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特開2022-189027印刷制御プログラム、印刷制御方法、および印刷システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189027
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】印刷制御プログラム、印刷制御方法、および印刷システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20221215BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20221215BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
G06F3/12 360
G06F3/12 314
H04N1/00 127B
B41J29/38 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097358
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 将
(72)【発明者】
【氏名】夏目 浩太
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061HH05
2C061HJ08
2C061HK05
2C061HN05
2C061HN15
2C061HP00
2C061HQ06
5C062AA05
5C062AA37
5C062AB22
5C062AB38
5C062AC04
5C062AC38
5C062AC58
(57)【要約】
【課題】プリンタの使用を開始するまでの待ち時間の長期化を抑止する。
【解決手段】印刷システム10は、第1の端末3とプリンタ5とのセッションを接続する。また印刷システム10は、接続したセッションを介して、第1の端末3からの印刷要求に応じた印刷の実行をプリンタ5に指示する。さらに印刷システム10は、印刷要求に応じた印刷におけるセッション切断条件が満たされた場合、第1の端末3とプリンタ5とのセッションを切断する。そして印刷システム10は、プリンタ5を印刷先とする印刷待ち状態の第2の端末4に、印刷可能であることを通知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
第1の端末とプリンタとのセッションを接続し、
接続した前記セッションを介して、前記第1の端末からの印刷要求に応じた印刷の実行を前記プリンタに指示し、
前記印刷要求に応じた印刷におけるセッション切断条件が満たされた場合、前記第1の端末と前記プリンタとの前記セッションを切断し、
前記プリンタを印刷先とする印刷待ち状態の第2の端末に、印刷可能であることを通知する、
処理を実行させる印刷制御プログラム。
【請求項2】
印刷可能であることの通知では、前記プリンタを印刷先として指定した印刷ジョブを登録済みのユーザが使用している端末を、前記第2の端末と判断する、
請求項1記載の印刷制御プログラム。
【請求項3】
前記セッション切断条件には、前記第1の端末の状態に関する条件が含まれており、
前記セッションの切断では、前記第1の端末の状態を示す状態情報を前記第1の端末から取得し、前記印刷要求に応じた印刷が終了した後に前記第1の端末の状態が前記セッション切断条件を満たすか否かを判断し、前記セッション切断条件が満たされた場合、前記第1の端末と前記プリンタとの前記セッションを切断する、
請求項1または2記載の印刷制御プログラム。
【請求項4】
前記セッション切断条件には、前記第1の端末の状態が次の操作前にユーザ認証を要求するロック状態であるという条件が含まれる、
請求項3記載の印刷制御プログラム。
【請求項5】
前記セッション切断条件には、前記第1の端末上で動作している印刷要求送信用のソフトウェアがバックグラウンドで動作中であるという条件が含まれる、
請求項3または4記載の印刷制御プログラム。
【請求項6】
前記セッション切断条件には、前記第1の端末と前記プリンタとの距離が、所定値以上離れているという条件が含まれる、
請求項3から5までのいずれかに記載の印刷制御プログラム。
【請求項7】
コンピュータが、
第1の端末とプリンタとのセッションを接続し、
接続した前記セッションを介して、前記第1の端末からの印刷要求に応じた印刷の実行を前記プリンタに指示し、
前記印刷要求に応じた印刷におけるセッション切断条件が満たされた場合、前記第1の端末と前記プリンタとの前記セッションを切断し、
前記プリンタを印刷先とする印刷待ち状態の第2の端末に、印刷可能であることを通知する、
印刷制御方法。
【請求項8】
プリンタと端末との間のセッション切断条件を示すセッション切断条件情報を記憶する記憶部と、
第1の端末と前記プリンタとのセッションを接続し、接続した前記セッションを介して、前記第1の端末からの印刷要求に応じた印刷の実行を前記プリンタに指示し、前記印刷要求に応じた印刷における前記セッション切断条件が満たされた場合、前記第1の端末と前記プリンタとの前記セッションを切断し、前記プリンタを印刷先とする印刷待ち状態の第2の端末に、印刷可能であることを通知する処理部と、
を有する印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御プログラム、印刷制御方法、および印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムでは、端末で作成した文書を、ネットワーク経由で接続されたプリンタで印刷することができる。例えばネットワーク上にWebサーバとして機能する印刷管理サーバを有する印刷システムがある。この印刷システムでは、印刷管理サーバが、端末装置からWebAPI経由で印刷要求を受信する。印刷管理サーバは、印刷要求に応じてプリンタへ印刷指示を送信する。
【0003】
このような印刷システムによれば、ユーザが所持するモバイル端末からの印刷要求を受け付けることも可能である。その場合、ユーザは、モバイル端末を用いて、例えばユーザ認証・印刷ジョブ選択・印刷指示などの操作を行うことができる。
【0004】
ネットワーク経由での印刷に関する技術としては、例えばユーザ認証の成功後に印刷ジョブを実行する画像形成装置において、益々ユーザフレンドリーとすることができる画像形成装置が提案されている。また印刷準備が完了した状態で通信接続を確立する印刷装置端末も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-75497号公報
【特許文献2】特開2010-219688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数のユーザが同時期に同じプリンタを印刷先とする印刷要求を送信すると、出力された印刷物に異なるユーザの書類が混在し、印刷物の取り違えが発生しやすい。特にユーザAが続けて複数の文書の印刷を行っている間に、別のユーザBが割り込んで印刷要求を送信した場合、ユーザAの印刷物の間にユーザBの印刷物が挟まることとなり、ユーザAが誤ってユーザBの印刷物までも持ち帰ってしまうおそれがある。
【0007】
印刷管理サーバを用いた印刷システムであれば、印刷管理サーバを用いて、プリンタ1台につき1ユーザにだけログインおよび印刷を許可するようなセッション管理を行うことで、異なるユーザから交互に印刷要求が送信されることを抑止することができる。これにより、印刷物の取り違えを抑止できる。
【0008】
しかし、プリンタ1台に同時にセッション接続できるユーザを1人に限定した場合、1人のユーザがセッションを接続している間、他のユーザはそのセッションが切断されるまで待機することとなる。このとき、ユーザのログアウトし忘れなどによりセッションが無駄に長く接続され、セッションが空くのを待っているユーザの待ち時間が長期化する場合がある。また印刷操作中のユーザが印刷操作終了後にログアウトしても、待機しているユーザがそのことにすぐには気づかない場合もある。この場合にも待ち時間が長期化してしまう。
【0009】
1つの側面では、本発明は、プリンタの使用を開始するまでの待ち時間の長期化を抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの案では、以下の処理をコンピュータに実行させる印刷制御プログラムが提供される。
コンピュータは、第1の端末とプリンタとのセッションを接続する。次にコンピュータは、接続したセッションを介して、第1の端末からの印刷要求に応じた印刷の実行をプリンタに指示する。さらにコンピュータは、印刷要求に応じた印刷におけるセッション切断条件が満たされた場合、第1の端末とプリンタとのセッションを切断する。そしてコンピュータは、プリンタを印刷先とする印刷待ち状態の第2の端末に、印刷可能であることを通知する。
【発明の効果】
【0011】
1態様によれば、プリンタの使用を開始するまでの待ち時間の長期化を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態に係る印刷制御方法の一例を示す図である。
図2】第2の実施の形態のシステム構成の一例を示す図である。
図3】印刷システムに用いられるコンピュータのハードウェアの一例を示す図である。
図4】モバイル端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】印刷システムとモバイル端末とが有する機能の一例を示すブロック図である。
図6】セッション管理DBの一例を示す図である。
図7】印刷管理DBの一例を示す図である。
図8】セッション切断条件に応じた印刷待ち時間の違いを示す図である。
図9】モバイル端末と複合機との距離に基づくセッション管理の一例を示す図である。
図10】印刷のために装置間で通信される情報の一例を示す図である。
図11】印刷の手順の一例を示すシーケンス図である。
図12】印刷要求受け付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図13】印刷処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図14】印刷時のモバイル端末の画面遷移の一例を示す図である。
図15】他のユーザの印刷終了を待って印刷を行う場合のモバイル端末の画面遷移の一例を示す図である。
