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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188883
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】媒体処理方法及び媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 39/11 20060101AFI20221215BHJP
   G07D 11/237 20190101ALI20221215BHJP
   B65H 43/04 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B65H39/11 Q
G07D11/237
B65H43/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097143
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】出水田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】坂本 正雄
(72)【発明者】
【氏名】名田 圭佑
【テーマコード(参考)】
3E141
3F048
3F050
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA06
3E141CA06
3E141DA08
3F048AA06
3F048AB03
3F048BA06
3F048BB03
3F048CA05
3F048DA06
3F048DB11
3F048DC17
3F048EA12
3F048EB28
3F048EB37
3F050BC04
3F050BD03
3F050CA06
3F050CA08
3F050CB01
3F050CB06
3F050CD03
3F050CE06
3F050CE08
3F050CF01
3F050LA08
3F050LB04
(57)【要約】
【課題】媒体処理装置を、効率的にエラーから復旧させる。
【解決手段】処理方法は、識別部102が媒体を識別し、一時保留部103が媒体を収納することによって、制御部106が媒体の枚数を確定し、枚数の確定後、一時保留部から繰り出された媒体を収納部が収納する。導入部101から一時保留部へ媒体が搬送されている最中にエラーが生じた第1ケースにおいて、一時保留部が少なくとも一部の媒体を繰り出し、識別部が媒体の識別を行うことによって、制御部が、一時保留部に収納されている媒体の枚数を確認する第1処理を実行し、一時保留部から収納部へ媒体が搬送されている最中にエラーが生じた第2ケースにおいて、収納部が少なくとも一部の媒体を繰り出し、識別部が媒体の識別を行うことによって、制御部が、収納部に収納されている媒体の枚数を確認する第2処理を実行し、第1および第2処理の少なくとも一つが制御部によって選択的に実行される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体処理装置が、媒体を、一時保留部を介して導入部から収納部へ収納する媒体処理におけるエラー発生時の処理方法であって、
導入部から前記媒体処理装置の中へ順次導入される媒体を、識別部が識別し、前記一時保留部が、識別された媒体を収納することによって、制御部が、前記一時保留部に収納された媒体の枚数を確定し、
枚数の確定後、前記一時保留部から繰り出された媒体を、前記収納部が収納し、
搬送部が前記導入部から前記識別部を経由して前記一時保留部へ媒体を搬送している最中にエラーが発生した第1ケースにおいて、前記一時保留部が少なくとも一部の媒体を繰り出し、前記識別部が媒体の識別を行うことによって、前記制御部が、前記一時保留部に収納されている媒体の枚数を確認する第1処理を実行し、
前記搬送部が前記一時保留部から前記収納部へ媒体を搬送している最中にエラーが発生した第2ケースにおいて、前記収納部が少なくとも一部の媒体を繰り出し、前記識別部が媒体の識別を行うことによって、前記制御部が、前記収納部に収納されている媒体の枚数を確認する第2処理を実行し、
前記第1処理および前記第2処理の少なくとも一つが前記制御部によって選択的に実行される、
媒体処理方法。
【請求項2】
前記制御部は、エラーに応じて、前記第1処理及び前記第2処理を切り替えて実行する、
請求項1に記載の媒体処理方法。
【請求項3】
前記識別部は、各媒体に付与されている固有の識別情報を識別し、
記憶部は、前記一時保留部が媒体を収納する順番に対応付けて前記識別情報を記憶すると共に、前記収納部が媒体を収納する順番に対応付けて前記識別情報を記憶し、
前記制御部は、前記第1ケース又は前記第2ケースにおいて、前記識別部によって識別された媒体の識別情報と、前記記憶部に記憶されている識別情報とを照合することによって、前記一時保留部又は前記収納部に収納されている媒体の枚数を確認する、
請求項1又は2に記載の媒体処理方法。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2ケースにおいて、前記一時保留部から前記収納部への媒体の搬送を中断するように前記搬送部を制御すると共に、前記収納部に収納されている媒体の枚数を確認し、その後、前記一時保留部から前記収納部への媒体の搬送を再開させる、
請求項1又は2に記載の媒体処理方法。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2ケースにおいて、前記一時保留部から、前記収納部以外の収納部への媒体の搬送を継続させるように前記搬送部を制御すると共に、前記一時保留部に収納されている媒体が前記一時保留部からすべて排出された後、前記収納部に収納されている媒体の枚数を確認する、
請求項1又は2に記載の媒体処理方法。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2ケースにおいて、
前記一時保留部に一部の媒体を繰り出させかつ、当該媒体を、前記収納部とは異なる第2収納部に収納させ、
その後、前記収納部に収納されている媒体の枚数を確認し、枚数の確認後、前記一時保留部から前記収納部への媒体の搬送を再開させる、
請求項1又は2に記載の媒体処理方法。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2ケースにおいて、前記収納部に収納されている媒体の枚数を確認した後に、処理を再開する第1モード、又は、前記収納部を使用しないで処理を継続した後に、前記収納部に収納されている媒体の枚数を確認する第2モード、を選択的に実行する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の媒体処理方法。
【請求項8】
前記制御部は、予め登録されたモードを実行する、又は、エラーが発生した際に選択されたモードを実行する、
請求項7に記載の媒体処理方法。
【請求項9】
前記搬送部は、前記第2ケースにおいて、
前記収納部から繰り出されかつ、前記識別部が正常と判断した媒体を、前記一時保留部へ搬送し、前記識別部が正常でないと判断した媒体を、前記収納部とは異なる第3収納部へ搬送する、
前記収納部から繰り出されかつ、前記識別部が正常と判断した媒体及び正常でないと判断した媒体の両方を、前記収納部とは異なる第3収納部へ搬送する、又は、
前記収納部から繰り出されかつ、前記識別部が正常と判断した媒体及び正常でないと判断した媒体の両方を、前記媒体処理装置の外へ搬送する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の媒体処理方法。
【請求項10】
前記搬送部は、前記第1ケースにおいて、
前記一時保留部から繰り出されかつ、前記識別部が正常と判断した媒体を前記一時保留部へ搬送し、前記識別部が正常でないと判断した媒体を、前記媒体処理装置の外へ搬送する、又は、
前記一時保留部から繰り出されかつ、前記識別部が正常と判断した媒体及び正常でないと判断した媒体の両方を、前記媒体処理装置の外へ搬送する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の媒体処理方法。
【請求項11】
前記制御部は、前記識別部を通過した媒体の搬送先を、選択操作に応じて変更するように前記搬送部を制御する、
請求項10に記載の媒体処理方法。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1ケースにおいて、前記一時保留部に一部の媒体を繰り出させかつ、前記収納部とは異なる第4収納部に収納させ、
その後、前記搬送部は、前記第4収納部から繰り出されかつ、前記識別部が正常と判断した媒体を、前記一時保留部へ搬送し、前記識別部が正常でないと判断した媒体を、前記媒体処理装置の外の払出部へ搬送する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の媒体処理方法。
【請求項13】
媒体処理におけるエラー発生時の処理を行う媒体処理装置であって、
筐体に設けられかつ、媒体を、前記筐体の中へ順次入れる導入部と、
前記筐体の中において媒体を識別する識別部と、
媒体を一時的に収納する一時保留部と、
媒体を収納する収納部と、
搬送路を有しかつ、前記導入部、前記識別部、前記一時保留部、及び、前記収納部の間において媒体を搬送する搬送部と、
媒体を前記収納部に収納する処理において、前記導入部によって前記筐体の中へ順次入れられた媒体を、前記識別部に識別させた後、前記一時保留部に収納することにより、前記一時保留部に収納された媒体の枚数を確定し、枚数の確定後、前記一時保留部から繰り出された媒体を、前記収納部に収納するよう、前記導入部、前記識別部、前記一時保留部、前記収納部、及び、前記搬送部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記搬送部が前記導入部から前記識別部を経由して前記一時保留部へ媒体を搬送している最中にエラーが発生した第1ケースにおいて、前記一時保留部が少なくとも一部の媒体を繰り出し、前記識別部が媒体の識別を行うことによって、前記制御部が、前記一時保留部に収納されている媒体の枚数を確認する第1処理を実行し、
