(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189032
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】船着き場用コンクリート構造物の補修方法
(51)【国際特許分類】
E02B 3/06 20060101AFI20221215BHJP
E02B 3/12 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
E02B3/06 301
E02B3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097366
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】山川 裕嗣
(72)【発明者】
【氏名】林 亮佑
【テーマコード(参考)】
2D118
【Fターム(参考)】
2D118AA02
2D118AA11
2D118AA28
2D118BA03
2D118BA05
2D118FA06
(57)【要約】
【課題】 船着き場として構築されたコンクリート構造物を補修する。
【解決手段】 船着き場(既設コンクリート構造物)4の上面に、格子状に縦桁11及び横桁12を設置し、縦桁11及び横桁12の先端部に支持させて既設コンクリート構造物4の前縁及び側縁に沿うように上部固定桁13、14を設置する。そして、上部固定桁13、14に支持させて、既設コンクリート構造物4の海側の前面4aと側面4bとを囲むように、前面型枠21と側面型枠22とからなる型枠20を設置する。そして、型枠20と既設コンクリート構造物4との間にコンクリートを打設し、型枠20は残置する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船着き場として構築されたコンクリート構造物の補修方法であって、
既設コンクリート構造物の上面に型枠支持材を設置する型枠支持材設置工程と、
前記型枠支持材に支持させて、既設コンクリート構造物の海側の前面と側面とを囲むように、前面型枠と側面型枠とからなる型枠を設置する型枠設置工程と、
前記型枠と既設コンクリート構造物との間にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
を含み、前記型枠は残置することを特徴とする、船着き場用コンクリート構造物の補修方法。
【請求項2】
前記型枠支持材設置工程は、既設コンクリート構造物の上面に格子状に縦桁及び横桁を設置する工程と、前記縦桁及び横桁の先端部に支持させて既設コンクリート構造物の前縁及び側縁に沿うように前記前面型枠及び側面型枠を支持させるための上部固定桁を設置する工程とを含むことを特徴とする、請求項1記載の船着き場用コンクリート構造物の補修方法。
【請求項3】
前記型枠の設置に先立って、既設コンクリート構造物の前面の三和土部に不陸調整用のコンクリートを打設する三和土コンクリート打設工程を更に含み、
前記型枠設置工程では、前記前面型枠の下端部を前記三和土部に支持させることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の船着き場用コンクリート構造物の補修方法。
【請求項4】
前記型枠の設置に先立って、既設コンクリート構造物の側面に、前記側面型枠の下端部を支持させるためのブラケットを設置するブラケット設置工程を更に含み、
前記型枠設置工程では、前記側面型枠の下端部を前記ブラケットに支持させることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1つに記載の船着き場用コンクリート構造物の補修方法。
【請求項5】
前記コンクリート打設工程は、水中部にて水中コンクリートを打設する工程と、気中部にて前記型枠支持材を埋設するように気中コンクリートを打設する工程とを含むことを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の船着き場用コンクリート構造物の補修方法。
【請求項6】
既設コンクリート構造物の補修に先立って、既設コンクリート構造物の劣化部分を除去する劣化部分除去工程を更に含むことを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の船着き場用コンクリート構造物の補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船着き場として構築されたコンクリート構造物の補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船着き場として、コンクリート構造物により構築され、3面(前面及び両側面)を海に囲まれたものがある。このようなコンクリート構造物は、年月を経て、海水の浸食作用などで、劣化(損壊)することは避けられず、補修(改修)が必要となる。
【0003】
特許文献1には、防波堤などのコンクリート構造物の水中壁面(少なくとも一部が損壊した補修壁面を含む水中壁面)の補修方法が開示されている。