図16】複数のユーザが印刷待ちをしていた場合のモバイル端末の画面遷移の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
〔第1の実施の形態〕
まず第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態は、複数のユーザでプリンタを共用する際の印刷待ち時間の長期化を抑止する印刷制御方法である。
【0014】
図1は、第1の実施の形態に係る印刷制御方法の一例を示す図である。図1には、第1の実施の形態に係る印刷制御方法を、印刷システム10で実施する例を示している。印刷システム10は、例えば印刷制御プログラムを実行することにより、印刷制御方法を実施することができる。
【0015】
印刷システム10には、無線または有線のネットワークを介してユーザ1が使用している第1の端末3とユーザ2が使用している第2の端末4とが接続されている。また印刷システム10には、プリンタ5が接続されている。なおユーザ1の印刷システム10内での識別子は「ユーザA」であり、ユーザ2の印刷システム10内での識別子は「ユーザB」であるものとする。ユーザ1とユーザ2とは、それぞれ第1の端末3、第2の端末4を用い、印刷システム10を介してプリンタ5から書類を印刷することができる。
【0016】
印刷システム10は、記憶部11と処理部12とを有する。記憶部11は、例えば印刷システム10が有するメモリ、またはストレージ装置である。処理部12は、例えば印刷システム10が有するプロセッサ、または演算回路である。
【0017】
記憶部11は、プリンタ5と端末との間のセッション切断条件を示すセッション切断条件情報6を記憶する。セッション切断条件情報6には、例えばロック状態になり猶予期間が経過していることのような、端末の状態に関するセッション切断条件が含まれる。またセッション切断条件情報6には、全印刷ジョブの印刷が終了していることのような、印刷ジョブに関するセッション切断条件が含まれる。
【0018】
処理部12は、第1の端末3または第2の端末4からの印刷ジョブ7a,7b,・・・の登録を受け付け、印刷要求に応じて登録されている印刷ジョブ7a,7b,・・・に基づく印刷をプリンタ5に指示する。処理部12は、印刷要求を受信してから印刷が終了するまで、印刷要求の送信元の端末とプリンタ5との間でセッションを接続する。
【0019】
例えば、ユーザ1が第1の端末3を用いて印刷ジョブを印刷システム10に登録する。その後、ユーザ1が第1の端末3に印刷実行を指示する入力を行うと、第1の端末3から印刷システム10へ印刷要求が送信される。
【0020】
印刷システム10の処理部12は、第1の端末3からの印刷要求に応じて、第1の端末3とプリンタ5とのセッションを接続する。そして処理部12は、接続したセッションを介して、印刷要求に応じた印刷の実行をプリンタ5に指示する。これにより、プリンタ5によりユーザ1の書類の印刷が開始される。
【0021】
処理部12は、印刷要求に応じた印刷におけるセッション切断条件が満たされた場合、第1の端末3とプリンタ5とのセッションを切断する。例えばユーザ1は、第1の端末3に印刷実行を指示する入力を行った後、印刷の終了を待たずに第1の端末3を、次の操作前にローカルでのユーザ認証を要求するロック状態に移行させたものとする。第1の端末3は、ロック状態に移行したことを示す状態情報を印刷システム10に送信する。
【0022】
印刷システム10の処理部12は、第1の端末3からの印刷要求に応じた印刷が終了したとき、第1の端末3の状態またはユーザ1が登録した印刷ジョブの状態が、セッション切断条件情報6に示されるセッション切断条件を満たしているか否かを判断する。例えば第1の端末3がロック状態になってからの期間が所定の猶予期間を経過している場合、処理部12は、セッション切断条件が満たされていると判断し、セッションを切断する。なお、処理部12は、印刷終了時点において第1の端末3がロック状態であれば、猶予期間の経過を待たずにセッション切断条件を満たしていると判断するようにしてもよい。
【0023】
処理部12は、セッションを切断したとき、プリンタ5を印刷先とする印刷待ち状態の第2の端末4に、印刷可能であることを通知する。例えば処理部12は、プリンタ5を印刷先として指定した印刷ジョブを登録済みのユーザ2が使用している端末を、印刷待ち状態の第2の端末4と判断する。処理部12は、印刷可能であることを、例えばプッシュ通知によって通知する。
【0024】
印刷可能を示す通知を受信した第2の端末4は、印刷が可能となったことを表示する。例えば第2の端末4は、印刷の実行を指示するためのボタンを活性化して、選択可能を表す表示態様にする。ユーザ2は、第2の端末4の表示画面に基づいて印刷が可能となったことを認識し、第2の端末4に、印刷実行を指示する入力を行う。すると第2の端末4が印刷要求を印刷システム10に送信する。
【0025】
印刷システム10の処理部12は、第2の端末4からの印刷要求に応じて、第2の端末4とプリンタ5とのセッションを接続する。そして処理部12は、接続したセッションを介して、印刷要求に応じた印刷の実行をプリンタ5に指示する。これにより、プリンタ5によりユーザ2の書類の印刷が開始される。
【0026】
以上のような手順で印刷が行われることにより、ユーザ2の印刷待ち時間の長期化が抑止される。すなわち第1の端末3とプリンタ5とを接続するセッションは、セッション切断条件を満たせば、例えばユーザ1によるログアウト操作またはタイムアウトを待たずに切断される。これにより、第1の端末3とプリンタ5とのセッションが無駄に長く保持されることが抑止され、印刷待ちのユーザの待ち時間が短くなる。
【0027】
例えばセッション切断条件には、第1の端末3の処理状態に関する条件が含まれている。そして処理部12は、印刷要求に応じた印刷が終了した後に第1の端末3の処理状態がセッション切断条件を満たすか否かを判断し、セッション切断条件が満たされた場合、第1の端末3とプリンタ5とのセッションを切断する。これにより、例えばロック状態になり猶予期間が経過した場合のように、ユーザ1が次の印刷実行の指示をすぐには出さないことが予想できる場合には、セッションが切断される。
【0028】
セッション切断条件には、第1の端末3上で動作している印刷要求送信用のソフトウェアがバックグラウンドで動作中であるという条件を含めることもできる。例えば第1の端末3における印刷要求送信用のソフトウェアがバックグラウンドで動作中となり、ある程度の期間が経過していれば、ユーザ1はすぐに次の印刷実行の指示を行う意思はないものと予想できる。このような場合には、第1の端末3とプリンタ5とのセッションを切断することで、第1の端末3のセッション接続の長期化が抑止される。
【0029】
また、第1の端末3とプリンタ5とのセッションが切断されるとすぐに、印刷可能であることが第2の端末4に通知される。これにより、印刷が可能となったことをユーザ2が気づかずに、印刷の実行を指示する操作が遅れることが抑止される。その結果、ユーザ2の印刷待ち時間の長期化が抑止される。
【0030】
また、セッション切断条件には、第1の端末3とプリンタ5との距離が、所定値以上離れているという条件を含めることもできる。この場合、例えばプリンタ5に取り付けたビーコンが発信した信号を第1の端末3で受信し、第1の端末3は受信した信号の強度に基づいてプリンタ5までの距離を計測する。そして第1の端末3は、プリンタ5までの距離を含む状態情報を印刷システム10に送信する。印刷システム10は、第1の端末3から取得した状態情報に示されるプリンタ5までの距離が所定値以上であれば、セッションを切断する。すなわち、ユーザ1がプリンタ5から遠く離れた場合、次の印刷実行をすぐに指示する可能性は低いため、セッションが切断される。これにより、第1の端末3のセッション接続の長期化を抑止することができる。
【0031】
〔第2の実施の形態〕
次に第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、印刷機能に加え、コピーやスキャナ機能を有する複数の複合機のいずれかを出力先として、モバイル端末からの操作により文書印刷を行うことができるシステムである。
【0032】
図2は、第2の実施の形態のシステム構成の一例を示す図である。ネットワーク20を介して、複数の複合機41,42,43が接続されている。ネットワーク20には、複数のコンピュータ100-1,100-2,・・・による印刷システム100が接続されている。印刷システム100は、複合機41~43への印刷ジョブを管理する。
【0033】
ネットワーク20にはアクセスポイント30が接続されている。ユーザ31~33が所持するモバイル端末200,200a,200bは、アクセスポイント30を介して印刷システム100と通信することができる。
【0034】
複合機41~43のそれぞれには、ビーコン44~46が取り付けられている。ビーコン44~46は、モバイル端末200,200a,200bが複合機41~43との距離を計測するための電波を出力する。
【0035】
ユーザ31~33は、モバイル端末200,200a,200bを用いて印刷システム100にアクセスし、印刷システム100に対して印刷要求を送信する。印刷システム100は、複合機41~43それぞれに対して、印刷要求を出力するモバイル端末200,200a,200bとのセッションの接続を行う。その際、印刷システム100は、複合機41~43それぞれについて、同時に接続できるセッション数を1つに限定する。
【0036】
印刷システム100は、複数のユーザが同時期に同じ複合機で印刷をしようとした場合、原則として、先に印刷要求の送信操作を行ったユーザのモバイル端末と印刷先の複合機とのセッションを接続する。その場合、その複合機で印刷をしようとしている他のユーザは、先に印刷要求の送信操作を行ったユーザの印刷作業が終了するまで、待つこととなる。印刷システム100では、印刷中のセッションの接続時間の最小化を図り、印刷待ちのユーザの待ち時間を短縮している。また印刷システム100は、印刷が終了した場合の印刷待ちのユーザへの印刷可能となったことを示すプッシュ通知を送信することで、ユーザの印刷作業を促進することができる。
【0037】
