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特開2022-188920判定装置、判定方法および判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188920
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法および判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20120101AFI20221215BHJP
【FI】
G06Q10/10 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097210
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 雅也
(72)【発明者】
【氏名】馬渊 利幸
(72)【発明者】
【氏名】利根 章
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】プロジェクトマネジメント能力をより客観的に評価すること。
【解決手段】本願に係る判定装置は、利用者が参画したプロジェクトに関する実績情報に基づきプロジェクト経験に応じた利用者の実績を評価するとともに、プロジェクトを遂行するうえで個人に求められる要件の基準に基づき要件に対する利用者の能力を評価する評価部と、評価部による評価結果に基づいて、利用者のプロジェクトマネジメント能力を総合的に判定する判定部とを有することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が参画したプロジェクトに関する実績情報に基づきプロジェクト経験に応じた前記利用者の実績を評価するとともに、プロジェクトを遂行するうえで個人に求められる要件の基準に基づき前記要件に対する利用者の能力を評価する評価部と、
前記評価部による評価結果に基づいて、前記利用者のプロジェクトマネジメント能力を総合的に判定する判定部と
を有することを特徴とする判定装置。
【請求項2】
前記評価部は、前記実績情報に基づいて、前記利用者の実績の評価として、前記プロジェクトに対する前記利用者の貢献度を評価する評価値を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記実績情報には、前記利用者が参画したプロジェクトの特徴を示す特徴情報と、前記プロジェクトでの前記利用者の業務経歴を示す経歴情報とが含まれ、
前記評価部は、前記特徴情報および前記経歴情報に基づいて、前記評価値を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記評価部は、前記特徴情報として、前記利用者が参画したプロジェクトの規模を用いて、前記評価値を算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の判定装置。
【請求項5】
前記評価部は、前記特徴情報として、前記利用者が参画したプロジェクトに定められた目標に対する達成状況を用いて、前記評価値を算出する
ことを特徴とする請求項3または4に記載の判定装置。
【請求項6】
前記評価部は、前記経歴情報として、前記プロジェクトでの前記利用者の役割、前記プロジェクトでの着任期間、前記プロジェクトの内容に応じた業務工程のうち前記利用者が担当した工程、または、前記プロジェクトに参画した目的のうち、少なくともいずれか1つに基づいて、前記評価値を算出する
ことを特徴とする請求項3~5のいずれか1つに記載の判定装置。
【請求項7】
前記評価部は、前記特徴情報および前記経歴情報に基づき、前記利用者が参画したプロジェクトの難易度、および、当該プロジェクトの中において前記利用者が担当した任務の困難性に応じた得点を算出し、算出した得点から前記評価値を算出する
ことを特徴とする請求項3~6のいずれか1つに記載の判定装置。
【請求項8】
前記評価部は、前記利用者が参画したプロジェクトごとに、当該プロジェクトに対応する前記特徴情報および前記業務経歴に基づき前記得点を算出し、算出した得点から得られた統計値を前記評価値として算出する
ことを特徴とする請求項7に記載の判定装置。
【請求項9】
前記実績情報には、前記利用者が参画したプロジェクトの規模ごとに当該規模に応じたマネジメント能力が採点された採点結果がさらに含まれ、
前記評価部は、前記採点結果に基づいて、前記利用者の実績の評価として、プロジェクト経験に応じた前記利用者の実践力を評価する評価値をさらに算出する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の判定装置。
【請求項10】
前記判定部は、前記評価部による評価結果を総合した総合ポイントを算出し、算出した総合ポイントに応じたレベルを、前記利用者のプロジェクトマネジメント能力として判定する
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1つに記載の判定装置。
【請求項11】
判定装置が実行する判定方法であって、
利用者が参画したプロジェクトに関する実績情報に基づきプロジェクト経験に応じた前記利用者の実績を評価するとともに、プロジェクトを遂行するうえで個人に求められる要件の基準に基づき前記要件に対する利用者の能力を評価する評価工程と、
前記評価工程による評価結果に基づいて、前記利用者のプロジェクトマネジメント能力を総合的に判定する判定工程と
を含むことを特徴とする判定方法。
【請求項12】
利用者が参画したプロジェクトに関する実績情報に基づきプロジェクト経験に応じた前記利用者の実績を評価するとともに、プロジェクトを遂行するうえで個人に求められる要件の基準に基づき前記要件に対する利用者の能力を評価する評価手順と、
前記評価手順による評価結果に基づいて、前記利用者のプロジェクトマネジメント能力を総合的に判定する判定手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置、判定方法および判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業等の顧客向けのサービスとして、例えば、プロジェクトメンバー各々についてプロジェクトマネジメント能力を診断するサービスが提案されている。
【0003】
例えば、非特許文献1では、知識コンピテンシー、実践コンピテンシー、および、人格コンピテンシーに基づき、プロジェクトマネジメント能力を診断するサービスが提供されている。
【0004】
また、例えば、非特許文献2では、IT関連業務に携わる人材のスキル保有状況を、自己評価と客観テストによって診断するサービスが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献1】イプロス都市まちづくり,”客観的診断ツール/PMコンピテンシーチェッカー”,[online],平成31年11月5日,株式会社ネクストエデュケーションシンク,[令和3年5月18日検索],インターネット<https://kensetsu.ipros.jp/product/detail/2000476997/>
【非特許文献2】富士通ラーニングメディア,”人材力診断サービス/SkillCompass”,[online],令和3年4月21日,富士通,[令和3年5月18日検索],インターネット<https://www.knowledgewing.com/kcc/consul/service/skillcompass/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術では、利用者が実際にプロジェクトに参画しそして行動することで得た経験をプロジェクトの特性に合わせて数値化し、数値化した結果から利用者のプロジェクトマネジメントを診断している訳ではない。このため、上記の従来技術では、プロジェクトマネジメント能力をより客観的に評価することができるとはいえない場合がある。
【0007】
そこで、本開示では、プロジェクトマネジメント能力をより客観的に評価することができる判定装置、判定方法および判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る判定装置は、利用者が参画したプロジェクトに関する実績情報に基づきプロジェクト経験に応じた前記利用者の実績を評価するとともに、プロジェクトを遂行するうえで個人に求められる要件の基準に基づき前記要件に対する利用者の能力を評価する評価部と、前記評価部による評価結果に基づいて、前記利用者のプロジェクトマネジメント能力を総合的に判定する判定部とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る判定方法は、判定装置が実行する判定方法であって、利用者が参画したプロジェクトに関する実績情報に基づきプロジェクト経験に応じた前記利用者の実績を評価するとともに、プロジェクトを遂行するうえで個人に求められる要件の基準に基づき前記要件に対する利用者の能力を評価する評価工程と、前記評価工程による評価結果に基づいて、前記利用者のプロジェクトマネジメント能力を総合的に判定する判定工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係る判定プログラムは、利用者が参画したプロジェクトに関する実績情報に基づきプロジェクト経験に応じた前記利用者の実績を評価するとともに、プロジェクトを遂行するうえで個人に求められる要件の基準に基づき前記要件に対する利用者の能力を評価する評価手順と、前記評価手順による評価結果に基づいて、前記利用者のプロジェクトマネジメント能力を総合的に判定する判定手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上記の態様により、例えば、プロジェクトマネジメント能力をより客観的に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係るシステムの一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る判定装置の構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る第1アンケート情報データベースの一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る第2アンケート情報データベースの一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る第3アンケート情報データベースの一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る得点パターン表データベースの一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る診断結果データベースの一例を示す図である。
