(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188965
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】情報提供システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20221215BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20221215BHJP
G16Y 10/35 20200101ALI20221215BHJP
G16Y 20/30 20200101ALI20221215BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20221215BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J13/00 301A
G16Y10/35
G16Y20/30
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097276
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128277
【弁理士】
【氏名又は名称】專徳院 博
(72)【発明者】
【氏名】坂本 修司
【テーマコード(参考)】
5G064
5L049
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AA04
5G064AC09
5G064BA02
5G064CB08
5G064DA05
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】需要家に役立つ電気使用量・電気料金など電気の使用に関する情報をタイムリーに提供可能な情報提供システムを提供する。
【解決手段】スマートメーターが計測する需要家の電気使用量データを受信し記憶するメーターデータ管理サーバ10と、アクセスする需要家端末200に情報メニューを提供するwebサーバ20と、前記需要家端末200により選択された前記情報メニューに対応した資料を作成、提供する情報管理サーバ40と、を備え、前記情報メニューは、電気使用量、電気活用メッセージ、料金プランを含み、前記情報管理サーバ40は、前記需要家端末200を管理する需要家の前記電気使用量データを用いて要求された情報を作成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートメーターが計測する需要家の電気使用量データを受信し記憶するメーターデータ管理サーバと、
アクセスする需要家端末に情報メニューを提供するwebサーバと、
前記需要家端末により選択された前記情報メニューに対応した資料を作成、提供する情報管理サーバと、
を備え、
前記情報メニューは、電気使用量、電気活用メッセージ、料金プランを含み、
前記情報管理サーバは、前記需要家端末を管理する需要家の前記電気使用量データを用いて要求された情報を作成することを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
さらに需要家からの問い合わせに対応するオペレータが管理する、ネットワークを介して前記webサーバ及び前記情報管理サーバと接続するオペレータ端末を備え、
前記情報管理サーバは、前記オペレータ端末により選択された前記情報メニューに対応した情報を、問い合わせをした前記需要家の前記電気使用量データを用いて作成することを特徴とする請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記情報メニューの電気使用量は、(1)電気使用量の実績情報、(2)過去の電気使用量との比較情報、(3)地域の電気使用量との比較情報、(4)環境と電気使用量との説明情報を含み、
前記需要家端末又は前記オペレータ端末は、前記電気使用量に関し(1)~(4)のいずれか1以上の情報を選択可能なことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記情報管理サーバは、前記需要家の前記電気使用量データと、ネットワークを介して入手可能な気象データを含む公共データ・ビッグデータとを用い、前記(3)地域の電気使用量との比較情報又は前記(4)環境と電気使用量との説明情報を作成することを特徴とする請求項3に記載の情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気使用量・電気料金など電気の使用に関する情報を提供する情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電力量計が従来の機械式電力量計(機械式計器)あるいは電子式電力量計(電子式計器)からスマートメーターに順次取り替えられている。スマートメーターは、通信機能を備え、さらに30分毎の電力使用量(電気使用量)を計測・保存可能なためこれら機能を利用した多くのサービスが提案されている。