図3は、印刷システムに用いられるコンピュータのハードウェアの一例を示す図である。コンピュータ100-1は、プロセッサ101によって装置全体が制御されている。プロセッサ101には、バス109を介してメモリ102と複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ101は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)である。プロセッサ101がプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現してもよい。
【0038】
メモリ102は、コンピュータ100-1の主記憶装置として使用される。メモリ102には、プロセッサ101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、メモリ102には、プロセッサ101による処理に利用する各種データが格納される。メモリ102としては、例えばRAM(Random Access Memory)などの揮発性の半導体記憶装置が使用される。
【0039】
バス109に接続されている周辺機器としては、ストレージ装置103、GPU(Graphics Processing Unit)104、入力インタフェース105、光学ドライブ装置106、機器接続インタフェース107およびネットワークインタフェース108がある。
【0040】
ストレージ装置103は、内蔵した記録媒体に対して、電気的または磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。ストレージ装置103は、コンピュータの補助記憶装置として使用される。ストレージ装置103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、ストレージ装置103としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)を使用することができる。
【0041】
GPU104は画像処理を行う演算装置であり、グラフィックコントローラとも呼ばれる。GPU104には、モニタ21が接続されている。GPU104は、プロセッサ101からの命令に従って、画像をモニタ21の画面に表示させる。モニタ21としては、有機EL(Electro Luminescence)を用いた表示装置や液晶表示装置などがある。
【0042】
入力インタフェース105には、キーボード22とマウス23とが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード22やマウス23から送られてくる信号をプロセッサ101に送信する。なお、マウス23は、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボールなどがある。
【0043】
光学ドライブ装置106は、レーザ光などを利用して、光ディスク24に記録されたデータの読み取り、または光ディスク24へのデータの書き込みを行う。光ディスク24は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク24には、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。
【0044】
機器接続インタフェース107は、コンピュータ100-1に周辺機器を接続するための通信インタフェースである。例えば機器接続インタフェース107には、メモリ装置25やメモリリーダライタ26を接続することができる。メモリ装置25は、機器接続インタフェース107との通信機能を搭載した記録媒体である。メモリリーダライタ26は、メモリカード27へのデータの書き込み、またはメモリカード27からのデータの読み出しを行う装置である。メモリカード27は、カード型の記録媒体である。
【0045】
ネットワークインタフェース108は、ネットワーク20に接続されている。ネットワークインタフェース108は、ネットワーク20を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。ネットワークインタフェース108は、例えばスイッチやルータなどの有線通信装置にケーブルで接続される有線通信インタフェースである。またネットワークインタフェース108は、基地局やアクセスポイントなどの無線通信装置に電波によって通信接続される無線通信インタフェースであってもよい。
【0046】
コンピュータ100-1は、以上のようなハードウェアによって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。他のコンピュータ100-2,・・・も、コンピュータ100-1と同様のハードウェアを有する。また、第1の実施の形態に示した印刷システム10も、図3に示したコンピュータ100-1と同様のハードウェアを有する。
【0047】
コンピュータ100-1は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施の形態の処理機能を実現する。コンピュータ100-1に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。例えば、コンピュータ100-1に実行させるプログラムをストレージ装置103に格納しておくことができる。プロセッサ101は、ストレージ装置103内のプログラムの少なくとも一部をメモリ102にロードし、プログラムを実行する。またコンピュータ100-1に実行させるプログラムを、光ディスク24、メモリ装置25、メモリカード27などの可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えばプロセッサ101からの制御により、ストレージ装置103にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ101が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0048】
次にモバイル端末200,200a,200bのハードウェアについて説明する。モバイル端末200,200a,200bは、無線通信によって印刷システム100にアクセスすることができる携帯型の情報端末である。
【0049】
図4は、モバイル端末のハードウェア構成の一例を示す図である。モバイル端末200は、プロセッサ201によって装置全体が制御されている。プロセッサ201には、バス203を介してメモリ202と複数の周辺機器が接続されている。
【0050】
メモリ202は、モバイル端末200の主記憶装置として使用される。メモリ202には、プロセッサ201に実行させるOSのプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。またメモリ202には、プロセッサ201による処理に必要な各種データが格納される。メモリ202としては、例えばRAMなどの半導体記憶装置が用いられる。
【0051】
バス203に接続されている周辺機器には、表示装置211とタッチセンサ212とがある。表示装置211は、液晶または有機ELを利用した表示装置である。タッチセンサ212は、接触を検知するための素子を配置した透明なスクリーンである。表示装置211は、タッチセンサ212で表面が覆われている。そのため、表示装置211に表示された要素をユーザが触れると、接触位置がタッチセンサ212で検出される。
【0052】
バス203にはさらに、ストレージ装置213、カメラ214、スピーカ215、マイク216、機能ボタン217、無線LAN(Local Area Network)インタフェース218、および近距離無線通信インタフェース219が接続されている。
【0053】
ストレージ装置213は、不揮発性の装置であり、例えばフラッシュメモリが用いられる。ストレージ装置213には、例えばOS、ドライバ、およびアプリケーションなどのソフトウェアが格納される。プロセッサ201は、ストレージ装置213からソフトウェアを読み出して、処理を実行する。
【0054】
カメラ214は、CCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)などの撮像素子によって、レンズを介して入射した画像を電気信号に変換する。スピーカ215は、プロセッサ201から送られた電気信号を音声に変換して出力する。マイク216は、ユーザの音声を取得し、電気信号に変換する。機能ボタン217は、電源ボタンなどハードウェア的なボタンである。無線LANインタフェース218は、無線によって通話やデータ通信を行う。無線LANインタフェース218は、例えばアクセスポイント30との間でWi-Fi(Wireless Fidelity)による通信を行うことができる。近距離無線通信インタフェース219は、無線LANインタフェース218よりも近距離の無線通信を行うインタフェースである。例えば近距離無線通信インタフェース219は、例えばBluetooth(登録商標)などの無線通信規格によって無線通信を行うことができる。また近距離無線通信インタフェース219は、ビーコン44~46から出力された信号を受信して、受信した信号の強度を計測することができる。
【0055】
ユーザ31は、このようなハードウェア構成のモバイル端末200を利用して、印刷要求の送信などの印刷操作を行うことができる。他のモバイル端末200a,200bもモバイル端末200と同様のハードウェアを有する。
【0056】
以上のような構成のシステムを用いて、ユーザ31~33は、モバイル端末200,200a,200bを用いて印刷システム100にアクセスすることで、複合機41~43による印刷要求を行うことができる。なお、以下の説明では、アプリケーションソフトウェアを単にアプリと呼ぶことがある。
【0057】
図5は、印刷システムとモバイル端末とが有する機能の一例を示すブロック図である。印刷システム100は、セッション管理DB(Data Base)110、印刷管理DB120、印刷エージェント130、セッション管理サーバ140、およびWebサーバ150を有する。
【0058】
セッション管理DB110は、複合機41~43それぞれといずれかのモバイル端末との間のセッション接続を管理するためのデータベースである。セッション管理DB110には、現在のセッションの接続状態を示す情報と、接続されたセッションの切断条件を示す情報とが格納される。
【0059】