前記搬送部が前記一時保留部から前記収納部へ媒体を搬送している最中にエラーが発生した第2ケースにおいて、前記収納部が少なくとも一部の媒体を繰り出し、前記識別部が媒体の識別を行うことによって、前記制御部が、前記収納部に収納されている媒体の枚数を確認する第2処理を実行し、
前記第1処理および前記第2処理の少なくとも一つが前記制御部によって選択的に実行される、媒体処理装置。
【請求項14】
前記搬送部は、ループ搬送路を有し、媒体は、前記ループ搬送路に沿って搬送され、
前記識別部は、前記ループ搬送路に配置され、
前記導入部、前記一時保留部、及び、前記収納部はそれぞれ、前記ループ搬送路に接続されている、
請求項13に記載の媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、媒体処理方法及び媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、紙幣の入出金機が記載されている。入出金機は、入金処理を実行する。入出金機の入金部は、装置の中に、紙幣を順次導入する。識別部は、紙幣を識別する。一時保留部は、識別された紙幣を収納する。入金対象の紙幣の枚数が確定される。紙幣の枚数の確定後、一時保留部は紙幣を繰り出す。収納部は、繰り出された紙幣を収納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-120638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入金処理中にエラーが発生することによって装置が停止すると、一時保留部又は収納部に収納されている媒体の枚数が不定になる場合がある。従来の媒体処理装置は、エラーから復旧するために、装置は、入金処理を中断して、一時保留部又は収納部に収納されている媒体の枚数を確認する。ところが、媒体の枚数の確認は、時間を要する。収納部に収納されている媒体の枚数が不定になると、媒体処理装置は速やかに処理を再開できない。
【0005】
従来の媒体処理装置はまた、媒体の枚数が不定な収納部を使わないで処理を再開する場合がある。しかしながら、エラーの復旧が行われないと、一部の収納部が使われないことに起因して、別の収納部が、早期にフルになったり、早期にエンプティになったりする。
【0006】
ここに開示する技術は、媒体処理装置を、効率的にエラーから復旧させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示する技術は、媒体処理装置が、媒体を、一時保留部を介して導入部から収納部へ収納する媒体処理におけるエラー発生時の処理方法に係る。この媒体処理方法は、導入部から前記媒体処理装置の中へ順次導入される媒体を、識別部が識別し、前記一時保留部が、識別された媒体を収納することによって、制御部が、前記一時保留部に収納された媒体の枚数を確定し、枚数の確定後、前記一時保留部から繰り出された媒体を、前記収納部が収納し、搬送部が前記導入部から前記識別部を経由して前記一時保留部へ媒体を搬送している最中にエラーが発生した第1ケースにおいて、前記一時保留部が少なくとも一部の媒体を繰り出し、前記識別部が媒体の識別を行うことによって、前記制御部が、前記一時保留部に収納されている媒体の枚数を確認する第1処理を実行し、前記搬送部が前記一時保留部から前記収納部へ媒体を搬送している最中にエラーが発生した第2ケースにおいて、前記収納部が少なくとも一部の媒体を繰り出し、前記識別部が媒体の識別を行うことによって、前記制御部が、前記収納部に収納されている媒体の枚数を確認する第2処理を実行し、前記第1処理および前記第2処理の少なくとも一つが前記制御部によって選択的に実行される。
【0008】
媒体処理装置は、第1処理または第2処理によって、効率的にエラーから復旧できる。
【0009】
前記制御部は、エラーに応じて、前記第1処理及び前記第2処理を切り替えて実行する、としてもよい。
【0010】
媒体処理装置は、第1ケース及び第2ケースのそれぞれにおいて、効率的にエラーから復旧できる。
【0011】
前記識別部は、各媒体に付与されている固有の識別情報を識別し、記憶部は、前記一時保留部が媒体を収納する順番に対応付けて前記識別情報を記憶すると共に、前記収納部が媒体を収納する順番に対応付けて前記識別情報を記憶し、前記制御部は、前記第1ケース又は前記第2ケースにおいて、前記識別部によって識別された媒体の識別情報と、前記記憶部に記憶されている識別情報とを照合することによって、前記一時保留部又は前記収納部に収納されている媒体の枚数を確認する、としてもよい。
【0012】
制御部は、識別情報を用いることによって、媒体の枚数を速やかに確認できる。
【0013】
前記制御部は、前記第2ケースにおいて、前記一時保留部から前記収納部への媒体の搬送を中断するように前記搬送部を制御すると共に、前記収納部に収納されている媒体の枚数を確認し、その後、前記一時保留部から前記収納部への媒体の搬送を再開させる、としてもよい。
【0014】
媒体処理装置は、媒体の枚数を確認した上で、速やかに処理を再開できる。
【0015】
前記制御部は、前記第2ケースにおいて、前記一時保留部から、前記収納部以外の収納部への媒体の搬送を継続させるように前記搬送部を制御すると共に、前記一時保留部に収納されている媒体が前記一時保留部からすべて排出された後、前記収納部に収納されている媒体の枚数を確認する、としてもよい。
【0016】
媒体処理装置は、処理の完了を優先し、処理の完了後に、媒体の枚数を確認できる。
【0017】
前記制御部は、前記第2ケースにおいて、前記一時保留部に一部の媒体を繰り出させかつ、当該媒体を、前記収納部とは異なる第2収納部に収納させ、その後、前記収納部に収納されている媒体の枚数を確認し、枚数の確認後、前記一時保留部から前記収納部への媒体の搬送を再開させる、としてもよい。
【0018】
媒体処理装置は、空きが設けられた一時保留部を使って媒体の枚数を確認することができ、その後、処理を再開できる。
【0019】
前記制御部は、前記第2ケースにおいて、前記収納部に収納されている媒体の枚数を確認した後に、処理を再開する第1モード、又は、前記収納部を使用しないで処理を継続した後に、前記収納部に収納されている媒体の枚数を確認する第2モード、を選択的に実行する、としてもよい。
【0020】
媒体処理装置は、様々な状況下において、効率的にエラーから復旧できる。
【0021】
前記制御部は、予め登録されたモードを実行する、又は、エラーが発生した際に選択されたモードを実行する、としてもよい。
【0022】
媒体処理装置は、状況に応じたモードにより、効率的にエラーから復旧できる。
【0023】
前記搬送部は、前記第2ケースにおいて、(a)前記収納部から繰り出されかつ、前記識別部が正常と判断した媒体を、前記一時保留部へ搬送し、前記識別部が正常でないと判断した媒体を、前記収納部とは異なる第3収納部へ搬送する、(b)前記収納部から繰り出されかつ、前記識別部が正常と判断した媒体及び正常でないと判断した媒体の両方を、前記収納部とは異なる第3収納部へ搬送する、又は、(c)前記収納部から繰り出されかつ、前記識別部が正常と判断した媒体及び正常でないと判断した媒体の両方を、前記媒体処理装置の外へ搬送する、としてもよい。
【0024】
媒体処理装置は、状況に応じて適切にエラーから復旧できる。
【0025】
前記搬送部は、前記第1ケースにおいて、(a)前記一時保留部から繰り出されかつ、前記識別部が正常と判断した媒体を前記一時保留部へ搬送し 、前記識別部が正常でないと判断した媒体を、前記媒体処理装置の外へ搬送する、又は、(b)前記一時保留部から繰り出されかつ、前記識別部が正常と判断した媒体及び正常でないと判断した媒体の両方を、前記媒体処理装置の外へ搬送する、としてもよい。
【0026】
媒体処理装置は、状況に応じて適切に媒体の枚数を確認できる。
【0027】
前記制御部は、前記識別部を通過した媒体の搬送先を、選択操作に応じて変更するように前記搬送部を制御する、としてもよい。
【0028】
媒体処理装置は、様々な状況下において、効率的にエラーから復旧できる。
【0029】
前記制御部は、前記第1ケースにおいて、前記一時保留部に一部の媒体を繰り出させかつ、前記収納部とは異なる第4収納部に収納させ、その後、前記搬送部は、前記第4収納部から繰り出されかつ、前記識別部が正常と判断した媒体を、前記一時保留部へ搬送し、前記識別部が正常でないと判断した媒体を、前記媒体処理装置の外の払出部へ搬送する、としてもよい。
【0030】
媒体処理装置は、第4収納部を使って、効率的にエラーから復旧できる。
【0031】
ここに開示する技術は、媒体処理におけるエラー発生時の処理を行う媒体処理装置に係る。媒体処理装置は、筐体に設けられかつ、媒体を、前記筐体の中へ順次入れる導入部と、前記筐体の中において媒体を識別する識別部と、媒体を一時的に収納する一時保留部と、媒体を収納する収納部と、搬送路を有しかつ、前記導入部、前記識別部、前記一時保留部、及び、前記収納部の間において媒体を搬送する搬送部と、媒体を前記収納部に収納する処理において、前記導入部によって前記筐体の中へ順次入れられた媒体を、前記識別部に識別させた後、前記一時保留部に収納することにより、前記一時保留部に収納された媒体の枚数を確定し、枚数の確定後、前記一時保留部から繰り出された媒体を、前記収納部に収納するよう、前記導入部、前記識別部、前記一時保留部、前記収納部、及び、前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記搬送部が前記導入部から前記識別部を経由して前記一時保留部へ媒体を搬送している最中にエラーが発生した第1ケースにおいて、前記一時保留部が少なくとも一部の媒体を繰り出し、前記識別部が媒体の識別を行うことによって、前記制御部が、前記一時保留部に収納されている媒体の枚数を確認する第1処理を実行し、前記搬送部が前記一時保留部から前記収納部へ媒体を搬送している最中にエラーが発生した第2ケースにおいて、前記収納部が少なくとも一部の媒体を繰り出し、前記識別部が媒体の識別を行うことによって、前記制御部が、前記収納部に収納されている媒体の枚数を確認する第2処理を実行し、前記第1処理および前記第2処理の少なくとも一つが前記制御部によって選択的に実行される。