図8図8は、プロジェクトマネジメント能力判定ロジックの一例を示す図である。
図9図9は、実績PMSポイント算出ロジックの一例を示す図である。
図10図10は、知識/実践力PMSポイント算出ロジックの一例を示す図である。
図11図11は、ヒューマンスキルPMSポイント算出ロジックの一例を示す図である。
図12図12は、実施形態に係る判定処理手順を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態に係る判定装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、判定装置、判定方法および判定プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)の一例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により判定装置、判定方法および判定プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
[実施形態]
〔1.はじめに〕
例えば、上記の非特許文献に挙げられている通り、プロジェクトマネージャとして知っているべき知識(知識コンピテンシー)、プロジェクトマネジメント活動を実行する能力(実践コンピテンシー)、プロジェクトやアクティビティを実施する際の態度や行動特性(人格コンピテンシー)といった3つの評価軸を用いて、プロジェクトマネジメント能力を診断する技術がある。
【0015】
これに対して、本発明では、利用者が実際にプロジェクトに参画しそして行動することで得た経験すなわち利用者のプロジェクト実績を新たな評価軸として用いれば、プロジェクトマネジメント能力をより客観的に評価することができる点に想到した。具体的には、本発明では、利用者のプロジェクト実績、プロジェクトにおける知識/実践力、プロジェクトを遂行するうえで必要とされるヒューマンスキル、という3要素を評価軸として用いることで、利用者のプロジェクトマネジメント能力が診断される。
【0016】
以下の実施形態では、このような診断手法(実施形態に係る判定方法)によりプロジェクトマネジメント能力の診断を行う情報処理装置の一例として判定装置100を例に挙げて、実施形態に係る判定処理を説明する。なお、以下の実施形態では、プロジェクトマネジメント能力を「PM能力」と略す場合がある。
【0017】
〔2.システム〕
まず、図1を用いて、実施形態に係るシステム構成について説明する。図1は、実施形態に係るシステムの一例を示す図である。図1には、実施形態に係るシステムの一例として、判定システム1が示される。
【0018】
図1の例では、判定システム1には、端末装置10と、判定装置100とが含まれる。また、端末装置10と、判定装置100とは図示しない所定のネットワークNを介して、有線または無線により通信可能に接続される。なお、判定システム1には、任意の数の端末装置10と、任意の数の判定装置100とが含まれてもよい。
【0019】
端末装置10は、利用者によって利用される情報処理端末であり、例えば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等である。図1には、端末装置10がスマートフォンである例が示される。また、ここでいう利用者とは、PM能力が判定される利用者であり、例えば、特定の組織(会社組織)に属する一メンバーであってよい。
【0020】
なお、以下の実施形態では、図1に示すように、端末装置10を端末装置10-1~10-xnのように区別して説明する場合がある。例えば、図1には、任意の組織ORxに属するメンバー(社員)のうちの任意の1メンバーである利用者Uxnによって利用される端末装置10が端末装置10-xnである例が示される。また、この一例として、図1には、組織OR1に属する任意の利用者U1nによって利用される端末装置10が端末装置10-1nである例が示される。より具体的には、図1には、組織OR1に属する利用者U1によって利用される端末装置10が端末装置10-11であり、組織OR1に属する利用者U2によって利用される端末装置10が端末装置10-12である例が示される。
【0021】
判定装置100は、実施形態に係る判定処理を行う情報処理装置である。判定装置100は、例えば、サーバ装置であってよく、端末装置10を利用者の付近でデータ処理(エッジ処理)を行うエッジコンピュータ(エッジデバイス)であるとすると、クラウド側で処理を行うクラウドコンピュータであってよい。
【0022】
また、判定装置100は、実施形態に係る判定プログラムに応じた判定方法で利用者のPM能力の診断を行う。具体的には、判定装置100は、利用者が参画したプロジェクトに関する実績情報に基づきプロジェクト経験に応じた利用者の実績を評価するとともに、プロジェクトを遂行するうえで個人に求められる要件の基準に基づき要件に対する利用者の能力を評価する。そして、判定装置100は、評価結果に基づいて、利用者のPM能力を総合的に判定する。
【0023】
また、ここでいう利用者の実績評価には、利用者のプロジェクト実績の評価、プロジェクト経験に応じた実践力の評価といった2つの概念が含まれてよい。このように、判定装置100は、利用者のプロジェクト実績、プロジェクトにおける知識/実践力、プロジェクトを遂行するうえで必要とされるヒューマンスキル、という3要素を評価軸として用いることで、利用者のPM能力を総合的に判定する。
【0024】
また、利用者が参画したプロジェクトに関する実績情報は、例えば、アンケートとして与えられた設問(例えば、プロジェクト実績に関する設問)に対する回答として利用者から収集される。また、プロジェクトを遂行するうえで個人に求められる要件の基準に対して利用者がどの程度の能力レベルにあるかも、例えば、アンケートとして与えられた設問に対する回答として利用者から収集されてよい。
【0025】
〔3.アンケートについて〕
ここで、判定装置100が利用者に提供するアンケートについて図1の例を用いて説明する。例えば、判定装置100は、第1のアンケート、第2のアンケートおよび第3のアンケートという3種のアンケートを利用者に提供することで、上記のような回答を利用者から収集することができる。
【0026】
図1の例によれば、第1のアンケートは、利用者が参画したプロジェクトに関する各種実績についての設問が用意されたアンケートである。また、ここでいう実績についての設問とは、例えば、利用者が参画したプロジェクトがどのような特徴(例えば、どれくらいの規模であるのか、目標に対する達成状況はどうであったか等)であったかの入力を利用者に求めるものであってよい。また、ここでいう実績についての設問とは、プロジェクトでの利用者の業務経歴(例えば、プロジェクトでの利用者の役割や、プロジェクトでの着任期間等)の入力を利用者に求めるものであってよい。
【0027】
そして、このような第1のアンケートの結果、判定装置100は、利用者が参画したプロジェクトに関する実績情報として、例えば、利用者が参画したプロジェクトの特徴を示す特徴情報(プロジェクトプロフィール)や、プロジェクトでの利用者の業務経歴(個人プロフィール)を示す経歴情報を取得することができるようになる。
【0028】
また、図1の例によれば、第1のアンケートは、プロジェクトに対する利用者の貢献度(利用者がプロジェクトに対してどれだけ関わったか)を評価するために実施されるものである。このようなことから、判定装置100は、第1のアンケートに対する回答から、プロジェクトに対する利用者の貢献度を評価する評価値を算出する。また、以下の実施形態では、貢献度を評価する評価値を「実績PMSポイント」として説明する。例えば、実績PMSポイントは、利用者のプロジェクト実績を評価する指標として用いられる。
【0029】
第1のアンケートでの設問例および設問に対する回答例については図3に示す。
【0030】
続いて、第2のアンケートは、利用者が参画したプロジェクトに関する実績に応じたマネジメント能力を調査するための設問が用意されたアンケートである。また、ここでいう実績に応じたマネジメント能力を調査するための設問とは、例えば、利用者が参画したプロジェクトの規模ごとに当該規模に応じたマネジメント能力を採点するよう利用者に求めるものであってよい。
【0031】
そして、このような第2のアンケートの結果、判定装置100は、利用者が参画したプロジェクトに関する実績情報として、例えば、利用者が参画したプロジェクトの規模ごとに当該規模に応じたマネジメント能力が採点された採点結果を取得することができるようになる。
【0032】
また、図1の例によれば、第2のアンケートは、PMに必要とされる知識量や実践力において利用者がどの程度の能力を有しているかを評価するために実施されるものである。このようなことから、判定装置100は、第2のアンケートに対する回答から、プロジェクト経験に応じた利用者の実践力を評価する評価値を算出する。また、以下の実施形態では、実践力を評価する評価値を「知識/実践力PMSポイント」として説明する。