印刷管理DB120は、ユーザ31~33ごとの印刷ジョブを管理するためのデータベースである。印刷管理DB120には、登録された印刷ジョブに関する情報、複合機41~43それぞれにおける印刷の状況を示す情報などが格納される。
【0060】
印刷エージェント130は、印刷ジョブに応じた複合機41~43に対する印刷指示を行う。
セッション管理サーバ140は、モバイル端末200,200a,200bからの印刷要求に応じた、モバイル端末200,200a,200bと複合機41~43とのセッション接続を行う。
【0061】
Webサーバ150は、モバイル端末200,200a,200bからの印刷ジョブの受信、セッションを接続したモバイル端末からの印刷要求に応じた、印刷エージェント130への印刷指示などを行う。
【0062】
モバイル端末200は、印刷ジョブ登録部220、印刷指示部230、および距離算出部240を有する。
印刷ジョブ登録部220は、印刷システム100に印刷ジョブを登録する。例えば印刷ジョブ登録部220は、印刷対象のファイルと印刷先の複合機を指定した印刷指示を受け取ると、指定された複合機を印刷先として、印刷対象のファイルの内容を印刷する印刷ジョブを印刷システム100に送信する。
【0063】
印刷指示部230は、印刷可能となったときに、印刷システム100に対して登録してある印刷ジョブによる印刷要求を送信する。印刷指示部230は、印刷要求を送信する際、距離算出部240から印刷先の複合機までの距離の測定結果を取得して、測定された距離を示す情報を印刷要求に含めることができる。印刷指示部230は、例えばWebブラウザによって実現することができる。
【0064】
距離算出部240は、複合機41~43それぞれに取り付けられたビーコン44~46が出力する信号を受信する。ビーコン44~46が出力する信号には、例えば対応する複合機のIDが含まれる。距離算出部240は、ビーコン44~46それぞれからの信号の強度に基づいて複合機までの距離を測定する。信号の強度は例えばRSSI(Received Signal Strength Indicator)で表される。
【0065】
なお、図5に示した各要素間を接続する線は通信経路の一部を示すものであり、図示した通信経路以外の通信経路も設定可能である。また、図5に示した各要素の機能は、例えば、その要素に対応するプログラムモジュールをコンピュータに実行させることで実現することができる。
【0066】
図5にはモバイル端末200,200a,200bのうちのモバイル端末200の機能をブロック図で示しているが、モバイル端末200a,200bもモバイル端末200と同様の機能を有している。また印刷システム100が有する印刷エージェント130、セッション管理サーバ140、およびWebサーバ150は、印刷システム100内の1台のコンピュータで実行されていてもよく、複数のコンピュータで分散して実行されていてもよい。
【0067】
次に、図6図7とを参照して、印刷システム100が有するDBに格納されるデータについて詳細に説明する。
図6は、セッション管理DBの一例を示す図である。セッション管理DB110には、セッション管理テーブル111とセッション切断条件管理テーブル112とが格納されている。
【0068】
セッション管理テーブル111には、ログインしたユーザごとに、複合機との間のセッションの状態を示すレコードが登録されている。セッション管理テーブル111の各レコードには、複合機ID、ユーザID、およびセッション状態のフィールドが含まれる。
【0069】
複合機IDのフィールドには、セッション接続先の複合機の識別子(複合機ID)が設定される。ユーザIDのフィールドには、複合機を使用するユーザの識別子(ユーザID)が設定される。ユーザがログイン画面で入力したユーザIDが、ユーザIDのフィールドに設定される。
【0070】
セッション状態のフィールドには、ユーザのモバイル端末と複合機との間の現在のセッション接続の状態が示されている。セッション接続の状態には、例えばセッション接続中を示す「セッション接続状態」、セッション接続が可能となるのを待っている状態を示す「セッション待ち状態」、セッション接続可能であるが未接続の状態を示す「セッション接続可能状態」がある。例えばユーザがモバイル端末上で印刷を指示する操作を行い印刷が実行されている間は、そのユーザのセッション状態は「セッション接続状態」である。ユーザのモバイル端末上で印刷不可となっている場合、そのユーザのセッション状態は「セッション待ち状態」である。ユーザのモバイル端末上で印刷が可能となっているが印刷を指示する操作を行っていない場合、そのユーザのセッション状態は「セッション接続可能状態」である。
【0071】
セッション切断条件管理テーブル112は、複合機の状態ごとに、モバイル端末の状態または印刷後の印刷ジョブ状態に応じたセッション切断の条件が設定されている。なおセッション切断条件の判定要素となる複合機の状態には、セッション保持中(印刷中を除く)と印刷中とがある。
【0072】
モバイル端末の状態には、モバイル端末の複合機からの距離とモバイル端末処理状態とがある。モバイル端末の複合機からの距離は、ビーコン電波到達距離外か印刷可能距離外かの2つの項目に分かれている。印刷可能距離は、ビーコンの電波が届く距離内の距離であり、予め設定されている。
【0073】
セッション切断条件管理テーブル112には、セッションを接続中のモバイル端末がビーコン電波到達距離外の場合、複合機が印刷をしていなければ、所定の猶予期間の経過後にセッションを切断することが示されている。印刷中であれば、ビーコン電波到達距離外であってもセッションは保持される。なお、ビーコン電波到達距離外の場合のセッション切断の猶予期間は、セッションを介した通信が行われないことによるタイムアウトの期間よりも短い期間である。
【0074】
またセッション切断条件管理テーブル112には、セッションを接続中のモバイル端末が印刷可能距離外の場合、複合機が印刷をしていなければ、所定の猶予期間の経過後にセッションを切断することが示されている。印刷中であれば、印刷可能距離の範囲外であってもセッションは保持される。なお、印刷距離外の場合のセッション切断の猶予期間は、セッションを介した通信が行われないことによるタイムアウトの期間よりも短い期間である。
【0075】
セッション切断条件管理テーブル112におけるモバイル端末処理状態は、アプリがバックグラウンド、ロック状態、ログアウト操作、およびタイムアウト状態の項目に分かれている。モバイル端末処理状態においてアプリがバックグラウンドであるとは、印刷ジョブの送信元の印刷指示部230を含むアプリ(例えばWebブラウザ)がバックグラウンドで動作していることを指す。バックグラウンドで動作しているアプリは、ユーザからの対話型入力による操作対象ではないが、何らかの情報処理を実行している。モバイル端末処理状態においてロック状態であるとは、ユーザ認証をしなければ、アプリの実行指示などの操作入力を受け付けないような状態である。モバイル端末処理状態においてログアウト操作とは、モバイル端末を利用しているユーザが印刷システム100に対してログアウト操作を行った後の状態である。モバイル端末処理状態においてタイムアウト状態とは、モバイル端末からの操作が所定期間行われず、操作待ち時間が経過(タイムアウト)した後の状態である。
【0076】
セッション切断条件管理テーブル112には、印刷ジョブの送信元のアプリがバックグラウンドで動作している場合、複合機が印刷をしていなければ、所定の猶予期間の経過後にセッションを切断することが示されている。印刷中であれば、アプリがバックグラウンドで動作していてもセッションは保持される。なお、アプリがバックグラウンドで動作している場合のセッション切断の猶予期間は、セッションを介した通信が行われないことによるタイムアウトの期間よりも短い期間である。
【0077】
セッション切断条件管理テーブル112には、モバイル端末がロック状態であれば、所定の猶予期間の経過後にセッションを切断することが示されている。ただし複合機が印刷中であれば、モバイル端末がロック状態であってもセッションは保持される。なお、ロック状態の場合のセッション切断の猶予期間は、セッションを介した通信が行われないことによるタイムアウトの期間よりも短い期間である。
【0078】
セッション切断条件管理テーブル112には、モバイル端末がログアウト状態であれば、猶予期間を待つことなくセッションを切断することが示されている。ただし複合機が印刷中であれば、モバイル端末がログアウト状態であってもセッションは保持される。
【0079】
セッション切断条件管理テーブル112には、モバイル端末がタイムアウト状態であれば、猶予期間を待つことなくセッションを切断することが示されている。ただし複合機が印刷中であれば、モバイル端末がログアウト状態であってもセッションは保持される。タイムアウト状態とは、例えばモバイル端末との間の通信が一定期間以上行われていない状態である。なおモバイル端末における入力操作が一定期間以上行われていない場合にタイムアウト状態とすることもできる。
【0080】
セッション切断条件管理テーブル112における印刷ジョブ状態は、セッション接続中のユーザからの印刷要求に応じた印刷終了後にそのユーザの未印刷の印刷ジョブ(未印刷ジョブ)がある状態と、未印刷ジョブがない状態との項目に分かれている。セッション切断条件管理テーブル112には、セッション接続中のユーザからの印刷要求に応じた印刷終了後に、そのユーザの未印刷ジョブがある場合、セッションを保持することが示されている。またセッション切断条件管理テーブル112には、セッション接続中のユーザからの印刷要求に応じた印刷終了後に、そのユーザの未印刷ジョブがない場合、セッションを切断することが示されている。
【0081】
図7は、印刷管理DBの一例を示す図である。印刷管理DB120には、印刷ジョブ管理テーブル121、複合機管理テーブル122、および印刷中ジョブ管理テーブル123が格納されている。
【0082】
印刷ジョブ管理テーブル121は、ユーザから登録された印刷ジョブを管理するデータテーブルである。印刷ジョブ管理テーブル121には、印刷ジョブごとのレコードが登録されている。印刷ジョブ管理テーブル121に登録されているレコードには、ジョブID、ユーザID、および状態のフィールドが設けられている。ジョブIDは、印刷ジョブの識別子である。ユーザIDは、印刷ジョブを登録したユーザの識別子である。状態は、印刷ジョブに応じた印刷が印刷済か未印刷かを示す情報である。
【0083】