【0032】
媒体処理装置は、効率的にエラーから復旧できる。
【0033】
前記搬送部は、ループ搬送路を有し、媒体は、前記ループ搬送路に沿って搬送され、前記識別部は、前記ループ搬送路に配置され、前記導入部、前記一時保留部、及び、前記収納部はそれぞれ、前記ループ搬送路に接続されている、としてもよい。
【0034】
この構成の媒体処理装置は、エラーからの復旧を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0035】
ここに開示する技術は、媒体処理装置を、効率的にエラーから復旧できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、例示的な媒体処理装置を示している。
図2図2は、例示的な紙幣処理装置を示している。
図3図3は、入金処理における例示的な紙幣の搬送経路を示している。
図4図4(a)(b)はそれぞれ、エラーからの復旧に係る例示的な媒体の搬送経路を示している。
図5図5は、エラーからの復旧に係る例示的な媒体の搬送経路を示している。
図6図6は、エラーからの復旧に係る例示的な紙幣の搬送経路を示している。
図7図7は、エラーからの復旧に係る例示的な紙幣の搬送経路を示している。
図8図8は、エラーからの復旧に係る例示的な紙幣の搬送経路を示している。
図9図9(a)(b)はそれぞれ、例示的な媒体の搬送経路を示している。
図10図10は、エラーからの復旧に係る、例示的な処理の手順を示している。
図11図11は、エラーからの復旧に係る、例示的な処理の手順を示している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、媒体処理方法及び媒体処理装置の実施形態が、図面を参照しながら説明される。ここで説明される媒体処理方法及び媒体処理装置は例示である。
【0038】
(第1実施形態)
図1は、媒体処理装置100を例示している。媒体処理装置100は、導入部101、識別部102、一時保留部103、収納部104、搬送部105、及び、制御部106を備えている。
【0039】
導入部101は、媒体処理装置100の筐体107に設けられかつ、媒体を、筐体107の中へ順次入れる。識別部102は、筐体107の中において媒体を識別する。識別部102は、識別部102を通過した紙幣の枚数を取得する。一時保留部103は、媒体を一時的に収納する。収納部104は、媒体を収納する。
【0040】
搬送部105は、搬送路1051を有している。搬送路1051は、導入部101、識別部102、一時保留部103、及び、収納部104の間をつないでいる。搬送部105は、導入部101、識別部102、一時保留部103、及び、収納部104の間において媒体を搬送する。
【0041】
制御部106は、導入部101、識別部102、一時保留部103、収納部104、及び、搬送部105を制御する。より詳細に、制御部106は、媒体を収納部104に収納する処理を行う。当該処理時に、制御部106は、導入部101によって筐体107の中へ順次入れられた媒体を、識別部102に識別させた後、一時保留部103に収納させる。このことにより制御部106は、一時保留部に収納された媒体の枚数を確定させる。一時保留部に収納された媒体の枚数は、これから収納部104へ収納する媒体の枚数である。制御部106は、枚数の確定後、一時保留部103から繰り出された媒体を、収納部104に収納させる。収納部104が媒体を収納することによって、処理が完了する。
【0042】
前述した媒体処理において、エラーが発生する場合がある。一例は、搬送部105が導入部101から識別部102を経由して一時保留部103へ媒体を搬送している最中にエラーが発生した第1ケースである。第1ケースにおいて、一時保留部103に収納されている媒体の枚数が不定になる場合がある。たとえば、導入部101から識別部102を経由して一時保留部103へ媒体を搬送する際に、媒体詰まり(ジャム)が発生したり、媒体が複数枚重なった状態で識別部102を通過したりした場合に、一時保留部103に収納されている媒体の枚数が不定になることがある。制御部106は、第1ケースにおいてエラーから復旧するために、媒体処理装置100を、次のように動作させる。つまり、一時保留部103が少なくとも一部の媒体を繰り出し、識別部102が媒体の識別を行うことによって、制御部106が、一時保留部103に収納されている媒体の枚数を確認する。これは、第1処理である。
【0043】
また、別の例は、搬送部105が一時保留部103から収納部104へ媒体を搬送している最中にエラーが発生した第2ケースである。第2ケースにおいて、収納部104に収納されている媒体の枚数が不定になる場合がある。たとえば、一時保留部103から収納部104へ媒体を搬送する際に、媒体詰まり(ジャム)が発生した場合に、一時保留部103に収納されている媒体の枚数が不定になることがある。制御部106は、第2ケースにおいてエラーから復旧するために、媒体処理装置100を、次のように動作させる。つまり、収納部104が少なくとも一部の媒体を繰り出し、識別部102が媒体の識別を行うことによって、制御部106が、収納部104に収納されている媒体の枚数を確認する。これは、第2処理である。
【0044】
媒体処理装置100において、第1処理および前記第2処理の少なくとも一つが制御部106によって選択的に実行される。より詳細に、媒体を、一時保留部103を介して導入部101から収納部104へ収納する媒体処理において、搬送部105が導入部101から識別部102を経由して一時保留部103へ媒体を搬送している最中に、第1ケースの発生有無を判断し、第1ケースが発生したと判断されれば、一時保留部103に収納されている媒体の枚数を確認する第1処理が実行される。そして、搬送部105が一時保留部103から収納部104へ媒体を搬送している最中に、第2ケースの発生有無を判断し、第2ケースが発生したと判断されれば、収納部104に収納されている媒体の枚数を確認する第2処理が実行される。媒体処理装置100は、効率的にエラーから復旧できる。エラーから復旧した媒体処理装置100は、処理を速やかに再開できる。
【0045】
一例として、媒体処理装置100は、エラーに応じて、第1処理及び第2処理を切り替えて実行する。つまり、媒体処理装置100は、第1ケースにおいて第1処理を実行しかつ、第2ケースにおいて第2処理を実行する。媒体処理装置100は、第1ケース及び第2のケースのそれぞれにおいて、効率的にエラーから復旧できる。
【0046】
(第2実施形態)
図2は、紙幣処理装置1を例示している。紙幣処理装置1は、媒体処理装置の一例であって、図1の媒体処理装置100の変形例である。
【0047】
紙幣処理装置1は、例えば銀行等の金融機関に設置される。紙幣処理装置1は、少なくとも入金処理を実行する。金融機関の顧客自らが紙幣処理装置1を操作することによって、紙幣処理装置1は処理を実行する。紙幣処理装置1は、たとえば、いわゆるセルフ機であるATM(automated teller machine)、又は、入金機である。紙幣処理装置1は、リサイクラー(teller cash recycler)などのテラー機でもよい。以下の説明において、「操作者」は主に、顧客を意味する。
【0048】
紙幣処理装置1は、紙幣を処理する。紙幣処理装置1は特に、バラ紙幣を処理する。紙幣処理装置1は、貨幣処理装置の一部を構成する。貨幣処理装置は、紙幣処理装置1の他に、硬貨を処理する硬貨処理装置、及び/又は、小切手を処理する小切手処理装置を含んでもよい。
【0049】
図2は、紙幣処理装置1の内部の構造を示している。紙幣処理装置1は、上部と下部を備えている。紙幣処理装置1は、上部の処理部筐体11と、下部の金庫部筐体13とを有している。必要に応じ、処理部筐体11を処理部、金庫部筐体13を金庫部と呼ぶこともある。
【0050】
処理部筐体11の中には、入金部21、出金部22、識別部24、一時保留部23、及び、搬送路40、41、42、43が設けられている。搬送路40、41、42、43は、搬送部4を構成する。
【0051】
金庫部筐体13の中には、複数の収納装置31~36と、搬送路44、45、46と、が設けられている。搬送路44、45、46は、搬送部4を構成する。
【0052】
紙幣処理装置1はまた、コントローラ51、記憶部52、操作部53、表示部54、及び、通信部55を備えている。
【0053】
入金部21は、例えば入金処理の際に、入金対象の紙幣が投入される部分である。操作者は、入金部21に、一枚又は複数枚の紙幣を手で投入する。入金部21は、投入された紙幣を、一枚ずつ処理部筐体11の中に入れる機構を有している。入金部21は、導入部の一例である。
【0054】
出金部22は、例えば出金処理の際に、出金対象の紙幣が集積される部分である。出金部22は、処理部筐体11の外に開口している。操作者は、出金部22に集積されている紙幣を手で取り出すことができる。尚、出金部22にシャッターを設けてもよい。
【0055】
識別部24は、紙幣の一枚一枚について、少なくとも、真偽、金種及び正損を識別する。識別部24はまた、紙幣の識別記号である記番号を取得する。識別部24は、識別部24を通過した紙幣の枚数情報を取得する。識別部102は、後述するループ搬送路40に配設されている。
【0056】
一時保留部23は、紙幣を一時的に収納すると共に、収納した紙幣を繰り出すことができる。一時保留部23は、例えば入金処理の際に、入金対象の紙幣を一時的に収納する。一時保留部23はまた、後述するように精査処理時に、紙幣を一時的に収納する。
【0057】
