(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189038
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】コンクリートポンプ車における排出管用接続器具、及びコンクリートポンプ車を用いた外部流体の吸引圧送方法
(51)【国際特許分類】
F04C 5/00 20060101AFI20221215BHJP
B60P 3/16 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
F04C5/00 341Z
B60P3/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097373
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 章司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 晃一
(57)【要約】
【課題】コンクリートポンプを外部流体の吸込み・排出に利用する場合に、ホッパを退避位置まで移動後、排出管を補助接続器具の接続管体を介してポンプチューブの吸込端部に単に繋ぎ替えるだけで済むようにし、これにより、ホッパを密閉にする等の特別な改造を不要として通常のコンクリートポンプ使用時でも、ホッパ経由の生コンの流動性が阻害されないようにする。
【解決手段】コンクリートポンプ車Vは、コンクリートポンプCPをローラ支持体RSの逆回転により外部流体を移送管20からチューブT内に吸込む吸引ポンプに転用する際に用いる補助接続器具Aを具備しており、その補助接続器具Aは、ホッパHが退避位置HBに在るときに、一端部がチューブTの吸込端部Tiに接続可能であり且つ他端部には排出管80の上流端部が接続可能である接続管体Awを備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(F)後部に搭載されるコンクリートポンプ(CP)と、生コンを貯溜可能なホッパ(H)と、このホッパ(H)を支持すべく前記車体(F)の後端部に連設されるホッパフレーム(50)とを備え、前記コンクリートポンプ(CP)が、円筒状のポンプケース(C)と、そのポンプケース(C)の内周面に沿設されたチューブ(T)と、そのチューブ(T)をしごくことで該チューブ(T)にポンプ作用を発揮させる複数のローラ(R)と、前記ローラ(R)を自転可能に且つ前記ポンプケース(C)の中心軸線回りに公転可能に支持するローラ支持体(RS)とを有しており、前記ホッパ(H)に設けられて該ホッパ(H)から生コンを排出可能な出口管(Ho)と、前記ポンプケース(C)下部に設けた吸入口(Ci)を通して後方に延出するチューブ(T)の吸込端部(Ti)との間が着脱可能に接続され、前記ポンプケース(C)上部に設けた吐出口(Co)を通して後方に延出するチューブ(T)の吐出端部(To)には、打設場所までの生コン移送に用いる移送管(20)の上流端が接続され、前記ホッパ(H)は、前記吸込端部(Ti)及び前記出口管(Ho)相互の接続を許容する通常の使用位置(HA)で前記ホッパフレーム(50)上に固定可能であると共に、該使用位置(HA)から、前記吸込端部(Ti)を後方に開放可能な退避位置(HB)まで移動可能であるコンクリートポンプ車において、前記コンクリートポンプ(CP)を、前記ローラ支持体(RS)の逆回転により外部流体を前記移送管(20)を通して前記チューブ(T)内に吸込む吸引ポンプに転用する際に用いる排出管用接続器具であって、
前記ホッパ(H)が前記退避位置(HB)に在るときに、一端部が前記吸込端部(Ti)に接続可能であり且つ他端部には排出管(80)の上流端部が接続可能である接続管体(Aw)を備えることを特徴とするコンクリートポンプ車における排出管用接続器具。
【請求項2】
前記接続管体(Aw)に結合されて前記車体(F)に着脱可能に連結可能な支持ステー(As)を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載のコンクリートポンプ車における排出管用接続器具。
【請求項3】
