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特開2022-188937自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188937
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B63H 21/21 20060101AFI20221215BHJP
   B63C 9/00 20060101ALI20221215BHJP
   G05D 1/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B63H21/21
B63C9/00 Z
G05D1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097231
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】白尾 真人
(72)【発明者】
【氏名】秋田 まり乃
(72)【発明者】
【氏名】神谷 隆史
(72)【発明者】
【氏名】岡本 順敬
(72)【発明者】
【氏名】村山 卓弥
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA04
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD06
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG17
(57)【要約】
【課題】自動操船モード時に通信装置の操作者の要求に応じて船舶の速度を適切に制御する。
【解決手段】自動操船システムは船舶と通信装置とを備え、船舶は、船舶の推進力を発生する機能と舵部としての機能とを有するアクチュエータと、アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける第1操作部と、少なくとも第1操作部が受け付けた入力操作に基づいてアクチュエータを作動させる船舶制御装置とを備え、船舶制御装置は、第1操作部が受け付けた入力操作に基づいてアクチュエータを作動させる手動操船モードと、第1操作部が入力操作を受け付ける必要なくアクチュエータを作動させる自動操船モードとを有し、通信装置は、アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける第2操作部を備え、船舶制御装置は、自動操船モードにおいてアクチュエータを作動させて船舶を通信装置に近づける場合に、第2操作部が受け付けた入力操作に基づいて船舶の速度を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶と通信装置とを備える自動操船システムであって、
前記船舶は、
前記船舶の推進力を発生する機能と舵部としての機能とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける第1操作部と、
少なくとも前記第1操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる船舶制御装置とを備え、
前記船舶制御装置は、
前記第1操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる手動操船モードと、
前記第1操作部が入力操作を受け付ける必要なく前記アクチュエータを作動させる自動操船モードとを有し、
前記通信装置は、前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける第2操作部を備え、
前記船舶制御装置は、
前記自動操船モードにおいて、前記アクチュエータを作動させて、前記船舶を前記通信装置に近づける場合に、
前記第2操作部が受け付けた入力操作に基づいて、前記船舶の速度を制御する、
自動操船システム。
【請求項2】
前記第2操作部には、前記船舶の速度を増加させる入力操作を受け付ける速度増加スイッチと、前記船舶の速度を減少させる入力操作を受け付ける速度減少スイッチとが含まれる、
請求項1に記載の自動操船システム。
【請求項3】
前記第2操作部には、前記船舶の速度を増加または減少させる入力操作を受け付ける速度変更レバーが含まれる、
請求項1に記載の自動操船システム。
【請求項4】
前記第2操作部には、前記船舶の速度を増加または減少させる音声入力操作を受け付ける音声入力操作部が含まれる、
請求項1に記載の自動操船システム。
【請求項5】
前記第2操作部には、前記船舶の速度設定操作を受け付ける速度設定操作部が含まれ、
前記速度設定操作部は、
前記通信装置の振動を検出する振動検出部と、
前記振動検出部によって検出された前記通信装置の振動の周期または周波数に基づいて、前記船舶の速度設定値を算出する速度設定値算出部とを備える、
請求項1に記載の自動操船システム。
【請求項6】
前記第2操作部には、前記船舶の速度設定操作を受け付ける速度設定操作部が含まれ、
前記速度設定操作部は、
前記通信装置にかかる圧力を検出する圧力検出部と、
前記圧力検出部によって検出された前記通信装置にかかる圧力に基づいて、前記船舶の速度設定値を算出する速度設定値算出部とを備える、
請求項1に記載の自動操船システム。
【請求項7】
船舶の推進力を発生する機能と舵部としての機能とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける第1操作部とを備える前記船舶に備えられる船舶制御装置であって、
前記船舶制御装置は、
前記第1操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる手動操船モードと、
前記第1操作部が入力操作を受け付ける必要なく前記アクチュエータを作動させる自動操船モードとを有し、
前記船舶制御装置は、
前記自動操船モードにおいて、前記アクチュエータを作動させて、前記船舶を通信装置に近づける場合に、
前記通信装置に備えられている第2操作部が受け付けた入力操作に基づいて、前記船舶の速度を制御する、
船舶制御装置。
【請求項8】
船舶の推進力を発生する機能と舵部としての機能とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける第1操作部とを備える前記船舶を制御する船舶制御方法であって、
少なくとも前記第1操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる船舶制御ステップを備え、
前記船舶制御ステップには、
前記第1操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる手動操船ステップと、