複合機管理テーブル122は、複合機を管理するデータテーブルである。複合機管理テーブル122には、複合機ごとのレコードが登録されている。複合機管理テーブル122に登録されているレコードは、複合機IDとIPアドレスとのフィールドを有する。複合機IDのフィールドには、複合機の識別子が登録される。IPアドレスのフィールドには、複合機のIPアドレスが登録される。Webサーバ150は、複合機管理テーブル122を参照することで、複合機IDで指定された印刷先の複合機のIPアドレスを認識し、その複合機への印刷指示を行うことができる。
【0084】
印刷中ジョブ管理テーブル123は、印刷可能な印刷ジョブが印刷中か否かを管理するデータテーブルである。印刷中ジョブ管理テーブル123には、印刷可能な印刷ジョブごとのレコードが登録されている。印刷中ジョブ管理テーブル123に登録されているレコードは、ジョブID、複合機ID、および印刷状態のフィールドを有する。ジョブIDは、印刷可能な印刷ジョブの識別子である。複合機IDは、印刷可能な印刷ジョブの印刷先の複合機の識別子である。印刷状態は、印刷可能な印刷ジョブが印刷中なのか印刷待ちなのかを示す情報である。
【0085】
図6のセッション切断条件管理テーブル112に示すように、印刷システム100では、様々なセッション切断条件のうちのいずれか1つが満たされたとき、セッションを切断する。これにより、セッションが無駄に長く保持されることが抑止される。印刷が終了したモバイル端末と複合機とのセッションが印刷終了後に迅速に切断されることで、他のモバイル端末の印刷待ちの時間が短縮されることとなる。
【0086】
図8は、セッション切断条件に応じた印刷待ち時間の違いを示す図である。図8の上段は、比較例である。比較例では、セッション切断の条件が、ユーザがログアウトすること、またはモバイル端末がタイムアウト状態となることのみであり、他の切断条件はないものとする。また比較例ではユーザの認証に応じてセッション接続を行っており、複合機41に対してセッションを接続しているユーザが存在する間は、他のユーザによるユーザ認証は拒否されるものとする。なお以下の説明では、モバイル端末200を使用しているユーザ31の名前が「ユーザA」であり、モバイル端末200aを使用しているユーザ32の名前が「ユーザB」であるものとする。
【0087】
例えばユーザAが使用するモバイル端末200が複合機41とセッションを接続し、印刷ジョブによって複合機41から印刷中に、ユーザBがモバイル端末200aにより印刷を試みたものとする。ユーザAの印刷要求に応じた複合機41による印刷の実行中は、モバイル端末200aからユーザBがログインを試みても認証に失敗し、ログインできない。
【0088】
ユーザAの印刷要求に応じた複合機41による印刷が終了しても、例えばユーザAがログアウトをし忘れていれば、モバイル端末200と複合機41とのセッションは、モバイル端末200の状態がタイムアウト状態となるまで保持される。そのためユーザAの印刷要求に応じた印刷終了後であっても無駄にセッションが保持され、その間は、ユーザBがモバイル端末200aを用いてログインを試みても認証に失敗する。
【0089】
モバイル端末200の状態がタイムアウト状態となるとモバイル端末200と複合機41とのセッションは切断される。しかしセッションがいつ切断されるのかはユーザBには明確には分からない。そのためユーザBは、セッションが切断されたことをしばらく気づかない可能性がある。その間は、複合機41といずれかのモバイル端末とのセッション接続に関して、無駄に長い空き期間が生じる。その後、ユーザBがモバイル端末200aを用いてログイン操作を行うと認証に成功し、ユーザBはモバイル端末200aによって印刷要求を送信することができる。複合機41は、その印刷要求に応じてユーザBの印刷ジョブに応じた印刷を実行する。
【0090】
図8の下段には、印刷システム100におけるセッション切断条件に応じた印刷待ち時間が示されている。印刷システム100は、セッション切断条件管理テーブル112に示されたセッション切断条件に従ってセッションを切断する。このセッション切断条件には、ログアウトとタイムアウト以外の多様なセッション切断条件が含まれるため、ユーザAの印刷要求に応じた印刷終了後に、迅速にセッションが切断される。また印刷システム100は、印刷要求に応じてセッション接続を行っており、複合機41に対してセッションを接続しているユーザが存在する間であっても、他のユーザによるユーザ認証は許容される。
【0091】
例えばユーザAが登録していたすべての印刷ジョブの印刷が終了した場合、ユーザAからのログアウト操作や、一定期間の無操作によるタイムアウトを待たずに、モバイル端末200と複合機41とのセッションは切断される。またユーザAの未印刷の印刷ジョブが残存していたとしても、例えば印刷要求送信用のアプリがバックグラウンドに移行して猶予期間を経過した場合、またはモバイル端末200がロック状態に移行して猶予期間を経過した場合にも、セッションが切断される。
【0092】
印刷システム100は、モバイル端末200と複合機41とのセッションが接続されている状態でも、モバイル端末200aからのログインを受け付ける。そのため複合機41がユーザAからの印刷要求に応じた印刷を実行中であっても、ユーザBは、モバイル端末200aを用いてログインの認証に成功する。その後、モバイル端末200とのセッションが切断されたとき、印刷システム100からモバイル端末200aへプッシュ通知によって印刷可能であることが通知される。
【0093】
ユーザBは、印刷可能のプッシュ通知により、印刷可能となったことを認識し、モバイル端末200aを介して印刷要求を送信する。すると複合機41とモバイル端末200aとのセッションが接続され、複合機41においてユーザBの印刷ジョブに応じた印刷が実行される。
【0094】
このように、印刷システム100では、ログアウトやタイムアウトのほかにもセッション切断条件を設けたことにより、印刷中のモバイル端末が無駄にセッションを長期に保有してしまうことを抑止している。また印刷システム100は、セッションが切断された場合、印刷待ち状態のユーザのモバイル端末に印刷可能であることを示すプッシュ通知を行うことで、セッション空き時間が長期化することも抑止している。
【0095】
なお印刷システム100からのプッシュ通知によって、モバイル端末に印刷可能であることを通知することで、ネットワークの通信負荷を抑止することができる。例えばポーリングによって定期的に印刷の可否の確認を行うこともできるが、その場合、定期的に繰り返して通信が行われ、端末が増加するとネットワークの負荷が増加する。しかも、リアルタイムにセッションを移行するためにポーリング間隔を短くすると、ネットワークの負荷がさらに増加する。それに対して、印刷システム100からのプッシュ通知であれば、セッションが切断されたときに印刷待ちのモバイル端末それぞれに対して、1回のプッシュ通知を行うだけで済み、ネットワークの負荷は最小限に抑えられる。
【0096】
また印刷システム100は、各モバイル端末がログインしても、印刷可能となったモバイル端末から印刷要求を受信するまでは複合機との間のセッション接続は行わない。これにより、他のユーザがセッション接続中であっても、セッション待ち状態のユーザは、ログインし、印刷する印刷ジョブの選択などの処理を行っておくことができる。そのため、セッション待ち状態のユーザは、印刷可能となったときに迅速に印刷の実行を指示する操作入力を行うことができ、セッションの空き時間が短縮される。
【0097】
さらに、モバイル端末と複合機との間の距離が所定の印刷可能距離よりも離れている場合、印刷システム100は、そのモバイル端末からは印刷できないように制御する。これにより、セッション接続の長期化を抑止できる。
【0098】
図9は、モバイル端末と複合機との距離に基づくセッション管理の一例を示す図である。図9の例では、印刷可能距離が数mに設定されている。ユーザ31は複合機41から印刷可能距離内にいるが、ユーザ32は複合機41から印刷可能距離外にいる。
【0099】
ユーザ31が所持するモバイル端末200は、複合機41のビーコン44から発信された信号を受信して、その信号の強度に基づいて複合機41との距離を算出する。モバイル端末200は、複合機41との距離を示す情報を印刷システム100に送信する。印刷システム100は、モバイル端末200からの情報に基づいて、モバイル端末200が複合機41から印刷可能距離内に存在することを認識する。そして印刷システム100は、例えばモバイル端末200から印刷要求を受信した場合に、モバイル端末200と複合機41とのセッション接続を行う。また印刷システム100は、例えばモバイル端末200からの印刷要求に応じた複合機41からの印刷が終了しても、未印刷の印刷ジョブが存在していれば、セッションを保持する。
【0100】
ユーザ32が所持するモバイル端末200aは、モバイル端末200と同様に複合機41のビーコン44から発信された信号を受信して、その信号の強度に基づいて複合機41との距離を算出する。モバイル端末200aは、複合機41との距離を示す情報を印刷システム100に送信する。印刷システム100は、モバイル端末200aからの情報に基づいて、モバイル端末200aが複合機41から印刷可能距離外に存在することを認識する。そして印刷システム100は、例えばモバイル端末200aから印刷要求を受信した場合、モバイル端末200aと複合機41とのセッション接続を抑止する。
【0101】
また例えばセッション接続後にユーザ32が印刷可能距離外に移動する場合がある。この場合、印刷システム100は、モバイル端末200aからの印刷要求に応じた複合機41からの印刷が終了後、かつ印刷可能距離外に移動してから猶予期間経過後に、セッションを切断する。
【0102】
図10は、印刷のために装置間で通信される情報の一例を示す図である。例えばモバイル端末200,200aからWebサーバ150へ、ログイン時のユーザ認証のための情報送信が行われる。またWebサーバ150から、ログインしたモバイル端末200,200aへは、ジョブ一覧画面の画面データが送信される。このとき印刷可能範囲内にいるユーザ31のモバイル端末200のジョブ一覧画面では印刷可能状態となっているが、印刷可能範囲外のユーザのモバイル端末200aのジョブ一覧画面では、印刷不可の状態となっている。
【0103】