【0033】
第2のアンケートでの設問例および設問に対する回答例については図4に示す。
【0034】
また、第3のアンケートは、プロジェクトを遂行するうえで個人に求められる要件に対する利用者の個人的な能力(ヒューマンスキル)を調査するための設問が用意されたアンケートである。また、ここでいうヒューマンスキルを調査するための設問とは、例えば、プロジェクトを遂行するうえで個人に求められる要件の基準に対して利用者の能力がどのレベルにあるかを採点するよう利用者に求めるものであってよい。
【0035】
また、図1の例によれば、第3のアンケートは、PMに必要とされるヒューマンスキルにおいて利用者がどの程度の能力を有しているかを評価するために実施されるものである。このようなことから、判定装置100は、第3のアンケートに対する回答から、プロジェクト遂行要件に対するヒューマンスキルを評価する評価値を算出する。また、以下の実施形態では、ヒューマンスキルを評価する評価値を「ヒューマンスキルPMSポイント」として説明する。
【0036】
第3のアンケートでの設問例および設問に対する回答例については図5に示す。
【0037】
〔4.判定処理の概要〕
続いて、図1を用いて、判定装置100によって行われる判定処理の概要を示す。例えば、利用者Uxn(例えば、利用者U11)は、PM能力の診断を受けたい場合、端末装置10-xn(例えば、端末装置10-11)を用いて判定装置100にアクセスする。判定装置100は、利用者Uxnからのアクセスを受け付けると、第1のアンケート、第2のアンケートおよび第3のアンケートで構成されるアンケート表を利用者Uxnに提供する(ステップS1)。
【0038】
これらアンケートでは上記説明したような設問が用意されており、利用者Uxnは、設問に対する回答をアンケート表に入力する。また、端末装置10-xnは、利用者Uxnによる操作に応じて、回答が入力されたアンケート表を判定装置100送信する(ステップS2)。
【0039】
判定装置100は、利用者Uxnから回答を受け付けると、受け付けた回答に基づいて、評価値算出処理を実行する(ステップS3)。例えば、判定装置100は、利用者Uxnから受け付けた回答に基づいて、実績PMSポイント(貢献度を評価する評価値)と、知識/実践力PMSポイント(実践力を評価する評価値)と、ヒューマンスキルPMSポイント(ヒューマンスキルを評価する評価値)とを算出する。
【0040】
そして、判定装置100は、利用者UxnのPM能力を評価値から総合的に判定する(ステップS4)。例えば、判定装置100は、実績PMSポイントと、知識/実践力PMSポイントと、ヒューマンスキルPMSポイントとを足し合わせた総合的なポイントをレベル換算することにより、利用者UxnのPM能力はどの程度のレベルにあるかレベル判定する。
【0041】
このような判定装置100によれば、知識/実践力、ヒューマンスキルに加えて、利用者が実際にプロジェクトを経験することで得たプロジェクト実績をさらに用いるため、例えば、プロジェクトの特徴に合わせてプロジェクト経験を数値化することができるようになる。この結果、判定装置100は、プロジェクトマネジメント能力をより客観的に評価することができるようになる。
【0042】
例えば、上記の従来技術では、知識コンピテンシー、実践コンピテンシーおよび人格コンピテンシーが用いられている一方で、プロジェクトに関する実績については考慮されていない。このため、上記の従来技術は、汎用性の高い診断サービスの提供を目的としているといえる。しかしながら、昨今、企業や業種によっては、人物評価の指標が多様化してきているため、例えば、企業の内部事情により特化した人物評価指標が求められている。そこで、判定装置100によれば、従来技術と比較して汎用性の高さではなく、より特定の企業に特化した人物評価が可能になる点で有利な効果を奏するものである。
【0043】
〔5.判定装置の構成〕
次に、図2を用いて、実施形態に係る判定装置100について説明する。図2は、実施形態に係る判定装置100の構成例を示す図である。図2に示すように、判定装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0044】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークNと有線または無線で接続され、例えば、端末装置10との間で情報の送受信を行う。
【0045】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、第1アンケート情報データベース121と、第2アンケート情報データベース122と、第3アンケート情報データベース123、得点パターン表データベース124と、診断結果データベース125とを有する。
【0046】
(第1アンケート情報データベース121について)
第1アンケート情報データベース121は、第1のアンケート内で記入を求められた項目(設問)に対して、利用者が入力した情報(回答)を記憶する。ここで、図3に実施形態に係る第1アンケート情報データベース121の一例を示す。
【0047】
図3の例では、第1アンケート情報データベース121は、「組織ID(Identifier)」、「利用者ID(Identifier)」、「プロジェクトプロフィール」、「個人プロフィール」、「PMSポイント」といった項目を有する。
【0048】
「プロジェクトプロフィール」は、利用者が参画したプロジェクトの特徴を示す特徴情報に対応し、「プロジェクト名」、「プロジェクト規模」、「目標達成状況(収支)」、「プロジェクト期間」、「プロジェクト種別」といった項目で構成される。なお、「プロジェクトプロフィール」を構成する項目は、図3の例に限定されない。また、これらの項目は、利用者が記入を求められる項目すなわち設問に対応し、図3にはこれら設問に対し利用者が実際に回答した回答例が示される。
【0049】
また、「個人プロフィール」は、プロジェクトでの利用者の業務経歴に対応し、「役割」、「着任期間」、「参画工程」、「立て直し」、「新規顧客」、「新技術」、「複数顧客PGM」、「同一顧客PGM」、「超上流」といった項目で構成される。なお、「個人プロフィール」を構成する項目は、図3の例に限定されない。また、これらの項目は、利用者が記入を求められる項目すなわち設問に対応し、図3にはこれら設問に対し利用者が実際に回答した回答例が示される。
【0050】
「PMSポイント」は、主に「プロジェクトプロフィール」側での設問に対する回答と、後述する得点パターン表とを照らし合わせることで判定された得点(第1得点)、および、「個人プロフィール」側での設問に対する回答に応じて加算される得点(第2得点)に基づき算出されるポイントを示す。「PMSポイント」は、例えば、「No」および「プロジェクト名」の組で識別されるプロジェクトごとに算出される。
【0051】
ここからは、各項目について説明する。「組織ID」は、組織(例えば、企業)を識別する識別情報を示す。「利用者ID」は、「組織ID」で識別される組織に属する利用者を識別する識別情報を示す。「No」は、「プロジェクト名」で識別される各プロジェクト(1レコード)に付される数値であり、利用者が参画したプロジェクトの数に応じて動的に付与されてよい。
【0052】
以下では、「プロジェクトプロフィール」を構成する各項目、「個人プロフィール」を構成する各項目についてより詳細に説明する。具体的には、組織ID「OR1」で識別される組織(組織OR1)に属する利用者であって、利用者ID「U11」で識別される利用者である利用者U11を例に用いて各項目を説明する。
【0053】
「プロジェクト名」は、プロジェクトの名称を示す。図3の例では、利用者U11がこれまでに参画したプロジェクトの1つが、「PJ♯111」という名称のプロジェクト(プロジェクトPJ♯111)である例を示す。
【0054】
「プロジェクト規模」は、参画したプロジェクトの規模を入力するよう求める項目である。例えば、プロジェクトの規模を指標する情報は、予算であってよく、図3の例では、「100億以上」、「50億以上~100億未満」、「10億以上~50億未満」、「5億以上~10億未満」、「1億以上~5億未満」、「5千万以上~1億未満」、「5千万未満」、といった予算候補が予め用意されており、参画したプロジェクトに当てはまるものをこの中から選択するよう利用者に求めている例が示される。また、この結果、図3の例では、プロジェクトPJ♯111の「プロジェクト規模」として利用者U11が「10億以上~50億未満」を選択した例が示される。
【0055】
なお、図3には、プロジェクトの規模を指標する情報が予算である例が示されるが、プロジェクトの規模は、予算以外の情報(例えば、参画したメンバー数)で指標されてもよい。
【0056】
「目標達成状況(収支)」は、参画したプロジェクトに定められた収支に関する目標に対する達成状況を入力するよう求める項目である。図3の例では、「営業利益目標達成」、「営業利益目標未達成(黒字)」、「営業利益目標未達成(赤字)」、といった目標達成状況の候補が予め用意されており、参画したプロジェクトに当てはまるものをこの中から選択するよう利用者に求めている例が示される。また、この結果、図3の例では、プロジェクトPJ♯111での「目標達成状況(収支)」として利用者U11が「営業利益目標達成」を選択した例が示される。
【0057】
「プロジェクト期間」は、参画したプロジェクトが実施されていた期間として、「開始時期」と「終了時期」とを入力するよう求める項目である。図3の例では、プロジェクトPJ♯111の「開始時期」として「2000年4月」、プロジェクトPJ♯111の「終了時期」として「2002年1月」を利用者U11が入力した例が示される。
【0058】
また、「開始時期」と「終了時期」とを入力された場合に、「プロジェクト期間」が自動算出される構成が採用されてもよい。
