(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188886
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】配管構築方法及び配管構築システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20221215BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20221215BHJP
G06F 30/18 20200101ALI20221215BHJP
G06F 113/14 20200101ALN20221215BHJP
【FI】
G06Q50/08
G05B19/418 Z
G06F30/18
G06F113:14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097147
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】392035972
【氏名又は名称】株式会社ヤマト
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】新井 孝雄
【テーマコード(参考)】
3C100
5B146
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA36
3C100AA43
3C100AA65
3C100BB05
3C100BB06
3C100DD03
3C100DD22
3C100DD32
3C100DD33
3C100EE18
5B146AA03
5B146BA04
5B146DE03
5B146DE12
5B146DE14
5B146DE16
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】各部材に付与された部材番号を利用して、配管構造物の構築の進捗状況等を部材単位で把握することが可能な配管構築方法及び配管構築システムを提供する。
【解決手段】この配管構築方法及び配管構築システム100は、配管構造物の構築に関わる各段階で識別情報の読み取り作業を行うことで、総合管理部300には個々の部材の状況と履歴が記録され、管理者は総合管理部300にアクセスすることで配管構造物の構築の進捗状況を部材単位でリアルタイムに把握することができる。また、各部材データに費用情報を付与することで、在庫の資産情報を算出できることに加え、構築途中の配管構造物の出来高、資産価値をリアルタイムに把握することができる。また、日毎、月毎の出来高等を容易に集計することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部材で構成された配管構造物を構築する配管構築方法であって、
前記部材と対応し部材番号がそれぞれ付与された複数の部材データで構成される前記配管構造物の生産施工データを3次元CADを用いて作成する設計工程と、
前記部材データが、機械加工が必要な加工部材の場合に前記加工部材を作製するための加工データを生成する加工データ生成工程と、
前記加工データに基づいて加工部材を作製するとともに前記部材番号と対応した識別情報を前記加工部材に付す加工部材作製工程と、
前記部材データが、機械加工を必要としない非加工部材の場合に前記非加工部材を取得して、前記部材番号と対応した識別情報を付す非加工部材取得工程と、
前記生産施工データと部材データとに基づいて前記部材番号が記載された生産施工図を出力する施工図出力工程と、
前記識別情報から前記部材の部材番号を確認し前記生産施工図の記載に則して設置することで前記配管構造物を構築する施工工程と、
前記部材の設置時を含む各段階において前記識別情報を読み取って前記部材の状態を示す状態情報とともに総合管理部に出力する読み取り作業と、を有し、
前記総合管理部が、前記読み取り作業で取得した状態情報に基づいて前記配管構造物の構築の進捗状況を把握することを特徴とする配管構築方法。
【請求項2】
読み取り作業が、読み取りを行った日時情報をさらに送信し、
総合管理部が、配管構造物の構築の進捗を時系列的に記録可能なことを特徴とする請求項1記載の配管構築方法。
【請求項3】
読み取り作業が、読み取りを行った部材の設置作業を行った作業者識別情報をさらに送信し、
総合管理部が、配管構造物の構築を行った作業者を部材毎に記録可能なことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配管構築方法。
【請求項4】
部材データが費用情報を備え、
総合管理部が、構築中の配管構造物の資産情報を算出可能なことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の配管構築方法。
【請求項5】
加工部材作製工程が、樹脂パイプ切断システムを用いて合成樹脂製の原パイプを加工データに指示された長さに切断し加工部材としての管部材を作製する工程を有し、
前記樹脂パイプ切断システムは、
切断前の前記原パイプの長さを測長する測長部と、
前記原パイプに対し切り出す管部材を割り当てるとともに前記原パイプの切断位置を決定する中央制御部と、
前記管部材の識別情報を切断前の原パイプにそれぞれ印刷する印刷部と、
前記原パイプを回転可能に保持するとともに前記原パイプに面取り溝を形成し、さらに前記面取り溝の底部で切断するパイプ切断装置と、
前記パイプ切断装置の加工位置と前記切断位置とが一致するように前記原パイプを位置させるパイプ送り装置と、
切断後の管部材を搬出する管部材搬出装置と、を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の配管構築方法。
【請求項6】
複数の部材で構成された配管構造物を構築するための配管構築システムであって、
3次元CADを備え、設計者が前記部材と対応し部材番号がそれぞれ付与された複数の部材データで構成される前記配管構造物の生産施工データを前記3次元CAD用いて作成する設計部と、
前記部材データが、機械加工による作製を必要とする加工部材の場合に前記加工部材を作製するための加工データを生成する加工データ生成部と、
前記加工データに基づいて加工部材を作製するとともに前記部材番号と対応した識別情報を前記加工部材に付す加工部材作製部と、
前記部材データが、機械加工を必要としない非加工部材の場合に前記非加工部材の取得を指示するとともに、取得した非加工部材に前記部材番号と対応した識別情報を付す非加工部材取得部と、
前記識別情報を読み取って部材の状態を示す状態情報とともに送信する読取装置と、
前記読取装置から受信した状態情報に基づいて前記配管構造物の構築の進捗状況を把握する総合管理部と、を有することを特徴とする配管構築システム。
【請求項7】
読取装置が、読み取りを行った日時情報をさらに送信し、
総合管理部が、配管構造物の構築の進捗を時系列的に記録可能なことを特徴とする請求項6記載の配管構築システム。
【請求項8】
読取装置が、読み取りを行った部材の設置作業を行った作業者識別情報をさらに送信し、
総合管理部が、配管構造物の構築を行った作業者を部材毎に記録可能なことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の配管構築システム。
【請求項9】
部材データが費用情報を備え、
総合管理部が、構築中の配管構造物の資産情報を算出可能なことを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の配管構築システム。
【請求項10】
加工部材作製部が、合成樹脂製の原パイプを加工データに指示された長さに切断し加工部材としての管部材を作製する樹脂パイプ切断システムを備え、
前記樹脂パイプ切断システムは、
切断前の前記原パイプの長さを測長する測長部と、
前記原パイプに対し切り出す管部材を割り当てるとともに前記原パイプの切断位置を決定する中央制御部と、
前記管部材の識別情報を切断前の原パイプにそれぞれ印刷する印刷部と、
前記原パイプを回転可能に保持するとともに前記原パイプに面取り溝を形成し、さらに前記面取り溝の底部で切断するパイプ切断装置と、
前記パイプ切断装置の加工位置と前記切断位置とが一致するように前記原パイプを位置させるパイプ送り装置と、