印刷可能状態のモバイル端末200は、セッション管理サーバ140にセッション接続要求を送信することができる。例えばモバイル端末200は、セッション接続要求を兼ねた印刷要求を、セッション管理サーバ140に送信する。セッション管理サーバ140は、モバイル端末200からの要求に応じて、モバイル端末200と複合機41とのセッションを接続する。セッションを接続すると、セッション管理サーバ140は、モバイル端末200へセッション接続を通知すると共に、Webサーバ150に印刷を指示する。
【0104】
Webサーバ150は、セッション管理サーバ140からの指示に応じて印刷指示を印刷エージェント130に送信する。印刷エージェント130は、複合機41に印刷を指示する。
【0105】
複合機41は、印刷が終了すると印刷終了を印刷エージェント130に通知する。印刷エージェント130は、複合機41からの印刷終了の通知に応じて、Webサーバ150へ印刷終了を通知する。印刷が終了すると、Webサーバ150はセッション管理サーバ140へセッション切断要求を送信する。
【0106】
セッション管理サーバ140は、セッション切断条件が満たされている場合、セッション切断要求に応じて、モバイル端末200と複合機41とのセッションを切断する。そしてセッション管理サーバ140は、モバイル端末200へセッション切断を通知する。
【0107】
図10に示すように、複合機41から印刷可能範囲内にいるユーザ31であれば、モバイル端末200を用いて印刷要求を送信できる。この際、印刷システム100では、ログイン時にはセッション接続を行わず、印刷要求があったときにセッション接続を行い、印刷が終了すると、セッション切断条件を満たすことを確認して、迅速にセッションを切断する。これにより、印刷時のセッション接続時間が短くてすむ。
【0108】
図11は、印刷の手順の一例を示すシーケンス図である。例えばモバイル端末200は、印刷を行うアプリから印刷先の複合機41の印刷用のドライバを呼び出し、その印刷用のドライバにより印刷ジョブを生成する。そしてモバイル端末200は、印刷ジョブをWebサーバ150に送信する(ステップS11)。
【0109】
Webサーバ150は、受信した印刷ジョブを記憶すると共に、印刷管理DB120内の印刷ジョブ管理テーブル121に受信した印刷ジョブに対応するレコードを登録する(ステップS12)。なお受信した印刷ジョブには、印刷内容を示す情報と印刷先の複合機41を特定する情報とが含まれる。
【0110】
その後、ユーザ31は、モバイル端末200を用いてWebサーバ150へログインのためのアクセスを行う(ステップS13)。Webサーバ150は、モバイル端末200からのアクセスに応じて、ログイン画面データをモバイル端末200に送信する(ステップS14)。
【0111】
モバイル端末200は、ログインのための認証情報(ユーザID、パスワードなど)をWebサーバ150に送信する(ステップS15)。Webサーバ150は、モバイル端末200から送られた認証情報に基づいてユーザ認証を行う(ステップS16)。ユーザ認証に成功すると、Webサーバ150は、ユーザ31から登録された印刷ジョブの印刷先の複合機41の状態を確認する(ステップS17)。例えばWebサーバ150は、印刷ジョブ管理テーブル121から、ログインしたユーザの未印刷の印刷ジョブのジョブIDを取得し、該当するジョブIDの印刷ジョブの印刷先の複合機41を判断する。そしてWebサーバ150は、印刷先の複合機41の状態をセッション管理サーバ140に問い合わせる。セッション管理サーバ140は、セッション管理テーブル111を参照し、印刷先の複合機41にセッション接続中のモバイル端末の有無に基づいて、その複合機41がセッション接続中か否かを判断する。セッション管理サーバ140は、複合機41がセッション接続中か否かの情報をWebサーバ150に送信する。
【0112】
Webサーバ150は、印刷先の複合機41の状態に応じて印刷の可否を設定したジョブ一覧画面データを生成し、モバイル端末200に送信する(ステップS18)。例えば複合機41がいずれのモバイル端末ともセッション接続されていなければ、印刷可能な状態のジョブ一覧画面データがモバイル端末200に送信される。
【0113】
モバイル端末200は、受信したジョブ一覧画面データに基づいてジョブ一覧画面を表示する。印刷可能であれば、ユーザ31はジョブ一覧画面から印刷を実行する印刷ジョブを選択し、印刷の実行を指示する入力を行う。するとモバイル端末200は、印刷要求をセッション管理サーバ140に送信する(ステップS19)。なおセッション未接続の状態での印刷要求は、セッションの接続要求も兼ねているものとする。
【0114】
セッション管理サーバ140は、印刷要求に応じてモバイル端末200と複合機41とのセッション接続を確立する(ステップS20)。そしてセッション管理サーバ140は、印刷要求に示される印刷ジョブに基づく印刷指示をWebサーバ150に送信する(ステップS21)。Webサーバ150は、セッション管理サーバ140からの印刷指示に応じて、印刷エージェント130へ、指定された印刷ジョブによる複合機41への印刷指示を送信する(ステップS22)。印刷エージェント130は、Webサーバ150からの印刷指示に応じて複合機41に対して印刷指示を送信する(ステップS23)。複合機41は、印刷指示に従って文書の印刷を行い、印刷物を出力する(ステップS24)。
【0115】
複合機41は、印刷が終了すると、印刷終了を印刷エージェント130に通知する(ステップS25)。印刷エージェント130は、印刷終了の通知を受信すると、Webサーバ150に印刷終了の通知を送信する(ステップS26)。
【0116】
Webサーバ150は、印刷終了の通知を受信すると、セッション管理サーバ140にセッション切断要求を送信する(ステップS27)。Webサーバ150は、セッション切断要求に、ユーザ31が登録した印刷ジョブのうち未印刷の印刷ジョブの有無を示す情報を含める。
【0117】
またモバイル端末200は、セッション管理サーバ140へ、モバイル端末200の状態を示す状態情報を送信する(ステップS28)。例えばモバイル端末200は、印刷要求を送信後、モバイル端末200の状態が変更されたときに状態情報を送信する。状態が変更されたときとは、印刷指示部230を含むアプリがバックグラウンドに移行したとき、モバイル端末200がログオフ状態になったとき、モバイル端末200から複合機41までの距離が印刷可能距離外となったときなどである。
【0118】
セッション管理サーバ140は、セッション切断条件管理テーブル112を参照し、セッション切断要求に応じてセッション切断条件のいずれかが満たされるか否かを判断する(ステップS29)。セッション管理サーバ140は、いずれか1つのセッション切断条件が満たされた場合、モバイル端末200と複合機41との間のセッションを切断する(ステップS30)。そしてセッション管理サーバ140は、モバイル端末200へセッション切断通知を送信する(ステップS31)。
【0119】
図11に示したように、モバイル端末200と複合機41とのセッションの接続期間は印刷要求が送信されてから、印刷後のセッション切断条件が満たされたことを確認するまでとなる。またログアウトやタイムアウト以外にも多数のセッション切断条件が設定されており、少なくとも1つのセッション切断条件が満たされればセッションが切断される。その結果、セッションの接続期間の長期化が抑止される。
【0120】
次に、図12図13を参照して、印刷要求に応じた印刷システム100の印刷処理を詳細に説明する。
図12は、印刷要求受け付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図12に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0121】
[ステップS101]セッション管理サーバ140は、いずれかのモバイル端末200,200a,200bから印刷要求を受信する。なお印刷要求には、例えば送信元のモバイル端末を使用しているユーザを識別する情報(例えばユーザID)、および送信元のモバイル端末から各複合機までの距離を示す情報が含まれている。
【0122】
[ステップS102]セッション管理サーバ140は、印刷要求を送信したユーザが予め登録している印刷ジョブの印刷先の複合機を特定する。例えばセッション管理サーバ140は、Webサーバ150に、印刷要求を送信したユーザのユーザIDを指定して、該当ユーザの印刷ジョブにおける印刷先の複合機の複合機IDを要求する。Webサーバ150は、セッション管理サーバ140からの要求に応じて、印刷ジョブ管理テーブル121を参照し、指定されたユーザIDのユーザが登録した印刷ジョブのジョブIDを判断する。そしてWebサーバ150は、該当するジョブIDの印刷ジョブから、印刷先の複合機の複合機IDを取得し、取得した複合機IDをセッション管理サーバ140に送信する。セッション管理サーバ140は、取得した複合機IDの複合機を、印刷先として特定する。
【0123】
[ステップS103]セッション管理サーバ140は、印刷要求の送信元のモバイル端末から印刷先の複合機までの距離が、印刷可能距離内か否かを判断する。セッション管理サーバ140は、印刷可能距離内であれば、処理をステップS104に進める。またセッション管理サーバ140は、印刷可能距離外であれば、処理をステップS106に進める。
【0124】
[ステップS104]セッション管理サーバ140は、セッション管理テーブル111を参照し、印刷先の複合機をセッションが空いているか否かを判断する。例えばセッション管理サーバ140は、印刷先の複合機がいずれのモバイル端末ともセッションを接続していなければ、セッションが空いていると判断する。またセッション管理サーバ140は、印刷先の複合機が、印刷要求の送信元とは別のモバイル端末とセッション接続中であれば、セッションが空いていないと判断する。
【0125】
なお各モバイル端末は、セッションが空いておりセッション接続可能状態のときに印刷要求を送信することができるが、複数のモバイル端末が同時にセッション接続可能状態になる場合がある。その場合、先に印刷要求を送信したモバイル端末と複合機との間でセッション接続が行われ、遅れて印刷要求を送信したモバイル端末については、ステップS104において、セッションの空きなしと判断されることとなる。
【0126】
セッション管理サーバ140は、セッションが空いていれば処理をステップS105に進める。またセッション管理サーバ140は、セッションが空いていなければ処理をステップS106に進める。
