(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018903
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】レール固定部材
(51)【国際特許分類】
B66C 7/08 20060101AFI20220120BHJP
E01B 9/64 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
B66C7/08
E01B9/64
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122337
(22)【出願日】2020-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】502424403
【氏名又は名称】株式会社今井鉄工所
(71)【出願人】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】今井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】岩田 弘
(72)【発明者】
【氏名】今井 啓介
(72)【発明者】
【氏名】片山 周二
【テーマコード(参考)】
3F202
【Fターム(参考)】
3F202CA02
3F202CB03
3F202CE02
(57)【要約】
【課題】レールから桁の頂板の端縁までの距離が短い場合でも、レールを桁に固定しておくことができるレール固定部材を提供する。
【解決手段】桁の頂板GPの上面に設置されるレールRを桁の頂板GPに固定する部材であって、桁の頂板GPの端部に取り付けられる連結部材10と、連結部材10とレールRの腹RUとを連結する軸部材20と、を備えており、連結部材10は、軸部材20が連結される軸部材連結部15を備えており、一の端面に、一の端面から凹んだ係合溝が形成されており、係合溝11hは、レールRの底部RBと桁の頂板GPとを挟んで保持し得る高さに形成されており、その深さが、レールRの底部RBの端部から桁の頂板GPの端縁までの距離よりも長くなるように形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
桁の頂板の上面に設置されるレールを該桁の頂板に固定する部材であって、
前記桁の頂板の端部に取り付けられる連結部材と、
該連結部材と前記レールの腹とを連結する軸部材と、を備えており、
該連結部材は、
前記軸部材が連結される軸部材連結部を備えており、
一の端面に、該一の端面から凹んだ係合溝が形成されており、
該係合溝は、
前記レールの底部と前記桁の頂板とを挟んで保持し得る高さに形成されており、
その深さが、前記レールの底部の端縁から前記桁の頂板の端縁までの距離よりも長くなるように形成されている
ことを特徴とするレール固定部材。
【請求項2】
前記連結部材の係合溝は、
該係合溝を形成する一方の面と他方の面とが非平行となっており、
該係合溝の底から開口に向かうに従って、該係合溝を形成する一方の面と他方の面との距離が長くなるように形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のレール固定部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レール固定部材に関する。さらに詳しくは、天井クレーンや台車等の軌条走行機械が走行するレールを、レールを敷設する桁に固定するためのレール固定部材に関する。
【背景技術】
【0002】
天井クレーンや台車等の軌条走行機械は、倉庫等の天井や地面などに設置された桁の上に敷設されたレール上を車輪によって走行して移動する。かかる天井クレーンや台車等の安定した走行を実現する上では、桁にレールをしっかりと固定しておくことが必要となる。
【0003】
レールを桁に固定する部材として、フックボルトが使用されているが(特許文献1、2参照)、かかるフックボルトは、地震による荷重がレールに加わった場合には、その荷重を十分に支えることができない。このため、レールが桁から外れてしまい、レールが桁から落下する可能性もある。
【0004】
