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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189030
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】設備機器取付構造
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/10 20160101AFI20221215BHJP
   F03D 13/20 20160101ALI20221215BHJP
   F03D 80/00 20160101ALI20221215BHJP
【FI】
F03D13/10
F03D13/20
F03D80/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097364
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000163419
【氏名又は名称】株式会社きんでん
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】島田 龍市
(72)【発明者】
【氏名】室橋 一彦
(72)【発明者】
【氏名】森長 豊
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178BB73
3H178BB75
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD67X
(57)【要約】
【課題】 鋼製部材への磁力を用いた設備機器の取付構造であって、設備機器の取付位置の調整が可能かつ容易な取付構造を提供する。
【解決手段】 本発明に係る設備機器取付構造は、鋼製部材(例えばトランジッションピース内の壁面10)に磁力で吸着する磁石部材(11)と、磁石部材(11)にボルト固定される設備機器保持部材(第1及び第2アングル材14、15)と、を含む。設備機器(例えばケーブルトレイ20)は、設備機器保持部材(14、15)に取付けられ、これらを介在させることで、取付位置の調整が可能かつ容易となる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼製部材への設備機器の取付構造であって、
前記鋼製部材に磁力で吸着する磁石部材と、
前記磁石部材にボルト固定される設備機器保持部材と、
を含み、
前記設備機器が前記設備機器保持部材に取付けられることを特徴とする、設備機器取付構造。
【請求項2】
前記設備機器保持部材は、前記磁石部材にボルト固定されるブラケット部と、前記ブラケット部に相対位置調整可能に連結固定されて前記設備機器が取付けられるホルダー部と、を含むことを特徴とする、請求項1記載の設備機器取付構造。
【請求項3】
前記ブラケット部と前記ホルダー部とはボルト固定され、前記ブラケット部と前記ホルダー部とのうち少なくとも一方のボルト挿通孔が、前記ボルトに対し遊びを有していることを特徴とする、請求項2記載の設備機器取付構造。
【請求項4】
前記ブラケット部及びホルダー部は、同一断面形状のアングル材からなり、両アングル材の片面同士が重ね合わされてボルト固定されることを特徴とする、請求項3記載の設備機器取付構造。
【請求項5】
前記磁石部材は、前記鋼製部材との吸着面とは反対側の面に形成されたねじ孔を有し、
前記設備機器保持部材は、前記ねじ孔に螺合されるボルトにより固定され、
前記設備機器保持部材のボルト挿通孔は、前記設備機器保持部材固定用のボルトに対し遊びを有して、前記設備機器保持部材の姿勢を調整可能であることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の設備機器取付構造。
【請求項6】
前記設備機器は、前記設備機器保持部材にボルト固定され、
前記設備機器保持部材のボルト挿通孔は、前記設備機器固定用のボルトに対し遊びを有して、前記設備機器の姿勢を調整可能であることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の設備機器取付構造。
【請求項7】
前記磁石部材は、磁石の表面を覆うゴム又はシリコーン樹脂製の被覆を有していることを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか1つに記載の設備機器取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼製部材への設備機器の取付構造に関し、特に磁力を用いた設備機器取付構造に関する。
なお、本明細書では、主に洋上風力発電設備における鋼製塔状構造物(タワー又はトランジッションピース)内での設備機器(例えば、ケーブルトレイ、照明器具、照明スイッチボックス、アースバーなど)の取付構造について説明するが、本発明は、これらに限るものではなく、鋼製部材一般への設備機器の取付構造に適用できる。