前記支持ステー(As)は、前記ホッパフレーム(50)に着脱可能に連結可能であって、該ホッパフレーム(50)を介して前記車体(F)に連結可能であることを特徴とする、請求項2に記載のコンクリートポンプ車における排出管用接続器具。
【請求項4】
前記ホッパフレーム(50)と前記ホッパ(H)との間には、該ホッパ(H)を前記使用位置(HA)と前記退避位置(HB)との間で強制移動させる駆動装置(D)が介装され、
前記ホッパフレーム(50)は、互いに独立して操作可能な第1,第2ロック部材(L1,L2)が選択的に係合可能な被係合部(Lc)を有しており、
前記第1ロック部材(L1)は、これが前記ホッパ(H)の下部と前記前記被係合部(Lc)とに係合することにより該ホッパ(H)を前記使用位置(HA)にロック可能であり、また前記第2ロック部材(L2)はこれが、前記ホッパフレーム(50)上で前記退避位置(HB)の前記ホッパ(H)を支える支持部材(70)と前記被係合部(Lc)とに係合することにより該ホッパ(H)を前記退避位置(HB)にロック可能であることを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載のコンクリートポンプ車における排出管用接続器具。
【請求項5】
請求項1に記載のコンクリートポンプ車における排出管用接続器具を用いて、前記コンクリートポンプ(CP)により前記外部流体を吸引すると共に外部の排出場所(90)まで圧送する吸引圧送方法であって、
前記出口管(Ho)を前記吸込端部(Ti)より切り離すと共に前記ホッパ(H)を前記使用位置(HA)から前記退避位置(HB)まで移動させる工程と、
前記吸込端部(Ti)に前記接続管体(Aw)の一端部を接続し且つ前記接続管体(Aw)の他端部に前記排出管(80)の上流端部を接続する工程と、
前記ロータ支持体(RS)を逆回転させることで、前記外部流体を前記移送管(20)を通して前記チューブ(T)内に吸い込み、更に前記接続管体(Aw)及び前記排出管(80)を経由して前記排出場所(90)まで圧送する工程とを含むことを特徴とする、コンクリートポンプ車を用いた外部流体の吸引圧送方法。
【請求項6】
請求項2に記載のコンクリートポンプ車における排出管用接続器具を用いて、前記コンクリートポンプ(CP)により前記外部流体を吸引すると共に外部の排出場所(90)まで圧送する吸引圧送方法であって、
前記出口管(Ho)を前記吸込端部(Ti)より切り離すと共に前記ホッパ(H)を前記使用位置(HA)から前記退避位置(HB)まで移動させる工程と、
前記吸込端部(Ti)に前記接続管体(Aw)の一端部を接続し且つ前記接続管体(Aw)の他端部に前記排出管(80)の上流端部を接続し且つまた前記接続管体(Aw)を前記車体(F)に連結する工程と、
前記ロータ支持体(RS)を逆回転させることで、前記外部流体を前記移送管(20)を通して前記チューブ(T)内に吸い込み、更に前記接続管体(Aw)及び前記排出管(80)を経由して前記排出場所(90)まで圧送する工程とを含むことを特徴とする、コンクリートポンプ車を用いた外部流体の吸引圧送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートポンプ車、特に車体後部に搭載されるコンクリートポンプと、生コンを貯溜可能なホッパと、このホッパを支持すべく車体の後端部に連設されるホッパフレームとを備え、コンクリートポンプが、円筒状のポンプケースと、そのポンプケースの内周面に沿設されたチューブと、そのチューブをしごくことでチューブにポンプ作用を発揮させる複数のローラと、ローラを自転可能に且つポンプケースの中心軸線回りに公転可能に支持するローラ支持体とを有しており、ホッパに設けられてホッパから生コンを排出可能な出口管と、ポンプケース下部に設けた吸入口を通して後方に延出するチューブの吸込端部との間が着脱可能に接続され、ポンプケース上部に設けた吐出口を通して後方に延出するチューブの吐出端部には、打設場所までの生コン移送に用いる移送管の上流端が接続され、ホッパは、吸込端部及び出口管相互の接続を許容する通常の使用位置でホッパフレーム上に固定可能であると共に、該使用位置から、吸込端部を後方に開放可能な退避位置まで移動可能であるコンクリートポンプ車において、コンクリートポンプを、ローラ支持体の逆回転によりスラリ等の外部流体を移送管からチューブ内に吸込む吸引ポンプに転用する際に用いる排出管用接続器具、並びにコンクリートポンプ車を用いた外部流体の吸引圧送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記したコンクリートポンプ車は、例えば特許文献1に開示されるように従来公知であって、生コンを例えば高所の建設現場等に圧送するのに使用可能である。