前記第1操作部が入力操作を受け付ける必要なく前記アクチュエータを作動させる自動操船ステップとが含まれ、
前記自動操船ステップでは、
前記アクチュエータを作動させて、前記船舶が通信装置に近づけられる場合に、
前記通信装置に備えられている第2操作部が受け付けた入力操作に基づいて、前記船舶の速度が制御される、
船舶制御方法。
【請求項9】
船舶の推進力を発生する機能と舵部としての機能とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける第1操作部とを備える前記船舶に搭載されたコンピュータに、
少なくとも前記第1操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる船舶制御ステップを実行させるためのプログラムであって、
前記船舶制御ステップには、
前記第1操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる手動操船ステップと、
前記第1操作部が入力操作を受け付ける必要なく前記アクチュエータを作動させる自動操船モードとが含まれ、
前記自動操船モードでは、
前記アクチュエータを作動させて、前記船舶が通信装置に近づけられる場合に、
前記通信装置に備えられている第2操作部が受け付けた入力操作に基づいて、前記船舶の速度が制御される、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パーソナルウォータークラフト(PWC)オートリターンシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載されたPWCオートリターンシステムは、ユーザデバイスと、PWC内に配置されたオートパイロットユニットとを備えている。ユーザデバイスは、乗船者位置決定ユニットと、ユーザインタフェースと、通信ユニットとを備えている。特許文献1に記載された技術では、ユーザデバイスを携帯する乗船者がPWCから離れる(落水する)と、PWCが、ユーザインタフェースからの要求を受信し、自動操船によってユーザデバイスの位置まで進む。
ところで、特許文献1には、自動操船時におけるPWCの速度について記載されていない。自動操船時に、PWCの速度が適切に制御されない場合には、ユーザデバイスを携帯する落水者がいる位置にPWCを適切に移動できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0335780号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した問題点に鑑み、本発明は、自動操船モード時に通信装置の操作者の要求に応じて船舶の速度を適切に制御することができる自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、船舶と通信装置とを備える自動操船システムであって、前記船舶は、前記船舶の推進力を発生する機能と舵部としての機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける第1操作部と、少なくとも前記第1操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる船舶制御装置とを備え、前記船舶制御装置は、前記第1操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる手動操船モードと、前記第1操作部が入力操作を受け付ける必要なく前記アクチュエータを作動させる自動操船モードとを有し、前記通信装置は、前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける第2操作部を備え、前記船舶制御装置は、前記自動操船モードにおいて、前記アクチュエータを作動させて、前記船舶を前記通信装置に近づける場合に、前記第2操作部が受け付けた入力操作に基づいて、前記船舶の速度を制御する、自動操船システムである。
【0006】
本発明の一態様は、船舶の推進力を発生する機能と舵部としての機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける第1操作部とを備える前記船舶に備えられる船舶制御装置であって、前記船舶制御装置は、前記第1操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる手動操船モードと、前記第1操作部が入力操作を受け付ける必要なく前記アクチュエータを作動させる自動操船モードとを有し、前記船舶制御装置は、前記自動操船モードにおいて、前記アクチュエータを作動させて、前記船舶を通信装置に近づける場合に、前記通信装置に備えられている第2操作部が受け付けた入力操作に基づいて、前記船舶の速度を制御する、船舶制御装置である。
【0007】
本発明の一態様は、船舶の推進力を発生する機能と舵部としての機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける第1操作部とを備える前記船舶を制御する船舶制御方法であって、少なくとも前記第1操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる船舶制御ステップを備え、前記船舶制御ステップには、前記第1操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる手動操船ステップと、前記第1操作部が入力操作を受け付ける必要なく前記アクチュエータを作動させる自動操船ステップとが含まれ、前記自動操船ステップでは、前記アクチュエータを作動させて、前記船舶が通信装置に近づけられる場合に、前記通信装置に備えられている第2操作部が受け付けた入力操作に基づいて、前記船舶の速度が制御される、船舶制御方法である。
【0008】
本発明の一態様は、船舶の推進力を発生する機能と舵部としての機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける第1操作部とを備える前記船舶に搭載されたコンピュータに、少なくとも前記第1操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる船舶制御ステップを実行させるためのプログラムであって、前記船舶制御ステップには、前記第1操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる手動操船ステップと、前記第1操作部が入力操作を受け付ける必要なく前記アクチュエータを作動させる自動操船モードとが含まれ、前記自動操船モードでは、前記アクチュエータを作動させて、前記船舶が通信装置に近づけられる場合に、前記通信装置に備えられている第2操作部が受け付けた入力操作に基づいて、前記船舶の速度が制御される、プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動操船モード時に通信装置の操作者の要求に応じて船舶の速度を適切に制御することができる自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の自動操船システムの一例を概略的に示す図である。