【背景技術】
【0002】
洋上風力発電設備において、ナセル及びブレードを支持するタワー、又はタワーとモノパイルとの間に介在するトランジッションピースなどの鋼製塔状構造物には、その中空部内にケーブルトレイや照明器具などの設備機器を配置する必要がある。
この場合、塔状構造物内の壁面や梁に支持部材を溶接で取付けておき、その支持部材に設備機器をボルト・ナット等で固定する方法が一般的である。
【0003】
しかし、支持部材の溶接箇所は、塩害を招きやすく、弱部になりやすい。
また、溶接により取付けられる支持部材は、設備機器の将来的な追加、撤去あるいは位置変更等に対応することが困難である。
また、塔状構造物の製作時に支持部材を設ける場所を特定するのは、設備機器の具体的な仕様、支持ピッチ等を早期に確定できないことから、工期との調整が難しい。
【0004】
そこで、特許文献1には、磁力を用いた設備機器取付構造、具体的には、磁気的取付手段を有する懸架ユニットが提案されている。
この懸架ユニットは、矩形の磁石(永久磁石)と、一端が磁石内に埋め込まれ他端が磁石の1つの面から突出するボルトと、を含んで構成され、磁石のボルト突出面とは反対側の面を鋼製部材に吸着固定し、突出するボルトにナットを用いて設備機器を固定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005-517124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、鋼製部材に磁石が吸着固定されると、専用の治具を用いない限り、脱着できず、吸着固定位置の微調整は困難であることから、設備機器の取付位置の調整が難しかった。
【0007】
本発明は、このような実状に鑑み、鋼製部材への磁力を用いた設備機器取付構造であって、設備機器の取付位置の調整が可能かつ容易な設備機器取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る設備機器取付構造は、
鋼製部材に磁力で吸着する磁石部材と、
前記磁石部材にボルト固定される設備機器保持部材と、
を含み、
前記設備機器が前記設備機器保持部材に取付けられることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記設備機器保持部材は、前記磁石部材にボルト固定されるブラケット部と、前記ブラケット部に相対位置調整可能に連結固定されて前記設備機器が取付けられるホルダー部と、を含むとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前記設備機器保持部材を介在させることで、前記磁石部材と前記設備機器保持部材との間、前記設備機器保持部材内(ブラケット部とホルダー部との間)、又は、前記設備機器保持部材と前記設備機器との間で、相対位置(相対姿勢)の調整が可能となり、設備機器の取付位置の調整が可能かつ容易になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】洋上風力発電設備の概略図
図2】本発明の第1実施形態として示す設備機器取付構造の概略図
図3】本発明の第2実施形態として示す設備機器取付構造の概略図
図4】本発明の第3実施形態として示す設備機器取付構造の概略図
図5】本発明の第4実施形態として示す設備機器取付構造の概略図
図6】本発明の第5実施形態として示す設備機器取付構造の概略図
図7】磁石部材の変形態様を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
ここで説明する実施形態は、洋上風力発電設備のトランジッションピース内での設備機器の取付例である。
【0013】
従って、先ず、洋上風力発電設備について、その代表例を、図1の概略図に基づいて説明する。
【0014】
洋上風力発電設備は、モノパイル1と、トランジッションピース2と、タワー3と、ナセル4と、複数のブレード5と、を含んで構成される。
【0015】
モノパイル1は、中空円筒状の鋼管杭であり、水底BW以深の地盤(水底地盤)に打ち込まれて、杭基礎をなす。モノパイル1の上端は水面DLより上方に位置させてある。
【0016】
トランジッションピース2は、モノパイル1の上端部に接続される鉛直度調整用の中空円筒状の鋼製塔状構造物で、トランジッションピース2の下端部内周がモノパイル1の上端部外周に嵌合した状態で接続固定される。
【0017】
なお、トランジッションピース2は、通常、上下方向に3~4段のセクション(プラットフォーム)に分けられていて、上下端のフランジで、上下方向に接続されている。4段の場合、下側から、ロアワークプラットフォーム、エアタイトプラットフォーム、ケーブルターミネーションプラットフォーム、アッパーワークプラットフォームなどと名付けられる。