一時保留部23は、テープ式の収納ユニットであってもよい。一時保留部23は、テープ式の場合、紙幣を、テープと共にドラムに巻き付けることによって、紙幣を収納する。テープ式の収納ユニットは、紙幣の収納時及び紙幣の繰出時において、紙幣の順番が入れ替わらないという利点を有している。また、テープ式の収納ユニットは、様々なサイズの紙幣を、混合状態で収納することができる、という利点も有している。一時保留部23は、テープ式の収納ユニットの、公知の構成を採用できる。この一時保留部23は、従来の一時保留部と比較して容量が大きい。一時保留部23は、例えば300枚の紙幣を、一度に収納可能である。なお以下では、一時保留部23はテープ式の収納ユニットである場合について説明をするが、一時保留部23はスタック式の収納ユニットであってもよい。
【0058】
一時保留部23には、後述する第3搬送路43が接続される。一時保留部23と第3搬送路43との接続箇所には、紙幣の通過を検知するセンサが取り付けられている。紙幣処理装置1のコントローラ51は、当該センサの検知信号に基づいて、一時保留部23に入った紙幣をカウントすると共に、一時保留部23から出た紙幣をカウントする。コントローラ51は、カウントに基づいて、一時保留部23に収納されている紙幣の枚数を管理する。
【0059】
紙幣処理装置1は、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、第4収納装置34、及び、第5収納装置35を有している。紙幣処理装置1は、たとえば、入金部21から取り込んだ紙幣を、一時保留部23を経由して、金庫部筐体13の収納装置(第1収納装置31など)に収納できる。
【0060】
第1、第2、第3、及び第5収納装置31、32、33、35は、同じ構成を有している。これらの収納装置31、32、33、35はそれぞれ、スタック式の収納装置である。スタック式の収納装置は、紙幣を重ねて収納する。第1、第2、第3、及び第5収納装置31、32、33、35はそれぞれ、一つの収納部310、320、330、350を有している。第1、第2、第3及び第5収納装置31、32、33、35は、収納部310、320、330、350の外から中へ紙幣を取り込んで、収納部310、320、330、350に紙幣を収納することができる。第1、第2、第3及び第5収納装置31、32、33、35は、収納部310、320、330、350に収納している紙幣を、収納部310、320、330、350の中から外へ繰り出すことができる。但し、図2に例示する紙幣処理装置1において、第5収納装置35は、収納している紙幣を、収納部350の中から外へ繰り出さない。
【0061】
第1、第2、第3、及び第5収納装置31、32、33、35には、後述する第4搬送路44又は第6搬送路46が接続される。第1、第2、第3、及び第5収納装置31、32、33、35と、第4搬送路44又は第6搬送路46との接続箇所には、紙幣の通過を検知するセンサが取り付けられている。紙幣処理装置1のコントローラ51は、当該センサの検知信号に基づいて、第1、第2、第3、及び第5収納装置31、32、33、35のそれぞれに入った紙幣をカウントすると共に、第1、第2、及び、第3収納装置31、32、33のそれぞれから出た紙幣をカウントする。コントローラ51は、カウントに基づいて、各収納部310、320、330、350のそれぞれに収納されている紙幣の枚数を管理する。
【0062】
第4収納装置34も、スタック式の収納装置である。第4収納装置34は、上側収納部341と下側収納部342との二つの収納部を有している。上側収納部341と下側収納部342とは互いに独立している。上側収納部341は、上側収納部341の外から中へ紙幣を取り込んで、上側収納部341に紙幣を収納すると共に、上側収納部341に収納している紙幣を、上側収納部341の中から外へ繰り出す。下側収納部342も、下側収納部342の外から中へ紙幣を取り込んで、下側収納部342に紙幣を収納すると共に、下側収納部342に収納している紙幣を、下側収納部342の中から外へ繰り出す。
【0063】
上側収納部341には、第4搬送路44が接続される。下側収納部342には、第5搬送路45が接続される。上側収納部341と第4搬送路44との接続箇所、及び、下側収納部342と第5搬送路45との接続箇所には、紙幣の通過を検知するセンサが取り付けられている。紙幣処理装置1のコントローラ51は、当該センサの検知信号に基づいて、上側収納部341又は下側収納部342のそれぞれに入った紙幣をカウントすると共に、上側収納部341又は下側収納部342のそれぞれから出た紙幣をカウントする。コントローラ51は、カウントに基づいて、各収納部341、342に収納されている紙幣の枚数を管理する。
【0064】
第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、第4収納装置34の上側収納部341、及び、下側収納部342はそれぞれ、異なる金種の紙幣を収納できる。第5収納装置35は、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、及び、第4収納装置34に収納しない紙幣を収納する。第1収納装置31がフルになっても紙幣処理装置1の稼働を継続するときは、第5収納装置35は第1収納装置31に搬送されるべき金種の紙幣を収納する(第2~第4収納装置32~34についても同様である)。第5収納装置35はまた、出金処理時に、識別部24が正常でないと判断した異常紙幣を収納する。収納装置31~35が収納する金種は、設定に応じて変更できる。たとえば2以上の収納装置に同じ金種の紙幣を収納してもよい。
【0065】
小型収納装置36は、第4収納装置34と第5収納装置35との間に配置されている。小型収納装置36は、テープ式の収納ユニットである。小型収納装置36の容量は、一時保留部23の容量よりも小さい。小型収納装置36は、紙幣を一時的に収納すると共に、収納した紙幣を繰り出すことができる。
【0066】
尚、図2に示す収納装置の構成は一例である。収納装置の数、及び、配置は、図2の構成例に限定されない。各収納装置の構造は、図2の構成例に限定されない。例えば、第4収納装置34は、一つの収納部を有する収納装置であってもよい。また、第5収納装置35は、二つの収納部を有する収納装置であってもよい。小型収納装置36は、無くてもよい。
【0067】
搬送部4は、紙幣処理装置1内で、紙幣と紙幣との間に間隔を空けて、紙幣を一枚ずつ搬送する。搬送部4は、例えば紙幣の長辺の縁を前にして、紙幣を搬送する。搬送部4は、紙幣の短辺の縁を前にして、紙幣を搬送してもよい。搬送部4は、搬送路40、41、42、43、44、45、46を有している。搬送路40、41、42、43、44、45、46は、多数のローラ、複数のベルト、これらを駆動するモータ、及び、複数のガイドの組み合わせによって構成されている。
【0068】
搬送路40は、ループ状である。ループ搬送路40は、処理部筐体11に配設されている。識別部24は、ループ搬送路40の途中に配設されている。紙幣は、ループ搬送路40に沿って、正方向及び逆方向のそれぞれに搬送される。正方向は、図2における時計回り方向であり、逆方向は、図2における反時計回り方向である。
【0069】
第1搬送路41は、入金部21とループ搬送路40とを互いにつなぐ。第2搬送路42は、出金部22とループ搬送路40とを互いにつなぐ。第3搬送路43は、一時保留部23とループ搬送路40とを互いにつなぐ。
【0070】
第4搬送路44は、途中で複数に分岐している。第4搬送路44は、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、及び第4収納装置34の上側収納部341と、ループ搬送路40とを互いにつなぐ。
【0071】
第5搬送路45も、途中で複数に分岐している。第5搬送路45は、第4収納装置34の下側収納部342及び小型収納装置36と、ループ搬送路40とを互いにつなぐ。第6搬送路46は、第5収納装置35とループ搬送路40とを互いにつなぐ。
【0072】
ループ搬送路40と第1~第6搬送路41~46それぞれとの接続箇所、及び、第4搬送路44の分岐箇所のそれぞれには、紙幣の搬送方向を切り替える分岐機構が設けられている。また、ループ搬送路40、第1~第6搬送路41~46における各所には、紙幣の通過を検知する通過センサ、及び、紙幣の端を検知するタイミングセンサが配設されている。コントローラ51は、通過センサ及びタイミングセンサの検知信号に基づき、搬送部4を通じて各分岐機構を制御する。このことにより、紙幣は、所定の搬送先へ搬送される。
【0073】
コントローラ51は、紙幣処理装置1を制御する。コントローラ51は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、及び、I/O回路を含んで構成することができる。CPUは、プログラムを実行する。メモリは、処理機の動作のためのプログラム及びデータを格納する。メモリは、例えばRAM(Random Access Memory)及び/又はROM(Read Only Memory)である。I/O回路は、コントローラ51とコントローラ51に接続された各機器との間の電気信号の入出力を行う。コントローラ51には、入金部21、出金部22、一時保留部23、識別部24、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、第4収納装置34、第5収納装置35、小型収納装置36、搬送部4、記憶部52、操作部53、表示部54、及び、通信部55が、それぞれ信号の授受可能に接続されている。
【0074】
記憶部52は、各種のデータ等を記憶する。記憶部52は、例えば、磁気記憶装置、又は、不揮発性の半導体記憶装置である。操作者は、操作部53を操作できる。操作部53を操作する操作者は、金融機関の顧客、又は、金融機関の担当者である。表示部54は、操作者に対して、視覚を通じた各種の情報を提供する。表示部54は、例えば、液晶表示装置である。タッチパネルは、操作部53と表示部54とを一体化させたデバイスである。通信部55は、管理装置56との間で、ネットワーク58を介して通信を行う。ネットワーク58は、広域ネットワーク及び/又は狭域ネットワークである。
【0075】
