(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188951
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】駆動回路、光源装置及び遅延回路
(51)【国際特許分類】
G01S 7/484 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
G01S7/484
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097254
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒木 勝一
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AD05
5J084BA04
5J084BA07
5J084CA03
5J084CA12
5J084CA64
5J084CA65
5J084DA08
5J084EA01
5J084EA11
(57)【要約】
【課題】複数の発光素子の光の照射の遅延を調整する。
【解決手段】駆動回路は、複数の行駆動信号遅延部と、複数の列駆動信号遅延部と、複数の行発光駆動部と、複数の列発光駆動部と、行遅延調整部と、列遅延調整部とを有する。行駆動信号遅延部は、発光電流を流すことにより発光する複数の発光素子が2次元行列の形状に配置されて構成される発光素子アレイ部における行毎に配置されて発光素子の発光を制御する発光駆動信号を遅延させた行駆動信号を出力する。列駆動信号遅延部は、発光素子アレイ部における列毎に配置されて発光駆動信号を遅延させた列駆動信号を出力する。行遅延調整部は、複数の行駆動信号遅延部における遅延時間を調整する。列遅延調整部は、複数の列駆動信号遅延部における遅延時間を調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光電流を流すことにより発光する複数の発光素子が2次元行列の形状に配置されて構成される発光素子アレイ部における行毎に配置されて前記発光素子の発光を制御する発光駆動信号を遅延させた行駆動信号を出力する複数の行駆動信号遅延部と、
前記発光素子アレイ部における列毎に配置されて前記発光駆動信号を遅延させた列駆動信号を出力する複数の列駆動信号遅延部と、
前記発光素子アレイ部における行毎に配置されて当該行に配置される前記行駆動信号遅延部により出力された行駆動信号に基づいて当該行に配置される複数の前記発光素子に前記発光電流を吐き出し電流として供給する複数の行発光駆動部と、
前記発光素子アレイ部における列毎に配置されて当該列に配置される前記列駆動信号遅延部により出力された列駆動信号に基づいて当該列に配置される複数の前記発光素子に前記発光電流を吸い込み電流として供給する複数の列発光駆動部と、
前記複数の行駆動信号遅延部における遅延時間を調整する行遅延調整部と、
前記複数の列駆動信号遅延部における遅延時間を調整する列遅延調整部と
を有する駆動回路。
【請求項2】
複数の前記行駆動信号と基準信号との位相差を検出する行位相差検出部と、
複数の前記列駆動信号と基準信号との位相差を検出する列位相差検出部と
を更に有し、
前記行遅延調整部は、前記行位相差検出部の検出結果に基づいて前記遅延時間を調整し、
前記列遅延調整部は、前記列位相差検出部の検出結果に基づいて前記遅延時間を調整する
請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記行位相差検出部は、前記複数の行駆動信号遅延部毎に配置されて対応する前記行駆動信号遅延部における前記位相差を検出し、
前記列位相差検出部は、前記複数の列駆動信号遅延部毎に配置されて対応する前記列駆動信号遅延部における前記位相差を検出し、
前記行遅延調整部は、複数の前記行位相差検出部のそれぞれの前記検出結果に基づいて対応する前記行駆動信号遅延部の前記遅延時間を調整し、
前記列遅延調整部は、複数の前記列位相差検出部のそれぞれの前記検出結果に基づいて対応する前記列駆動信号遅延部の前記遅延時間を調整する
請求項2に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記複数の行発光駆動部毎に配置されて前記行駆動信号に基づいて前記行発光駆動部を駆動する複数の行駆動部と、
前記複数の列発光駆動部毎に配置されて前記列駆動信号に基づいて前記列発光駆動部を駆動する複数の列駆動部と、
を更に有し、
複数の前記行位相差検出部は、前記複数の行駆動部の出力信号に基づいて前記位相差を検出し、
複数の前記列位相差検出部は、前記複数の列駆動部の出力信号に基づいて前記位相差を検出する
請求項2に記載の駆動回路。
【請求項5】
複数の前記行位相差検出部は、前記複数の行発光駆動部の出力信号に基づいて前記位相差を検出し、
複数の前記列位相差検出部は、前記複数の列発光駆動部の出力信号に基づいて前記位相差を検出する
請求項2に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記発光駆動信号を遅延させるとともに当該遅延させた発光駆動信号を前記複数の行駆動信号遅延部及び前記複数の列駆動信号遅延部に出力する発光駆動信号遅延部と、
前記発光駆動信号遅延部における遅延時間を調整する発光駆動信号遅延調整部と
を更に有する請求項1に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記発光駆動信号遅延調整部は、複数の前記行駆動信号及び複数の前記列駆動信号と基準遅延信号との位相差に基づいて前記遅延時間を調整する
請求項6に記載の駆動回路。
【請求項8】
前記発光駆動信号遅延調整部は、前記複数の行駆動信号及び前記複数の列駆動信号における平均の遅延時間の信号と前記基準遅延信号との位相差に基づいて前記遅延時間を調整する
請求項7に記載の駆動回路。
【請求項9】
発光電流を流すことにより発光する複数の発光素子が2次元行列の形状に配置されて構成される発光素子アレイ部と、
前記発光素子アレイ部における行毎に配置されて前記発光素子の発光を制御する発光駆動信号を遅延させた行駆動信号を出力する複数の行駆動信号遅延部と、
前記発光素子アレイ部における列毎に配置されて前記発光駆動信号を遅延させた列駆動信号を出力する複数の列駆動信号遅延部と、
前記発光素子アレイ部における行毎に配置されて当該行に配置される前記行駆動信号遅延部により出力された行駆動信号に基づいて当該行に配置される複数の前記発光素子に前記発光電流を吐き出し電流として供給する複数の行発光駆動部と、
前記発光素子アレイ部における列毎に配置されて当該列に配置される前記列駆動信号遅延部により出力された列駆動信号に基づいて当該列に配置される複数の前記発光素子に前記発光電流を吸い込み電流として供給する複数の列発光駆動部と、
前記複数の行駆動信号遅延部における遅延時間を調整する行遅延調整部と、
前記複数の列駆動信号遅延部における遅延時間を調整する列遅延調整部と
を有する光源装置。
【請求項10】
入力信号の変化に対する出力信号の変化に遅延を持たせる遅延回路であって、
前記入力信号を入力とする論理回路素子と、
前記入力信号を遅延させる遅延素子と、
出力端を高インピーダンス状態にする制御信号を入力する制御入力端子を備えて前記遅延素子により遅延された前記入力信号を入力とし、前記論理回路素子の出力ノードに出力端が接続される複数のバッファ回路と
を有し、
前記論理回路素子の出力ノードの信号を遅延信号として取り出すとともに前記複数のバッファ回路に入力する前記制御信号を調整することにより前記遅延を調整する
遅延回路。
【請求項11】
前記遅延素子は、前記論理回路素子の出力ノードに入力端が接続されて前記論理回路素子を介して伝達された信号を前記入力信号として遅延させるとともに当該遅延させた信号を前記遅延信号として出力する
