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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188966
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20221215BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097277
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 和宏
(72)【発明者】
【氏名】吉延 泰之
(72)【発明者】
【氏名】大塚 和彦
(72)【発明者】
【氏名】藤原 良雄
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電線路が分岐する電柱に設置された開閉器の選択状態を容易に判断する情報処理装置及び方法を提供する。
【解決手段】情報処理装置2は、補助記憶装置に記憶されている教師データを取得する第1取得部210と、撮像画像データと、正解データである電線路を特定する情報とが対応付けられた教師データに基づき、正解データを出力するよう学習済みの機械学習済モデルを生成するモデル生成部211と、電線路が分岐する電柱に設けられた開閉器及び複数の電線路を含む被写体を、撮像装置を用いて撮像して得られる撮像画像データを取得する第2取得部212と、取得した撮像画像データを入力した場合に、複数の電線路のうち、開閉器を介して接続された2つの電線路を特定する情報を出力するよう学習済みの学習済モデルを用いて、取得した撮像画像データから、開閉器を介して接続された2つの電線路を特定する情報を出力する出力部213と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線路が分岐する電柱に設けられた開閉器と、複数の電線路と、を含む被写体を、撮像装置を用いて撮像して得られる撮像画像データを取得する取得部と、
取得した前記撮像画像データを入力した場合に、前記複数の電線路のうち、前記開閉器を介して接続された2つの電線路を特定する情報を出力するよう学習済みの学習済モデルを用いて、取得した前記撮像画像データから、前記開閉器を介して接続された2つの電線路を特定する情報を出力する出力部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記学習済モデルは、電線路が分岐する電柱に設けられた開閉器と、複数の電線路と、を含む被写体を撮像して得られた撮像画像データを含む入力データと、前記入力データにおける複数の電線路のうち、前記入力データにおける開閉器に接続された前記2つの電線路を特定する情報を含む正解データとが対応付けられた教師データに基づき、前記入力データを入力した場合に前記正解データを出力するよう学習済みである、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記電柱の位置情報と、前記被写体を撮像した際の前記撮像装置の位置情報とを更に取得し、
前記出力部は、前記開閉器に接続された前記2つの電線路の各々の延在方向を特定する情報を更に出力し、
前記入力データは、前記電柱の位置情報と、前記被写体を撮像した際の前記撮像装置の位置情報とを更に含み、
前記正解データは、前記開閉器に接続された前記2つの電線路の各々の延在方向を特定する情報を更に含む
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
電線路が分岐する電柱に設けられた開閉器と、複数の電線路と、を含む被写体を撮像して得られた撮像画像データを含む入力データと、前記入力データにおける複数の電線路のうち、前記入力データにおける開閉器に接続された2つの電線路を特定する情報を含む正解データとが対応付けられた教師データに基づき、入力データを入力した場合に正解データを出力するよう学習済みの学習済モデルを生成するモデル生成部を備えた情報処理装置。
【請求項5】
電線路が分岐する電柱に設けられた開閉器と、前記開閉器を介して接続された2つの電線路を含む複数の電線路と、を含む被写体を撮像して取得した撮像画像データを取得するステップと、
学習済モデルを用いて、前記撮像画像データから、前記複数の電線路のうち、前記開閉器を介して接続された2つの電線路を特定する情報を出力するステップと
を含み、
前記学習済モデルは、電線路が分岐する電柱に設けられた開閉器と、前記開閉器を介して接続された2つの電線路を含む複数の電線路と、を含む被写体を撮像して取得した撮像画像データを含む入力データと、前記撮像画像データに写った複数の電線路のうち、前記開閉器に接続された前記2つの電線路を特定する情報を含む正解データとが対応付けられた教師データに基づき、前記入力データを入力した場合に前記正解データを出力するよう学習済みの機械学習モデルである、
