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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188873
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
A61M25/00 620
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097131
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】小池 悠太
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA02
4C267BB02
4C267BB06
4C267BB12
4C267BB13
4C267BB14
4C267BB43
4C267BB52
4C267BB63
4C267CC07
4C267FF01
4C267GG04
4C267GG10
4C267GG22
4C267GG23
4C267GG34
4C267HH14
4C267HH22
4C267HH30
(57)【要約】
【課題】更に操作性に優れた構造のカテーテルを提供する。
【解決手段】カテーテル100は、ルーメン20を有する長尺な管状本体10を備えており、管状本体10は、樹脂製の本体部23と、本体部23の外表面に形成されている表面潤滑層25と、を有し、本体部23は、外径が細径とされている細径部27を、軸方向における複数箇所に有し、管状本体10は、細径部27の形状を反映して、外径が細径となっている部分を軸方向における複数箇所に有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーメンを有する長尺な管状本体を備え、
前記管状本体は、樹脂製の本体部と、前記本体部の外表面に形成されている表面潤滑層と、を有し、
前記本体部は、外径が細径とされている細径部を、軸方向における複数箇所に有し、
前記管状本体は、前記細径部の形状を反映して、外径が細径となっている部分を軸方向における複数箇所に有するカテーテル。
【請求項2】
前記細径部と、前記細径部以外の部分と、で前記ルーメンの内径は互いに実質的に等しい請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記管状本体の先端部に設けられている2つ又は3つのマーカーを備え、
このうち最も基端側に配置されているマーカーよりも先端側に配置されている前記細径部の数が1である請求項1又は2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記管状本体の長手方向に沿って延在しており、牽引操作が可能な操作ワイヤを備え、
前記操作ワイヤの先端は、前記管状本体の先端部に固定されている請求項1から3のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記細径部と前記細径部以外の部分との外径の差が10μm以上50μm以下である請求項1から4のいずれか一項に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
体腔内に挿入され、薬液などの液体を体腔内に注入するために用いられるカテーテルとしては、例えば、特許文献1に記載のものがある。特許文献1のカテーテルは、長尺な管状部材である管状本体(同文献には、シャフト部と記載)と、管状本体の内腔によって構成されているルーメンと、を備えており、管状本体の外径(ただし、最先端部を除く)は、軸方向における位置にかかわらず略一定となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020―72769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者の検討によれば、特許文献1のカテーテルの構造では、カテーテルの操作性について、なお改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、更に操作性に優れた構造のカテーテルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、ルーメンを有する長尺な管状本体を備え、
前記管状本体は、樹脂製の本体部と、前記本体部の外表面に形成されている表面潤滑層と、を有し、
