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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188955
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】防虫網戸及びそれを用いた網戸装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/52 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
E06B9/52 B
E06B9/52 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097261
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000107930
【氏名又は名称】セイキ販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】戸田 宏次
(72)【発明者】
【氏名】守谷 将人
(57)【要約】
【課題】構造が簡単で小形且つ軽量であると共に網戸取付枠に対する取り付け及び取り外しも簡単に行うことができる防虫網戸、及びその防虫網戸を用いた網戸装置を提供する。
【解決手段】長方形のネット21の四辺に、中空テープ22a,22bを取り付けて、ネット21の短辺の中空テープ22b内に線径が細い金属線から成る弾性線条23bを挿入すると共に、長辺の中空テープ22a内に線径が太い金属線から成る弾性線条23aを挿入し、ネット21の四隅のコーナー部分に、L字形の2種類のコーナー部品24,27を、同種のコーナー部品が対角位置に配置されるように着脱可能に取り付けて、互いに直交する弾性線条23a,23bの端部を保持させた。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部の網戸取付枠に着脱自在に取り付けるための防虫網戸であって、
左右の縦辺及び上下の横辺を有する矩形で柔軟なネットと、該ネットの左右の縦辺及び上下の横辺にそれぞれ取り付けられた柔軟な中空テープと、前記ネットを矩形に保つため前記中空テープの内部にそれぞれ挿入されることにより該ネットの左右の縦辺及び上下の横辺に個別に取り付けられた弾性線条と、該弾性線条の脱落を防止するため前記ネットの4つのコーナーにそれぞれ取り付けられたコーナー部品とを有する、
ことを特徴とする防虫網戸。
【請求項2】
前記ネットの左右の縦辺に取り付けられた弾性線条の剛性と、前記ネットの上下の横辺に取り付けられた弾性線条の剛性とは、互いに相違する、
ことを特徴とする請求項1に記載の防虫網戸。
【請求項3】
前記ネットにおける左右の縦辺の長さと上下の横辺の長さとは互いに相違し、長さの短い辺に取り付けられた弾性線条の剛性は、長さの長い辺に取り付けられた弾性線条の剛性よりも小さい、
ことを特徴とする請求項2に記載の防虫網戸。
【請求項4】
前記長さの短い辺に取り付けられた弾性線条の線径は、長さの長い辺に取り付けられた弾性線条の線径よりも小さい、
ことを特徴とする請求項3に記載の防虫網戸。
【請求項5】
前記コーナー部品は、前記ネット及び中空テープより硬質であって、前記ネットの隣接する縦辺及び横辺に跨がるように取り付けられ、前記縦辺に沿って延びる縦アーム部分と、前記横辺に沿って延びる横アーム部分と、これら縦アーム部分及び横アーム部分の間に位置する中央部分とを有し、
前記縦アーム部分は、前記縦辺に取り付けられた中空テープが前記弾性線条と共に嵌合する縦スリットを有し、
前記横アーム部分は、前記横辺に取り付けられた中空テープが前記弾性線条と共に嵌合する横スリットを有し、
前記中央部分は、前記縦辺及び横辺に取り付けられた弾性線条の端部がそれぞれ当接する当接部を有する、
ことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の防虫網戸。
【請求項6】