【0059】
「プロジェクト種別」は、参画したプロジェクトの種別を入力するよう求める項目である。図3の例では、「新規開発」、「保守開発」、「その他」、といったプロジェクト種別の候補が予め用意されており、参画したプロジェクトに当てはまるものをこの中から選択するよう利用者に求めている例が示される。また、この結果、図3の例では、プロジェクトPJ♯111の「プロジェクト種別」として利用者U11が「新規開発」を選択した例が示される。
【0060】
「役割」は、参画したプロジェクトにおいて、利用者の「着任時」での役割(役職)と、利用者の「離任時」での役割(役職)とを入力するよう求める項目である。図3の例では、「PM」(プロジェクトマネージャ)、「PL/GL」(プロジェクトリーダーもしくはグループリーダー)、「TL」(チームリーダー)、「メンバー」(一般メンバー)、といった役職候補が予め用意されており、「着任時」および「離任時」それぞれでの役職をこの中から選択するよう利用者に求めている例が示される。また、この結果、図3の例では、役割「メンバー」の状態でプロジェクトPJ♯111に着任し、役割「TL」の状態でプロジェクトPJ♯111を離任したことを利用者U11が選択した例が示される。
【0061】
「着任期間」は、参画したプロジェクトにおいて、「着任時期」と「離任時期」とを入力するよう求める項目である。図3の例では、プロジェクトPJ♯111への「着任時期」として「2000年4月」、プロジェクトPJ♯111への「離任時期」として「2002年1月」を利用者U11が入力した例が示される。
【0062】
また、「着任時期」と「開始時期」とを入力された場合に、「着任期間」が自動算出される構成が採用されてもよい。
【0063】
「参画工程」は、参画したプロジェクトに応じた業務工程のうち、利用者が担当(参画)した工程に対して「1」を入力するよう求める項目である。図3の例では、「要件定義」、「内部設計」、「外部設計」、といった参画工程の候補が予め用意されており、利用者が担当した工程に対して「1」を入力するよう利用者に求めている例が示される。図3の例では、プロジェクトPJ♯111の「参画工程」のうち、「要件定義」、「内部設計」、「外部設計」の全てに利用者U11が「1」を入力している例が示される。係る例は、利用者U11は、プロジェクトPJ♯111に含まれる「参画工程」のうち、「要件定義」、「内部設計」、「外部設計」の全てに参加した例を示す。
【0064】
なお、参画工程の候補は、図3の例に限らず、例えば、「PT」、「IT」、「ST」といったテスト工程がさらに用意されてもよい。また、利用者が担当(参画)した工程に対して「1」の入力が求められるのは、例えば、参加した業務工程や業務工程の数に応じた得点を実績PMSポイントに反映するためである。また、ここでいう得点は、任務困難性に応じたポイントといえる。
【0065】
「立て直し」は、プロジェクトに着任した目的が「立て直し目的」である場合に「1」を入力するよう求める項目である。より具体的には、「立て直し」は、不芳化したプロジェクトをリカバリーする目的で着任した場合に「1」を入力するよう求める項目である。図3の例では、プロジェクトPJ♯111の「立て直し」に対して利用者U11が無記入である例が示される。係る例は、利用者U11は、「立て直し目的」でプロジェクトPJ♯111に着任したのではなく、当初からプロジェクトPJ♯111に参画していた例を示す。
【0066】
「新規顧客」は、利用者が参画したプロジェクトが新規顧客を相手にするプロジェクトである場合に「1」を入力するよう求める項目である。図3の例では、プロジェクトPJ♯111の「新規顧客」に対して利用者U11が「1」を記入している例が示される。係る例は、利用者U11は、新規顧客を相手にするプロジェクトPJ♯111に参画した例を示す。なお、「新規顧客」に対して「1」の入力が求められるのは、例えば、プロジェクトにおける任務困難性に応じた得点を実績PMSポイントに反映するためである。
【0067】
「新技術」は、利用者が参画したプロジェクトにおいて必要とされる技術が、過去に事例のない技術を所定割合以上占める場合に「1」を入力するよう求める項目である。図3の例では、プロジェクトPJ♯111の「新技術」に対して利用者U11が「1」を記入している例が示される。係る例は、利用者U11は、過去に事例のない技術が所定割合以上を占めるプロジェクトPJ♯111に参画した例を示す。なお、「新技術」に対して「1」の入力が求められるのは、例えば、プロジェクトにおける任務困難性に応じた得点を実績PMSポイントに反映するためである。
【0068】
「複数顧客PGM」は、異なる顧客を対象とするプロジェクトを同時にマネジメントした並行期間が所定期間以上であった場合に「1」を入力するよう求める項目である。図3の例では、プロジェクトPJ♯111の「複数顧客PGM」に対して利用者U11が無記入である例が示される。なお、「複数顧客PGM」に対して「1」の入力が求められるのは、例えば、プロジェクトにおける任務困難性に応じた得点を実績PMSポイントに反映するためである。
【0069】
「同一顧客PGM」は、同一顧客を対象とするプロジェクトを同時にマネジメントした並行期間が所定期間以上であった場合に「1」を入力するよう求める項目である。図3の例では、プロジェクトPJ♯111の「同一顧客PGM」に対して利用者U11が無記入である例が示される。なお、「同一顧客PGM」に対して「1」の入力が求められるのは、例えば、プロジェクトにおける任務困難性に応じた得点を実績PMSポイントに反映するためである。
【0070】
「超上流」は、利用者が参画したプロジェクトが、「参画工程」の「要件定義」より前をスコープに含むプロジェクトである場合に「1」を入力するよう求める項目である。3の例では、プロジェクトPJ♯111の「超上流」に対して利用者U11が無記入である例が示される。なお、「超上流」に対して「1」の入力が求められるのは、例えば、プロジェクトにおける任務困難性に応じた得点を実績PMSポイントに反映するためである。
【0071】
(第2アンケート情報データベース122について)
第2アンケート情報データベース122は、第2のアンケート内で記入を求められた項目(設問)に対して、利用者が入力した情報(回答)を記憶する。ここで、図4に実施形態に係る第2アンケート情報データベース122の一例を示す。
【0072】
図4の例では、第2アンケート情報データベース122は、「組織ID(Identifier)」、「利用者ID(Identifier)」、「能力カテゴリ」、「No」、「能力定義」、「難易度」、「プロジェクト規模(採点結果)」、「採点結果補正(難易度考慮)」、「総合得点」といった項目を有する。
【0073】
「組織ID」は、組織(例えば、企業)を識別する識別情報を示す。「利用者ID」は、「組織ID」で識別される組織に属する利用者を識別する識別情報を示す。
【0074】
「能力カテゴリ」は、マネジメント能力のカテゴリに対応する。「No」は、「能力定義」を識別するために付されている数値を示す。「能力定義」は、「能力カテゴリ」で示されるマネジメント能力とは具体的のどのような能力であるかを定義付ける説明文に対応する。図4の例では、能力カテゴリ「レビューマネジメント」と、能力定義「品質確保に必要となるレビューを計画することができる。」とが対応付けられる例が示される。係る例は、「レビューマネジメント」とは、「品質確保に必要となるレビューを計画することができる」能力であると定義されている例を示す。「難易度」は、「能力定義」で示される内容を実現することの難易度を示す。
【0075】
「プロジェクト規模(採点結果)」は、利用者が参画したプロジェクトに関する実績情報に対応し、「5千万未満」、「5千万以上~2億未満」、「2億以上」といった項目で構成される。
【0076】
また、「5千万未満」、「5千万以上~2億未満」、「2億以上」という項目は、プロジェクトの規模を指標する情報である。したがって、図4の例は、利用者は、各「能力カテゴリ」につき、これらプロジェクトの規模ごとに当該規模に応じたマネジメント能力を例えば「能力定義」を参考に自己採点するよう求められる例を示す。つまり、「5千万未満」、「5千万以上~2億未満」、「2億以上」という項目は、利用者が採点記入を求められる項目すなわち設問に対応し、図4にはこれら設問に対し利用者が実際に自己採点した採点例が示される。
【0077】
また、図4の例では、「能力定義」で示される内容について、より独力で実施し、かつ、より多く他メンバーへの指導を行った経験があるほど高い値で採点するよう、例えば、0~5の6段階が採点候補として用意されてよい。以下では、組織ID「OR1」で識別される組織(組織OR1)に属する利用者であって、利用者ID「U11」で識別される利用者である利用者U11を例に採点結果を説明する。
【0078】
例えば、図4には、能力定義「品質確保に必要となるレビューを計画することができる。」およびプロジェクト規模「5千万未満」に対応する入力欄に「5」が入力されている例が示される。係る例は、利用者U11は、規模「5千万未満」のプロジェクトに参画した経歴があり、このプロジェクトの中では、「品質確保に必要となるレビューを計画する」点について、独力で実施し、また、他メンバーを指導した経験もあることから、自己の「レビューマネジメント」能力について最も高い「5点」と採点した例を示す。
【0079】
また、図4には、能力定義「品質確保に必要となるレビューを計画することができる。」およびプロジェクト規模「5千万以上~2億未満」に対応する入力欄に「3」が入力されている例が示される。係る例は、利用者U11は、規模「5千万以上~2億未満」のプロジェクトに参画した経歴があり、このプロジェクトの中では、「品質確保に必要となるレビューを計画する」点について、独力で実施したが他メンバーの指導までは行っていないことから、自己の「レビューマネジメント」能力について中程度「3点」と採点した例を示す。
