(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189004
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ロボットの操作装置
(51)【国際特許分類】
B25J 13/02 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
B25J13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097326
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼井 雄太
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707JT04
3C707JU02
3C707JU03
3C707JU14
(57)【要約】
【課題】色覚異常者であってもボタンを見分けやすくすることができるロボットの操作装置を提供する。
【解決手段】ロボット(10)の動作状態を設定するためにユーザが操作する操作装置(20)であって、緑色ボタン画像、黄色ボタン画像、及び青色ボタン画像の少なくとも1つのボタン画像である赤色以外ボタン画像と、赤色ボタン画像とを表示するとともに、タッチ操作を受け付けるタッチスクリーン(21)と、赤色ボタン画像及び赤色以外ボタン画像に対応する各動作状態の説明とは別に、赤色ボタン画像に含まれる単独の標章と、赤色以外ボタン画像に含まれる単独の標章とを異ならせて、赤色ボタン画像及び赤色以外ボタン画像を、タッチスクリーンにより表示させる画像制御部(22)と、タッチスクリーンにより赤色ボタン画像へのタッチ操作が受け付けられた場合に、ロボットの動作状態を非常停止状態に設定する状態設定部(23)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの動作状態を設定するためにユーザが操作する操作装置であって、
緑色ボタン画像、黄色ボタン画像、及び青色ボタン画像の少なくとも1つのボタン画像である赤色以外ボタン画像と、赤色ボタン画像とを表示するとともに、タッチ操作を受け付けるタッチスクリーンと、
前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像に対応する各動作状態の説明とは別に、前記赤色ボタン画像に含まれる単独の標章と、前記赤色以外ボタン画像に含まれる単独の標章とを異ならせて、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像を、前記タッチスクリーンにより表示させる画像制御部と、
前記タッチスクリーンにより前記赤色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に、前記ロボットの動作状態を非常停止状態に設定する状態設定部と、
を備える、ロボットの操作装置。
【請求項2】
前記画像制御部は、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像に対応する各動作状態の説明とは別に、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像にそれぞれ固有の単独の標章を含ませて、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像を表示させる、請求項1に記載のロボットの操作装置。
【請求項3】
前記画像制御部は、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像に対応する各動作状態の説明とは別に、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像の一方に単独の標章を含ませ、他方に標章を含ませないように、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像を表示させる、請求項1に記載のロボットの操作装置。
【請求項4】
前記単独の標章は、それぞれのボタン画像の色を連想させる図形である、請求項1~3のいずれか1項に記載のロボットの操作装置。
【請求項5】
前記図形は、果物の図形である、請求項4に記載のロボットの操作装置。
【請求項6】
前記単独の標章は、それぞれのボタン画像の色を連想させる文字である、請求項1~3のいずれか1項に記載のロボットの操作装置。
【請求項7】
前記文字は、色を表す漢字である、請求項6に記載のロボットの操作装置。
【請求項8】
前記文字は、色を表すアルファベットである、請求項6に記載のロボットの操作装置。
【請求項9】
前記単独の標章は、それぞれのボタン画像に対応する各動作状態を表す文字である、請求項1~3のいずれか1項に記載のロボットの操作装置。
【請求項10】
前記画像制御部は、前記赤色ボタン画像を前記赤色以外ボタン画像よりも大きく表示させる、請求項1~9のいずれか1項に記載のロボットの操作装置。
【請求項11】
前記赤色以外ボタン画像は、前記緑色ボタン画像を含み、
前記状態設定部は、前記タッチスクリーンにより前記緑色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に、前記ロボットの動作状態を動作開始状態に設定する、請求項1~10のいずれか1項に記載のロボットの操作装置。
