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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188953
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20221215BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20221215BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20221215BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/86
A61K8/39
A61K8/34
A61K8/46
A61K8/44
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097256
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】吉羽 崚
(72)【発明者】
【氏名】白神 裕人
(72)【発明者】
【氏名】宗像 英仁
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC092
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC262
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD022
4C083BB05
4C083CC25
4C083DD02
4C083DD23
4C083DD31
4C083DD35
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
4C083FF05
(57)【要約】
【課題】化粧水としての効果を実感でき、かつ良好な経時安定性を有する組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルと、(C)多価アルコールと、(D)ココイルメチルタウリンナトリウムおよびステアロイルグルタミン酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上を含むアニオン界面活性剤とを含有する組成物を用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、
(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルと、
(C)多価アルコールと、
(D)ココイルメチルタウリンナトリウムおよびステアロイルグルタミン酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上を含むアニオン界面活性剤と
を含有する、組成物。
【請求項2】
希釈時に微細エマルションを形成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
希釈時に白濁または青濁する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のHLB値が8より大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が、PEG-60水添ヒマシ油を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の配合量が、組成物の全量に対して、5~15質量%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が、組成物の全量に対して、1~5質量%である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記(C)多価アルコールがグリセリンを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記(C)多価アルコールの配合量が、組成物の全量に対して、20質量%以上である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記(D)アニオン界面活性剤がステアロイルグルタミン酸ナトリウムを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記ステアロイルグルタミン酸ナトリウムの配合量が、組成物の全量に対して、0.4質量%以上である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記(D)アニオン界面活性剤がココイルメチルタウリンナトリウムを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記ココイルメチルタウリンナトリウムの配合量が、組成物の全量に対して、0.4質量%以上である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
入浴剤である、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、市販の化粧水を浴槽に入れて入浴する化粧水風呂が注目され始めている。しかしながら、化粧水をそのまま湯船に投入した場合、配合成分が著しく希釈されてしまうことから効果を実感できない。
【0003】
これまでに、入浴剤として、例えば、特定のアニオン界面活性剤、特定のノニオン界面活性剤、およびグリセリン等を含む入浴剤であって、幅広い年代層の使用者や敏感肌の使用者への適用を考慮し、弱酸性の入浴剤とし、優れた保存安定性を発揮する入浴剤について知られている(特許文献1および2参照)。
【0004】
しかしながら、湯船などに投入して希釈された場合であっても化粧水様の効果が実感でき、かつ十分な安定性が保たれている組成物については全く知られておらず、希求されているといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-114804号公報
【特許文献2】特開2018-43941号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、驚くべきことに、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、多価アルコールと、特定のアニオン界面活性剤とを含有する組成物を、湯船に投入して希釈した場合であっても、化粧水の有する効果を実感でき、かつ良好な経時安定性を有する組成物とできることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0007】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) (A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、
(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルと、
(C)多価アルコールと、
(D)ココイルメチルタウリンナトリウムおよびステアロイルグルタミン酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上を含むアニオン界面活性剤と
を含有する、組成物。
(2) 希釈時に微細エマルションを形成する、(1)に記載の組成物。