請求項10に記載の遅延回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駆動回路、光源装置及び遅延回路に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物までの距離を測定する際に、対象物に光を照射し、照射した光が対象物との間を往復する時間を測定することにより、対象物までの距離を測定する測距装置が使用されている。このような測距装置においては、対象物等に光を照射する光源装置が必要となる。この光源装置には、例えば、レーザ光源等の光源を備えて所定のタイミングにおいて光の照射を行う光源装置が使用される。測距装置では、光源装置における照射の開始と光の往復時間の計時の開始とが同期して行われる。具体的には、光源装置における光の照射を指示する制御信号の光源装置への出力と同期して、往復時間の計時が開始される。通常、制御信号が入力されて光が照射されるまでには遅延を生じる。距離測定の誤差を低減するため、この遅延を加味した往復時間の計時が行われる。
【0003】
このような光源装置において、対象物への照射光量を増加させるため、複数の光源を配置する光源装置が提案されている。例えば、複数の発光素子からなる発光素子群及び発光素子群に通電する通電制御素子が複数配置されて構成された投光回路部を備える空間情報検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この空間情報検出装置では、一定周期の矩形波信号を変調信号として使用する。この変調信号により通電制御素子を制御して発光素子群を発光させ、強度変調光を取り出す。この強度変調光が物体により反射された反射光が受光素子を有する受光回路により受光されて変調信号に同期する復調信号が生成される。この生成された復調信号と変調信号との位相差を検出することにより、発光素子から対象空間に投光された強度変調光が受光素子に受光されるまでの時間を計測する。
【0005】
また、この空間情報検出装置は、複数の発光素子群のうちの1つの発光素子群と通電制御素子との接続点の信号を検出信号として取り出す。この検出信号と復調信号との時間差を調整することにより、発光素子における発光の遅延を補償する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の従来技術では、複数の発光素子群のうちの1つの発光素子群の検出信号により発光素子群全体の遅れを補償するため、複数の発光素子群の遅延時間を調整できないという問題がある。このため、複数の発光素子群の発光にばらつきを生じ、距離測定の誤差が増加するという問題がある。
【0008】
そこで、本開示では、複数の発光素子の光の照射の遅延を調整する光源装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る駆動回路は、発光電流を流すことにより発光する複数の発光素子が2次元行列の形状に配置されて構成される発光素子アレイ部における行毎に配置されて上記発光素子の発光を制御する発光駆動信号を遅延させた行駆動信号を出力する複数の行駆動信号遅延部と、上記発光素子アレイ部における列毎に配置されて上記発光駆動信号を遅延させた列駆動信号を出力する複数の列駆動信号遅延部と、上記発光素子アレイ部における行毎に配置されて当該行に配置される上記行駆動信号遅延部により出力された行駆動信号に基づいて当該行に配置される複数の上記発光素子に上記発光電流を吐き出し電流として供給する複数の行発光駆動部と、上記発光素子アレイ部における列毎に配置されて当該列に配置される上記列駆動信号遅延部により出力された列駆動信号に基づいて当該列に配置される複数の上記発光素子に上記発光電流を吸い込み電流として供給する複数の列発光駆動部と、上記複数の行駆動信号遅延部における遅延時間を調整する行遅延調整部と、上記複数の列駆動信号遅延部における遅延時間を調整する列遅延調整部とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る光源装置の構成例を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る発光素子アレイ部の構成例を示す図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る行駆動部の構成例を示す図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る列駆動部の構成例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る行駆動信号遅延部の構成例を示す図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る行駆動信号遅延部の他の構成例を示す図である。
【
図7】本開示の実施形態に係る発光素子アレイ部の駆動方法の一例を示す図である。
【
図8】本開示の第2の実施形態に係る光源装置の構成例を示す図である。
【
図9】本開示に係る技術が適用され得る撮像装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。説明は、以下の順に行う。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
1.第1の実施形態
2.第2の実施形態
3.撮像装置の構成例
【0012】
(1.第1の実施形態)
[光源装置の構成]
図1は、本開示の第1の実施形態に係る光源装置の構成例を示す図である。同図は、光源装置1の構成例を表すブロック図である。光源装置1は、対象物に対して光を照射する装置である。この光源装置1は、対象物までの距離を測定する測距装置等に使用され、所定のタイミングにおいて対象物に光を照射する。
【0013】
光源装置1は、発光素子アレイ部10と、行発光駆動部20乃至22と、行駆動部30乃至32と、行駆動信号遅延部40と、行位相差検出部60と、行位相差選択部61と、行遅延調整部62と、保持部63と、行選択部81とを備える。又、光源装置1は、列発光駆動部23乃至25と、列駆動部33乃至35と、列駆動信号遅延部50と、列位相差検出部70と、列位相差選択部71と、列遅延調整部72と、保持部73と、列選択部82と、制御部90とを更に備える。
【0014】
同図の光源装置1は、測距装置等から入力される発光駆動信号に基づいて光の照射を行う。この発光駆動信号は、例えば、デジタル信号であり、値「1」及び値「0」がそれぞれ発光及び非発光を表す信号である。また、この発光駆動信号は、例えば、差動伝送線路を介して供給することができる。この差動伝送線路のインターフェイスには、例えば、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)を採用することができる。なお、同図においては、LVDS信号の受信部等の記載を省略している。
【0015】
発光素子アレイ部10は、複数の発光素子(後述する発光素子11)が2次元行列の形状に配置されて構成されたものである。発光素子11には、電流を流すことにより発光する素子、例えば、レーザダイオードを使用することができる。このレーザダイオードは、アノード及びカソードの2端子を有する素子であり、アノードからカソードに電流を流すことにより発光する。なお、発光素子11を発光させる電流を発光電流と称する。同図の発光素子アレイ部10は、発光素子が3行3列に配置される例を表したものである。発光素子アレイ部10の構成の詳細については後述する。
【0016】
行発光駆動部20乃至22は、発光素子アレイ部10の行毎に配置され、発光素子アレイ部10の行に配置される複数の発光素子11に発光電流を供給するものである。行発光駆動部20乃至22は、発光素子アレイ部10の行に配置される発光素子11の2つの端子のうちの1つの端子、例えば、アノードにそれぞれ接続される。この場合、行発光駆動部20乃至22は、吐き出し電流(ソース電流)を発光電流として供給する。行発光駆動部20乃至22の構成の詳細については後述する。
【0017】
列発光駆動部23乃至25は、発光素子アレイ部10の列毎に配置され、発光素子アレイ部10の列に配置される複数の発光素子11に発光電流を供給するものである。列発光駆動部23乃至25は、発光素子アレイ部10の列に配置される発光素子11の2つの端子のうちの行発光駆動部20等が接続されない側の端子にそれぞれ接続される。この場合、列発光駆動部23乃至25は、発光素子11のカソードにそれぞれ接続され、吸い込み電流(シンク電流)を発光電流として供給する。列発光駆動部23乃至25の構成の詳細については後述する。