図2】通信装置を携帯して船舶から落水した落水者による自動操船開始要求が船舶から通信装置に送信された場合における第1実施形態の自動操船システムの船舶制御装置の自動操船モードの制御の一例を説明するための図である。
図3】第1実施形態の自動操船システムの船舶制御装置が手動操船モードと自動操船モードとの切り替えを実行するために行われる処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図4】船舶の落水検知部が落水を検知した場合に第1実施形態の自動操船システムにおいて実行される処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
図5】第2実施形態の自動操船システムの一例を概略的に示す図である。
図6】第3実施形態の自動操船システムの一例を概略的に示す図である。
図7】第4実施形態の自動操船システムの一例を概略的に示す図である。
図8】第5実施形態の自動操船システムの一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、本発明の自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第1実施形態について説明する。
【0012】
図1は第1実施形態の自動操船システム1の一例を概略的に示す図である。
図1に示す例では、自動操船システム1が、船舶11と、通信装置12とを備えている。
第1実施形態の船舶11は、例えば特許第5196649号公報の図1に記載されたパーソナルウォータークラフト(PWC、水上オートバイ)が有する機能と同様の機能を有するPWCである。船舶11は、アクチュエータ11Aと、操作部11Bと、船舶制御装置11Cと、トリガー発生部11Dと、船舶位置検出部11Eと、船首方位検出部11Fと、通信部11Gとを備えている。
アクチュエータ11Aは、船舶11の推進力を発生する機能と舵部としての機能とを有する。アクチュエータ11Aには、例えば特開2019-171925号公報の図1に記載されたエンジン、ノズル、デフレクタ、トリムアクチュエータ、バケット、バケットアクチュエータなどが含まれる。
操作部11Bは、アクチュエータ11Aを作動させる操船者の入力操作を受け付ける。操作部11Bは、例えば特許第5196649号公報の図1に記載されたステアリングハンドル装置、特開2019-171925号公報の図1に記載されたステアリングユニットなどと同様に構成されている。
船舶制御装置11Cは、操作部11Bが受け付けた操船者の入力操作に基づいてアクチュエータ11Aを作動させる制御などを行う。船舶制御装置11Cは、操作部11Bが受け付けた操船者の入力操作に基づいてアクチュエータ11Aを作動させる手動操船モードと、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なくアクチュエータ11Aを作動させる自動操船モードとを有する。
【0013】
トリガー発生部11Dは、船舶制御装置11Cを手動操船モードから自動操船モードに切り替えるためのトリガーを発生する。トリガー発生部11Dは、落水検知部11D1と、自動操船開始指示部11D2と、自動操船開始操作部11D3とを備えている。
落水検知部11D1は、船舶11の乗船者(例えば操船者、操船者以外の乗船者など)の落水を検知する。第1実施形態の落水検知部11D1は、例えば特許第4205261号公報の段落0002に記載されたランヤードコードおよびスイッチと同様に構成されている。具体的には、ランヤードコードの一端が、落水の検知対象者(例えば操船者、操船者以外の乗船者など)に接続される。ランヤードコードの他端は、船舶11内に配置されたスイッチ(図示せず)に接続される。
検知対象者が船舶11から落水すると、ランヤードコードの他端がスイッチから外れ、スイッチが検知対象者の落水を検知する。
【0014】
自動操船開始指示部11D2は、通信装置12から送信された自動操船開始要求、または、船舶11の操船者による自動操船開始要求に基づいて自動操船開始指示を出力する。
自動操船開始操作部11D3は、船舶11の操船者による自動操船開始要求(詳細には、乗船中の操船者による自動操船開始要求)を受け付ける。
自動操船開始指示部11D2によって出力される自動操船開始指示は、船舶制御装置11Cを手動操船モードから自動操船モードに切り替えるためのトリガーとして機能する。
つまり、自動操船開始指示部11D2が自動操船開始指示を出力すると、船舶制御装置11Cは、手動操船モードから、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なくアクチュエータ11Aを作動させる自動操船モードに切り替わる。船舶制御装置11Cは、自動操船モードにおいて、例えば船舶11の位置と通信装置12の位置と船舶11の船首方位とに基づいて、アクチュエータ11Aを制御する。
他の例では、トリガー発生部11Dが、自動操船開始指示部11D2を備えていなくてもよい。この例では、落水検知部11D1が船舶11の乗船者の落水を検知すると、トリガー発生部11Dがトリガーを発生し、船舶制御装置11Cが、手動操船モードから自動操船モードに切り替わる。
【0015】
図1に示す例では、船舶位置検出部11Eが、船舶11の位置を検出する。船舶位置検出部11Eは、例えばGPS(Global Positioning System)装置を備えている。GPS装置は、複数のGPS衛星からの信号を受信することによって、船舶11の位置座標を算出する。船舶位置検出部11Eによって検出された船舶11の位置は、上述した船舶制御装置11Cの自動操船モードの制御に用いられる。
船首方位検出部11Fは、船舶11の船首方位を検出する。船首方位検出部11Fは、例えば方位センサを備えている。方位センサは、例えば地磁気を利用することによって、船舶11の船首方位を算出する。船首方位検出部11Fによって検出された船舶11の船首方位は、船舶制御装置11Cの自動操船モードの制御に用いられる。
他の例では、方位センサが、高速回転するジャイロスコープに指北装置と制振装置とを付加し、常に北を示すようにした装置(ジャイロコンパス)であってもよい。
更に他の例では、方位センサが、複数のGPSアンテナを備え、複数のGPSアンテナの相対的な位置関係から船首方位を算出するGPSコンパスであってもよい。
【0016】