これは、水底地盤にコンクリート製の型枠支持盤を設置し、この型枠支持盤に下端部を支持させて、鋼鉄製の型枠を配置し、型枠はコンクリート構造物の補修壁面を含む水中壁面に対向させる。型枠はまた型枠支持索により水中壁面に支持させる。そして、水中壁面と型枠との間の空間に水中コンクリートを打設し、この後、型枠を型枠支持索から離脱させて撤去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の補修方法は、型枠をケーブル(型枠支持索)により水中壁面に支持させるようにしており、型枠の支持が不十分となるおそれがある。
また、コンクリート打設後に型枠を撤去するようにしており、コンクリートは一般に30~40cmずつ層で打っていくので、つなぎ目があり、型枠の撤去により、つなぎ目が露出することから、海水が浸食しやすい弱部を有することとなる。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑み、船着き場として構築されたコンクリート構造物の補修、特に海に囲まれた3面(前面及び両側面)の補修を好適に実施することができる、船着き場用コンクリート構造物の補修方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明方法は、船着き場として構築されたコンクリート構造物の補修方法であって、
既設コンクリート構造物の上面に型枠支持材を設置する型枠支持材設置工程と、
前記型枠支持材に支持させて、既設コンクリート構造物の海側の前面と両側面とを囲むように、前面型枠と側面型枠とからなる型枠を設置する型枠設置工程と、
前記型枠と既設コンクリート構造物との間にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
を含み、前記型枠は残置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、既設コンクリート構造物の上面に型枠支持材を設けて、これに型枠(前面型枠及び側面型枠)を支持させるので、型枠を強固に支持することができる。また、型枠は残置するので、撤去作業が不要となる他、打設したコンクリートにつなぎ目ができても、これが露出することはなく、弱部の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態として示す既設の船着き場の平面図及び右側面図
【
図3】側面視で示す船着き場の海側前面への型枠設置の工程図
【
図4】正面視で示す船着き場の側面への型枠設置の工程図
【
図5】側面視で示す船着き場の側面への型枠設置の工程図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
ここで説明する実施形態は、
図1に示すような人工島の船着き場を補修(改修)する例である。
【0011】
従って、先ず、
図1の人工島及びその船着き場について説明する。
図1(A)は平面図、
図1(B)は同図(A)のB矢視図に相当する右側面図である。
【0012】
図1の人工島1は、海底にテトラ形状の消波ブロック2を積み上げ、その上にコンクリートを打設して、人工の地盤3を形成したものである。
【0013】
そして、地盤3の一部に面ね、海側に突出する形で、平面視で長方形にコンクリートを打設して、船着き場4を形成してなる。
従って、船着き場4は、海側に突き出た直方体形状のコンクリート構造物であって、3面(前面4a及び両側面4b、4b)を海に囲まれている。
【0014】
なお、前面4a側の海底には、前面4aの下端部に連ねて三和土(たたき)部5が形成されている。その一方、側面4b、4b側の海底には、消波ブロック2が置かれていて、その高さは海側から島側へ次第に高くなる。
【0015】
このようなコンクリート構造物の船着き場は、長い間、風雨に曝され、海水に浸食されることで、コンクリートのひび割れ、剥がれ、損壊などを含む劣化を生じ、更には損壊により内部に埋設されていた消波ブロックの露出などを生じることがある。従って、補修(改修)が必要となる。
【0016】
次に、本発明の一実施形態として、
図1の船着き場(既設コンクリート構造物)の補修方法について、
図2~
図5を参照して、説明する。
【0017】
図2は平面視で示す船着き場への型枠設置の工程図、
図3は側面視(
図2のIII矢視)で示す船着き場の海側前面への型枠設置の工程図、
図4は正面視(
図2のIV矢視)で示す船着き場の側面への型枠設置の工程図、
図5は側面視(
図2のV矢視)で示す船着き場の側面への型枠設置の工程図である。
【0018】
〔劣化部分除去工程〕
劣化部分除去工程では、船着き場(既設コンクリート構造物)4の補修に先立って、コンクリートの劣化部分(剥がれている部分や損壊している部分、更には表面の剥離などにより内部から突出している消波ブロックの突出部)を除去する。特に既設コンクリート構造物の上面については、型枠支持材設置工程において、型枠支持材を正しく位置決めするために、劣化部分を除去することで、十分な平滑度を出す。
【0019】
〔三和土コンクリート打設工程〕
三和土コンクリート打設工程では、型枠の設置に先立って、船着き場前面4aの三和土部5(
図1参照)に不陸調整用のコンクリートを打設する。