【0018】
行選択部81は、発光素子アレイ部10の複数の行のうちの発光させる行を選択するものである。この行選択部81は、制御部90の制御に基づいて発光素子アレイ部10の行を選択し、選択した行に対応する行発光駆動部20乃至22に発光駆動信号を伝達する。
【0019】
行駆動信号遅延部40は、発光素子アレイ部10の行毎に伝達される発光駆動信号を遅延させるものである。同図においては、行駆動信号遅延部40a、40b及び40cが発光素子アレイ部10のそれぞれの行に対応して配置され、行選択部81から入力された発光駆動信号を遅延させる。この行毎に遅延させた発光駆動信号を行駆動信号と称する。これら行駆動信号遅延部40a、40b及び40cの遅延時間は、後述する行遅延調整部62からの制御信号に基づいてそれぞれ調整される。すなわち、行駆動信号遅延部40は、外部の信号に基づいて遅延時間を変更可能な遅延回路である。
【0020】
行駆動部30乃至32は、それぞれ行発光駆動部20乃至22を駆動するものである。すなわち、行駆動部30等は、発光素子アレイ部10の行毎に配置される。行駆動部30乃至32は、行駆動信号遅延部40により出力された行駆動信号から行発光駆動部20等の駆動信号を生成して出力する。
【0021】
行位相差検出部60は、行駆動信号と基準信号との位相差を検出するものである。この行位相差検出部60は、位相差に応じた信号を検出結果として出力する。同図の行位相差検出部60は、行駆動部30乃至32毎に基準信号との位相差を検出する例を表したものである。検出結果は、行位相差選択部61にそれぞれ出力される。
【0022】
行位相差選択部61は、行位相差検出部60の行毎の位相差の検出結果のうちの1つを選択するものである。この行位相差選択部61は、選択した検出結果を行遅延調整部62に対して出力する。
【0023】
行遅延調整部62は、行駆動信号遅延部40の遅延を調整するものである。同図の行遅延調整部62は、行毎に配置された行駆動信号遅延部40a、40b及び40cの遅延を調整する。具体的には、行遅延調整部62は、上述の行位相差選択部61により選択された行における位相差の検出結果に基づいて当該行に配置された行駆動信号遅延部40a、40b及び40cの遅延を調整する。
【0024】
前述のように発光素子アレイ部10の発光素子11は、行発光駆動部20乃至22により行毎に駆動される。すなわち、発光素子アレイ部10の各行の発光素子11は、行駆動部30及び行発光駆動部20、行駆動部31及び行発光駆動部21並びに行駆動部32及び行発光駆動部22によりそれぞれ個別に駆動される。行駆動部30等に発光駆動信号が入力されて発光素子アレイ部10の対応する行の発光素子11が発光するまでの遅延時間は、行駆動部30等及び行発光駆動部20等によりばらつきを生じる。このため、発光素子アレイ部10の行毎の発光素子11の発光がばらつくこととなり、測距の誤差の原因となる。
【0025】
そこで、行遅延調整部62により行毎に遅延を調整してばらつきを低減する。行遅延調整部62は、遅延を指示する制御信号を行駆動信号遅延部40a、40b及び40cに出力することにより、遅延を調整する。この制御信号には、所定のビット幅のデジタルの信号を使用することができる。例えば、制御信号の値「1」のビット数に遅延時間を対応させることができる。また、行遅延調整部62は、調整後の遅延の情報を後述する保持部63に保持させる。また、光源装置1の起動時には、行遅延調整部62は、保持部63から遅延の情報を読み出して行駆動信号遅延部40a、40b及び40cに対して出力し、行毎の遅延時間を設定する。
【0026】
保持部63は、行毎の遅延の情報を保持するものである。この保持部63は、例えば、行遅延調整部62が出力するデジタルの制御信号を遅延の情報として保持する構成を採ることができる。
【0027】
列選択部82は、発光素子アレイ部10の複数の列のうちの発光させる列を選択するものである。この列選択部82は、制御部90の制御に基づいて発光素子アレイ部10の列を選択し、選択した列に対応する列発光駆動部23乃至25に発光駆動信号を伝達する。
【0028】
列駆動信号遅延部50は、発光素子アレイ部10の列毎に伝達される発光駆動信号を遅延させるものである。同図においては、列駆動信号遅延部50a、50b及び50cが発光素子アレイ部10のそれぞれの列に対応して配置され、列選択部82から入力された発光駆動信号を遅延させる。この列毎に遅延させた発光駆動信号を列駆動信号と称する。これら列駆動信号遅延部50a、50b及び50cの遅延時間は、後述する列遅延調整部72からの制御信号に基づいてそれぞれ調整される。すなわち、列駆動信号遅延部50は、行駆動信号遅延部40と同様に、外部の信号に基づいて遅延時間を変更可能な遅延回路である。
【0029】
列駆動部33乃至35は、それぞれ列発光駆動部23乃至25を駆動するものである。すなわち、列駆動部33等は、発光素子アレイ部10の列毎に配置される。列駆動部33乃至35は、列駆動信号遅延部50により出力された列駆動信号から列発光駆動部23等の駆動信号を生成して出力する。
【0030】
列位相差検出部70は、列駆動信号と基準信号との位相差を検出するものである。この列位相差検出部70は、行位相差検出部60と同様に、位相差に応じた信号を検出結果として出力する。同図の列位相差検出部70は、列駆動部33乃至35毎に基準信号との位相差を検出する例を表したものである。検出結果は、列位相差選択部71にそれぞれ出力される。
【0031】
列位相差選択部71は、列位相差検出部70の列毎の位相差の検出結果のうちの1つを選択するものである。この列位相差選択部71は、選択した検出結果を列遅延調整部72に対して出力する。
【0032】
列遅延調整部72は、列駆動信号遅延部50の遅延を調整するものである。同図の列遅延調整部72は、列毎に配置された列駆動信号遅延部50a、50b及び50cの遅延を調整する。具体的には、列遅延調整部72は、上述の列位相差選択部71により選択された列における位相差の検出結果に基づいて当該列に配置された列駆動信号遅延部50a、50b及び50cの遅延を調整する。
【0033】
前述のように発光素子アレイ部10の発光素子11は、列発光駆動部23乃至25により列毎に駆動される。すなわち、発光素子アレイ部10の各列の発光素子11は、列駆動部33及び列発光駆動部23、列駆動部34及び列発光駆動部24並びに列駆動部35及び列発光駆動部25によりそれぞれ個別に駆動される。列駆動部33等に発光駆動信号が入力されて発光素子アレイ部10の対応する列の発光素子11が発光するまでの遅延時間は、列駆動部33等及び列発光駆動部23等によりばらつきを生じる。このため、発光素子アレイ部10の列毎の発光素子11の発光がばらつくこととなり、測距の誤差の原因となる。
【0034】
列遅延調整部72は、行遅延調整部62と同様に、列毎に遅延を調整する。すなわち、列遅延調整部72は、列駆動部33及び列発光駆動部23、列駆動部34及び列発光駆動部24並びに列駆動部35及び列発光駆動部25の遅延のばらつきを低減する。列遅延調整部72は、遅延を指示する制御信号を列駆動信号遅延部50a、50b及び50cに出力することにより、遅延を調整する。行遅延調整部62と同様に、この制御信号には、所定のビット幅のデジタルの信号を使用することができ、制御信号の値「1」のビット数に遅延時間を対応させることができる。また、列遅延調整部72は、調整後の遅延の情報を後述する保持部73に保持させる。また、光源装置1の起動時には、列遅延調整部72は、保持部73から遅延の情報を読み出して列駆動信号遅延部50a、50b及び50cに対して出力し、列毎の遅延時間を設定する。
【0035】
保持部73は、列毎の遅延の情報を保持するものである。この保持部73は、保持部63と同様に、列遅延調整部72が出力するデジタルの制御信号を遅延の情報として保持する構成を採ることができる。
【0036】
制御部90は、光源装置1の全体を制御するものである。この制御部90は、行選択部81、行遅延調整部62、行位相差選択部61、列選択部82、列遅延調整部72及び列位相差選択部71に制御信号を出力して制御する。
【0037】
[発光素子アレイ部の構成]
