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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188874
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】磁気ヘッド及び磁気記録装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/31 20060101AFI20221215BHJP
   G11B 5/02 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
G11B5/31 A
G11B5/31 E
G11B5/31 Q
G11B5/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097133
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】中川 裕治
(72)【発明者】
【氏名】成田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】高岸 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】前田 知幸
(72)【発明者】
【氏名】永澤 鶴美
(72)【発明者】
【氏名】山田 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】喜々津 哲
【テーマコード(参考)】
5D091
【Fターム(参考)】
5D091AA10
5D091CC30
(57)【要約】
【課題】記録密度の向上が可能な磁気ヘッド及び磁気記録装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、磁気ヘッドは、第1磁極と、第2磁極と、磁性素子と、磁性部材と、を含む。磁性素子は、第1磁極と第2磁極との間に設けられ、第1磁性層を含む。磁性部材は、第1磁性部を含む。第1磁性部から磁性素子への第2方向は、第1磁極から第2磁極への第1方向と交差する。第1磁性部は、磁性材料を含む。磁性材料は、第1材料、第2材料及び第3材料の少なくともいずれかを含む。第1材料は、MnSn、MnGe及びMnGaよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2材料は、Mn及びNiを含み立方晶または正方晶の化合物、γ相のMnを含む立方晶合金、及び、Feを含む立方晶合金よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3材料は、反強磁性体を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられ、第1磁性層を含む磁性素子と、
第1磁性部を含む磁性部材であって、前記第1磁性部から前記磁性素子への第2方向は、前記第1磁極から前記第2磁極への第1方向と交差した、前記磁性部材と、
を備え、
前記第1磁性部は、第1材料、第2材料及び第3材料の少なくともいずれかを含む磁性材料を含み、
前記第1材料は、MnSn、MnGe及びMnGaよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
第2材料は、Mn及びNiを含み立方晶または正方晶の化合物、γ相のMnを含む立方晶合金、及び、Feを含む立方晶合金よりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3材料は、反強磁性体を含む、磁気ヘッド。
【請求項2】
複数の端子をさらに備え、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される素子電流は、前記磁性素子を前記第1方向に沿って流れ、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される第1磁性部電流は、前記第1磁性部を前記第1方向に沿って流れる、請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項3】
第1導電部を含む導電部材と、
複数の端子と、
をさらに備え、
前記第1導電部から前記第1磁性部への方向は前記第2方向に沿い、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される素子電流は、前記磁性素子を前記第1方向に沿って流れ、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される第1磁性部電流は、前記第1磁性部を前記第1方向に沿って流れ、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される第1導電部電流は、前記第1導電部を前記第1方向に沿って流れる、請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項4】
前記導電部材は、Pt、Pd、Au、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項3記載の磁気ヘッド。
【請求項5】
前記第1磁極及び前記第2磁極の少なくともいずれかは、媒体対向面を含み、
前記第1方向と前記媒体対向面との間の角度の絶対値は、10度以下であり、
前記第2方向は、前記媒体対向面に沿う、請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項6】
前記第1磁極及び前記第2磁極の少なくともいずれかは、媒体対向面を含み、
前記第1方向と前記媒体対向面との間の角度の絶対値は、10度以下であり、
前記第2方向は、前記媒体対向面と交差する、請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項7】
前記磁性部材は、前記磁性材料を含む第2磁性部をさらに含み、
前記磁性素子は、前記第2方向において前記第1磁性部と前記第2磁性部との間にある、請求項3記載の磁気ヘッド。
【請求項8】
第1導電部及び第2導電部を含む導電部材と、
複数の端子と、
をさらに備え、
前記磁性素子は、前記第2方向において前記第1導電部と前記第2導電部との間にあり、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される素子電流は、前記磁性素子を前記第1方向に沿って流れ、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される第1磁性部電流は、前記第1磁性部を前記第1方向に沿って流れ、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される第1導電部電流は、前記第1導電部を前記第1方向に沿って流れ、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される第2磁性部電流は、前記第2磁性部を前記第1方向に沿って流れ、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される第2導電部電流は、前記第2導電部を前記第1方向に沿って流れる、請求項7記載の磁気ヘッド。
【請求項9】
前記磁性部材は、前記磁性材料を含む第3磁性部をさらに含み、
前記磁性素子から前記第3磁性部への方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う、請求項7または8に記載の磁気ヘッド。
【請求項10】
請求項2に記載の磁気ヘッドと、
電気回路と、
を備え、
前記電気回路は、前記磁性素子に前記素子電流を供給可能であり、前記第1磁性部に前記第1磁性部電流を供給可能である、磁気記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気ヘッド及び磁気記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ヘッドを用いて、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体に情報が記録される。磁気ヘッド及び磁気記録装置において、記録密度の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-70541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、記録密度の向上が可能な磁気ヘッド及び磁気記録装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、磁気ヘッドは、第1磁極と、第2磁極と、磁性素子と、磁性部材と、を含む。前記磁性素子は、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられ、第1磁性層を含む。前記磁性部材は、第1磁性部を含む。前記第1磁性部から前記磁性素子への第2方向は、前記第1磁極から前記第2磁極への第1方向と交差する。前記第1磁性部は、磁性材料を含む。前記磁性材料は、第1材料、第2材料及び第3材料の少なくともいずれかを含む。前記第1材料は、MnSn、MnGe及びMnGaよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2材料は、Mn及びNiを含み立方晶または正方晶の化合物、γ相のMnを含む立方晶合金、及び、Feを含む立方晶合金よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。前記第3材料は、反強磁性体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図的斜視図である。