【0080】
また、図4には、能力定義「品質確保に必要となるレビューを計画することができる。」およびプロジェクト規模「2億以上」に対応する入力欄に「1」が入力されている例が示される。係る例は、利用者U11は、規模「2億以上」のプロジェクトに参画した経歴があり、このプロジェクトの中では、「品質確保に必要となるレビューを計画する」点について、他者の指示のもと一部を実施したに過ぎないことから、自己の「レビューマネジメント」能力について最も低い「1点」と採点した例を示す。
【0081】
「採点結果補正(難易度考慮)」は、プロジェクトの規模ごとに当該規模に応じたマネジメント能力が採点された採点結果が、「難易度」に応じた係数で補正された値を示す。例えば、難易度「高」には難易度係数「1.0」、難易度「中」には難易度係数「0.9」といったように係数が予め定められていてよく、この係数を用いて各採点結果が補正される。
【0082】
上記例を用いると、図4には、規模「5千万未満」のプロジェクトでは、「レビューマネジメント」能力をどの程度発揮できた経験があるかが採点された採点結果「5点」が、対応する難易度「中」での難易度係数「0.9」に基づき「4.5」に補正された例が示される。同様に、図4には、規模「5千万以上~2億未満」のプロジェクトでは、「レビューマネジメント」能力をどの程度発揮できた経験があるかが採点された採点結果「3点」が、対応する難易度「中」での難易度係数「0.9」に基づき「2.7」に補正された例が示される。また、図4には、規模「2億以上」のプロジェクトでは、「レビューマネジメント」能力をどの程度発揮できた経験があるかが採点された採点結果「1点」が、対応する難易度「中」での難易度係数「0.9」に基づき「0.9」に補正された例が示される。
【0083】
「総合得点」は、プロジェクトの規模ごとにマネジメント能力が採点された採点結果であって、補正された採点結果(採点結果補正)に基づき算出された総合的な得点を示す。例えば、「総合得点」は、プロジェクトの規模ごとの採点結果であって、補正された採点結果を合計して平均された値であってよい。
【0084】
図4には、能力カテゴリ「レビューマネジメント」に対して、5千万未満「4.5」、5千万以上~2億未満「2.7」、2億以上「0.9」、総合得点「1.9」が対応付けられる例が示される。この点について上記例を用いると、補正後の採点結果「4.5」、補正後の採点結果「2.7」、補正後の採点結果「0.9」を平均することで、能力カテゴリ「レビューマネジメント」について総合得点「1.9」が算出された例を示す。
【0085】
(第3アンケート情報データベース123について)
第3アンケート情報データベース123は、第3のアンケート内で記入を求められた項目(設問)に対して、利用者が入力した情報(回答)を記憶する。ここで、図5に実施形態に係る第3アンケート情報データベース123の一例を示す。
【0086】
図5の例では、第3アンケート情報データベース123は、「組織ID(Identifier)」、「利用者ID(Identifier)」、「要件」、「要件詳細」、「レベル5定義」、「レベル3定義」、「レベル1定義」、「採点結果」といった項目を有する。
【0087】
「組織ID」は、組織(例えば、企業)を識別する識別情報を示す。「利用者ID」は、「組織ID」で識別される組織に属する利用者を識別する識別情報を示す。
【0088】
「要件」は、プロジェクトを遂行するうえで個人に求められる要件(ヒューマンスキル)を示す。「要件詳細」は、「要件」がより細分化されたものに対応し、「要件」が示すヒューマンスキルには具体的にどのようなスキルが属するかヒューマンスキルの具体例を示すものである。
【0089】
ここで、第3のアンケートでは、PMに必要とされるヒューマンスキルにおいて利用者がどの程度の能力を有しているかを利用者に対して自己採点させるために実施される。例えば、第3のアンケートでは、1~5の5段階で採点するよう利用者に求めるが、この際に採点の参考にさせる情報が、「レベル5定義」、「レベル3定義」、「レベル1定義」に対応する。図5の例によれば、詳細要件「率先して行動する」に対して、レベル5定義「有言実行を貫き…」、レベル3定義「メンバーの模範となり…」、レベル1定義「行うべきことは…」が対応付けられている。係る例は、どの程度のリーダーシップを有しているかを自己採点する際、レベル5定義の内容、レベル3定義の内容、レベル1定義の内容を比較して、1~5の6段階のうちどの段階のレベルにあるかを判断するよう利用者に求めている例を示す。
【0090】
「採点結果」は、「レベル5定義」、「レベル3定義」、「レベル1定義」に基づき、「要件詳細」として与えられたヒューマンスキルがどの程度のレベルであるかが利用者によって自己採点された採点結果を示す。
【0091】
(得点パターン表データベース124について)
得点パターン表データベース124は、実績PMSポイントを算出する際において、利用者のプロジェクト実績がどの程度の得点であるか判定するため(すなわち、利用者のプロジェクト実績を数値化するため)に用いられる情報である。より具体的には、得点パターン表データベース124に含まれる得点パターン表は、利用者のプロジェクト実績を数値化するため、主に「プロジェクトプロフィール」側での設問に対する回答と照らし合わされる。
【0092】
ここで、図6に実施形態に係る得点パターン表データベース124の一例を示す。図6に示す得点パターン表によれば、「営業利益目標達成」、「営業利益目標未達成(黒字)」、「営業利益目標未達成(赤字)」、「立て直し」といった4項目それぞれについて、「役割(離任時)」と「プロジェクト規模」との組合せごとに得点が対応付けられている。また、ここでいう得点は、プロジェクトの難易度に応じたポイントである第1得点に相当する。
【0093】
ここで、図3に示す第1アンケート情報データベース121の例を用いて、利用者U11が、プロジェクトPJ♯111について、目標達成状況(収支)「営業利益目標達成」、役割(離任時)「TL」、プロジェクト規模「10億以上~50億未満」と回答した場合を例に説明する。係る例では、判定装置100は、得点パターン表データベース124に格納される得点パターン表に対して、目標達成状況(収支)「営業利益目標達成」、役割(離任時)「TL」、プロジェクト規模「10億以上~50億未満」を当てはめて、この回答に対応する第1得点を判定する。図6の例によれば、判定装置100は、プロジェクトPJ♯111についての利用者U11の回答から第1得点「1.40」を算出することができる。
【0094】
また、図3に示す第1アンケート情報データベース121の例を用いて、利用者U11が、プロジェクトPJ♯113について、目標達成状況(収支)「営業利益目標未達成(黒字)」、役割(離任時)「PL/GL」、プロジェクト規模「50億以上~100億未満」、立て直し「1」と回答した場合についても説明する。係る例では、判定装置100は、得点パターン表に対して、「立て直し」、役割(離任時)「PL/GL」、プロジェクト規模「50億以上~100億未満」を当てはめて、この回答に対応する第1得点を判定する。
【0095】
(診断結果データベース125について)
診断結果データベース125は、各種結果を記憶する記憶部である。ここで、図7に実施形態に係る診断結果データベース125の一例を示す。図7の例では、診断結果データベース125は、「組織ID(Identifier)」、「利用者ID(Identifier)」、「評価結果」、「判定結果」といった項目を有する。
【0096】
「組織ID」は、組織(例えば、企業)を識別する識別情報を示す。「利用者ID」は、「組織ID」で識別される組織に属する利用者を識別する識別情報を示す。
【0097】
「評価結果」は、評価部133により算出された各種評価値を含む。「判定結果」は、判定部134により判定されたマネジメント能力に関する情報を含む。
【0098】
すなわち、図7の例では、利用者U11について、アンケートに対する回答から評価結果♯11が得られ、また、評価結果♯11に基づき判定結果♯11と判定された例を示す。なお、図7では説明を簡単にするため、評価結果および判定結果を「♯」を用いて概念的に示しているが、実際には、結果を示す正当な情報が登録される。
【0099】
(制御部130について)
図2に戻り、制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、判定装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(例えば、実施形態に係る判定プログラム)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0100】
図2に示すように、制御部130は、提供部131と、回答受付部132と、評価部133と、判定部134と、結果制御部135とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図2に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、図2に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0101】
(提供部131について)
提供部131は、利用者に対して各種情報を提供する。例えば、提供部131は、利用者にアンケート表を提供する。例えば、提供部131は、利用者からのアクセスに応じて、アンケート表を提供するタイミングであると判定した場合には、第1のアンケート、第2のアンケートおよび第3のアンケートで構成されるアンケート表を利用者に提供する。第1のアンケート、第2のアンケートおよび第3のアンケートには、例えば、図1に示すアンケート内容に応じた設問が含まれる。
【0102】
(回答受付部132について)