図2は、本開示の実施形態に係る発光素子アレイ部の構成例を示す図である。同図は、発光素子アレイ部10の構成例を表す回路図である。また、同図には、行発光駆動部20乃至22及び列発光駆動部23乃至25を更に記載した。
【0038】
前述のように、発光素子アレイ部10は、発光素子11が2次元行列の形状に配置されて構成される。同図の発光素子アレイ部10は、発光素子11が3行3列に配置される例を表したものである。また発光素子アレイ部10は、発光素子11に発光電流を流す配線が行及び列毎に配置される。同図の発光素子アレイ部10は、配線101乃至103及び配線111乃至113が配置される。配線101乃至103は、発光素子アレイ部10の行に配置され、それぞれの行に配置される複数の発光素子11のアノードが共通に接続される。配線111乃至113は、発光素子アレイ部10の列に配置され、それぞれの列に配置される複数の発光素子11のカソードが共通に接続される。
【0039】
行発光駆動部20乃至22は、発光素子アレイ部10の行毎に配置される。同図の行発光駆動部20乃至22は、pチャネルMOSトランジスタにより構成される例を表したものである。行発光駆動部20乃至22には、
図1において説明した行駆動部30乃至32からの駆動信号が信号線V_OUT1、信号線V_OUT2及び信号線V_OUT3を介してそれぞれ入力される。行発光駆動部20乃至22のソースは電源線Vddに接続され、ドレインは配線101乃至103にそれぞれ接続される。行発光駆動部20のゲートは、反転バッファ26を介して信号線V_OUT1に接続される。行発光駆動部21のゲートは、反転バッファ27を介して信号線V_OUT2に接続される。行発光駆動部22のゲートは、反転バッファ28を介して信号線V_OUT3に接続される。
【0040】
列発光駆動部23乃至25は、発光素子アレイ部10の列毎に配置される。同図の列発光駆動部23乃至25は、nチャネルMOSトランジスタにより構成される例を表したものである。列発光駆動部23乃至25には、
図1において説明した列駆動部33乃至35からの駆動信号が信号線H_OUT1、信号線H_OUT2及び信号線H_OUT3を介してそれぞれ入力される。列発光駆動部23乃至25のソースは接地され、ドレインは配線111乃至113にそれぞれ接続される。列発光駆動部23乃至25のゲートは、それぞれ信号線H_OUT1、信号線H_OUT2及び信号線H_OUT3に接続される。
【0041】
発光素子アレイ部10の発光素子11を発光させるには、当該発光素子11に接続される行発光駆動部20乃至22及び列発光駆動部23乃至25を導通させる。これにより、発光素子11に電源線Vddからの発光電流が流れて発光する。この際、行発光駆動部20乃至22は発光素子11のアノードに発光電流を吐き出し電流として供給し、列発光駆動部23乃至25は発光素子11のカソードに発光電流を吸い込み電流として供給する。
【0042】
行発光駆動部20乃至22及び列発光駆動部23乃至25のそれぞれ1つ以上を導通させることにより、発光素子アレイ部10の任意の発光素子11を発光させることができる。
【0043】
[行駆動部の構成]
図3は、本開示の実施形態に係る行駆動部の構成例を示す図である。同図は、行駆動部30乃至32、行駆動信号遅延部40、行位相差検出部60、行選択部81及び行位相差選択部61の構成例を表す図である。
【0044】
同図において、行選択部81は、2入力NORゲートからなる行選択部81a、81b及び81cにより構成される。また、行選択部81には、信号線210が接続される。この信号線210は、3本の信号線により構成され、制御部90からの垂直選択信号をそれぞれ伝達する。行選択部81a、81b及び81cの一方の入力端子に信号線200が共通に接続される。この信号線200は、発光駆動信号を伝達する信号線である。行選択部81a、81b及び81cの他方の入力端子には信号線210が個別に接続される。行選択部81a、81b及び81cの出力端子は、行駆動信号遅延部40a、40b及び40cにそれぞれ接続される。
【0045】
垂直選択信号には、値「0」の信号を使用することができる。制御部90は、選択する行の行選択部81a、81b及び81cに値「0」の垂直選択信号を出力し、非選択の行の行選択部81a、81b及び81cに値「1」を出力する。この垂直選択信号が入力された行選択部81a、81b及び81cが発光駆動信号を行駆動信号遅延部40a等に伝達する。これにより、発光素子アレイ部10の行を選択することができる。
【0046】
前述のように行駆動信号遅延部40a、40b及び40cには、行選択部81a、81b及び81cにより選択された発光駆動信号が入力される。この入力された発光駆動信号が行駆動信号遅延部40a、40b及び40cにより遅延されて行駆動信号となり、行駆動部30乃至32に対して出力される。
【0047】
同図の行駆動部30乃至32は、反転バッファにより構成される例を表したものである。行駆動部30乃至32の入力は、行駆動信号遅延部40a、40b及び40cの出力にそれぞれ接続される。行駆動部30乃至32の出力は、信号線V_OUT1、信号線V_OUT2及び信号線V_OUT3にそれぞれ接続される。行駆動部30乃至32は、行駆動信号遅延部40a、40b及び40cにより入力された行駆動信号に基づいて行発光駆動部20等の駆動信号を生成し、信号線V_OUT1等に出力する。
【0048】
同図において、行位相差検出部60は、2入力XNORゲートからなる行位相差検出部60a、60b及び60cにより構成される。また、行位相差検出部60には、信号線214が接続される。この信号線214は、制御部90からの基準信号を伝達する。この基準信号は、行位相差検出部60における位相差検出の基準となる信号である。信号線214は、行位相差検出部60a、60b及び60cの一方の入力端子に共通に接続される。行位相差検出部60a、60b及び60cの他方の入力端子には、信号線V_OUT1、信号線V_OUT2及び信号線V_OUT3がそれぞれ接続される。行位相差検出部60a、60b及び60cにより、行駆動信号と基準信号との位相差が行毎に検出される。行位相差検出部60a、60b及び60cの出力端子は、後述する行位相差選択部61a、61b及び61cの入力端子にそれぞれ接続される。
【0049】
同図において、行位相差選択部61は、制御入力端子付き反転バッファからなる行位相差選択部61a、61b及び61cにより構成される。また、これら行位相差選択部61a、61b及び61cは、電流出力型の反転バッファである。また、行位相差選択部61には、信号線211が接続される。この信号線211は、3本の信号線により構成され、制御部90からの選択信号をそれぞれ伝達する。行位相差選択部61a、61b及び61cの制御入力端子に信号線211が個別に接続される。選択信号には、値「1」の信号を使用することができる。制御部90は、選択する行の行位相差選択部61a、61b及び61cに値「1」の選択信号を出力し、非選択の行の行位相差選択部61a、61b及び61cに値「0」を出力する。値「1」の選択信号が制御入力端子に入力された行位相差選択部61a、61b及び61cは、行位相差検出部60の検出結果を反転して伝達する。一方、値「0」が制御入力端子に入力された行位相差選択部61a、61b及び61cは、出力が高インピーダンスの状態となる。これにより、行位相差選択部61a、61b及び61cによる行位相差検出部60の検出結果の選択が行われる。
【0050】
行位相差選択部61a、61b及び61cの出力端子は、キャパシタ64(
図1において不図示)の一端及びアナログデジタル変換部65(
図1において不図示)の入力に共通に接続される。キャパシタ64の他の一端は、接地される。キャパシタ64は、選択された行位相差選択部61a、61b及び61cにより充放電される。上述の行位相差検出部60は、パルス波の信号を位相差の検出結果として出力する。この出力されたパルス波に応じてキャパシタ64が充放電され、平均化される。これにより、位相差に応じたアナログの信号を生成することができる。この信号は、アナログデジタル変換部65によりデジタルの信号に変換され、行遅延調整部62に入力される。行遅延調整部62は、入力されたデジタルの位相差信号に基づいて行駆動信号遅延部40a、40b及び40cの遅延を調整する。
【0051】
[列駆動部の構成]