かかるフックボルトの問題を解消した固定部材として、特許文献3、4の技術が開発されている。特許文献3、4の固定部材は、桁の頂板の端縁に取り付けられる連結部材と、連結部材とレールとを連結する軸部材とから構成されている。この固定部材では、連結部材の係合溝に桁の頂板の端縁を入れて連結部材と桁の頂板とを係合した状態で、軸部材によってレールと連結部材を連結することができる。このため、レールを移動させるような力が加わった場合には、連結部材によってその力を支持できるので、レールを桁の頂板に固定しておく性能を高くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60-40501号公報
【特許文献2】実開昭62-153277号公報
【特許文献3】特許第5290478号公報
【特許文献4】特許第5849289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3、4の固定部材はレールをしっかりと桁の頂板に固定しておくことができるが、レールから桁の頂板の端縁までの距離が短い場合(例えば50mm以下の場合)には、レールの底部と連結部材とが干渉してしまう可能性がある。すると、連結部材が頂板の端縁と係合する長さが短くなり、レールを桁の頂板に固定する力が弱くなってしまう。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑み、レールから桁の頂板の端縁までの距離が短い場合でも、レールを桁に固定しておくことができるレール固定部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明のレール固定部材は、桁の頂板の上面に設置されるレールを該桁の頂板に固定する部材であって、前記桁の頂板の端部に取り付けられる連結部材と、該連結部材と前記レールの腹とを連結する軸部材と、を備えており、該連結部材は、前記軸部材が連結される軸部材連結部を備えており、一の端面に、該一の端面から凹んだ係合溝が形成されており、該係合溝は、前記レールの底部の端部と前記桁の頂板とを挟んで保持し得る高さに形成されており、その深さが、前記レールの底部の端縁から前記桁の頂板の端縁までの距離よりも長くなるように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、連結部材の係合溝の開口から桁の頂板およびレールの底部を係合溝に挿入して、軸部材によってレールと連結部材とを連結すれば、レールを桁の頂板に固定することができるので、レールを桁の頂板に固定する作業工数を少なくできる。しかも、桁の頂板の端縁からレールの底部までの距離が短くても、レール固定部材によってレールと桁の頂板とを連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態のレール固定部材1によってレールRをランウェイガーダGに取り付けた状態の概略断面図である。
【
図2】レール固定部材1の連結部材10の概略単体説明図であり、(A)は側面図であり、(B)は(A)のB矢視図である。
【
図3】他の実施形態の連結部材10Bを有するレール固定部材1によってレールRをランウェイガーダGに取り付けた状態の概略断面図である。
【
図4】他の実施形態の連結部材10Bの概略単体説明図であり、(A)は側面図であり、(B)は(A)のB矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態のレール固定部材は、天井クレーンや台車等が走行するレールを固定するための部材であって、桁の頂板にレールを固定するために使用されるものである。そして、本実施形態のレール固定部材は、レールの底部の端縁から桁の頂板の端縁までの距離が短い場合に桁の頂板にレールを固定する部材として適している。
【0012】
本実施形態のレール固定部材によって固定されるレールはとくに限定されない。桁の頂板の上面に立設するような壁(言い換えれば、桁の頂板の上面と垂直な壁)を有するものが好ましい。本発明のレール固定部材によって固定されるレールとして、例えば、一般的な断面略I字状に形成されたレールを挙げることができる。
【0013】
また、本明細書でいう桁としては、例えば、