図1に示す例では、通信部11Gが、通信装置12との通信を行う。
通信装置12は、上述した落水の検知対象者(乗船者)によって携帯される。通信装置12は、通信装置位置検出部12Aと、通信部12Bと、操作部12Cとを備えている。
通信装置位置検出部12Aは通信装置12の位置を検出する。通信装置位置検出部12Aは、例えばGPS装置を備えている。GPS装置は、複数のGPS衛星からの信号を受信することによって、通信装置12の位置座標を算出する。
操作部12Cは、例えば船舶11の操船者による入力操作(例えば、通信装置12を携帯して船舶11から落水した操船者による入力操作)を受け付ける。詳細には、操作部12Cは、船舶制御装置11Cの自動操船モード時に船舶11のアクチュエータ11Aを作動させる入力操作などを受け付ける。操作部12Cは、自動操船開始操作部12C1と、速度変更操作部12C2とを備えている。
自動操船開始操作部12C1は、例えば船舶11の操船者による自動操船開始要求(例えば、通信装置12を携帯して船舶11から落水した操船者による自動操船開始要求)を受け付ける。
速度変更操作部12C2は、船舶制御装置11Cの自動操船モード時に船舶11の速度を変更する入力操作を受け付ける。速度変更操作部12C2には、速度増加スイッチ12C21と、速度減少スイッチ12C22とが含まれる。速度増加スイッチ12C21は、船舶制御装置11Cの自動操船モード時に船舶11の速度を増加させる入力操作を受け付ける。速度減少スイッチ12C22は、船舶制御装置11Cの自動操船モード時に船舶11の速度を減少させる入力操作を受け付ける。
【0017】
図1に示す例では、速度増加スイッチ12C21に対する入力操作が1回行われると、船舶11の速度が所定値だけ増加させられ、速度増加スイッチ12C21に対する入力操作がN回行われると、船舶11の速度が所定値のN倍だけ増加させられる。また、速度減少スイッチ12C22に対する入力操作が1回行われると、船舶11の速度が所定値だけ減少させられ、速度減少スイッチ12C22に対する入力操作がN回行われると、船舶11の速度が所定値のN倍だけ減少させられる。
つまり、図1に示す例では、船舶11の速度が段階的に増加または減少させられる。
他の例では、速度増加スイッチ12C21に対する入力操作時間(例えば速度増加スイッチ12C21の押し下げ時間など)に比例する速度増加量だけ、船舶11の速度が増加させられ、速度減少スイッチ12C22に対する入力操作時間(例えば速度減少スイッチ12C22の押し下げ時間など)に比例する速度減少量だけ、船舶11の速度が減少させられてもよい。
つまり、この例では、船舶11の速度が無段階的に(リニアに)増加または減少させられる。
更に他の例では、速度変更操作部12C2に、速度増加スイッチ12C21のみが含まれ、速度減少スイッチ12C22が含まれなくてもよい。この例では、速度増加スイッチ12C21に対する入力操作が行われている間に船舶11の速度が増加させられ(つまり、高速になり)、速度増加スイッチ12C21に対する入力操作が行われていない時には、船舶11の速度が減少させられる(つまり、低速になる)。
更に他の例では、速度変更操作部12C2に、速度切替スイッチ(図示せず)のみが備えられてもよい。この例では、速度切替スイッチに対する入力操作が行われる毎に低速と高速との設定が切り替わる。例えば、デフォルトでは(つまり、速度切替スイッチに対する入力操作が1回も行われていない時には)、船舶11の速度が低速になる。
更に他の例では、速度変更操作部12C2に、速度増加スイッチ12C21と、速度減少スイッチ12C22と、停止スイッチ(図示せず)とが含まれてもよい。この例では、停止スイッチに対する入力操作が行われる場合に、速度減少スイッチ12C22に対する入力操作が行われる場合よりも早く船舶11を停止させることができる。
【0018】
図1に示す例では、通信部12Bが、通信装置位置検出部12Aによって検出された通信装置12の位置を示す情報を船舶11に送信する。船舶11の通信部11Gは、通信部12Bによって送信された通信装置12の位置を示す情報を受信する。通信装置位置検出部12Aによって検出された通信装置12の位置は、船舶制御装置11Cの自動操船モードの制御に用いられる。
また、通信部12Bは、操作部12Cの自動操船開始操作部12C1が受け付けた自動操船開始要求を船舶11に送信する。船舶11の通信部11Gは、通信部12Bによって送信された自動操船開始要求を受信する。上述したように、船舶11の自動操船開始指示部11D2は、通信装置12から送信された自動操船開始要求に基づいて自動操船開始指示を出力する。
更に、通信部12Bは、操作部12Cの速度変更操作部12C2が受け付けた入力操作に対応する船舶11の速度変更要求(詳細には、速度増加要求または速度減少要求)を船舶11に送信する。船舶11の通信部11Gは、通信部12Bによって送信された船舶11の速度変更要求を受信する。船舶制御装置11Cは、通信装置12から送信された速度変更要求に基づいて、船舶11の速度を制御する。つまり、船舶制御装置11Cは、通信装置12の速度変更操作部12C2が受け付けた入力操作に基づいて、船舶11の速度を制御する。
【0019】
図2は通信装置12を携帯して船舶11から落水した落水者による自動操船開始要求が船舶11から通信装置12に送信された場合における第1実施形態の自動操船システム1の船舶制御装置11Cの自動操船モードの制御の一例を説明するための図である。
図2に示す例では、船舶11の例えば操船者が、通信装置12を携帯して船舶11から落水する。そのため、落水者(操船者)は、落水者の位置から離れてしまった船舶11を、落水者の位置に近づけるための操作を行う。
具体的には、通信装置12の自動操船開始操作部12C1が、落水者の自動操船開始要求を受け付ける。落水者の自動操船開始要求は、通信装置12の通信部12Bによって船舶11に送信され、船舶11の自動操船開始指示部11D2は、通信装置12から送信された自動操船開始要求に基づいて自動操船開始指示を出力する。その結果、船舶制御装置11Cが、手動操船モードから自動操船モードに切り替わり、船舶制御装置11Cは、船舶11の位置と通信装置12の位置と船舶11の船首方位とに基づくアクチュエータ11Aの制御を開始する。つまり、船舶制御装置11Cは、アクチュエータ11Aを作動させて船舶11を通信装置12に近づける制御を開始する。
【0020】
図2(A)に示すように、船舶11が通信装置12(落水者)から離れている状態では、落水者が、船舶11を落水者の位置に早く近づけるための操作を行う。
具体的には、通信装置12の速度増加スイッチ12C21が、落水者による船舶11の速度を増加させる入力操作を受け付ける。落水者の速度増加要求は、通信装置12の通信部12Bによって船舶11に送信され、船舶制御装置11Cは、落水者の速度増加要求に基づいて、船舶11の速度を増加させる。図2(A)に示す例では、船舶制御装置11Cが船舶11の速度をV1まで増加させる。