図4は、本開示の実施形態に係る列駆動部の構成例を示す図である。同図は、列駆動部33乃至35、列駆動信号遅延部50、列位相差検出部70、列選択部82及び列位相差選択部71の構成例を表す図である。
【0052】
同図の列選択部82は、行選択部81と同様に、2入力NORゲートからなる列選択部82a、82b及び82cにより構成される。また、列選択部82には、信号線212が接続される。この信号線212は、3本の信号線により構成され、制御部90からの水平選択信号をそれぞれ伝達する。列選択部82a、82b及び82cの一方の入力端子に信号線200が共通に接続され、発光駆動信号が入力される。列選択部82a、82b及び82cの他方の入力端子には信号線212が個別に接続される。列選択部82a、82b及び82cの出力端子は、列駆動信号遅延部50a、50b及び50cにそれぞれ接続される。
【0053】
水平選択信号には、垂直選択信号と同様に、値「0」の信号を使用することができる。制御部90は、選択する列の列選択部82a、82b及び82cに値「0」の垂直選択信号を出力し、非選択の列の列選択部82a、82b及び82cに値「1」を出力することにより、発光素子アレイ部10の列を選択することができる。
【0054】
列駆動信号遅延部50a、50b及び50cには、列選択部82a、82b及び82cにより選択された発光駆動信号が入力される。この入力された発光駆動信号が列駆動信号遅延部50a、50b及び50cにより遅延されて列駆動信号となり、列駆動部33乃至35に対して出力される。
【0055】
列駆動部33乃至35は、行駆動部30等と同様に、反転バッファにより構成される例を表したものである。列駆動部33乃至35の入力は、列駆動信号遅延部50a、50b及び50cの出力にそれぞれ接続される。列駆動部33乃至35の出力は、信号線H_OUT1、信号線H_OUT2及び信号線H_OUT3にそれぞれ接続される。列駆動部33乃至35は、列駆動信号遅延部50a、50b及び50cにより入力された列駆動信号に基づいて列発光駆動部23等の駆動信号を生成し、信号線H_OUT1等に出力する。
【0056】
列位相差検出部70は、行位相差検出部60と同様に、2入力XNORゲートからなる列位相差検出部70a、70b及び70cにより構成される。また、列位相差検出部70には、信号線215が接続される。この信号線215は、制御部90からの基準信号を伝達する。この基準信号は、列位相差検出部70における位相差検出の基準となる信号である。信号線215は、列位相差検出部70a、70b及び70cの一方の入力端子に共通に接続される。列位相差検出部70a、70b及び70cの他方の入力端子には、信号線H_OUT1、信号線H_OUT2及び信号線H_OUT3がそれぞれ接続される。列位相差検出部70a、70b及び70cにより、列駆動信号と基準信号との位相差が列毎に検出される。列位相差検出部70a、70b及び70cの出力端子は、後述する列位相差選択部71a、71b及び71cの入力端子にそれぞれ接続される。
【0057】
列位相差選択部71は、行位相差選択部61と同様に、制御入力端子付き電流出力型の反転バッファからなる列位相差選択部71a、71b及び71cにより構成される。また、列位相差選択部71には、信号線213が接続される。この信号線213は、
図3において説明した信号線211と同様に、3本の信号線により構成され、制御部90からの選択信号をそれぞれ伝達する。列位相差選択部71a、71b及び71cの制御入力端子に信号線213が個別に接続される。制御部90は、選択する列の列位相差選択部71a、71b及び71cに値「1」の選択信号を出力し、非選択列の列位相差選択部71a、71b及び71cに値「0」を出力する。値「1」の選択信号が制御入力端子に入力された列位相差選択部71a、71b及び71cが列位相差検出部70の検出結果を反転して伝達し、値「0」が制御入力端子に入力された列位相差選択部71a、71b及び71cは出力が高インピーダンスの状態となる。これにより、列位相差選択部71a、71b及び71cによる列位相差検出部70の検出結果の選択が行われる。
【0058】
列位相差選択部71a、71b及び71cの出力端子は、キャパシタ74(
図1において不図示)の一端及びアナログデジタル変換部75(
図1において不図示)の入力に共通に接続される。キャパシタ74の他の一端は、接地される。キャパシタ74及びアナログデジタル変換部75の構成は
図3のキャパシタ64及びアナログデジタル変換部65と同様であるため、説明を省略する。列遅延調整部72は、入力されたデジタルの位相差信号に基づいて列駆動信号遅延部50a、50b及び50cの遅延を調整する。
【0059】
[遅延回路の構成]
図5は、本開示の実施形態に係る行駆動信号遅延部の構成例を示す図である。同図は、行駆動信号遅延部40の構成例を表す回路図である。なお、列駆動信号遅延部50にも同様の回路を使用することができる。
【0060】
同図の行駆動信号遅延部40は、論理回路素子41と、遅延素子42と、バッファ回路45a-45pと、反転ゲート46a-45pと、出力バッファ44とを備える。同図は、16個のバッファ回路45及び16個の反転バッファ46を備える例を表したものである。論理回路素子41には、例えば、反転ゲートを使用することができる。また、遅延素子42には、例えば、反転ゲートを使用することができる。また、バッファ回路45a-45pには、例えば、制御入力端子付き反転バッファを使用することができる。
【0061】
同図の回路は、入力信号の変化に遅延を持たせる遅延回路を構成する。同図において信号線220及び信号線221は、それぞれ入力信号線及び出力信号線である。また、信号線222は、16本の信号線により構成され、遅延時間を設定するための信号が入力される。信号線220は行選択部81の出力に接続され、信号線221は行駆動部30の入力に接続される。また、信号線222は、制御部90の出力に接続される。
【0062】
信号線220は、論理回路素子41の入力端子に接続される。論理回路素子41の出力は、行駆動信号遅延部40の入力端子及びバッファ回路45a-45pの出力端子にそれぞれ接続される。行駆動信号遅延部40の出力端子は、出力バッファ44の入力端子及びバッファ回路45a-45pの入力端子にそれぞれ接続される。出力バッファ44の出力端子は、信号線221に接続される。信号線222の16本の信号線は、反転ゲート46a-45pの入力端子にそれぞれ接続される。反転ゲート46a-45pの出力端子は、バッファ回路45a-45pの制御入力端子にそれぞれ接続される。
【0063】
論理回路素子41の出力には、バッファ回路45a-45pを介して遅延素子42により遅延された信号が加算される。この信号は、行駆動信号遅延部40の入力信号が論理回路素子41及び遅延素子42により伝達された信号であり、入力信号に基づく信号となる。定常時においては、論理回路素子41の出力とバッファ回路45a-45pの出力とは同じ論理レベルとなる。一方、論理回路素子41の出力が遷移する際には、遅延素子42及びバッファ回路45a-45pの遅れにより、論理回路素子41の出力とバッファ回路45a-45pの出力とが異なる論理レベルとなる。このため、論理回路素子41の出力の遷移時間が長くなり、伝播遅延が増加する。
【0064】
この伝播遅延は、バッファ回路45a-45pのうちのオン状態の個数により変化する。バッファ回路45a-45pの全てがオン状態の時に最大の伝播遅延となり、バッファ回路45a-45pの全ての出力が高インピーダンス状態の時に最低の伝播遅延となる。信号線222の複数の信号線のうち、バッファ回路45a-45pをオン状態にする信号が出力される信号線の数に応じて遅延時間を調整することができる。なお、論理回路素子41は、バッファ回路45a-45pより高い駆動能力の出力段を備える。
【0065】
図6は、本開示の実施形態に係る行駆動信号遅延部の他の構成例を示す図である。同図は、行駆動信号遅延部40の他の構成例を表す回路図である。なお、列駆動信号遅延部50にも同様の回路を使用することができる。
【0066】
同図の行駆動信号遅延部40は、論理回路素子41と、遅延素子42及び43と、バッファ回路45a-45pと、反転ゲート46a-45pと、出力バッファ44とを備える。同図も、