【0018】
タワー3は、トランジッションピース2の上端部に立設される中空円筒状の鋼製塔状構造物である。なお、トランジッションピース2の上端部には、タワー3設置用及び発電設備維持管理用のデッキ(足場設備)2dが設けられる。
【0019】
ナセル4は、タワー3の頂部に設置される発電部である。
ブレード5は、ナセル4の水平軸(ロータ軸)の前端部に取付けられて、複数、放射状に配置され、風力により回転してナセル4にて発電を行わせる。
【0020】
上記のような洋上風力発電設備において、トランジッションピース2内には、各種の設備機器が設けられる。
【0021】
図2は本発明の第1実施形態として示す設備機器(ケーブルトレイ)取付構造の概略図で、図2(A)は正面図、図2(B)は平面図(図2(A)のB-B矢視図)である。
本実施形態は、鋼製部材であるトランジッションピース内の壁面10に、設備機器としてのケーブルトレイ20を取付ける例である。
【0022】
詳しくは、鋼製部材であるトランジッションピース内の壁面10に、磁石部材11と、設備機器保持部材としての第1及び第2アングル材14、15とを用いて、ケーブルトレイ20を取付ける。
なお、壁面10は実際には円筒面をなしているが、ここでは簡略化して平面として示している。
【0023】
磁石部材11は、矩形の永久磁石からなり、1つの面(吸着面)11aで、壁面10に磁力により吸着する。
磁石部材11はまた、矩形の永久磁石の表面を覆うゴム又はシリコーン樹脂製の被覆(すなわち絶縁性の被覆)を有している。従って、吸着面11aは絶縁性を有している。
【0024】
磁石部材11にはまた、吸着面11aとは反対側の面(取付面)11bに開口するねじ孔12が設けられている。そして、ねじ孔12に螺合されるボルト13により、磁石部材11に、設備機器保持部材を固定する。
【0025】
第1及び第2アングル材14、15からなる設備機器保持部材は、ボルト13により磁石部材11に固定されるブラケット部(第1アングル材14)と、ブラケット部(第1アングル材14)に相対位置調整可能に連結されて設備機器であるケーブルトレイ20が取付けられるホルダー部(第2アングル材15)とを含む。
【0026】
ブラケット部に相当する第1アングル材14とホルダー部に相当する第2アングル材15は、同一断面形状であり、互いの水平面部同士が重ね合わされて、ボルト16とナット17で固定される。ここで、第1及び第2アングル材14、15のうち少なくとも一方のボルト挿通孔が、ボルト径より大きめの円孔(いわゆるバカ孔)、又は方向性を有する長孔となっていて、ボルト16に対し遊びを有している。これにより、第1及び第2アングル材14、15の相対位置(相対姿勢)の微調整が可能である。
【0027】
そして、第1アングル材14の垂直面部は下方に延在して、磁石部材11への取付面となり、第2アングル材15の垂直面部は上方に延在してケーブルトレイ20の取付面をなしている。
【0028】
設備機器であるケーブルトレイ20は、設備機器保持部材のホルダー部である第2アングル材15の垂直面部にボルト18とナット19で固定される。
ケーブルトレイ20は、ケーブル(配線)をまとめて支持・固定するためのもので、断面コ字状をなし、垂直面部に多数の孔が開いている。ここで、適宜の孔に結束バンドを用いてケーブルを固定する。
【0029】
磁石部材11と設備機器保持部材のブラケット部である第1アングル材14とのボルト固定部(13)において、第1アングル材14のボルト挿通孔は、ボルト径より大きめの円孔、又は方向性を有する長孔となっていて、ボルト13に対し遊びを有している。これにより、磁石部材11と第1アングル材14との相対位置(相対姿勢)の微調整が可能である。
【0030】
設備機器保持部材のホルダー部である第2アングル材15と設備機器であるケーブルトレイ20とのボルト固定部(18)において、第2アングル材15のボルト挿通孔は、ボルト径より大きめの円孔、又は方向性を有する長孔となっていて、ケーブルトレイ20固定用のボルト18に対し遊びを有している。これにより、第2アングル材15とケーブルトレイ20との相対位置(相対姿勢)の微調整が可能である。
【0031】
本実施形態によれば、設備機器保持部材としての第1及び第2アングル材14、15を介在させることで、磁石部材11と第1アングル材14との間、第1アングル材14と第2アングル材15との間、及び、第2アングル材15とケーブルトレイ20との間で、相対位置(相対姿勢)の調整が可能となり、ケーブルトレイ20の取付位置の調整が可能かつ容易になるという効果を奏する。
【0032】
特に、設備機器保持部材が、磁石部材11にボルト13により固定されるブラケット部(第1アングル材14)と、ブラケット部(第1アングル材14)に相対位置調整可能に連結固定されて設備機器(ケーブルトレイ20)が取付けられるホルダー部(第2アングル材15)と、を含むことにより、相対位置(相対姿勢)の調整点が増え、微調整が可能になるとともに、調整レンジが拡大する。