情報処理方法。
【請求項6】
電線路が分岐する電柱に設けられた開閉器と、前記開閉器を介して接続された2つの電線路を含む複数の電線路と、を含む被写体を撮像して取得した撮像画像データを含む入力データと、前記撮像画像データに写った複数の電線路のうち、前記開閉器に接続された前記2つの電線路を特定する情報を含む正解データとが対応付けられた教師データに基づき、前記入力データを入力した場合に前記正解データを出力するよう学習済みの学習済モデルを生成するステップ
を含む情報処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配電設備において、電線路が分岐する電柱に開閉器が設置される場合がある。開閉器には、3以上の電線路から選択された2つの電線路が接続される。開閉器は、オン・オフを切り替えることによって、選択された2つの電線路の間の接続又は切断を制御する。
【0003】
一方、配電設備を管理するための管理システムには、開閉器に接続される電線路として、どの2つの電線路が選択されているか(選択状態)、開閉器がオンであるかオフであるか(接続状態)、開閉器が正常であるか異常であるかといった開閉器の状態が登録される。
【0004】
例えば、開閉器の選択状態又は接続状態が変更されると、作業者は、変更後の選択状態又は接続状態を管理システムに登録する。また、開閉器が異常と判断されると、作業者は、開閉器が異常と判断された旨を管理システムに登録する。
【0005】
ここで、作業者は、開閉器の選択状態、接続状態、開閉器が正常であるか異常であるかといった開閉器の状態を正確に判断した上で管理システムに登録する必要がある。
【0006】
開閉器が正常であるか異常であるかを判断する方法としては、例えば特許文献1には、人工知能(AI)を用いて判断する方法が記載されている。
【0007】
一方、開閉器の選択状態を判断する方法としては、作業者による目視や装柱写真を用いて判断する方法が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-187955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、電線路が分岐する電柱においては、柱上の電線路の配置が複雑である場合がある。このような場合、特に経験の乏しい作業者は、開閉器の選択状態を正確に判断することは困難である。
【0010】
本発明の目的は、電線路が分岐する電柱に設置された開閉器について、開閉器の選択状態を容易に判断することを可能とする情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明のうちの一つは、電線路が分岐する電柱に設けられた開閉器と、複数の電線路と、を含む被写体を、撮像装置を用いて撮像して得られる撮像画像データを取得する取得部と、取得した前記撮像画像データを入力した場合に、前記複数の電線路のうち、前記開閉器を介して接続された2つの電線路を特定する情報を出力するよう学習済みの学習済モデルを用いて、取得した前記撮像画像データから、前記開閉器を介して接続された2つの電線路を特定する情報を出力する出力部と、を備えた情報処理装置である。
【0012】
このような構成によれば、撮像画像データを取得するのみで、開閉器を介して接続された2つの電線路を特定することができる。従って、作業者は、経験によらず、開閉器の選択状態を容易に判断することが可能となる。
【0013】
本発明の他の一つは、上記情報処理装置において、前記学習済モデルは、電線路が分岐する電柱に設けられた開閉器と、複数の電線路と、を含む被写体を撮像して得られた撮像画像データを含む入力データと、前記入力データにおける複数の電線路のうち、前記入力データにおける開閉器に接続された前記2つの電線路を特定する情報を含む正解データとが対応付けられた教師データに基づき、前記入力データを入力した場合に前記正解データを出力するよう学習済みである。
【0014】
このような構成によれば、過去に蓄積された複数の教師データに基づいて生成された学習済モデルが用いられるため、出力される選択状態の精度が向上する。
【0015】
本発明の他の一つは、上記情報処理装置において、前記取得部は、前記電柱の位置情報と、前記被写体を撮像した際の前記撮像装置の位置情報とを更に取得し、前記出力部は、前記開閉器に接続された前記2つの電線路の各々の延在方向を特定する情報を更に出力し、前記入力データは、前記電柱の位置情報と、前記被写体を撮像した場所の位置情報とを更に含み、前記正解データは、前記開閉器に接続された前記2つの電線路の各々の延在方向を特定する情報を更に含む。
【0016】
このような構成によれば、開閉器に接続された2つの電線路の各々の延在方向を特定する情報が更に出力されるため、開閉器を支持する電柱、複数の電線路等の平面上における配置を特定することができる。これによって、開閉器に接続された2つの電線路を、作業者にわかりやすく出力することができる。