図5の遅延回路と同様に、16個のバッファ回路45及び16個の反転バッファ46を備える例を表したものである。遅延素子42及び43には、例えば、反転ゲートを使用することができる。
【0067】
信号線222は、論理回路素子41の入力端子及び遅延素子42の入力端子に接続される。遅延素子42の出力端子は、遅延素子43の入力端子に接続される。遅延素子43の出力端子は、バッファ回路45a-45pの入力端子にそれぞれ接続される。バッファ回路45a-45pの出力端子は、論理回路素子41の出力端子及び出力バッファ44の入力端子にそれぞれ接続される。出力バッファ44の出力端子は、信号線221に接続される。信号線222の16本の信号線は、反転ゲート46a-45pの入力端子にそれぞれ接続される。反転ゲート46a-45pの出力端子は、バッファ回路45a-45pの制御入力端子にそれぞれ接続される。
【0068】
同図の回路においては、信号線220の入力信号が遅延素子42及び43並びにバッファ回路45a-45pを介して論理回路素子41の出力に加算される。
図5の遅延回路と同様に、信号線222の複数の信号線のうち、バッファ回路45a-45pをオン状態にする信号が出力される信号線の数に応じて遅延時間を調整することができる。
【0069】
[発光素子アレイ部の駆動]
図7は、本開示の実施形態に係る発光素子アレイ部の駆動方法の一例を示す図である。同図は、光源装置1における発光素子アレイ部10の駆動方法の一例を表すタイミング図である。同図において、「発光駆動信号」は、
図1において説明した発光駆動信号の波形を表す。「垂直選択信号」及び「水平選択信号」は、それぞれ行選択部81に入力される垂直選択信号及び列選択部82に入力される水平選択信号の波形を表す。なお、「垂直選択信号」及び「水平選択信号」の末尾の数字は、発光素子アレイ部10の対応する行及び列を表す。「V_OUT1」、「V_OUT2」、「V_OUT3」、「H_OUT1」、「H_OUT2」及び「H_OUT3」は、それぞれ
図2において説明した信号線V_OUT1、信号線V_OUT2、信号線V_OUT3、信号線H_OUT1、信号線H_OUT2及び信号線H_OUT3の波形を表す。
【0070】
なお、同図は、発光素子アレイ部10の第1行第1列、第2行第2列及び第3行第3列の発光素子11を順に発光させる場合の例を表したものである。
【0071】
T1において、垂直選択信号1及び水平選択信号1に値「0」が出力され、発光素子アレイ部10の第1行及び第1列が選択される。なお、垂直選択信号1及び水平選択信号1の値「0」の出力は、T4まで継続する。
【0072】
T2において、発光駆動信号として値「1」が入力される。行駆動信号遅延部40がこの発光駆動信号に対して遅延させた行駆動信号を生成する。この生成された行駆動信号が行駆動部30に入力されて駆動信号が生成され、信号線V_OUT1に出力される。これにより、発光素子アレイ部10の行発光駆動部20が導通する。また、列駆動信号遅延部50が発光駆動信号に対して遅延させた列駆動信号を生成する。この生成された列駆動信号が列駆動部33に入力されて駆動信号が生成され、信号線H_OUT1に出力される。これにより、発光素子アレイ部10の列発光駆動部23が導通する。発光素子アレイ部10の第1の行第1列の発光素子11に発光電流が流れて発光する。
【0073】
行駆動信号遅延部40等の遅延により信号線V_OUT1に出力される駆動信号は、発光駆動信号に対して遅延した信号となる。同図の「D」はこの遅延時間を表したものである。
【0074】
T3において、値「1」の発光駆動信号の入力が停止される。遅延時間の経過後に信号線V_OUT1及び信号線H_OUT1の駆動信号の出力が停止され、発光素子アレイ部10の行発光駆動部20及び列発光駆動部23が非導通の状態に戻る。このため、発光素子11の発光が停止される。
【0075】
T4において、垂直選択信号1及び水平選択信号1への値「0」の出力が停止される。また、垂直選択信号2及び水平選択信号2に値「0」が出力される。
【0076】
T5において、発光駆動信号として値「1」が入力され、遅延時間の経過後に信号線V_OUT2及び信号線H_OUT2に駆動信号が出力される。これにより、行発光駆動部21及び列発光駆動部24が導通し、発光素子アレイ部10の第2行第2列の発光素子11が発光する。
【0077】
T6において、値「1」の発光駆動信号の入力が停止される。遅延時間の経過後に信号線V_OUT2及び信号線H_OUT2の駆動信号の出力が停止され、発光素子アレイ部10の行発光駆動部21及び列発光駆動部24が非導通の状態に戻り、発光素子11の発光が停止される。
【0078】
T7において、垂直選択信号2及び水平選択信号2への値「0」の出力が停止される。また、垂直選択信号3及び水平選択信号3に値「0」が出力される。
【0079】
T8において、発光駆動信号として値「1」が入力され、遅延時間の経過後に信号線V_OUT3及び信号線H_OUT3に駆動信号が出力される。これにより、行発光駆動部22及び列発光駆動部25が導通し、発光素子アレイ部10の第3行第3列の発光素子11が発光する。
【0080】
T9において、値「1」の発光駆動信号の入力が停止される。遅延時間の経過後に信号線V_OUT3及び信号線H_OUT3の駆動信号の出力が停止され、発光素子アレイ部10の行発光駆動部22及び列発光駆動部25が非導通の状態に戻り、発光素子11の発光が停止される。
【0081】
T10において、垂直選択信号3及び水平選択信号3への値「0」の出力が停止される。以上の手順により、発光素子アレイ部10の発光素子11を発光させることができる。
【0082】
なお、光源装置1の構成は、この例に限定されない。例えば、行位相差検出部60は、行発光駆動部20等の出力信号に基づいて位相差を検出する構成を採ることもできる。同様に、列位相差検出部70は、列発光駆動部23等の出力信号に基づいて位相差を検出する構成を採ることもできる。また、行位相差選択部61は行駆動部30乃至32の行駆動信号を選択し、行位相差検出部60は行位相差選択部61により選択された行駆動信号の位相差を検出する構成を採ることもできる。同様に、列位相差選択部71は列駆動部33乃至35の列駆動信号を選択し、列位相差検出部70は列位相差選択部71により選択された列駆動信号の位相差を検出する構成を採ることもできる。
【0083】
このように、本開示の光源装置1は、複数の発光素子11が2次元行列状に配置された発光素子アレイ部10を備える。この発光素子アレイ部10は、行発光駆動部20乃至22が行毎に配置され、列発光駆動部23乃至25が列毎に配置され、行及び列毎に駆動される。これら行発光駆動部20乃至22及び列発光駆動部23乃至25の遅延がそれぞれ個別に調整される。これにより、発光素子アレイ部10における発光素子11の発光の遅延時間を調整することができ、発光遅延のばらつきを低減することができる。発光素子アレイ部10のそれぞれの発光素子11を個別に駆動するとともに個別に遅延時間を調整する場合と比較して、遅延調整の回路を簡略化することができる。
【0084】
(2.第2の実施形態)
上述の第1の実施形態の光源装置1は、複数の行駆動信号遅延部40及び複数の列駆動信号遅延部50を備えていた。これに対し、本開示の第2の実施形態の光源装置1は、発光駆動信号の遅延を調整する点で、上述の第1の実施形態と異なる。
【0085】
[光源装置の構成]
図8は、本開示の第2の実施形態に係る光源装置の構成例を示す図である。同図は、
図1と同様に、光源装置1の構成例を表すブロック図である。
図8の光源装置1は、電圧電流変換部91と、電流加算部92と、比較部93と、位相差検出部94と、遅延調整部95と、遅延部97と、保持部96とをさらに備える点で、
図1の光源装置1と異なる。
【0086】
遅延部97は、発光駆動信号を遅延させるものである。遅延された発光駆動信号は、行選択部81及び列選択部82に対して出力される。遅延部97の遅延時間は、遅延調整部95により調整される。なお、遅延部97は、特許請求の範囲に記載の発光駆動信号遅延部の一例である。
【0087】
電圧電流変換部91は、行駆動部30乃至32の行駆動信号及び列駆動部33乃至35の列駆動信号を電流の信号に変換するものである。変換した電流の信号は、電流加算部92に対してそれぞれ出力される。