前記本体部は、外径が細径とされている細径部を、軸方向における複数箇所に有し、
前記管状本体は、前記細径部の形状を反映して、外径が細径となっている部分を軸方向における複数箇所に有するカテーテルが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カテーテルの操作性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るカテーテルの全体構成を示す模式図である。
図2】実施形態における管状本体の先端部を示す側面図である。
図3】実施形態における管状本体の先端部を示す縦断面図である。
図4図3に示すA-A線に沿った断面図である。
図5】実施形態における管状本体の縦断面図である。
図6図5に示すA-A線に沿った断面図である。
図7図7(a)及び図7(b)は実施形態に係るカテーテルの動作を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、図1から図7(b)を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。なお、図3及び図5は、管状本体10の軸方向に沿った断面図であり、このうち図3図1に示すA部の部分拡大図であり、図5図1に示すB部の部分拡大図である。
【0010】
以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更又は改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれる。
本発明のカテーテル100の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はない。複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
以下の説明において、カテーテル100の遠位側を先端側、その近位側を基端側ともいう。また、先端部は、遠位端(最先端)およびその周辺を含む一定の範囲を意味し、基端部とは、近位端(最基端)およびその周辺を含む一定の範囲を意味するものとする。
また、以下において、管状本体10の軸方向を単に軸方向と称したり、管状本体10の径方向を単に径方向と称したり、管状本体10の周方向を単に周方向と称したりする場合がある。
【0011】
図1から図6のいずれかに示すように、本実施形態に係るカテーテル100は、ルーメン20を有する長尺な管状本体10を備えている。
管状本体10は、樹脂製の本体部23と、本体部23の外表面に形成されている表面潤滑層25と、を有する。
本体部23は、外径が細径とされている細径部27を、軸方向における複数箇所に有し、管状本体10は、細径部27の形状を反映して、外径が細径となっている部分を軸方向における複数箇所に有する。
【0012】
本実施形態によれば、管状本体10は、細径部27の形状を反映して、外径が細径となっている部分を軸方向における複数箇所に有する。これにより、カテーテル100を体腔内に挿入する際に、本体部23の外表面と体腔の内壁面との接触面積を小さくすることができるので、体腔内においてカテーテル100が先端側に向けて摺動する際の摺動抵抗を低減することができる。よって、カテーテル100を体腔内にスムーズに挿入することができる。同様に、カテーテル100を体腔内から抜去する際にも、本体部23の外表面と体腔の内壁面との接触面積を小さくすることができるので、体腔内においてカテーテル100が基端側に向けて摺動する際の摺動抵抗を低減することができる。よって、カテーテル100を体腔内からスムーズに抜去することができる。
このように、本実施形態によれば、カテーテル100の良好な操作性を実現することができる。
【0013】
カテーテル100は、一例として、ルーメン20を介して造影剤や薬液等の液体を体腔内に供給するために用いられる。本実施形態の場合、カテーテル100は、後述する操作部70を有する能動カテーテルである。操作部70の操作により管状本体10の先端部10aを屈曲させてカテーテル100を選択的に指向させることが可能に構成されている。
ただし、カテーテル100は、例えば、操作部70を有していない非能動カテーテルであってもよい。
【0014】
管状本体10は、長尺な中空の管状部材である。
