螺旋状に傾斜している。図12に示すように第一保持部材40aをコイル10に組み付けたとき、第一領域42によって、第二端部ターン2bを第一の方向に押圧することが可能である。
【0091】
〈固定部〉
第二保持部材40bは固定部52を有する。固定部52は第二端末部132を保持する。固定部52は、第二端部ターン2bから第二端末部132が引き出される部分に形成されている。本実施形態では、図4に示すように、固定部52は、第二保持部材40bを正面から見たときの左上角部に設けられている。第二保持部材40bの左とは、例えば図16であれば、紙面右側である。図17であれば、紙面左側である。固定部52は、図16に示すように、第二保持部材40bの外側の面から軸方向に突出している。
【0092】
固定部52はスリット52sを有する。スリット52sは第二端末部132に貫通される。スリット52sは、本体部110の軸方向に沿う方向に延びている。スリット51sは、第二保持部材40bの外側の面に開口している。スリット52sの開口形状は、平角線1の断面に対応した形状、即ち矩形状である。スリット52sは第二端末部132の全周を囲むように形成されている。図17に示すように、スリット52sは、第一面41にほぼ直交している。スリット52sは、第二端末部132を挿入するためのクリアランスを有することを許容する。固定部52は、上述した固定部51と同様に、第二端末部132を完全に不動に保持することを意図していない。
【0093】
〈貫通孔・内側突起〉
第二保持部材40bは、第一保持部材40aと同様に、貫通孔43と内側突起45とを有する。
【0094】
(第二保持部材の組み付け方法)
図7図12を参照して、第二保持部材40bの組み付け方法を説明する。図7に示すように、第二保持部材40bを本体部110の軸方向に沿う方向に移動させて、第二端末部132をスリット52sに挿通する。第二保持部材40bを本体部110の第二端部122に押し付けて、第二保持部材40bを第二端部122に嵌め込む。これにより、図12に示すように、第二保持部材40bを本体部110の第二端部122に組み付けることができる。
【0095】
{実施形態の作用効果}
上述した実施形態のリアクトル100は、保持部材40によって、コイル10の端末部130の位置を規制できる。特に、本体部110の端面に沿う方向に引き出された第一端末部131が、第一保持部材40aの固定部51に形成されたスリット51sに挿入される。そのため、第一端末部131が本体部110の軸方向にずれることを効果的に抑制できる。よって、第一端末部131の位置が十分に規制される。
【0096】
第一保持部材40aは、本体部110の端面に沿う方向にスライドさせて、本体部110の第一端部121に組み付けられる。第一端末部131がスリット51sに挿入されることで、第一保持部材40aが第一端部121から外れ難くなる。また、スリット51sの内周面のうち、第一面41側に位置する面が第一面41と面一になっていることで、第一面41をガイドにして、第一端末部131をスリット51sに挿入し易い。
【0097】
コイル10における本体部110を構成する各ターン2は、平角線1の外周部1eが内周部1iに対して第一の方向に傾斜する。ターン2を形成する平角線1が幅方向の途中で屈曲されていることで、コイル10のみの状態で、第一端末部131を本体部110の軸方向の第一の方向に開いた状態にできる。第一保持部材40aをスライドさせて第一端部121に組み付ける際、第一端末部131をスリット51sに挿入し易い。第一保持部材40aを第一端部121に組み付け易い。
【0098】
更に、ターン2を形成する平角線1が幅方向の途中で屈曲されていることで、ターン2間の隙間2gを小さくできる。隙間2gが小さいので、本体部110が両端部から軸方向に押されたときに本体部110の全長が短くなり難い。コイル10に保持部材40を組み付けた後、第一端末部131の位置及び第二端末部132の位置がほぼ変わらない。
【0099】
ターン2における内周部1iと外周部1eとの変位量1dが0.1mm以上であることで、第一端末部131を第一の方向に開いた状態にし易く、また、隙間2gを低減し易い。変位量1dが0.5mm以下であることで、平角線1が幅方向の途中で折れ曲がっていることが一見して分かり難い。つまり、従来と遜色ない見栄えのよいコイル10とすることができる。
【0100】
実施形態のリアクトル100は、第一端末部131の位置精度が向上するため、第一端末部131に対するバスバー61の接続作業性が向上する。第一端末部131の位置及び第二端末部132の位置がほぼ変わらないため、第一端末部131及び第二端末部132の各端末部130と各バスバー61,62との接続作業を行い易い。
【0101】
[試作例]
実施形態で説明したコイルの製造方法によって、コイル10を製造した。製造するコイル10の仕様は次のとおりとした。本体部110の形状は、四角筒状とした。本体部110の端面の形状は矩形状である。ターン2の数は16ターンとした。