【0003】
例えば、スマートメーターで計測した電力量を用いてユーザの活動状態を推定する電力データ処理システムが提案されている。この電力データ処理システムでは、電力データに電力量属性データを付加し、これとユーザの活動状態との関係を機械学習させ、ユーザの活動状態を推定している(例えば特許文献1参照)。
【0004】
自己のエネルギーの使用状況を把握し、あるいは自己に適したエネルギー毎の料金プランを決定したいとの需要家の要望に応じ、需要家が希望するエネルギーに関する情報を提供するエネルギー診断システムがある(例えば特許文献2参照)。
【0005】
また電気使用および電力事業者に対する需要家の関心を高めるため、需要家に対して所定の期間の電力使用料金を割り引く電力料金割引システム・割引方法も提案されている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-28208号公報
【特許文献2】特開2016-66363号公報
【特許文献3】特開2020-201838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電気使用量、太陽光の発電量等に対し不信感を抱き、これについて需要家から電力事業者(電気事業者)に問い合わせがされる場合がある。このような問い合わせに対しては、タイムリーに情報提供することが重要であり、スマートメーターの30分毎の電力使用量(30分値)を利用することができる。このような不信感を伴うような問い合わせに対しては、特に見やすく、理解しやすい情報提供が好ましいが、スマートメーターの30分値は数値の羅列であり、見やすくまた理解しやすいものとは言い難い。
【0008】
需要家からの問い合わせは、電気使用量、太陽光の発電量等に以外にも、電気料金に対するもの、料金プラン、料金の割引、電気使用に伴うポイントの付与などもある。一方、需要家の電気に関する関心を高めるために、電力事業者から需要家に向け需要家に役立つ情報提供を行う場合もあり、今後、電気の使用に関する情報提供が増えることが予想される。
【0009】
本発明の目的は、需要家に役立つ電気使用量・電気料金など電気の使用に関する情報をタイムリーに提供可能な情報提供システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、スマートメーターが計測する需要家の電気使用量データを受信し記憶するメーターデータ管理サーバと、アクセスする需要家端末に情報メニューを提供するwebサーバと、前記需要家端末により選択された前記情報メニューに対応した資料を作成、提供する情報管理サーバと、を備え、前記情報メニューは、電気使用量、電気活用メッセージ、料金プランを含み、前記情報管理サーバは、前記需要家端末を管理する需要家の前記電気使用量データを用いて要求された情報を作成することを特徴とする情報提供システムである。
【0011】
本発明に係る情報提供システムは、さらに需要家からの問い合わせに対応するオペレータが管理する、ネットワークを介して前記webサーバ及び前記情報管理サーバと接続するオペレータ端末を備え、前記情報管理サーバは、前記オペレータ端末により選択された前記情報メニューに対応した情報を、問い合わせをした前記需要家の前記電気使用量データを用いて作成することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る情報提供システムにおいて、前記情報メニューの電気使用量は、(1)電気使用量の実績情報、(2)過去の電気使用量との比較情報、(3)地域の電気使用量との比較情報、(4)環境と電気使用量との説明情報を含み、前記需要家端末又は前記オペレータ端末は、前記電気使用量に関し(1)~(4)のいずれか1以上の情報を選択可能なことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る情報提供システムにおいて、前記情報管理サーバは、前記需要家の前記電気使用量データと、ネットワークを介して入手可能な気象データを含む公共データ・ビッグデータとを用い、前記(3)地域の電気使用量との比較情報又は前記(4)環境と電気使用量との説明情報を作成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、需要家に役立つ電気使用量・電気料金など電気の使用に関する情報をタイムリーに提供可能な情報提供システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態の情報提供システム1の構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態の情報提供システム1のwebサーバ20が提供するメニュー一覧21である。