図3図3は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図7図7(a)及び図7(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図8図8(a)及び図8(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図9図9(a)及び図9(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図10図10(a)及び図10(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図11図11(a)及び図11(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図12図12(a)及び図12(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図13図13(a)及び図13(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図14図14(a)及び図14(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図15図15(a)及び図15(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図16図16(a)及び図16(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図17図17(a)及び図17(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図18図18(a)及び図18(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図19図19(a)及び図19(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図20図20(a)及び図20(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図21図21(a)及び図21(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図22図22(a)及び図22(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図23図23は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図24図24は、実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図25図25は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図26図26は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図27図27は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図28図28(a)及び図28(b)は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図1(a)は、断面図である。図1(b)は、図1(a)の矢印AR1から見た平面図である。
図2は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図的斜視図である。
図3は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図3に示すように、実施形態に係る磁気記録装置210は、磁気ヘッド110と、電気回路20Dと、を含む。磁気記録装置210は、磁気記録媒体80を含んでも良い。磁気記録装置210において、少なくとも記録動作が行われる。記録動作において、磁気ヘッド110を用いて磁気記録媒体80に情報が記録される。
【0009】
磁気ヘッド110は、記録部60を含む。後述するように、磁気ヘッド110は、再生部を含んでも良い。記録部60は、第1磁極31と、第2磁極32と、磁性素子20と、を含む。磁性素子20は、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられる。
【0010】
例えば、第1磁極31及び第2磁極32は、磁気回路を形成する。第1磁極31は、例えば、主磁極である。第2磁極32は、例えば、トレーリングシールドである。第1磁極31がトレーリングシールドで、第2磁極32が主磁極でも良い。
【0011】
磁気記録媒体80から磁気ヘッド110への方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。Z軸方向は、例えばハイト方向に対応する。X軸方向は、例えば、ダウントラック方向に対応する。Y軸方向は、例えば、クロストラック方向に対応する。ダウントラック方向に沿って、磁気記録媒体80と磁気ヘッド110とが相対的に移動する。磁気記録媒体80の所望の位置に、磁気ヘッド110から生じる磁界(記録磁界)が印加される。磁気記録媒体80の所望の位置の磁化が、記録磁界に応じた方向に制御される。これにより、磁気記録媒体80に情報が記録される。
【0012】
第1磁極31から第2磁極32への方向を第1方向D1とする。第1方向D1は、実質的にX軸方向に沿う。実施形態において、第1方向D1は、X軸方向に対して、小さい角度で傾斜しても良い。第1方向D1とX軸方向との間の角度の絶対値は、例えば、30度以下である。
【0013】
図3に示すように、コイル30cが設けられる。この例では、コイル30cの一部は、第1磁極31と第2磁極32との間にある。この例では、シールド33が設けられている。X軸方向において、シールド33と第2磁極32との間に第1磁極31がある。コイル30cの別の一部が、シールド33と第1磁極31との間にある。これらの複数の要素の間の少なくとも一部に、絶縁部材30iが設けられる。シールド33は、例えば、リーディングシールドである。磁気ヘッド110は、サイドシールド(図示しない)を含んでも良い。
【0014】
図3に示すように、記録回路30Dから、コイル30cに記録電流Iwが供給される。第1磁極31から、記録電流Iwに応じた記録磁界が磁気記録媒体80に印加される。
【0015】
図3に示すように、第1磁極31及び第2磁極31の少なくともいずれかは、媒体対向面30Fを含む。媒体対向面30Fは、例えば、ABS(Air Bearing Surface)である。媒体対向面30Fは、例えば、磁気記録媒体80に対向する。媒体対向面30Fは、例えば、X-Y平面に沿う。例えば、第1方向D1は、媒体対向面30Fに沿う。第1方向D1と媒体対向面30Fとの間の角度の絶対値は、例えば、30度以下である。
【0016】
図3に示すように、電気回路20Dが、磁性素子20と電気的に接続される。この例では、磁性素子20は、第1磁極31及び第2磁極32と電気的に接続される。磁気ヘッド110に、第1端子T1及び第2端子T2が設けられる。第1端子T1は、第1配線W1及び第1磁極31を介して磁性素子20と電気的に接続される。第2端子T2は、第2配線W2及び第2磁極32を介して磁性素子20と電気的に接続される。電気回路20Dから、例えば、電流(例えば、直流電流)が磁性素子20に供給される。
【0017】
図1(a)に示すように、磁性素子20は、第1磁性層21を含む。第1磁性層21は、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられる。この例では、磁性素子20は、第1非磁性層21n及び第2非磁性層22nをさらに含む。第1非磁性層21nは、第1磁極31と第1磁性層21との間に設けられる。第2非磁性層22nは、第1磁性層21と第2磁極32との間に設けられる。第1磁性層21は、例えば強磁性層である。第1磁性層21は、例えば、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0018】
例えば、第1非磁性層21nは、第1磁極31及び第1磁性層21と接して良い。第2非磁性層22nは、第1磁性層21及び第2磁極32と接して良い。
【0019】
図1(b)に示すように、このような磁性素子20に素子電流20iが供給される。素子電流20iは、例えば、上記の電気回路20Dから供給される。図1(b)に示すように、素子電流20iは、第1磁極31から第2磁極32への向きを有する。図1(b)に示すように、素子電流20iに伴う電子流jeは、第2磁極32から第1磁極31への向きを有する。
【0020】