【請求項12】
前記赤色以外ボタン画像は、前記黄色ボタン画像を含み、
前記状態設定部は、前記タッチスクリーンにより前記黄色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に、前記ロボットの動作状態を動作中断状態に設定する、請求項1~11のいずれか1項に記載のロボットの操作装置。
【請求項13】
前記赤色以外ボタン画像は、前記青色ボタン画像を含み、
前記状態設定部は、前記タッチスクリーンにより前記青色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に、前記ロボットの動作状態をリセット状態に設定する、請求項1~12のいずれか1項に記載のロボットの操作装置。
【請求項14】
前記赤色以外ボタン画像は、前記緑色ボタン画像、前記黄色ボタン画像、及び前記青色ボタン画像を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のロボットの操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの動作状態を設定するためにユーザが操作する操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の操作装置において、ロボットを動作させる動作ボタンをタッチスクリーンに表示し、動作ボタンの入力が継続して検出されている間、ロボットに動作を実行させるものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、機械安全の国際規格の1つである電気設備安全規格(IEC60204-1)には、オペレータインターフェイスに関する要求として、押しボタンの色と意味とが規定されている。この規格によれば、非常停止ボタンは赤色、中断ボタンは黄色、リセットボタンは青色、開始ボタンは緑色で表示すると規定されている。この規格に従ってタッチスクリーンにボタンを表示した場合、色覚異常者は、例えば赤色と緑色とを見分けることができず、緊急を要する場合に非常停止ボタンを速やかに押すことができないおそれがある。
【0005】
本発明は、こうした課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、色覚異常者であってもボタンを見分けやすくすることができるロボットの操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、
ロボットの動作状態を設定するためにユーザが操作する操作装置であって、
緑色ボタン画像、黄色ボタン画像、及び青色ボタン画像の少なくとも1つのボタン画像である赤色以外ボタン画像と、赤色ボタン画像とを表示するとともに、タッチ操作を受け付けるタッチスクリーンと、
前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像に対応する各動作状態の説明とは別に、前記赤色ボタン画像に含まれる単独の標章と、前記赤色以外ボタン画像に含まれる単独の標章とを異ならせて、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像を、前記タッチスクリーンにより表示させる画像制御部と、
前記タッチスクリーンにより前記赤色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に、前記ロボットの動作状態を非常停止状態に設定する状態設定部と、
を備える。
【0007】
上記構成によれば、ロボットの動作状態を設定するために、ユーザにより操作装置が操作される。タッチスクリーンは、緑色ボタン画像、黄色ボタン画像、及び青色ボタン画像の少なくとも1つのボタン画像である赤色以外ボタン画像と、赤色ボタン画像とを表示するとともに、タッチ操作を受け付ける。一般に、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像には、それぞれのボタン画像に対応する各動作状態の説明が含まれている。例えば、赤色ボタン画像には「非常停止」、緑色ボタン画像には「開始」、黄色ボタン画像には「中断」、青色ボタン画像には「リセット」という説明が含まれている。しかし、ボタン画像の色を見分けることができない色覚異常者が、緊急時にこれらの説明を読んで赤色ボタン画像を判断していると、赤色ボタン画像を速やかに押すことができない。
【0008】
この点、画像制御部は、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像に対応する各動作状態の説明とは別に、前記赤色ボタン画像に含まれる単独の標章と、前記赤色以外ボタン画像に含まれる単独の標章とを異ならせて、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像を、前記タッチスクリーンにより表示させる。標章とは、文字、図形、記号、又はこれらの結合であり、意味を有する図形ともいえる。このため、色覚異常者は、赤色ボタン画像と赤色以外ボタン画像とを、前記赤色ボタン画像に含まれる単独の標章と、前記赤色以外ボタン画像に含まれる単独の標章との違いにより、直感的に見分けやすくなる。したがって、色覚異常者であっても、緊急を要する場合に赤色ボタン画像を速やかに押すことができる。なお、前記赤色ボタン画像に含まれる単独の標章と前記赤色以外ボタン画像に含まれる単独の標章とが異なる構成としては、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像の一方が単独の標章を含み、他方が標章を含まない構成を含む。