【
図3】本発明の第1実施形態の情報提供システム1の情報管理サーバ40の機能構成図である。
【
図4】本発明の第1実施形態の情報提供システム1の情報管理サーバ40が作成する電気使用量実績表である。
【
図5】本発明の第1実施形態の情報提供システム1の情報管理サーバ40が作成する電気使用量実績表である。
【
図6】本発明の第1実施形態の情報提供システム1の情報管理サーバ40が提供すする「電気活用メッセージ」の一資料である。
【
図7】本発明の第1実施形態の情報提供システム1の情報提供の手順を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第2実施形態の情報提供システム2の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態の情報提供システム1の構成図である。
図2は、本発明の第1実施形態の情報提供システム1のwebサーバ20が提供するメニュー一覧21である。
図3は、本発明の第1実施形態の情報提供システム1の情報管理サーバ40の機能構成図である。
【0017】
本発明の第1実施形態の情報提供システム1は、電気使用量・電気料金など電気の使用に関する情報を提供する情報提供システムであり、スマートメーターから送信される需要家(顧客)の電力使用量(電気使用量)データを記憶するメーターデータ管理サーバ10と、webサイトを提供するwebサーバ20と、電気使用量・電気料金など電気の使用に関する資料を作成し又は提供する情報管理サーバ40とを含む。
【0018】
スマートメーターは、通信機能を備える電力量計であり、需要家の電力使用量を計測し、30分間の電力使用量を30分値データとして記憶する。この30分値データはスマートメーター識別番号(計器番号)と紐付けられ、集約装置、無線基地局、通信システム(HES)などを経由してメーターデータ管理サーバ10に送信される。
【0019】
メーターデータ管理サーバ10は、データを送受信する通信手段、データを記憶する記憶手段、通信手段・記憶手段を制御する制御手段を備え、各スマートメーターから送信される使用日時毎の30分値データを記憶手段に保存する。また情報管理サーバ40の要求に応じて記憶する30分値データを送信する。
【0020】
webサーバ20は、CPU、メモリ、記憶手段、入出力インターフェース、入出力手段を備えるコンピュータであり、電力事業者(電気事業者)のwebサイトを提供する。またwebサーバ20は、ネットワーク100を通じて情報管理サーバ40と接続し、電力事業者のwebサイトを通じて要求されたメニューに対応した情報を作成、提供するように情報管理サーバ40に要求する。
【0021】
電力事業者のwebサイトは、web会員専用サイトを備え、このweb会員専用サイトを通じて電気使用量・電気料金など電気の使用に関する情報を提供する。具体的にはweb会員専用サイトは、web会員がログインするためのログイン画面、さらにID、パスワードを入力する入力画面、メニューを選択可能なメニュー一覧画面を備え、アクセスする需要家端末(顧客端末)200にログイン画面等を提供する。
【0022】
ここでweb会員は、電力事業者の顧客(需要家)であって、予め会員登録した者である。需要家端末200は、需要家が管理、使用する端末であり、たとえばパソコン、携帯端末(スマートフォン)である。
【0023】
需要家端末200に提供されるメニュー一覧21は、
図2に示すように電気使用量、「電気活用メッセージ」26、「料金プラン」27で構成され、電力使用量は、「電気使用量の実績」22、「過去の使用実績との比較」23、「地域の電気使用量との比較」24、「環境と電気使用量との関係」25からなり、電気使用量・電気料金など電気の使用に関する情報を提供する。これらメニューは、1つのメニューのみならず一度に全メニューが選択可能に構成される。
【0024】
「電気使用量の実績」22は、需要家の電気使用実績を提供するものであり、年月を指定することで該当月の電気使用実績を提供する。「過去の使用実績との比較」23は、需要家の指定した月の電力使用量と前年度の当該月の電気使用量とを対比表を提供する。このとき対比表とともに気温差、日照時間を合わせて表示するのがよい。日照時間は、晴れ、曇り、雨、雪などの月間の比率でもよい。需要家の電気使用量(電気代)や太陽光の発電量に対する不審は、この「電気使用量の実績」22、あるいは「過去の使用実績との比較」23で解くことができる。
【0025】