【0102】
保持部810によって保持する平角線1の内周部1iの幅は、平角線1の幅の約60%とした。ガイド部820によって保持する平角線1の外周部1eの幅は、平角線1の幅の約30%とした。保持部810に対してガイド部820を下方に変位させた状態でターン2の形成を行った。ガイド部820の変位量Gdは0.2mmに設定した。製造したコイル10を試料No.1とする。
【0103】
試料No.1について、ターン2における内周部1iと外周部1eとの変位量1dを測定した。変位量1dの測定は、実施形態で説明した測定方法を用いて行った。そして、4つの角部20cにおけるそれぞれの変位量1dを測定して、その平均値を求めた。その結果、ターン2における角部20cでの変位量1dは、平均で0.2mm程度であった。また、4つの直線部20sの中間点におけるそれぞれの変位量を測定して、その平均値を求めた。直線部20sの中間点は、ターン2の周方向に沿った直線部20sの長さの中間点とした。その結果、ターン2における直線部20sでの変位量は、平均で0.1mm程度であった。
【0104】
直線部20sでの変位量が角部20cでの変位量よりも小さくなった理由は、次のように考えられる。エッジワイズ曲げ加工時に平角線1の内周部1iを支持体812とフランジ813とで挟むので、内周部1iが固定される。そのため、角部20cでは、平角線1が折り曲げられ易い。これに対し、直線部20sでは、支持体812とフランジ813とが内周部1iとの間に隙間が形成されるような間隔で保持されているため、角部20cに比べて平角線1を折り曲げる力が加わり難い。このような、平角線1と、保持部810及びガイド部820との関係により、角部20cに比べて直線部20sの変位量が小さくなるものと考えられる。
【0105】
試料No.1の外観を目視で検査した。その結果、ターン2における平角線が幅方向の途中で折れ曲がっていることが一見して分からなかった。また、試料No.1では、本体部110の第一端部121において、第一端部ターン2aと、第一端部ターン2aに隣り合うターン2との間に隙間が形成されていた。つまり、第一端末部131が第一の方向に開いた状態になっていた。第一端部ターン2aと隣接するターン2との隙間は1.0mm程度である。この隙間は、第一端部ターン2aと隣接するターン2との隙間のうち、最も広い部分の隙間である。試料No.1について、本体部110の第一端部121に第一保持部材40aを組み付けたところ、容易に組み付けることができた。
【0106】
試料No.1について、ターン2間の隙間2gを測定した。隙間2gの測定は、実施形態で説明した測定方法を用いて行った。その結果、隙間2gは0.03mmであった。
【0107】
ガイド部820の変位量Gdを0mmにした以外は、試料No.1と同じ製造条件でコイルを製造した。このコイルを試料No.10とする。
【0108】
試料No.10では、試料No.1に比べて、本体部110の第一端部121において、第一端部ターン2aと、第一端部ターン2aに隣り合うターン2との間に隙間が小さかった。そのため、第一端末部131が第一の方向に十分に開いていなかった。試料No.10について、本体部110の第一端部121に第一保持部材40aを組み付けるには、第一端末部131を隣接するターン2から離れる方向に押し広げる必要があるなど、組み付け作業性が悪かった。第一端末部131を押し広げたときに、第一端末部131が曲がるおそれある。
【0109】
また、試料No.10について、ターン2間の隙間2gを測定した。隙間2gの測定は、実施形態で説明した測定方法を用いて行った。その結果、隙間2gは0.06mmであった。試料No.1は、試料No.10に比べて、隙間2gが小さく、寸法安定性に優れる。
【0110】
<コンバータ・電力変換装置>
実施形態のリアクトル100は、以下の通電条件を満たす用途に利用できる。通電条件としては、例えば、最大直流電流が100A以上1000A以下程度であり、平均電圧が100V以上1000V以下程度であり、使用周波数が5kHz以上100kHz以下程度であることが挙げられる。実施形態のリアクトル100は、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車両などに搭載されるコンバータの構成部品や、このコンバータを備える電力変換装置の構成部品に利用できる。実施形態のリアクトル100は、コイル10の端末部130とバスバー61,62との接続作業性に優れるため、コンバータや電力変換装置の生産性を向上できる。
【0111】