図3及び図4に示すように、管状本体10は、例えば、内層22と、内層22の周囲に設けられた本体部23と、を備える二層構造であり、管状本体10の軸心側から、内層22と本体部23との順に積層されて構成されている。管状本体10の肉厚の大部分(過半部)は、本体部23の肉厚によって占められている。
内層22は、管状本体10の最内層であり、例えば、肉厚が軸方向における位置にかかわらず一定の円管状に形成されている。内層22は、管状本体10の先端と基端との両端において開口している。本実施形態の場合、ルーメン20は、内層22の内周面によって画定されている。
内層22は、例えば、フッ素系の熱可塑性ポリマー樹脂により構成されている。フッ素系の熱可塑性ポリマー材料は、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)及びペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)などとすることができる。
ルーメン20は、管状本体10の先端から基端に亘って連続的に形成されており、管状本体10の先端と基端においてそれぞれ開口している。
【0015】
本実施形態の場合、図2図3及び図5に示すように、本体部23の外周面は、細径部27の形成領域と、細径部27が形成されていない非形成領域54と、含み、細径部27は、非形成領域54よりも径方向内側に向けて窪んでいる部分である。
より詳細には、図2及び図5に示すように、管状本体10は、例えば、各細径部27の形状を反映して、周回状に形成されている溝部57を軸方向における複数箇所に有する。各溝部57は、周方向において360度周回している。
各細径部27(各溝部57)は、例えば、軸方向において、互いに等間隔に配置されていてもよいし、互いに不等間隔に配置されていてもよい。また、軸方向における各細径部27の寸法は、互いに同一の寸法に設定されていてもよいし、互いに異なる寸法に設定されていてもよい。
非形成領域54は、最も先端側に配置されている細径部27よりも先端側の領域と、互いに隣り合う細径部27どうしの間の領域と、最も基端側に配置されている細径部27よりも基端側の領域と、を含む。
個々の非形成領域54の外径は、例えば、軸方向における位置にかかわらず実質的に略一定となっている。同様に、各細径部27の外径は、例えば、軸方向における位置にかかわらず実質的に略一定となっている。
ただし、個々の非形成領域54の外径は、管状本体10の基端から先端に向けて、徐々に又は段階的に縮径していてもよい。同様に、個々の細径部27の外径は、軸方向において徐々に又は段階的に変化していてもよい。この場合、少なくとも細径部27の外径の平均値が、非形成領域54の外径の平均値よりも小さいことが好ましい。
また、管状本体10の全体の外径は、例えば、管状本体10の基端から先端に向けて、徐々に又は段階的に縮径していてもよい。したがって、例えば、細径部27の全体の外径は、例えば、管状本体10の基端から先端に向けて、徐々に又は段階的に縮径していてもよい。
【0016】
ここで、本実施形態の場合、細径部27と、細径部27以外(非形成領域54)の部分と、でルーメン20の内径は互いに実質的に等しい。
なお、「実質的に等しい」とは、細径部27のルーメン20の内径と、細径部27以外の部分(非形成領域54)のルーメン20の内径との差が、非形成領域54のルーメン20の内径を基準として±10%未満であるとすることができる。
これにより、例えば、管状本体10のルーメン20内にガイドワイヤやその他の管状の医療機器を挿入する際の摺動抵抗を軽減することができる。
【0017】
上述のように、本実施形態の場合、管状本体10は、本体部23の外表面に形成されている表面潤滑層25を有する。
これにより、管状本体10が体腔内を摺動する際の摺動抵抗をより低減することができる。
また、本実施形態の場合、表面潤滑層25は、管状本体10(本体部23)の外表面における細径部27と非形成領域54との全域に亘って形成されている。したがって、表面潤滑層25は、細径部27及び非形成領域54の形状を反映して、凹凸形状となっている。
なお、表面潤滑層25は、例えば、管状本体10の長さ方向における一部分に選択的に形成されていてもよい。
表面潤滑層25の材料は、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)などの無水マレイン酸系ポリマーやその共重合体、ポリビニルピロリドンなどの親水性の樹脂材料であることが挙げられる。
【0018】
また、管状本体10は、例えば、補強層51(図3及び図4参照)を備えている。