船着き場前面4a底部の三和土部5のコンクリート上に前面型枠21の下端部を支持させる構造とするため、三和土部5のコンクリートの不陸を調整する必要があり、水中不分離性コンクリートで高さを均一(例えばDL-2.0m)にする。
【0020】
具体的には、天端高さ確認用のL形鋼材をオールアンカーで船着き場前面4aに設置後、水中コンクリートの止め枠として、漏洩防止シートと小型土嚢を敷設する。そして、水中型枠設置後に水中不分離性コンクリートを打設する。なお、コンクリートはプラント台船で製造し、打設ホースの筒先は自己昇降式作業台船搭載のクローラクレーンで保持し、潜水士の合図により打設する。
【0021】
〔型枠支持材設置工程〕
型枠支持材固定工程では、劣化部分を除去してほぼ平滑とした既設コンクリート構造物の上面(天端)に、鋼製の型枠支持材(縦桁11、横桁12及び上部固定桁13、14)を設置する。
【0022】
本工程は、
図2(A)のように既設コンクリート構造物の上面(天端)に格子状に縦桁11及び横桁12を設置する工程(縦桁・横桁設置工程)と、
図2(B)のように縦桁11及び横桁12の先端部に支持させて既設コンクリート構造物の前縁及び側縁に沿うように前面型枠21及び側面型枠22を支持させるための上部固定桁13、14を設置する工程(上部固定桁設置工程)とを含む。
【0023】
〔縦桁・横桁設置工程〕
縦桁・横桁設置工程では、
図2(A)、
図3(A)及び
図4(A)を参照し、既設コンクリート構造物の上面(天端)に縦桁及び横桁固定用のベースプレート10の位置をマトリクス状に墨出しし、アンカーボルト孔を削孔し、ケミカルアンカー(登録商標)を挿入撹拌し、ベースプレート10をボルト固定する。そして、ベースプレート10を利用して縦桁11を設置し、これと交差するように横桁12を設置し、縦桁11と横桁12とを添接板でボルト接合する。
【0024】
〔上部固定桁設置工程〕
上部固定桁設置工程では、
図2(B)及び
図3(B)を参照し、複数の縦桁11の海側の先端部に支持させて、前面4aに沿って横方向に延びる上部固定桁13を設置する。また、
図2(B)及び
図4(B)を参照し、複数の横桁12の左右の端部に支持させて、両側面4b、4bに沿って縦方向に延びる上部固定桁13、14を設置する。
上部固定桁13、14は、クローラクレーンで吊りながら、縦桁11、横桁12とボルト接合し、上部固定桁13、14同士も添接板でボルト接合する。
【0025】
なお、縦桁・横桁設置工程と、上部固定桁設置工程とは、連続的に行う必要はなく、上部固定桁設置工程は、縦桁・横桁設置工程の終了後、水中での下部固定桁設置工程やブラケット設置工程の後に、実施するとよい。あるいは、水中での下部固定桁設置工程やブラケット設置工程と並行して、上部固定桁設置工程を実施してもよい。
【0026】
〔下部固定桁設置工程〕
下部固定桁設置工程では、前面型枠21の設置に先立って、前面型枠21の下端部の支持・固定に用いるため、
図3(B)に示すように、三和土部5上に下部固定桁15を設置する。下部固定桁15は、クローラクレーンで三和土部5上に吊り下ろし、水中作業で、三和土部5上にケミカルアンカーを用いて固定する。
【0027】
〔ブラケット設置工程〕
ブラケット設置工程では、側面型枠22の設置に先立って、既設コンクリート構造物の側面4bに、側面型枠22の下端部の支持・固定に用いるため、
図4(B)及び
図5(A)に示すように、ブラケット16を設置する。
【0028】
船着き場前面4a側の海底には三和土部5があるため、前面型枠21の下端部は海底側の三和土コンクリート上に支持するが、船着き場側面4b側の海底には消波ブロック2があって不陸調整が困難なため、側面型枠22の下端部は、船着き場側面4bにブラケット16を固定してこれに支持させるのである。
【0029】
ブラケット設置工程では、具体的には、(1)ブラケットボルト孔位置出し・削孔、(2)樹脂系接着剤撹拌/充填・ボルト固定、(3)ブラケット設置の順で行う。
ここで、既設コンクリート構造物の側面4bに正確にブラケット位置を測り出すために、設置完了した縦桁11、横桁12にアンカー削孔用の定規材を取付ける。そして、定規材をガイドに潜水士がブラケット16取付用のボルト孔を削孔し、ケミカルアンカーでボルトを固定し、ブラケット16を設置する。
【0030】
上記の劣化部分除去工程、三和土コンクリート打設工程、縦桁・横桁設置工程、下部固定桁設置工程、ブラケット設置工程、上部固定桁設置工程を経た後、
図2(C)、
図3(C)、
図4(C)及び
図5(A)、(B)に示す型枠設置工程へ移行する。
【0031】
〔型枠設置工程〕
型枠設置工程では、型枠支持材である上部固定桁13、14に支持させて、既設コンクリート構造物の海側の前面4aと両側面4b、4bとを囲むように、前面型枠21と側面型枠22、22とからなる型枠20を設置する。
ここで、型枠20(前面型枠21及び側面型枠22)は、コンクリート打設工程後に撤去(脱型)せず、残置するため、ステンレス製とする。
【0032】
型枠20は平面視でコ字状をなし、前面型枠21と側面型枠22、22とに分けることができる。従って、型枠設置工程は、前面型枠設置工程と、左右の側面型枠設置工程とに分けることができる。
【0033】