図1に示すような所定の幅を有する頂板を備えた桁、いわゆるランウェイガーダなどを挙げることができる。本明細書でいう桁には、レール固定部材1の連結部材10を以下で説明するように係合することができる構造を有する種々の部材を含んでおり、レール固定部材1の連結部材10を係合できる構造を有する構造物であれば、その構造や形状などはとくに限定されない。
【0014】
以下では、
図1に示すように、頂板GPを有するランウェイガーダGに、断面略I字状に形成されたレールRを固定する場合を代表として説明する。
【0015】
<レール固定部材1の説明>
図1において、符号GPはランウェイガーダGの頂板を示している。また、符号Rは、本実施形態のレール固定部材1によってランウェイガーダGの頂板GPに固定されるレールを示している。このレールRは断面略I字状に形成されたレールであって、垂直壁の部分(以下レールRの腹RUという)に貫通孔Rhが形成されている。
【0016】
図1に示すように、連結部材10は、ランウェイガーダGの頂板GPの端縁に係合されるものである。この連結部材10は、一方の端面(
図1では左側の端面、以下、先端面という)から凹んだ溝状の空間(以下係合溝11hという)を有する本体部11を備えている。この本体部11は、側面視で、略C字状(またはコの字状)に形成されている。この本体部11の係合溝11hに、その先端面側から、つまり係合溝11hの開口からランウェイガーダGの頂板GPの端部が挿入されている。また、本体部11の係合溝11hには、ランウェイガーダGの頂板GP上に配置されているレールRの底部RBの端部も挿入されている。つまり、本体部11は、その係合溝11hを形成する一対の挟持部12,13によって、ランウェイガーダGの頂板GPとレールRの底部RBの端部が挟まれた状態となるように、ランウェイガーダGの頂板GPに取り付けられている。
【0017】
この本体部11の上面には、壁状の軸部材連結部15が立設されている。この軸部材連結部15には、その表裏を貫通するように貫通孔15hが形成されている。この貫通孔15hは、その直径がレールRの腹RUに形成されている貫通孔Rhの内径とほぼ同等になるように形成されている。しかも、貫通孔15hは、本体部11を上述した状態となるようにランウェイガーダGの頂板GPに取り付けると、その中心軸と貫通孔Rhの中心軸とがほぼ同じ高さになるように形成されている。より詳しく言えば、本体部11を上述した状態となるようにランウェイガーダGの頂板GPに取り付けると、貫通孔15hからランウェイガーダGの頂板GPの上面までの距離が、ランウェイガーダGの頂板GP上に配置されている貫通孔Rhの中心軸からランウェイガーダGの頂板GPの上面までの距離とほぼ同じ長さになるように形成されている。
【0018】
そして、本実施形態のレール固定部材1は、軸部材連結部15の貫通孔15hとレールRの貫通孔Rhの両方を挿通する軸部材20を備えている。この軸部材20は、その直径が貫通孔Rhの内径とほぼ同等の部材である。この軸部材20の一端部(
図1では右端部)には、貫通孔15hを通過できない大きさの頭部20aが設けられている。一方、軸部材20の他端部には、雄ネジ20bが形成されている。また、軸部材20は、その軸方向の長さが軸部材連結部15からレールRの腹RUまでの距離よりも長くなるように形成されている。より詳しく言えば、軸部材20を軸部材連結部15の貫通孔15hとレールRの貫通孔Rhの両方に挿通させて、頭部20aが軸部材連結部15に接触するように軸部材20を配置すると、他端部がレールRの腹RUにおける軸部材連結部15と逆側の面に突出する長さとなるように、軸部材20は形成されている。そして、軸部材20の他端部の雄ネジ20bには、レールRの腹RUにおける軸部材連結部15と逆側の面に突出している部分(
図1ではレールRの腹RUより左側の部分)には、ナット21が螺合されている。
【0019】
<レール固定部材1の設置>
つぎに、上述した本実施形態のレール固定部材1によってレールRをランウェイガーダGの頂板GPに固定する方法を説明する。
【0020】
まず、本体部11の係合溝11hの開口からランウェイガーダGの頂板GPとレールRの底部RBの端部を本体部11の係合溝11hに挿入する。その状態で、軸部材20を軸部材連結部15の貫通孔15hおよびレールRの腹RUの貫通孔Rhに挿通する。