「地域の電気使用量との比較」24は、需要家の電気使用実績と需要家の近隣地域の電気使用実績とを対比するかたちで提供する。30分値データを地域、例えば郵便番号等のエリアコード、部屋数が一定以上の集合住宅等で集計し、利用者のデータを含めた平均値及び時間経過を伴う変動幅を「地域係数」として、匿名性を担保した上でビッグデータとして活用する。集合住宅の間取りや負荷設備、用途区分(住宅地、商業値、工業地など)を反映させた任意の地域ごとの平均値を、需要家の電気使用実績と比較することで、より精度の高い料金プランの提案、問題解決に向けたアドバイスが可能になる。
【0026】
「環境と電気使用量との関係」25は、環境と電気使用量との関係を示すデータを提供する。使用量の変動の少ない使用場所、例えば長期不在等で人の出入りや家電の使用がないと思われる契約を任意の条件指定により抽出し、使用量の変動を「環境係数」として活用する。使用量の変動を地域の外気温の変化と定義し、算出した「環境係数」が平均値より大きい場合、ほかの地域に比べ使用量が大きくなる傾向にあることを表示する。
【0027】
「電気活用メッセージ」26は、上手に電気を活用して頂くための情報を提供するものである。具体的には家電とその消費電力さらにはその上手な利用方法等を提供するものであり、例えば夏季と冬季とに分け、代表的な家電に関する温度設定、経年劣化等などの一覧情報を提供する。他の方法としては、家電を選択可能に構成された家電一覧を提供し、選択された家電に対して個別に上手な利用方法等の情報を提供してもよい。
【0028】
「料金プラン」27は、需要家の実状に即した料金試算サービスを提供する。需要家が現在使用しているもとは別の料金単価を設定後、任意の期間の使用量を「新実績」として保存し、需要家の実状に即した料金試算サービスを提供する。料金試算は、例えば過去1年間の使用実績、一律の係数による月ごとに仮定した使用量(プロファイリング)により行う。
【0029】
またwebサーバ20は、需要家データベース30を備える。需要家データベースは、契約番号、契約者名、契約種別、住所、電話番号、ファクシミリ番号、電子メールアドレスなどを記憶する。契約番号は、スマートメーター識別番号(計器番号)と紐付けられている。本実施形態では、webサーバ20内に需要家データベース30を設けるが、別途、ネットワーク100に接続するデータサーバを設け、ここに需要家データを格納してもよい。
【0030】
情報管理サーバ40は、CPU、メモリ、記憶手段、入出力インターフェース、入出力手段を備えるコンピュータであり、コンピュータを以下の手段として機能させるためのプログラムを有し、webサーバ20の要求に応じて電気使用量・電気料金など電気の使用に関する情報を所定の手順で自動作成する。
【0031】
情報管理サーバ40は、電気使用量・電気料金など電気の使用に関する資料を作成する手段として、電気使用量の実績資料を作成する実績資料成手段41、指定された月の電力使用量と前年度の当該月の電気使用量とを対比した資料を作成する対比資料作成手段42、需要家の電気使用実績と地域の電気使用実績との比較資料を作成する地域実績資料作成手段43、環境と電気使用量との関係を示す資料を作成する環境影響資料作成手段44、需要家の実状に即した料金の試算を行い、これに関する資料を作成する料金試算資料作成手段45を備える。
【0032】
また情報管理サーバ40は、上手に電気を活用して頂くための電気活用メッセージなどの資料、各種資料を送付する際の送付案内などの雛形を格納し、webサーバ20の要求に応じた資料を提供する資料・雛形提供手段46を備える。また資料・雛形提供手段46は、電気使用量の実績資料等を作成するためのテンプレートを備える。上記情報管理サーバ40の各手段は、webサーバ20のメニュー一覧に対応した資料を作成、提供する。
【0033】
実績資料成手段41は、webサーバ20のメニュー一覧の「電気使用量の実績」22が選択された際の資料を作成する手段である。実績資料成手段41は、webサーバ20から送信される需要家情報及び要求された年月の電気使用量に対し、契約番号に紐付けられた計器番号及び年月を指定しメーターデータ管理サーバ10から該当する30分値データを取得する。併せて実績資料成手段41は、資料・雛形提供手段46から電気使用量の実績表の作成に使用するテンプレートを読み出し、当該テンプレートにデータを入力する形で電気使用量の実績表を作成する。
【0034】
図4及び
図5に情報管理サーバ40が作成する電気使用量の実績表を示す。ここでは
図4及び
図5に分割されているが、実際には
図4を縦向きとしたその下に縦向きとした
図5がつながったA3サイズの縦長の一枚の資料となっている。実績表は、最上段に実績表の該当年月、続いてご契約者番号、契約名義が記載され、その下に該当年月のデータ表が記載される。このデータ表には、各日の1時間毎の電気使用量及び1日毎の使用量が記載され、電気使用量の平均値の2倍を超える時間帯は黄色、4倍を超える時間帯は赤色で表示される。