管理装置56は、各種の情報を表示するディスプレイ57を有している。管理装置56は、例えばPC(Personal Computer)であってもよい。金融機関の担当者は、管理装置56を使って紙幣処理装置1を管理できる。
【0076】
コントローラ51は、操作者が操作部53を操作した場合に、入金部21、出金部22、一時保留部23、識別部24、搬送部4、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、第4収納装置34、第5収納装置35、及び、小型収納装置36を制御することによって、紙幣に関する各種の処理を実行する。
【0077】
(入金処理)
次に、紙幣処理装置1が実行する処理の一つである入金処理が、図3を参照しながら説明される。紙幣処理装置1は、入金処理時に、入金部21に投入された紙幣を、収納装置の中に収納する。図3は、入金処理時における紙幣の搬送経路を例示している。
【0078】
操作者は、入金対象の紙幣を、入金部21に投入する。入金部21は、紙幣を一枚一枚、装置内に導入する。搬送部4は、紙幣を識別部24へ搬送する。識別部24は、紙幣を識別する。搬送部4は、識別部24を通過した紙幣を、一時保留部23へ搬送する。一時保留部23は、紙幣を収納する(図3の上図301の矢印参照)。コントローラ51は、一時保留部23に収納した紙幣に関する情報を、記憶部52に記憶させる。記憶部52は、収納した紙幣の収納順と対応付けて、紙幣の記番号を記憶する。収納順と記番号との対応情報を、記番号のリストと呼ぶ。記憶部52は、紙幣が一時保留部23へ収納される度に、記番号のリストを更新する。尚、搬送部4は、識別部24が正常でないと判断したリジェクト紙幣を、例えば出金部22へ搬送する。
【0079】
入金部21に投入された紙幣が全て紙幣処理装置1内に取り込まれた後、表示部54が入金金額を表示する。操作者は、操作部53を操作することによって入金金額を確定できる。操作者はまた、入金処理のキャンセルもできる。
【0080】
操作者が入金金額を確定させれば、コントローラ51は、一時保留部23に収納された紙幣であって、入金対象の紙幣の枚数を確定する。紙幣の枚数の確定後、搬送部4は、一時保留部23が繰り出した紙幣を、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、第4収納装置34、又は、第5収納装置35へ搬送する。収納装置31~35は、紙幣を収納する(図3の下図302の矢印参照)。コントローラ51は、収納装置31~35に収納した紙幣に関する情報を、記憶部52に記憶させる。記憶部52は、収納装置毎に、収納した紙幣の収納順と対応付けて、紙幣の記番号を記憶する。記憶部52は、紙幣が収納装置31~35へ収納される度に、記番号のリストを更新する。
【0081】
一方、操作者が入金処理をキャンセルした場合、搬送部4は、一時保留部23が繰り出した紙幣を、出金部22へ搬送する。紙幣が操作者に返却される。
【0082】
尚、紙幣処理装置1は、初期設定において、収納装置31~35に収納している紙幣の記番号を管理するモードと、収納装置31~35に収納している紙幣の記番号を管理しないモードと、を切り替えて動作できる。紙幣の記番号を管理するモードにおいて、記憶部52は、識別部24を通過した紙幣の記番号を記憶し、コントローラ51は、記憶された記番号を用いた処理(例えば精査処理)を実行できる。紙幣の記番号を管理しないモードにおいて、記憶部52は、記番号のリストを記憶しない。
【0083】
(エラー発生後の復旧)
入金処理中に、例えば紙幣の詰まり等のエラーが発生して紙幣処理装置1が停止した際に、紙幣が、一時保留部23と第3搬送路43との接続箇所において停まってしまうと、コントローラ51は、センサの検出信号に基づいてカウントした紙幣が、一時保留部23に実際に入ったか入っていないかを判断できなくなる。その結果、一時保留部23が不定になる。同様に、紙幣が、第1~第5収納装置31~35と搬送路との接続箇所において停まってしまうと、コントローラ51は、センサの検出信号に基づいてカウントした紙幣が、収納装置に実際に入ったか入っていないかを判断できなくなる。その結果、当該収納装置が不定になる。
【0084】
一時保留部23又は収納装置31~35が不定になると、一時保留部23又は収納装置31~35に収納されている紙幣の枚数を確定させる必要がある。
【0085】
従来の紙幣処理装置は、一時保留部が不定になった場合、一時保留部に収納されている紙幣の枚数を確定するために、入金処理を中断して、一時保留部に収納されている全ての紙幣を装置の外へ払い出し、入金処理を最初からやり直す。
【0086】
従来の紙幣処理装置においてはまた、収納装置が不定になった場合、不定になった収納装置が、収納部に収納されている紙幣を繰り出し、識別部が繰り出された媒体を識別した上で、その紙幣を収納装置に収納し直す。
【0087】
一時保留部又は収納部に収納されている全ての紙幣の枚数を確認することは、長い時間が必要である。従来の紙幣処理装置は、中断した入金処理を、早期に再開することができない。
【0088】
また、紙幣処理装置1は、前述したように、顧客が操作を行うセルフ機である。エラーが発生して紙幣処理装置1が停止した後、紙幣処理装置1は、人手を介さずにエラーから復旧できることが好ましい。紙幣処理装置1が復旧できなければ、当該紙幣処理装置1は、アウトオブサービスになるからである。
【0089】
ここに開示する紙幣処理装置1は、効率的にエラーから復旧できる。
【0090】
具体的に紙幣処理装置1は、図3の上図301に示すように、搬送部4が入金部21から識別部24を経由して一時保留部23へ媒体を搬送している最中にエラーが発生した第1ケースと、図3の下図302に示すように、搬送部4が一時保留部23から収納装置31~35へ媒体を搬送している最中にエラーが発生した第2ケースと、のそれぞれにおいて、異なる復旧手順を採用している。これにより紙幣処理装置1は、効率的にエラーから復旧できる。以下、エラー発生後の復旧手順について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0091】
(第1ケースの復旧手順)
(第1パターン)
搬送部4が入金部21から識別部24を経由して一時保留部23へ媒体を搬送している最中にエラーが発生して紙幣処理装置1が停止した後、コントローラ51は、搬送部4に対して、処理部筐体11の搬送路に残っている紙幣を出金部22へ搬送させて搬送路をクリアする。
【0092】
搬送路がクリアされた後、コントローラ51は、不定になった一時保留部23に収納されている紙幣の枚数を確定させる。図4(a)は、搬送路がクリアされた後の紙幣の搬送経路を例示している。コントローラ51は、一時保留部23に対して、収納している紙幣を、少なくとも2枚繰り出させる(図4(a)の実線の矢印参照)。搬送部4は、一時保留部23から繰り出された紙幣を識別部24へ搬送し、識別部24は、紙幣を識別する。識別部24はまた、紙幣の記番号を読み取る。コントローラ51は、読み取られた記番号と、記憶部52が記憶している記番号のリストとを照合する。記憶部52は、エラーが発生する時点において一時保留部23に収納されている紙幣についての記番号のリストを記憶している。記番号のリストは、紙幣の収納順に対応しているため、記番号のリストにおいて、一時保留部23から繰り出された紙幣の順位が特定されれば、一時保留部23に未だ残っている紙幣が特定できる。記番号のリストを利用することによって、コントローラ51は、一時保留部23に収納されている全ての紙幣が繰り出されなくても、一時保留部23に収納されている紙幣の枚数を確認できる。コントローラ51は一時保留部23に収納されている紙幣の枚数を、速やかに確認できる。その結果、紙幣処理装置1は、エラーから早期に復旧できる。
【0093】
ここで、一時保留部23に収納されている紙幣の枚数を確認する処理を、精査処理と呼ぶ場合がある。記番号のリストを利用した精査処理は、一時保留部23に収納されている紙幣の一部のみを繰り出すことから、部分精査処理と呼ばれる。
【0094】
搬送部4は、識別部24を通過した紙幣の内、識別部24が正常であると判断した紙幣を、一時保留部23へ搬送する。ここで、図2に一点鎖線で囲んだ箇所において、紙幣を搬送するための駆動源、具体的には、一時保留部23用のモータ、及び、ループ搬送路40と一時保留部23とをつなぐ第3搬送路43用のモータは、ループ搬送路40用のモータから独立している。そのため、一時保留部23及び第3搬送路43は、一時保留部23から繰り出された紙幣をループ搬送路40へ送った後、モータの駆動方向が逆転することによって、図4(a)に実線の矢印で示すように、正常な紙幣を一時保留部23へ搬送し、そこに収納することができる。正常な紙幣を、出金部22へ搬送しないことで、紙幣処理装置1が停止した後の復旧時に、操作者に返却される紙幣の枚数が減る。
【0095】
搬送部4はまた、識別部24を通過した紙幣の内、識別部24が正常でないと判断した非正常紙幣を、図4(a)に破線の矢印で示すように、出金部22へ搬送する。つまり、識別部24が正常でないと判断した紙幣は、操作者へ返却される。但し、一時保留部23から繰り出された紙幣は、識別部24が一度は正常な紙幣であると判断した紙幣であるため、正常でないと判断されることは、ほとんど生じない。つまり、搬送路のクリアの際に紙幣が出金部22へ搬送された後に、再度、紙幣が出金部22へ搬送されることは、ほとんどない。
【0096】
このように、紙幣処理装置1は、第1ケースにおいて、人手を介さずに、効果的にエラーから復旧できる。紙幣処理装置1がアウトオブサービスになることが抑制される。また、人手を介さずに、紙幣処理装置1はエラーから復旧するため、この復旧方法は、人為的ミスを避けることができる。
【0097】
一時保留部23に収納されている紙幣の枚数が確定すれば、紙幣処理装置1は、入金処理を再開する。紙幣処理装置1が部分精査処理を行うため、一時保留部23の枚数を確定させるために要する時間を短くすることができる。エラーの発生に伴い紙幣処理装置1が停止した後、顧客を長い時間待たせることなく、紙幣処理装置1は、入金処理を再開できる。