【0021】
その後、軸部材20の雄ネジ20bにナット21を螺合して締め付ける。すると、連結部材10がレールRに接近する。より詳しく言えば、連結部材10は、ランウェイガーダGの頂板GPとレールRの底部RBの端部を本体部11の係合溝11hに収容したままで、係合溝11hの底部とレールRの腹RUとが接近するように移動する。言い換えれば、連結部材10がレールRに接近する。
【0022】
ここで、ランウェイガーダGの頂板GPとレールRの底部RBの端部は、両者が重なった状態で係合溝11hに挿入されている。つまり、ランウェイガーダGの頂板GPとレールRの底部RBの端部は、両者が重なった状態で、一対の挟持部12,13によって挟まれた状態となっている。レールRの底部RBの端部は、通常、端部からレールRの腹RUに向かってその厚みが増すように形成されている(
図1参照)。すると、ナット21を締め付けて連結部材10がレールRの腹RUに接近するに従って、一対の挟持部12,13によってランウェイガーダGの頂板GPとレールRの底部RBの端部とを挟む力が強くなる。
【0023】
やがて、連結部材10の係合溝11hの底面がランウェイガーダGの頂板GPの端面と接触して、係合溝11hの底面がランウェイガーダGの頂板GPの端面に押しつけられた状態となる。すると、連結部材10の本体部11は、ランウェイガーダGの頂板GPとレールRの底部RBの端部を係合溝11h内に収容した状態で、ランウェイガーダGの頂板GPに固定された状態となる。すると、軸部材20と連結部材10とを介して、レールRもランウェイガーダGの頂板GPに固定された状態になる。
【0024】
以上のように、本実施形態のレール固定部材1では、レールRをランウェイガーダGの頂板GPに配置し、軸部材20を軸部材連結部15の貫通孔15hおよびレールRの腹RUの貫通孔Rhに挿通して、軸部材20の雄ネジ20bに螺合しているナット21を締め付けだけで、軸部材20と連結部材10とを介して、レールRをランウェイガーダGの頂板GPに固定することができる。したがって、本実施形態のレール固定部材1を使用すれば、レールRをランウェイガーダGの頂板GPに固定する作業工数を少なくできる。
【0025】
なお、上記例では、軸部材連結部15側に頭部20aが位置し他端部がレールRの貫通孔Rhに挿通されるように軸部材20が配置されている場合を説明した。しかし、レールR側に頭部20aが位置し他端部が軸部材連結部15の貫通孔15hに挿通されるように軸部材20を配置してもよい。
【0026】
また、上記例では、軸部材連結部15の貫通孔15hの中心軸とレールRの腹RUの貫通孔Rhの中心軸とがほぼ同じ高さになるように形成されている場合を説明した。本明細書において、「軸部材連結部15の貫通孔15hの中心軸とレールRの腹RUの貫通孔Rhの中心軸とがほぼ同じ高さになる」とは、貫通孔15hと貫通孔Rhの両方に軸部材20を挿通できる程度のズレがある状態も含んでいる。例えば、軸部材連結部15の貫通孔15hの中心軸とレールRの腹RUの貫通孔Rhの中心軸との上下方向の位置がズレていたり、両者の中心軸がランウェイガーダGの頂板GPの上面に対してなす角が若干異なっていたりする場合も、「軸部材連結部15の貫通孔15hの中心軸とレールRの腹RUの貫通孔Rhの中心軸とがほぼ同じ高さになる」状態に含まれる。
【0027】
また、上記例では、連結部材10の係合溝11hの底面がランウェイガーダGの頂板GPの端面と接触することによって連結部材10の移動が停止する場合を説明した。しかし、レールRの底部RBは、通常、その端縁から腹RUに向かってその厚さが厚くなっている。したがって、連結部材10がレールRに接近すると、連結部材10の係合溝11hの底面がランウェイガーダGの頂板GPの端面と接触する前に、ランウェイガーダGの頂板GPとレールRの底部RBの端部とを合せた厚さが係合溝11hの最大の高さを越える場合がある。かかる場合には、連結部材10の係合溝11hの底面がランウェイガーダGの頂板GPの端面と接触する前に、連結部材10の移動は停止し、その状態で軸部材20と連結部材10とを介して、レールRもランウェイガーダGの頂板GPに固定された状態になる。
【0028】
<レール固定部材1の説明>
つぎに、本実施形態のレール固定部材1の詳細を説明する。