補強層51は、例えば、本体部23に埋設されているブレード層53と、本体部23に埋設されている巻回ワイヤ55と、を含む。ブレード層53及び巻回ワイヤ55の各々は、管状本体10の先端側から基端部10bに亘って延在している。ブレード層53及び巻回ワイヤ55の各々は、例えば、内層22と同軸に配置されている。
ブレード層53は、複数本のワイヤを編組することにより構成されている。ブレード層53は、例えば、内層22の周囲に配置されている。
なお、第1中空管31及び第2中空管32は、例えば、ブレード層53よりも管状本体10の径方向外方(管状本体10の軸心から遠い位置)に配置されている。
ブレード層53を構成するワイヤの材料は、例えば、ステンレスやタングステンなどの金属材料が好ましいが、樹脂材料であってもよい。
巻回ワイヤ55は、補強層51、第1中空管31及び第2中空管32よりも管状本体10の径方向外方において巻回されている。
巻回ワイヤ55を構成するワイヤの材料は、例えば、ステンレスやタングステンなどの金属材料が好ましいが、樹脂材料であってもよい。
なお、これらの補強層51の形状は一例であり、補強層51は上記の構造に限定されない。
【0019】
管状本体10の外径(非形成領域54の外径)は、特に限定されないが、0.3mm以上1.2mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.4mm以上1.0mm以下である。管状本体10の内径は、特に限定されないが、0.2mm以上1.0mm以下であることが好ましい。また、管状本体10の全長は、特に限定されないが、500mm以上2000mm以下であることが好ましい。
【0020】
本実施形態の場合、更に、カテーテル100は、管状本体10の長手方向に沿って延在しており牽引操作が可能な操作ワイヤ40を備え、操作ワイヤ40の先端は、管状本体10の先端部10aに固定されている。
図3及び図4に示すように、操作ワイヤ40は、例えば、第1操作ワイヤ41及び第2操作ワイヤ42を含む。第1操作ワイヤ41と第2操作ワイヤ42とは、例えば、管状本体10の軸中心を基準として、互いに180度回転対称の位置に配置されている。
第1操作ワイヤ41及び第2操作ワイヤ42は、それぞれ金属又は樹脂などの細線により構成されている。
【0021】
本実施形態によれば、第1操作ワイヤ41と第2操作ワイヤ42とのうち第1操作ワイヤ41を選択的に牽引することにより、管状本体10の先端部10aを一方向に選択的に屈曲させることができる。
本実施形態の場合、第1操作ワイヤ41を牽引することにより管状本体10の先端部10aが屈曲する方向と、第2操作ワイヤ42を牽引することにより管状本体10の先端部10aが屈曲する方向とは、互いに反対方向となる。
【0022】
図3及び図4に示すように、管状本体10は、更に、それぞれ本体部23に埋設されている第1中空管31及び第2中空管32を備えている。
第1中空管31には第1操作ワイヤ41が挿通されており、第2中空管32には第2操作ワイヤ42が挿通されている。
第1中空管31及び第2中空管32は、それぞれサブルーメンチューブであり、これらサブルーメンチューブの内腔はサブルーメンである。すなわち、各操作ワイヤ40(第1操作ワイヤ41及び第2操作ワイヤ42)は、サブルーメンに挿通されている。
第1中空管31及び第2中空管32の内径は、ルーメン20の内径よりも小さい。
【0023】
第1中空管31及び第2中空管32の材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等の樹脂材料を用いることができる。
【0024】
図2に示すように、管状本体10の先端部10aには、放射線不透過性の金属材料により構成されているリング状の第1マーカー61が埋設されている。
第1マーカー61は、ルーメン20と同軸に、且つ、ルーメン20の周囲に配置されている。
第1マーカー61は、例えば、細径部27の周囲に配置されている。
【0025】
更に、管状本体10の先端部10aにおいて、第1マーカー61が埋設されている部位よりも基端側の部位には、放射線不透過性の金属材料により構成されているリング状の第2マーカー63(図2参照)が埋設されている。
第2マーカー63は、ルーメン20と同軸に、且つ、ルーメン20の周囲に配置されている。
第2マーカー63は、例えば、ブレード層53の周囲に配置されている。
【0026】