【0017】
本発明の他の一つは、電線路が分岐する電柱に設けられた開閉器と、複数の電線路と、を含む被写体を撮像して得られた撮像画像データを含む入力データと、前記入力データにおける複数の電線路のうち、前記入力データにおける開閉器に接続された2つの電線路を特定する情報を含む正解データとが対応付けられた教師データに基づき、入力データを入力した場合に正解データを出力するよう学習済みの学習済モデルを生成するモデル生成部を備えた情報処理装置である。
【0018】
このような構成によれば、電線路が分岐する電柱に設けられた開閉器と、複数の電線路と、を含む被写体を撮像して得られた撮像画像データ入力した場合に、複数の電線路のうち、開閉器に接続された2つの電線路を特定する情報を出力する学習済モデルを生成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電線路が分岐する電柱に設置された開閉器について、開閉器の選択状態を容易に判断することを可能とする情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】情報処理システム1の構成を示す図である。
図2】開閉器等を説明するための斜視図である。
図3】開閉器等を説明するための斜視図である。
図4】情報処理装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】教師データ5を説明する図である。
図6】教師データ5を説明する図である。
図7】情報処理装置2の機能ブロックを示す図である。
図8】撮像画像の一例を説明する図である。
図9】学習済モデルを生成するまでの処理の流れを説明するフローチャートである。
図10】出力画面を表示させるまでの処理の流れを説明するフローチャートである。
図11】出力画面の一例を示す図である。
図12】入力データの一例を示す図である。
図13】正解データの一例を示す図である。
図14】撮像画像データと、位置情報との一例を説明する図である。
図15】出力画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
==第1実施形態==
<<情報処理システム>>
図1は、本実施形態の情報処理システム1の概略構成を示す図である。詳細は後述するが、情報処理システムは1、電線路が分岐する電柱に設けられた開閉器と、複数の電線路と(以下、「開閉器等」と称する場合がある。)を含む被写体を撮像して得られる撮像画像データから、開閉器の状態を出力するためのシステムである。
【0022】
情報処理システム1は、情報処理装置2と、携帯端末3とを含む。情報処理装置2と、携帯端末3とは、ネットワークNWを介して通信可能に接続されている。ネットワークNWは、例えばインターネット等の公衆回線、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等の専用回線等である。
【0023】
<開閉器等>
図2及び図3は、開閉器等を説明するための斜視図である。開閉器41は、電線路が分岐する電柱40に設置されている。この例では、3つの電線路43,44,45が示されている。また、この例では、三相交流の配電方式を採用するため、3つの電線路43,44,45の各々は、3本の電線から構成されている。
【0024】
開閉器41は、開閉器本体410と、接続端子411と、指針412とを備えている。開閉器本体410は、箱状であり、開閉器41のオン・オフを切り替えるためのスイッチング回路(図示せず)が内部に設けられている。
【0025】
接続端子411は、3つの電線路43,44,45のうち2つの電線路を、開閉器41に接続するために設けられている。この例では、開閉器本体410の一の側面に3個の接続端子411aが設けられ、他の側面に3個の接続端子411bが設けられている。
【0026】
図2及び図3は、開閉器41に接続される電線路として、どの2つの電線路が選択されているかを示す状態(以下、「開閉器の選択状態」と称する場合がある。)のみが異なっている。
【0027】
具体的に、図2では、3個の接続端子411aの各々は、ケーブル42aを介して電線路43の電線に接続されている。3個の接続端子411bの各々は、ケーブル42bを介して電線路44の電線に接続されている。これによって、開閉器41の選択状態は、電線路43と電線路44とが選択されている状態となる。
【0028】
図3は、図2と比べると、3個の接続端子411bは、ケーブル42bを介して電線路45の電線に接続されている点で異なっている。これによって、開閉器41の選択状態は、電線路43と電線路45とが選択されている状態となる。
【0029】
指針412は、開閉器41がオンであるかオフであるかを示す状態(以下、「開閉器の接続状態」と称する場合がある。)を切り替えるために設けられている。
【0030】