【0029】
<軸部材20>
まず、軸部材20は、その軸部がレールRの腹RUの貫通孔Rhおよび軸部材連結部15の貫通孔15に挿通できる径に形成されたものである。そして、軸部材20は、上述したように、一端にレールRの貫通孔Rhや軸部材連結部15の貫通孔15hを通過できない大きさの頭部20aが形成され、他端に雄ネジ20bが形成されたものである。この軸部材20としては、例えば、一般的なボルトを使用することができる。
【0030】
なお、軸部材20は、レールRと軸部材連結部15との間を連結できる軸状の部材であればよく、上述したような構造以外にも、両端に雄ネジが形成されたものを使用することもできる。この場合には、軸部材20の両端の雄ネジにナット21を螺合して締め付ければ、一端に頭部20aが形成されている軸部材20と同様に機能させることができる。
【0031】
また、軸部材20は、その一端が溶接などによって軸部材連結部15に固定されていてもよいし、その他端が溶接などによってレールRの腹RUに固定されていてもよい。軸部材20は、レールRを頂板GPの上面に沿って移動させたりレールRを頂板GPの上面から離間させるような力(言い換えればレールRを転倒させるような力)が加わったりした場合に、軸部材20に対して軸部材20を軸方向に引っ張る力が加わるように設けられていればよい。
【0032】
<連結部材10>
図1および
図2に示すように、連結部材10は、側面視で、略C字状(またはコの字状)に形成された本体部11と、この本体部11の表面(
図1および
図2では上面)に立設された壁状(または板状)の軸部材連結部15と、から形成されている。
【0033】
図1よび
図2に示すように、本体部12は、一対の挟持部12,13と、この一対の挟持部12,13を連結する連結部14と、から構成されている。なお、一対の挟持部12,13のうち、
図1および
図2では上方に位置する挟持部12の外面に軸部材連結部15が立設されている。
【0034】
一対の挟持部12,13は、互いに対向する内面12a,13a同士が互いに平行となるように形成された略板状の部分である。この一対の挟持部12,13は、互いに対向する内面12a,13a間に係合溝11hができるように形成されている。具体的には、一対の挟持部12,13は、その内面12a,13a間の距離(つまり係合溝11hの高さH)がランウェイガーダGの頂板GPの厚さとレールRの底部RBの端部の厚さとを合せた長さよりも厚くなるように形成されている。
【0035】
なお、ここでいうレールRの底部RBの端部の厚さとは、底部RBの端縁部分より若干レールRの腹RU側に位置した部分(例えば、底部RBの端縁から10~50mm程度レールRの腹RU側の部分)の厚さを意味している。
【0036】
そして、
図1および
図2に示すように、一対の挟持部12,13は、その先端(
図1および
図2では左端)間は開口しているが、その基端部(
図1および
図2では右端部)は連結部14によって連結されている。
【0037】
つまり、本体部11は、一対の挟持部12,13間に、一対の挟持部12,13の先端から連続しかつ連結部14の内面14aが底となるような係合溝11hを有している。言い換えれば、本体部11は、側方から見たときに(
図2(A)では左右方向から見たときに)、一対の挟持部12,13と連結部14とが略C字状(またはコの字状)となるように形成されている。
【0038】
この係合溝11hは、その深さLが、レールRの底部RBの端縁からランウェイガーダGの頂板GPの端縁までの距離よりも長くなるように形成されている。より詳しく言えば、係合溝11hを形成する一対の挟持部12,13のうち、ランウェイガーダGの頂板GPの上面側に配置される挟持部12の先端から連結部14の内面14aまでの距離が、レールRの底部RBの端縁からランウェイガーダGの頂板GPの端縁までの距離よりも長くなるように形成されている。係合溝11hが、かかる深さに形成されていれば、係合溝11hにランウェイガーダGの頂板GPの端縁を挿入すると、挟持部12の先端部をレールRの底部RBと重なるように配置することができる。つまり、ランウェイガーダGの頂板GPの端縁を係合溝11hに挿入した際に、ランウェイガーダGの頂板GPとレールRの底部RBの端部を重ねた状態で係合溝11hに配置することができる。したがって、本体部11をランウェイガーダGの頂板GPの端縁に取り付けると、その係合溝11hを形成する一対の挟持部12,13によって、ランウェイガーダGの頂板GPとレールRの底部RBの端部が挟まれた状態とすることができる。