例えば、第1マーカー61と第2マーカー63とは互いに同一の内径を有している。例えば、第1マーカー61と第2マーカー63とは互いに同一の外径を有している。ただし、例えば、第1マーカー61の外径は、第2マーカー63の外径よりも大きくてもよい。
【0027】
第1操作ワイヤ41の先端及び第1中空管31の先端は、例えば、半田又は溶接等によって、軸方向における第1マーカー61の中央部に対して固定されている。
第2操作ワイヤ42の先端及び第2中空管32の先端は、例えば、半田又は溶接等によって、軸方向における第1マーカー61の中央部に対して固定されている。
したがって、第1操作ワイヤ41の先端と第2操作ワイヤ42の先端とは管状本体10の軸方向において互いに同位置(略同位置)に配置されている。
ただし、第1操作ワイヤ41の先端及び第1中空管31の先端は、例えば、第1マーカー61の基端に対して固定されていてもよい。同様に、第2操作ワイヤ42の先端及び第2中空管32の先端は、例えば、第1マーカー61の基端に対して固定されている。
【0028】
また、第1操作ワイヤ41の先端部及び第2操作ワイヤ42の先端部は、第1マーカー61に固定されることで、間接的に、管状本体10の先端部10aに固定されている。
【0029】
図3及び図5に示すように、第1操作ワイヤ41及び第2操作ワイヤ42は、管状本体10における第2マーカー63の配設領域よりも径方向外側の部分を通して、第2マーカー63よりも基端側の領域から第2マーカー63よりも先端側の領域へと引き回されている。
より詳細には、第1中空管31及び第2中空管32も、管状本体10における第2マーカー63の配設領域よりも径方向外側の部分を通して、第2マーカー63よりも基端側の領域から第2マーカー63よりも先端側の領域へと引き回されている。
【0030】
図1に示すように、本実施形態の場合、カテーテル100は、管状本体10の基端部に設けられているハブ91を有する。
ハブ91は、当該ハブ91の基端から図示しない注入器(シリンジ)を挿入するための連結部93を有している。
ハブ91の先端部には、管状本体10の基端部が差し込み固定されている。これにより、管状本体10の内側のルーメン20と、ハブ91の内部空間とが相互に連通している。
ハブ91の先端側には、以下に説明する操作部70の本体ケース70aが連接固定されている。
【0031】
図1に示すように、カテーテル100は、例えば、管状本体10の先端部10aの屈曲操作を行うための操作部70を備えている。操作部70に対し、第1操作ワイヤ41と第2操作ワイヤ42とのうち一方を選択的に牽引する操作が可能となっている。
【0032】
図1に示すように、操作部70は、例えば、本体ケース70aと、本体ケース70aに対して回転可能に軸支されているダイヤル操作部74と、を備えている。
管状本体10の基端部10bは、本体ケース70aの内部を通して、本体ケース70aの基端側に導かれており、ハブ91の先端部に差し込み固定されている。
ダイヤル操作部74の回転軸は、本体ケース70a内における管状本体10の軸心方向に対して直交している。
【0033】
図1に示すように、ダイヤル操作部74の少なくとも一部分が本体ケース70aの外部に露出しており、操作者がカテーテル100の操作を本体ケース70aの外部から行うことができるようになっている。
【0034】
また、操作部70は、例えば、牽引操作された状態で操作ワイヤ40を保持する保持機構75(図1参照)を有している。保持機構75を作動させることでカテーテル100の屈曲操作が規制され、管状本体10の先端部10aの形状が伸長状態または屈曲状態に保持される。
【0035】
第1操作ワイヤ41及び第2操作ワイヤ42の各々は、本体ケース70a内においてそれぞれ管状本体10から導出されている。
第1操作ワイヤ41の基端部は、例えば、ダイヤル操作部74に対して1周半巻回されて、当該第1操作ワイヤ41の基端がダイヤル操作部74に固定されている。
同様に、第2操作ワイヤ42の基端部は、例えば、ダイヤル操作部74に対して1周半巻回されて、当該第2操作ワイヤ42の基端がダイヤル操作部74に固定されている。
回転部材71に対する第1操作ワイヤ41の巻回方向と第2操作ワイヤ42の巻回方向とは互いに反対方向となっている。
ダイヤル操作部74に対する回転操作により、ダイヤル操作部74に対して固定されているダイヤル操作部74が一方向に回転すると、第1操作ワイヤ41と第2操作ワイヤ42とのうち第1操作ワイヤ41が選択的に基端側に牽引されるようになっている。