なお、前面型枠21は、外側の型枠パネル21aと、内側に適宜設けた補強用鋼材21bとからなる。側面型枠22も同様で、外側の型枠パネル22aと、内側に適宜設けた補強用鋼材22bとからなる。
【0034】
〔前面型枠設置工程〕
前面型枠21は、クローラクレーンで吊り下ろして、
図3(C)に示すように、三和土部5上に降ろし、水中作業で下端部を下部固定桁15にボルト固定し、上端部を上部固定桁13にボルト固定する。
ここで、前面型枠21の下端部と三和土部5又は下部固定桁15との間には、充填材を介装するなどして、打設時のコンクリートの洩れを抑制できるようにする。
【0035】
〔側面型枠設置工程〕
側面型枠22は、
図4(C)、
図5(A)→(B)に示すように、クローラクレーンでブラケット16上に吊り下ろして、水中作業でブラケット16にボルト固定し、上端部を上部固定桁14にボルト固定する。
ここで、側面型枠22の下端部からの打設時のコンクリートの洩れを抑制できるように、ブラケット16に支持させて、閉止用のプレートを設け、また適宜、充填材を介装するなどする。
【0036】
前面型枠21と側面型枠22とは設置後に適宜のジョイント部材で連結する。なお、前面型枠21及び側面型枠22をそれぞれ複数に分割して組み込み、分割片間をジョイントプレートなどのジョイント材で連結するなどしてもよい。
型枠20(前面型枠21及び側面型枠22)の設置後、コンクリート打設工程へ移行する。
【0037】
〔コンクリート打設工程〕
コンクリート打設工程では、型枠20(前面型枠21及び側面型枠22)と、既設コンクリート構造物(その前面4a及び側面4b)との間に、コンクリートを打設する。また、型枠20(前面型枠21及び側面型枠22)内で、既設コンクリート構造物の天端に、コンクリートを打設する。
従って、コンクリート打設工程は、水中部での水中コンクリート打設工程と、気中部での気中コンクリート打設工程とに分けることができる。
【0038】
〔水中コンクリート打設工程〕
水中コンクリート打設工程では、水中コンクリート(水中不分離性コンクリート)を例えばDL+1.2mまで打設する。
【0039】
〔気中コンクリート打設工程〕
気中コンクリート打設工程では、気中部にて、鉄筋を組み込んだ後、型枠支持材(縦桁11、横桁12及び上部固定桁13、14)を埋設するように、気中コンクリートを例えばDL+1.8mまで打設する。
【0040】
コンクリート打設工程後、型枠20(前面型枠21及び側面型枠22)は、撤去(脱型)せず、残置する。このため、型枠20(ブラケット16等も含む)は、防錆性を考慮して、ステンレス製としてある。
【0041】
本実施形態によれば、既設コンクリート構造物の上面に型枠支持材(縦桁11、横桁12及び上部固定桁13、14)を設けて、これに型枠20(前面型枠21及び側面型枠22)を支持させるので、型枠20を強固に支持することができる。また、型枠20は残置するので、撤去作業が不要となる他、打設したコンクリートにつなぎ目ができても、これが露出することはなく、弱部の発生を防止できる。
【0042】
また、本実施形態によれば、型枠支持材設置工程では、既設コンクリート構造物の上面に格子状に縦桁11及び横桁12を設置し、これら縦桁11及び横桁12の先端部に支持させて既設コンクリート構造物の前縁及び側縁に沿うように上部固定桁13、14を設置するため、これらにより前面型枠21及び側面型枠22を精度良く支持できる。
【0043】
また、本実施形態によれば、前面型枠21の設置に先立って、既設コンクリート構造物の前面4aの三和土部5に不陸調整用のコンクリートを打設することにより、前面型枠21の下端部を精度良く支持することができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、側面型枠22の設置に先立って、既設コンクリート構造物の側面4bに、ブラケット16を設置することにより、側面型枠22の下端部を精度良く支持することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、水中部での水中コンクリート打設工程と、気中部での気中コンクリート打設工程とに分けて管理することで、コンクリート品質及び作業性の向上を図ることができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、既設コンクリート構造物の補修に先立って、既設コンクリート構造物の劣化部分を除去することにより、補修のために必要な基準面の平滑度などを確実に得ることができる。
【0047】
なお、以上では、人工島の船着き場を補修する例で説明したが、本発明の適用対象はこれに限るものではなく、海側に突き出す形で構築された船着き場一般の補修に適用可能である。
【0048】
また、図示の実施形態はあくまで本発明を概略的に例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
1 人工島
2 消波ブロック
3 地盤
4 船着き場
4a 船着き場前面
4b 船着き場側面
5 三和土部(三和土コンクリート)
10 ベースプレート
11 縦桁
12 横桁
13、14 上部固定桁
15 下部固定桁
16 ブラケット
20 型枠
21 前面型枠
22 側面型枠
21a,22a 型枠パネル
21b、22b 補強用鋼材