【0098】
入金処理の再開の際に、操作者は、返却された紙幣を含めて、手元にある入金対象の紙幣を入金部21へ投入する。前述したように、入金対象の紙幣のうち、既に一時保留部23に収納されている紙幣は、入金部21へ投入されないため、入金処理は、最初からではなく、中断したところから再開される。紙幣処理装置1は、入金処理を速やかに終了させることができる。
【0099】
コントローラ51は、エラーからの復旧後において、一時保留部23、及び、各収納装置31~36に収納される紙幣について、記番号に基づく管理を継続できる。
【0100】
なお、搬送路42は、双方向(つまり、出金部22に向かう排出方向と当該排出方向と逆方向)に紙幣を搬送するように構成することもできる。この構成では、第1パターンの復旧手順として、一時保留部23から搬送されかつ出金部22に集積された紙幣を、排出方向と逆方向に搬送し、識別部24を経由し、一時保留部23に搬送してもよい。この場合、操作者は返却された紙幣の再投入を行わなくてよい。
【0101】
(第2パターン)
第2パターンは、識別部24を通過した紙幣の搬送先が、第1パターンとは異なる。図4(b)に実線及び破線の矢印で示すように、搬送部4は、識別部24を通過した紙幣の内、正常と判断された紙幣、及び、正常でないと判断された紙幣の両方を、出金部22へ搬送する。但し、第2パターンでも、第1パターンと同様に、一時保留部23に収納されている紙幣の一部のみが出金部22へ搬送されるため、操作者に返却されかつ、操作者が再投入する紙幣の枚数が、最小限である。紙幣処理装置1は、速やかにエラーから復旧できると共に、再開後の入金処理を速やかに終了させることができる。
【0102】
第2パターンにおいても、紙幣処理装置1は、人手を介さずに、効果的にエラーから復旧できる。また、コントローラ51は、エラーからの復旧後において、一時保留部23、及び、各収納装置31~36に収納される紙幣について、記番号に基づく管理を継続できる。
【0103】
尚、第2パターンは、搬送路のクリアの際に紙幣が出金部22へ搬送された後、時間を空けて再度、紙幣処理装置1が部分精査処理を実行することに伴い数枚の紙幣が出金部22へ集積される。このことが、操作者に違和感を与える場合がある。
【0104】
なお、前記と同様に、搬送路42が、双方向(つまり、出金部22に向かう排出方向と当該排出方向と逆方向)に紙幣を搬送するように構成される場合、第2パターンの復旧手順として、一時保留部23から搬送されかつ出金部22に集積された紙幣を、排出方向と逆方向に搬送し、識別部24を経由し、一時保留部23に搬送してもよい。この場合も、操作者は返却された紙幣の再投入を行わなくてよい。
【0105】
(第3パターン)
図5は、第3パターンにおける紙幣の搬送経路を示している。第3パターンは、小型収納装置36を利用する。第1パターン及び第2パターンと同様に、一時保留部23は、少なくとも2枚の紙幣を繰り出す。搬送部4は、図5の上図501に実線の矢印で示すように、繰り出された紙幣を、小型収納装置36へ搬送し、小型収納装置36は紙幣を収納する。
【0106】
一時保留部23が繰り出した紙幣が全て小型収納装置36に収納された後、小型収納装置36は、図5の下図502に示すように、紙幣を繰り出す。搬送部4は、繰り出された紙幣を識別部24へ搬送する。識別部24は、第1パターン及び第2パターンと同様に、紙幣を識別と、記番号の読み取りとを行う。搬送部4は、第1パターンと同様に、識別部24を通過した後の紙幣の内、正常な紙幣を一時保留部23へ搬送し、正常でない紙幣を出金部22へ搬送する。前述したように、正常でないと識別されることは、稀であるため、ほとんどの紙幣は、出金部22へ搬送されない。操作者に違和感を与えることが抑制される。
【0107】
第3パターンにおいても、紙幣処理装置1は、エラーからの復旧を速やかに行うことができ、中断後の入金処理を速やかに終了させることができる。また、紙幣処理装置1は、人手を介さずに、効果的にエラーから復旧できる。コントローラ51は、エラーからの復旧後において、一時保留部23、及び、各収納装置31~36に収納される紙幣について、記番号に基づく管理を継続できる。
【0108】
また、第3パターンは、第1パターンと異なり、小型収納装置36を利用することで、紙幣の搬送途中で、モータの逆転駆動を行わなくてもよい。第1パターンの復旧手順は、一時保留部23を含む特定箇所の駆動源が別れている特定構成の紙幣処理装置において実行可能である。第3パターンは、様々な構成の紙幣処理装置において実行可能である。尚、第3パターンは、小型収納装置36以外の収納装置を利用して実行してもよい。利用する収納装置は、テープ式の収納装置であってもよい。テープ式の収納装置は、紙幣の収納及び繰り出しを安定的に行うことができるためである。
【0109】
(パターンの切り替え)
例えば紙幣処理装置1の管理者は、前述した第1パターン、第2パターン、及び、第3パターンの中から一つのパターンを予め決定し、決定したパターンを記憶部52に記憶させてもよい。コントローラ51は、記憶部52に記憶されているパターンに従って、エラーからの復旧を実行する。
【0110】
また、エラーが発生して紙幣処理装置1が停止した際に、通信部55が管理装置56に情報を送信し、紙幣処理装置1の管理者が、管理装置56を使って、第1パターン、第2パターン、及び、第3パターンの選択操作を実行してもよい。コントローラ51は、エラー発生時に選択されたパターンに従って、エラーからの復旧を実行する。
【0111】
さらに、エラーが発生して紙幣処理装置1が停止した際に、表示部54が情報を表示し、紙幣処理装置1の管理者、又は、金融機関の顧客が、操作部53を通じて、第1パターン、第2パターン、及び、第3パターンのいずれかを選択してもよい。
【0112】
(第2ケースの復旧手順)
(第1パターン)
図6は、第2ケースの復旧手順を例示している。図6の例では、搬送部4が一時保留部23から収納装置31~35へ媒体を搬送している最中にエラーが発生して紙幣処理装置1が停止したときに、第3収納装置33が不定になったと仮定する。たとえば搬送路44と第3収納装置33との境界領域で紙幣が詰まったときに第3収納装置33が不定になりうる。
【0113】
紙幣処理装置1の停止後、コントローラ51は、図6の上図601に示すように、搬送部4に対して、搬送路に残っている紙幣を、収納装置へ搬送させて搬送路をクリアする。このクリアの際に、搬送部4は、不定になった第3収納装置33以外の収納装置31、32、34、35へ、紙幣を搬送する。搬送部4は、第3収納装置33に収納されるべき金種以外の金種の紙幣を、その金種に応じて、収納装置31、32、34又は35へ搬送し、各収納装置31、32、34、35は、紙幣を収納する。記憶部52は、各収納装置に収納された紙幣の記番号を、収納順に対応付けて記憶する。
【0114】
搬送部4はまた、搬送路に残っている紙幣のうち、第3収納装置33に収納されるべき金種の紙幣を、第3収納装置33の代わりに、第5収納装置35へ搬送し、第5収納装置35は、紙幣を収納する。コントローラ51は、紙幣の搬送先を切り替える。第5収納装置35は、繰り出しを行わない収納装置であるため、第3収納装置33に収納されるべき紙幣、つまりリサイクル予定の紙幣の一部は、リサイクルできないことになる。以上の手順によって搬送路がクリアされた後、一時保留部23には未だ、紙幣が収納されている。
【0115】
搬送路のクリアが完了した後、コントローラ51は、入金処理を中断し、不定になった第3収納装置33の精査処理、より正確には、部分精査処理を実行する。具体的に、図6の下図602の例では、第3収納装置33が、2枚以上の紙幣を繰り出し、搬送部4は、第3収納装置33から繰り出された紙幣を識別部24へ搬送する。識別部24は、紙幣の識別及び記番号の読み取りを行う。コントローラ51は、読み取られた記番号と、記憶されている記番号のリストとを照合することによって、記番号のリストにおける記番号の順位であって、読み取られた記番号の順位を特定する。
【0116】
ここで、第3収納装置33はスタック式の収納装置であり、紙幣を収納する際に紙幣の順番が入れ替わってしまう可能性がある。そこで、コントローラ51は、第3収納装置33から連続して繰り出された複数枚、例えば5枚の紙幣のグループと、記番号のリストにおいて連続する複数の記番号のグループとを照合することによって、記番号のリストにおける記番号の順位であって、読み取られた記番号の順位を特定してもよい。紙幣にはユニークな記番号が付されている。記番号の順位が特定できれば、記番号のリストにおいて当該順位よりも下位の記番号を有する紙幣は、第3収納装置33に未だ残っている。記番号のリストを使うことによって、コントローラ51は、第3収納装置33に収納されている一部の紙幣が繰り出されるだけで、第3収納装置33が収納している紙幣の枚数を確認できる。コントローラ51は、第3収納装置33が収納している紙幣の枚数を、短い時間で確認できる。紙幣処理装置1は、速やかに、エラーから復旧できる。
【0117】
搬送部4は、図6の下図602に実線の矢印で示すように、識別部24を通過した紙幣の内、正常な紙幣を一時保留部23に搬送し、一時保留部23は、紙幣を収納する。前述したように、一時保留部23には、紙幣が収納されているものの、一時保留部23はテープ式の収納ユニットであるため、紙幣の収納順が入れ替わらない。一時保留部23は、部分精査処理に際して、紙幣の一時的な収納装置として利用できる。搬送部4はまた、正常でないと判断された紙幣を、図6の下図602に破線の矢印で示すように、第5収納装置35へ搬送し、第5収納装置35は、紙幣を収納する。当該紙幣は、入金が確定している紙幣であるため、出金部22へ払い出さない。このとき、たとえば汚損や破れなど状態が悪い紙幣が、正常でないと判断されるように、紙幣処理装置1の設定を行うことができる。
【0118】