切断後の管部材を搬出する管部材搬出装置と、を有することを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれかに記載の配管構築システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管構造物の構築の進捗状況等を部材単位で把握可能な配管構築方法及び配管構築システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビル等の建築物には電気配管、給排気配管、給排水配管等、様々な配管が複雑に張り巡らされている。そして、本願発明者らは、これら配管経路の設計に関し下記[特許文献1]に記載の配管構築方法に関する発明を行った。この[特許文献1]に記載の配管構築方法では、配管経路の設計をCAD(Computer Aided Design)を用いたソフトウェアで行うとともに、設計された配管経路のデータ(生産施工データ)に基づいて各管部材の部材データを作成する。そして、この部材データに基づいて予め管部材の作製が行われるとともに、作製された管部材にはそれぞれ部材番号が記載される。そして、作業者は施工現場において、生産施工データに基づいて作成され部材番号が記入された生産施工図と、管部材の部材番号を確認しながら配管経路の構築を行う。このため、作業者は現場で管部材の加工を行う必要がなく、予め作製された管部材を生産施工図に基づいて接続するだけで配管経路の構築を行うことができる。これにより、配管加工技術を有さない作業者でも配管経路の施工を短時間で簡単に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[特許文献1]に記載の発明により、配管加工技術を有さない作業者でも配管経路の施工を短時間で簡単に行うことが可能となった。ただし、[特許文献1]に記載の発明では管部材に付与された部材番号は、配管経路の構築に使用するのみであり、この点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、各部材に付与された部材番号を利用して、配管構造物の構築の進捗状況等を部材単位で把握することが可能な配管構築方法及び配管構築システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(1)複数の部材で構成された配管構造物を構築する配管構築方法であって、
前記部材と対応し部材番号がそれぞれ付与された複数の部材データで構成される前記配管構造物の生産施工データを3次元CADを用いて作成する設計工程S102と、
前記部材データが、機械加工が必要な加工部材の場合に前記加工部材を作製するための加工データを生成する加工データ生成工程S106と、
前記加工データに基づいて加工部材を作製するとともに前記部材番号と対応した識別情報を前記加工部材に付す加工部材作製工程S200と、
前記部材データが、機械加工を必要としない非加工部材の場合に前記非加工部材を取得して、前記部材番号と対応した識別情報を付す非加工部材取得工程S202と、
前記生産施工データと部材データとに基づいて前記部材番号が記載された生産施工図を出力する施工図出力工程S108と、
前記識別情報から前記部材の部材番号を確認し前記生産施工図の記載に則して設置することで前記配管構造物を構築する施工工程S206と、
前記部材の設置時を含む各段階において前記識別情報を読み取って前記部材の状態を示す状態情報とともに総合管理部300に出力する読み取り作業と、を有し、
前記総合管理部300が、前記読み取り作業で取得した状態情報に基づいて前記配管構造物の構築の進捗状況を把握することを特徴とする配管構築方法を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)読み取り作業が、読み取りを行った日時情報をさらに送信し、
総合管理部300が、配管構造物の構築の進捗を時系列的に記録可能なことを特徴とする上記(1)記載の配管構築方法を提供することにより、上記課題を解決する。
(3)読み取り作業が、読み取りを行った部材の設置作業を行った作業者識別情報をさらに送信し、
総合管理部300が、配管構造物の構築を行った作業者を部材毎に記録可能なことを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の配管構築方法を提供することにより、上記課題を解決する。
(4)部材データが費用情報を備え、
総合管理部300が、構築中の配管構造物の資産情報を算出可能なことを特徴とする上記(1)乃至上記(3)のいずれかに記載の配管構築方法を提供することにより、上記課題を解決する。
(5)加工部材作製工程S200が、樹脂パイプ切断システム90を用いて合成樹脂製の原パイプを加工データに指示された長さに切断し加工部材としての管部材を作製する工程を有し、
前記樹脂パイプ切断システム90は、切断前の前記原パイプ1の長さを測長する測長部20と、前記原パイプ1に対し切り出す管部材5を割り当てるとともに前記原パイプ1の切断位置を決定する中央制御部80と、前記管部材5の識別情報を切断前の原パイプ1にそれぞれ印刷する印刷部30と、前記原パイプ1を回転可能に保持するとともに前記原パイプ1に面取り溝を形成し、さらに前記面取り溝の底部で切断するパイプ切断装置70と、前記パイプ切断装置70の加工位置と前記切断位置とが一致するように前記原パイプ1を位置させるパイプ送り装置40と、切断後の管部材5を搬出する管部材搬出装置50と、を有することを特徴とする上記(1)乃至上記(4)のいずれかに記載の配管構築方法を提供することにより、上記課題を解決する。
(6)複数の部材で構成された配管構造物を構築するための配管構築システムであって、
3次元CADを備え、設計者が前記部材と対応し部材番号がそれぞれ付与された複数の部材データで構成される前記配管構造物の生産施工データを前記3次元CAD用いて作成する設計部102と、
前記部材データが、機械加工による作製を必要とする加工部材の場合に前記加工部材を作製するための加工データを生成する加工データ生成部106と、
前記加工データに基づいて加工部材を作製するとともに前記部材番号と対応した識別情報を前記加工部材に付す加工部材作製部202と、
前記部材データが、機械加工を必要としない非加工部材の場合に前記非加工部材の取得を指示するとともに、取得した非加工部材に前記部材番号と対応した識別情報を付す非加工部材取得部204と、
前記識別情報を読み取って部材の状態を示す状態情報とともに送信する読取装置206と、
前記読取装置206から受信した状態情報に基づいて前記配管構造物の構築の進捗状況を把握する総合管理部300と、を有することを特徴とする配管構築システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
(7)読取装置206が、読み取りを行った日時情報をさらに送信し、
総合管理部300が、配管構造物の構築の進捗を時系列的に記録可能なことを特徴とする上記(6)記載の配管構築システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
(8)読取装置206が、読み取りを行った部材の設置作業を行った作業者識別情報をさらに送信し、
総合管理部300が、配管構造物の構築を行った作業者を部材毎に記録可能なことを特徴とする上記(6)または上記(7)に記載の配管構築システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
(9)部材データが費用情報を備え、
総合管理部300が、構築中の配管構造物の資産情報を算出可能なことを特徴とする上記(6)乃至上記(8)のいずれかに記載の配管構築システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
(10)加工部材作製部202が、合成樹脂製の原パイプ1を加工データに指示された長さに切断し加工部材としての管部材5を作製する樹脂パイプ切断システム90を備え、
前記樹脂パイプ切断システム90は、切断前の前記原パイプ1の長さを測長する測長部20と、前記原パイプ1に対し切り出す管部材5を割り当てるとともに前記原パイプ1の切断位置を決定する中央制御部80と、前記管部材5の識別情報を切断前の原パイプ1にそれぞれ印刷する印刷部30と、前記原パイプ1を回転可能に保持するとともに前記原パイプ1に面取り溝を形成し、さらに前記面取り溝の底部で切断するパイプ切断装置70と、前記パイプ切断装置70の加工位置と前記切断位置とが一致するように前記原パイプ1を位置させるパイプ送り装置40と、切断後の管部材5を搬出する管部材搬出装置50と、を有することを特徴とする上記(6)乃至上記(9)のいずれかに記載の配管構築システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る配管構築方法及び配管構築システムは、配管構造物の構築に関わる各段階で識別情報の読み取り作業を行うことで、総合管理部に個々の部材の状況と履歴が記録される。これにより、配管構造物の構築の進捗状況を部材単位でリアルタイムに把握することができる。また、各部材データに費用情報を付与することで、構築途中の配管構造物の出来高、資産価値をリアルタイムに把握することができる。また、日毎、月毎の出来高等を容易に集計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る配管構築システムの概略構成図である。