また、スラリ等の外部流体を排出場所まで吸送するためにコンクリートポンプを転用する技術が、特許文献2に開示されるように従来公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-148186号公報
【特許文献2】特開2007-278264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2のコンクリートポンプでは、ホッパを密閉構造に改造し且つこれに吸込管を接続して、コンクリートポンプが外部流体を吸込管及びホッパを経てチューブ内に吸込み、それを移送管を経て排出場所まで排出可能としている。またそのバリエーションとして、同じ実施形態のコンクリートポンプのロータを逆回転させることで、外部流体をブーム先端の移送管からチューブ内に吸込み、それを密閉構造のホッパを経由して吸込管より排出場所に排出することが、特許文献2の[0008]に示唆されている。
【0005】
ところが特許文献2の技術では、ホッパを密閉するためにホッパ構造が複雑化し、コストが嵩む問題がある。その上、コンクリートポンプを本来の用途機能で使用する場合に、ホッパ構造が複雑に改造されたことで、ホッパ内での生コンの流動性が阻害される等の問題もある。
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、従来構造の問題を簡単な構造で解決可能としたコンクリートポンプ車における排出管用接続器具、およびコンクリートポンプ車を用いた外部流体の吸引圧送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、車体後部に搭載されるコンクリートポンプと、生コンを貯溜可能なホッパと、このホッパを支持すべく前記車体の後端部に連設されるホッパフレームとを備え、前記コンクリートポンプが、円筒状のポンプケースと、そのポンプケースの内周面に沿設されたチューブと、そのチューブをしごくことで該チューブにポンプ作用を発揮させる複数のローラと、前記ローラを自転可能に且つ前記ポンプケースの中心軸線回りに公転可能に支持するローラ支持体とを有しており、前記ホッパに設けられて該ホッパから生コンを排出可能な出口管と、前記ポンプケース下部に設けた吸入口を通して後方に延出するチューブの吸込端部との間が着脱可能に接続され、前記ポンプケース上部に設けた吐出口を通して後方に延出するチューブの吐出端部には、打設場所までの生コン移送に用いる移送管の上流端が接続され、前記ホッパは、前記吸込端部及び前記出口管相互の接続を許容する通常の使用位置で前記ホッパフレーム上に固定可能であると共に、該使用位置から、前記吸込端部を後方に開放可能な退避位置まで移動可能であるコンクリートポンプ車において、前記コンクリートポンプを、前記ローラ支持体の逆回転により外部流体を前記移送管から前記チューブ内に吸込む吸引ポンプに転用する際に用いる排出管用接続器具であって、前記ホッパが前記退避位置に在るときに、一端部が前記吸込端部に接続可能であり且つ他端部には排出管の上流端部が接続可能である接続管体を備えることを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記接続管体に結合されて前記車体に着脱可能に連結可能な支持ステーを更に備えることを第2の特徴とする。
【0009】
また本発明は、第2の特徴に加えて、前記支持ステーは、前記ホッパフレームに着脱可能に連結可能であって、該ホッパフレームを介して前記車体に連結可能であることを第3の特徴とする。
【0010】
