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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189031
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】自動車
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/02 20060101AFI20221215BHJP
   F02N 11/08 20060101ALI20221215BHJP
   B60K 28/10 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
F02D29/02 321B
F02N11/08 T
F02N11/08 M
B60K28/10 A ZHV
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097365
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井ノ口 貴章
(72)【発明者】
【氏名】加藤 竜規
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 究
【テーマコード(参考)】
3D037
3G093
【Fターム(参考)】
3D037FA01
3D037FA13
3D037FA31
3D037FB14
3G093AA05
3G093AA07
3G093BA13
3G093BA21
3G093CA01
(57)【要約】
【課題】遠隔操作に基づくエンジン始動の際により適正に対処する。
【解決手段】遠隔操作に基づいてエンジンを始動する際には、乗員室内のスイッチ操作に基づいてエンジンを始動する際に比して、エンジン始動を制限する制限条件を厳しく又はエンジン始動後の停止条件を緩くする。即ち、遠隔操作に基づいてエンジンを始動するときにはエンジンを始動し難くし、遠隔操作に基づいてエンジンを始動したときにはエンジンを停止しやすくする。これにより、遠隔操作に基づくエンジン始動の際により適正に対処することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、遠隔操作に基づいて前記エンジンを始動可能な制御装置とを備える自動車であって、
前記制御装置は、遠隔操作に基づいて前記エンジンを始動する際には、乗員室内のスイッチ操作に基づいて前記エンジンを始動する際に比して、エンジン始動を制限する制限条件を厳しく又はエンジン始動後の停止条件を緩くする、
ことを特徴とする自動車。
【請求項2】
請求項1記載の自動車であって、
前記制御装置は、遠隔操作に基づいて前記エンジンを始動する際に車両が屋内に駐車していると判定したときには、車両が屋内に駐車している旨を警告する、
自動車。
【請求項3】
請求項1または2記載の自動車であって、
前記制御装置は、遠隔操作に基づいて前記エンジンを始動する際に車両が屋内に駐車していると判定したときには、エンジン始動を禁止する、
自動車。
【請求項4】
請求項1または2記載の自動車であって、
前記制御装置は、遠隔操作に基づいて前記エンジンを始動した後に車両が屋内に駐車していると判定したときには、前記エンジンを停止する、
自動車。
【請求項5】
請求項2ないし4のうちのいずれか1つの請求項に記載の自動車であって、
車両の周囲の状況を検出する周囲状況検出器を有し、
前記制御装置は、前記周囲状況検出器の検出結果に基づいて車両が屋内に駐車しているか否かを判定する、
自動車。
【請求項6】
請求項1ないし4のうちのいずれか1つの請求項に記載の自動車であって、
前記制御装置は、遠隔操作に基づいて前記エンジンを運転している最中に車両の周囲に人が存在するのを検出したときには、エンジンを停止する、
自動車。
【請求項7】
請求項6記載の自動車であって、
前記制御装置は、音声認識または車両への接触認識に基づいて周囲に人が存在しているか否かを判定する、
自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に関し、詳しくは、遠隔操作に基づいてエンジンを始動可能な自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動車としては、エンジンと、車室内の一酸化炭素濃度を検出する車室内濃度検出手段と、車両の周囲の状況を検出する周囲状況検出手段とを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、車室内濃度検出手段からの検出値が基準値より大きく、且つ、周囲状況検出手段からの検出値により車両が密閉空間であると判定したときには、エンジンを停止すると共に警告を報知する。これにより、乗員に車室内の一酸化炭素濃度が高くなっていることを報知し、それ以上に車室内の一酸化炭素濃度が高くなるのを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-183568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、遠隔操作によりエンジンを始動し、エンジンを暖機したり車室内の空調を行なう自動車が提案されている。遠隔操作によるエンジン始動は、車両が屋外に駐車されているときには問題はないが、車両が屋内に駐車されているときには排気により屋内や車室内の環境状態を良好に保てない場合がある。このため、遠隔操作によりエンジン始動する場合には、車両に乗車してエンジン始動する場合と異なる処理を行なう必要がある。