また、ダイヤル操作部74に対する回転操作により、ダイヤル操作部74が上記一方向に対する反対方向に回転すると、第1操作ワイヤ41と第2操作ワイヤ42とのうち第2操作ワイヤ42が選択的に基端側に牽引されるようになっている。
【0036】
より詳細には、第1操作ワイヤ41を選択的に基端側に牽引する操作が行われた場合には、図7(a)に示すように、管状本体10の先端部10aが一方向(以下、第1方向)に屈曲する。より詳細には、第1操作ワイヤ41に対して張力が付与され、管状本体10の軸心を基準として、第1操作ワイヤ41が挿通されている第1中空管31側に、管状本体10の先端部10aが屈曲する。
また、第2操作ワイヤ42を選択的に基端側に牽引する操作が行われた場合には、図7(b)に示すように、管状本体10の先端部10aが第2方向(第1方向に対する反対方向)に屈曲する。より詳細には、第2操作ワイヤ42に対して張力が付与され、管状本体10の軸心を基準として、第2操作ワイヤ42が挿通されている第2中空管32側に、管状本体10の先端部10aが屈曲する。ここで、例えば、第1方向と第2方向とは、互いに同一平面に含まれる方向である。
【0037】
このように、本実施形態によれば、管状本体10の先端部10aを第1方向に選択的に屈曲させる操作と、管状本体10の先端部10aを第2方向に選択的に屈曲させる操作と、が可能である。
【0038】
ここで、本実施形態の場合、図2から図6に示すように、細径部27は、例えば、第2マーカー63よりも先端側に配置されている先端側細径部28と、第2マーカー63よりも基端側に配置されている基端側細径部29と、を含む。
先端側細径部28の数は、一例として、1つである。すなわち、本実施形態の場合、カテーテル100は、管状本体10の先端部10aに設けられている2つのマーカー(第1マーカー61及び第2マーカー63)を備え、このうち最も基端側に配置されているマーカー(本実施形態の場合、第2マーカー63)よりも先端側に配置されている細径部27(本実施形態の場合、先端側細径部28)の数が1である。
これにより、図7(a)及び図7(b)に示すように、操作ワイヤ40を牽引することによって、主として細径部27(先端側細径部28)を起点として、先端部10aを屈曲させることができる。このため、本体部23における先端側細径部28の形成位置や、先端側細径部28の各寸法を適宜設定することによって、より確実に、先端部10aを意図した形状に屈曲させることができる。すなわち、先端部10aにおける屈曲位置のバラツキを抑制できる。よって、体腔(血管等)の各分岐部でのカテーテル100の分岐選択性が向上するので、カテーテル100の操作性をより向上させることができる。
ただし、例えば、本発明において、カテーテル100は、管状本体10の先端部10aに設けられている3つのマーカーを備え、このうち最も基端側に配置されているマーカーよりも先端側に配置されている細径部27の数が1であってもよい。この場合も、操作部70に対する牽引操作を行った際に、主として細径部27(先端側細径部28)を起点として、先端部10aを屈曲させることができる。
軸方向において、カテーテル100の最先端と先端側細径部28の基端との離間距離(図2に示すD2)は、例えば、5mm以上25mm以下であることが好ましく、より好ましくは10mm以上20mm以下である。
【0039】
一方、基端側細径部29の数は、一例として、複数であり、各基端側細径部29は、例えば、第2マーカー63よりも基端側から基端部10bに亘って、管状本体10の長手方向において間欠的に形成されている。すなわち、複数の基端側細径部29は、軸方向において互いに離間して配置されており、各基端側細径部29どうしの間に非形成領域54が介在している。
軸方向において、互いに隣り合って配置されている基端側細径部29どうしの離間距離(図5に示すD3)は、例えば、250μm以上750μm以下であることが好ましく、より好ましくは400μm以上600μm以下である。
本実施形態の場合、一例として、各基端側細径部29は、軸方向において、互いに等間隔で周期的に配置されている。また、各基端側細径部29は、互いに略同等の寸法及び形状に形成されている。したがって、各基端側細径部29どうしの離間距離D3は、互い略同等の寸法となっている。ただし、例えば、各基端側細径部29は、軸方向において、互いに不等間隔に配置されていてもよい。また、各基端側細径部29は、互いに異なる寸法及び形状に形成されていてもよい。したがって、各基端側細径部29どうしの離間距離D3は、互いに異なる寸法となっていてもよい。