ハイブリッド自動車や電気自動車などの車両1200は、図18に示すようにメインバッテリ1210と、メインバッテリ1210に接続される電力変換装置1100と、メインバッテリ1210からの供給電力により駆動して走行に利用されるモータ1220とを備える。モータ1220は、代表的には、3相交流モータであり、走行時、車輪1250を駆動し、回生時、発電機として機能する。ハイブリッド自動車の場合、車両1200は、モータ1220に加えてエンジン1300を備える。図18では、車両1200の充電箇所としてインレットを示すが、プラグを備える形態とすることができる。
【0112】
電力変換装置1100は、メインバッテリ1210に接続されるコンバータ1110と、コンバータ1110に接続されて、直流と交流との相互変換を行うインバータ1120とを有する。この例に示すコンバータ1110は、車両1200の走行時、200V以上300V以下程度のメインバッテリ1210の入力電圧を400V以上700V以下程度にまで昇圧して、インバータ1120に給電する。コンバータ1110は、回生時、モータ1220からインバータ1120を介して出力される入力電圧をメインバッテリ1210に適合した直流電圧に降圧して、メインバッテリ1210に充電させている。入力電圧は、直流電圧である。インバータ1120は、車両1200の走行時、コンバータ1110で昇圧された直流を所定の交流に変換してモータ1220に給電し、回生時、モータ1220からの交流出力を直流に変換してコンバータ1110に出力している。
【0113】
コンバータ1110は、図19に示すように複数のスイッチング素子1111と、スイッチング素子1111の動作を制御する駆動回路1112と、リアクトル1115とを備え、ON/OFFの繰り返しにより入力電圧の変換を行う。入力電圧の変換とは、ここでは昇降圧を行う。スイッチング素子1111には、電界効果トランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタなどのパワーデバイスが利用される。リアクトル1115は、回路に流れようとする電流の変化を妨げようとするコイルの性質を利用し、スイッチング動作によって電流が増減しようとしたとき、その変化を滑らかにする機能を有する。リアクトル1115として、実施形態のリアクトル100を備える。
【0114】
車両1200は、コンバータ1110の他、メインバッテリ1210に接続された給電装置用コンバータ1150や、補機類1240の電力源となるサブバッテリ1230とメインバッテリ1210とに接続され、メインバッテリ1210の高圧を低圧に変換する補機電源用コンバータ1160を備える。コンバータ1110は、代表的には、DC-DC変換を行うが、給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160は、AC-DC変換を行う。給電装置用コンバータ1150のなかには、DC-DC変換を行うものもある。給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160のリアクトルに、実施形態のリアクトル100などと同様の構成を備え、適宜、大きさや形状などを変更したリアクトルを利用できる。また、入力電力の変換を行うコンバータであって、昇圧のみを行うコンバータや降圧のみを行うコンバータに、実施形態のリアクトル100を利用することもできる。
【符号の説明】
【0115】
100 リアクトル
10 コイル
110 本体部
120 端部、121 第一端部、122 第二端部
130 端末部、131 第一端末部、132 第二端末部
1 平角線
1i 内周部、1e 外周部、1b 屈曲部
1d 変位量
2 ターン、20s 直線部、20c 角部
2a 第一端部ターン、2b 第二端部ターン
2g 隙間
30 磁性コア、31 第一コア、32 第二コア
30i 内側コア部、30g ギャップ部
300 ミドルコア部
301 第一ミドルコア部、302 第二ミドルコア部
310 第一エンドコア部、320 第二エンドコア部
330 第一サイドコア部、340 第二サイドコア部
40 保持部材、40a 第一保持部材、40b 第二保持部材
41 第一面、42 第一領域
43 貫通孔、45 内側突起
51、52 固定部、51s、52s スリット
61、62 バスバー
800 曲げ加工部
810 保持部、811 シャフト、812 支持体、813 フランジ
812f 第一面、813f 第二面
820 ガイド部、821 ガイド溝
1100 電力変換装置、1110 コンバータ
1111 スイッチング素子、1112 駆動回路
1115 リアクトル、1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ、1160 補機電源用コンバータ
1200 車両
1210 メインバッテリ、1220 モータ
1230 サブバッテリ、1240 補機類、1250 車輪、1300 エンジン
Gd 変位量
本体部の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19