【
図2】本発明に係る配管構築方法のフローチャートである。
【
図3】本発明に係る生産施工データの3次元CGの図示例を示す図である。
【
図5】本発明に係る生産施工図の例を示す図である。
【
図6】本発明に好適な樹脂パイプ切断システムを原パイプの挿入側から見た斜視図である。
【
図7】本発明に好適な樹脂パイプ切断システムを原パイプの排出側から見た斜視図である。
【
図8】本発明に好適な樹脂パイプ切断システムのパイプ搬入部、測長部、印刷部を示す図である。
【
図9】本発明に好適な樹脂パイプ切断システムのパイプ搬入部、測長部、印刷部を示す図である。
【
図10】本発明に好適な樹脂パイプ切断システムの印刷物の例を示す図である。
【
図11】本発明に好適な樹脂パイプ切断システムのパイプ送り装置を示す図である。
【
図12】本発明に好適な樹脂パイプ切断システムのパイプ切断装置の正面図である。
【
図13】本発明に好適な樹脂パイプ切断システムのパイプ切断装置の側面図である。
【
図14】本発明に好適な樹脂パイプ切断システムのパイプ切断装置の背面図である。
【
図15】本発明に好適な樹脂パイプ切断システムの管部材搬出装置を示す図である。
【
図16】本発明に好適な樹脂パイプ切断システムの終端面取り部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る配管構築方法及び配管構築システムについて図面に基づいて説明する。ここで、
図1は本発明に係る配管構築システム100の概略構成図である。
【0010】
先ず、本発明に係る配管構築システム100は、設計者が3次元CADを用いて配管構造物の生産施工データを作成する設計部102と、生産施工データを構成する部材データが加工部材の場合に加工データを生成する加工データ生成部106と、この加工データに基づいて加工部材を作製するとともに部材番号と対応した識別情報を付す加工部材作製部202と、部材データが機械加工を必要としない非加工部材の場合に非加工部材の取得を指示するとともに取得した非加工部材に部材番号と対応した識別情報を付す非加工部材取得部204と、識別情報を読み取って部材の状態を示す状態情報とともに送信する読取装置206と、この読取装置206から受信した状態情報に基づいて配管構造物の構築の進捗状況を把握する総合管理部300と、を有している。尚、総合管理部300は、1つの配管構造物の進捗状況のみならず、並行して進行する複数の配管構造物の進捗状況を集中して管理することを想定している。
【0011】
また、ここでの識別情報としては読取装置206にて電子的に読み取りが可能なバーコードやQRコード(登録商標)等の電子コードの他、電子タグを用いることができる。また、これら電子的な識別情報に加え、人間が認識可能な文字表記を併記しても良い。また、読取装置206としては、ハンディスキャナや電子タグリーダ等の専用の読み取り機器の他、電子コードの読み取りが可能なスマーフォンやタブレット等の携帯端末を用いることができる。
【0012】
次に、本発明に係る配管構築方法及び配管構築システム100の各部の構成と動作を
図1及び、
図2のフローチャートを用いて説明する。先ず、設計部102は周知の建築用の3次元CADを備えており、設計者は初めに配管構造物を構築する建築物の寸法等の躯体データを入力する。次に、配管構造物に必要な電気設備、空調設備、給排水設備等の設備機器の部材データを選択し配置する。尚、配置された設備機器の部材データにはそれぞれ部材番号が付与される。
【0013】
次に、これら設備機器を繋ぐ配管経路のデータを3次元CADプログラムの支援を受けて設計する。尚、この配管経路のデータは、樹脂パイプや金属管、ダクトパイプ等の管部材の部材データと、これら管部材を接続するエルボやチーズ、その他の周知の継手等の接続部材の部材データと、配管経路に設置されるバルブや弁、計器類等の配管設備の部材データとで主に構成される。尚、これらの部材の内、機械加工を必要としない規格品の管部材、接続部材、配管設備等は非加工部材に分類され、予め設定された部材データを有している。そして、設計者は要求される配管経路に適した部材の部材データを選択して配置し、要求される配管構造物の生産施工データを構築していく。
【0014】
また、例えば規格品以外の長さの管部材を用いて配管経路を構築する場合、この管部材は機械加工が必要な加工部材に分類され、径や材質等の固定した部材データに加えて設計者が設定した管部材の長さ等の加工情報が付加される。また、管部材の材質が金属管の場合には曲げや分岐管の接続等の加工が可能である。よって、金属管の管部材に曲げや分岐等を設ける場合、固定の部材データに加えて曲げ部や分岐部の位置、方向、分岐部の情報、管端の処理方法等の加工に必要な情報が3次元CADプログラムの支援により加工情報として付加される。そして、これらの配管経路を構成する全ての部材データには、それぞれ別個に部材番号が付与される。尚、生産施工データは例えば
図3に示すように3次元CGによる任意の視点からの図示を可能とすることが好ましい。この構成では、設計者は配管経路を立体的に把握しながら生産施工データの設計を行うことができる。そして、これらの部材データによって配管構造物の生産施工データが形成される(設計工程:ステップS102)。尚、生産施工データには上記の部材データに加えて、これらの部材を建築物の躯体に取り付けるための固定部材、吊り下げ部材、保持支柱、アングル、枠体、また、これらを隠蔽するための天井パネル、壁面パネル等の部材データも含めるようにしても良い。この場合、これらの部材データにもそれぞれ別個に部材番号が付与され、以後は配管構造物の部材データと同様に読み取り作業の対象となる。この構成では、総合管理部300は配管構造物の構築の進捗に加え、建築物のその他の工事に対しても進捗状況の把握が可能となる。
【0015】
そして、上記のようにして生産施工データが完成すると、この生産施工データを構成する部材データのうち、加工部材の部材データが加工データ生成部106に送られる。そして、設計時に付加された加工情報に基づいて加工データが生成される。尚、加工データ生成部106としては例えば周知のCAM(Computer Aided Manufacturing)や専用のコンピュータプログラムを用いることができる。また、生成される加工データは、例えば使用する材料、使用する加工機器、加工条件、加工位置、加工手順等、この加工部材を作製するのに必要な情報を有するものである(加工データ生成工程:ステップS106)。
【0016】
そして、これらの加工データは加工部材の部材データとともに、電子データや紙媒体によって加工部材作製部202に送られる。尚、部材データを紙媒体にて出力した場合は、例えば
図4に示すような、加工に必要な情報が記入された部材図(部材作製図)となる。
【0017】
また、加工部材作製部202は樹脂パイプを切断する後述の樹脂パイプ切断システム90や、[特許文献1]に記載されているベンダー加工機やバーリング装置、周知の旋盤やフライス、その他の加工機器を有している。そして、加工部材作製部202の加工機器は加工データに則した機械加工を適宜作業者のサポートを受けて実行し、指示された加工部材を作製する。そして、この加工部材の作製時もしくは完成後に、機器が自動でもしくは加工作業者が手作業でこの部材の部材番号と対応した識別情報を付す。尚、加工部材への識別情報の付与の方法は、後述の樹脂パイプ切断システム90のように印字装置による直接印刷や、識別情報としての電子コードをシール台紙等にプリントアウトし、これの貼着等が挙げられる。また、識別情報に電子タグを用いる場合には、電子タグライターによる識別情報の書き込みが挙げられる(加工部材作製工程:ステップS200)。
【0018】