前記4つのコーナー部品のうち、少なくともネットの対角方向に位置する2つのコーナー部品の前記中央部分は、開閉自在のカバーを有し、該カバーに前記当接部が形成されており、該カバーを開放すると、前記縦辺及び横辺に取り付けられた中空テープの端部が露出することにより、該中空テープに対する前記弾性線条の挿入及び抜き取りが可能になる、
ことを特徴とする請求項5に記載の防虫網戸。
【請求項7】
前記ネット及び中空テープは繊維製であり、前記弾性線条は金属製であり、前記コーナー部品は合成樹脂製である、
ことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の防虫網戸。
【請求項8】
建物開口部に固定的に取り付けられる網戸取付枠に、請求項1から7の何れかに記載の防虫網戸を装着して成る網戸装置であって、
前記網戸取付枠は、矩形の内周に開口する一連の凹溝を有しており、
前記防虫網戸における前記弾性線条及びコーナー部品を含む外周部が、前記凹溝に嵌合されている、
ことを特徴とする網戸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に設けられた網戸取付枠に着脱自在に取り付けるための防虫網戸、及び、その防虫網戸を前記網戸取付枠に取り付けて成る網戸装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物開口部に設けられた取付枠に着脱自在に取り付けることができる防虫網戸(網戸)は、例えば特許文献1に開示されているように公知である。
この特許文献1に開示された網戸は、一対の縦框と一対の横框とを組み合わせて構成した枠状の框に網材を張設し、前記横框の一部を弾性体で形成することにより湾曲可能としたもので、この網戸を建物開口部の取付枠に取り付けるときは、前記横框を湾曲させることによって該網戸の横幅を狭くし、その状態で該網戸を上端側又は下端側から前記取付枠内に挿入したあと、前記横枠の湾曲を解除して前記縦框及び横框を前記取付枠に係止させることにより、該網戸を前記取付枠に取り付けることができる。
【0003】
しかしながら、前記網戸は、前記網材を張設する前記框を、中空のチャンネル材からなる前記縦框と、ゴム材と中空のコーナーブロックとを連結した前記横框とを組み合わせて構成しているため、構造が複雑で重量も大きいという欠点があり、前記取付枠に対する取り付け及び取り外しも手間を要するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6031135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的課題は、構造が簡単で小形且つ軽量であると共に網戸取付枠に対する取り付け及び取り外しも簡単に行うことができる防虫網戸、及びその防虫網戸を用いた網戸装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するため、本発明に係る防虫網戸は、建物開口部の網戸取付枠に着脱自在に取り付けるための防虫網戸であって、左右の縦辺及び上下の横辺を有する矩形で柔軟なネットと、該ネットの左右の縦辺及び上下の横辺にそれぞれ取り付けられた柔軟な中空テープと、前記ネットを矩形に保つため前記中空テープの内部にそれぞれ挿入されることにより該ネットの左右の縦辺及び上下の横辺に個別に取り付けられた弾性線条と、該弾性線条の脱落を防止するため前記ネットの4つのコーナーにそれぞれ取り付けられたコーナー部品とを有することを特徴とする。
【0007】
前記防虫網戸において、好ましくは、前記ネットの左右の縦辺に取り付けられた弾性線条の剛性と、前記ネットの上下の横辺に取り付けられた弾性線条の剛性とは、互いに相違している。特に、前記ネットにおける左右の縦辺の長さと上下の横辺の長さとは互いに相違する場合には、長さの短い辺に取り付けられた弾性線条の剛性が、長さの長い辺に取り付けられた弾性線条の剛性よりも小さいとより好ましい。このとき、前記長さの短い辺に取り付けられた弾性線条の線径を、長さの長い辺に取り付けられた弾性線条の線径よりも小さくしても良い。
【0008】