また本発明は、第1~第3の何れかの特徴に加えて、前記ホッパフレームと前記ホッパとの間には、該ホッパを前記使用位置と前記退避位置との間で強制移動させる駆動装置が介装され、前記ホッパフレームは、互いに独立して操作可能な第1,第2ロック部材が選択的に係合可能な被係合部を有しており、前記第1ロック部材は、これが前記ホッパの下部と前記前記被係合部とに係合することにより該ホッパを前記使用位置にロック可能であり、また前記第2ロック部材はこれが、前記ホッパフレーム上で前記退避位置の前記ホッパを支える支持部材と前記被係合部とに係合することにより該ホッパを前記退避位置にロック可能であることを第4の特徴とする。
【0011】
また本発明は、第1の特徴を有するコンクリートポンプ車における排出管用接続器具を用いて、前記コンクリートポンプにより前記外部流体を吸引すると共に外部の排出場所まで圧送する吸引圧送方法であって、前記出口管を前記吸込端部より切り離すと共に前記ホッパを前記使用位置から前記退避位置まで移動させる工程と、前記吸込端部に前記接続管体の一端部を接続し且つ前記接続管体の他端部に前記排出管の上流端部を接続する工程と、前記ロータ支持体を逆回転させることで、前記外部流体を前記移送管を通して前記チューブ内に吸い込み、更に前記接続管体及び前記排出管を経由して前記排出場所まで圧送する工程とを含むことを第5の特徴とする。
【0012】
また本発明は、第2の特徴を有するコンクリートポンプ車における排出管用接続器具を用いて、前記コンクリートポンプにより前記外部流体を吸引すると共に外部の排出場所まで圧送する吸引圧送方法であって、前記出口管を前記吸込端部より切り離すと共に前記ホッパを前記使用位置から前記退避位置まで移動させる工程と、前記吸込端部に前記接続管体の一端部を接続し且つ前記接続管体の他端部に前記排出管の上流端部を接続し且つまた前記接続管体を前記車体に連結する工程と、前記ロータ支持体を逆回転させることで、前記外部流体を前記移送管を通して前記チューブ内に吸い込み、更に前記接続管体及び前記排出管を経由して前記排出場所まで圧送する工程とを含むことを第6の特徴とする。
【0013】
本発明および本明細書において、「外部流体」とは、コンクリートポンプを逆転駆動して吸込ポンプに転用する場合の吸込・圧送の対象流体であって、例えば、河川の一部、池、沼、下水溝、下水道等に停滞する汚泥等のスラリ又は汚水をいう。この外部流体は、その停滞場所よりコンクリートポンプによって吸い込まれ且つ排出場所まで圧送、排出される。
【発明の効果】
【0014】
第1の特徴によれば、排出管用接続器具は、ホッパが退避位置に在るときに、一端部がチューブの吸込端部に接続可能であり且つ他端部には排出管の上流端部が接続可能である接続管体を備えるので、コンクリートポンプをスラリ等の外部流体の吸込み・排出に利用する場合には、ホッパを、それの出口管と吸込端部間を切り離して退避位置まで移動させた後、吸込端部に接続管体を介して排出管を繋ぐだけでよい。これにより、ホッパを密閉構造にする等の改造を特別に施す必要はないから、コスト節減が図られ、また通常のコンクリートポンプとして使用する場合でも、ホッパ内での生コンの流動性が阻害される虞れはない。
【0015】
また第2の特徴によれば、接続管体に固定されて車体に着脱可能に連結可能な支持ステーを更に備えるので、上記接続管体は、使用中、車体に安定よく固定、保持できるため、排出管とコンクリートポンプ(具体的にはチューブの吸込端部)との間の接続状態を的確に維持可能となる。
【0016】
また第3の特徴によれば、支持ステーは、ホッパフレームに着脱可能に連結可能であって、ホッパフレームを介して車体に連結可能であるので、接続管体を配置すべき場所に近いホッパフレームに支持ステーを連結可能となり、従って、支持ステーを車体側に長く延ばしたり或いは屈曲させたりしなくても、ホッパフレームを介して車体に容易に連結できるから、連結作業の作業性向上や支持ステーの小型化に寄与することができる。
【0017】
また第4の特徴によれば、ホッパフレームは、互いに独立して操作可能な第1,第2ロック部材が選択的に係合可能な被係合部を有し、第1ロック部材は、これがホッパ下部とホッパフレーム側の被係合部とに係合することでホッパを使用位置にロック可能であり、また第2ロック部材はこれが、ホッパフレーム上で退避位置のホッパを支える支持部材と前記被係合部とに係合することでホッパを退避位置にロック可能である。これにより、ホッパを使用位置にロックするロック機構と、ホッパを強制移動後の退避位置にロックするロック機構とは、その両ロック機構の一部(即ち前記被係合部)を共用できるため、それだけロック構造の簡素化、延いてはコスト節減に寄与することができる。