例えば、しきい値以上の素子電流20iが磁性素子20を流れることで、第1磁性層21の磁化の向きが反転する。これにより、磁極から発生した磁界(記録磁界)は、磁性素子20に向かい難くなり、磁気記録媒体80に向かい易くなる。記録磁界がより有効に磁気記録媒体80に印加される。これにより、より効率的な記録が可能になる。この場合、磁性素子20は、FCL(Flux Control Layer)として機能する。
【0021】
後述するように、磁性素子20は、別の磁性層(第2磁性層)及び別の非磁性層(第3非磁性層)をさらに含んでも良い。この構成において、しきい値以上の素子電流20iが磁性素子20を流れることで、磁性素子20に含まれる磁性層(第1磁性層21または第2磁性層)の磁化が発振する。磁性素子20は、例えばSTO(Spin-Torque Oscillator)として機能する。発振に伴い、磁性素子20から交流磁界(例えば高周波磁界)が発生する。磁性素子20で発生した交流磁界が磁気記録媒体80に印加され、磁気記録媒体80への書き込みがアシストされる。例えば、MAMR(Microwave Assisted Magnetic Recording)が実施可能である。
【0022】
このように、磁性素子20が設けられることで、より効果的な磁気記録が実施できる。磁性素子20に素子電流20iが流れたときに、磁性素子20の温度が過度に上昇し、所望の動作が得にくくなる場合がある。磁性素子20の熱を効果的に排出することで、磁性素子20の温度の上昇が抑制でき、所望の動作が効率的に実施できる。
【0023】
図1(b)及び図2に示すように、実施形態においては、磁気ヘッド110において、磁性部材40が設けられる。磁性部材40は、第1磁性部41を含む。磁性部材40は、第2磁性部42及び第3磁性部43をさらに含んでも良い。第1磁性部41、第2磁性部42及び第3磁性部43は、後述する磁性材料を含む。図2においては、絶縁部材30iが省略されている。
【0024】
図1(b)及び図2に示すように、第1磁性部41から磁性素子20(例えば第1磁性層21)への第2方向D2は、第1磁極31から第2磁極32への第1方向D1と交差する。
【0025】
磁性部材40が第1磁性部41及び第2磁性部42を含む場合、磁性素子20(例えば第1磁性層21)は、第2方向D2において第1磁性部41と第2磁性部42との間にある。第1磁性部41と第2磁性部42の位置は、互いに入れ替え可能である。
【0026】
磁性部材40が第3磁性部43を含む場合、磁性素子20(例えば第1磁性層21)から第3磁性部43への方向は、第3方向D3に沿う。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。第3方向D3は、実質的にZ軸方向に沿って良い。図1(a)に示すように、磁気記録媒体80と第3磁性部43との間に磁性素子20(第1磁性層21)がある。例えば、媒体対向面30Fと第3磁性部43との間に、磁性素子20の少なくとも一部がある。
【0027】
第1磁性部41、第2磁性部42及び第3磁性部43は、互いに連続して良い。第1磁性部41、第2磁性部42及び第3磁性部43の間の境界は、明確でも良く、不明確でも良い。第1磁性部41、第2磁性部42及び第3磁性部43の間が分断されても良い。後述するように、第3磁性部43の位置に第1磁性部41が設けられても良い。
【0028】
第1磁性部41、第2磁性部42及び第3磁性部43に含まれる磁性材料は、第1材料、第2材料及び第3材料の少なくともいずれかを含む。第1材料は、MnSn、MnGe及びMnGaよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2材料は、Mn及びNiを含み立方晶または正方晶の化合物、γ相のMnを含む立方晶合金、及び、Feを含む立方晶合金よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3材料は、反強磁性体を含む。
【0029】
このような磁性材料を含む磁性部材40に磁界が印加された状態で電流が流れることで、磁性素子20の熱を効率良く伝達し、熱を効率良く排出することができる。例えば、磁性素子20は、冷却される。これは、例えば、異常エッチングスハウゼン効果によると考えられる。これにより、磁性素子20の温度の上昇が抑制され、所望の動作が効率的に実施できる。例えば、磁性層の磁化の向きの反転により、記録磁界が効果的に磁気記録媒体80に印加される。または、安定した磁化の発振が得られ、効率的なアシスト動作が実施できる。これにより、記録密度の向上が可能な磁気ヘッドが提供できる。
【0030】
磁性部材40に印加される磁界は、例えば、第1磁極31及び第2磁極32の少なくともいずれかから生じる磁界で良い。磁性部材40に印加される磁界は、例えば、サイドシールドから生じる磁界でも良い。例えば、磁性部材40に印加される磁界は、例えば、磁性素子20に流れる素子電流20iに基づく磁界でも良い。
【0031】
図1(a)及び図1(b)に示すように、磁気ヘッド110は、複数の端子38を含んでも良い。複数の端子38は、例えば、端子38a~端子38hなどを含んで良い。これらの端子38の少なくとも2つが共通に用いられても良い。これらの複数の端子38により、磁性素子20及び磁性部材40に電流が供給される。例えば、端子38aは、図3に例示した第1端子T1に対応して良い。例えば、端子38bは、図3に例示した第2端子T2に対応して良い。
【0032】
図1(b)に示すように、例えば、複数の端子38の少なくとも一部(例えば、端子38a及び端子38b)を経由して供給される素子電流20iは、磁性素子20を第1方向D1に沿って流れる。これにより、第1磁性層21の磁化が反転する。または、発振が生じる。
【0033】
複数の端子38の少なくとも一部(端子38c及び端子38d)を経由して供給される第1磁性部電流41iは、第1磁性部41を第1方向D1に沿って流れる。これにより、熱流41hが生じる。熱流41hの向きは、例えば、磁性素子20から第1磁性部41への向きの成分を含む。熱流41hにより、磁性素子20の熱が効率的に排出される。
【0034】
図1(b)に示すように、複数の端子38の少なくとも一部(端子38e及び端子38f)を経由して供給される第2磁性部電流42iは、第2磁性部42を第1方向D1に沿って流れる。これにより、熱流42hが生じる。熱流42hの向きは、例えば、磁性素子20から第2磁性部42への向きの成分を含む。熱流42hにより、磁性素子20の熱が効率的に排出される。
【0035】
図1(a)に示すように、複数の端子38の少なくとも一部(端子38g及び端子38h)を経由して供給される第3磁性部電流43iは、第3磁性部43を第1方向D1に沿って流れる。これにより、熱流43hが生じる。熱流43hの向きは、例えば、磁性素子20から第3磁性部43への向きの成分を含む。熱流43hにより、磁性素子20の熱が効率的に排出される。
【0036】
例えば、端子38a~端子38hの少なくともいずれかが省略され、第1~第3磁性部電流41i~43iの少なくともいずれかが、端子38a及び38b(例えば第1端子T1及び第2端子T2)を経由して供給されて良い。
【0037】
図1(b)に示すように、第1磁性部41の磁化41Mの向きは、第3方向D3に沿って良い。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。第2磁性部42の磁化42Mの向きは、第3方向D3に沿って良い。第2磁性部42の磁化42Mの向きは、第1磁性部41の磁化41Mの向きと逆の成分を含むことが好ましい。安定した磁化が得やすい。熱が排出されやすい。図1(a)に示すように、第3磁性部43の磁化43Mの向きは、第2方向D2に沿って良い。第3磁性部43の磁化43Mの向きは、第1磁性部41の磁化41M、及び、第2磁性部42の磁化42Mが生じる磁界の向きに沿う成分を含むことが好ましい。安定した磁化が得やすい。熱が排出されやすい。例えば、第1磁性部41、第2磁性部42及び第3磁性部43において、磁化の向きは連続的に変化して良い。
【0038】
磁性部材40の磁性材料が反強磁性である場合は、第1~第3磁性部41~43における磁化の向きは不明確で良い。
【0039】
例えば、第1~第3磁性部41~43は、第2方向D2において、第1磁極31と重ならない。例えば、第1~第3磁性部41~43は、第2方向D2において、第2磁極32と重ならない。
【0040】
図4(a)及び図4(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図4(a)は、断面図である。図4(b)は、図4(a)の矢印AR1から見た平面図である。
図4(a)及び図4(b)に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド111においても、磁性部材40は第1~第3磁性部41~43を含む。磁気ヘッド111においては、第1磁性部電流41iの向きは、素子電流20iの向きとは逆である。例えば、第2磁性部電流42iの向きは、素子電流20iの向きとは逆である。第3磁性部電流43iの向きは、素子電流20iの向きとは逆である。磁気ヘッド111においても、第1~第3磁性部電流41i~43iは、第1方向D1に沿う。
【0041】
例えば、磁気ヘッド111においては、磁性部材40に含まれる磁性材料における磁気熱電効果の符号が、磁気ヘッド110におけるそれとは逆である。または、例えば、磁気ヘッド111において、磁性部材40における磁化の向きが、磁気ヘッド110におけるそれとは逆である。磁気ヘッド111においても、熱流41h~43hにより、磁性素子20の熱を効率的に排出できる。