また、前記防虫網戸において、好ましくは、前記コーナー部品は、前記ネット及び中空テープより硬質であって、前記ネットの隣接する縦辺及び横辺に跨がるように取り付けられ、前記縦辺に沿って延びる縦アーム部分と、前記横辺に沿って延びる横アーム部分と、これら縦アーム部分及び横アーム部分の間に位置する中央部分とを有し、前記縦アーム部分は、前記縦辺に取り付けられた中空テープが前記弾性線条と共に嵌合する縦スリットを有し、前記横アーム部分は、前記横辺に取り付けられた中空テープが前記弾性線条と共に嵌合する横スリットを有し、前記中央部分は、前記縦辺及び横辺に取り付けられた弾性線条の端部がそれぞれ当接する当接部を有する。
【0009】
このとき、より好ましくは、前記4つのコーナー部品のうち、少なくともネットの対角方向に位置する2つのコーナー部品の前記中央部分は、開閉自在のカバーを有し、該カバーに前記当接部が形成されている。そうすることで、該カバーを開放すると、前記縦辺及び横辺に取り付けられた中空テープの端部が露出することにより、該中空テープに対する前記弾性線条の挿入及び抜き取りが可能になる。
また、前記防虫網戸において、好ましくは、前記ネット及び中空テープは繊維製であり、前記弾性線条は金属製であり、前記コーナー部品は合成樹脂製である。
【0010】
さらに、前記技術的課題を解決するため、本発明に係る網戸装置は、建物開口部に固定的に取り付けられる網戸取付枠に、前記防虫網戸を装着して成る網戸装置であって、前記網戸取付枠は、矩形の内周に開口する一連の凹溝を有しており、前記防虫網戸における前記弾性線条及びコーナー部品を含む外周部が、前記凹溝に嵌合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、構造が簡単で小形且つ軽量であると共に網戸取付枠に対する取り付け及び取り外しも簡単に行うことができる防虫網戸、及びその防虫網戸を用いた網戸装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る防虫網戸を建物開口部の網戸取付枠に取り付けた状態の縦断面図である。
図2図1の横断面図である。
図3】本発明に係る防虫網戸の正面図である。
図4図3のIV-IV線に沿った要部拡大断面図である。
図5図3のV-V線に沿った要部拡大断面図である。
図6図3を第1コーナー部品の位置で破断した要部拡大断面図である。
図7図3を第2コーナー部品の位置で拡大して示す要部拡大斜視図である。
図8図7の第2コーナー部品のカバーを取り外した状態の要部拡大斜視図である。
図9】中空テープが取り付けられたネットのコーナーにコーナー部品を取り付ける前の状態を示す要部拡大斜視図である。
図10】ネットのコーナーにコーナー部品を取り付けた状態を示す要部拡大斜視図である。
図11】四隅のコーナーにコーナー部品を取り付け、弾性線条を中空テープに挿入する前の状態を示す防虫網戸の正面図である。
図12】中空テープの内部に弾性線条を挿入する前の状態を示す要部拡大斜視図である。
図13】防虫網戸を建物開口部の網戸取付枠に取り付ける方法を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び図2は、本発明に係る防虫網戸2を、建物開口部Wに設けた網戸取付枠3に対して、嵌め殺し状態で取り外し可能なるように取り付けた網戸装置1の一例を示すものである。
【0014】
前記建物開口部Wは、滑り出し窓として構成されたもので、アルミニウム合金製のサッシ4に取り付けた障子5を、不図示のハンドルを操作することにより室外側に押し出して開放するものであり、前記サッシ4より室内側の位置に形成された取付部6に、前記網戸取付枠3が枠固定螺子3aにより取り付けられている。しかし、前記防虫網戸2を取り付ける場所は、このような滑り出し窓に限るものではなく、開き窓や突き出し窓のように、ハンドル操作で障子を開閉する各種窓に取り付けることもできる。
【0015】