図2(B)に示すように、船舶11が通信装置12(落水者)に近づいた状態になると、落水者は、船舶11を減速させる、あるいは、停船させるための操作を行う。
具体的には、通信装置12の速度減少スイッチ12C22が、落水者による船舶11の速度を減少させる入力操作を受け付ける。落水者の速度減少要求は、通信装置12の通信部12Bによって船舶11に送信され、船舶制御装置11Cは、落水者の速度減少要求に基づいて、船舶11の速度を減少させる。図2(B)に示す例では、船舶制御装置11Cが船舶11の速度をV1からV2(≒0)まで減少させる。
【0021】
つまり、図2に示すように、第1実施形態の自動操船システム1では、船舶11の船舶制御装置11Cは、自動操船モードにおいてアクチュエータ11Aを作動させて船舶11を通信装置12に近づける場合に、通信装置12の操作部12Cの速度増加スイッチ12C21、速度減少スイッチ12C22が受け付けた入力操作に基づいて船舶11の速度を制御する。
そのため、第1実施形態の自動操船システム1では、自動操船モード時に通信装置12の操作者(落水者)の要求に応じて船舶11の速度を適切に制御することができる。
上述したように、図2に示す例では、船舶11の速度がV1まで増加させられる。他の例では、船舶11または通信装置12が、自動操船モードにおける船舶11の最高速度を設定する機能を有していてもよい。
【0022】
図3は第1実施形態の自動操船システム1の船舶制御装置11Cが手動操船モードと自動操船モードとの切り替えを実行するために行われる処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図3に示す例では、ステップS1において、例えば船舶制御装置11Cは、落水検知部11D1が落水を検知したか否かを判定する。落水検知部11D1が落水を検知していない場合には、ステップS2に進む。一方、落水検知部11D1が落水を検知した場合には、ステップS3に進む。
【0023】
ステップS2において、例えば船舶制御装置11Cは、自動操船開始操作部11D3が自動操船開始要求を受け付けたか否かを判定する。自動操船開始操作部11D3が自動操船開始要求を受け付けていない場合には、ステップS4に進む。一方、自動操船開始操作部11D3が自動操船開始要求を受け付けた場合には、ステップS5に進む。
ステップS3において、例えば船舶制御装置11Cは、通信装置12の自動操船開始操作部12C1が自動操船開始要求を受け付けたか否かを判定する。自動操船開始操作部12C1が自動操船開始要求を受け付けていない場合には、ステップS4に進む。一方、自動操船開始操作部12C1が自動操船開始要求を受け付けた場合には、ステップS5に進む。
ステップS4では、船舶制御装置11Cが手動操船モードになる。
ステップS5では、船舶制御装置11Cが自動操船モードになる。
【0024】
図4は船舶11の落水検知部11D1が落水を検知した場合に第1実施形態の自動操船システム1において実行される処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
図4に示す例では、ステップS11において、船舶11の落水検知部11D1が、船舶11の乗船者の落水を検知する。
次いで、ステップS12では、通信装置12の自動操船開始操作部12C1が、通信装置12を携帯して船舶11から落水した操船者による自動操船開始要求を受け付ける。
次いで、ステップS13では、通信装置12の通信部12Bが、ステップS12において受け付けられた自動操船開始要求を送信し、船舶11の通信部11Gがその自動操船開始要求を受信する。
次いで、ステップS14では、船舶11の自動操船開始指示部11D2が、その自動操船開始要求に基づいて自動操船開始指示を出力する。
次いで、ステップS15において、船舶11の船舶制御装置11Cは、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なくアクチュエータ11Aを作動させる自動操船モードになる。
【0025】
次いで、ステップS16では、通信装置12の通信装置位置検出部12Aが、通信装置12の位置を検出する。
次いで、ステップS17では、通信装置12の通信部12Bが、ステップS16において検出された通信装置12の位置を示す情報を送信し、船舶11の通信部11Gがその情報を受信する。
また、ステップS18では、船舶11の船舶位置検出部11Eが、船舶11の位置を検出する。
また、ステップS19では、船舶11の船首方位検出部11Fが、船舶11の船首方位を検出する。
【0026】
次いで、ステップS20では、通信装置12の速度増加スイッチ12C21が、船舶11の速度を増加させる入力操作を受け付ける。つまり、速度増加スイッチ12C21が、船舶11の速度増加要求を受け付ける。
次いで、ステップS21では、通信装置12の通信部12Bが、ステップS20において受け付けられた船舶11の速度増加要求を送信し、船舶11の通信部11Gがその速度増加要求を受信する。
次いで、ステップS22では、船舶制御装置11Cが、その速度増加要求に基づいて船舶11の速度を増加させる。
【0027】
次いで、ステップS23では、通信装置12の速度減少スイッチ12C22が、船舶11の速度を減少させる入力操作を受け付ける。つまり、速度減少スイッチ12C22が、船舶11の速度減少要求を受け付ける。
次いで、ステップS24では、通信装置12の通信部12Bが、ステップS23において受け付けられた船舶11の速度減少要求を送信し、船舶11の通信部11Gがその速度減少要求を受信する。
次いで、ステップS25では、船舶制御装置11Cが、その速度減少要求に基づいて船舶11の速度を減少させる。
【0028】
<第2実施形態>
以下、本発明の自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第2実施形態について説明する。
第2実施形態の自動操船システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の自動操船システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様の効果を奏することができる。
【0029】
図5は第2実施形態の自動操船システム1の一例を概略的に示す図である。
図5に示す例では、自動操船システム1が、図1に示す船舶11と同様に構成された船舶11と、通信装置12とを備えている。
通信装置12は、図1に示す通信装置位置検出部12Aと同様に構成された通信装置位置検出部12Aと、図1に示す通信部12Bと同様に構成された通信部12Bと、操作部12Cとを備えている。