【0005】
本発明の自動車は、遠隔操作に基づくエンジン始動の際により適正に対処することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の自動車は、
エンジンと、遠隔操作に基づいて前記エンジンを始動可能な制御装置とを備える自動車であって、
前記制御装置は、遠隔操作に基づいて前記エンジンを始動する際には、乗員室内のスイッチ操作に基づいて前記エンジンを始動する際に比して、エンジン始動を制限する制限条件を厳しく又はエンジン始動後の停止条件を緩くする、
ことを特徴とする。
【0008】
本発明の自動車では、遠隔操作に基づいてエンジンを始動する際には、乗員室内のスイッチ操作に基づいてエンジンを始動する際に比して、エンジン始動を制限する制限条件を厳しくしたり、エンジン始動後の停止条件を緩くする。即ち、遠隔操作に基づいてエンジンを始動するときにはエンジンを始動し難くし、遠隔操作に基づいてエンジンを始動したときにはエンジンを停止しやすくする。これにより、遠隔操作に基づいてエンジン始動する際におけるリスクをより軽減することができる。この結果、遠隔操作に基づくエンジン始動の際により適正に対処することができる。
【0009】
こうした本発明の自動車において、前記制御装置は、遠隔操作に基づいて前記エンジンを始動する際に車両が屋内に駐車していると判定したときには、車両が屋内に駐車している旨を警告するものとしてもよい。こうすれば、車両が屋内に駐車していることを遠隔操作者に知らせることができる。
【0010】
また、本発明の自動車において、前記制御装置は、遠隔操作に基づいて前記エンジンを始動する際に車両が屋内に駐車していると判定したときには、エンジン始動を禁止するものとしてもよい。こうすれば、排気による屋内や乗員室の環境悪化を抑制することができる。
【0011】
更に、本発明の自動車において、前記制御装置は、遠隔操作に基づいて前記エンジンを始動した後に車両が屋内に駐車していると判定したときには、前記エンジンを停止するものとしてもよい。こうすれば、排気による屋内や乗員室の環境悪化を抑制することができる。
【0012】
車両が屋内に駐車しているか否かを判定する本発明の自動車において、車両の周囲の状況を検出する周囲状況検出器を有し、前記制御装置は、前記周囲状況検出器の検出結果に基づいて車両が屋内に駐車しているか否かを判定するものとしてもよい。
【0013】
本発明の自動車において、前記制御装置は、遠隔操作に基づいて前記エンジンを運転している最中に車両の周囲に人が存在するのを検出したときには、エンジンを停止するものとしてもよい。こうすれば、排気の影響を車両の周囲の人に与えるのを抑制することができる。この場合、前記制御装置は、音声認識または車両への接触認識に基づいて周囲に人が存在しているか否かを判定するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例としての自動車20を有する情報管理システム10の構成の概略を示す構成図である。
図2】実施例の自動車20の構成の概略を示す構成図である。
図3】自動車20の電子制御ユニット30により実行されるリモート空調開始処理の一例を示すフローチャートである。
図4】自動車20の電子制御ユニット30により実行されるリモートエンジン運転中処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0016】
図1は、本発明の一実施例としての自動車20を有する情報管理システム10の構成の概略を示す構成図であり、図2は、実施例の自動車20の構成の概略を示す構成図である。図示するように、実施例の情報管理システム10は、自動車20と、携帯端末120と、画像管理センター220と、を備える。
【0017】
自動車20は、図2に示すように、エンジンEGとモータMGと自動変速装置ATとを備える。エンジンEGは、例えばガソリンや軽油などの炭化水素系の燃料を用いて駆動する内燃機関として構成されており、その出力軸21はクラッチ22を介して自動変速装置ATの入力軸23に接続されている。モータMGは、例えば同期発電電動機として構成されており、その回転子は自動変速装置ATの入力軸23に接続されている。モータMGは、図示しないバッテリからの直流電力を図示しないインバータにより三相交流電力に変換して印加することにより駆動する。自動変速装置ATは、例えばトルクコンバータと自動変速機とからなる前進6段、後進1段の油圧駆動の変速機として構成されており、その出力軸としての駆動軸24はデファレンシャルギヤ26を介して駆動輪28a,28bに連結されている。