【0042】
磁性部材40に印加される磁界は、例えば、第1磁極31及び第2磁極32の少なくともいずれかから生じる磁界で良い。磁性部材40に印加される磁界は、例えば、サイドシールドから生じる磁界でも良い。例えば、磁性部材40に印加される磁界は、例えば、磁性素子20に流れる素子電流20iに基づく磁界でも良い。
【0043】
図5(a)及び図5(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図5(a)は、断面図である。図5(b)は、図5(a)の矢印AR1から見た平面図である。
図5(a)及び図5(b)に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド112は、導電部材50をさらに含む。これを除く磁気ヘッド112の構成は、磁気ヘッド110または磁気ヘッド111の構成と同様で良い。
【0044】
導電部材50は、第1導電部51を含む。この例では、導電部材50は、第2導電部52及び第3導電部53をさらに含む。
【0045】
第1導電部51から第1磁性部41への方向は、第2方向D2に沿う。複数の端子38の少なくとも一部(端子38a及び端子38b)を経由して供給される素子電流20iは、磁性素子20を第1方向D1に沿って流れる。複数の端子38の少なくとも一部(端子38c及び端子38d)を経由して供給される第1磁性部電流41iは、第1磁性部41を第1方向D1に沿って流れる。複数の端子38の少なくとも一部(端子38i及び端子38j)を経由して供給される第1導電部電流51iは、第1導電部51を第1方向D1に沿って流れる。
【0046】
このような導電部材50(第1導電部51)に第1導電部電流51iが流れると、磁性部材40(第1磁性部41)の磁化が適切に制御される。これは、例えば、導電部材50から磁性部材40に注入されるスピン軌道トルクに基づくと考えられる。例えば、第1磁極31及び第2磁極32の少なくともいずれかで生じる記録磁界の向きが変化したときにも、磁性部材40の磁化が適切に制御される。このような磁性部材40に電流(第1~第3磁性部電流41i~43i)が供給されることで、熱流41hなどが適切に生じる。これより、磁性素子20の熱を効率的に排出できる。
【0047】
例えば、磁気ヘッド112において、磁性部材40に含まれる磁性材料における磁気熱電効果の符号が、磁気ヘッド110におけるそれと同じであり、導電部材50(第1~第3導電部51~53)は、例えば、Pt、Pd及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。導電部材50は、例えば、重金属を含む。これらの材料において、スピン軌道トルクの符号(例えばスピンホール角)は、正である。このような材料を含む導電部材50に電流が流れることで、磁性部材40の磁化が効率的に制御できる。
【0048】
または、例えば、磁気ヘッド112において、磁性部材40に含まれる磁性材料における磁気熱電効果の符号が、磁気ヘッド110におけるそれとは逆であり、導電部材50(第1~第3導電部51~53)は、例えば、Ta(例えばβ-Ta)、及び、W(例えばβ-W)よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。導電部材50は、例えば、重金属を含む。これらの材料において、スピン軌道トルクの符号(例えばスピンホール角)は、負である。このような材料を含む導電部材50に電流が流れることで、磁性部材40の磁化が効率的に制御できる。
【0049】
図5(b)に示すように、第1磁性層21は、第2方向D2において、第1導電部51と第2導電部52との間にある。既に説明したように、複数の端子38の少なくとも一部(端子38e及び端子38f)を経由して供給される第2磁性部電流42iは、第2磁性部42を第1方向D1に沿って流れる。複数の端子38の少なくとも一部(端子38k及び端子38l)を経由して供給される第2導電部電流52iは、第2導電部52を第1方向D1に沿って流れる。
【0050】
図5(b)に示すように、この例では、第1磁性部41は、第2方向D2において、第1導電部51と磁性素子20(第1磁性層21)との間にある。第2磁性部42は、第2方向D2において、磁性素子20(第1磁性層21)と第2導電部52との間にある。
【0051】
図5(a)に示すように、磁性素子20(第1磁性層21)から第3導電部53への方向は、第3方向D3に沿う。この例では、第3磁性部43は、磁性素子20(第1磁性層21)と、第3導電部53と、の間にある。既に説明したように、複数の端子38の少なくとも一部(端子38g及び端子38h)を経由して供給される第3磁性部電流43iは、第3磁性部43を第1方向D1に沿って流れる。複数の端子38の少なくとも一部(端子38m及び端子38n)を経由して供給される第3導電部電流53iは、第3導電部53を第1方向D1に沿って流れる。
【0052】
例えば、端子38i~端子38nの少なくともいずれかが省略され、第1~第3導電部電流51i~53iの少なくともいずれかが、端子38a及び38b(例えば第1端子T1及び第2端子T2)を経由して供給されて良い。第1~第3導電部電流51i~53iの少なくともいずれかが、端子38a~38hの少なくともいずれかを経由して供給されて良い。
【0053】
1つの例において、導電部材50は、磁性部材40と接する。後述するように、導電部材50と磁性部材40との間に非磁性部材が設けられても良い。
【0054】
図6(a)及び図6(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図6(a)は、断面図である。図6(b)は、図6(a)の矢印AR1から見た平面図である。
図6(a)及び図6(b)に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド113は、導電部材50をさらに含む。これを除く磁気ヘッド113の構成は、磁気ヘッド110または磁気ヘッド111の構成と同様で良い。導電部材50は、第1導電部51を含む。この例では、導電部材50は、第2導電部52及び第3導電部53をさらに含む。
【0055】
磁気ヘッド113においても、第1導電部51から第1磁性部41への方向は、第2方向D2に沿う。磁気ヘッド113においては、第1導電部51は、第2方向D2において、第1磁性部41と磁性素子20(第1磁性層21)との間にある。第2導電部52は、第2方向D2において、磁性素子20(第1磁性層21)と第2磁性部42との間にある。第3導電部53は、磁性素子20(第1磁性層21)と第3磁性部43との間にある。
【0056】
磁気ヘッド113において、磁性部材40に含まれる磁性材料における磁気熱電効果の符号が、磁気ヘッド110におけるそれと同じであり、導電部材50(第1~第3導電部51~53)は、例えば、Ta(例えばβ-Ta)、及び、W(例えばβ-W)よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。導電部材50は、例えば、重金属を含む。これらの材料において、スピン軌道トルクの符号(例えばスピンホール角)は、負である。このような材料を含む導電部材50に電流が流れることで、磁性部材40の磁化が効率的に制御できる。
【0057】
例えば、磁気ヘッド113において、磁性部材40に含まれる磁性材料における磁気熱電効果の符号が、磁気ヘッド110におけるそれとは逆であり、導電部材50(第1~第3導電部51~53)は、例えば、Pt、Pd及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。導電部材50は、例えば、重金属を含む。これらの材料において、スピン軌道トルクの符号(例えばスピンホール角)は、正である。このような材料を含む導電部材50に電流が流れることで、磁性部材40の磁化が効率的に制御できる。
【0058】
例えば、導電部材50(第1~第3導電部51~53)に電流(第1~第3導電部電流51i~53i)が流れることで、磁性部材40(第1~第3磁性部41~43)の磁化が適切に制御される。これは、例えば、導電部材50から磁性部材40に注入されるスピン軌道トルクに基づくと考えられる。例えば、第1磁極31及び第2磁極32の少なくともいずれかで生じる記録磁界の向きが変化したときにも、磁性部材40の磁化が適切に制御される。このような磁性部材40に電流(第1~第3磁性部電流41i~43i)が供給されることで、熱流41h~43hなどが適切に生じる。これより、磁性素子20の熱を効率的に排出できる。
【0059】
磁気ヘッド110~113の例においては、第1磁性部41から磁性素子20への方向(第2方向D2)は、媒体対向面30Fに沿う。例えば、第1磁性部41は、磁性素子20の側面に対向する。既に説明したように、第1方向D1は、媒体対向面30Fに沿う。例えば、第1方向D1と媒体対向面30Fとの間の角度の絶対値は、30度以下(10以下でも良い)である。以下に説明するように、磁性部材40に設けられる第1磁性部41が、磁性素子20の上に設けられても良い。
【0060】
図7(a)及び図7(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図7(a)は、断面図である。図7(b)は、図7(a)の矢印AR1から見た平面図である。