(3) 希釈時に白濁または青濁する、(1)または(2)に記載の組成物。
(4) 前記(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のHLB値が8より大きい、(1)~(3)のいずれかに記載の組成物。
(5) 前記(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が、PEG-60水添ヒマシ油を含む、(1)~(4)のいずれかに記載の組成物。
(6) 前記(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の配合量が、組成物の全量に対して、5~15質量%である、(1)~(5)のいずれかに記載の組成物。
(7) 前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が8以下である、(1)~(6)のいずれかに記載の組成物。
(8) 前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2を含む、(1)~(7)のいずれかに記載の組成物。
(9) 前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が、組成物の全量に対して、1~5質量%である、(1)~(8)のいずれかに記載の組成物。
(10) 前記(C)多価アルコールがグリセリンを含む、(1)~(9)のいずれかに記載の組成物。
(11) 前記(C)多価アルコールの配合量が、組成物の全量に対して、20質量%以上である、(1)~(10)のいずれかに記載の組成物。
(12) 前記(D)アニオン界面活性剤がステアロイルグルタミン酸ナトリウムを含む、(1)~(11)のいずれかに記載の組成物。
(13) 前記ステアロイルグルタミン酸ナトリウムの配合量が、組成物の全量に対して、0.4質量%以上である、(12)に記載の組成物。
(14) 前記(D)アニオン界面活性剤がココイルメチルタウリンナトリウムを含む、(1)~(13)のいずれかに記載の組成物。
(15) 前記ココイルメチルタウリンナトリウムの配合量が、組成物の全量に対して、0.4質量%以上である、(14)に記載の組成物。
(16) 入浴剤である、(1)~(15)のいずれかに記載の組成物。
【0008】
本発明の組成物を用いることにより、湯船に投入した場合であっても、化粧水の有する効果を実感でき、かつ良好な経時安定性を有する点で有利である。
【発明の具体的説明】
【0009】
本発明によれば、
(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、
(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルと、
(C)多価アルコールと、
(D)ココイルメチルタウリンナトリウムおよびステアロイルグルタミン酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上を含むアニオン界面活性剤と
を含有する組成物が提供される。
【0010】
<ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油>
本発明の組成物に含まれるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、親水性非イオン界面活性剤として公知の化合物であり、通常医薬品等の皮膚外用剤に用いられるものが配合される。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油におけるオキシエチレンの付加モル数は、特に限定されるものでないが、20~100モルが好ましく、40~100モルがより好ましい。オキシエチレンの付加モル数が約60であるPEG-60水添ヒマシ油が特に好ましい。このような範囲のオキシエチレンの付加モル数のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を用いることは、組成物の安定性の観点から好ましい。PEG-60水添ヒマシ油の市販品としては、ニッコール HCO-60(日光ケミカルズ株式会社製)を挙げることができる。
【0011】
本発明の組成物に含まれるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、組成物の全量に対して、5~15質量%であり、より好ましくは、組成物の全量に対して、10~12質量%である。
【0012】
<ポリグリセリン脂肪酸エステル>
本発明の組成物に含まれるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリグリセリンモノステアリン酸エステル、ポリグリセリンモノオレイン酸エステル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられ、これらの中でもジイソステアリン酸ポリグリセリルが好ましく、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2が特に好ましい。
【0013】
本発明の組成物に含まれるポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値は、特に限定されるものではないが、8以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。
【0014】
本発明の組成物に含まれるポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、組成物の全量に対して、1~5質量%であり、より好ましくは、組成物の全量に対して、2~4質量%である。
【0015】
<多価アルコール>
本発明の組成物に含まれる多価アルコールとしては、例えば、
2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、およびオクチレングリコール等);
3価のアルコール(例えば、グリセリン、およびトリメチロールプロパン等);
4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);
5価アルコール(例えば、キシリトール等);
6価アルコール(例えば、ソルビトール、およびマンニトール等);
多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、およびポリグリセリン等);
2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、およびエチレングリコールジブチルエーテル等);
2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、およびジプロピレングリコールブチルエーテル等);
2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、およびプロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);
グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、およびバチルアルコール等);
糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、およびデンプン分解糖還元アルコール等);
グリソリッド;
テトラハイドロフルフリルアルコール;
POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;
POP-ブチルエーテル;
POP・POE-ブチルエーテル;
トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;
POP-グリセリンエーテル;
POP-グリセリンエーテルリン酸;
POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル;および
ポリグリセリン
等が挙げられ、これらの中でも、グリセリンを含むことが好ましい。
【0016】
本発明の組成物に含まれる多価アルコールの配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、組成物の全量に対して、20質量%以上であり、より好ましくは、組成物の全量に対して、40~55質量%である。
【0017】
<アニオン界面活性剤>
本発明の組成物に含まれるアニオン界面活性剤はココイルメチルタウリンナトリウムおよびステアロイルグルタミン酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上を含むものである。
【0018】
本発明の組成物に含まれるアニオン界面活性剤の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、組成物の全量に対して、0.4質量%以上であり、より好ましくは、組成物の全量に対して、1.0~2.0質量%である。
【0019】
本発明の組成物に含まれるアニオン界面活性剤にココイルメチルタウリンナトリウムが含まれる場合には、当該ココイルメチルタウリンナトリウムの配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、組成物の全量に対して、0.4質量%以上であり、より好ましくは、組成物の全量に対して、1.2~2.0質量%、さらに好ましくは、組成物の全量に対して、1.4~1.8質量%である。
【0020】
本発明の組成物に含まれるアニオン界面活性剤にステアロイルグルタミン酸ナトリウムが含まれる場合には、当該ステアロイルグルタミン酸ナトリウムの配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、組成物の全量に対して、0.4質量%以上であり、より好ましくは、組成物の全量に対して、0.5~2.0質量%、さらに好ましくは、組成物の全量に対して、0.6~1.2質量%である。
【0021】
本発明の組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、上記の成分以外に、例えば、粉末成分、紫外線吸収剤、油性成分、各種水性溶媒、増粘剤、金属イオン封鎖剤、単糖、オリゴ糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、その他のアルコール類、pH調整剤、分散剤、酸化防止剤、防腐剤、または安定化剤等を必要に応じて適宜配合してよい。
【0022】
本発明の組成物の好ましい態様によれば、湯船などに投入して組成物の希釈時、微細エマルションを形成する組成物(微細エマルション組成物)が提供される。当該微細エマルション組成物は、水性処方中に添加すると、微細エマルション組成物の乳化粒子が、微小な粒子径を保ったままで水性処方中に分散し、安定な微細エマルション製剤を得ることができる。そして、このようにして得られた微細エマルション製剤に含まれる乳化粒子は、非常に小さな粒子径であるにもかかわらず、長期間安定に存在することができる。本発明の微細エマルション組成物は、そのままで、例えば入浴剤、あるいはリンス、クレンジングオイル等の皮膚外用剤として用いることができる。また、本発明の微細エマルション組成物を、さらに水性処方中に配合して皮膚外用剤とすることも可能である。
【0023】
本発明の微細エマルション組成物は、上記成分を用い、公知の方法によって調製することができる。微細エマルション組成物の製造方法としては、例えば、転相温度乳化法、凝集法、液晶乳化法、D相乳化法などの界面化学的手法、高圧ホモジナイザーなどの高圧乳化機、高せん断分散機、コロイドミルといった機械的手法を用いることができ、これらの方法を単独で、あるいは複数を組み合わせて用いることができる。より具体的は、例えば、界面化学的手法である液晶乳化法で第一段階の乳化を行った後、高圧ホモジナイザーによる機械的手法で第二段階の乳化を行なうことにより、乳化粒子径が100nm以下に微細化された微細エマルションエマルション組成物を得ることができる。なお、本発明にかかる微細エマルション組成物において、乳化粒子径は、通常、0.01~1.0μmであり、特に好ましくは0.01~0.5μmである。
【0024】
本発明の組成物の好ましい別の態様によれば、湯船などに投入して組成物の希釈時、白濁または青濁する組成物が提供される。当該白濁または青濁する組成物は、上記した微細エマルション組成物であってもよい。また、本発明において、白濁には青白濁(青白く白濁)も含まれ、本発明の組成物を、例えば入浴剤として用いた場合には、希釈後に青白濁することにより、化粧水の有する効果を想起させることからより好ましい。さらには、希釈前には透明であり、希釈後に青白濁することが特に好ましい。
【0025】
<入浴剤>
本発明の組成物は、入浴剤であることが好ましい。本発明の組成物を、湯船などに投入して入浴剤として用いることにより、化粧水の有する効果を実感でき、かつ良好な経時安定性を有するものとなる。
【実施例0026】
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。含有量は特記しない限り、質量%で示す。
【0027】
試験例1
下記の実施例1~7および比較例1の組成物(表1参照)について、「化粧水の有する効果感」、「サンプルの安定性」、「初期状態(外観)」、および「希釈時の状態(外観)」について評価を行った。各評価の評価方法は下記の通りに行った。また、各評価結果を下記表1に示す。
【0028】
(1)化粧水の有する効果感
各実施例のサンプルを用い、入浴剤として使用後に肌にしっとりさや滑らかさなどスキンケア感を感じるかどうかを専門パネラー9名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
<評価基準>
A: 専門パネラー7名以上が塗布後にスキンケア感を感じると認めた。
B: 専門パネラー4名以上7名未満が塗布後にスキンケア感を感じると認めた。
C: 専門パネラー4名未満が塗布後にスキンケア感を感じると認めた。
【0029】
(2)初期状態(外観)
各実施例のサンプルの試作直後の外観を観察した。評価基準は以下の通りである。
<外観の評価基準>
a: 無色透明であった。
b: 青白く透明であった。
c: 白濁または析出物が観察された。
【0030】
(3)サンプルの安定性
各実施例のサンプルを試作後、室温で1日保持した後の状態を確認し析出物や分離の有無を確認した。評価基準は以下のとおりである。
<評価基準>
A: 析出物及び分離は認められなかった。
B: 析出物がわずかに認められた。
C: 析出物が認められた。
D: 分離が認められた。
【0031】
(4)希釈時の状態変化(外観変化)
各実施例のサンプル0.1gを水100gに希釈した時の外観を以下の基準で評価し、初期状態(外観)からの変化を評価した。
<外観の評価基準>
a: 無色透明であった。
b: 青白く透明であった。
c: 白濁が観察された。
【0032】
【表1】