第3収納装置33に収納されている紙幣の枚数が確定されると、紙幣処理装置1は、入金処理を再開する。具体的には、図7に示すように、一時保留部23が、入金対象の紙幣を繰り出し、搬送部4は、紙幣を、各収納装置へ搬送する。このときに第3収納装置33は不定ではないため、搬送部4は、第3収納装置33へも紙幣を搬送する。言い換えると、第3収納装置33に収納されている紙幣の枚数が確定されたことにより、第3収納装置33を復旧できる。一時保留部23から全ての紙幣が繰り出され、各収納装置が紙幣を収納すると、入金処理が完了する。
【0119】
エラーからの復旧の際に、不定になった収納装置に対する精査処理が行われるため、コントローラ51は、エラーからの復旧後において、各収納装置31~36に収納されている紙幣について、記番号に基づく管理を継続できる。
【0120】
第1パターンによれば、搬送部4が一時保留部23から収納装置31~35へ媒体を搬送している最中にエラーが発生して紙幣処理装置1が停止したタイミングで、復旧が実行される。後述の第2パターンと比較し、第5収納装置35を入金用途として多用することがないので、たとえば第5収納装置35が紙幣で早期にフルになるのを抑制できる。
【0121】
紙幣処理装置1は、第2のケースにおいても、人手を介さずに、効果的にエラーから復旧できる。紙幣処理装置1がアウトオブサービスになることが抑制される。また、エラーからの復旧に人手を介さないため、この復旧方法は、人為的ミスを避けることができる。
【0122】
(第2パターン)
図8は、第2パターンの手順を例示している。図8も第3収納装置33が不定になった例である。第1パターンは、一時保留部23から収納装置への媒体の搬送が中断されて、不定になった収納装置の精査処理が行われた後、入金処理が再開されて、一時保留部23内の紙幣が各収納装置に収納されるパターンである。第2パターンは、一時保留部23から各収納装置への紙幣の搬送が継続されて、一時保留部23内の紙幣が各収納装置に収納された後で、不定になった収納装置の精査処理が行われるパターンである。
【0123】
図8の上図801は、図6の上図601に示す搬送路のクリアが終了した後の、紙幣の搬送経路を示している。一時保留部23は、入金対象の紙幣を繰り出し、搬送部4は、紙幣を、その金種に応じて、収納装置31、32、34又は35へ搬送する。このとき、第3収納装置33が不定であるため、搬送部4は、第3収納装置33へ搬送すべき金種の紙幣を、第5収納装置35へ搬送する。コントローラ51は、紙幣の搬送先を切り替える。
【0124】
一時保留部23が全ての紙幣を繰り出し、各収納装置が紙幣を収納した後、図8の下図802に示すように、第3収納装置33は、2枚以上の紙幣を繰り出し、搬送部4は、繰り出された紙幣を識別部24へ搬送する。識別部24は、紙幣の識別及び記番号の読み取りを行う。コントローラ51は、読み取られた記番号と、第3収納装置33の記番号のリストとを照合することにより、第3収納装置33に収納されている紙幣の枚数を確認する。
【0125】
搬送部4は、識別部24を通過した紙幣のうち、正常な紙幣を、実線の矢印で示すように、一時保留部23へ搬送し、正常でないと判断された紙幣を、破線の矢印で示すように、第5収納装置35へ搬送する。
【0126】
第3収納装置33の収納枚数が確定されれば、紙幣処理装置1は復旧する。以降、紙幣処理装置1は、第3収納装置33を使用して処理を実行することができる。また、コントローラ51は、各収納装置31~36に収納されている紙幣について、記番号に基づいて管理できる。
【0127】
尚、図8の下図において一時保留部23に一時的に収納された紙幣は、一時保留部23から繰り出され、第3収納装置33へ収納される。
【0128】
紙幣処理装置1は、一時保留部23に収納されている入金対象の紙幣を、各収納装置へ収納させることによって、一時保留部23を、速やかに空にすることができる。第2パターンは、エラーが発生した際に実行していた入金処理を優先することができるという利点がある。
【0129】
尚、図8の上図801に示す一時保留部23から各収納装置への紙幣の搬送と、図8の下図802に示す収納装置の部分精査処理とは、連続して行う必要はない。紙幣処理装置1は、図8の上図801に示す一時保留部23から各収納装置への紙幣の搬送を行って入金処理を完了させた後、部分精査処理を行う前に、当該入金処理とは別の処理、例えば別の顧客の入金処理又は出金処理を行ってもよい。
【0130】
パターン2によれば、たとえば紙幣処理装置1を利用するために複数の顧客が待っている状況において、不定になった収納装置(上述の例では第3収納装置33)の精査処理の時間を要することなく紙幣処理装置1の入出金処理を継続できる。顧客の待ち時間を増やすことが抑制できる。
【0131】
また、この場合、紙幣処理装置1は、不定になった第3収納装置33を使わずに、入金処理又は出金処理を行う。具体的に、入金処理を行う場合、コントローラ51は、第3収納装置33に収納すべき金種の紙幣を、第5収納装置35へ収納させる。また、出金処理を行う場合、コントローラ51は、第3収納装置33から繰り出すべき金種の紙幣に代替可能な金種の紙幣を、他の収納装置31、32、34から繰り出させる。
【0132】
(第3パターン)
第3パターンは、不定になった収納装置の精査処理を優先的に実行する点で、第1パターンと同じである。第3パターンは、精査処理を実行しようとする際に、一時保留部23の空き容量が少ないため、一時保留部23が、一部の紙幣を繰り出すことによって空きを設ける点が、第1パターンと相違する。精査処理の前に、一時保留部23が紙幣を繰り出す点で、第3パターンは、第2パターンと同じである。
【0133】
図8の上図801は、図6の上図601に示す搬送路のクリアが終了した後の、第3パターンの最初のステップを示している。但しこの場合、一時保留部23は、収納している紙幣の一部のみを繰り出す。一時保留部23が繰り出す紙幣の枚数は、一時保留部23の収納量に応じて変わる。一時保留部23は、少なくとも10枚程度の空きが設けられるように、紙幣を繰り出す。搬送部4は、繰り出された紙幣を、各収納装置へ搬送する。この場合に、不定である第3収納装置33以外の収納装置へ紙幣が搬送される点は、前記と同じである。
【0134】
一時保留部23に空きが設けられれば、図6の下図602に示すように、不定である第3収納装置33が、精査処理のために、二枚以上の紙幣を繰り出す。搬送部4は、繰り出された紙幣を識別部24へ搬送し、識別部24は紙幣の識別及び記番号の読み取りを行う。コントローラ51は、読み取られた記番号と記番号のリストとを照合し、第3収納装置33の枚数を確認する。搬送部4は、識別部24を通過した正常な紙幣を、実線の矢印で示すように、一時保留部23へ搬送し、正常でないと判断された紙幣を、破線の矢印で示すように、第5収納装置35へ搬送する。
【0135】
第3収納装置33の枚数が確認された後、図7に示すように、一時保留部23は紙幣を繰り出し、搬送部4は、繰り出された紙幣を各収納装置へ搬送する。この場合、第3収納装置33は不定でないため、搬送部4は、第3収納装置33へも紙幣を搬送する。
【0136】
第3パターンにおいては、第1パターンと同様に、部分精査処理の実行によって、コントローラ51は、不定になった収納装置に収納されている紙幣の枚数を速やかに確認できる。紙幣処理装置1は、エラーから速やかに復旧できる。エラーからの復旧後、コントローラ51は、各収納装置31~36に収納されている紙幣について、記番号に基づく管理を継続できる。
【0137】
また、第3パターンにおいては、第2パターンとは異なり、第5収納装置35に収納する紙幣を少なくすることができる。紙幣処理装置1は、リサイクル用の紙幣を、多く確保できる。また、紙幣処理装置1は、第5収納装置35の空き容量の減少を抑制できる。
【0138】
(精査処理時の搬送先の変形例)
前述した第2ケースの復旧手順の第1パターン、第2パターン、及び、第3パターンのいずれにおいても、識別部24を通過した後の紙幣を、一時保留部23又は第5収納装置35へ搬送していた。紙幣処理装置1は、紙幣の搬送先を変更することが可能である。図9(a)は、正常な紙幣、及び、正常でないと判断された紙幣の両方を、出金部22へ搬送する例を示している。この場合、筐体の外へ払い出された紙幣は、入金処理において入金が確定している紙幣である。そのため、金融機関の担当者であって、所定の権限を有する管理者が、筐体の外へ払い出された紙幣を管理する。管理者は、例えば紙幣処理装置1において操作部53を操作することによって、筐体の外へ払い出された紙幣を、入金部21から筐体の中へ導入する戻し入れ処理を行ってもよい。
【0139】
尚、出金部22が、払い出された紙幣を再び筐体の中へ導入する機能を有している場合、出金部22は、払い出された紙幣を再び筐体の中へ導入する。この場合、管理者が管理をする必要はない。払い出された紙幣が触れられないように、出金部22は、シャッターを有していてもよい。
【0140】
図9(b)は、正常な紙幣、及び、正常でないと判断された紙幣の両方を、第5収納装置35へ搬送する例を示している。前述したように、第5収納装置35は、収納している紙幣を繰り出さないため、第5収納装置35へ紙幣を搬送することによって、正常な紙幣でかつ、リサイクル可能な紙幣が、リサイクルできない紙幣になる。また、第5収納装置35へ紙幣を搬送することは、第5収納装置35の収納量を増やすことになるが、出金部22に紙幣を搬送する場合と異なり、払い出された紙幣を管理者が筐体の中へ導入する必要がない。
【0141】
(パターンの切り替え)
例えば紙幣処理装置1の管理者は、前述した第2ケースの復旧手順の第1パターン、第2パターン、及び、第3パターンの中から一つのパターンを予め決定し、決定したパターンを記憶部52に記憶させてもよい。コントローラ51は、記憶部52に記憶されているパターンに従って、エラーからの復旧を実行する。
【0142】
また、エラーが発生して紙幣処理装置1が停止した際に、通信部55が管理装置56に情報を送信し、紙幣処理装置1の管理者が、管理装置56を使って、第1パターン、第2パターン、及び、第3パターンの選択操作を実行してもよい。コントローラ51は、エラー発生時に選択されたパターンに従って、エラーからの復旧を実行する。
【0143】