指針412は、開閉器本体410の一の側面に設けられている。指針412の先端部を例えば手動で「入」の表示に向けると、開閉器41をオンにすることができる。これによって、開閉器41に接続された2つの電線路間を接続することができる。また、指針412の先端部を手動で「切」の表示に向けると、開閉器41をオフにすることができる。これによって、開閉器41に接続された2つの電線路間を切断することができる。
【0031】
<携帯端末>
携帯端末3は、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等の携帯可能な端末であり、撮像装置を搭載している。作業者は、携帯端末3を携帯し、電線路が分岐する電柱に支持された開閉器の状態の点検に際して現場に赴き、開閉等を含む被写体を撮像する。携帯端末3は、開閉器等を含む被写体を撮像して得られた撮像画像データを情報処理装置2に提供する。
【0032】
なお、撮像画像データは、携帯端末3により撮像して得られたものに限られず、例えば、電力会社等が管理するカメラにより撮像して得られたものでもよい。撮像画像データは、記録媒体を介して情報処理装置2に提供してもよいし、有線又は無線の通信手段(LAN(Local Area Network)、USB(Universal Serial Bus)等)を介して情報処理装置2に提供してもよい。
【0033】
<情報処理装置>
情報処理装置2は、後述する教師データに基づき、開閉器等を含む被写体を撮像して得られる撮像画像データから、開閉器を介して接続された2つの電線路を特定する情報を出力する学習済モデルを生成する。情報処理装置2は、更に、生成した学習済モデルを用いて、点検の対象である開閉器等を含む被写体を撮像して得られる撮像画像データから、開閉器を介して接続された2つの電線路を特定する情報を出力する。
【0034】
[情報処理装置のハードウェア構成]
図4は、情報処理装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。例示する情報処理装置2は、プロセッサ200、主記憶装置201、補助記憶装置202、入力装置203、出力装置204、及び通信装置205を備える。なお、例示する情報処理装置2は、その全部または一部が、例えば、クラウドシステムによって提供される仮想サーバのように、仮想化技術やプロセス空間分離技術等を用いて提供される仮想的な情報処理資源を用いて実現されるものであってもよい。また、情報処理装置2によって提供される機能の全部または一部は、例えば、クラウドシステムがAPI(Application Programming Interface)等を介して提供するサービスによって実現してもよい。また、情報処理システム1は、通信可能に接続された複数の情報処理装置2を用いて構成してもよい。
【0035】
同図において、プロセッサ200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、AI(Artificial Intelligence)チップ等を用いて構成されている。
【0036】
主記憶装置201は、プログラムやデータを記憶する装置であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ(NVRAM(Non Volatile RAM))等である。
【0037】
補助記憶装置202は、例えば、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ、光学式記憶装置(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等)、ストレージシステム、ICカード、SDカードや光学式記録媒体等の記録媒体の読取/書込装置、クラウドサーバの記憶領域等である。補助記憶装置202には、記録媒体の読取装置や通信装置205を介してプログラムやデータを読み込むことができる。補助記憶装置202に格納(記憶)されているプログラムやデータは主記憶装置201に随時読み込まれる。
【0038】
入力装置203は、外部からの入力を受け付けるインタフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カードリーダ、ペン入力方式のタブレット、音声入力装置等である。
【0039】
出力装置204は、処理経過や処理結果等の各種情報を出力するインタフェースである。出力装置204は、例えば、上記の各種情報を可視化する表示装置(液晶モニタ、LCD(Liquid Crystal Display)、グラフィックカード等)、上記の各種情報を音声化する装置(音声出力装置(スピーカ等))、上記の各種情報を文字化する装置(印字装置等)である。
【0040】
入力装置203及び出力装置204は、ユーザとの間で情報の受け付けや情報の提示を行うユーザインタフェースを構成する。
【0041】