【0009】
そして、状態設定部は、前記タッチスクリーンにより前記赤色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に、前記ロボットの動作状態を非常停止状態に設定する。したがって、緊急を要する場合に、ロボットを速やかに非常停止させることができる。
【0010】
第2の手段では、前記画像制御部は、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像に対応する各動作状態の説明とは別に、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像にそれぞれ固有の単独の標章を含ませて、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像を表示させる。こうした構成によれば、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像にそれぞれ含まれる固有の単独の標章により、色覚異常者が赤色ボタン画像を赤色以外ボタン画像から見分けやすくすることができる。
【0011】
第3の手段では、前記画像制御部は、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像に対応する各動作状態の説明とは別に、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像の一方に単独の標章を含ませ、他方に標章を含ませないように、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像を表示させる。こうした構成によれば、前記赤色ボタン画像及び前記赤色以外ボタン画像に対応する各動作状態の説明とは別に、赤色ボタン画像及び赤色以外ボタン画像において単独の標章の有無の違いにより、色覚異常者が赤色ボタン画像を赤色以外ボタン画像から見分けやすくすることができる。
【0012】
第4の手段では、前記単独の標章は、それぞれのボタン画像の色を連想させる図形である。こうした構成によれば、それぞれのボタン画像に含まれる図形からボタン画像の色を連想することができるため、色覚異常者であってもボタン画像を見分けやすくすることができる。
【0013】
具体的には、第5の手段のように、前記図形は、果物の図形である、といった構成を採用することができる。こうした構成によれば、例えば苺の図形から赤色、メロンの図形から緑色、レモンの図形から黄色、葡萄の図形から青色をそれぞれ連想することができる。
【0014】
第6の手段では、前記単独の標章は、それぞれのボタン画像の色を連想させる文字である。こうした構成によれば、それぞれのボタン画像に含まれる文字からボタン画像の色を連想することができるため、色覚異常者であってもボタン画像を見分けやすくすることができる。
【0015】
具体的には、第7の手段のように、前記文字は、色を表す漢字である、といった構成を採用することができる。こうした構成によれば、例えば「赤」という漢字から赤色、「緑」という漢字から緑色、「黄」という漢字から黄色、「青」という漢字から青色をそれぞれ連想することができる。
【0016】
具体的には、第8の手段のように、前記文字は、色を表すアルファベットである、といった構成を採用することができる。こうした構成によれば、例えば「R」というアルファベットから赤色、「G」というアルファベットから緑色、「Y」というアルファベットから黄色、「B」というアルファベットから青色をそれぞれ連想することができる。
【0017】
第9の手段では、前記単独の標章は、それぞれのボタン画像に対応する各動作状態を表す文字である。こうした構成によれば、例えば「非」という文字から非常停止状態、「断」という文字から動作中断状態、「リ」という文字からリセット状態、「始」という文字から動作開始状態をそれぞれ連想することができる。
【0018】
第10の手段では、前記画像制御部は、前記赤色ボタン画像を前記赤色以外ボタン画像よりも大きく表示させる。こうした構成によれば、赤色ボタン画像の大きさと赤色以外ボタン画像の大きさとの違いによっても、ユーザはボタンを見分けやすくなる。さらに、赤色ボタン画像が赤色以外ボタン画像よりも大きく表示されるため、ユーザは赤色ボタン画像をタッチ操作しやすくなる。
【0019】
具体的には、第11の手段のように、前記赤色以外ボタン画像は、前記緑色ボタン画像を含み、前記状態設定部は、前記タッチスクリーンにより前記緑色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に、前記ロボットの動作状態を動作開始状態に設定する、といった構成を採用することができる。
【0020】
具体的には、第12の手段のように、前記赤色以外ボタン画像は、前記黄色ボタン画像を含み、前記状態設定部は、前記タッチスクリーンにより前記黄色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に、前記ロボットの動作状態を動作中断状態に設定する、といった構成を採用することができる。
【0021】