【0035】
データ表の下には棒グラフで示された1日ごとの電気使用量、さらにその下には棒グラフで示された時間帯別の電気使用量が記載される。下段には電気の使用状況を示す3次元の棒グラフが記載される。ここには1時間当たりの平均使用量、その他電気使用量の傾向等を解説した「ご使用量状況の傾向について」、代表的な家電の消費電力を示した「消費電力について」、電気を上手にお使いいただくための解説を記載した「電気を上手にお使いいただくために」などの補足説明が併せて記載される。
【0036】
電気使用量の実績表の形式は、上記形式に限定されるものではないが、電気使用量の実績表を上記形式とすれば、プリントアウトした用紙を中央で「くの字」状に折り曲げて参照することで、用紙上半分の30分値データと下半分の3Dグラフ部分が容易に比較でき好ましい。また上記形式のような実績表であれば、月間の使用状況を容易に可視化できる。
【0037】
対比資料作成手段42は、webサーバ20のメニュー一覧21の「過去の使用実績との比較」23が選択された際の資料を作成する手段である。対比資料作成手段42は、webサーバ20から送信される需要家情報及び要求された年月の電気使用量に対し、契約番号に紐付けられた計器番号及び年月を指定しメーターデータ管理サーバ10から該当月及び前年度の該当月の30分値データを取得する。併せて対比資料作成手段42は、資料・雛形提供手段46から「過去の使用実績との対比表」の作成に使用するテンプレートを読み出し、当該テンプレートにデータを入力する形で過去の使用実績との対比表を作成する。
【0038】
対比資料作成手段42は、「過去の使用実績との対比表」を作成するとき、併せて過去の年月と比較した場合の気温差や日照時間等を用いた補足情報表示することが好ましい。気温・日照時間などの気象データは、気象庁が公開する商用利用可能なデータを利用すればよい。
【0039】
地域実績資料作成手段43は、webサーバ20のメニュー一覧21の「地域の電気使用量との比較」24が選択された際の資料を作成する手段である。地域実績資料作成手段43は、webサーバ20から送信される需要家情報から需要家の近隣住所を特定し、webサーバ20にアクセスし、需要家データベース30から近隣住所の需要家情報を読み出す。
【0040】
その後、地域実績資料作成手段43は、需要家及び近隣住所の需要家の契約番号に紐付けられた計器番号及び年月を指定し、メーターデータ管理サーバ10から該当する30分値データを取得する。地域実績資料作成手段43は、取得した近隣住所の需要家の30分値データを合算し、これを契約件数で除算し、地域の電気使用量実績を算出する。続いて資料・雛形提供手段46から「地域実績対比表」の作成に使用するテンプレートを読み出し、当該テンプレートにデータを入力する形で地域実績対比表を作成する。
【0041】
環境影響資料作成手段44は、webサーバ20のメニュー一覧21の「環境と電気使用量との関係」25が選択された際の資料を作成する手段である。環境影響資料作成手段44は、webサーバ20から「環境と電気使用量との関係」の作成指令を受けると、使用量の変動の少ない使用場所、例えば長期不在等で人の出入りや家電の使用がないと思われる契約を任意の条件指定により抽出し、メーターデータ管理サーバ10から該当する30分値データを取得する。続いて資料・雛形提供手段46から「環境影響資料」の作成に使用するテンプレートを読み出し、当該テンプレートにデータを入力する形で環境影響資料を作成する。
【0042】
ここでは使用量の変動を「環境係数」として活用し、使用量の変動を地域の外気温の変化と定義し、算出した「環境係数」が平均値より大きい場合、ほかの地域に比べ使用量が大きくなる傾向にあることを表示する。
【0043】
料金試算資料作成手段45は、需要家の実状に即した料金の試算を行い、これに関する資料を作成する手段である。料金試算資料作成手段45は、webサーバ20から「料金プラン」27の作成指令を受けると、webサーバ20から送信される需要家情報から計器番号を指定し、メーターデータ管理サーバ10から過去1年間の30分値データを取得する。この使用実績を基に新たな料金単価を設定し、任意の期間の使用量を「新実績」とした料金試算を行う。料金試算資料作成手段45は、資料・雛形提供手段46から「料金試算資料」の作成に使用するテンプレートを読み出し、当該テンプレートにデータを入力する形で料金試算資料を作成する。
【0044】
情報管理サーバ40は、webサーバ20から「電気活用メッセージ」26の提供指令を受けると資料・雛形提供手段46から「電気活用メッセージ」の資料を読み出し、webサーバ20に送信する。電気活用メッセージ」26の資料が、夏季と冬季とに分けて作成されている場合、あるいは家電毎に資料が作成されている場合には、資料・雛形提供手段46から要求された資料を読み出しwebサーバ20に送信する。