また、加工部材の完成時には読み取り作業を行い、完成した部材の識別情報を読取装置206にて読み取って識別情報とともにこの部材の完成を知らせる状態情報を総合管理部300に送信することが好ましい。またこのとき、送信時(完成時)の日時情報も総合管理部300に送信することが好ましい。この構成では、個々の部材の完成日時が総合管理部300に記録され、配管構造物の構築の進捗状況を時系列的に記録可能となる。また、部材の完成を知らせる状態情報は、総合管理部300が管理する在庫情報に利用される。さらに、加工作業者の個人を特定する作業者識別情報を各加工作業者に予め付与しておき、加工作業を担当した加工作業者の作業者識別情報も同時に総合管理部300に送信するようにしても良い。この構成では、この加工部材の加工内容、完成日時、担当作業者が部材毎の履歴として記録され、配管構造物の構築に対するトレーサビリティ管理が可能となる。
【0019】
また、部材データが非加工部材の場合、これらの部材データは非加工部材取得部204に送られる。そして、部材の仕様、数量毎に纏められ、在庫からの移動や発注等の然るべき手配がなされる。そして、取得された非加工部材にはこの部材の部材番号と対応した識別情報が記される。尚、非加工部材への識別情報の付与方法は、非加工部材取得部204が有する印字装置による直接印刷や、非加工部材取得部204の印刷装置がシール台紙等に電子コードをプリントアウトし、これの貼着等が挙げられる。また、識別情報に電子タグを用いる場合には、非加工部材取得部204が有する電子タグライターによる識別情報の書き込み等が挙げられる。尚、この識別情報の付与は大型の設備機器を含め全ての部材に対して行われる(非加工部材取得工程:ステップS202)。
【0020】
また、非加工部材の取得後には読み取り作業を行い、取得した非加工部材の識別情報を読取装置206により読み取って、識別情報とともにこの部材の取得を知らせる状態情報を総合管理部300に送信することが好ましい。またこのとき、送信時(取得時)の日時情報も総合管理部300に送信することが好ましい。この構成では、個々の非加工部材の取得日時が総合管理部300に記録され、配管構造物の構築の進捗状況を時系列的に記録可能となる。また、部材の取得を知らせる状態情報は総合管理部300が管理する在庫情報に利用される。さらに、部材取得の手配を行う担当者の個人を特定する作業者識別情報を各担当者に予め付与しておき、手配を担当した担当者の作業者識別情報も同時に総合管理部300に送信するようにしても良い。この構成では、この非加工部材の取得日時、手配を行った担当者が部材毎の履歴として記録され、配管構造物の構築に対するトレーサビリティ管理が可能となる。
【0021】
さらに、これらの情報に加えて、各部材の原価、加工費、輸送費、設置に係る人件費等を費用情報として各部材データにそれぞれ記録し、総合管理部300に送信して記録させるようにしても良い。この構成では、総合管理部300が在庫の資産情報を即座に算出可能なことに加え、後述する構築途中の配管構造物の出来高、資産価値をリアルタイムに把握、算出することができる。
【0022】
尚、これらの加工部材作製工程S200、非加工部材取得工程S202は、1つの生産施工データ毎に行っても良いが、複数の生産施工データの部材をまとめて加工もしくは手配することが好ましい。尚、各部材には識別情報が付されているから、生産施工データごとの選別は容易に行うことができる。この構成では加工部材、非加工部材の作製及び手配をまとめて行うことができるため、作業効率の向上を図ることができる。
【0023】
このようにして、配管構造物の構築に必要な加工部材、非加工部材が取得されると、これらの部材は配管構造物の施工現場毎に纏められ、随時もしくは一括して配管構造物の施工現場に出荷される(出荷工程:ステップS204)。この際、部材の識別情報を適宜読み取って確認することで、同一の生産施工データの部材を正確かつ効率良く収集することができる。また、識別情報を読み取って部材の振り分けを自動的に行う選別機器の使用も可能となる。
【0024】
また、これらの部材の出荷時及び施工現場への到着時には読み取り作業を行い、識別情報とともにこの部材の出荷を知らせる状態情報及び、この部材の施工現場への到着を知らせる状態情報を総合管理部300に送信することが好ましい。またこのとき、送信時(出荷時及び到着時)の日時情報も総合管理部300に送信することが好ましい。この構成では、これら部材の出荷日時と施工現場への到着日時が総合管理部300に記録され、配管構造物の構築の進捗状況を時系列的に記録可能となる。尚、識別情報が電子タグの場合にはこれら部材の識別情報の読み取りを(読み取り機能を有した)ゲートの通過等により一括して行うことができる。また、出荷物に含まれる部材の識別情報のリストの情報を備えた二次的な識別情報を梱包物に設け、この二次的な識別情報を読取装置206にて読み取ることで、この梱包物に含まれるすべての部材の識別情報と状態情報とを一括して総合管理部300に送信するようにしても良い。
【0025】
また、これらの部材の調達と前後して、設計部102は生産施工データと部材データとに基づいて、各部材の部材番号と接続位置が記載された例えば
図5に示すようなアイソメトリック図を生産施工図として出力する(施工図出力工程:ステップS108)。尚、生産施工図は生産施工データの全ての範囲を図示するようにしても良いし、作業者が分かり易いように配管系統ごと、フロアごと、設備機器ごと、エリアごと等、特定の範囲のみを図示するようにしても良い。
【0026】
そして、施工現場の作業者は各部材に記された識別情報から部材番号を取得し、生産施工図を参照してこの部材の接続場所を確認する。そして、生産施工図に則して部材を設置する。これにより、配管構造物の構築が進行する(施工工程:ステップS206)。尚、識別情報の読み取りによる部材番号の確認時に、その部材の取り付け時の注意事項等を例えば読取装置206(スマートフォンやタブレット)の画面に表示するようにしても良い。また、その部材の取り付け方法が不明な場合、総合管理部300に識別情報を送信して問い合わせを行うことで、総合管理部300がその部材の取り付け方法の動画を読取装置206の画面に再生させたり、オペレータが対応したりするようにしても良い。
【0027】
また、部材の設置が完了すると施工作業者は読み取り作業を行い、設置が完了した部材の識別情報を読取装置206にて読み取って、識別情報とともにこの部材の設置完了を知らせる状態情報を総合管理部300に送信する。またこのとき、送信時(設置時)の日時情報も総合管理部300に送信する。これにより、この部材の設置日時が総合管理部300に記録され、配管構造物の構築の進捗状況をリアルタイムで把握することができる。さらに、施工作業者の個人を特定する作業者識別情報を各施工作業者に予め付与しておき、この部材の設置作業を行った施工作業者の作業者識別情報も同時に総合管理部300に送信するようにしても良い。この構成では、この部材の設置日時及び施工作業者が部材毎の履歴として記録され、配管構造物の構築に対するトレーサビリティ管理が可能となる。そして、生産施工データの全ての部材の接続が終了すると、設計された配管構造物が完成する。
【0028】
また、総合管理部300は上記のようにして各現場から随時受信した情報を総合的に取り纏め、各配管構造物の構築の進捗状況を把握する。そして、管理者の要求に応じて配管構造物の構築の進捗状況を2次元の平面図やアイソメトリック図等の3次元図等で表示する。また、管理者の要求に応じて、フロアーごとの表示や配管経路ごとの表示等、任意の範囲で構築の進捗状況を表示する。尚、これらの進捗状況の表示では、完了部分と未完了部分とを色分けして表示することが好ましい。
【0029】
また、総合管理部300は各部材の取得状況と出荷情報とから各部材の在庫情報を把握し、出力することができる。また、各部材に費用情報を付与することで、在庫の資産情報を算出できることに加え、構築途中の配管構造物の出来高、資産価値をリアルタイムに把握することができる。また、日毎、月毎の出来高等を容易に集計することができる。
【0030】
次に、本発明の加工部材作製部202に好適な樹脂パイプ切断システム90に関して説明を行う。ここで、
図6は、樹脂パイプ切断システム90を原パイプ1の挿入側から見た斜視図である。また、
図7は樹脂パイプ切断システム90を原パイプ1の排出側から見た斜視図である。尚、ここでの原パイプ1とはVP管、VU管、HI管、HT管等の樹脂パイプが販売時の所定の長さ例えば4m程度に切断されたものを想定している。
【0031】
図6、
図7に示す樹脂パイプ切断システム90は、パイプ搬入部10と、切断前の原パイプ1の長さを測長する測長部20と、原パイプ1の切断位置を決定するとともに各部を制御する中央制御部80と、原パイプ1に対して識別情報等を印刷する印刷部30と、原パイプ1の面取りと切断とを行うパイプ切断装置70と、原パイプ1をパイプ切断装置70に送り出すパイプ送り装置40と、原パイプ1の終端の面取りを行う終端面取り部60と、切断後の管部材5を搬出する管部材搬出装置50と、を有している。