【0088】
電流加算部92は、電圧電流変換部91により電流の信号に変換された行駆動信号及び列駆動信号を加算するものである。加算後の電流の信号は、比較部93に対して出力される。
【0089】
比較部93は、電流加算部92から出力された電流信号と所定の閾値とを比較し、比較結果を出力するものである。閾値には、全ての行駆動信号及び全ての列駆動信号の合計値の1/2の電流値を使用することができる。これにより、比較結果の信号は、全ての行駆動信号及び全ての列駆動信号の平均のタイミングの信号となり、全ての行駆動信号及び全ての列駆動信号の平均の遅延時間の信号となる。この信号は、位相差検出部94に対して出力される。
【0090】
位相差検出部94は、比較部93の比較結果、すなわち、行駆動信号及び列駆動信号の平均の遅延時間の信号と基準信号との位相差を検出するものである。位相差の検出結果は、遅延調整部95に対して出力される。
【0091】
遅延調整部95は、位相差検出部94から出力された位相差の検出結果に基づいて遅延部97の遅延時間を調整するものである。遅延調整部95を配置して遅延部97における発光駆動信号の遅延を調整することにより、動作環境の変化等に基づく発光素子11の発光の遅延時間のばらつきを低減することができる。調整後の遅延の情報は、保持部96に保持される。なお、遅延調整部95は、特許請求の範囲に記載の発光駆動信号遅延調整部の一例である。
【0092】
これ以外の光源装置1の構成は本開示の第1の実施形態における光源装置1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0093】
このように、本開示の第2の実施形態の光源装置1は、複数の行駆動信号及び複数の行駆動信号の平均の遅延時間の信号を使用して発光駆動信号の遅延時間を調整する。これにより、動作環境の変化等に基づく発光素子11の発光の遅延のばらつきを低減することができる。
【0094】
(3.撮像装置の構成例)
[撮像装置の構成]
図9は、本開示に係る技術が適用され得る撮像装置の構成例を示す図である。同図は、撮像装置800の構成例を表すブロック図である。撮像装置800は、撮像素子830と、制御装置840と、光源810と、撮影レンズ820とを備える。この撮像装置800は、被写体の撮像を行うとともに被写体までの距離を測定する測距を行うものである。撮像装置800は、撮像により生成した被写体の画像データと距離測定の対象となる被写体である対象物までの距離を出力する。同図には、対象物801をさらに記載した。
【0095】
撮像素子830は、被写体の撮像を行う半導体の素子である。また、この撮像素子830は、撮像した被写体に対して測距を行う。撮像素子830は被写体からの入射光の光電変換を行って画像信号を生成する複数の画素を備える。
【0096】
光源810は、光を照射するものである。この光源810は、測距の際に対象物801に対して出射光802を照射する。光源810は、例えば、赤外光を出射する発光ダイオードやレーザダイオードを使用することができる。
【0097】
撮影レンズ820は、被写体を撮像素子830の画素が配置された面である受光面に結像するレンズである。
【0098】
制御装置840は、撮像装置800の全体を制御するものである。この制御装置840は、測距の際、光源810を制御して出射光802を出射させ、撮像素子830を制御して撮像や測距を行わせる。
【0099】
測距の際、出射光802が対象物801により反射されて反射光803を生じる。この反射光803が撮影レンズ820を介して撮像素子830に入射し、検出される。また、光源810における出射光802の出射から撮像素子830における反射光803の検出までの時間が撮像素子830により計時され、対象物801までの距離が算出される。
【0100】
以上、本開示に係る技術が適用され得る撮像装置の一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、光源810に適用され得る。具体的には、
図1の光源装置1は、光源810に適用することができる。
【0101】
(効果)
駆動回路は、発光電流を流すことにより発光する複数の発光素子11が2次元行列の形状に配置されて構成される発光素子アレイ部10における行毎に配置されて発光素子11の発光を制御する発光駆動信号を遅延させた行駆動信号を出力する複数の行駆動信号遅延部40等と、発光素子アレイ部10における列毎に配置されて発光駆動信号を遅延させた列駆動信号を出力する複数の列駆動信号遅延部50等と、発光素子アレイ部10における行毎に配置されて当該行に配置される行駆動信号遅延部40等により出力された行駆動信号に基づいて当該行に配置される複数の発光素子11に発光電流を吐き出し電流として供給する複数の行発光駆動部20等と、発光素子アレイ部10における列毎に配置されて当該列に配置される列駆動信号遅延部50等により出力された列駆動信号に基づいて当該列に配置される複数の発光素子11に発光電流を吸い込み電流として供給する複数の列発光駆動部23等と、複数の行駆動信号遅延部40等における遅延時間を調整する行遅延調整部62と、複数の列駆動信号遅延部50等における遅延時間を調整する列遅延調整部72とを有する駆動回路である。これにより、発光素子アレイ部10の発光素子11の発光の遅延を行及び列毎に調整することができる。
【0102】
また、複数の行駆動信号と基準信号との位相差を検出する行位相差検出部60と、複数の列駆動信号と基準信号との位相差を検出する列位相差検出部70とを更に有し、行遅延調整部62は、行位相差検出部60の検出結果に基づいて遅延時間を調整し、列遅延調整部72は、列位相差検出部70の検出結果に基づいて遅延時間を調整してもよい。
【0103】
また、行位相差検出部60は、複数の行駆動信号遅延部40等毎に配置されて対応する行駆動信号遅延部40等における位相差を検出し、列位相差検出部70は、複数の列駆動信号遅延部50等毎に配置されて対応する列駆動信号遅延部50等における位相差を検出し、行遅延調整部62は、複数の行位相差検出部60のそれぞれの検出結果に基づいて対応する行駆動信号遅延部40等の遅延時間を調整し、列遅延調整部72は、複数の列位相差検出部70のそれぞれの検出結果に基づいて対応する列駆動信号遅延部50等の遅延時間を調整してもよい。
【0104】
また、複数の行発光駆動部20等毎に配置されて行駆動信号に基づいて行発光駆動部20等を駆動する複数の行駆動部と、複数の列発光駆動部23等毎に配置されて列駆動信号に基づいて列発光駆動部23等を駆動する複数の列駆動部と、を更に有し、複数の行位相差検出部60は、複数の行駆動部の出力信号に基づいて位相差を検出し、複数の列位相差検出部70は、複数の列駆動部の出力信号に基づいて位相差を検出してもよい。
【0105】
また、複数の行位相差検出部60は、複数の行発光駆動部20等の出力信号に基づいて位相差を検出し、複数の列位相差検出部70は、複数の列発光駆動部23等の出力信号に基づいて位相差を検出してもよい。
【0106】
また、発光駆動信号を遅延させるとともに当該遅延させた発光起動信号を複数の行駆動信号遅延部40等及び複数の列駆動信号遅延部50等に出力する遅延部97と、遅延部97における遅延時間を調整する遅延調整部95とを更に有してもよい。これにより、発光駆動信号の遅延を調整することができる。
【0107】
また、遅延調整部95は、複数の行駆動信号及び複数の列駆動信号と基準遅延信号との位相差に基づいて遅延時間を調整してもよい。
【0108】
また、遅延調整部95は、複数の行駆動信号及び複数の列駆動信号における平均の遅延時間の信号と基準遅延信号との位相差に基づいて遅延時間を調整してもよい。
【0109】