操作部12Cは、図1に示す自動操船開始操作部12C1と同様に構成された自動操船開始操作部12C1と、速度変更操作部12C2とを備えている。
速度変更操作部12C2は、船舶制御装置11Cの自動操船モード時に船舶11の速度を変更する入力操作を受け付ける。速度変更操作部12C2には、速度変更レバー12C23が含まれる。速度変更レバー12C23は、船舶11の速度を増加または減少させる入力操作を受け付ける。
【0030】
図5に示す例では、速度変更レバー12C23に対して船舶11の速度を増加させる入力操作(例えば第1の側への速度変更レバー12C23の傾倒操作など)が1回行われると、船舶11の速度が所定値だけ増加させられ、速度変更レバー12C23に対して船舶11の速度を増加させる入力操作がN回行われると、船舶11の速度が所定値のN倍だけ増加させられる。また、速度変更レバー12C23に対して船舶11の速度を減少させる入力操作(例えば第1の側の反対側の第2の側への速度変更レバー12C23の傾倒操作など)が1回行われると、船舶11の速度が所定値だけ減少させられ、速度変更レバー12C23に対して船舶11の速度を減少させる入力操作がN回行われると、船舶11の速度が所定値のN倍だけ減少させられる。
つまり、図5に示す例では、船舶11の速度が段階的に増加または減少させられる。
他の例では、速度変更レバー12C23に対する船舶11の速度を増加させる入力操作時間(例えば第1の側への速度変更レバー12C23の傾倒時間など)に比例する速度増加量だけ、船舶11の速度が増加させられ、速度変更レバー12C23に対する船舶11の速度を減少させる入力操作時間(例えば第2の側への速度変更レバー12C23の傾倒時間など)に比例する速度減少量だけ、船舶11の速度が減少させられてもよい。
つまり、この例では、船舶11の速度が無段階的に(リニアに)増加または減少させられる。
【0031】
図5に示す例では、通信部12Bは、操作部12Cの速度変更操作部12C2が受け付けた入力操作に対応する船舶11の速度変更要求(詳細には、速度増加要求または速度減少要求)を船舶11に送信する。船舶11の通信部11Gは、通信部12Bによって送信された船舶11の速度変更要求を受信する。船舶制御装置11Cは、通信装置12から送信された速度変更要求に基づいて、船舶11の速度を制御する。つまり、船舶制御装置11Cは、通信装置12の速度変更操作部12C2が受け付けた入力操作に基づいて、船舶11の速度を制御する。
【0032】
第2実施形態の自動操船システム1においても、図2(A)に示すように、船舶11が通信装置12(落水者)から離れている状態では、落水者が、船舶11を落水者の位置に早く近づけるための操作を行う。
具体的には、通信装置12の速度変更レバー12C23が、落水者による船舶11の速度を増加させる入力操作を受け付ける。落水者の速度増加要求は、通信装置12の通信部12Bによって船舶11に送信され、船舶制御装置11Cは、落水者の速度増加要求に基づいて、船舶11の速度をV1まで増加させる。
また、第2実施形態の自動操船システム1では、図2(B)に示すように、船舶11が通信装置12(落水者)に近づいた状態になると、落水者は、船舶11を減速させる、あるいは、停船させるための操作を行う。
具体的には、通信装置12の速度変更レバー12C23が、落水者による船舶11の速度を減少させる入力操作を受け付ける。落水者の速度減少要求は、通信装置12の通信部12Bによって船舶11に送信され、船舶制御装置11Cは、落水者の速度減少要求に基づいて、船舶11の速度をV1からV2(≒0)まで減少させる。
【0033】
つまり、第2実施形態の自動操船システム1では、船舶11の船舶制御装置11Cは、自動操船モードにおいてアクチュエータ11Aを作動させて船舶11を通信装置12に近づける場合に、通信装置12の操作部12Cの速度変更レバー12C23が受け付けた入力操作に基づいて船舶11の速度を制御する。
そのため、第2実施形態の自動操船システム1では、自動操船モード時に通信装置12の操作者(落水者)の要求に応じて船舶11の速度を適切に制御することができる。
【0034】
<第3実施形態>
以下、本発明の自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第3実施形態について説明する。
第3実施形態の自動操船システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の自動操船システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様の効果を奏することができる。
【0035】
図6は第3実施形態の自動操船システム1の一例を概略的に示す図である。
図6に示す例では、自動操船システム1が、図1に示す船舶11と同様に構成された船舶11と、通信装置12とを備えている。
通信装置12は、図1に示す通信装置位置検出部12Aと同様に構成された通信装置位置検出部12Aと、図1に示す通信部12Bと同様に構成された通信部12Bと、操作部12Cとを備えている。
操作部12Cは、図1に示す自動操船開始操作部12C1と同様に構成された自動操船開始操作部12C1と、速度変更操作部12C2とを備えている。
速度変更操作部12C2は、船舶制御装置11Cの自動操船モード時に船舶11の速度を変更する入力操作を受け付ける。速度変更操作部12C2には、音声入力操作部12C24が含まれる。音声入力操作部12C24は、船舶11の速度を増加または減少させる音声入力操作を受け付ける。
音声入力操作部12C24は、例えば特許第5630275号公報、特許第5327838号公報などに記載された技術を用いることによって、船舶11の速度を増加または減少させる音声入力操作を受け付ける。具体的には、音声入力操作部12C24は、入力された音声をテキストに変換する機能、テキストの自然言語解析を行う機能などを有する。
他の例では、音声入力操作部12C24が、上述した技術とは異なる技術を用いることによって、船舶11の速度を増加または減少させる音声入力操作を受け付けてもよい。
【0036】
図6に示す例では、通信部12Bは、操作部12Cの速度変更操作部12C2が受け付けた入力操作に対応する船舶11の速度変更要求(詳細には、速度増加要求または速度減少要求)を船舶11に送信する。船舶11の通信部11Gは、通信部12Bによって送信された船舶11の速度変更要求を受信する。船舶制御装置11Cは、通信装置12から送信された速度変更要求に基づいて、船舶11の速度を制御する。つまり、船舶制御装置11Cは、通信装置12の速度変更操作部12C2が受け付けた入力操作に基づいて、船舶11の速度を制御する。
【0037】
第3実施形態の自動操船システム1においても、図2(A)に示すように、船舶11が通信装置12(落水者)から離れている状態では、落水者が、船舶11を落水者の位置に早く近づけるための操作を行う。