【0032】
次に、樹脂パイプ切断システム90の各部の構成とその動作を説明する。先ず、コンピュータ等の中央制御部80に、生産施工データを構成する加工部材のうち、樹脂パイプ製の管部材の部材データが入力する。次に、中央制御部80はこれらの部材データを樹脂パイプの径及び種類ごとにまとめる。次に、中央制御部80は各部材データの加工データを参照して必要とされる管部材5の長さを取得し、対応する原パイプ1に対し切り出す管部材5を割り当てる。このとき、中央制御部80は自動ネスティング機能を備え、原パイプ1の余剰部分が最小となる組み合わせで管部材5の割り当てを行う。尚、樹脂パイプ切断システム90では、1つの生産施工データ内で自動ネスティングを行っても良いが、複数の生産施工データの(樹脂製の)管部材を織り交ぜて自動ネスティングを行うことが特に好ましい。この構成では、自動ネスティングが更に効率的に行われ、原パイプ1の余剰部分の更なる削減が可能となる。これにより、部材コストの削減と廃棄物の低減、及び省資源化を図ることができる。尚、樹脂パイプ切断システム90では、後述のように切断後の全ての管部材5に識別情報が印刷されているため、複数の生産施工データの管部材5が混在していてもこれを分別することが可能である。
【0033】
管部材5の割り当てが完了すると中央制御部80は作業者等に対し、これから切断を行う原パイプ1(樹脂パイプ)の径、種類、本数を指示する。また、中央制御部80はパイプ切断装置70に対し、これから切断する原パイプ1の径の情報を送信する。パイプ切断装置70はこの原パイプ1の径の情報を受けて、後述のパイプ保持部74をこれから切断する原パイプ1の径に対応した位置に調整する。また、作業者はパイプ切断装置70のチャック724a、724bやパイプ送り装置40の保持端462などを切断する原パイプ1の径と対応したものに交換する。
【0034】
次に、作業者は中央制御部80が指示した径、種類の原パイプ1を指示された本数、パイプ搬入部10のパイプストッカ12に載置する。ここで、
図8(a)はパイプ搬入部10の側面図であり、
図8(b)はパイプ搬入部10、測長部20、印刷部30の上面図である。また、
図9(a)は測長部20、印刷部30の側面図であり、
図9(b)はパイプ搬入部10、測長部20、印刷部30を原パイプ1の排出側から見た図である。尚、
図8~
図16における矢印は原パイプ1の搬送方向を示す。
【0035】
先ず、パイプ搬入部10は、複数の原パイプ1を載置可能なパイプストッカ12と、このパイプストッカ12に載置した原パイプ1を測長部20に供給するパイプ供給機14と、を有している。また、パイプストッカ12は、
図9(b)に示すように、測長部20の側に傾斜して構成され、その端部には上方に立ち上がった板状のストッパ12aが設けられている。そして、作業者によって載置された原パイプ1は自重によってパイプストッカ12上を転がり、ストッパ12aに当接して測長部20側に詰まった状態で配列する。尚、このとき原パイプ1は基本的にパイプ切断装置70の挿入方向と平行に配列される。
【0036】
そして、必要な数の原パイプ1がパイプストッカ12に載置されると、作業者は加工開始指示を中央制御部80に行う。これにより、中央制御部80はパイプ搬入部10に対して測長部20への原パイプ1の供給を指示する。この指示を受けてパイプ搬入部10は、パイプ供給機14を動作させる。ここで、パイプ供給機14は原パイプ1の径に応じた異なるサイズの複数の供給バーを備えており、パイプ供給機14はパイプストッカ12に載置された原パイプ1の径と対応した供給バーを伸長動作させる。これにより、供給バーはパイプストッカ12に載置されている原パイプ1のうち、最も測長部20側に位置する原パイプ1を下方から押し上げてストッパ12aを越えさせる。ストッパ12aを越えた原パイプ1は測長部20のパイプガイド22上を転がって測長部20に供給される。尚、このとき、後述の搬出バー38aは、
図9(a)、(b)に示すように、屹立した状態にあり、原パイプ1のストッパとして機能する。
【0037】
また、測長部20は、原パイプ1の長さよりも長い筐体21と、この筐体21の上面に設置され原パイプ1を所定の位置で保持するパイプガイド22と、筐体21のパイプ切断装置70側に設けられ原パイプ1の一端が当接して測長の基準点となる測長ストッパ24と、筐体21の測長ストッパ24とは逆側の端部に設けられ測長プッシャ26を備えるとともにこの測長プッシャ26の伸長量から原パイプ1の長さを取得する測長装置28と、を有している。
【0038】
また、パイプガイド22は例えば略V字形状の板状部材であり、筐体21の上面に所定の間隔を開けて複数設置される。そして、パイプ搬入部10側から供給された原パイプ1は、自重によりパイプガイド22上を転がってV字の谷部で保持される。尚、このパイプガイド22による原パイプ1の保持方向は基本的にパイプ切断装置70への挿入方向と平行である。
【0039】
そして、原パイプ1がパイプガイド22によって所定の位置に保持されると、測長部20は測長装置28を動作させる。これにより、測長プッシャ26が測長ストッパ24側に伸長する。そして、測長プッシャ26の先端が原パイプ1の一端に当接して原パイプ1を押圧する。これにより、原パイプ1はパイプガイド22上を測長ストッパ24の側にスライド移動し、原パイプ1の他端が測長ストッパ24に当接したところで停止する。測長装置28はこのときの測長プッシャ26の伸長量から原パイプ1の長さ、即ち、測長ストッパ24の内面から測長プッシャ26の端面までの長さを算出し、中央制御部80に出力する。尚、原パイプ1は概ね一定の長さに切断されているものの、数ミリから数センチ程度の誤差が存在する。測長部20はこの原パイプ1の長さを正確に測長し、中央制御部80に出力するものである。
【0040】
中央制御部80はこの情報を受けて、原パイプ1が十分な長さを有していることを確認した上で、この原パイプ1に割り当てられた管部材5を切り出すための切断位置を設定する。次に、中央制御部80は印刷部30に対してこの原パイプ1への印刷内容と印刷位置を指示する。このときの印刷内容は、
図10の例に示すように、切り出す管部材5の識別情報Dを少なくとも有し、さらに原パイプ1の切断位置(カットラインC)と差込代表示Hとを含むことが好ましい。また、差込代表示Hは施工作業者に対し管部材5の継手等への挿し込み深さを示唆するものである。そして、この差込代表示Hは、
図10に示すように、管端となるカットラインCから予め設定された位置に印刷され、挿し込み深さの下限を示す第1のラインH1と、それから所定の間隔を取って設けられ挿し込み深さの上限を示す第2のラインH2と、これらを繋ぐ挿し込み深さの好適範囲を表すラインH3とを有し、横方向(原パイプ1の周方向)が開いた略コの字形状とすることが好ましい。この構成では、下限を示す第1のラインH1が継手内に隠れて目視出来なくなった場合でも、挿し込み深さの好適範囲を示すラインH3が存在するため、施工作業者は管部材5の挿し込み量を直感的に把握することができる。
【0041】
そして、中央制御部80から印刷内容と印刷位置を指示された印刷部30は、この原パイプ1に対する印刷動作を行う。ここで、印刷部30は例えば周知の産業用インクジェットプリンタ等の印刷装置32と、この印刷装置32を原パイプ1に沿って移動させるプリンタ移動機構と、原パイプ1の印刷面に他の印刷物が存在するか否かを判別する画像センサ31と、この画像センサ31の結果に応じて原パイプ1を回転させる回転ローラ部360と、印刷後の原パイプ1をパイプ送り装置40に搬出する搬出装置(搬出バー38a、搬出板38b)と、を有している。また、プリンタ移動機構は、筐体21の側方に設置されパイプ切断装置70への挿入方向と平行なギアレール342と、このギアレール342と螺合して移動するプリンタベース344と、このプリンタベース344に設置され印刷装置32を上下方向に移動させるプリンタ保持部348と、を有している。尚、画像センサ310としてはワークの色や模様の有無を判別可能な周知の画像認識装置を用いることができ、中でも小型軽量で安価な面光電センサを用いることが好ましい。また、画像センサ31はプリンタ保持部348の印刷装置32の近傍に設置することが好ましい。この構成では、プリンタ移動機構が画像センサ31の移動機構を兼ねるため、装置構成の簡略化と部材コストの削減とを図ることができる。
【0042】