図7(a)及び図7(b)に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド112xは、非磁性部材55を含む。これを除く磁気ヘッド112xの構成は、磁気ヘッド112の構成と同様で良い。非磁性部材55は、磁性部材40と導電部材50との間に設けられる。非磁性部材55は、磁性部材40及び導電部材50と接して良い。非磁性部材55は、例えば、Cu、Au、Cr、Al、V及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、非磁性部材55により、磁性部材40と導電部材50との間においてスピン軌道トルクが効率的に伝達される。
【0061】
図8(a)及び図8(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図8(a)は、断面図である。図8(b)は、図8(a)の矢印AR1から見た平面図である。
図8(a)及び図8(b)に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド113xは、非磁性部材55を含む。これを除く磁気ヘッド113xの構成は、磁気ヘッド113の構成と同様で良い。非磁性部材55は、磁性部材40と導電部材50との間に設けられる。非磁性部材55は、磁性部材40及び導電部材50と接して良い。非磁性部材55は、例えば、Cu、Au、Cr、Al、V及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、非磁性部材55により、磁性部材40と導電部材50との間においてスピン軌道トルクが効率的に伝達される。
【0062】
図9(a)及び図9(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図9(a)は、断面図である。図9(b)は、図9(a)の矢印AR1から見た平面図である。
図9(a)及び図9(b)に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド120において、磁性部材40は、第1磁性部41を含む。第1磁性部41から磁性素子20への第2方向D2は、媒体対向面30Fと交差する。これ以外の磁気ヘッド120における構成は、磁気ヘッド110の構成と同様で良い。
【0063】
例えば、端子38c及び端子38dの少なくともいずれかが省略され、第1磁性部電流41iが、端子38a及び38b(例えば第1端子T1及び第2端子T2)を経由して供給されて良い。
【0064】
図10(a)及び図10(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図10(a)は、断面図である。図10(b)は、図10(a)の矢印AR1から見た平面図である。
図10(a)及び図10(b)に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド121においても、第1磁性部41から磁性素子20への第2方向D2は、媒体対向面30Fと交差する。これ以外の磁気ヘッド121における構成は、磁気ヘッド111の構成と同様で良い。磁気ヘッド121において、第1磁性部電流41iの向きは、素子電流20iの向きとは逆である。
【0065】
図11(a)及び図11(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図11(a)は、断面図である。図11(b)は、図11(a)の矢印AR1から見た平面図である。
図11(a)及び図11(b)に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド122においても、第1磁性部41から磁性素子20への第2方向D2は、媒体対向面30Fと交差する。これ以外の磁気ヘッド122における構成は、磁気ヘッド112の構成と同様で良い。
【0066】
図12(a)及び図12(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図12(a)は、断面図である。図12(b)は、図12(a)の矢印AR1から見た平面図である。
図12(a)及び図12(b)に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド123においても、第1磁性部41から磁性素子20への第2方向D2は、媒体対向面30Fと交差する。これ以外の磁気ヘッド123における構成は、磁気ヘッド113の構成と同様で良い。
【0067】
磁気ヘッド121及び123において、非磁性部材55が省略され、導電部材50が磁性部材40と接しても良い。磁気ヘッド120~123において、第1方向D1は、媒体対向面30Fに沿う。第1方向D1と媒体対向面30Fとの間の角度の絶対値は、30度以下である。
【0068】
図13(a)、図13(b)、図14(a)、図14(b)、図15(a)、図15(b)、図16(a)、図16(b)、図17(a)、図17(b)、図18(a)、図18(b)、図19(a)、図19(b)、図20(a)、図20(b)、図21(a)、図21(b)、図22(a)及び図22(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式図である。
図13(a)~図22(a)は、断面図である。図13(b)~図22(b)は、それぞれ、図13(a)~図22(a)の矢印AR1から見た平面図である。
【0069】
図13(a)及び図13(b)に例示する実施形態に係る磁気ヘッド110aにおいて、第1~第3磁性部41~43は互いに連続する。磁性素子20の一端は、第1磁極31と電気的に接続される。磁性素子20の他端は、第2磁極32と電気的に接続される。磁性部材40(第1~第3磁性部41~43)の一端は、第1磁極31と電気的に接続される。磁性部材40(第1~第3磁性部41~43)の他端は、第2磁極32と電気的に接続される。この例では、第1磁極31に端子38aが電気的に接続される。第2磁極32に端子38bが電気的に接続される。これらの端子を介して、素子電流20i、及び、第1~第3磁性部電流41i~43iが供給される。磁気ヘッド110aにおいて、非磁性部材56a及び非磁性部材56bの少なくともいずれかが設けられて良い。非磁性部材56aの少なくとも一部は、第1磁極31と磁性部材40との間に設けられる。非磁性部材56bの少なくとも一部は、磁性部材40と第2磁極32との間に設けられる。非磁性部材56a及び非磁性部材56bの少なくともいずれかは、例えば、金属などを含む。
【0070】
図14(a)及び図14(b)に例示する実施形態に係る磁気ヘッド111aにおいて、第1~第3磁性部41~43は互いに連続する。磁性素子20の一端は、第1磁極31と電気的に接続される。磁性素子20の他端は、第2磁極32と電気的に接続される。磁性部材40(第1~第3磁性部41~43)の一端は、第2磁極32と電気的に接続される。第1磁極31に端子38aが電気的に接続される。磁性部材40の他端に端子38bが電気的に接続される。これらの端子を介して、素子電流20i、及び、第1~第3磁性部電流41i~43iが供給される。
【0071】
図15(a)及び図15(b)に例示する実施形態に係る磁気ヘッド111bにおいて、第1~第3磁性部41~43は互いに連続する。磁性素子20の一端は、第1磁極31と電気的に接続される。磁性素子20の他端は、第2磁極32と電気的に接続される。磁性部材40(第1~第3磁性部41~43)の一端は、第1磁極31と電気的に接続される。第2磁極32に端子38bが電気的に接続される。磁性部材40の他端に端子38aが電気的に接続される。これらの端子を介して、素子電流20i、及び、第1~第3磁性部電流41i~43iが供給される。
【0072】
図16(a)、図16(b)、図17(a)及び図17(b)に例示する実施形態に係る磁気ヘッド112a及び113aにおいて、第1~第3磁性部41~43は互いに連続する。磁性素子20の一端は、第1磁極31と電気的に接続される。磁性素子20の他端は、第2磁極32と電気的に接続される。磁性部材40(第1~第3磁性部41~43)の一端は、第1磁極31と電気的に接続される。磁性部材40(第1~第3磁性部41~43)の他端は、第2磁極32と電気的に接続される。導電部材50(第1~第3導電部51~53)の一端は、第1磁極31と電気的に接続される。導電部材50(第1~第3導電部51~53)の他端は、第1磁極31と電気的に接続される。第1磁極31に端子38aが電気的に接続される。第2磁極32に端子38bが電気的に接続される。これらの端子を介して、素子電流20i、第1~第3磁性部電流41i~43i、及び、第1~第3導電部電流51i~53iが供給される。
【0073】
磁気ヘッド112a及び113aにおいて、上記の非磁性部材56a及び非磁性部材56bの少なくともいずれかが設けられて良い。磁気ヘッド112a及び113aにおいて、非磁性部材57a及び非磁性部材57bの少なくともいずれかが設けられて良い。非磁性部材57aの少なくとも一部は、第1磁極31と導電部材50との間に設けられる。非磁性部材57bの少なくとも一部は、導電部材50と第2磁極32との間に設けられる。非磁性部材57a及び非磁性部材57bの少なくともいずれかは、例えば、Cu、Au、Cr、Al、V、Ag、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つなどを含む。非磁性部材57a及び非磁性部材57bは、導電性の任意の材料を含んで良い。