通信装置205は、他の装置との間の通信を実現する装置である。通信装置205は、インターネット等の通信ネットワークを介して他の装置との間の通信を実現する、有線方式または無線方式の通信インタフェースであり、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USBモジュール等である。情報処理装置2は、通信装置205を介して携帯端末3との間で情報の入力や出力を行う構成となっている。
【0042】
情報処理装置2には、例えば、オペレーティングシステム、ファイルシステム、DBMS(DataBase Management System)(リレーショナルデータベース、NoSQL等)、KVS(Key-Value Store)等が導入されていてもよい。
【0043】
情報処理システム1が備える各機能は、情報処理装置2のプロセッサ200が、主記憶装置201に格納されているプログラムを読み出して実行することにより、もしくは、情報処理システム1を構成するハードウェア(FPGA、ASIC、AIチップ等)によって実現される。情報処理システム1は、各種の情報(データ)を、例えば、データベースのテーブルやファイルシステムが管理するファイルとして記憶する。
【0044】
[教師データ]
図5及び図6は、上述した補助記憶装置202に記憶されている、本実施形態の教師データ5を説明する図である。教師データ5は、複数のデータを含んでいる。複数のデータの夫々は、電線路が分岐する電柱に設けられた開閉器であって、選択状態が正しく特定されている一の開閉器に基づくデータである。複数のデータの夫々における開閉器は、例えば開閉器の点検に際して選択状態が特定される。
【0045】
複数のデータの各々は、撮像画像データと、開閉器61を介して接続された2つの電線路を特定する情報51(以下、単に「電線路を特定する情報51」と称する場合がある。)とが対応付けられたデータである。ここで、撮像画像データは入力データであり、電線路を特定する情報51は正解データである。
【0046】
図5は、教師データ5のうち、一のデータにおける入力データである撮像画像データを、撮像画像50aとして表現した図である。図5に示すように、撮像画像50aには、電柱60と、開閉器61と、3つの電線路62,63,64と、を含む被写体が写っている。
【0047】
図6は、教師データ5のうち、一のデータにおける正解データである電線路を特定する情報51を説明する図である。本実施形態では、電線路を特定する情報51は画像データである。図6は、電線路を特定する情報51である画像データを、画像51aとして表現した図である。
【0048】
この例では、開閉器61を介して接続された2つの電線路は、電線路62と電線路63である。つまり、ここでの電線路を特定する情報51は、電線路62と電線路63とを特定する情報である。
【0049】
図6の例では、電線路62と電線路63との各々の一部を囲む破線の矩形510と矩形511とが表示されている。これによって、電線路62と電線路63とが特定されていることが示されている。更に、図6では、矩形510と矩形511とを接続するコネクタ512と、「選択」を表示するテキスト513とが表示されている。テキスト513は、コネクタ512上に表示されている。
【0050】
[情報処理装置の機能ブロック]
図7は、本実施形態の情報処理装置2の機能ブロックを示す図である。本実施形態の情報処理装置2には、プロセッサ200が所定のプログラムを実行することにより、第1取得部210と、モデル生成部211と、第2取得部212と、出力部213と、表示制御部214とが実現される。
【0051】
第1取得部210は、補助記憶装置202に記憶されている教師データ5(図5、6)を取得する。
【0052】
モデル生成部211は、学習済モデルを生成する。学習済モデルは、入力データである撮像画像データと、正解データである電線路を特定する情報51とが対応付けられた教師データ5に基づき、入力データを入力した場合に、正解データを出力するよう学習済みの機械学習モデルである。
【0053】
モデル生成部211は、撮像画像50aの特徴量を学習するディープラーニングを行うことで、撮像画像データを入力とし、電線路を特定する情報51を出力とするニューラルネットワークを、学習済モデルとして構築(生成)する。
【0054】
「特徴量」とは、例えば、開閉器61に接続されたケーブルの経路、ケーブルと電線との節点の位置、ケーブルに接続された電線路の経路等を含む。
【0055】
ニューラルネットワークは、例えばCNN(Convolution Neural Network)であり、撮像画像データの入力を受け付ける入力層と、開閉器61を介して接続された2つの電線路を特定する情報51を出力する出力層と、特徴量を抽出する中間層とを有する。ニューラルネットワークを構築(生成)する詳細な処理については後述する。
【0056】
第2取得部212は、電線路が分岐する電柱に設けられた開閉器と、複数の電線路と、を含む被写体を、撮像装置を用いて撮像して得られる撮像画像データを取得する。ここでの被写体に含まれる開閉器は、点検の対象となる開閉器である。