回答受付部132は、提供部131により提供されたアンケートに対する回答を受け付ける。また、回答受付部132は、受け付けた回答を記憶部に格納する。例えば、回答受付部132は、第1のアンケートに含まれる設問に対する回答を受け付けた場合には、受け付けた回答を示す回答情報を第1アンケート情報データベース121に格納する。また、回答受付部132は、第2のアンケートに含まれる設問に対する回答を受け付けた場合には、受け付けた回答を示す回答情報を第2アンケート情報データベース122に格納する。また、回答受付部132は、第3のアンケートに含まれる設問に対する回答を受け付けた場合には、受け付けた回答を示す回答情報を第3アンケート情報データベース123に格納する。
【0103】
(評価部133について)
評価部133は、利用者が参画したプロジェクトに関する実績情報に基づきプロジェクト経験に応じた利用者の実績を評価するとともに、プロジェクトを遂行するうえで個人に求められる要件の基準に基づき要件に対する利用者の能力を評価する。
【0104】
例えば、評価部133は、実績情報に基づいて、利用者の実績の評価として、プロジェクトに対する利用者の貢献度を評価する評価値を算出する。図1で説明したように、係る実績情報には、利用者が参画したプロジェクトの特徴を示す特徴情報や、このプロジェクトでの利用者の業務経歴を示す経歴情報が含まれてよく、評価部133は、特徴情報および経歴情報に基づいて、貢献度を評価する評価値を算出する。
【0105】
一例として、評価部133は、特徴情報として、利用者が参画したプロジェクトの規模を用いて、貢献度を評価する評価値を算出してよい。また、例えば、評価部133は、特徴情報として、利用者が参画したプロジェクトに定められた目標に対する達成状況を用いて、貢献度を評価する評価値を算出してよい。
【0106】
一例として、評価部133は、経歴情報として、プロジェクトでの利用者の役割、プロジェクトでの着任期間、プロジェクトの内容に応じた業務工程のうち利用者が担当した工程、または、プロジェクトに参画した目的のうち、少なくともいずれか1つに基づいて、貢献度を評価する評価値を算出してよい。
【0107】
また、このような状態において、評価部133は、特徴情報および経歴情報に基づき、利用者が参画したプロジェクトの難易度、および、当該プロジェクトの中において利用者が担当した任務の困難性に応じた得点を算出し、算出した得点から貢献度を評価する評価値を算出する。例えば、評価部133は、利用者が参画したプロジェクトごとに、当該プロジェクトに対応する特徴情報および業務経歴に基づき得点を算出し、算出した得点から得られた統計値を評価値として算出する。
【0108】
また、図1で説明したように、実績情報には、利用者が参画したプロジェクトの規模ごとに当該規模に応じたマネジメント能力が採点された採点結果がさらに含まれてよく、評価部133は、採点結果に基づいて、利用者の実績の評価として、プロジェクト経験に応じた利用者の実践力を評価する評価値をさらに算出する。
【0109】
(判定部134について)
判定部134は、評価部133による評価結果(評価値)に基づいて、利用者のプロジェクトマネジメント能力を総合的に判定する。例えば、判定部134は、評価部133による評価結果を総合した総合ポイントを算出し、数段階用意されたレベルのうち、この総合ポイントに応じたレベルを利用者のプロジェクトマネジメント能力として判定する。
【0110】
(結果制御部135について)
結果制御部135は、評価部133による評価結果や、判定部134による判定結果に応じた各種制御を行う。例えば、結果制御部135は、評価結果や判定結果に応じたコンテンツが自己診断結果として示されるシート(自己診断結果シート)を生成し、生成したシートを利用者に提供することができる。
【0111】
また、評価結果や判定結果に応じたコンテンツとしては、例えば、実績PMSポイントが棒グラフで示されたプロジェクト実績チャート、能力カテゴリ(図4より)ごとに算出された各総合得点がレーダーチャート形式で示された知識/実践チャート、要件ごとに算出されたヒューマンスキルPMSポイントがレーダーチャート形式で示されたヒューマンスキルチャート等が挙げられる。
【0112】
〔6.評価値算出ロジック〕
ここからは、図8図11を用いて、貢献度(プロジェクトに対する貢献度)を評価する評価値である「実績PMSポイント」、実践力(PMに必要な知識量と実践力)を評価する評価値である「知識/実践力PMSポイント」、プロジェクト遂行要件に対する個人能力(ヒューマンスキル)を評価する評価値である「ヒューマンスキルPMSポイント」を算出するための算出ロジックの具体例を示す。
【0113】
〔6-1.PM能力判定ロジック〕
各評価値について算出ロジックを説明する前に、まずは、各評価値からPM能力としてPMSレベル(プロジェクトマネジメントスキルレベル)を判定するロジックについて図8を用いて説明する。図8は、プロジェクトマネジメント能力判定ロジックの一例を示す図である。図8の例では、評価部133によって、実績PMSポイント、知識/実践力PMSポイント、ヒューマンスキルPMSポイントが既に算出されている例が示される。
【0114】
このような状態において、判定部134は、実績PMSポイント、知識/実践力PMSポイント、ヒューマンスキルPMSポイントそれぞれに対して重み付けを行う。具体的には、判定部134は、PMSレベルを判定するうえでの重要度に応じて予め設定される重み係数を各PMSポイントに掛け合わせる。
【0115】
図8に示すように、重み係数は、実績PMSポイント、知識/実践力PMSポイント、ヒューマンスキルPMSポイントそれぞれに対して、PMSレベルを判定するうえでの重要度に合わせて予め設定される。図8の例によれば、実績PMSポイントには例えば重み係数「0.5」が設定されてよい。また、図8の例によれば、知識/実践力PMSポイントには例えば重み係数「0.2」が設定されてよい。また、図8の例によれば、ヒューマンスキルPMSポイントには例えば重み係数「0.3」が設定されてよい。
【0116】
そして、係る例によれば、判定部134は、重み係数「0.5」を用いて実績PMSポイントに重み付けし、重み係数「0.2」を用いて知識/実践力PMSポイントに重み付けし、重み係数「0.3」を用いてヒューマンスキルPMSポイントに重み付けし、重み付けした後の各PMSポイントを足し合わせることで、PMS総合ポイントを算出する。
【0117】
次に、判定部134は、算出したPMS総合ポイントをPMSレベルに換算することで、利用者のPM能力はどの程度のレベルにあるかPMSレベルを判定する。例えば、判定部134は、図8に示すようなレベル換算表を用いて、PMS総合ポイントをPMSレベルに換算することができる。
【0118】
図8に示すレベル換算表によれば、判定部134は、「0.0」~「1.5」の間でPMS総合ポイントを算出した場合には、PMSレベル「1」として換算することができるとともに、PMSレベル「1」の利用者は人材像「素養人材」と判定することができる。また、判定部134は、「1.5」~「2.2」の間でPMS総合ポイントを算出した場合には、PMSレベル「2」として換算することができるとともに、PMSレベル「2」の利用者は人材像「準戦力人材」と判定することができる。また、判定部134は、「2.2」~「2.8」の間でPMS総合ポイントを算出した場合には、PMSレベル「3」として換算することができるとともに、PMSレベル「3」の利用者は人材像「即戦力人材」と判定することができる。
【0119】
また、判定部134は、「2.8」~「3.5」の間でPMS総合ポイントを算出した場合には、PMSレベル「4」として換算することができるとともに、PMSレベル「4」の利用者は人材像「中核人材」と判定することができる。また、判定部134は、「3.5」~でPMS総合ポイントを算出した場合には、PMSレベル「5」として換算することができるとともに、PMSレベル「5」の利用者は人材像「高度人材」と判定することができる。
【0120】
〔6-2.実績PMSポイント算出ロジック〕
次に、図9を用いて、実績PMSポイントの算出ロジックについて説明する。図9は、実績PMSポイント算出ロジックの一例を示す図である。ここで説明するロジックで算出された実績PMSポイントが、図8のPM能力判定ロジックに用いられる。
【0121】
図9では、図3の例に倣って、利用者U11が、プロジェクトPJ111、PJ♯112、PJ♯113、PJ♯114およびPJ♯115(プロジェクトPJ♯111~PJ♯115)に参画したことに応じて、第1のアンケートとして与えられた各設問に回答するよう情報入力した例を用いて説明する。係る例によれば、判定装置100は、利用者U11が参画したプロジェクトに関する実績情報として、例えば、利用者U11が参画したプロジェクトPJ♯111~PJ♯115それぞれの特徴を示す特徴情報(プロジェクトプロフィール)や、プロジェクトPJ♯111~PJ♯115それぞれでの利用者U11の業務経歴(個人プロフィール)を示す経歴情報を取得する。
【0122】
このような状態において、評価部133は、利用者U11が参画したプロジェクトごとに、実績PMSポイントの元となるPMSポイントを算出する。具体的には、評価部133は、プロジェクトPJ♯111~PJ♯115それぞれについて、対応する実績情報に基づいて、実績PMSポイントに元となるPMSポイントを算出する。この点について、以下では、プロジェクトPJ♯111に着目して説明する。
【0123】
まず、評価部133は、プロジェクトPJ♯111についての利用者U11の回答と、図6の得点パターン表とを照らし合わせることで、回答に対応する第1得点を算出する。プロジェクトPJ♯111では利用者U11は、立て直し目的で途中参加したのではなく、開始当初からプロジェクトPJ♯111に参画している。したがって、評価部133は、目標達成状況(収支)に応じた、通常の得点判定を行う。
【0124】