【0018】
また第5の特徴によれば、出口管をチューブの吸込端部より切り離すと共にホッパを使用位置から退避位置まで移動させる工程と、チューブの吸込端部に接続管体の一端部を接続し且つ接続管体の他端部に排出管の上流端部を接続する工程と、ロータ支持体を逆回転させることで外部流体を移送管を通してチューブ内に吸い込み、更に接続管体及び排出管を経由して排出場所まで圧送する工程とを含むので、第1の特徴による前記効果が、簡単な作業手順を実行するだけで容易的確に達成可能となる。
【0019】
また第6の特徴によれば、出口管をチューブの吸込端部より切り離すと共にホッパを使用位置から退避位置まで移動させる工程と、チューブの吸込端部に接続管体の一端部を接続し且つ接続管体の他端部に排出管の上流端部を接続し且つまた接続管体を車体に連結する工程と、ロータ支持体を逆回転させることで外部流体を移送管を通してチューブ内に吸い込み、更に接続管体及び排出管を経由して排出場所まで圧送する工程とを含むので、第2の特徴による前記効果が、簡単な作業手順を実行するだけで容易的確に達成可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンクリートポンプ車の全体左側面図
【
図3】コンクリートポンプ車の要部、特にコンクリートポンプ及びホッパを示す、一部破断拡大左側面図
【
図4】コンクリートポンプ及びホッパとその周辺機器を示す後面図(
図1の4矢視図)
【
図5】ホッパを使用位置にロックする第1ロック機構の要部縦断面図(
図3の5A-5A線拡大断面図)であって、(A)は第1ロック機構のロック作動状態を示し、(B)は第1ロック機構のロック解除状態を示す
【
図6】コンクリートポンプを外部流体排出用の吸引ポンプとして転用した使用例を示す
図3対応断面図
【
図7】補助接続機器の要部横断面図(
図6の7-7線拡大断面図)
【
図8】ホッパを退避位置にロックする第2ロック機構のロック作動状態を示す要部縦断面図(
図6の8-8線拡大断面図)
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態を、添付図面により以下に具体的に説明する。先ず、
図1,2において、コンクリートポンプ車Vは、車体F上に搭載、固定されるコンクリートポンプCPと、このコンクリートポンプCPに供給すべき生コンを一時的に貯溜可能なホッパHと、このホッパHを前後位置調節可能に固定、支持すべく車体Fの後端部に固定されて後方に延びるホッパフレーム50と、コンクリートポンプCPから吐出される生コンを打設場所まで移送するための移送管20と、生コンを高所の打設場所でも届けるべく移送管20の下流側配管部分20Dを昇降駆動できるよう連結、支持するブーム組立体Bとを備える。
【0022】
ブーム組立体Bは、互いに屈折可能に枢支連結されて一連に配列される複数のブーム部と、その枢支連結部回りに各ブーム部を起伏回動させる複数の油圧シリンダとを主要部としている。そのブーム組立体Bの基端ブーム部Bbは車載の旋回台11に支持され、この旋回台11を介して車体Fに起伏可能且つ及び鉛直軸線回りに旋回可能に支持される。
【0023】
一方、先端ブーム部Baには、移送管20の下流端部20eが支持されており、この下流端部20eの先端部には、生コンを先端より吹出可能な生コン吹出管(図示せず)の基端が着脱可能に取付けられる。尚、生コン吹出管は、作業員が手動操作により管先部を適宜部位に向かせることができる。
【0024】
移送管20の下流側配管部分20Dは、ブーム組立体Bの複数のブーム部に沿うように配置されていて、その途中には、相隣なるブーム部の屈折動作に追従して屈折可能な複数の関節部を有している。またブーム組立体Bが伸長動作した際にコンクリートポンプ車Vの安定確保のための上下伸縮可能な複数のジャッキJが、車体Fの少なくとも前後左右の四隅に配設されている。