【0040】
軸方向において、各基端側細径部29のうち最も先端側に配置されている基端側細径部29の先端と、先端側細径部28の基端と、の離間距離(図2に示すD1)は、例えば、10mm以上であることが好ましい。
【0041】
軸方向における先端側細径部28の寸法(図3に示すL1)は、例えば、先端側細径部28の外径(図4に示すR1)以上であることが好ましい。より詳細には、軸方向における先端側細径部28の寸法L1は、特に限定されないが、例えば、1mm以上5mm以下であることが好ましく、より好ましくは2mm以上4mm以下である。
先端側細径部28の外径R1は、特に限定されないが、例えば、600μm以上1100μm以下であることが好ましく、より好ましくは700μm以上1000μm以下である。
【0042】
軸方向における各基端側細径部29の寸法(図5に示すL2)は、特に限定されないが、例えば、250μm以上750μm以下であることが好ましく、より好ましくは400μm以上600μm以下である。
各基端側細径部29の外径(図6に示すR2)は、特に限定されないが、例えば、600μm以上1100μm以下であることが好ましく、より好ましくは700μm以上1000μm以下である。
【0043】
ここで、本実施形態の場合、細径部27(本実施形態の場合、先端側細径部28及び基端側細径部29)と細径部27以外(非形成領域54)の部分との外径の差が10μm以上50μm以下であることが好ましい。
このようにすることにより、管状本体10を体腔や別の管状体に挿入する際の摺動抵抗を良好に低減することができる。
【0044】
本実施形態の場合、複数の細径部27を形成する手法としては、特に限定されないが、例えば、軸方向において、相対的に細径の樹脂チューブ(不図示)と、相対的に大径の樹脂チューブ(不図示)と、を交互に繰り返し配置し、これらの樹脂チューブを熱融着によって互いに接合させることによって形成することができる。
ただし、この手法の他にも、複数の細径部27を形成する手法として、所望の細径部27の数や寸法に応じて、レーザ加工等により管状本体10の本体部23の表層の一部分を切削する手法や、ナノインプリントなどの微細加工によって凹凸を転写する手法等を挙げることができる。
【0045】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0046】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)ルーメンを有する長尺な管状本体を備え、
前記管状本体は、樹脂製の本体部と、前記本体部の外表面に形成されている表面潤滑層と、を有し、
前記本体部は、外径が細径とされている細径部を、軸方向における複数箇所に有し、
前記管状本体は、前記細径部の形状を反映して、外径が細径となっている部分を軸方向における複数箇所に有するカテーテル。
(2)前記細径部と、前記細径部以外の部分と、で前記ルーメンの内径は互いに実質的に等しい(1)に記載のカテーテル。
(3)前記管状本体の先端部に設けられている2つ又は3つのマーカーを備え、
このうち最も基端側に配置されているマーカーよりも先端側に配置されている前記細径部の数が1である(1)又は(2)に記載のカテーテル。
(4)前記管状本体の長手方向に沿って延在しており、牽引操作が可能な操作ワイヤを備え、
前記操作ワイヤの先端は、前記管状本体の先端部に固定されている(1)から(3)のいずれか一項に記載のカテーテル。
(5)前記細径部と前記細径部以外の部分との外径の差が10μm以上50μm以下である(1)から(4)のいずれか一項に記載のカテーテル。
【符号の説明】
【0047】
10 管状本体
10a 先端部
10b 基端部
20 ルーメン
22 内層
23 本体部
25 表面潤滑層
27 細径部
28 先端側細径部
29 基端側細径部
31 第1中空管
32 第2中空管
41 第1操作ワイヤ
42 第2操作ワイヤ
51 補強層
53 ブレード層
54 非形成領域
55 巻回ワイヤ
57 溝部
61 第1マーカー
63 第2マーカー
70 操作部
70a 本体ケース
71 回転部材
74 ダイヤル操作部
75 保持機構
91 ハブ
93 連結部
100 カテーテル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7