【0074】
図18(a)及び図18(b)に例示する実施形態に係る磁気ヘッド120aにおいて、磁性素子20の一端は、第1磁極31と電気的に接続される。磁性素子20の他端は、第2磁極32と電気的に接続される。第1磁性部41の一端は、第1磁極31と電気的に接続される。第1磁性部41の他端は、第2磁極32と電気的に接続される。この例では、第1磁極31に端子38aが電気的に接続される。第2磁極32に端子38bが電気的に接続される。これらの端子を介して、素子電流20i、及び、第1~第3磁性部電流41i~43iが供給される。
【0075】
図19(a)及び図19(b)に例示する実施形態に係る磁気ヘッド121aにおいて、磁性素子20の一端は、第1磁極31と電気的に接続される。磁性素子20の他端は、第2磁極32と電気的に接続される。第1磁性部41の一端は、第2磁極32と電気的に接続される。この例では、第1磁極31に端子38aが電気的に接続される。第1磁性部41の他端に端子38bが電気的に接続される。これらの端子を介して、素子電流20i及び第1磁性部電流41iが供給される。
【0076】
図20(a)及び図20(b)に例示する実施形態に係る磁気ヘッド121bにおいて、磁性素子20の一端は、第1磁極31と電気的に接続される。磁性素子20の他端は、第2磁極32と電気的に接続される。第1磁性部41の一端は、第1磁極31と電気的に接続される。この例では、磁性部材40の他端に端子38aが電気的に接続される。第1磁極32に端子38bが電気的に接続される。これらの端子を介して、素子電流20i及び第1磁性部電流41iが供給される。
【0077】
図21(a)、図21(b)、図22(a)及び図22(b)に例示する実施形態に係る磁気ヘッド122a及び123aにおいて、磁性素子20の一端は、第1磁極31と電気的に接続される。磁性素子20の他端は、第2磁極32と電気的に接続される。第1磁性部41の一端は、第1磁極31と電気的に接続される。第1磁性部41の他端は、第2磁極32と電気的に接続される。第1導電部51の一端は、第1磁極31と電気的に接続される。第1導電部51の他端は、第1磁極31と電気的に接続される。第1磁極31に端子38aが電気的に接続される。第2磁極32に端子38bが電気的に接続される。これらの端子を介して、素子電流20i、第1磁性部電流41i、及び、第1導電部電流51iが供給される。
【0078】
磁気ヘッド110a~113a、120a~123a、111b及び121bにおいて、上記を除く構成は、磁気ヘッド110~113及び120~123の構成とそれぞれ同じで良い。
【0079】
図23は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図23に示すように、磁気ヘッド130において、磁性素子20は、第1磁性層21、第2磁性層22、第1非磁性層21n、第2非磁性層22n及び第3非磁性層23nを含む。第1磁性層21は、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられる。第2磁性層22は、第1磁性層21と第2磁極32との間に設けられる。第1非磁性層21nは、第1磁極31と第1磁性層21との間に設けられる。第2非磁性層22nは、第1磁性層21と第2磁性層22との間に設けられる。第3非磁性層23nは、第2磁性層22と第2磁極32との間に設けられる。
【0080】
第1磁性層21及び第2磁性層22は、例えば、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1磁性層21及び第2磁性層22は、例えば、強磁性層である。
【0081】
第1非磁性層21nは、例えば、Cu、Au、Cr、Al、V及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層22nは、例えば、Cu、Au、Cr、Al、V及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3非磁性層23nは、例えば、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0082】
このような磁性素子20にしきい値以上の素子電流20iが流れると、磁性素子20から交流磁界(高周波磁界)が発生する。第1磁性層21及び第2磁性層22の一方は、例えば、発振層として機能する。第1磁性層21及び第2磁性層22の他方は、例えば、スピン注入層として機能する。磁性素子20は、STOとして機能する。例えば、電気回路20D(図3参照)が、磁性素子20に素子電流20iを供給したときに、磁性素子20から交流磁界が生じる。交流磁界の周波数は、例えば、20GHz以上40GHz以下である。
【0083】
磁気ヘッド130の構成は、磁気ヘッド110~113、磁気ヘッド120~123、磁気ヘッド110a~113a、磁気ヘッド120a~123a、磁気ヘッド111b及び磁気ヘッド121bなどに適用されて良い。
【0084】
実施形態において、第1磁性層21は、X軸方向に沿って並ぶ複数の磁性領域を含んでも良い。第2磁性層22は、X軸方向に沿って並ぶ複数の磁性領域を含んでも良い。複数の磁性領域の間の境界は、明確でも不明確でも良い。例えば、複数の磁性領域は、連続している。
【0085】
実施形態において、第1磁極31は、X軸方向に沿って並ぶ複数の磁性領域を含んでも良い。第2磁極32は、X軸方向に沿って並ぶ複数の磁性領域を含んでも良い。第1磁性層21は、X軸方向に沿って並ぶ複数の磁性領域を含んでも良い。第2磁性層22は、X軸方向に沿って並ぶ複数の磁性領域を含んでも良い。複数の磁性領域の間の境界は、明確でも不明確でも良い。例えば、複数の磁性領域は、連続している。
【0086】
上記の例では、磁性部材40に電流が流れることにより、磁性素子20の熱が排出される。実施形態に係る別の例において、電流の向きが、磁性素子20の熱が排出されるときの電流の向きと、逆でも良い。この場合は、磁性素子20の温度が上昇する。これにより、磁性素子20において、例えば、磁化の反転速度が上昇する。例えば、発振が開始するまでの時間が短くなる。
【0087】
以下、実施形態に係る磁気記録装置210に含まれる磁気ヘッド及び磁気記録媒体80の例について説明する。以下の説明は、実施形態係る任意の磁気ヘッドに適用されて良い。以下の図において、絶縁部材30i、磁性部材40及び導電部材50は省略される。
【0088】
図24は、実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図24に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド(例えば、磁気ヘッド110)において、第1磁極31から第2磁極32への第1方向D1は、X軸方向に対して傾斜しても良い。第1方向D1は、磁性素子20の積層方向に対応する。X軸方向は、媒体対向面30Fに沿う。第1方向D1と媒体対向面30Fとの間の角度の絶対値を角度θ1とする。角度θ1は、例えば、15度以上30度以下である。角度θ1は、0度でも良い。
【0089】
第1方向D1が、X軸方向に対して傾斜する場合、層の厚さは、第1方向D1に沿う長さに対応する。第1方向D1がX軸方向に対して傾斜する構成は、実施形態係る任意の磁気ヘッドに適用されて良い。例えば、第1磁極31と磁性素子20との界面、及び、磁性素子20と第2磁極32との界面は、X軸方向に対して傾斜しても良い。
【0090】
図25は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図25に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド(例えば、磁気ヘッド110)は、磁気記録媒体80と共に用いられる。この例では、磁気ヘッド110は、記録部60及び再生部70を含む。磁気ヘッド110の記録部60により、磁気記録媒体80に情報が記録される。再生部70により、磁気記録媒体80に記録された情報が再生される。
【0091】
磁気記録媒体80は、例えば、媒体基板82と、媒体基板82の上に設けられた磁気記録層81と、を含む。磁気記録層81の磁化83が記録部60により制御される。例えば、垂直磁気記録が行われる。
【0092】
再生部70は、例えば、第1再生磁気シールド72a、第2再生磁気シールド72b、及び磁気再生素子71を含む。磁気再生素子71は、第1再生磁気シールド72aと第2再生磁気シールド72bとの間に設けられる。磁気再生素子71は、磁気記録層81の磁化83に応じた信号を出力可能である。
【0093】
図25に示すように、磁気記録媒体80は、媒体移動方向85の方向に、磁気ヘッド110に対して相対的に移動する。磁気ヘッド110により、任意の位置において、磁気記録層81の磁化83に対応する情報が制御される。磁気ヘッド110により、任意の位置において、磁気記録層81の磁化83に対応する情報が再生される。
【0094】
図26は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図26は、ヘッドスライダを例示している。