前記網戸取付枠3は、コ字形断面を有する左右の縦枠杆31,31と上下の横枠杆32,32とを組み合わせることにより矩形に形成されたもので、前記左右の縦枠杆31,31及び上下の横枠杆32,32に形成された凹溝31a,32a内に、前記防虫網戸2の左右の縦辺部及び上下の横辺部をそれぞれ嵌合させることにより、該防虫網戸2が前記網戸取付枠3に取り付けられている。すなわち、前記網戸装置1は、前記網戸取付枠3の矩形の内周に開口する一連の凹溝31a,32a内に、前記防虫網戸2の外周部を嵌合させることによって、前記網戸取付枠3に前記防虫網戸2を装着して成るものである。
なお、以下の説明において、「上下」及び「左右」とは、前記建物開口部Wを室内側から見た場合の向きであり、また、「前」は室外側、「後(背)」は室内側である。
【0016】
前記防虫網戸2は、図3図5に示すように、左右の縦辺及び上下の横辺を有する矩形で柔軟なネット21と、該ネット21の左右の縦辺部及び上下の横辺部にそれぞれ取り付けられた柔軟な中空テープ22と、前記ネット21を矩形に保つため、前記中空テープ22の内部にそれぞれ挿入されることにより該ネットの左右の縦辺及び上下の横辺に沿って個別に取り付けられた4本の弾性線条23と、該弾性線条23の脱落を防止するため、前記ネットの4つのコーナーにそれぞれ取り付けられた2種類のコーナー部品24,27とを有している。
【0017】
前記ネット21は、化学繊維や金属繊維等の繊維を用いて形成することができるが、好ましくは、通常の網戸におけるネットと同様に、ポリエステル、ポリプロピレン、ガラスファイバー等の化学繊維で形成されている。図示した例で該ネット21の縦方向(上下方向)の長さは、横方向(左右方向)の長さより長く形成されている。換言すれば、前記ネット21の縦辺の長さは横辺の長さより長い。
【0018】
また、前記中空テープ22は、繊維製の布テープを2つに折り曲げた状態で前記ネット21の左右の縦辺部及び上下の横辺部に取り付けることにより、長手の両端が開口した中空状に形成されたものである。しかし、予め中空状に形成したテープ22を前記縦辺部及び横辺部に取り付けても良い。この場合、前記中空テープ22は、前記縦辺部及び横辺部にその全長に渡って連続的に取り付けることが重要である。前記中空テープ22を前記縦辺部及び横辺部に取り付ける方法には、糸による逢着あるいは接着剤による接着等がある。
【0019】
前記中空テープ22を形成する布テープとしては、防虫網戸用として使用することができるものであればどのようなものを使用しても良いが、好ましくは、布目に対して斜めに裁断したバイアステープを用いることである。そうすることにより、前記バイアステープは伸縮性があるため、前記防虫網戸2を網戸取付枠3に対して着脱する際に、該防虫網戸2の縦辺部及び横辺部を滑らかに湾曲させることができる。
【0020】
以下の説明においては、前記ネット21の左右の縦辺部に取り付けられた中空テープ22を「縦中空テープ22a」と呼び、上下の横辺部に取り付けられた中空テープ22を「横中空テープ22b」と呼ぶこともある。
【0021】
そして、前記弾性線条23は、例えばピアノ線のような曲げに対する剛性とばね性とに勝れた金属線によって直線状に形成されたもので、力を加えて湾曲させても、その力を取り去ると直ちに元の直線形状に復元する程度の弾性力を有するものである。
【0022】
前記上下の横辺に沿って取り付けられた弾性線条23bの線径は、左右の縦辺に沿って取り付けられた弾性線条23aの線径より小さく形成されている。これは、長さの短い横辺に沿って取り付ける弾性線条23bの剛性を、長さの長い縦辺に沿って取り付ける弾性線条23aの剛性より小さくすることにより、前記防虫網戸2を網戸取付枠3に着脱する際に、前記横辺部を湾曲させ易くするためである。しかし、前記縦辺及び横辺に沿って取り付ける弾性線条23a,23bの線径を同径にし、横辺に沿って取り付ける弾性線条23bとして剛性の小さいものを使用しても良い。
【0023】
以下の説明においては、前記ネット21の左右の縦辺に沿って取り付けられた弾性線条23を「縦弾性線条23a」と呼び、上下の横辺に沿って取り付けられた弾性線条23を「横弾性線条23b」と呼ぶこともある。
【0024】