【0057】
第2取得部212は、携帯端末3から、ネットワークNWを介して撮像画像データを取得する。なお、携帯端末3は、ネットワークNWを介して撮像画像データを補助記憶装置202に予め記憶しておき、第2取得部212は、補助記憶装置202から撮像画像データを取得してもよい。
【0058】
図8は、第2取得部212が取得した撮像画像データによって表現された、撮像画像70aの一例を説明する図である。図8に示すように、撮像画像70aには、電柱80と、開閉器81と、複数の電線路82,83,84,85とを含む被写体が写っている。
【0059】
出力部213は、学習済モデルを用いて、取得した撮像画像データから、電線路を特定する情報を出力する(詳細は後述)。
【0060】
表示制御部214は、出力部213によって出力された電線路を特定する情報を説明する出力画面を生成し、出力装置204に表示させる(詳細は後述)。
【0061】
[学習済モデルを生成するまでの処理]
図9は、情報処理装置2が学習済モデルを生成するまでの処理の流れを説明するフローチャートである。学習済モデルを生成するまでの処理は、ステップS101と、ステップS102とを含んでいる。
【0062】
先ず、情報処理装置2の第1取得部210は、ステップS101において、教師データ5を取得する。図5及び図6に示したデータを含む教師データ5は、ステップS101において第1取得部210が取得した教師データの一例である。
【0063】
次いで、情報処理装置2のモデル生成部211は、ステップS102において、図5及び図6に示したデータを含む教師データ5を用いて、学習済モデルを生成する。
【0064】
ステップS102において、図示しないニューラルネットワークの入力層は、入力された画素値を中間層に受け渡す。中間層は、抽出した特徴量を出力層に受け渡す。出力層は、中間層から出力された特徴量に基づいて電線路を特定する情報を出力する。
【0065】
なお、本実施形態では学習済モデルがニューラルネットワークであるものとして説明するが、学習済モデルはSVM(Support Vector Machine)、ベイジアンネットワーク、回帰木等、他の学習アルゴリズムで構築された学習済モデルであってよい。
【0066】
モデル生成部211は、入力データである撮像画像データを入力層に入力し、出力層から電線路を特定する情報を取得する。出力層から出力された電線路を特定する情報の結果を、正解データと比較し、電線路を特定する情報の結果が正解データとなるように、演算処理に用いるパラメータを最適化する。演算処理に用いるパラメータとは、例えばニューロン間の重み(結合係数)、各ニューロンで用いられる活性化関数の係数等である。パラメータの最適化の方法は特に限定されないが、モデル生成部211は、例えば誤差逆伝播法を用いて各種パラメータの最適化を行う。
【0067】
以上説明した処理により、学習済モデルを生成するまでの処理が終了する。生成された学習済モデルは、補助記憶装置202に記憶される。
【0068】
[出力画面を表示させるまでの処理]
図10は、情報処理装置2が、出力画面を表示させるまでの処理の流れを説明するフローチャートである。出力画面を表示させるまでの処理は、ステップS201~ステップS203を含んでいる。この処理の前に、補助記憶装置202には、学習済モデルが記憶されているとする。
【0069】
先ず、第2取得部212は、ステップS201において、点検の対象となる開閉器と、複数の電線路とを含む被写体を撮像して得られる撮像画像データと、学習済モデルとを取得する。
【0070】
このとき、第2取得部212は、携帯端末3から、ネットワークNWを介して撮像画像データを取得する。更に、第2取得部212は、補助記憶装置202から、学習済モデルを取得する。図8に示した撮像画像70aは、携帯端末3が開閉器等を含む非斜体を撮像して取得した撮像画像データによって表現された撮像画像の一例である。
【0071】
出力部213は、ステップS202において、学習済モデルを用いて、撮像画像データから、開閉器81を介して接続された2つの電線路を特定する情報を出力する。
【0072】
表示制御部214は、ステップS203において、出力部213によって出力された電線路を特定する情報を説明する出力画面を生成し、出力装置204に表示させる。
【0073】
図11は、この例での出力画面の一例(出力画面90)を示す図である。出力画面90には、撮像画像70aと、出力画像71aが表示されている。出力画像71aには、電線路を特定する情報71が表示されている。
【0074】
電線路を特定する情報71は、図6に示した正解データと同様に、撮像画像70aに対し、開閉器81を介して接続された2つの電線路82,83を、各々の一部を破線の矩形で囲むことによって特定する情報である。出力画像71aには、更に、2つの電線路82,83の各々の一部を囲む破線の矩形を接続する曲線が破線で示されている。
【0075】