例えば、評価部133は、得点パターン表に対して、目標達成状況(収支)「営業利益目標達成」、役割(離任時)「TL」、プロジェクト規模「10億以上~50億未満」を当てはめることで、この回答に対応する第1得点を判定する。図6でも説明したように、評価部133は、得点パターン表に対して、目標達成状況(収支)「営業利益目標達成」、役割(離任時)「TL」、プロジェクト規模「10億以上~50億未満」を当てはめることで、第1得点「1.40」を算出することができる。
【0125】
このように、第1得点の判定では、目標達成状況(収支)、プロジェクト規模、役割(離任時)、立て直し、といった項目が考慮されることから、第1得点は、プロジェクトの難易度に応じたポイントといえる。
【0126】
また、評価部133は、プロジェクトPJ♯111についての利用者U11の回答に応じて、個別に加算される得点である第2得点を算出する。例えば、評価部133は、利用者の回答のうち、業務経歴(個人プロフィール)を示す回答に応じて、第1得点に対して加算すべき第2得点を算出する。
【0127】
例えば、判定装置100は、個別加算ポイント表を予め有してよく、評価部133は、個別加算ポイント表で定義された内容に従って、第2得点を算出することができる。一例を挙げると、個別加算ポイント表では、開発種別「0.2」、新規顧客「0.3」、新技術「0.2」、複数顧客PGM「0.1」、同一顧客PGM「0.05」、超上流「0.1」といったように、業務経歴に応じたポイントが定義されてよい。そして、係る例によれば、評価部133は、利用者U11がプロジェクトPJ♯111について、プロジェクト種別「開発種別」、新規顧客「1」、新技術「1」と入力していることに従い(図3より)、第2得点「0.7」を算出する。
【0128】
このように、第2得点の判定では、開発種別、新規顧客、新技術、複数顧客PGM、同一顧客PGM、超上流、といった項目が考慮されることから、第2得点は、任務困難性に応じたポイントといえる。
【0129】
続いて、評価部133は、第1得点に対して第2得点を加算することで、PMSポイントを算出する。上記例によれば、評価部133は、第1得点「1.40」と第2得点「0.7」とを加算して、PMSポイント「2.10」を算出する。ここで、評価部133は、着任期間や参加工程に応じた重み係数を用いて、PMSポイントに対して重み付けしてもよい。すなわち、評価部133は、着任期間や参加工程をさらに考慮して、実績PMSポイントを算出してもよい。
【0130】
ここまで、プロジェクトPJ♯111に着目して、実績PMSポイントの元となるPMSポイントが算出される例を示したが、PJ♯112、PJ♯113、PJ♯114およびPJ♯115それぞれについても同様の手法でPMSポイントが算出される。
【0131】
評価部133は、プロジェクトPJ♯111~PJ♯115それぞれについてPMSポイントを算出すると、例えば、値の大きい上位所定数のPMSポイントに基づいて、プロジェクトPJ♯111~PJ♯115に対応する1つの実績PMSポイントを算出する。例えば、評価部133は、値の大きい上位所定数のPMSポイントを足し合わせて平均することにより、実績PMSポイントを算出する。
【0132】
〔6-3.知識/実践力PMSポイント算出ロジック〕
次に、図10を用いて、知識/実践力PMSポイントの算出ロジックについて説明する。図10は、知識/実践力PMSポイント算出ロジックの一例を示す図である。ここで説明するロジックで算出された知識/実践力PMSポイントが、図8のPM能力判定ロジックに用いられる。
【0133】
図10では、図4の例に倣って、利用者U11が、プロジェクト規模(「5千万未満」、「5千万以上~2億未満」、「2億以上」)ごとに、当該プロジェクト規模に応じたマネジメント能力(具体的には、レビューマネジメント、課題マネジメント、コストマネジメント、調達マネジメント、資源マネジメントという5つマネジメント能力)を自己採点した例を用いて説明する。係る例によれば、判定装置100は、利用者U11が参画したプロジェクトに関する実績情報として、例えば、利用者U11が参画したプロジェクトの規模ごとに当該規模に応じたマネジメント能力が採点された採点結果を取得する。
【0134】
このような状態において、評価部133は、プロジェクトの規模ごとに当該規模に応じたマネジメント能力が採点された採点結果に基づいて、知識/実践力PMSポイントの元となる総合得点を算出する。具体的には、評価部133は、「5千万未満」、「5千万以上~2億未満」、「2億以上」、といったプロジェクト規模それぞれについて、各マネジメント能力が採点された採点結果から総合得点を算出する。以下では、能力カテゴリで分類される上記5つのマネジメント能力のうち、レビューマネジメントに着目して説明する。
【0135】
まず、図10の例によれば、判定装置100は、「5千万未満」規模のプロジェクト、「5千万以上~2億未満」規模のプロジェクト、「2億以上」規模のプロジェクトそれぞれについて、レビューマネジメント能力が採点された採点結果を取得する。例えば、判定装置100は、「5千万未満」規模のプロジェクトでのレビューマネジメント能力が採点された採点結果として「5点」、「5千万以上~2億未満」規模のプロジェクトでのレビューマネジメント能力が採点された採点結果として「3点」、「2億以上」規模のプロジェクトでのレビューマネジメント能力が採点された採点結果として「1点」を取得したものとする。
【0136】
そうすると、評価部133は、所定の重み係数での重み付けにより採点結果を補正する。ここで、図4の例によれば、能力カテゴリ「レビューマネジメント」には難易度「中」が対応付けられている。また、図4で説明したように、難易度「高」には難易度係数「1.0」、難易度「中」には難易度係数「0.9」といった重み付けのための難易度係数が予め定められているとする。
【0137】
係る場合、評価部133は、難易度係数「0.5」を用いて、「5千万未満」規模のプロジェクトでの採点結果「5点」を「4.5」に補正する。また、評価部133は、難易度係数「0.5」を用いて、「5千万以上~2億未満」規模のプロジェクトでの採点結果「3点」を「2.7」に補正する。また、評価部133は、難易度係数「0.5」を用いて、「2億以上」規模のプロジェクトでの採点結果「1点」を「0.9」に補正する。
【0138】
次に、評価部133は、補正後の採点結果に基づいて、レビューマネジメントに対応する総合得点を算出する。具体的には、評価部133は、補正後の採点結果「4.5」、「2.7」および「0.9」を合計して平均することで、難易度が考慮された総合得点を算出する。すなわち、評価部133は、総合得点「1.9」を算出する。
【0139】
ここまで、レビューマネジメントに着目して、知識/実践力PMSポイントの元となる総合得点が算出される例を示したが、課題マネジメント、コストマネジメント、調達マネジメントおよび資源マネジメントそれぞれについても同様の手法で総合得点が算出される。
【0140】
評価部133は、レビューマネジメント、課題マネジメント、コストマネジメント、調達マネジメント、資源マネジメントそれぞれについて総合得点を算出すると、算出した各総合得点に基づいて、1つの知識/実践力PMSポイントを算出する。例えば、評価部133は、各総合得点を足し合わせて平均することにより、知識/実践力PMSポイントを算出する。
【0141】
なお、図10では、評価部133が、難易度係数を用いて採点結果を補正する例を示した。しかし、評価部133は、規模係数を用いて採点結果を補正してもよい。係る場合、プロジェクト規模ごとに当該規模に応じた値の規模係数が予め定められてよい。一例を示すと、プロジェクト規模「5千万未満」には規模係数「1/9」、プロジェクト規模「5千万以上~2億未満」には規模係数「3/9」、プロジェクト規模「2億以上」には規模係数「5/9」といった重み付けのための規模係数が予め定められてよい。また、評価部133は、難易度係数および規模係数の双方を用いて採点結果を補正することもできる。
【0142】
〔6-4.ヒューマンスキルPMSポイント算出ロジック〕
次に、図11を用いて、ヒューマンスキルPMSポイントの算出ロジックについて説明する。図11は、ヒューマンスキルPMSポイント算出ロジックの一例を示す図である。ここで説明するロジックで算出されたヒューマンスキルPMSポイントが、図8のPM能力判定ロジックに用いられる。
【0143】
図11では、図5の例に倣って、利用者U11が、要件詳細で示されるヒューマンスキル(例えば、率先して行動するスキル、迅速に意思決定するスキル、リスクや状況の変化に備えるスキル等)を自己採点した例を用いて説明する。係る例によれば、判定装置100は、各ヒューマンスキルについて、レベル5定義、レベル3定義、レベル1定義に基づき利用者U11が採点した採点結果を取得する。なお、図11には、ヒューマンスキルとして、率先して行動するスキル、迅速に意思決定するスキル、リスクや状況の変化に備えるスキルの3スキルが例示されているが、ヒューマンスキルPMSポイントの算出に用いられるスキル項目は係る例に限定されない。
【0144】
このような状態において、評価部133は、各ヒューマンスキルについて基準に対して利用者U11がどの程度の能力レベルにあるか採点された採点結果に基づいて、ヒューマンスキルPMSポイントを算出する。例えば、図11の例では、判定装置100は、率先して行動するスキル「5点」、迅速に意思決定するスキル「3点」、リスクや状況の変化に備えるスキル「3点」を取得したものとする。
【0145】
そうすると、評価部133は、採点結果「5」、「3」および「3」を合計して平均することで、ヒューマンスキルPMSポイントを算出する。
【0146】
〔7.処理手順〕
続いて、図12を用いて、判定装置100によって行われる判定処理の手順について説明する。図12は、実施形態に係る判定処理手順を示すフローチャートである。
【0147】
まず、提供部131は、アンテート表を提出するタイミングであるか否かを判定する(ステップS101)。提供部131は、アンテート表を提出するタイミングでないと判定している間は(ステップS101;No)、アンテート表を提出するタイミングになったと判定できるまで待機する。