磁気ヘッド110は、ヘッドスライダ159に設けられる。ヘッドスライダ159は、例えばAl/TiCなどを含む。ヘッドスライダ159は、磁気記録媒体の上を、浮上または接触しながら、磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0095】
ヘッドスライダ159は、例えば、空気流入側159A及び空気流出側159Bを含む。磁気ヘッド110は、ヘッドスライダ159の空気流出側159Bの側面などに設けられる。これにより、磁気ヘッド110は、磁気記録媒体の上を浮上または接触しながら磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0096】
図27は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図27に示すように、実施形態に係る磁気記録装置150においては、ロータリーアクチュエータが用いられる。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mに装着される。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mにより矢印ARの方向に回転する。スピンドルモータ180Mは、駆動装置制御部からの制御信号に応答する。実施形態に係る磁気記録装置150は、複数の記録用媒体ディスク180を含んでも良い。磁気記録装置150は、記録媒体181を含んでも良い。記録媒体181は、例えば、SSD(Solid State Drive)である。記録媒体181には、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが用いられる。例えば、磁気記録装置150は、ハイブリッドHDD(Hard Disk Drive)でも良い。
【0097】
ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180に記録する情報の、記録及び再生を行う。ヘッドスライダ159は、薄膜状のサスペンション154の先端に設けられる。ヘッドスライダ159の先端付近に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0098】
記録用媒体ディスク180が回転すると、サスペンション154による押し付け圧力と、ヘッドスライダ159の媒体対向面(ABS)で発生する圧力と、がバランスする。ヘッドスライダ159の媒体対向面と、記録用媒体ディスク180の表面と、の間の距離が、所定の浮上量となる。実施形態において、ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180と接触しても良い。例えば、接触走行型が適用されても良い。
【0099】
サスペンション154は、アーム155(例えばアクチュエータアーム)の一端に接続されている。アーム155は、例えば、ボビン部などを有する。ボビン部は、駆動コイルを保持する。アーム155の他端には、ボイスコイルモータ156が設けられる。ボイスコイルモータ156は、リニアモータの一種である。ボイスコイルモータ156は、例えば、駆動コイル及び磁気回路を含む。駆動コイルは、アーム155のボビン部に巻かれる。磁気回路は、永久磁石及び対向ヨークを含む。永久磁石と対向ヨークとの間に、駆動コイルが設けられる。サスペンション154は、一端と他端とを有する。磁気ヘッドは、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端に接続される。
【0100】
アーム155は、ボールベアリングによって保持される。ボールベアリングは、軸受部157の上下の2箇所に設けられる。アーム155は、ボイスコイルモータ156により回転及びスライドが可能である。磁気ヘッドは、記録用媒体ディスク180の任意の位置に移動可能である。
【0101】
図28(a)及び図28(b)は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図28(a)は、磁気記録装置の一部の構成を例示しており、ヘッドスタックアセンブリ160の拡大斜視図である。図28(b)は、ヘッドスタックアセンブリ160の一部となる磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ:HGA)158を例示する斜視図である。
【0102】
図28(a)に示すように、ヘッドスタックアセンブリ160は、軸受部157と、ヘッドジンバルアセンブリ158と、支持フレーム161と、を含む。ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びる。支持フレーム161は、軸受部157から延びる。支持フレーム161の延びる方向は、ヘッドジンバルアセンブリ158の延びる方向とは逆である。支持フレーム161は、ボイスコイルモータ156のコイル162を支持する。
【0103】
図28(b)に示すように、ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びたアーム155と、アーム155から延びたサスペンション154と、を有している。
【0104】
サスペンション154の先端には、ヘッドスライダ159が設けられる。ヘッドスライダ159に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0105】
実施形態に係る磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ)158は、実施形態に係る磁気ヘッドと、磁気ヘッドが設けられたヘッドスライダ159と、サスペンション154と、アーム155と、を含む。ヘッドスライダ159は、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端と接続される。
【0106】
サスペンション154は、例えば、信号の記録及び再生用のリード線(図示しない)を有する。サスペンション154は、例えば、浮上量調整のためのヒーター用のリード線(図示しない)を有しても良い。サスペンション154は、例えばスピントランスファトルク発振子用などのためのリード線(図示しない)を有しても良い。これらのリード線と、磁気ヘッドに設けられた複数の電極と、が電気的に接続される。
【0107】
磁気記録装置150において、信号処理部190が設けられる。信号処理部190は、磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。信号処理部190は、信号処理部190の入出力線は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158の電極パッドに接続され、磁気ヘッドと電気的に接続される。
【0108】
実施形態に係る磁気記録装置150は、磁気記録媒体と、実施形態に係る磁気ヘッドと、可動部と、位置制御部と、信号処理部と、を含む。可動部は、磁気記録媒体と磁気ヘッドとを離間させ、または、接触させた状態で相対的に移動可能とする。位置制御部は、磁気ヘッドを磁気記録媒体の所定記録位置に位置合わせする。信号処理部は、磁気ヘッドを用いた磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。
【0109】
例えば、上記の磁気記録媒体として、記録用媒体ディスク180が用いられる。上記の可動部は、例えば、ヘッドスライダ159を含む。上記の位置制御部は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158を含む。
【0110】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んでも良い。
(構成1)
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられ、第1磁性層を含む磁性素子と、
第1磁性部を含む磁性部材であって、前記第1磁性部から前記磁性素子への第2方向は、前記第1磁極から前記第2磁極への第1方向と交差した、前記磁性部材と、
を備え、
前記第1磁性部は、第1材料、第2材料及び第3材料の少なくともいずれかを含む磁性材料を含み、
前記第1材料は、MnSn、MnGe及びMnGaよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
第2材料は、Mn及びNiを含み立方晶または正方晶の化合物、γ相のMnを含む立方晶合金、及び、Feを含む立方晶合金よりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3材料は、反強磁性体を含む、磁気ヘッド。
【0111】
(構成2)
複数の端子をさらに備え、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される素子電流は、前記磁性素子を前記第1方向に沿って流れ、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される第1磁性部電流は、前記第1磁性部を前記第1方向に沿って流れる、構成1記載の磁気ヘッド。
【0112】
(構成3)
前記第1磁性部電流の向きは、前記素子電流の向きとは逆である、構成2記載の磁気ヘッド。
【0113】
(構成4)
第1導電部を含む導電部材と、
複数の端子と、
をさらに備え、