ここで、前記縦弾性線条23aの長さは、前記縦中空テープ22aの長さ(すなわち、ネット21の縦辺の長さ)と同じかそれよりも少し長く形成され、該縦弾性線条23aの上端及び下端を前記縦中空テープ22aの上端及び下端から突出させ易いようになっている。また同様に、前記横弾性線条23bの長さは、前記横中空テープ22bの長さ(すなわち、ネット21の横辺の長さ)と同じかそれよりも少し長く形成され、該横弾性線条23bの左端及び右端を前記横中空テープ22bの左端及び右端から突出させ易いようになっている。そうすることで、ネット21全体を矩形に延びた状態に保つことができるばかりでなく、後述のように、防虫網戸1を廃棄のために分解する際にも、前記縦横の中空テープ22内から縦横の弾性線条23を容易に抜き取ることができるため、分別作業も容易となる。
【0025】
さらに、前記コーナー部品24,27は、前記ネット21及び中空テープ22より硬質の合成樹脂素材からなるもので、前記ネット21の4隅に、隣接する縦辺部及び横辺部に跨がるように全部で4つ取り付けられている。このうち、前記ネット21の右上及び左下の対角位置に取り付けられた2つの第1コーナー部品24同士の構成、及び、前記ネットの左上及び右下の対角位置に取り付けられた2つの第2コーナー部品27同士の構成は、それぞれ同じであるが、前記第1コーナー部品24の構成と第2コーナー部品27の構成とは、互いに相違している。
【0026】
先ず、前記第1コーナー部品24の構成を説明する。この第1コーナー部品24は、図3図4及び図6から明らかなように、前記ネットの縦辺に沿って延びる縦アーム部分25と、横辺に沿って延びる横アーム部分26と、これら縦アーム部分25及び横アーム部分26の間に位置する中央部分24aとを有している。
【0027】
前記縦アーム部分25には、前記縦辺部に取り付けられた中空テープ22aが、該中空テープ22a内に挿入された前記弾性線条23aと共に嵌合する縦スリット25aが形成されている。この縦スリット25aは、前記中空テープ22aの前記弾性線条23aが挿入されていない部分が嵌合する間隔の狭い狭幅部25bと、前記中空テープ22aの前記弾性線条23aが挿入されている部分が嵌合する間隔の広い広幅部25cとを有している。該広幅部25cの断面形状は丸孔状あるいは角孔状である。
【0028】
同様に、前記横アーム部分26にも、前記横辺に取り付けられた中空テープ22bが、該中空テープ22b内に挿入された前記弾性線条23bと共に嵌合する横スリット26aが形成されており、この横スリット26aも、前記中空テープ22bの前記弾性線条23bが挿入されていない部分が嵌合する間隔の狭い狭幅部26bと、前記中空テープ22bの前記弾性線条23bが挿入されている部分が嵌合する間隔の広い広幅部26cとを有している。該広幅部26cの断面形状も丸孔状あるいは角孔状であるが、該広幅部26cの間隔は、前記縦アーム部分25に形成された広幅部25cの間隔より狭い。
【0029】
そして、前記縦アーム部分25における前記縦スリット25aの広幅部25cに前記縦弾性線条23aが嵌合すると共に、前記横アーム部分26における前記横スリット26aの広幅部26cに前記横弾性線条23bが嵌合することにより、前記第1コーナー部品24は、これらの弾性線条23に係止して上下方向及び左右方向に変位不能となり、その結果、前記ネット21に対して固定的に取り付けられた状態になる。従って、該第1コーナー部品24は、前記ネット21に接着等の手段で固定しなくても、該ネット21から脱落することがない。ただし、前記第1コーナー部品24は、前記ネット21に接着等の手段により固定されていても良い。
【0030】
また、図6に示すように、前記中央部分24aには、前記ネット21の縦辺に沿って取り付けられた弾性線条23aの端部が当接する縦線当接部24bと、前記ネット21の横辺に沿って取り付けられた弾性線条23bの端部が当接する横線当接部24cとが、90度異なる向きに形成され、これら縦線当接部24bと横線当接部24cとによって前記弾性線条23の脱落が防止されている。
【0031】