【0039】
また、
図1および
図2に示すように、本体部11における挟持部12の外面(
図1および
図2では上面)には、壁状(または板状)の軸部材連結部15が設けられている。この軸部材連結部15には、上述したように貫通孔15hが形成されている。この貫通孔15hは、その軸方向が、係合溝11hの開口から連結部14の内面14aに向かう方向(
図1および
図2における左右方向、以下、係合溝11hの軸方向という)に沿うように形成されている。
【0040】
<係合溝11hについて>
係合溝11hは、上述したように、その内面、つまり、一対の挟持部12,13の互いに対向する内面12a,13a同士が互いに平行となるように形成されていてよいが、内面12a,13a同士が非平行となっていてもよい(
図3、
図4参照)。具体的には、連結部14の内面14aから係合溝11hの開口に向かうに従って、内面12a,13a間の距離(つまり係合溝11hの高さ)が長くなるように形成する。つまり、内面12a,13a同士が互いに他方に対して傾斜した面となるように係合溝11hを形成する。かかる構造とすれば、ナット21を締め付けて連結部材10がレールRの腹RUに接近する際に、ランウェイガーダGの頂板GPとレールRの底部RBの端部を、両者が重なった状態で係合溝11h内に収容しやすくなる。
【0041】
なお、係合溝11hの内面12a,13a同士がなす角はとくに限定されない。しかし、一対の挟持部12,13によってランウェイガーダGの頂板GPとレールRの底部RBの端部と重ねた状態で、一対の挟持部12,13の挟む力を強くする上では、連結部材10をランウェイガーダGの頂板GPに取り付けたときに、ランウェイガーダGの頂板GPに対して内面12aがなす角が、レールRの底部RBの端部の上面がランウェイガーダGの頂板GPに対してなす角よりも小さくなっていることが望ましい。
【0042】
なお、係合溝11hの内面12a,13a同士が非平行の場合、係合溝11hの高さHは、一対の挟持部12,13の先端間の距離になる。つまり、係合溝11hの深さ方向と直交する方向における一対の挟持部12,13の先端間の距離が係合溝11hの高さHになる(
図4(A)参照)。
【0043】
<軸部材連結部15の形状>
本体部11における挟持部12の外面において、軸部材連結部15を設ける位置はとくに限定されない。しかし、軸部材連結部15からレールRの腹RUまでの距離をある程度長くする上では、軸部材連結部15は、本体部11の先端部よりも後端部に近い側(つまり本体部11の連結部14に近い側)に設けることが望ましい。軸部材連結部15からレールRの腹RUまでの距離をある程度長くすれば、レールRが蛇行しランウェイガーダGの中心軸とレールRの中心軸とがずれている場合に、レールR上を走行する車輪のツバ等と連結部材10との干渉を避けるための距離(隙間)を確保することができる。また、軸部材連結部15からレールRの腹RUまでの距離をある程度長くすれば、レール固定部材1によるレールRをランウェイガーダGに固定する強度を高くでき、レールRとランウェイガーダGとを安定して固定することができる。
【0044】
<連結部材10の製造方法について>
上述した連結部材10を製造する方法はとくに限定されない。例えば、一つのブロックを切削加工するなどの方法で形成してもよいし、複数枚の板を連結して製造してもよいし、板材をプレス加工するなどの方法で曲げて形成してもよく、とくに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のレール固定部材は、ランウェイガーダなどの桁の頂板にレールを固定する部材に適している。
【符号の説明】
【0046】
1 レール固定部材
10 連結部材
11 本体部
11h 隙間
12 挟持部
13 挟持部
14 連結部
15 軸部材連結部
15h 貫通孔
20 軸部材
25 スライドプレート
R レール
RB レールRの底部
RU レールRの腹
G ランウェイガーダ
GP 頂板