そして、印刷部30は中央制御部80からの印刷指示を受けると、先ず画像センサ31を制御して印刷装置32の印刷面(通常、原パイプ1の周面上部)に他の印刷物が存在しているか否かを判別する。尚、ここでの他の印刷物とは主に原パイプ1の製造メーカ等が印刷した原パイプ1の製品表示等を意味する。そして、原パイプ1の印刷面に他の印刷物が存在する場合、印刷部30は回転ローラ部360を動作させる。ここで、回転ローラ部360は、原パイプ1を回転させるローラと、このローラを回転させる回転機構と、ローラを軸支するローラベースと、ローラをローラベースごと上下方向に移動させるローラ移動機構と、を有している。そして、回転ローラ部360が動作指示を受けると、先ずローラ移動機構が動作して、ローラを所定の高さ位置に上昇させる。尚、このときの所定の高さとは、ローラの周面と原パイプ1の周面とが接触する高さである。次に、回転機構を所定の時間回転する。これにより、回転ローラ部360のローラが回転し、これに伴って原パイプ1が回転する。このときの所定の時間とは、原パイプ1が90°~180°程度回転する時間である。これにより、原パイプ1の製品表示等は印刷装置32の印刷面からずらされ、印刷装置32は他の印刷物の無いきれいな面に識別情報等を印刷することができる。これにより、印刷装置32の印刷物と原パイプ1の他の印刷物とが重なって識別情報等が判別不能となることを防止することができる。
【0043】
上記のようにして、原パイプ1の印刷面に他の印刷物が存在しない状態となると、次に印刷部30はプリンタ保持部348を制御して、原パイプ1の周面(印刷面)への印刷に最適な高さとなるよう印刷装置32を位置させる。次に、印刷部30は、印刷装置32をギアレール342に沿って移動させながら適宜印刷動作させる。これにより、印刷装置32は中央制御部80が指示した印刷位置に指定された識別情報等の印刷内容を印刷する。そして、この原パイプ1に対する印刷が全て完了すると、印刷装置32は待機位置に帰還する。
【0044】
次に、印刷部30はパイプ送り装置40に加工中の原パイプ1が無いことを確認し、搬出装置を動作させる。ここで、搬出装置はパイプ送り装置40側に回動可能に設置された搬出バー38aと、原パイプ1の保持位置の下方に設置され上下動する搬出板38bと、を有している。そして、原パイプ1への印刷が完了すると、印刷部30は搬出バー38aをパイプ送り装置40側に回転動作させる。これにより、搬出バー38aと後述のパイプ送り装置40のガイドバー44とが略直線状に並びパイプ送り装置40への誘導路が構築される。次に、印刷部30は搬出板38bを上昇動作させる。尚、搬出板38bの上面はパイプ送り装置40側が低い斜めに形成されており、原パイプ1はこの搬出板38bの上昇動作により押し上げられ、パイプガイド22の谷部の高さを越えた時点でパイプガイド22上を転がり、搬出バー38aとガイドバー44とで構築された誘導路上を転動してパイプ送り装置40に供給される。
【0045】
このようにしてパイプガイド22上から印刷後の原パイプ1が搬出されると、パイプ搬入部10のパイプ供給機14が動作して、パイプストッカ12に載置された次の原パイプ1を測長部20に供給する。そして、この原パイプ1に対する測長と印刷が行われる。
【0046】
また、パイプ送り装置40は、
図11(a)の側面図及び
図11(b)の上面図に示すように、原パイプ1の長さよりも長い筐体41と、この筐体41の上面に設置され原パイプ1を所定の位置で保持するガイドローラ42と、印刷部30から搬出された原パイプ1をガイドローラ42に誘導するガイドバー44と、原パイプ1を中央制御部80の指示に基づいてパイプ切断装置70側へ送り出す送出部46と、この送出部46の先端に設けられた保持端462と、を有している。尚、送出部46の保持端462は原パイプ1の回転軸としての機能も果たす。よって、原パイプ1の径ごとに専用のものに付け替えて、例えば、原パイプ1の内周面もしくは外周面を回転可能に保持することが好ましい。また、送出部46の移動機構は、例えば筐体41の側方に設置されパイプ切断装置70への挿入方向と平行なギアレール464と、このギアレール464と螺合して移動するプッシャベース466等で構成し、送出部46の移動量を制御可能なものを用いる。
【0047】
そして、印刷部30から供給された原パイプ1は、ガイドバー44によってガイドローラ42に誘導される。尚、筐体41にはパイプストッパ442が設置されており、ガイドバー44上を転がった原パイプ1がガイドローラ42を越えて脱落することを防止する。また、ガイドローラ42は回転可能に軸支され、その周面は中心側が凹んだ略V字形状を呈している。そして、印刷部30側から供給された原パイプ1は、自重によりガイドローラ42のV字の谷部で保持される。
【0048】
次に、パイプ送り装置40は送出部46を動作させ、送出部46を中央制御部80が指示した距離だけパイプ切断装置70側へ移動させる。これにより、送出部46の保持端462が原パイプ1の一端に当接し押圧する。これにより、原パイプ1がガイドローラ42に沿って移動して、原パイプ1の他端側がパイプ切断装置70に挿入される。ここで、原パイプ1の長さは測長部20によって正確に測長されているから、送出部46の移動量を制御することで、パイプ切断装置70の加工位置と原パイプ1の切断位置とを一致させることができる。
【0049】
次に、パイプ切断装置70に関して説明を行う。ここで、
図12はパイプ切断装置70を原パイプ1を挿入する正面側から見た図である。また、
図13はパイプ切断装置70の側面図である。また、
図14はパイプ切断装置70を管部材5が搬出される背面側から見た図である。先ず、パイプ切断装置70は、ベース部71と、このベース部71に対し上下方向にスライド可能に設置されたパイプ保持部74と、このパイプ保持部74に設置され原パイプ1を保持して回転する回転板722と、この回転板722に固定され原パイプ1を両側から挟んで保持するチャック724a、724bと、このチャック724a、724bを開閉動作させるチャック開閉機構(回転側開閉機構762a、ベース側開閉機構762b)と、ベース部71に対し上下方向にスライド可能に設置され原パイプ1に面取り溝を形成する面取部78と、ベース部71に対し上下方向にスライド可能に設置され原パイプ1を切断する切断部79と、を有している。
【0050】
そして、回転板722は
図12に示すように、中央に原パイプ1が通るパイプ孔722aを備えたリング状を呈しており、前述のようにパイプ保持部74に対し回転可能に設置されている。また、回転板722にはチャック724a、724bと、このチャック724a、724bを開閉する回転側開閉機構762aとが固定している。よって、このチャック724a、724bと回転側開閉機構762aとは回転板722とともに回転する。また、回転側開閉機構762aは、それぞれのチャック724a、724bと接続し一端が軸支され他端が上下動することでチャック724a、724bを挟持動作させるリンク763a、763bと、このリンク763a、763bの他端側を上下動する挟持機構764と、この挟持機構764の一端に設けられた連結端764aと、を有している。
【0051】
また、ベース側開閉機構762bは挟持機構764を閉方向もしくは開方向に回転させる回転機構765と、この回転機構765の先端部に設けられた連結端764aと、回転機構765を上下方向にスライド移動させる移動機構766と、を有している。尚、回転板722の停止位置(待機位置)は固定しており、回転板722が停止した状態では回転機構765の連結端764aと挟持機構764の連結端764bとは常に対向した位置をとる。
【0052】
また、パイプ保持部74は回転板722の回転機構(図示せず)を内在するとともに、移動機構744の動作によりベース部71に固定したスライドレール711に沿って上下方向への移動が可能である。そして、中央制御部80から原パイプ1の径の情報が入力すると、パイプ切断装置70はパイプ保持部74を加工する原パイプ1の径に対応する位置に移動させる。この位置とは、回転板722の回転軸、即ちパイプ孔722aの中心とガイドローラ42上で保持される原パイプ1の中心とが略一致する位置である。また、加工を行う原パイプ1の径が変わる場合、前述のように作業者は加工動作開始前に予めチャック724a、724bとパイプ送り装置40の保持端462とをこれから加工を行う原パイプ1の径に対応したものに付け替えておく。
【0053】
また、パイプ保持部74にはローラクランプ部746が左右に1つずつ固定している。また、ローラクランプ部746は
図14に示すように、先端に設けられた2つのローラ746aと、これらローラ746aを内側に向けて押し引きするプッシャ機構746bと、を有している。そして、対向する左右のローラクランプ部746は回転板722の中心に対して点対称に位置する。よって、パイプ孔722aの中心と原パイプ1の中心とが略一致した状態では、左右のローラクランプ部746は原パイプ1の中心に対しても点対称に位置する。