具体的には、通信装置12の音声入力操作部12C24が、落水者による船舶11の速度を増加させる入力操作を受け付ける。落水者の速度増加要求は、通信装置12の通信部12Bによって船舶11に送信され、船舶制御装置11Cは、落水者の速度増加要求に基づいて、船舶11の速度をV1まで増加させる。
また、第3実施形態の自動操船システム1では、図2(B)に示すように、船舶11が通信装置12(落水者)に近づいた状態になると、落水者は、船舶11を減速させる、あるいは、停船させるための操作を行う。
具体的には、通信装置12の音声入力操作部12C24が、落水者による船舶11の速度を減少させる入力操作を受け付ける。落水者の速度減少要求は、通信装置12の通信部12Bによって船舶11に送信され、船舶制御装置11Cは、落水者の速度減少要求に基づいて、船舶11の速度をV1からV2(≒0)まで減少させる。
【0038】
つまり、第3実施形態の自動操船システム1では、船舶11の船舶制御装置11Cは、自動操船モードにおいてアクチュエータ11Aを作動させて船舶11を通信装置12に近づける場合に、通信装置12の操作部12Cの音声入力操作部12C24が受け付けた入力操作に基づいて船舶11の速度を制御する。
そのため、第3実施形態の自動操船システム1では、自動操船モード時に通信装置12の操作者(落水者)の要求に応じて船舶11の速度を適切に制御することができる。
【0039】
<第4実施形態>
以下、本発明の自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第4実施形態について説明する。
第4実施形態の自動操船システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様に構成されている。従って、第4実施形態の自動操船システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様の効果を奏することができる。
【0040】
図7は第4実施形態の自動操船システム1の一例を概略的に示す図である。
図7に示す例では、自動操船システム1が、図1に示す船舶11と同様に構成された船舶11と、通信装置12とを備えている。
通信装置12は、図1に示す通信装置位置検出部12Aと同様に構成された通信装置位置検出部12Aと、図1に示す通信部12Bと同様に構成された通信部12Bと、操作部12Cとを備えている。
操作部12Cは、図1に示す自動操船開始操作部12C1と同様に構成された自動操船開始操作部12C1と、速度設定操作部12C3とを備えている。
速度設定操作部12C3は、船舶制御装置11Cの自動操船モード時に船舶11の速度を設定する入力操作を受け付ける。速度設定操作部12C3は、振動検出部12C31と、速度設定値算出部12C32とを備えている。
振動検出部12C31は、通信装置12の振動を検出する。振動検出部12C31は、例えば加速度センサ、速度センサ、変位センサなどを備えている。
速度設定値算出部12C32は、振動検出部12C31によって検出された通信装置12の振動の周期または周波数に基づいて、船舶11の速度設定値を算出する。
例えば、振動検出部12C31によって検出された通信装置12の振動の周波数が高いほど、速度設定値算出部12C32は、船舶11の速度設定値として高い値を算出する。つまり、船舶11を高速で移動させたい場合に、落水者は通信装置12を高速で振動させ、船舶11を低速で移動させたい場合に、落水者は通信装置12を低速で振動させ、船舶11を停船させたい場合に、落水者は通信装置12を振動させない。
【0041】
図7に示す例では、通信部12Bは、操作部12Cの速度設定操作部12C3が受け付けた入力操作に対応する船舶11の速度設定要求(詳細には、速度増加要求、速度維持要求または速度減少要求)を船舶11に送信する。船舶11の通信部11Gは、通信部12Bによって送信された船舶11の速度設定要求を受信する。船舶制御装置11Cは、通信装置12から送信された速度設定要求に基づいて、船舶11の速度を制御する。つまり、船舶制御装置11Cは、通信装置12の速度設定操作部12C3が受け付けた入力操作に基づいて、船舶11の速度を制御する。
【0042】
第4実施形態の自動操船システム1においても、図2(A)に示すように、船舶11が通信装置12(落水者)から離れている状態では、落水者が、船舶11を落水者の位置に早く近づけるための操作を行う。
具体的には、通信装置12の速度設定操作部12C3が、落水者による船舶11の速度を増加させる入力操作(船舶11の速度をV1に設定する入力操作)を受け付ける。落水者の速度増加要求は、通信装置12の通信部12Bによって船舶11に送信され、船舶制御装置11Cは、落水者の速度増加要求に基づいて、船舶11の速度をV1まで増加させる。
また、第4実施形態の自動操船システム1では、図2(B)に示すように、船舶11が通信装置12(落水者)に近づいた状態になると、落水者は、船舶11を減速させる、あるいは、停船させるための操作を行う。
具体的には、通信装置12の速度設定操作部12C3が、落水者による船舶11の速度を減少させる入力操作(船舶11の速度をV2に設定する入力操作)を受け付ける。落水者の速度減少要求は、通信装置12の通信部12Bによって船舶11に送信され、船舶制御装置11Cは、落水者の速度減少要求に基づいて、船舶11の速度をV1からV2(≒0)まで減少させる。
【0043】
つまり、第4実施形態の自動操船システム1では、船舶11の船舶制御装置11Cは、自動操船モードにおいてアクチュエータ11Aを作動させて船舶11を通信装置12に近づける場合に、通信装置12の操作部12Cの速度設定操作部12C3が受け付けた入力操作に基づいて船舶11の速度を制御する。
そのため、第4実施形態の自動操船システム1では、自動操船モード時に通信装置12の操作者(落水者)の要求に応じて船舶11の速度を適切に制御することができる。
【0044】
<第5実施形態>
以下、本発明の自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第5実施形態について説明する。
第5実施形態の自動操船システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様に構成されている。従って、第5実施形態の自動操船システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様の効果を奏することができる。
【0045】
図8は第5実施形態の自動操船システム1の一例を概略的に示す図である。
図8に示す例では、自動操船システム1が、図1に示す船舶11と同様に構成された船舶11と、通信装置12とを備えている。