【0033】
なお、磁石部材11の表面がゴム又はシリコーン樹脂からなる絶縁性の被覆を有していることは、異種金属間の接触腐食の防止に有効である。
また、磁石部材11の表面がゴム又はシリコーン樹脂からなる柔軟性の被覆を有していることは、吸着面の凹凸に追従できるという点でも、有利である。
【0034】
図3は本発明の第2実施形態として示す設備機器(ケーブルトレイ及び照明器具)取付構造の概略図である。
【0035】
本実施形態は、第1実施形態(図2)と同様に、鋼製部材であるトランジッションピース内の壁面10に、ねじ孔12付きの磁石部材11と、設備機器保持部材としての第1及び第2アングル材14、15とを用いて、ケーブルトレイ20を取付けた上で、このケーブルトレイ20の下部に、第3アングル材21を介して、照明器具26を取付ける例である。
【0036】
詳しくは、ケーブルトレイ20の下側の水平面部(下面)に、L字状断面の第3アングル材21の水平面部をボルト22とナット23で固定し、第3アングル材21の下方に延びる垂直面部に照明器具26をボルト24とナット25で横向きに固定している。
【0037】
この場合も、第3アングル材21のボルト22用の挿通孔、及び、ボルト24用の挿通孔は、ボルト径より大きめの円孔、又は方向性を有する長孔となっていて、ボルト22、24に対し遊びを有している。これにより、ケーブルトレイ20と第3アングル材21との間、及び、第3アングル材21と照明器具26との間で、相対位置(相対姿勢)の微調整が可能である。従って、照明器具26の取付位置の調整が可能かつ容易になるという効果を奏する。
【0038】
図4は本発明の第3実施形態として示す設備機器(照明器具)取付構造の概略図で、図4(A)は正面図、図4(B)は右側面図である。
本実施形態は、トランジッションピースの1セクション(プラットフォーム)の天井鋼製梁30に照明器具26を下向きに取付ける例である。
【0039】
詳しくは、天井鋼製梁30の下側フランジの下面に、ねじ孔12付きの磁石部材11と、設備機器保持部材としてのZアングル材34とを用いて、照明器具26を下向きに取付ける。
【0040】
Zアングル材34は上側の水平面部(ブラケット部)34aで磁石部材11の下面にボルト13により固定され、Zアングル材34の下側の水平面部(ホルダー部)34bが照明器具26の取付面をなしている。
【0041】
設備機器である照明器具26は、設備機器保持部材であるZアングル材34の下側の水平面部(ホルダー部)34bにボルト38とナット39で下向きに固定される。
【0042】
ここで、ボルト13、38の固定部において、Zアングル材34のボルト挿通孔は、第1実施形態と同様、ボルト径より大きめの円孔(いわゆるバカ孔)、又は方向性を有する長孔となっていて、ボルト13、38に対し遊びを有している。これにより、Zアングル材34の位置調整が可能であり、Zアングル材34を介して、照明器具26の取付位置の調整が可能かつ容易になる。
【0043】
なお、第3実施形態では、設備機器保持部材として1つのZアングル材34を用いたが、相対位置調整可能に連結される2つのアングル材を用いて、相対位置(相対姿勢)の調整点を増やすようにしてもよい。
【0044】
図5は本発明の第4実施形態として示す設備機器(照明スイッチボックス)取付構造の概略図で、図5(A)は平面図、図5(B)は正面図、図5(C)は右側面図である。
本実施形態は、トランジッションピース内に上下方向に設けられる梯子の手摺り部の支柱(アングル材)40に、照明スイッチボックス50を取付ける例である。
【0045】
詳しくは、鋼製部材である支柱40の側面に、ねじ孔12付きの磁石部材11と、設備機器保持部材としての外フランジ付きのチャンネル材44とを用いて、照明スイッチボックス50を横向きに取付ける。
【0046】
チャンネル材44は中央の底板部(ブラケット部)44aで磁石部材11の取付面にボルト13により固定され、チャンネル材44の両端のフランジ部(ホルダー部)44b、44bが照明スイッチボックス50の取付面をなしている。
【0047】
設備機器である照明スイッチボックス50は、設備機器保持部材であるチャンネル材44の両端のフランジ部(ホルダー部)44b、44bにボルト48とナット49で横向きに固定される。
【0048】
ここで、ボルト13、48の固定部において、チャンネル材44のボルト挿通孔は、第1実施形態と同様、ボルト径より大きめの円孔(いわゆるバカ孔)、又は方向性を有する長孔となっていて、ボルト13、48に対し遊びを有している。これにより、チャンネル材44の位置調整が可能であり、チャンネル材44を介して、照明スイッチボックス50の取付位置の調整が可能かつ容易になる。