前記第1導電部から前記第1磁性部への方向は前記第2方向に沿い、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される素子電流は、前記磁性素子を前記第1方向に沿って流れ、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される第1磁性部電流は、前記第1磁性部を前記第1方向に沿って流れ、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される第1導電部電流は、前記第1導電部を前記第1方向に沿って流れる、構成1記載の磁気ヘッド。
【0114】
(構成5)
前記第1磁性部は、前記第2方向において、前記第1導電部と前記磁性素子との間にある、構成4記載の磁気ヘッド。
【0115】
(構成6)
前記第1導電部は、前記第2方向において、前記第1磁性部と前記磁性素子との間にある、構成4記載の磁気ヘッド。
【0116】
(構成7)
前記導電部材は、Pt、Pd、Au、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成4~6のいずれか1つに記載の磁気ヘッド。
【0117】
(構成8)
前記第1磁極及び前記第2磁極の少なくともいずれかは、媒体対向面を含み、
前記第1方向と前記媒体対向面との間の角度の絶対値は、10度以下であり、
前記第2方向は、前記媒体対向面に沿う、構成1記載の磁気ヘッド。
【0118】
(構成9)
前記第1磁極及び前記第2磁極の少なくともいずれかは、媒体対向面を含み、
前記第1方向と前記媒体対向面との間の角度の絶対値は、10度以下であり、
前記第2方向は、前記媒体対向面と交差する、構成1記載の磁気ヘッド。
【0119】
(構成10)
前記第1磁性部の磁化の向きは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う、構成3または4に記載の磁気ヘッド。
【0120】
(構成11)
前記磁性部材は、前記磁性材料を含む第2磁性部をさらに含み、
前記磁性素子は、前記第2方向において前記第1磁性部と前記第2磁性部との間にある、構成3記載の磁気ヘッド。
【0121】
(構成12)
複数の端子をさらに備え、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される素子電流は、前記磁性素子を前記第1方向に沿って流れ、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される第1磁性部電流は、前記第1磁性部を前記第1方向に沿って流れ
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される第2磁性部電流は、前記第2磁性部を前記第1方向に沿って流れる、構成11記載の磁気ヘッド。
【0122】
(構成13)
第1導電部及び第2導電部を含む導電部材と、
複数の端子と、
をさらに備え、
前記磁性素子は、前記第2方向において前記第1導電部と前記第2導電部との間にあり、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される素子電流は、前記磁性素子を前記第1方向に沿って流れ、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される第1磁性部電流は、前記第1磁性部を前記第1方向に沿って流れ、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される第1導電部電流は、前記第1導電部を前記第1方向に沿って流れ、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される第2磁性部電流は、前記第2磁性部を前記第1方向に沿って流れ、
前記複数の端子の少なくとも一部を経由して供給される第2導電部電流は、前記第2導電部を前記第1方向に沿って流れる、構成11記載の磁気ヘッド。
【0123】
(構成14)
前記第1磁性部は、前記第2方向において、前記第1導電部と前記磁性素子との間にあり、
前記第2磁性部は、前記第2方向において、前記磁性素子と前記第2導電部との間にある、構成13記載の磁気ヘッド。
【0124】
(構成15)
前記第1導電部は、前記第2方向において、前記第1磁性部と前記磁性素子との間にあり、
前記第2導電部は、前記第2方向において、前記磁性素子と前記第2磁性部との間にある、構成13記載の磁気ヘッド。
【0125】
(構成16)
前記第1磁性部の磁化の向きは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿い、
前記第2磁性部の磁化の向きは、前記第3方向に沿い、前記第1磁性部の前記磁化の前記向きと逆の成分を含む、構成11~15のいずれか1つに記載の磁気ヘッド。
【0126】
(構成17)
前記磁性部材は、前記磁性材料を含む第3磁性部をさらに含み、
前記磁性素子から前記第3磁性部への方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う、構成11~15のいずれか1つに記載の磁気ヘッド。
【0127】
(構成18)
前記磁性素子は、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2非磁性層と、
をさらに含む、構成1~17のいずれか1つに記載の磁気ヘッド。
【0128】
(構成19)
前記磁性素子は、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
をさらに含む、構成1~17のいずれか1つに記載の磁気ヘッド。
【0129】
(構成20)
構成2に記載の磁気ヘッドと、
電気回路と、
を備え、
前記電気回路は、前記磁性素子に前記素子電流を供給可能であり、前記第1磁性部に前記第1磁性部電流を供給可能である、磁気記録装置。
【0130】
実施形態によれば、記録密度の向上が可能な磁気ヘッド及び磁気記録装置が提供できる。
【0131】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0132】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気ヘッドに含まれる、磁極、磁性素子、磁性層、非磁性層、端子、及び配線などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0133】
各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0134】
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気ヘッド及び磁気記録装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気ヘッド及び磁気記録装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0135】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0136】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0137】
20…磁性素子、 20D…電気回路、 20i…素子電流、 21、22…第1、第2磁性層、 21n~23n…第1~第3非磁性層、 30D…記録回路、 30F…媒体対向面、 30c…コイル、 30i…絶縁部材、 31、32…第1、第2磁極、 33…シールド、 38、38a~38n…端子、 40…磁性部材、 41~43…第1~第3磁性部、 41M~43M…磁化、 41h~43h…熱流、 41i~43i…第1~第3磁性部電流、 50…導電部材、 51~53…第1~第3導電部、 51i~53i…第1~第3導電部電流、 55、56a、56b、57a、57b…非磁性部材、 60…記録部、 70…再生部、 71…磁気再生素子、 72a、72b…第1、第2再生磁気シールド、 80…磁気記録媒体、 81…磁気記録層、 82…媒体基板、 83…磁化、 85…媒体移動方向、 θ1…角度、 110~113、120~123、110a~113a、112x、113x、120a~123a、111b、121b、130…磁気ヘッド、 150…磁気記録装置、 154…サスペンション、 155…アーム、 156…ボイスコイルモータ、 157…軸受部、 158…ヘッドジンバルアセンブリ、 159…ヘッドスライダ、 159A…空気流入側、 159B…空気流出側、 160…ヘッドスタックアセンブリ、 161…支持フレーム、 162…コイル、 180…記録用媒体ディスク、 180M…スピンドルモータ、 181…記録媒体、 190…信号処理部、 210…磁気記録装置、 AR、AR1…矢印、 D1~D3…第1~第3方向、 Iw…記録電流、 T1、T2…第1、第2端子、 W1、W2…第1、第2配線、 je…電子流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
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図19
図20
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図28