利用者は、出力画面90の内容に基づいて、開閉器81の選択状態を判断することができる。その上で、利用者は、管理システムに、開閉器81の選択状態を登録することができる。
【0076】
==第2実施形態==
本実施形態の情報処理システムは、第1実施形態と比べると、教師データ5に含まれる情報が異なっている。これに伴い、本実施形態の情報処理システムは、第2取得部212と、出力部213とが実行する処理が異なっている。
【0077】
図12は、本実施形態の入力データの一例を示す図である。本実施形態の入力データは、図5に示した撮像画像50aを表現する撮像画像データに加え、電柱60の位置情報52と、被写体を撮像した際の撮像装置の位置情報53とを更に含む。電柱60の位置情報52と、被写体を撮像した場所の位置情報53とは、これらの位置を特定することができれば特に限定されないが、本実施形態では、緯度及び経度とする。
【0078】
図13は、本実施形態の正解データの一例を示す図である。正解データは、開閉器61に接続された2つの電線路62,63の各々の延在方向を特定する情報を更に含む。この例では、図13に示すように、開閉器61を支持する電柱60、複数の電線路62,63,64等の配置が平面図上に示されている。ここで、電柱60の位置がP1で示され、被写体を撮像した際の撮像装置の位置がP2で示されている。これによって、正解データに、開閉器61に接続された2つの電線路62,63の各々の延在方向を特定する情報を含ませることができる。
【0079】
第2取得部212は、撮像画像データに加え、電柱80の位置情報72と、被写体を撮像した際の撮像装置の位置情報73と(以下、両者をまとめて「位置情報74」と称する。)を更に取得する。
【0080】
図14は、第2取得部212が取得した撮像画像データと、位置情報74との一例を説明する図である。図14において、位置情報74は、緯度及び経度であり、図8に示した撮像画像70aを表現するための撮像画像データに紐づけられている。
【0081】
出力部213は、開閉器81に接続された2つの電線路の各々の延在方向を特定する情報を更に出力する。
【0082】
図15は、この例での出力画面の一例(出力画面91)を示す図である。出力画面91には、撮像画像70aと、出力画像71aとが表示されている。この例では、出力画像71aが、電線路を特定する情報71である。
【0083】
電線路を特定する情報71には、図13に示した正解データと同様に、開閉器81を支持する電柱80、複数の電線路82,83,84,85等の配置が平面図上に示されている。ここで、電柱80の位置がP1で示され、被写体を撮像した際の撮像装置の位置がP2で示されている。
【0084】
更に、出力画面91には、開閉器81を介して接続された2つの電線路82,83を、各々の一部を破線の楕円で囲むことによって特定されている。画像72aには、更に、2つの電線路82,83の各々の一部を囲む破線の楕円を接続する曲線が示されている。
【0085】
利用者は、出力画面91の内容に基づいて、開閉器81の選択状態を判断することができる。その上で、利用者は、管理システムに、開閉器81の選択状態を登録することができる。
【0086】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【0087】
例えば、本実施形態では、第1取得部210と、モデル生成部211と、第2取得部212と、出力部213と、表示制御部214とが情報処理装置2に備えられる態様を示したが、これに限られるものではない。例えば、第1取得部210と、モデル生成部211とが一の情報処理装置に備えられ、第2取得部212と、出力部213と、表示制御部214とが他の情報処理装置に備えられてもよい。
【0088】
これらのような場合であっても、情報処理装置2によれば、電線路が分岐する電柱に設置された開閉器について、開閉器の選択状態を容易に判断することができる。
【符号の説明】
【0089】
1:情報処理システム
2:情報処理装置
200:プロセッサ
201:主記憶装置
202:補助記憶装置
203:入力装置
204:出力装置
205:通信装置
210:第1取得部
211:モデル生成部
212:第2取得部
213:出力部
214:表示制御部
3:携帯端末
40:電柱
41:開閉器
410:開閉器本体
411:接続端子
411a:接続端子
411b:接続端子
412:指針
42a:ケーブル
42b:ケーブル
43:電線路
44:電線路
45:電線路
5:教師データ
50a:撮像画像
51:電線路を特定する情報
51a:画像
60:電柱
61:開閉器
62:電線路
63:電線路
64:電線路
70a:撮像画像
71:電線路を特定する情報
71a:出力画像
80:電柱
81:開閉器
82:電線路
83:電線路
84:電線路
85:電線路
90:出力画面
91:出力画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15