【0025】
一方、移送管20の上流側配管部分20Uは、これの上流端が、次に説明するコンクリートポンプCPのポンピングチューブとしてのチューブTの吐出側に接続される。その上流側配管部分20Uは、平面視でU字状に形成されてコンクリートポンプCPの後方側に配設される第1管部21と、第1管部21の下流端に連なり且つコンクリートポンプCPのポンプケースC側面に沿うようにして車体Fの前方側に延びる第2管部22とを備える。
【0026】
第1管部21は、ポンプケースCの後部に後向きに突設した配管支持体30に固定、支持され、また第2管部22は、車体Fに間隔をおいて固定した複数の支持枠12に固定、支持される。そして、第2管部22の下流端は、前記旋回台11の内部を経由して、移送管20の前記した下流側配管部分20Dに接続される。
【0027】
コンクリートポンプCPは、中心軸線が左右方向に延びる円筒状に形成されて車体Fに固定されるポンプケースCと、そのポンプケースCの外周壁Caのうち少なくとも前半側外周壁Caの内周面に沿設された側面視U字状のチューブTと、そのチューブTをしごくことでチューブTにポンプ作用を発揮させる一対のローラRと、それらローラRを自転可能に且つポンプケースCの中心軸線回りに公転可能に支持するローラ支持体RSとを有している。一対のローラRは、ローラ支持体RSの回転方向に180度の位相差で配置される。
【0028】
ポンプケースCは、円筒状の外周壁Caと、その外周壁Caの左右両端部に外周部がそれぞれ着脱可能に結合(例えばボルト結合)されて外周壁Caの左右開放端を気密に塞ぐ左右一対の円板状外側板Csとより分割構成される。
【0029】
チューブTは、可撓性及び弾性を有しており、しかもローラRによりしごかれてポンピング機能を長期間発揮しても破断しないような丈夫な弾性材で構成される。またポンプケースCの外周壁Caの少なくとも前半部内周面には、自転しつつ公転するローラRとの間でチューブTを挟圧すべく周方向に延びる弾性パッドPが被着される。
【0030】
この弾性パッドPは、外周壁Caの周方向で相互に隣接し且つ上から下に順次並ぶ上部パッド部Pt、第1,第2中間パッド部Pf1,Pf2及び下部パッド部Pbにより分割構成され、その個々のパッド部は、何れも弾性材(例えばゴム材等)で所定形状に成形される。尚、弾性パッドPを一体物のパッドで構成してもよい。
【0031】
また実施形態において、弾性パッドPは、
図3で明らかなように、ポンプケースCの外周壁Caの内周面に、その内周面に沿って彎曲した帯板状の内装板37を介して接合される。尚、弾性パッドPの各パッド部は、ポンプケースCの外周壁Caの内周面に直接(即ち内装板37を介さずに)接合してもよい。
【0032】
チューブTの吐出端部Toは、ポンプケースCの上部に後向きに設けた吐出口Coを通して外周壁Caの略接線方向(後方)に延出していて、移送管20の上流側配管部分20Uに従来周知の結合手段JTを以て着脱可能に接続される。結合手段JTは、例えば、チューブTの吐出端部Toを外周に嵌合させる円筒状ソケット23と、そのソケット23外端のフランジ部23fと上流側配管部分20Uの上流端のフランジ部24との間を着脱可能に結合する結合具(図示例はボルト・ナット25)と、チューブTの吐出端部Toの外周を縮径方向に緊締する緊締具とを有する。
【0033】
その緊締具は、例えば吐出端部Toの外周を相互間に挟む一対のクランプ部材26と、一対のクランプ部材26を互いに引き付け合うよう緊締するボルト・ナット27とを有している。尚、実施形態のボルト・ナット27は、一対のクランプ部材26の一端部相互間および他端部相互間の各結合に用いられるが、この構造に代えて、一対のクランプ部材26の一端部相互間のみボルト・ナット27で結合し、その他端部相互間を連結ピン等で相対回動可能に枢支連結してもよい。
【0034】
一方、チューブTの吸込端部Tiは、ポンプケースCの下部に後向きに設けた吸入口Ciを通して外周壁Caの略接線方向(後方)に延出していて、後述するホッパHの出口管Hoの下流端に接続されている。
【0035】
ローラ支持体RSは、ポンプケースCの左右外側板Csに回転自在に軸支され且つポンプケースCとローラ支持体RS間に設けた不図示の回転駆動装置により回転駆動される。またローラ支持体RSには、これの正転方向(