光源装置は、発光電流を流すことにより発光する複数の発光素子11が2次元行列の形状に配置されて構成される発光素子アレイ部10と、発光素子アレイ部10における行毎に配置されて発光素子11の発光を制御する発光駆動信号を遅延させた行駆動信号を出力する複数の行駆動信号遅延部40等と、発光素子アレイ部10における列毎に配置されて発光駆動信号を遅延させた列駆動信号を出力する複数の列駆動信号遅延部50等と、発光素子アレイ部10における行毎に配置されて当該行に配置される行駆動信号遅延部40等により出力された行駆動信号に基づいて当該行に配置される複数の発光素子11に発光電流を吐き出し電流として供給する複数の行発光駆動部20等と、発光素子アレイ部10における列毎に配置されて当該列に配置される列駆動信号遅延部50等により出力された列駆動信号に基づいて当該列に配置される複数の発光素子11に発光電流を吸い込み電流として供給する複数の列発光駆動部23等と、複数の行駆動信号遅延部40等における遅延時間を調整する行遅延調整部62と、複数の列駆動信号遅延部50等における遅延時間を調整する列遅延調整部72とを有する光源装置である。発光素子アレイ部10の発光素子11の発光の遅延を行及び列毎に調整することができる。
【0110】
遅延回路は、入力信号の変化に対する出力信号の変化に遅延を持たせる遅延回路であって、入力信号を入力とする論理回路素子と、入力信号を遅延させる遅延素子と、出力端を高インピーダンス状態にする制御信号を入力する制御入力端子を備えて遅延素子により遅延された入力信号を入力とし、論理回路素子の出力ノードに出力端が接続される複数のバッファ回路とを有し、論理回路素子の出力ノードの信号を遅延信号として取り出すとともに複数のバッファ回路に入力する制御信号を調整することにより遅延を調整する遅延回路である。複数のバッファ回路により、遅延時間を細かく調整することができる。また、遅延回路固有の遅延を短縮することができる。
【0111】
また、遅延素子は、論理回路素子の出力ノードに入力端が接続されて論理回路素子を介して伝達された信号を入力信号として遅延させるとともに当該遅延させた信号を遅延信号として出力してもよい。
【0112】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0113】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
発光電流を流すことにより発光する複数の発光素子が2次元行列の形状に配置されて構成される発光素子アレイ部における行毎に配置されて前記発光素子の発光を制御する発光駆動信号を遅延させた行駆動信号を出力する複数の行駆動信号遅延部と、
前記発光素子アレイ部における列毎に配置されて前記発光駆動信号を遅延させた列駆動信号を出力する複数の列駆動信号遅延部と、
前記発光素子アレイ部における行毎に配置されて当該行に配置される前記行駆動信号遅延部により出力された行駆動信号に基づいて当該行に配置される複数の前記発光素子に前記発光電流を吐き出し電流として供給する複数の行発光駆動部と、
前記発光素子アレイ部における列毎に配置されて当該列に配置される前記列駆動信号遅延部により出力された列駆動信号に基づいて当該列に配置される複数の前記発光素子に前記発光電流を吸い込み電流として供給する複数の列発光駆動部と、
前記複数の行駆動信号遅延部における遅延時間を調整する行遅延調整部と、
前記複数の列駆動信号遅延部における遅延時間を調整する列遅延調整部と
を有する駆動回路。
(2)
前記複数の行駆動信号と基準信号との位相差を検出する行位相差検出部と、
前記複数の列駆動信号と基準信号との位相差を検出する列位相差検出部と
を更に有し、
前記行遅延調整部は、前記行位相差検出部の検出結果に基づいて前記遅延時間を調整し、
前記列遅延調整部は、前記列位相差検出部の検出結果に基づいて前記遅延時間を調整する
前記(1)に記載の駆動回路。
(3)
前記行位相差検出部は、前記複数の行駆動信号遅延部毎に配置されて対応する前記行駆動信号遅延部における前記位相差を検出し、
前記列位相差検出部は、前記複数の列駆動信号遅延部毎に配置されて対応する前記列駆動信号遅延部における前記位相差を検出し、
前記行遅延調整部は、複数の前記行位相差検出部のそれぞれの前記検出結果に基づいて対応する前記行駆動信号遅延部の前記遅延時間を調整し、
前記列遅延調整部は、複数の前記列位相差検出部のそれぞれの前記検出結果に基づいて対応する前記列駆動信号遅延部の前記遅延時間を調整する
前記(2)に記載の駆動回路。
(4)
前記複数の行発光駆動部毎に配置されて前記行駆動信号に基づいて前記行発光駆動部を駆動する複数の行駆動部と、
前記複数の列発光駆動部毎に配置されて前記列駆動信号に基づいて前記列発光駆動部を駆動する複数の列駆動部と、
を更に有し、
複数の前記行位相差検出部は、前記複数の行駆動部の出力信号に基づいて前記位相差を検出し、
複数の前記列位相差検出部は、前記複数の列駆動部の出力信号に基づいて前記位相差を検出する
前記(2)に記載の駆動回路。
(5)
複数の前記行位相差検出部は、前記複数の行発光駆動部の出力信号に基づいて前記位相差を検出し、
複数の前記列位相差検出部は、前記複数の列発光駆動部の出力信号に基づいて前記位相差を検出する
前記(2)に記載の駆動回路。
(6)
前記発光駆動信号を遅延させるとともに当該遅延させた発光起動信号を前記複数の行駆動信号遅延部及び前記複数の列駆動信号遅延部に出力する発光駆動信号遅延部と、
前記発光駆動信号遅延部における遅延時間を調整する発光駆動信号遅延調整部と
を更に有する前記(1)から(5)の何れかに記載の駆動回路。
(7)
前記発光駆動信号遅延調整部は、前記複数の行駆動信号及び前記複数の列駆動信号と基準遅延信号との位相差に基づいて前記遅延時間を調整する
前記(6)に記載の駆動回路。
(8)
前記発光駆動信号遅延調整部は、前記複数の行駆動信号及び前記複数の列駆動信号における平均の遅延時間の信号と前記基準遅延信号との位相差に基づいて前記遅延時間を調整する
前記(7)に記載の駆動回路。
(9)
発光電流を流すことにより発光する複数の発光素子が2次元行列の形状に配置されて構成される発光素子アレイ部と、
前記発光素子アレイ部における行毎に配置されて前記発光素子の発光を制御する発光駆動信号を遅延させた行駆動信号を出力する複数の行駆動信号遅延部と、
前記発光素子アレイ部における列毎に配置されて前記発光駆動信号を遅延させた列駆動信号を出力する複数の列駆動信号遅延部と、
前記発光素子アレイ部における行毎に配置されて当該行に配置される前記行駆動信号遅延部により出力された行駆動信号に基づいて当該行に配置される複数の前記発光素子に前記発光電流を吐き出し電流として供給する複数の行発光駆動部と、
前記発光素子アレイ部における列毎に配置されて当該列に配置される前記列駆動信号遅延部により出力された列駆動信号に基づいて当該列に配置される複数の前記発光素子に前記発光電流を吸い込み電流として供給する複数の列発光駆動部と、
前記複数の行駆動信号遅延部における遅延時間を調整する行遅延調整部と、
前記複数の列駆動信号遅延部における遅延時間を調整する列遅延調整部と
を有する光源装置。
(10)
入力信号の変化に対する出力信号の変化に遅延を持たせる遅延回路であって、
前記入力信号を入力とする論理回路素子と、
前記入力信号を遅延させる遅延素子と、
出力端を高インピーダンス状態にする制御信号を入力する制御入力端子を備えて前記遅延素子により遅延された前記入力信号を入力とし、前記論理回路素子の出力ノードに出力端が接続される複数のバッファ回路と
を有し、
前記論理回路素子の出力ノードの信号を遅延信号として取り出すとともに前記複数のバッファ回路に入力する前記制御信号を調整することにより前記遅延を調整する
遅延回路。
(11)
前記遅延素子は、前記論理回路素子の出力ノードに入力端が接続されて前記論理回路素子を介して伝達された信号を前記入力信号として遅延させるとともに当該遅延させた信号を前記遅延信号として出力する
前記(9)に記載の遅延回路。
【符号の説明】
【0114】
1 光源装置
10 発光素子アレイ部
11 発光素子
20~22 行発光駆動部
23~25 列発光駆動部
30~32 行駆動部
33~35 列駆動部
40、40a、40b、40c 行駆動信号遅延部
50、50a、50b、50c 列駆動信号遅延部
60、60a、60b、60c 行位相差検出部
61、61a、61b、61c 行位相差選択部
62 行遅延調整部
63、73、96 保持部
70、70a、70b、70c 列位相差検出部
71、71a、71b、71c 列位相差選択部
72 列遅延調整部
81、81a、81b、81c 行選択部
82、82a、82b、82c 列選択部
91 電圧電流変換部
92 電流加算部
93 比較部
94 位相差検出部
95 遅延調整部
97 遅延部
800 撮像装置
810 光源