【0049】
なお、第4実施形態では、設備機器保持部材として1つのチャンネル材44を用いたが、相対位置調整可能に連結される複数のアングル材を用いて、相対位置(相対姿勢)の調整点を増やすようにしてもよい。
【0050】
図6は本発明の第5実施形態として示す設備機器(アースバー)取付構造の概略図で、図6(A)は正面図、図6(B)は右側面図である。
本実施形態は、トランジッションピース内の壁面10に、該壁面に沿って上下方向に、アースバー60を取付ける例である。
【0051】
詳しくは、トランジッションピース内の壁面10に、ねじ孔12付きの磁石部材11と、設備機器保持部材としての第1及び第2アングル材54、55とを用いて、アースバー60を支持させる。
【0052】
第1アングル材54は垂直面部で磁石部材11の取付面にボルト13により固定され、第1アングル材54の水平面部は側方に延在している。
第2アングル材55は水平面部で第1アングル材54の水平面部にボルト56とナット57で固定され、第2アングル材55の垂直面部は水平面部の一端から上方に延在して、アースバー60の取付面をなしている。
【0053】
設備機器であるアースバー60は、設備機器保持部材のホルダー部である第2アングル材55の垂直面部にボルト58とナット59で固定される。
【0054】
ここで、ボルト13、56、58の固定部において、第1及び第2アングル材54、55のボルト挿通孔は、第1実施形態と同様、ボルト径より大きめの円孔(いわゆるバカ孔)、又は方向性を有する長孔となっていて、ボルト13、56、58に対し遊びを有している。これにより、第1及び第2アングル材54、55の位置調整が可能であり、これら第1及び第2アングル材54、55を介して、アースバー60の取付位置(姿勢)の調整が可能かつ容易になる。
【0055】
アースバー60には長手方向に所定の間隔で貫通孔が設けられていて、この貫通孔を利用してアースを取るケーブル等を接続する。
また、アースバー60は上下方向に分割されて複数設けられており、分割片同士は、連結板61を介して、ボルト・ナット62により連結される。
【0056】
磁石部材11の表面はゴム又はシリコーン樹脂からなる絶縁性の被覆を有している。従って、磁石部材11はトランジッションピース内の壁面10とアースバー60との間を絶縁している。
【0057】
その一方、適宜のアースバー60には、ボルト・ナット63によりアースケーブル64の一端が接続され、アースケーブル64の他端は図外にてトランジッションピース内の壁面10などに接地(躯体アース)されている。
【0058】
なお、以上の実施形態では、ねじ孔12付きの磁石部材11を用いたが、図7に変形態様を示すように、インサートボルト(スタッドボルト)71付きの磁石部材11を用いてもよい。
このインサートボルト71は、その頭部が磁石部材11内に埋め込まれ、おねじが切られた軸部が吸着面11aとは反対側の面(取付面)11bから突出している。
従って、磁石部材11に一体的に固定されたインサートボルト71を用い、ナット72を併用して、設備機器保持部材(例えばアングル材14)を固定するのである。
【0059】
また、図示の実施形態はあくまで本発明を概略的に例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
【0060】
また、以上では、洋上風力発電設備のトランジッションピース内での設備機器の取付構造について説明したが、洋上風力発電設備のタワー内での設備機器の取付構造にも適用できることはもちろん、洋上風力発電整備以外の鋼製部材一般への設備機器取付構造に適用できる。また、設備機器として、ケーブルトレイ、照明器具、照明スイッチボックス、アースバーを例示したが、設備機器一般に適用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 モノパイル
2 トランジッションピース
2d デッキ
3 タワー
4 ナセル
5 ブレード
10 トランジッションピース内の壁面
11 磁石部材
11a 吸着面
11b 取付面
12 ねじ孔
13 ボルト
14 第1アングル材(設備機器保持部材のブラケット部)
15 第2アングル材(設備機器保持部材のホルダー部)
16、17 ボルト・ナット
18、19 ボルト・ナット
20 ケーブルトレイ
21 第3アングル材
22、23 ボルト・ナット
24、25 ボルト・ナット
26 照明器具
30 天井鋼製梁
34 Zアングル材
38、39 ボルト・ナット
40 支柱
44 チャンネル材
48、49 ボルト・ナット
50 照明スイッチボックス
54 第1アングル材
55 第2アングル材
56、57 ボルト・ナット
58、59 ボルト・ナット
60 アースバー
61 連結板
64 アースケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7