具体的には、第13の手段のように、前記赤色以外ボタン画像は、前記青色ボタン画像を含み、前記状態設定部は、前記タッチスクリーンにより前記青色ボタン画像への前記タッチ操作が受け付けられた場合に、前記ロボットの動作状態をリセット状態に設定する、といった構成を採用することができる。
【0022】
第14の手段では、前記赤色以外ボタン画像は、前記緑色ボタン画像、前記黄色ボタン画像、及び前記青色ボタン画像を含む。こうした構成によれば、色覚異常者が赤色ボタン画像を、前記緑色ボタン画像、前記黄色ボタン画像、及び前記青色ボタン画像から見分けやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図9】各色のボタン画像の表示態様の変更例を示す模式図。
【
図10】各色のボタン画像の表示態様の他の変更例を示す模式図。
【
図11】各色のボタン画像の表示態様の他の変更例を示す模式図。
【
図12】各色のボタン画像の表示態様の他の変更例を示す模式図。
【
図13】各色のボタン画像の表示態様の他の変更例を示す模式図。
【
図14】各色のボタン画像の表示態様の他の変更例を示す模式図。
【
図15】各色のボタン画像の表示態様の他の変更例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、機械組立工場などで用いられるロボットの操作装置に具現化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、操作装置20は、ロボット10に接続されている。ロボット10は、例えば6軸の垂直多関節型のロボットである。なお、ロボット10は、5軸や7軸の垂直多関節型のロボットでもよいし、水平多関節型のロボットでもよい。
【0025】
操作装置20は、タッチスクリーン21、画像制御部22、状態設定部23等を備えている。操作装置20は、各種のキースイッチを備えたティーチングペンダント(専用装置)であってもよいし、画像制御部22及び状態設定部23の機能を実現するプログラムがインストールされた汎用のタブレット端末(汎用装置)であってもよい。操作装置20は、ロボット10の動作状態を設定するために、ユーザにより操作される。
【0026】
タッチスクリーン21は、表示部とタッチセンサとを備えている。表示部は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等により構成されている。タッチセンサは、抵抗膜型タッチセンサ、静電容量型タッチセンサ、電磁誘導型タッチセンサ等である。タッチスクリーン21は、画像を表示するとともに、タッチ操作を受け付ける(検出する)。
【0027】
画像制御部22は、変化する画像を含む変化画像、及び変化する画像を含まない各色ボタン画像を、タッチスクリーン21により表示させる。画像制御部22の詳細な機能については後述する。
【0028】
状態設定部23は、タッチスクリーン21により各色ボタン画像へのタッチ操作が受け付けられた場合に、ロボット10の動作状態を各色ボタン画像に対応した動作状態に設定する。状態設定部23の詳細な機能については後述する。
【0029】
図2は、押しボタン色と意味とを示す表である。
図2の表は、機械安全の国際規格の1つである電気設備安全規格(IEC60204-1)に、オペレータインターフェイスに関する要求として規定されている。この規格によれば、非常停止ボタンは赤色、中断ボタン(一時停止ボタン)は黄色、リセットボタンは青色、動作開始ボタン(始動ボタン)は緑色で表示すると規定されている。なお、ロボット10を上記以外の動作状態に設定するボタンは、白色、灰色、黒色等で表示すると規定されている。
【0030】
この規格に従ってタッチスクリーン21にボタン画像を表示した場合、色覚異常者(色弱者)は、例えば赤色と緑色とを見分けることができず、緊急を要する場合に非常停止ボタンを速やかに押すことができないおそれがある。
【0031】
図3は、一般色覚者(C型色覚者、色覚正常者)によるボタン画像の見え方である。同図に示すように、一般色覚者は、ボタン画像41が緑色に見え、ボタン画像42が黄色に見え、ボタン画像43が青色に見え、ボタン画像44が赤色に見える。
【0032】
図4は、P型色覚者によるボタン画像の見え方である。P型色覚者(色覚異常者)は、赤色錐体細胞に変異がある色覚者であり、日本人男性の約1.5[%]が該当する。P型色覚者は、緑色のボタン画像41(緑色ボタン画像)が薄茶色に見え、赤色のボタン画像44(赤色ボタン画像)が濃い茶色に見えるため、ボタン画像41とボタン画像44とを見分けにくい。
【0033】
図5は、D型色覚者によるボタン画像の見え方である。D型色覚者(色覚異常者)は、緑色錐体細胞に変異がある色覚者であり、日本人男性の約3.5[%]が該当する。D型色覚者は、緑色のボタン画像41が薄茶色に見え、赤色のボタン画像44が茶色に見えるため、ボタン画像41とボタン画像44とを見分けにくい。
【0034】
図6は、T型色覚者によるボタン画像の見え方である。T型色覚者(色覚異常者)は、青色錐体細胞に変異がある色覚者であり、日本人男性の約0.001[%]が該当する。T型色覚者は、緑色のボタン画像41が青緑色に見え、青色のボタン画像43(青色ボタン画像)が青緑色に見えるため、ボタン画像41とボタン画像43とを見分けにくい。また、T型色覚者は、黄色のボタン画像42(黄色ボタン画像)が桃色に見え、赤色のボタン画像44が赤色に見えるため、ボタン画像42とボタン画像44とを見分けにくい。