【0054】
そして、パイプ送り装置40の送出部46が動作して、原パイプ1の最初の切断位置がパイプ切断装置70の加工位置に位置する。尚、原パイプ1の最初の切断位置は原パイプ1の余剰部分を切断する切断位置である。次に、パイプ切断装置70はベース側開閉機構762bの移動機構766を下降方向に動作させる。これにより、回転機構765が下降して連結端764aと挟持機構764の連結端764bとが係合する。これにより、回転機構765の回転動作が挟持機構764に伝達可能となる。次に、パイプ切断装置70は回転機構765を閉方向に回転させる。この回転は連結端764a、764bを介して挟持機構764に伝達し、挟持機構764が閉方向に回転する。
【0055】
ここで、挟持機構764は例えばリンク763a側とリンク763b側とで逆ネジの切られたボールネジ等が用いられ、挟持機構764が閉方向に回転すると、上側のリンク763aの挟持機構764側の端部が下降し、下側のリンク763bの挟持機構764側の端部が上昇する。これにより、リンク763aと接続したチャック724aが下降すると同時に、リンク763bと接続したチャック724bが上昇する。これにより、チャック724a、724bは閉動作し、原パイプ1を挟持固定する。
【0056】
原パイプ1が挟持固定されると、パイプ切断装置70は移動機構766を上昇方向に動作させる。これにより、回転機構765が上昇して、回転機構765の連結端764aと挟持機構764の連結端764bとが離間する。そして、回転機構765が待機位置まで上昇したところで、移動機構766は停止する。これにより、回転側開閉機構762aとベース側開閉機構762bとの結合は解除され、回転板722の回転が可能となる。
【0057】
次に、パイプ切断装置70はローラクランプ部746のプッシャ機構746bを前進動作させる。これにより、左右のローラクランプ部746のローラ746aが内側に押し出され、ローラ746aの周面と原パイプ1の周面とが当接する。尚、ローラクランプ部746はパイプ保持部74とともに原パイプ1の径に応じて上下し、常に回転板722の中心、即ち原パイプ1の中心に対して点対称に位置する。よって、ローラクランプ部746は原パイプ1を左右から回転可能に挟持して原パイプ1の回転軸を固定する機能を有する。これにより、原パイプ1はローラクランプ部746、チャック724a、724b、ガイドローラ42、保持端462により保持される。
【0058】
次に、パイプ切断装置70は面取部78の回転面取り刃782を回転させる。ここで、面取部78は、原パイプ1に面取り溝を切削する回転面取り刃782と、この回転面取り刃782を回転させる図示しない回転機構と、回転面取り刃782を上下方向に移動させる面取刃移動機構784と、を有している。また、面取部78には回転面取り刃782を覆うカバー782aを設けても良い。尚、回転面取り刃782は略V字の刃先を有し、V字の面取り溝を原パイプ1の周面に切削により形成するものである。次に、パイプ切断装置70は面取刃移動機構784を所定の位置まで上昇動作させる。これにより、回転面取り刃782は回転しながら原パイプ1に向かって徐々に上昇する。また、これと前後して、パイプ切断装置70は回転板722をゆっくり回転させる。これにより、回転板722に固定したチャック724a、724bが原パイプ1を挟持した状態で回転し、これによって原パイプ1が回転する。また、原パイプ1の回転によりローラクランプ部746のローラ746aが回転し、ローラクランプ部746は原パイプ1を保持しながら回転軸を固定する。
【0059】
そして、回転面取り刃782が原パイプ1の周面に接触し所定の位置で停止すると、原パイプ1の周面には所定の深さの略V字の面取り溝が形成される。また、この状態で原パイプ1がゆっくりと回転することで面取り溝の切削は原パイプ1の周面に沿って行われ、原パイプ1を一周した面取り溝が形成される。このようにして面取り溝が形成されると、パイプ切断装置70は面取刃移動機構784を下降動作させ、回転面取り刃782を待機位置まで下降させる。そして、パイプ切断装置70は回転面取り刃782の回転を停止する。
【0060】
次に、パイプ切断装置70は切断部79を制御して原パイプ1を切断する。ここで、切断部79は、回転可能に軸支され原パイプ1を切断する回転刃792と、この回転刃792を上下方向に移動させる回転刃移動機構794と、を有している。また、切断部79には回転刃792を覆うカバー792aを設けても良い。尚、カバー792a、及び面取部78のカバー782aには切り屑を吸引して捕集する集塵装置を設けても良い。これらの構成によれば、加工時の切り屑の飛散を抑制することができる。
【0061】
次に、パイプ切断装置70は回転刃移動機構794を所定の位置まで下降動作させる。これにより、回転刃792は原パイプ1に向かって徐々に下降する。尚、回転刃792の位置は回転面取り刃782のV字の刃先の先端の位置と略同等の位置にある。このため、回転刃792は面取部78が直前に形成した面取り溝の底に当接する。このとき回転刃792は原パイプ1の回転に伴って回転する。そして、この状態で回転刃移動機構794がさらに下降して回転刃792が原パイプ1の内周面を越えて貫通すると原パイプ1は面取り溝の底部で切断される。そして、底部で切断された面取り溝は管部材5の管端の面取りとなる。このようにして、原パイプ1の切断が完了すると、パイプ切断装置70は回転刃移動機構794を上昇動作させ、回転刃792を待機位置まで上昇させる。尚、回転面取り刃782の回転方向と原パイプ1の回転方向、及び回転面取り刃782による面取り溝の形成時と、回転刃792による原パイプ1の切断時とでは、原パイプ1の回転方向を逆とすることが切削効率の面から好ましい。尚、最初の切断位置は余剰部分の切断位置であるため、後述の管部材搬出装置50の部材受台52は待機位置にあり、余剰部分を支持しない。このため、切断された余剰部分は下方の端材ボックス716に落下して回収される。
【0062】
次に、パイプ切断装置70は回転板722を待機位置にて停止する。この回転板722の待機位置とは、前述のように連結端764a、764bとが対向した位置である。次に、パイプ切断装置70はローラクランプ部746のプッシャ機構746bを後退動作させる。これにより、左右のローラクランプ部746のローラ746aは引き込まれ原パイプ1の保持は解除される。
【0063】
次に、パイプ切断装置70はベース側開閉機構762bの移動機構766を下降方向に動作させる。これにより、回転機構765が下降して、回転機構765の連結端764aと挟持機構764の連結端764bとが係合する。次に、パイプ切断装置70は回転機構765を開方向に回転させる。この回転は連結端764a、764bを介して挟持機構764に伝達し、挟持機構764が開方向に回転する。挟持機構764が開方向に回転すると、リンク763aの挟持機構764側の端部が上昇し、リンク763bの挟持機構764側の端部が下降する。これにより、リンク763aと接続したチャック724aが上昇すると同時に、リンク763bと接続したチャック724bが下降する。これにより、チャック724a、724bは開動作し、原パイプ1の挟持は解除される。これにより、パイプ切断装置70による原パイプ1の固定は解除され、原パイプ1の移動が可能となる。
【0064】
ここで、
図15(a)に管部材搬出装置50の側面図を示し、
図15(b)に上面図を示し、
図15(c)に管部材5を排出する側から見た図を示す。管部材搬出装置50は、原パイプ1を切断して得られる管部材5を受ける部材受台52と、この部材受台52をパイプ切断装置70側に前進及び後退させる受台移動機構54と、管部材5を原パイプ1毎に搬出する搬出台56と、部材受台52を旋回させて管部材5を搬出台56に排出する受台旋回機構58と、を有している。そして、部材受台52は原パイプ1よりも長く構成され、中心が凹んだ略V字形状の板状部材で構成される。
【0065】
そして、余剰部分が除去された後、原パイプ1の固定が解除されると、管部材搬出装置50は受台移動機構54を前進動作させる。これにより、部材受台52がパイプ切断装置70側に移動する。次にパイプ送り装置40は送出部46を中央制御部80が指示した距離だけパイプ切断装置70側に移動させる。これにより、パイプ切断装置70の加工位置には原パイプ1の次の切断位置が位置する。このとき、部材受台52の先側は切断前の原パイプ1の管部材搬出装置50側の下に位置する。