一方、前記第2コーナー部品27は、図3図5図7及び図8から明らかなように、前記ネット21の縦辺に沿って延びる縦アーム部分28と、横辺に沿って延びる横アーム部分29と、これら縦アーム部分28及び横アーム部分29の間に位置する中央部分27aとを有している。前記縦アーム部分28には縦スリット28aが形成され、前記横アーム部分29には横スリット29aが形成されており、その構成は基本的に前記第1コーナー部品24と同じである。しかし、前記第1コーナー部品24とは、前記中央部分27aがカバー27bによって開閉自在である点と、該カバー27bに前記第1コーナー部品24と同様の縦線当接部及び横線当接部(図示略)が形成されている点で、相違している。
【0032】
即ち、前記第2コーナー部品27の中央部分27aには、該中央部分27aの背面(室内側の面)を覆う前記カバー27bが、該中央部分27aの前面(室外側の面)側から貫通孔27cに挿通されたカバー取付螺子27dによって着脱自在に取り付けられている。該カバー27bは、略L字形をしていて、前記縦アーム部分28の一部と横アーム部分29の一部とに跨っており、該カバー27bを取り外すと、前記縦アーム部分28に形成された縦スリット28aの端部と、前記横アーム部分29に形成された横スリット29aの端部とが、それぞれ前記中央部分27aに露出するようになっている。そして、前記カバー27bの内面側には、前記縦線当接部及び横線当接部(図示略)と、前記貫通孔27cに挿通させたカバー取付螺子27dを螺合させることにより、前記カバー27bを前記中央部分27aに着脱自在に固定するための螺子穴27eとが形成されている。
【0033】
前記4つのコーナー部品24,27のうち、対角位置にある2つの第2コーナー部品27をカバー27bで開閉自在とした理由は、前記防虫網戸2の組立時に、前記ネット21の左右の縦辺及び上下の横辺に沿って前記弾性線条23を簡単に取り付けることができるようにするためである。そこで、以下に、前記防虫網戸2の組み立て方について説明する。
【0034】
先ず、図9及び図10に示すように、各縦辺部及び横辺部に中空テープ22が取り付けられた前記ネット21の4つのコーナーに、前記第1コーナー部品24と、カバー27bを取り外した状態の第2コーナー部品27とを取り付ける。その取り付けは、図10に第2コーナー部品27について代表的に示すように、縦アーム部分28の縦スリット28a内に、前記ネット21の縦辺の中空テープ22(22a)を嵌合させると共に、横アーム部分29の横スリット29a内に、前記ネット21の横辺の中空テープ22(22b)を嵌合させることにより行う。前記第1コーナー部品24についても同様である。このとき、前記中空テープ22内に弾性線条23は挿入されていない。
【0035】
次に、図11及び図12に示すように、2つの第2コーナー部品27の位置から、ネット21の縦辺部に取り付けられた縦中空テープ22a内にそれぞれ縦弾性線条23aを挿入すると共に、ネット21の横辺部に取り付けられた横中空テープ22b内にそれぞれ横弾性線条23bを挿入する。このとき、前記縦弾性線条23aは、その先端が、該縦弾性線条23aの挿入方向にある第1コーナー部品24の縦線当接部24b(図6参照)に当接する位置まで挿入され、前記横弾性線条23bは、その先端が、該横弾性線条23bの挿入方向にある第1コーナー部品24の横線当接部24c(図6参照)に当接する位置まで挿入される。
【0036】
続いて、前記2つの第2コーナー部品27に、それぞれ前記カバー27bをカバー取付螺子27dにより取り付ける。そうすると、該カバー27bの縦線当接部(図示略)が前記縦弾性線条23aの端部に当接すると共に、横線当接部(図示略)が前記横弾性線条23bの端部に当接するため、これらの縦弾性線条23a及び横弾性線条23bの脱落が防止される。これによって防虫網戸2の組み立てが完了する。
【0037】
前記防虫網戸2を保守や廃棄等のために分解するときは、前記組み立て時の手順と逆の手順をたどれば良い。前記第2コーナー部品27のカバー27bを開放すると、前記縦辺部及び横辺部に取り付けられた中空テープ22の端部が露出することにより、該中空テープ22内に対する前記弾性線条23の挿入及び抜き取りが可能になる。そのため、前記防虫網戸2を廃棄する場合には、繊維製のネット21及び中空テープ22と、合成樹脂製のコーナー部品24,27と、金属製の弾性線条23とに簡単に分離することができ、分別作業が容易である。