【0127】
[ステップS105]セッション管理サーバ140、Webサーバ150、および印刷エージェント130が協働して、セッション接続、印刷処理、セッション切断を実行する。印刷処理の詳細は後述する(図13参照)。セッション管理サーバ140は、印刷処理が終了すると、処理をステップS107に進める。なお印刷処理終了時には、印刷要求の送信元のモバイル端末と印刷先の複合機とのセッションは切断されている。
【0128】
[ステップS106]セッション管理サーバ140は、印刷要求の送信元のモバイル端末に印刷不可のプッシュ通知を送信する。その後、セッション管理サーバ140は処理をステップS110に進める。なお、印刷不可のプッシュ通知には、印刷不可である理由を示すメッセージを含めることもできる。
【0129】
[ステップS107]セッション管理サーバ140は、セッション管理テーブル111を参照し、終了した印刷処理で使用された複合機を印刷先としてセッション待ち状態となっている他のユーザがいるか否かを判断する。セッション管理サーバ140は、セッション待ち状態の他のユーザがいる場合、処理をステップS108に進める。またセッション管理サーバ140は、セッション待ち状態の他のユーザがいなければ処理をステップS110に進める。
【0130】
[ステップS108]セッション管理サーバ140は、セッション管理テーブル111に対し、終了した印刷処理で使用され複合機を印刷先として印刷セッション待ち状態の他のユーザのセッション状態をセッション接続可能状態に変更する。
【0131】
[ステップS109]セッション管理サーバ140は、セッション待ちのユーザのモバイル端末へ印刷可能のプッシュ通知を送信する。
[ステップS110]セッション管理サーバ140は、印刷システム100の管理者からの印刷要求の受け付け処理終了の指示が入力されたか否かを判断する。セッション管理サーバ140は、印刷要求の受け付け処理終了の指示があった場合、印刷要求受付処理を終了する。セッション管理サーバ140は、印刷要求の受け付け処理終了の指示がなければ処理をステップS101に進め、次の印刷要求が送信されるのを待つ。
【0132】
このように、印刷システム100は、セッション接続したモバイル端末からの印刷要求を受け付け、そのモバイル端末と複合機との距離が印刷可能範囲内であれば、印刷要求に応じた印刷処理を行う。そして印刷処理が終了してセッションの空きが生じると、セッション待ち状態の他のユーザのモバイル端末に対して印刷可能のプッシュ通知が行われる。これにより、セッション切断後、次の印刷処理開始までのセッションの空き時間を短縮できる。
【0133】
次に、印刷処理の手順について詳細に説明する。
図13は、印刷処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図13に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0134】
[ステップS201]セッション管理サーバ140は、印刷要求の送信元のモバイル端末と印刷先の複合機との間のセッションを接続する。
[ステップS202]セッション管理サーバ140は、Webサーバ150に、印刷要求で指定された印刷ジョブによる印刷指示を送信する。Webサーバ150は、印刷エージェント130に、指定された印刷ジョブによる印刷指示を送信する。そして印刷エージェント130は、複合機へ印刷ジョブによる印刷を指示する。これにより複合機によって印刷が実行される。
【0135】
この際、Webサーバ150は、ジョブ管理テーブル123における印刷指示に示した印刷ジョブの印刷状態を印刷中に変更する。なお複数の印刷ジョブを連続して実行する場合、Webサーバ150は、1つ目の印刷ジョブの印刷指示を印刷エージェント130に送信後、印刷状態を印刷中とするその印刷ジョブのレコードをジョブ管理テーブル123に登録する。また印刷状態を印刷待ちとする2つ目以降の印刷ジョブのレコードをジョブ管理テーブル123に登録する。Webサーバ150は、印刷中の印刷ジョブに基づく印刷が終了すると、順次、印刷待ちの印刷ジョブの印刷指示を印刷エージェント130に送信する。
【0136】
[ステップS203]セッション管理サーバ140は、セッション管理テーブル111を参照し、印刷要求の送信元のモバイル端末のユーザ以外に、同じ複合機に対してセッション接続可能状態となっているユーザがいるか否かを判断する。セッション管理サーバ140は、セッション接続可能状態の他のユーザがいる場合、処理をステップS204に進める。またセッション管理サーバ140は、セッション接続可能状態の他のユーザがいない場合、処理をステップS207に進める。
【0137】
[ステップS204]セッション管理サーバ140は、セッション管理テーブル111において、セッション接続可能状態の他のユーザのセッション状態を、セッション待ち状態に変更する。
【0138】
[ステップS205]セッション管理サーバ140は、セッション状態がセッション待ち状態に変更されたユーザのモバイル端末へ、印刷不可のプッシュ通知を送信する。
[ステップS206]Webサーバ150は、印刷要求で示されたすべての印刷ジョブによる印刷が終了したか否かを判断する。例えば複合機において印刷ジョブに応じた印刷が終了すると、複合機が印刷終了通知を出力する。出力された印刷終了通知を印刷エージェント130が受信し、Webサーバ150に転送する。Webサーバ150は、印刷終了通知を受信することで、印刷ジョブに応じた印刷が終了したことを認識する。Webサーバ150は、印刷要求に示されたすべての印刷ジョブについての印刷終了通知を受信したとき、印刷終了と判断する。
【0139】
Webサーバ150は、印刷が終了した場合、セッション切断要求をセッション管理サーバ140に送信し、処理をステップS207に進める。またWebサーバ150は、印刷が終了していなければ、ステップS206の処理を繰り返し、印刷が終了するのを待つ。
【0140】
[ステップS207]セッション管理サーバ140は、モバイル端末の状態(複合機からの距離とモバイル端末処理状態)がセッション切断条件のいずれかを満足しているか否かを判断する。例えばセッション管理サーバ140は、セッション接続中のモバイル端末から、モバイル端末の状態を取得する。モバイル端末の状態には、例えば複合機からの距離、印刷用のアプリの状態がフォアグラウンドかバックグラウンドか、モバイル端末がロック状態か否かなどが含まれる。例えばセッション管理サーバ140は、モバイル端末が印刷可能距離より外に移動した場合、印刷用のアプリがフォアグラウンドからバックグラウンドに移行した場合、およびモバイル端末がロック状態に移行した場合、該当状態の時間計測を開始する。そしてセッション管理サーバ140は、所定の猶予期間が経過するまで状態が変わらなければ、セッション切断条件が満たされたと判断する。
【0141】
セッション管理サーバ140は、モバイル端末の状態がセッション切断条件のいずれか1つを満足している場合、処理をステップS210に進める。またセッション管理サーバ140は、モバイル端末の状態がセッション切断条件のいずれも満たしていない場合、処理をステップS208に進める。
【0142】
[ステップS208]セッション管理サーバ140は、セッション接続中のユーザが登録した印刷ジョブのうち、未印刷の印刷ジョブがあるか否かを判断する。例えばWebサーバ150に問い合わせて、未印刷の印刷ジョブの存在の有無を確認する。セッション管理サーバ140は、未印刷の印刷ジョブがある場合、処理をステップS209に進める。またセッション管理サーバ140は、未印刷の印刷ジョブがなければ、処理をステップS210に進める。
【0143】
[ステップS209]セッション管理サーバ140は、セッション接続中のユーザのモバイル端末から、新たな印刷要求を受信したか否かを判断する。セッション管理サーバ140は、新たな印刷要求を受信した場合、処理をステップS202に進める。またセッション管理サーバ140は、印刷要求を受信していなければ、処理をステップS207に進める。
【0144】
[ステップS210]セッション管理サーバ140は、印刷が終了した印刷処理に使用したセッションを切断する。これにより、印刷先の複合機へ接続するセッションが空き状態となる。
【0145】
このようにして、印刷要求に応じてセッションが接続され、印刷終了後にセッション切断条件が満たされるとすぐにセッションが切断される。その結果、セッション接続時間が無駄に長期化することが抑止される。
【0146】
次に、印刷時のモバイル端末200,200a,200bの表示画面の遷移と操作手順について説明する。
図14は、印刷時のモバイル端末の画面遷移の一例を示す図である。図14の例では、ユーザ31がモバイル端末200を使用して複合機41で印刷を行う場合を想定している。なお印刷ジョブの登録はすでに行われているものとする。
【0147】
ユーザ31は、モバイル端末200に印刷システム100へのアクセスを指示する入力を行う。するとモバイル端末200は、印刷システム100のWebサーバ150へログインのためのアクセスを行う。Webサーバ150は、ログイン画面51の画面データをモバイル端末200に送信する。モバイル端末200は、ログイン画面51を表示する。
【0148】
ログイン画面51には、ユーザID入力用のテキストボックス51aと、ログイン用のボタン51bとが設けられている。ユーザ31は、テキストボックス51aに自身のユーザIDを入力し、ボタン51bを押下する。するとモバイル端末200からWebサーバ150へ認証情報が送信される。認証に成功すると、Webサーバ150からモバイル端末200へ、ジョブ一覧画面52の画面データが送信される。そしてモバイル端末200は、ジョブ一覧画面52を表示する。
【0149】
ジョブ一覧画面52には、複合機ID表示部52a、ジョブ一覧表示部52b、および印刷用のボタン52cが設けられている。複合機ID表示部52aには、印刷ジョブにおける印刷先に指定されている複合機41の複合機IDが表示される。ジョブ一覧表示部52bには、ユーザ31が登録した印刷ジョブそれぞれのジョブIDが表示される。ユーザ31は、ジョブ一覧表示部52bから印刷を実行する印刷ジョブを選択する。
【0150】