【0035】
図7は、A型色覚者によるボタン画像の見え方である。A型色覚者(色覚異常者)は、赤色錐体細胞、緑色錐体細胞、及び青色錐体細胞に変異がある色覚者であり、日本人男性の約0.001[%]が該当する。A型色覚者は、緑色のボタン画像41が灰色に見え、黄色のボタン画像42が薄灰色に見え、青色のボタン画像43が灰色に見え、赤色のボタン画像44が濃い灰色に見えるため、ボタン画像41~44を見分けにくい。
【0036】
緑色のボタン画像41には「動作開始」の文字が表示され、黄色のボタン画像42には「中断」又は「一時停止」の文字が表示され、青色のボタン画像43には「リセット」の文字が表示され、赤色のボタン画像44には「非常停止」の文字が表示されている。しかし、緊急を要する場合には、これらの文字(動作状態の説明)を読んでボタン画像を押そうとすると、ボタン画像を押すことが遅れるおそれがある。このため、上記電気設備安全規格では、ボタン画像41~44を直感的に判断可能なように色分けしている。
【0037】
しかし、ボタン画像41~44の色を見分けることができない色覚異常者が、緊急時にこれらの説明を読んで赤色のボタン画像44を判断していると、赤色のボタン画像44を速やかに押すことができない。
【0038】
そこで、本実施形態では、
図8に示すように、画像制御部22は、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43に対応する各動作状態の説明とは別に、赤色のボタン画像44に含まれる単独の標章と、赤色以外のボタン画像41~43(赤色以外ボタン画像)に含まれる単独の標章とを異ならせて、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43を、タッチスクリーン21により表示させる。
【0039】
標章とは、文字、図形、記号、又はこれらの結合であり、意味を有する図形ともいえる。
図8では、標章は、それぞれのボタン画像41~44の色を連想させる図形である。詳しくは、図形は、果物の図形である。具体的には、緑色のボタン画像41は単独のメロンの図形を含み、黄色のボタン画像42は単独のレモンの図形を含み、青色のボタン画像43は単独の葡萄の図形を含み、赤色のボタン画像44は単独の苺の図形を含んでいる。すなわち、画像制御部22は、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43に対応する各動作状態の説明とは別に、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43にそれぞれ固有の単独の標章を含ませる。メロンの図形はメロンの色である緑色を連想させ、レモンの図形はレモンの色である黄色を連想させ、葡萄の図形は葡萄の色である青色を連想させ、苺の図形は苺の色である赤色を連想させる。なお、ボタン画像41~44において、標章の位置及び大きさは任意である。
【0040】
画像制御部22は、タッチスクリーン21の上部に、ボタン画像41~44を横方向に直線状に並べて表示させる。画像制御部22は、左から、緑色のボタン画像41、黄色のボタン画像42、青色のボタン画像43、及び赤色のボタン画像44の順に隣り合わせて直線状に並べて表示させる。なお、画像制御部22は、右から、緑色のボタン画像41、黄色のボタン画像42、青色のボタン画像43、及び赤色のボタン画像44の順に隣り合わせて直線状に並べて表示させてもよい。
【0041】
また、変化画像31は、例えばユーザによる操作装置20の操作に応じて変化する画像を含む画像である。
【0042】
状態設定部23は、タッチスクリーン21により緑色のボタン画像41(赤色以外ボタン画像)へのタッチ操作が受け付けられた場合に、ロボット10の動作状態を動作開始状態に設定する。動作開始状態は、ロボット10の動作を開始させる状態である。ロボット10の動作状態が動作開始状態に設定されると、ロボット10は動作を開始する。
【0043】
状態設定部23は、タッチスクリーン21により黄色のボタン画像42(赤色以外ボタン画像)へのタッチ操作が受け付けられた場合に、ロボット10の動作状態を動作中断状態に設定する。動作中断状態は、ロボット10の動作を中断させる状態である。ロボット10の動作状態が動作中断状態に設定されると、ロボット10は実行中の動作命令を所定時間(所定段階)実行した後に停止する。
【0044】
状態設定部23は、タッチスクリーン21により青色のボタン画像43(赤色以外ボタン画像)へのタッチ操作が受け付けられた場合に、ロボット10の動作状態をリセット状態に設定する。リセット状態は、ロボット10の異常状態をリセット(解除)する状態である。ロボット10の動作状態がリセット状態に設定されると、ロボット10は異常状態(中断状態、非常停止状態等)をリセットして正常状態に復帰する。
【0045】
状態設定部23は、タッチスクリーン21により赤色のボタン画像44へのタッチ操作が受け付けられた場合に、ロボット10の動作状態を非常停止状態に設定する。非常停止状態は、ロボット10の動作を直ちに停止させる状態である。ロボット10の動作状態が非常停止状態に設定されると、ロボット10は動作を最短時間で停止する。
【0046】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0047】