【0038】
続いて、前記構成を有する防虫網戸2を建物開口部Wの網戸取付枠3に取り付けることにより、前記網戸装置1を組み立てるにあたっては、例えば、図13に示すように、前記防虫網戸2を縦方向及び横方向に圧縮して、前記ネット21の縦辺に沿って取り付けられた縦弾性線条23aを内方向に湾曲させると共に、横辺に沿って取り付けられた横弾性線条23bを内方向に湾曲させる。それにより、前記ネット21を縦方向及び横方向に撓ませて、前記防虫網戸2の縦寸法及び横寸法を縮小させる。このとき、本実施形態では、長さのより短い前記横弾性線条23bの曲げ剛性が、長さのより長い前記縦弾性線条23aの曲げ剛性よりも小さくなるように、前記横弾性線条23bの線径を前記縦弾性線条23aの線径よりも小さくしたため、前記防虫網戸2の寸法を横方向に対しても縦方向と同様にスムーズに縮小させることができる。
【0039】
そして、例えば、ネット21における一方の縦辺の両端コーナーに取り付けられた前記第1コーナー部品24及び第2コーナー部品27の縦アーム部分25,28を、前記網戸取付枠3の内周側から一方の縦枠杆31の凹溝31aに嵌合させると共に、ネット21における一方の横辺の両端コーナーのに取り付けられた前記第1コーナー部品24及び第2コーナー部品27の横アーム部分26,29を、同じく前記網戸取付枠3の内周側から一方の横枠杆32の凹溝32aに嵌合させる。
【0040】
さらに、前記防虫網戸2に対する縦方向及び横方向への圧縮を解除しながら、ネット21の四隅のコーナーに取り付けられた第1コーナー部品24及び第2コーナー部品27の全てを、前記網戸取付枠3の内周側から、前記一対の縦枠杆31及び一対の横枠杆32の凹溝31a,32aに嵌合させると、図1及び図2に示すように、ネット21が張られた状態で防虫網戸2が網戸取付枠3に保持される。このとき、前記防虫網戸2における前記4本の弾性線条23及び前記4つコーナー部品24,27を含む外周部が、前記凹溝31a,32a内に嵌合されている。
【0041】
逆に、前記防虫網戸2の保守や交換等のために、前記網戸取付枠3から該防虫網戸2を取り外すにあたっては、前記網戸装置1の組み立て時の手順と逆の手順をたどれば良い。
なお、前記網戸装置1においては、防虫機能をより向上させるため、前記網戸取付枠3の凹溝31a,32aの溝底等に、発泡ウレタン等から成る弾性シール部材を予め取り付けておいても良い。
【0042】
以上のように、上記防虫網戸2及びそれを用いた網戸装置1によれば、網戸取付枠3に対する防虫網戸2の着脱が極めて容易であるため、前記防虫網戸2の保守や交換等にあたっての作業効率をより向上させることが可能となる。また、前記防虫網戸2は、上述のように構造が簡単で小型軽量化が可能であるばかりでなく、破棄の際にも分別作業が極めて容易である。
【符号の説明】
【0043】
W :建物開口部
1 :網戸装置
2 :防虫網戸
21:ネット
22:中空テープ
22a:縦中空テープ
22b:横中空テープ
23:弾性線条
23a:縦弾性線条
23b:横弾性線条
24:第1コーナー部品
24a:中央部分
24b:縦線当接部
24c:横線当接部
25:縦アーム部分
25a:縦スリット
25b:狭幅部
25c:広幅部
26:横アーム部分
26a:横スリット
26b:狭幅部
26c:広幅部
27:第2コーナー部品
27a:中央部分
27b:カバー
27c:貫通孔
27d:カバー取付螺子
27e:螺子穴
28:縦アーム部分
28a:縦スリット
28b:狭幅部
28c:広幅部
29:横アーム部分
29a:横スリット
29b:狭幅部
29c:広幅部
3 :網戸取付枠
3a:枠固定螺子
31:縦枠杆
31a:凹溝
32:横枠杆
32a:凹溝
4 :サッシ
5 :障子
6 :取付部

図1
図2
図3
図4
図5
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図13