【0066】
次に、パイプ切断装置70は前述と同様にして、チャック724a、724bと、ローラクランプ部746とによる原パイプ1の挟持固定動作を行う。次に、原パイプ1を回転させながら、面取部78による面取り溝の形成と、切断部79による原パイプ1の切断を行う。そして、切断された原パイプ1(管部材5)は部材受台52にて受け止められる。次に、パイプ切断装置70は前述と同様にして、回転板722の回転を待機位置にて停止した後、チャック724a、724bと、ローラクランプ部746とによる原パイプ1の挟持固定を解除する。次に、パイプ送り装置40の送出部46が中央制御部80の指示した距離だけパイプ切断装置70側に移動する。これにより、パイプ切断装置70の加工位置には原パイプ1の次の切断位置が位置するとともに、部材受台52上の管部材5は原パイプ1の移動によって押し出され、部材受台52上を排出側に移動する。そして、前述と同様にして、原パイプ1の挟持固定動作及び回転、面取部78による面取り溝の形成、切断部79による原パイプ1の切断が行われる。そして、切断された管部材5は同様に部材受台52にて受け止められる。そして、原パイプ1の固定が解除され、パイプ送り装置40がパイプ切断装置70の加工位置に原パイプ1の次の切断位置を位置させると、部材受台52上の2つの管部材5は原パイプ1の移動によってさらに押し出され、切断順を維持しながら部材受台52上の排出側にそれぞれ移動する。そしてこれらの動作が原パイプ1に設定された全ての切断位置に対して行われることで、この原パイプ1に割り当てられた管部材5の切り出しが進行する。
【0067】
そして、この原パイプ1に割り当てられた最後の切断位置に対する切断動作が完了すると、パイプ送り装置40は送出部46を予め設定されている終端面取り位置に位置させる。これにより、原パイプ1の後端(終端)は終端面取り部60の加工位置に位置する。
【0068】
ここで、
図16(a)に終端面取り部60の待機状態の斜視図を示す。また、
図16(b)に終端面取り部60の加工時の斜視図を示す。
図16に示す終端面取り部60はパイプ送り装置40のパイプ切断装置70側の端面近傍に設けられ、終端面取り刃62と、この終端面取り刃62を上下動させる移動機構64と、原パイプ1を上方からクランプして固定するパイプクランプ66と、このパイプクランプ66を旋回させる旋回機構67と、パイプクランプ66を上下動させるクランプ移動機構68と、を有している。
【0069】
そして、原パイプ1の後端が終端面取り部60の加工位置に位置すると、パイプ切断装置70は切断時と同様にチャック724a、724bと、ローラクランプ部746とによる原パイプ1の挟持固定動作を行う。次に、終端面取り部60はクランプ移動機構68を制御してパイプクランプ66を上昇させる。次に、旋回機構67を動作させ、パイプクランプ66を待機位置から原パイプ1(最後の管部材5)の後端部分の上方に位置させる。次に、終端面取り部60はクランプ移動機構68を下降動作させる。これにより、パイプクランプ66は下降して、
図16(b)に示すように、原パイプ1(最後の管部材5)の後端部分を上方から押圧保持する。尚、パイプクランプ66は原パイプ1との接触部にローラ622を有しており、回転板722による原パイプ1の回転を妨げることはない。
【0070】
そして、パイプクランプ66により原パイプ1の挟持が行われると、パイプ送り装置40は送出部46を予め設定されている退避位置に後退させる。次に、終端面取り部60は図示しない回転モータを駆動して終端面取り刃62を回転させる。また、これと前後して、パイプ切断装置70は回転板722を回転させる。これにより、原パイプ1が回転する。次に、終端面取り部60は移動機構64を所定の位置まで上昇動作させる。これにより、終端面取り刃62は回転しながら原パイプ1に向かって徐々に上昇する。
【0071】
そして、終端面取り刃62が原パイプ1の終端に接触し所定の位置で停止すると、原パイプ1の終端面には斜めの面取りが形成される。また、この状態で原パイプ1が回転することで、原パイプ1の終端を一周した面取りが形成される。このようにして、原パイプ1の終端に面取りが形成されると、終端面取り部60は移動機構64を下降動作させ、終端面取り刃62を待機位置まで下降させる。そして、終端面取り刃62の回転を停止する。次に、終端面取り部60はクランプ移動機構68を上昇動作させる。これにより、パイプクランプ66は上昇して原パイプ1の保持は解除される。次に、終端面取り部60は旋回機構67を動作させ、パイプクランプ66を待機位置に旋回動作させた後、クランプ移動機構68を下降動作させ待機状態となる。
【0072】
次に、パイプ切断装置70は前述と同様にして、回転板722の回転を停止した後、原パイプ1の挟持固定を解除する。次に、パイプ送り装置40が送出部46を予め設定されたパイプ排出位置まで移動させる。このパイプ排出位置は送出部46のプッシャがパイプ孔722aを通してパイプ切断装置70の裏面側(排出側)に到達する位置である。これにより終端が面取りされた最後の管部材5は、部材受台52に切断順に並んだ管部材5を押し出しながらパイプ切断装置70から排出され、部材受台52にて受け止められる。そして、送出部46は初期位置に戻り、次の原パイプ1が供給されるまで待機する。また、最後の管部材5が部材受台52にて受け止められると、管部材搬出装置50は受台移動機構54を後退動作させる。これにより、部材受台52は管部材5を切断順に載せたまま、搬出台56と並ぶ搬出位置に後退する。次に、管部材搬出装置50は受台旋回機構58を動作させる。これにより、部材受台52は搬出台56側を回転軸にして上方に旋回動作し、部材受台52上の管部材5は切断順を維持したまま、搬出台56に排出される。次に、作業者はそれぞれの管部材5の周面に印刷された識別情報の読み取り作業を行い、識別情報とともにこの部材の完成を知らせる状態情報を総合管理部300に送信する。また、作業者は管部材5の識別情報を確認して生産施工データごとに仕分ける等の然るべき措置を行う。
【0073】
以上のように、本発明に係る配管構築方法及び配管構築システム100は、3次元CADを用いて配管構造物の生産施工データを作成する。そして、生産施工データを構成する部材データのうち加工部材に関しては加工部材作製部202において作製を行い、完成品を施工現場に送る。このため、施工現場で部材の加工を行う必要がなく、加工技術を有さない作業者でも配管経路の施工を行うことができる。また、生産施工データを構成する全ての部材には識別情報が付与され、この識別情報によりこの部材の接続場所を特定することができる。これにより、施工作業者は配管構造物の構築を効率良く行うことができる。また、施工作業者は識別情報を介して、総合管理部300から取り付け時の注意事項や取り付け方法、オペレータによる対応を受けることができる。これにより、不慣れな施工作業者でも配管構造物の構築を問題無く行うことができる。
【0074】
さらに、配管構造物の構築に関わる各段階で識別情報の読み取り作業を行うことで、総合管理部300には個々の部材の状況と履歴が記録され、管理者は総合管理部300にアクセスすることで配管構造物の構築の進捗状況を部材単位でリアルタイムに把握することができる。また、各部材データに費用情報を付与することで、在庫の資産情報を算出できることに加え、構築途中の配管構造物の出来高、資産価値をリアルタイムに把握することができる。また、日毎、月毎の出来高等を容易に集計することができる。
【0075】
このように、本発明に係る配管構築方法及び配管構築システム100は、総合管理部300が各施工現場の進捗状況及び資産情報をリアルタイム且つ一元的に管理することができ、配管構造物の構築及び資産管理の作業効率を飛躍的に効率化することができる。
【0076】
尚、本例で示した各部、各工程の構成、動作手順等は一例であるから、特に本例に限定される訳ではなく、また適宜必要な工程を挿入できる他、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0077】
S102 設計工程
S106 加工データ生成工程
S200 加工部材作製工程
S202 非加工部材取得工程
S204 出荷工程
S108 施工図出力工程
S206 施工工程
1 原パイプ
5 管部材
20 測長部
30 印刷部
40 パイプ送り装置
50 管部材搬出装置
60 終端面取り部
70 パイプ切断装置
80 中央制御部
90 樹脂パイプ切断システム
100 配管構築システム
102 設計部
106 加工データ生成部
202 加工部材作製部
204 非加工部材取得部
206 読取装置
300 総合管理部