通信装置12は、図1に示す通信装置位置検出部12Aと同様に構成された通信装置位置検出部12Aと、図1に示す通信部12Bと同様に構成された通信部12Bと、操作部12Cとを備えている。
操作部12Cは、図1に示す自動操船開始操作部12C1と同様に構成された自動操船開始操作部12C1と、速度設定操作部12C3とを備えている。
速度設定操作部12C3は、船舶制御装置11Cの自動操船モード時に船舶11の速度を設定する入力操作を受け付ける。速度設定操作部12C3は、圧力検出部12C33と、速度設定値算出部12C34とを備えている。
圧力検出部12C33は、通信装置12にかかる圧力を検出する。圧力検出部12C33は、例えば荷重センサ、ひずみゲージ、分布型圧力センサなどを備えており、例えば特許第5391695号公報、特許第4956964号公報などに記載された技術と同様の技術を用いることによって、通信装置12にかかる圧力(つまり、落水者が通信装置12を把持する圧力)を検出する。
速度設定値算出部12C34は、圧力検出部12C33によって検出された通信装置12にかかる圧力に基づいて、船舶11の速度設定値を算出する。
例えば、圧力検出部12C33によって検出された通信装置12にかかる圧力が高いほど、速度設定値算出部12C34は、船舶11の速度設定値として高い値を算出する。つまり、船舶11を高速で移動させたい場合に、落水者は通信装置12を強い力で把持し、船舶11を低速で移動させたい場合に、落水者は通信装置12を弱い力で把持し、船舶11を停船させたい場合に、落水者は、通信装置12を把持することなく、例えば手のひら等に載せる。
【0046】
図8に示す例では、通信部12Bは、操作部12Cの速度設定操作部12C3が受け付けた入力操作に対応する船舶11の速度設定要求(詳細には、速度増加要求、速度維持要求または速度減少要求)を船舶11に送信する。船舶11の通信部11Gは、通信部12Bによって送信された船舶11の速度設定要求を受信する。船舶制御装置11Cは、通信装置12から送信された速度設定要求に基づいて、船舶11の速度を制御する。つまり、船舶制御装置11Cは、通信装置12の速度設定操作部12C3が受け付けた入力操作に基づいて、船舶11の速度を制御する。
【0047】
第5実施形態の自動操船システム1においても、図2(A)に示すように、船舶11が通信装置12(落水者)から離れている状態では、落水者が、船舶11を落水者の位置に早く近づけるための操作を行う。
具体的には、通信装置12の速度設定操作部12C3が、落水者による船舶11の速度を増加させる入力操作(船舶11の速度をV1に設定する入力操作)を受け付ける。落水者の速度増加要求は、通信装置12の通信部12Bによって船舶11に送信され、船舶制御装置11Cは、落水者の速度増加要求に基づいて、船舶11の速度をV1まで増加させる。
また、第5実施形態の自動操船システム1では、図2(B)に示すように、船舶11が通信装置12(落水者)に近づいた状態になると、落水者は、船舶11を減速させる、あるいは、停船させるための操作を行う。
具体的には、通信装置12の速度設定操作部12C3が、落水者による船舶11の速度を減少させる入力操作(船舶11の速度をV2に設定する入力操作)を受け付ける。落水者の速度減少要求は、通信装置12の通信部12Bによって船舶11に送信され、船舶制御装置11Cは、落水者の速度減少要求に基づいて、船舶11の速度をV1からV2(≒0)まで減少させる。
【0048】
つまり、第5実施形態の自動操船システム1では、船舶11の船舶制御装置11Cは、自動操船モードにおいてアクチュエータ11Aを作動させて船舶11を通信装置12に近づける場合に、通信装置12の操作部12Cの速度設定操作部12C3が受け付けた入力操作に基づいて船舶11の速度を制御する。
そのため、第5実施形態の自動操船システム1では、自動操船モード時に通信装置12の操作者(落水者)の要求に応じて船舶11の速度を適切に制御することができる。
【0049】
<第6実施形態>
以下、本発明の自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第6実施形態について説明する。
第6実施形態の自動操船システム1は、後述する点を除き、上述した第1から第5実施形態の自動操船システム1と同様に構成されている。従って、第6実施形態の自動操船システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1から第5実施形態の自動操船システム1と同様の効果を奏することができる。
【0050】
上述したように、第1から第5実施形態の船舶11は、例えば特許第5196649号公報の図1に記載されたパーソナルウォータークラフト(PWC、水上オートバイ)が有する機能と同様の機能を有するPWCである。
一方、第6実施形態の船舶11は、例えば特許第6198192号公報の図1に記載された船舶が有する機能と同様の機能を有する船舶である。
第6実施形態の船舶11のアクチュエータ11Aは、船舶11の推進力を発生する機能と舵部としての機能とを有する。アクチュエータ11Aには、例えば特許第6198192号公報の図1に記載された船外機、エンジン、アクチュエータ、シフト機構などが含まれる。
第6実施形態の船舶11の操作部11Bは、アクチュエータ11Aを作動させる操船者の入力操作を受け付ける。操作部11Bは、例えば特許第6198192号公報の図1に記載された操舵輪、リモートコントロール装置、操作レバーなどと同様に構成されている。第6実施形態の船舶11の操作部11Bに、例えばジョイスティックなどが含まれていてもよい。
【0051】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0052】
なお、上述した実施形態における自動操船システム1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0053】
1…自動操船システム、11…船舶、11A…アクチュエータ、11B…操作部、11C…船舶制御装置、11D…トリガー発生部、11D1…落水検知部、11D2…自動操船開始指示部、11D3…自動操船開始操作部、11E…船舶位置検出部、11F…船首方位検出部、11G…通信部、12…通信装置、12A…通信装置位置検出部、12B…通信部、12C…操作部、12C1…自動操船開始操作部、12C2…速度変更操作部、12C21…速度増加スイッチ、12C22…速度減少スイッチ、12C23…速度変更レバー、12C24…音声入力操作部、12C3…速度設定操作部、12C31…振動検出部、12C32…速度設定値算出部、12C33…圧力検出部、12C34…速度設定値算出部
図1
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図8