・画像制御部22は、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43に対応する各動作状態の説明とは別に、赤色のボタン画像44に含まれる単独の標章と、赤色以外のボタン画像41~43に含まれる単独の標章とを異ならせて、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43を、タッチスクリーン21により表示させる。このため、色覚異常者は、赤色のボタン画像44と赤色以外のボタン画像41~43とを、赤色のボタン画像44に含まれる単独の標章と、赤色以外のボタン画像41~43に含まれる単独の標章との違いにより、直感的に見分けやすくなる。したがって、色覚異常者であっても、緊急を要する場合に赤色のボタン画像44を速やかに押すことができる。
【0048】
・状態設定部23は、タッチスクリーン21により赤色のボタン画像44へのタッチ操作が受け付けられた場合に、ロボット10の動作状態を非常停止状態に設定する。したがって、緊急を要する場合に、ロボット10を速やかに非常停止させることができる。
【0049】
・画像制御部22は、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43に対応する各動作状態の説明とは別に、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43にそれぞれ固有の単独の標章を含ませて、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43を表示させる。こうした構成によれば、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43にそれぞれ含まれる固有の単独の標章により、色覚異常者が赤色のボタン画像44を赤色以外のボタン画像41~43から見分けやすくすることができる。
【0050】
・単独の標章は、それぞれのボタン画像41~44の色を連想させる図形である。こうした構成によれば、それぞれのボタン画像41~44に含まれる図形からボタン画像41~44の色を連想することができるため、色覚異常者であってもボタン画像41~44を見分けやすくすることができる。
【0051】
・図形は、果物の図形である。こうした構成によれば、苺の図形から赤色、メロンの図形から緑色、レモンの図形から黄色、葡萄の図形から青色をそれぞれ連想することができる。
【0052】
・赤色以外のボタン画像は、緑色のボタン画像41、黄色のボタン画像42、及び青色のボタン画像43を含む。こうした構成によれば、色覚異常者が赤色のボタン画像44を、緑色のボタン画像41、黄色のボタン画像42、及び青色のボタン画像43から見分けやすくすることができる。
【0053】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0054】
・標章は、それぞれのボタン画像41~44の色を連想させる野菜の図形であってもよい。
【0055】
・
図9に示すように、単独の標章は、それぞれのボタン画像41~44の色を連想させる文字であってもよい。具体的には、緑色のボタン画像41は「緑」という漢字を含み、黄色のボタン画像42は「黄」という漢字を含み、青色のボタン画像43は「青」という漢字を含み、赤色のボタン画像44は「赤」という漢字を含んでいる。こうした構成によれば、それぞれのボタン画像41~44に含まれる漢字(文字)からボタン画像41~44の色を連想することができるため、色覚異常者であってもボタン画像41~44を見分けやすくすることができる。
【0056】
また、
図10に示すように、文字は、色を表すアルファベットであってもよい。具体的には、緑色のボタン画像41は「G」というアルファベットを含み、黄色のボタン画像42は「Y」というアルファベットを含み、青色のボタン画像43は「B」というアルファベットを含み、赤色のボタン画像44は「R」というアルファベットを含んでいる。こうした構成によれば、「R」というアルファベットから赤色(Red)、「G」というアルファベットから緑色(Green)、「Y」というアルファベットから黄色(Yellow)、「B」というアルファベットから青色(Blue)をそれぞれ連想することができる。また、同図に示すように、画像制御部22は、タッチスクリーン21の下部(外縁部)に、ボタン画像41~44を横方向に直線状に並べて表示させてもよい。なお、漢字及びアルファベット以外の文字により、それぞれのボタン画像41~44の色を連想させることもできる。
【0057】
・
図11に示すように、単独の標章は、それぞれのボタン画像41~44に対応する各動作状態を表す文字であってもよい。具体的には、緑色のボタン画像41は「始」という漢字を含み、黄色のボタン画像42は「断」という漢字を含み、青色のボタン画像43は「リ」という片仮名を含み、赤色のボタン画像44は「非」という漢字を含んでいる。こうした構成によれば、「非」という漢字から非常停止状態、「断」という漢字から動作中断状態、「リ」という片仮名からリセット状態、「始」という漢字から動作開始状態をそれぞれ連想することができる。
【0058】
・