【0018】
自動車20は、各種センサ40やカメラ60、ミリ波レーダ61、GPS(Global Positioning System)62、表示装置70、通信装置72、乗員室を空調する空調装置74、ナビゲーションシステム80、電子制御ユニット30と、を備える。
【0019】
各種センサ40としては、車速センサ49や、車輪速センサ50、加速度センサ51、ヨーレートセンサ52、勾配センサ53、クリアランスソナー54、日照センサ55、外気温センサ56、車体振動センサ57など車両の状態や周囲の状況を検出するセンサを挙げることができる。
【0020】
カメラ60は、車両前方や後方、側方を撮影可能に複数台にわたって配置されている。なお、カメラ60は、例えば車速やGPS(Global Positioning System)データ、時刻などを撮影画像と共に記憶するドライブレコーダとしての機能を持つものとしてもよい。通信装置72は、無線通信網を介して管理センター220と通信したり、インターネットを介して各種情報を受信する。空調装置74は、車室内の空気調和を行なう。
【0021】
ナビゲーションシステム80は、自車両を設定した目的地に誘導するシステムであり、図示しない地図情報データベースや表示部を備える。地図情報データベースには、地図情報として各区間における道路の路面舗装状態や道路の幅、車線数、歩道の幅、車両通行可能な方向、法定速度などが記憶されている。ナビゲーションシステム80は、目的地が設定されると、目的地の情報とGPS62により取得した現在地(現在の自車両の位置)の情報と地図情報データベースに記憶されている情報とに基づいて経路を設定し、経路案内を行なう。
【0022】
電子制御ユニット30は、CPU31を中心として構成されたマイクロコンピュータであり、CPU31の他に、プログラムなどを記憶するROM32や、データを一時的に記憶するRAM32、データなど記憶するフラッシュメモリ34、タイマー機能などを有する時刻計35、図示しない入出力ポートを備える。
【0023】
電子制御ユニット30には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。入力ポートを介して電子制御ユニット30に入力される信号としては、イグニッションスイッチ42からのイグニッション信号、シフトレバー43のポジションを検出するシフトポジションセンサ44からのシフトポジション、アクセルペダル45の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ46からのアクセル開度、ブレーキペダル47の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ48からのブレーキポジションなどを挙げることができる。また、車速センサ49からの車速、車輪速センサ50からの車輪速、加速度センサ51からの加速度、ヨーレートセンサ52からのヨーレート、勾配センサ53からの路面勾配、クリアランスソナー54からの近接情報、日照センサ55からの日照情報、外気温センサ56からの外気温、車体振動センサ57からの車体振動情報、ミリ波レーダ61からのレーダ情報、GPS62からのGPSデータ(位置情報)なども挙げることができる。さらに、エンジンEGに取り付けられた各種センサからのエンジンEGの状態を示す信号なども挙げることができる。
【0024】
電子制御ユニット30からは各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。出力ポートを介して電子制御ユニット30から出力される制御信号としては、表示装置70への表示制御信号や、通信装置72への通信制御信号、空調装置74への空調制御信号などを挙げることができる。また、エンジンEGを運転制御するためのスロットル制御信号や燃料噴射制御、点火制御信号などの制御信号も挙げることができる。
【0025】
携帯端末120は、例えばマイクロコンピュータの機能と電話機能とを有するスマートフォンとして構成されている。携帯端末120には、遠隔操作により自動車20の乗員室内の空調を行なうためのアプリケーションソフトウエアとしての空調起動アプリ130がインストールされており、空調起動アプリ130による処理によりインターネットや電話回線などの通信網を介して情報管理センター220と通信する。
【0026】
情報管理センター220は、ユーザ認証部230や、空調起動部240、通信装置250を備える。ユーザ認識部230は、携帯端末120の空調起動アプリ130との間で自動車20のユーザであることの認証を行なう。認証は、識別コード(ID)とパスワードを携帯端末120から入力されて送信されたものを受信し、予め記憶している識別コード(ID)やパスワード、自動車20の識別コードとなどが一致するか否かを判定することにより行なうことができる。空調起動部240は、通信装置250を介して、自動車20の空調装置74やエンジンEGを遠隔操作により駆動制御するために必要な情報を携帯端末120の空調起動アプリ130や自動車20の電子制御ユニット30と通信する。