印刷ジョブ選択後のジョブ一覧画面52のジョブ一覧表示部52bでは、選択された印刷ジョブのジョブIDが強調表示されている。印刷ジョブの選択後にユーザ31が印刷用のボタン52cを押下すると、モバイル端末200からセッション管理サーバ140へ、選択された印刷ジョブのジョブIDを含む印刷要求が送信される。この印刷要求に応じて、モバイル端末200と印刷先の複合機41とのセッション接続が開始される。
【0151】
選択した印刷が終了すると、例えばWebサーバ150からモバイル端末200へ、選択した印刷ジョブに応じた印刷の終了が通知され、モバイル端末200のジョブ一覧画面52が更新される。
【0152】
印刷終了後のジョブ一覧画面52のジョブ一覧表示部52bでは、印刷が終了した印刷ジョブのジョブIDにチェックマークが付与されている。ユーザ31は、チェックマークが付与されているジョブIDの印刷ジョブは印刷が終了していると認識できる。
【0153】
その後、ユーザ31がログアウト操作を行うとセッションが切断され、モバイル端末200には再度、ログイン画面51が表示される。
図14に示すように、印刷先の複合機41のセッションが空きの状態であれば、ユーザ31は、モバイル端末200からすぐに印刷要求を送信し、印刷を実行させることができる。ここでユーザ31のモバイル端末200が印刷要求を送信後、印刷が終了する前に、他のユーザ32が同じ複合機41で印刷をするために、Webサーバ150にログインする場合がある。この場合、他のユーザ32は、ユーザ31の印刷が終了するまで待たされることとなるが、ユーザ31の印刷が終了すると、プッシュ通知によってそのことをすぐに知ることができる。
【0154】
図15は、他のユーザの印刷終了を待って印刷を行う場合のモバイル端末の画面遷移の一例を示す図である。図15の例では、ユーザ31が複合機41で印刷を実行中に、ユーザ32がモバイル端末200aを使用して、複合機41で印刷を行うために印刷システム100にアクセスする場合を想定している。なおユーザ32による印刷ジョブの登録はすでに行われているものとする。
【0155】
ユーザ32は、モバイル端末200aに印刷システム100へのアクセスを指示する入力を行う。するとモバイル端末200aは、印刷システム100のWebサーバ150へログインのためのアクセスを行う。Webサーバ150は、ログイン画面61の画面データをモバイル端末200aに送信する。モバイル端末200aは、ログイン画面61を表示する。
【0156】
ログイン画面61には、ユーザID入力用のテキストボックス61aと、ログイン用のボタン61bとが設けられている。ユーザ32は、テキストボックス61aに自身のユーザIDを入力し、ボタン61bを押下する。するとモバイル端末200aからWebサーバ150へ認証情報が送信される。認証に成功すると、Webサーバ150からモバイル端末200aへ、ジョブ一覧画面62の画面データが送信される。そしてモバイル端末200aは、ジョブ一覧画面62を表示する。
【0157】
ジョブ一覧画面62には、複合機ID表示部62a、ジョブ一覧表示部62b、および印刷用のボタン62cが設けられている。複合機ID表示部62aには、印刷ジョブにおける印刷先に指定されている複合機41の複合機IDが表示される。ジョブ一覧表示部62bには、ユーザ32が登録した印刷ジョブそれぞれのジョブIDが表示される。
【0158】
ジョブ一覧画面62が表示された時点では、ユーザ31による印刷が終了しておらず、ユーザ32はすぐに印刷をすることができない。そのため、印刷用のボタン62cはグレイアウトで表示され、ボタン62cは非活性の状態になっている。またジョブ一覧画面62には、他のユーザが複合機41を使用中であることを示すメッセージが表示されている。
【0159】
ユーザ31による印刷が終了すると、セッション管理サーバ140からモバイル端末200aへ、印刷可能のプッシュ通知が送信される。モバイル端末200aは、印刷可能のプッシュ通知を受けて、ジョブ一覧画面62を更新する。
【0160】
更新後のジョブ一覧画面62には、印刷可能状態になったことを示すメッセージが表示される。そして印刷用のボタン62cのグレイアウト表示が終了し、活性状態となる。ユーザ32は、印刷可能となったことを認識すると、ジョブ一覧表示部62bから印刷を実行する印刷ジョブを選択する。
【0161】
印刷ジョブ選択後のジョブ一覧画面62のジョブ一覧表示部62bでは、選択された印刷ジョブのジョブIDが強調表示されている。印刷ジョブの選択終了後にユーザ32が印刷用のボタン62cを押下すると、モバイル端末200aからセッション管理サーバ140へ、選択された印刷ジョブのジョブIDを含む印刷要求が送信される。この印刷要求に応じて、モバイル端末200aと印刷先の複合機41とのセッション接続が開始される。
【0162】
選択した印刷が終了すると、例えばWebサーバ150からモバイル端末200aへ、選択した印刷ジョブに応じた印刷の終了が通知され、モバイル端末200aのジョブ一覧画面62が更新される。
【0163】
印刷終了後のジョブ一覧画面62のジョブ一覧表示部62bでは、印刷が終了した印刷ジョブのジョブIDにチェックマークが付与されている。ユーザ32は、チェックマークが付与されているジョブIDの印刷ジョブは印刷が終了していると認識できる。
【0164】
図15の例ではユーザ32が登録した印刷ジョブはすべて印刷済みとなっている。そのためモバイル端末200aと複合機41との間のセッション接続は、ユーザ32によるログアウトなどの操作を待たずに終了する。
【0165】
このようにプッシュ通知により、印刷可能になったことをユーザ32が気づかずに、セッション接続の空き時間が長期化することが抑止される。またすべての印刷ジョブの印刷が終了していれば自動でセッションを切断することで、セッション接続の長期化も抑止される。
【0166】
なお印刷待ちのユーザが複数存在する場合、それらのユーザのモバイル端末において同時に印刷可能となる。そして印刷用のボタンを最も早く押したユーザの印刷ジョブが実行され、他のユーザは印刷不可能な状態に戻る。
【0167】
図16は、複数のユーザが印刷待ちをしていた場合のモバイル端末の画面遷移の一例を示す図である。図16の例では、ユーザ31が複合機41で印刷をしている間に、ユーザ32とユーザ33とが印刷待ちをしている場合を想定する。
【0168】
ユーザ32が使用しているモバイル端末200aには、ログイン後にジョブ一覧画面62が表示される。ジョブ一覧画面62の表示内容は、図15を参照して説明した通りである。同様に、ユーザ33が使用しているモバイル端末200bには、ログイン後にジョブ一覧画面72が表示される。ジョブ一覧画面72には、複合機ID表示部72a、ジョブ一覧表示部72b、および印刷用のボタン72cが含まれる。双方のジョブ一覧画面62,72では印刷用のボタン62c,72cがグレイアウトで表示され、非活性の状態となっている。
【0169】
ユーザ31による印刷が終了すると、印刷システム100から各モバイル端末200a,200bへ、印刷可能のプッシュ通知が送信される。すると双方のモバイル端末200a,200bのジョブ一覧画面62,72において印刷可能状態になったことを示すメッセージが表示され、印刷用のボタン62c,72cが活性状態となる。
【0170】
ここで、ユーザ32が先に印刷ジョブを選択してボタン62cを押下し、その直後、ユーザ33が印刷ジョブを選択してボタン72cを押下したものとする。各モバイル端末200a,200bは、印刷システム100へ印刷要求を送信する。印刷システム100は、先に送信された、モバイル端末200aからの印刷要求に応じてセッションを接続し、印刷を開始する。他方、印刷システム100は、モバイル端末200bへ印刷不可のプッシュ通知を送信する。
【0171】
その結果、モバイル端末200aのジョブ一覧画面62には、印刷中を示すメッセージが表示される。他方、モバイル端末200bのジョブ一覧画面72には、他の人が先に印刷を開始したことを示すメッセージが表示される。なお、双方のジョブ一覧画面62,72のボタン62c,72cは、共にグレイアウトして非活性の状態となる。ジョブ一覧画面62のボタン62cについても非活性の状態とすることで、ダブルクリックによる2重印刷を防ぐことができる。
【0172】
なおジョブ一覧画面62に未印刷の印刷ジョブがあり、該当印刷ジョブを選択された場合、ボタン62cは活性化される。そしてユーザ32が印刷用のボタン62cを押下すれば、モバイル端末200aから印刷システム100へ、新たに選択した印刷ジョブによる印刷要求が送信される。
【0173】
図16に示したように、印刷の可否をプッシュ通知で通知することで、セッション空きとなる時間を減らすことができる。また印刷可能となり印刷要求を送信したものの、他の人が先に印刷を開始してしまった場合、プッシュ通知によって印刷が不可となったことが通知される。これにより、遅れて印刷要求を行ったユーザ33が、印刷されていないことに気づかずに複合機41に印刷物を取りに行くような無駄な手間が発生することを抑止できる。
【0174】
〔その他の実施の形態〕
第2の実施の形態では、複合機との距離に応じた印刷の許否判断を印刷システム100で行っているが、モバイル端末側で距離に応じた印刷の許否判断を行うこともできる。例えばモバイル端末は、印刷可のプッシュ通知を受信したとしても、複合機との距離が所定値以上であれば、印刷用のボタンを非活性の状態のままとする。
【0175】
第2の実施の形態の印刷システム100では、ビーコンの信号強度によってモバイル端末と複合機との距離を計測し、その距離に基づいて印刷可能距離外か否かを判断しているが、他の方向で印刷可能距離外か否かを判断してもよい。例えば印刷システム100は、複合機が接続されたネットワークのアクセスポイントにモバイル端末が接続できない場合には印刷可能距離外であると判断してもよい。また印刷システム100は、モバイル端末のGPS(Global Positioning System)などによる位置測定機能で得た位置座標と複合機の設置場所の位置座標に基づいて距離を計測し、その距離に基づいて印刷可能距離外か否かを判断してもよい。
【0176】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0177】
1,2 ユーザ
3 第1の端末
4 第2の端末
5 プリンタ
6 セッション切断条件情報
7a,7b,・・・ 印刷ジョブ
10 印刷システム
11 記憶部
12 処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16