図12に示すように、標章は、それぞれのボタン画像41~44の色及び対応する各動作状態の説明とは無関係の図形であってもよい。例えば、図形は、トランプのスート(マーク)であってもよい。具体的には、緑色のボタン画像41はクローバの図形を含み、黄色のボタン画像42はハートの図形を含み、青色のボタン画像43はスペードの図形を含み、赤色のボタン画像44はダイアの図形を含んでいる。この場合も、画像制御部22は、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43に対応する各動作状態の説明とは別に、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43にそれぞれ固有の単独の標章を含ませている。
【0059】
・
図13に示すように、画像制御部22は、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43に対応する各動作状態の説明とは別に、赤色のボタン画像44に単独の標章を含ませ、赤色以外のボタン画像41~43に標章を含ませないように、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43を表示させてもよい。すなわち、画像制御部22は、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43に対応する各動作状態の説明とは別に、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43の一方に単独の標章を含ませ、他方に標章を含ませないように、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43を表示させてもよい。こうした構成によれば、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43に対応する各動作状態の説明とは別に、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43において単独の標章の有無の違いにより、色覚異常者が赤色のボタン画像44を赤色以外のボタン画像41~43から見分けやすくすることができる。
【0060】
・
図14に示すように、画像制御部22は、タッチスクリーン21の左部(外縁部)に赤色以外のボタン画像41~43を隣り合わせて縦方向に直線状に並べて表示させるとともに、タッチスクリーン21の右下部(外縁部)に赤色のボタン画像44を表示させてもよい。この場合も、画像制御部22は、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43に対応する各動作状態の説明とは別に、赤色のボタン画像44に含まれる単独の標章と、赤色以外のボタン画像41~43に含まれる単独の標章とを異ならせて、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43を、タッチスクリーン21により表示させる。こうした構成によっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、赤色のボタン画像44が赤色以外のボタン画像41~43から離れた位置に表示されているため、色覚異常者であっても赤色のボタン画像44を赤色以外のボタン画像41~43から見分けやすくすることができる。
【0061】
・
図15に示すように、画像制御部22は、赤色のボタン画像44を赤色以外のボタン画像41~43よりも大きく表示させてもよい。こうした構成によれば、赤色のボタン画像44の大きさと赤色以外のボタン画像41~43の大きさとの違いによっても、ユーザは赤色のボタン画像44を見分けやすくなる。さらに、赤色のボタン画像44が赤色以外のボタン画像41~43よりも大きく表示されるため、ユーザは赤色のボタン画像44をタッチ操作しやすくなる。
【0062】
・画像制御部22は、ボタン画像41~44を隣接させて(隣り合わせて)斜め方向に直線状に並べて表示させてもよい。
【0063】
・画像制御部22は、ボタン画像41~44を円弧状(曲線状)に並べて表示させてもよい。また、画像制御部22は、タッチスクリーン21の外縁部以外の部分にボタン画像41~44を並べて表示させてもよい。また、タッチスクリーン21においてボタン画像41~44を表示する位置を、ユーザが任意の位置に設定することができるようにしてもよい。これらの場合も、画像制御部22は、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43に対応する各動作状態の説明とは別に、赤色のボタン画像44に含まれる単独の標章と、赤色以外のボタン画像41~43に含まれる単独の標章とを異ならせて、赤色のボタン画像44及び赤色以外のボタン画像41~43を、タッチスクリーン21により表示させればよい。
【0064】
・操作装置20は、ロボット10に接続されてロボット10の動作状態を直接設定するものでもよいし、ロボット10のコントローラに接続されてコントローラを介してロボット10の動作状態を設定するものでもよい。
【0065】
・上記の各変更例を組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0066】
10…ロボット、20…操作装置、21…タッチスクリーン、22…画像制御部、23…状態設定部、31…変化画像、41…ボタン画像(緑色ボタン画像)、42…ボタン画像(黄色ボタン画像)、43…ボタン画像(青色ボタン画像)、44…ボタン画像(赤色ボタン画像)。