【0027】
次に、こうして構成された情報管理システム10の動作、特に遠隔操作によりエンジンEGを始動する際の自動車20の動作と、遠隔操作によりエンジンEGが始動された後の動作について説明する。まず、遠隔操作によりエンジンEGを始動する際の自動車20の動作について説明し、その後、遠隔操作によりエンジンEGが始動された後の動作について説明する。
【0028】
遠隔操作によるエンジンEGの始動は以下の手順により行なわれる。まず、携帯端末120で空調起動アプリ130を起動して遠隔操作による空調装置74の起動ボタンをタップすることによって、管理センター220のユーザ認証部230によりユーザ認証を行なう。ユーザ認証を確認すると、管理センター220の空調起動部240から自動車20の電子制御ユニット30に空調起動制御信号を送信する。この空調起動制御信号を受信した自動車20の電子制御ユニット30は空調装置74を起動し、空調装置74による空調の必要のためにエンジンEGの始動要請が行なわれる。こうしたエンジンEGの始動要請に対してエンジンEGの始動が行なわれる。図3は遠隔操作による空調起動の際に自動車20の電子制御ユニット30により実行されるリモート空調開始処理の一例を示すフローチャートである。このリモート空調開始処理は、上述したように、空調起動制御信号を管理センター220から受信したときに実行される。
【0029】
リモート空調開始処理では、まず、リモート空調要求(空調起動制御信号)を受け付け(ステップS100)、空調装置74による空調を開始する(ステップS110)。続いて、エンジン始動要求を待つ(ステップS140)。空調装置74は、図示しないバッテリからの電力供給により駆動開始可能であるが、バッテリの蓄電割合SOCが低下し、空調に必要な電力を得ることができなくなると、エンジンEGを始動し、その動力により得られる電力を用いて駆動する。このため、エンジンEGを始動する必要が生じるとエンジン始動要求を出力する。
【0030】
ステップS120でエンジン始動要求がなされたと判定したときには、自動車20が屋内に駐車されているか否かの判定処理を実行する(ステップS130)。この判定は、クリアランスソナー54からの近接情報により近接物があるか否か、日照センサ55から日照情報により昼間時であるのに日照程度が小さいか否か、カメラ60により周囲の近接物の認識によって壁やシャッターなどの構造物があるか否か、外気温センサ56からの外気温と通信網から取得した現在気温との差があるか否か、ミリ波レーダ61からのレーダ情報により近接物があるか否か、GPS62による信号の捕捉数が通常より少ないか否か、などにより行なうことができる。この判定処理の結果を判定し(ステップS140)、自動車20は屋内に駐車されていないと判定したときには、エンジンEGを始動し(ステップS170)、本処理を終了する。
【0031】
ステップS140で自動車20は屋内に駐車されていると判定したときには、管理センター220を介して携帯端末120に屋内確認情報を送信する(ステップS150)。この屋内確認情報に基づいて携帯端末120には、「いつもと駐車したところが違うようです。排気ガスの換気はできますか?」などのメッセージとその回答を入力するボタン(「OK」と「NO」のボタン)とが画面に表示される。ユーザはこの回答ボタンをタップすることにより回答する。こうした屋内確認に対してユーザが「OK」ボタンを操作すると、ステップS160の確認処理では「OK]と確認され、エンジンEGを始動し(ステップS170)、本処理を終了する。一方、ユーザが「NO」ボタンを操作すると、ステップS160では「NO]と確認され、空調装置74の駆動を停止し(ステップS180)、本処理を終了する。
【0032】
次に、遠隔操作によりエンジンEが始動された後の動作について説明する。図4は、自動車20の電子制御ユニット30により実行されるリモートエンジン運転中処理の一例を示すフローチャートである。
【0033】
リモートエンジン運転中処理が実行されると、電子制御ユニット30は、まず、自動車20の周囲に人が存在するか否かを判定する(ステップS200)。この判定は、例えば車体振動センサ57からの車体振動情報に基づいて車体に振動が生じたか否か、カメラ60により自動車20の周囲に人が存在するか否か、人の声を音声認識しているか否かなどにより行なうことができる。自動車20の周囲に人が存在しないと判定したときには、本処理を終了する。
【0034】
ステップS200で自動車20の周囲に人が存在していると判定したときには、管理センター220を介して携帯端末120に人確認情報を送信する(ステップS210)。この人確認情報に基づいて携帯端末120には、「車両のそばに人がいるようです。エンジンストップと話して下さい。」などのメッセージを画面に表示させる。そして、所定時間経過するまでにユーザが携帯端末120にエンジンストップと音声入力したときには(ステップS220,S230)、エンジンEGの運転を停止し(ステップS240)、本処理を終了する。所定時間経過するまでにユーザが携帯端末120にエンジンストップと音声入力しなかったときでも(ステップS220,S230)、エンジンEGの運転を停止し(ステップS240)、本処理を終了する。このように、エンジンEGの運転中に自動車20のそばに人が存在していると判定したときにエンジンEGを運転停止することにより、排気の影響を車両の周囲の人に与えるのを抑制することができる。