【0148】
一方、提供部131は、アンケート表を提供するタイミングになったと判定した場合には(ステップS101;Yes)、例えば、第1のアンケート、第2のアンケートおよび第3のアンケートで構成されるアンケート表を、提供要求した要求元の利用者に提供する(ステップS102)。
【0149】
次に、回答受付部132は、アンケート表で与えられる設問に対する回答を利用者から受け付けたか否かを判定する(ステップS103)。回答受付部132は、回答を受け付けていないと判定している間は(ステップS103;No)、回答を受け付けたと判定できるまで待機する。
【0150】
一方、評価部133は、回答を受け付けたと判定された場合には(ステップS103;Yes)、受け付けられた回答に基づいて、評価値算出処理を実行する(ステップS104)。例えば、評価部133は、利用者から受け付けられた回答に基づいて、実績PMSポイント(貢献度を評価する評価値)と、知識/実践力PMSポイント(実践力を評価する評価値)と、ヒューマンスキルPMSポイント(ヒューマンスキルを評価する評価値)とを算出する。例えば、評価部133は、図9図11で説明した各算出ロジックに従って、各評価値を算出することができる。
【0151】
次に、判定部134は、評価部133により算出された各評価値から総合的にPM能力を判定する(ステップS105)。例えば、判定部134は、実績PMSポイントと、知識/実践力PMSポイントと、ヒューマンスキルPMSポイントとを足し合わせた総合的なポイント(PMS総合ポイント)をレベル換算することにより、利用者のPM能力はどの程度のレベルにあるかレベル判定する。例えば、判定部134は、図8で説明した判定ロジックに従って、PM能力を判定することができる。
【0152】
続いて、結果制御部135は、結果に応じた制御を行う。例えば、結果制御部135は、評価部133による評価結果や、判定部134による判定結果に応じたコンテンツが自己診断結果として示されるシート(自己診断結果シート)を生成する(ステップS106)。そして、結果制御部135は、生成したシートを利用者に提供する(ステップS107)。
【0153】
〔8.変形例〕
上記実施形態では、クラウド側に存在する判定装置100によって判定処理が行われる例を示した。しかし、判定処理は、エッジ側の端末装置10によって行われてもよい。また、端末装置10は、所謂、スタンドアロンで判定処理を行ってもよい。また、このような場合、端末装置10には、実施形態に係る判定プログラムが搭載されてよい。
【0154】
〔9.ハードウェア構成〕
次に、実施形態に係る判定装置100のハードウェア構成例について説明する。図13は、実施形態に係る判定装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。図13を参照すると、判定装置100は、例えば、プロセッサ801と、ROM802と、RAM803と、ホストバス804と、ブリッジ805と、外部バス806と、インターフェース807と、入力装置808と、出力装置809と、ストレージ810と、ドライブ811と、接続ポート812と、通信装置813と、を有する。なお、ここで示すハードウェア構成は一例であり、構成要素の一部が省略されてもよい。また、ここで示される構成要素以外の構成要素をさらに含んでもよい。
【0155】
(プロセッサ801)
プロセッサ801は、例えば、演算処理装置または制御装置として機能し、ROM802、RAM803、ストレージ810、またはリムーバブル記録媒体901に記録された各種プログラムに基づいて各構成要素の動作全般またはその一部を制御する。
【0156】
(ROM802、RAM803)
ROM802は、プロセッサ801に読み込まれるプログラムや演算に用いるデータなどを格納する手段である。RAM803には、例えば、プロセッサ801に読み込まれるプログラムや、そのプログラムを実行する際に適宜変化する各種パラメータなどが一時的または永続的に格納される。
【0157】
(ホストバス804、ブリッジ805、外部バス806、インターフェース807)
プロセッサ801、ROM802、RAM803は、例えば、高速なデータ伝送が可能なホストバス804を介して相互に接続される。一方、ホストバス804は、例えば、ブリッジ805を介して比較的データ伝送速度が低速な外部バス806に接続される。また、外部バス806は、インターフェース807を介して種々の構成要素と接続される。
【0158】
(入力装置808)
入力装置808には、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、およびレバーなどが用いられる。さらに、入力装置808としては、赤外線やその他の電波を利用して制御信号を送信することが可能なリモートコントローラ(以下、リモコン)が用いられることもある。また、入力装置808には、マイクロフォンなどの音声入力装置が含まれる。
【0159】
(出力装置809)
出力装置809は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD、または有機ELなどのディスプレイ装置、スピーカ、ヘッドホンなどのオーディオ出力装置、プリンタ、携帯電話、またはファクシミリなど、取得した情報を利用者に対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置である。また、本実施形態に係る出力装置809は、触覚刺激を出力することが可能な種々の振動デバイスを含む。
【0160】
(ストレージ810)
ストレージ810は、各種のデータを格納するための装置である。ストレージ810としては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)などの磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイスなどが用いられる。
【0161】
(ドライブ811)
ドライブ811は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体901に記録された情報を読み出し、またはリムーバブル記録媒体901に情報を書き込む装置である。
【0162】
(接続ポート812)
接続ポート812は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)、RS-232Cポート、または光オーディオ端子などのような外部接続機器902を接続するためのポートである。
【0163】
(通信装置813)
通信装置813は、ネットワークに接続するための通信デバイスであり、例えば、有線または無線LAN、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または各種通信用のモデムなどである。
【0164】
(リムーバブル記録媒体901)
リムーバブル記録媒体901は、例えば、DVDメディア、Blu-ray(登録商標)メディア、HD DVDメディア、各種の半導体記憶メディアなどである。もちろん、リムーバブル記録媒体901は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード、または電子機器などであってもよい。
【0165】
(外部接続機器902)
外部接続機器902は、例えば、プリンタ、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、またはICレコーダなどである。
【0166】
なお、実施形態に係る記憶部120は、ROM802やRAM803、ストレージ810によって実現される。また、プロセッサ801によって実現される実施形態に係る制御部130が、提供部131と、回答受付部132と、評価部133と、判定部134と、結果制御部135とを実現する各制御プログラム(例えば、実施形態に係る判定プログラム)を、ROM802やRAM803などから読み出し実行する。
【0167】
〔10.その他〕
上記した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、手動的に行われてもよい。また、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部は、公知の方法で自動的に行われてもよい。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られるものではない。
【0168】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されなくともよい。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られない。また、各構成要素は、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成してもよい。また、上記してきた各処理は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実行されてもよい。
【0169】
以上、本願の実施形態をいくつかの図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0170】
1 判定システム
10 端末装置
100 判定装置
120 記憶部
121 第1アンケート情報データベース
122 第2アンケート情報データベース
123 第3アンケート情報データベース
124 得点パターン表データベース
125 診断結果データベース
130 制御部
131 提供部
132 回答受付部
133 評価部
134 判定部
135 結果制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13