さらに、エラーが発生して紙幣処理装置1が停止した際に、表示部54が情報を表示し、紙幣処理装置1の管理者が、操作部53を通じて、第1パターン、第2パターン、及び、第3パターンのいずれかを選択してもよい。
【0144】
(復旧処理に係るフローチャート)
図10及び図11は、前述した復旧処理に関し、コントローラ51が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0145】
先ずスタート後のステップS11において、コントローラ51は、紙幣処理装置1が入金処理を開始したか否かを判断する。紙幣処理装置1が入金処理を開始しない場合、プロセスはステップS11を繰り返す。紙幣処理装置1が入金処理を開始した場合、プロセスはステップS12へ進む。
【0146】
ステップS12において、コントローラ51は、エラーが発生したか否かを判断する。この場合のエラーは、入金部21から一時保留部23へ紙幣が搬送されている最中のエラーである。エラーが発生していない場合、プロセスはステップS13に進む。ステップS13においてコントローラ51は、入金対象の紙幣が全て一時保留部23に収納されたか否かを判断する。ステップS13の判断がYESの場合、プロセスはステップS14に進み、ステップS13の判断がNOの場合、プロセスはステップS12に戻る。
【0147】
ステップS12の判断がYESの場合、つまり、搬送部4が入金部21から識別部24を経由して一時保留部23へ媒体を搬送している最中にエラーが発生した第1ケースの場合、プロセスはステップS17に進む。ステップS17においてコントローラ51は、搬送路をクリアする。具体的に、搬送部4は、処理部筐体11の搬送路上の紙幣を出金部22へ搬送する。続くステップS18において、コントローラ51は、一時保留部23の精査が必要か否かを判断する。エラーの発生に伴い紙幣処理装置1が停止する要因として、たとえば一時保留部23の境界で紙幣が停止することにより、一時保留部23の収納枚数が不定になった場合、ステップS18の判断はYESである。ステップS18の判断がYESの場合、プロセスはステップS19に進む。ステップS18の判断がNOの場合、プロセスはステップS110に進む。一時保留部23の精査が不要なため、紙幣処理装置1は入金処理を再開できる。ステップS110においてコントローラ51は、入金処理を再開する。入金処理の再開後、プロセスはステップS12へ戻る。
【0148】
ステップS19において、コントローラ51は、一時保留部23に収納している紙幣の記番号が、記憶部52に記憶されているか否かを判断する。紙幣処理装置1が、記番号を用いた紙幣の管理を行っている場合、ステップS19の判断はYESである。この場合、プロセスはステップS111へ移行する。紙幣処理装置1が、記番号を用いた紙幣の管理を行っていない場合、ステップS19の判断はNOである。この場合、プロセスはステップS112へ移行する。
【0149】
ステップS111において、コントローラ51は、前述したように、一時保留部23に複数枚の紙幣を繰り出させ、識別部24が読み取った記番号と、記番号のリストとの照合を行って、一時保留部23に収納されている紙幣の枚数を確認する。一方、ステップS112において、コントローラ51は、記番号を用いた精査処理ができないため、一時保留部23に、収納している全ての紙幣を繰り出させる。搬送部4は、紙幣を全て、出金部22へ搬送する。この場合、紙幣処理装置1は、入金処理を最初からやり直すことになる。
【0150】
ステップS14以降のフローは、一時保留部23から各収納装置へ紙幣を搬送するステップに対応する。一時保留部23から各収納装置へ紙幣の搬送中にエラーが発生した場合は、第2ケースの復旧手順により、復旧が行われる。
【0151】
先ずステップS14においてコントローラ51は、一時保留部23から各収納装置へ紙幣の搬送中に、エラーが発生して紙幣処理装置1が停止したか否かを判断する。ステップS14の判断がYESの場合、プロセスはステップS15へ進み、NOの場合、プロセスはステップS16へ進む。ステップS15は、第2ケースにおける復旧処理の手順に係る。第2ケースにおける復旧処理の手順は、図11のフローチャートを参照しながら、後で説明する。
【0152】
ステップS16において、コントローラ51は、入金処理が完了したか否かを判断する。入金処理が完了した場合、プロセスは終了する。入金処理が完了していない場合、プロセスはステップS14に戻る。
【0153】
図11は、図10のステップS15の復旧処理に係るフローチャートを例示している。最初のステップS21において、コントローラ51は、搬送路をクリアし、続くステップS22においてコントローラ51は、収納装置の精査が必要であるか否かを判断する。精査が必要である場合、プロセスはステップS23へ移行し、精査が必要でない場合、プロセスは、ステップS27に移行する。ステップS27において、コントローラ51は、入金処理を再開し、プロセスは、図10のステップS14に戻る。
【0154】
一方、精査が必要である場合のステップS23において、コントローラ51は、第2パターンが選択されているか否かを判断する。第2パターンである場合、プロセスはステップS24へ移行し、第2パターンでない場合、プロセスはステップS28へ移行する。
【0155】
ステップS24において、コントローラ51は、一時保留部23から各収納装置への紙幣の搬送及び紙幣の収納を継続させる。この場合、不定な収納装置への紙幣の搬送及び紙幣の収納は行われない(図8の上図801参照)。不定な収納装置に代わる別の収納装置へ紙幣が搬送されかつ、そこへ収納される。
【0156】
続くステップS25において、コントローラ51は、入金対象の紙幣の収納が完了したか否かを判断する。収納が完了した場合、プロセスはステップS26へ進み、収納が完了していない場合、プロセスはステップS24へ戻る。
【0157】
ステップS26においてコントローラ51は、不定な収納装置について、部分精査処理を実行する。前述したように、2枚以上の紙幣が収納装置から繰り出されて、記番号を用いた照合が行われる(図8の下図802参照)。部分精査処理が完了すれば、プロセスは終了する。
【0158】
ステップS28においてコントローラ51は、一時保留部23に空きがあるか否かを判断する。この空きは、部分精査処理の際に、収納装置から繰り出された紙幣を収納するための空きである。ステップS28の判断がYESの場合、プロセスはステップS29へ進み、NOの場合、プロセスはステップS212へ進む。
【0159】
ステップS29~ステップS211は、第1パターンに対応するステップである。ステップS29においてコントローラ51は、不定な収納装置について、部分精査処理を実行する(図6の下図602参照)。部分精査処理の実行によって、不定な収納装置の収納枚数が確認されると、コントローラ51は、ステップS210において、一時保留部23から各収納装置への紙幣の搬送及び紙幣の収納を継続する(図7参照)。ステップS211においてコントローラ51は、収納が完了したか否かを判断する。収納が完了していない場合、プロセスはステップS210に戻り、収納が完了した場合、プロセスは終了する。
【0160】
ステップS212~ステップS215は、第3パターンに対応するステップである。先ず、コントローラ51は、ステップS212において、一時保留部23から紙幣の一部を繰り出させて、収納装置へ収納する(図8の上図801参照)。一時保留部23に空きが設けられれば、続くステップS213においてコントローラ51は、不定な収納装置について、部分精査処理を実行する(図6の下図602参照)。部分精査処理の後、コントローラ51は、ステップS214において、一時保留部23から各収納装置への紙幣の搬送及び紙幣の収納を継続する(図7参照)。ステップS215においてコントローラ51は、収納が完了したか否かを判断する。収納が完了していない場合、プロセスはステップS214に戻り、収納が完了した場合、プロセスは終了する。
【0161】
紙幣処理装置1は、第1ケース及び第2ケースのそれぞれにおいて、前述した復旧動作を行う。このことにより、入金処理中にエラーが発生しても、人手を介さずに、紙幣処理装置1は、自動でエラーから復旧することができる。エラーから復旧した紙幣処理装置1は、処理を再開することができるから、この紙幣処理装置1は、金融機関の店舗にセルフ機として設置されることに適している。但し、この紙幣処理装置1は、金融機関の担当者が操作を行う、いわゆるテラー機として使用することもできる。紙幣処理装置1は、人手を介さずに、速やかにエラーから復旧できるため、テラー機として使用される場合、金融機関の業務効率を向上させる。また、エラーの自動復旧は、人為的ミスを回避できる。
【0162】
尚、紙幣処理装置1は、前述した、第1ケースにおける第1処理、および、第2ケースにおける第2処理の少なくとも一つが、コントローラ51によって選択的に実行されるよう構成されてもよい。
【0163】
(他の実施形態)
ここに開示する技術が適用可能な紙幣処理装置は、図2に例示する構造の紙幣処理装置1に限定されない。ここに開示する技術は、様々な構造の紙幣処理装置に適用可能である。また、ここに開示する技術は、硬貨処理装置にも適用可能であるし、小切手等の有価媒体を処理する処理装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0164】
100 媒体処理装置
101 導入部
102 識別部
103 一時保留部
104 収納部
105 搬送部
1051 搬送路
106 制御部
107 筐体
1 紙幣処理装置(媒体処理装置)
11 処理部筐体
13 金庫部筐体
21 入金部(導入部)
23 一時保留部
24 識別部
310 収納部
320 収納部
330 収納部
341 上側収納部
342 下側収納部
350 収納部
4 搬送部
40 ループ搬送路
41 第1搬送路
42 第2搬送路
43 第3搬送路
44 第4搬送路
45 第5搬送路
46 第6搬送路
51 コントローラ
52 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11