【0035】
以上説明した実施例の自動車20では、遠隔操作による空調起動に基づいてエンジンEGを始動するときに自動車20が屋内に駐車されていると判定したときには、自動車20が屋内に駐車している旨を遠隔操作者に報知する。これにより、車両が屋内に駐車していることをユーザ(遠隔操作者)に知らせることができる。自動車20が屋内に駐車している旨のユーザ(遠隔操作者)への報知に対して、エンジンEGを始動するか否かをユーザ(遠隔操作者)に決定させる。これにより、排気による屋内や乗員室の環境悪化を抑制することができる。
【0036】
また、実施例の自動車20では、遠隔操作による空調起動に基づいてエンジンEGを運転している最中に自動車20のそばに人が存在すると判定したときには、エンジンEGの運転を停止する。これにより、排気の影響を自動車20の周囲の人に与えるのを抑制することができる。
【0037】
このように実施例の自動車20では、遠隔操作による空調起動に基づいてエンジンEGを始動する際には、運転者が乗車してシステム起動したことに基づいてエンジンEGを始動する際に比して、エンジン始動を制限する制限条件を厳しく(エンジンEGを始動し難く)したり、エンジンEGの始動後の停止条件を緩く(エンジンEGを停止しやすく)する。これにより、遠隔操作に基づいてエンジンEGを始動する際におけるリスクをより軽減することができる。この結果、遠隔操作に基づくエンジンEGの始動に対してより適正に対処することができる。
【0038】
実施例の自動車20では、遠隔操作による空調起動に基づいてエンジンEGを始動するときに自動車20が屋内に駐車されていると判定したときには、自動車20が屋内に駐車している旨を遠隔操作者に報知するものとした。しかし、遠隔操作による空調起動に基づいてエンジンEGを始動した後に自動車20が屋内に駐車されていると判定したときにも、自動車20が屋内に駐車している旨を遠隔操作者に報知するものとしてもよい。この場合、エンジンEGの運転を停止するものとしてもよい。こうすれば、排気による屋内や乗員室の環境悪化を抑制することができる。
【0039】
実施例の自動車20では、遠隔操作による空調起動に基づいてエンジンEGを始動する際や、遠隔操作による空調起動に基づいてエンジンEGを運転している最中に対処するものとしたが、遠隔操作に基づいてエンジンEGを始動する際や遠隔操作に基づいてエンジンEGを運転している最中であれば、空調起動に基づかないエンジンEGの始動や空調起動に基づかないエンジンEGを運転している最中であっても構わない。
【0040】
実施例の自動車20では、エンジンEGの出力軸21にクラッチ22を介して接続された自動変速装置ATの入力軸23にモータMGを取り付けた構成としたが、エンジンを有するあらゆる構成のハイブリッド自動車としたり、走行用のモータを備えないエンジンと変速機とを備える自動車としても構わない。
【0041】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジンEGが「エンジン」に相当し、電子制御ユニット30が「制御装置」に相当し、自動車20が「自動車」に相当する。
【0042】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0043】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、自動車の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 情報管理システム、20 自動車、21 出力軸、22 クラッチ、23 入力軸、24 駆動軸、26 デファレンシャルギヤ、28a,28b 駆動輪、30 電子制御ユニット、31 CPU、32 ROM、33 RAM、34 フラッシュメモリ、35 時刻計、40 各種センサ、42 イグニッションスイッチ、43 シフトレバー、44 シフトポジションセンサ、45 アクセルペダル、46 アクセルペダルポジションセンサ、47 ブレーキペダル、48 ブレーキペダルポジションセンサ、49 車速センサ49、50 車輪速センサ、51 加速度センサ、52 ヨーレートセンサ、53 勾配センサ、54 クリアランスソナー、55 日照センサ、56 外気温センサ、57 車体振動センサ、60 カメラ、61 ミリ波レーダ、62 GPS、70 表示装置、72 通信装置、74 空調装置、80 ナビゲーションシステム、120 携帯端末、130 空調起動アプリ、220 情報管理センター、230 ユーザ認証部、240 空調起動部、250 通信装置、EG エンジン、MG モータ、AT 自動変速装置。
図1
図2
図3
図4