図6に「電気活用メッセージ」の資料の一例を示した。
【0045】
次に
図7に基づき、本発明の第1実施形態の情報提供システム1の情報提供の手順を示す。
【0046】
電力事業者のwebサイトの会員である需要家は、需要家端末200を通じて電力事業者が開設するweb会員専用サイトにアクセスする(ステップS1)。webサーバ20は、需要家端末200にweb会員専用サイトにログインするための画面(ログイン画面)を提供する(ステップS2)。需要家は、ID、パスワードを入力し、web会員専用サイトにログインする(ステップS3)。
【0047】
webサーバ20は、需要家端末200にメニュー一覧21の画面を提供し(ステップS4)、需要家は、メニュー一覧21から1以上のメニューを選択する(ステップS5)。ここでは、「電気使用量の実績」22が選択されたものとする。webサーバ20は、「電気使用量の実績」22が選択されると、「電気使用量の実績」22の年月を入力するための画面を提供し(ステップS6)、需要家は、当該画面から要求する「電気使用量の実績」22の年月を入力する(ステップS7)。
【0048】
webサーバ20は、要求する「電気使用量の実績」22の年月が入力されると、需要家データベース30から需要家データを読み出し、要求する「電気使用量の実績」22の年月とともに需要家データを情報管理サーバ40に送信する(ステップS8)。情報管理サーバ40は、webサーバ20からデータを受信すると、計器番号及び年月を指定し、メーターデータ管理サーバ10に30分値データを要求する(ステップS9)。メーターデータ管理サーバ10は、記憶手段から要求された30分値データを読み出し、情報管理サーバ40に送信する(ステップS10)。
【0049】
情報管理サーバ40は、30分値データを受領すると資料・雛形提供手段46から電気使用量の実績表を作成するためのテンプレートを読み出し、これにデータを入力し電気使用量の実績表を作成し、webサーバ20に送信する(ステップS11)。webサーバ20は、情報管理サーバ40から実績表を受領すると、需要家端末200に当該実績表を閲覧可能な画面を提供する(ステップS12)。
【0050】
以上により電気事業者のwebサイトの会員である需要家は、需要家端末200を通じて電気使用量の実績を確認することができる(ステップS13)。webサーバ20が提供するメニュー一覧21の他のメニューについても情報提供システム1は、基本的に同じ手順で動作する。
【0051】
以上のように本発明の第1実施形態の情報提供システム1は、電気事業者のwebサイトを通じて需要家に役立つ電気使用量・電気料金など電気の使用に関する情報を提供するので、web会員は、自己の端末を介して簡単に電気使用量の実績等を確認することができる。また情報提供システム1は、電気使用量・電気料金など電気の使用に関し複数の情報を提供可能に構成されるため需要家にとって便利である。
【0052】
また情報提供システム1は、基本的に電気使用量・電気料金など電気の使用に関する情報を、情報を要求した需要家の電気使用量の実績に基づき作成する。このため需要家は、実状に即した実用的な情報を入手することが可能であり好ましい。またこれらは電気使用量、太陽光発電量等に対する疑念の解消に資する。また本発明の第1実施形態の情報提供システム1は、近隣地域の需要家の電気使用量、天気に関するデータを用いた情報も提供可能なため需要家は多様なまた有用な情報を得ることができる。
【0053】
また本発明の第1実施形態の情報提供システム1は、電気使用量・電気料金など電気の使用に関する情報(資料)を予め定めた手順に従い自動作成・自動送信するため、需要家の要求する情報をタイムリーに提供することができる。
【0054】
図8は、本発明の第2実施形態の情報提供システム2の構成図である。
図1から
図7に示す本発明の第1実施形態の情報提供システム1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
本発明の第2実施形態の情報提供システム2は、本発明の第1実施形態の情報提供システム1にオペレータ端末50が付加された構成からなる。オペレータ端末50は、需要家からの電話による問い合わせに対応するオペレータが管理する、ネットワーク100に接続可能なコンピュータである。オペレータは、通常、電力事業者が開設したお問合せセンターの担当者である。
【0056】
電力事業者と契約した需要家のうち電力事業者が提供するwebサイトの会員(web会員)の場合、第1実施形態の情報提供システム1で説明のとおり、自身の端末200からweb会員専用サイトにログインし、そこから電気使用量の実績表などの情報・データを入手することができる。逆にいえばweb会員以外の需要家は、第1実施形態の情報提供システム1では電気使用量の実績表などを入手できない。
【0057】
第2実施形態の情報提供システム2は、web会員以外の需要家でも電気使用量の実績などの情報・データを入手可能とするためのシステムであり、需要家からの電話による問い合わせに対応するオペレータが、需要家から要求を聞き、オペレータ端末50からweb会員専用サイトにログインする。以降、電気使用量の実績表などの作成手順は、第1実施形態の情報提供システム1と同じである。
【0058】
電話による問い合わせを行った需要家に対しては、要求された電気使用量の実績表などの情報・データを紙に出力し郵送する必要がある。このため第2実施形態の情報提供システム2では、以下の要領で、要求された電気使用量の実績表などの情報・データと共に送付案内を作成し、オペレータ端末50に送信する。
【0059】
webサーバ20は、web会員専用サイトにログインした端末が、ID、パスワードからオペレータ端末50であると判断すると、情報管理サーバ40に電気使用量の実績表などの他に送付案内を作成し返信するように要求する。情報管理サーバ40は、webサーバ20の要求に対応し、資料・雛形提供手段46から電気使用量の実績表などを作成するためのテンプレート、送付案内の雛形を読み出し、電気使用量の実績表などとともに送付案内を作成し返信する。
【0060】
オペレータは、要求された電気使用量の実績表などの情報・データを、オペレータ端末50を用いて紙に出力し、需要家に郵送する。需要家がファクシミリによる資料の送付を希望する場合は、ファクシミリ送信する。またオペレータは、オペレータ端末50を通じて受領した電気使用量の実績表などの情報・データを担当部門に転送し、担当部門から需要者に資料を郵送、ファクシミリ送信するようにしてもよい。担当部門は、例えば需要家のエリアを管轄する電力事業者の営業所などである。
【0061】
以上のように本発明の第2実施形態の情報提供システム2によれば、需要家は、電力事業者のお問合せセンターなどに対し、電話、ファクシミリを通じて電気使用量・電気料金など電気の使用に関する情報提供を申し込み、要求した資料を郵便、ファクシミリで受ける取ることができる。このように電力事業者のweb会員以外の需要家であっても電気使用量・電気料金など電気の使用に関する情報を得ることができるので便利である。
【0062】
以上、本発明の第1、第2実施形態の情報提供システム1、2により本発明に係る情報提供システムを説明したが、本発明に係る情報提供システムは、上記実施形態に限定されるものではなく要旨を変更しない範囲で変更し使用することができる。
【0063】
電気使用量・電気料金など電気の使用に関する情報を記載した資料及びその形態は、上記実施形態以外であってもよい。例えば
図4及び
図5に示す電気使用量の実績表では、1時間単位の電気使用量を示すが、2時間単位、6時間単位等であってもよい。一方で電気使用量・電気料金など電気の使用に関する情報を記載した資料は、
図4及び
図5に示す電気使用量の実績表のように、一見して内容が理解できるようにグラフ、着色など視覚に訴えた構成となったものが好ましい。
【0064】
また資料の作成手順・要領も自動作成可能であれば他の形態であってもよい。さらにオペレータ又は担当部門が郵送する資料、ファクシミリ送信する資料には、電力事業者のwebサイト及びその入会案内等を同封するのがよい。
【0065】
上記実施形態では、スマートメーターが計測する需要家の電気使用量データを用い、電気使用量・電気料金など電気の使用に関する情報を提供するが、ガス/水道などにおいてスマートメーターと同様の機能を有する計器を備える場合には、本発明に係る情報提供システムを活用することで、ガス/水道使用量・料金などガス/水道の使用に関する情報を提供することができる。
【0066】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更及び修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
【符号の説明】
【0067】
1、2 情報提供システム
10 メーターデータ管理サーバ
20 webサーバ
21 メニュー一覧
22 電気使用量の実績
23 過去の使用実績との比較
24 地域の電気使用量との比較
25 環境と電気使用量との関係
26 電気活用メッセージ
27 料金プラン
30 需要家データベース
40 情報管理サーバ
41 実績資料成手段
42 対比資料作成手段
43 地域実績資料作成手段
44 環境影響資料作成手段
45 料金試算資料作成手段
46 資料・雛形提供手段
50 オペレータ端末
100 ネットワーク
200 需要家端末