図3で時計方向)で各ローラRよりも前方側に配置されてチューブTを左右より挟む一対のガイドローラ35が回転自在に支持され、その両ガイドローラ35によりチューブTの蛇行や横ずれが抑制される。
【0036】
ホッパHは、上面を開放され且つ左右方向に延びる槽状に形成されており、ホッパHの下面には、ホッパH内の生コンを排出可能な出口管Hoが接続、固定される。またホッパH内には、そこに投入された生コンを攪拌して固まりにくくするために攪拌装置28(
図4を参照)が配設され、攪拌装置28は、ホッパH内で回転可能な複数の攪拌羽根28bと、これを回転駆動する回転駆動装置28aとを備える。
【0037】
ホッパHの出口管Hoは、
図4で明らかなように、ホッパHの下面から下方に延出した後、前方側に湾曲して延出しており、その延出端すなわち下流端と、チューブTの吸込端部Tiとの間が、従来周知の結合手段JT′を以て着脱可能に接続される。尚、実施形態の結合手段JT′は、前記したチューブTの吐出端部Toと移送管20間の結合手段JTと同様の構造であるので、詳細な説明は省略し、結合手段JTと同様の参照符号を付すにとどめる。
【0038】
次に
図3~
図5を主として参照して、ホッパフレーム50とホッパHとの関係構造について、その一例を説明する。ホッパフレーム50は、車体Fの後部に結合されて各々後方に張出すよう延びる左右一対の縦フレーム51と、左右の縦フレーム51の後端部相互を一体に結合する横フレーム52とを有して、平面視で前側開放のコ字状をなすフレーム枠で構成され、横フレーム52の上面中央には凹部52aが形成される。
【0039】
一方、ホッパHの下部には、前後方向に延びる左右一対の支持脚Haが下向きに突設される。そして、各々の支持脚Haは、ホッパフレーム50の対応する縦フレーム51の上面に前後方向のみ摺動可能に載置、支持される支持脚本体54と、支持脚本体54の外側部に一体的に連設されて縦フレーム51の外側面に摺動可能に当接する支持板部55とを備える。従って、左右の支持脚Haの支持板部55の相互間にホッパフレーム50(具体的には左右の縦フレーム51)が摺動可能に挟持され、これにより、ホッパHがホッパフレーム50上で横ずれする虞れはない。
【0040】
またホッパHとホッパフレーム50との間には、ホッパHをチューブTの吸込端部Ti及び出口管Ho相互の接続を許容する所定の使用位置HA(
図3の位置)と、その使用位置HAから上方後側に傾動した所定の退避位置HB(
図6の位置)との間で駆動し得る駆動装置Dが介装される。そして、ホッパHが退避位置HBにあるときは、出口管Hoより分離状態にある吸込端部Tiを後方に広く開放可能となり、しかもホッパHとポンプケースC後部との間には広い作業スペースが確保可能となる。
【0041】
従って、その作業スペースを利用することで、チューブTの交換作業その他のメンテナンス作業や、後述する排出管80との接続作業等を容易に行うことができる。
【0042】
駆動装置Dは、ホッパH(支持脚Ha)をホッパフレーム50上に強制的に前後摺動させる油圧シリンダ53と、ホッパHが不図示のストッパ手段(即ち後退限規制手段)により所定の後退限に達したときにホッパH及びホッパフレーム50相互を着脱可能に枢支連結することで、油圧シリンダHの収縮に連動してホッパHを後方傾動させる運動変換機構60とを備える。
【0043】
油圧シリンダ53は、左右一方の支持脚Haの後部に固定したブラケット68と、ホッパフレーム50(具体的には左右一方の縦フレーム51に固定の横枠65に固着した第1ブラケット65b1)とに両端部がそれぞれ枢支連結される。尚、油圧シリンダ53は、ホッパフレーム50の左右両側にそれぞれ配設してもよい。
【0044】
また運動変換機構60は、ホッパフレーム50(左右の縦フレーム51)の後端部に突設した第1ヒンジブラケット61と、左右の支持脚Haの後部に突設した第2ヒンジブラケット62と、第2ヒンジブラケット62に取付けられて第1,第2ヒンジブラケット61,62の各連結孔に抜差可能即ち着脱可能に嵌挿(即ち枢支連結)する手動操作式の連結ピン付き連結機構63とを備える。その連結機構63が第1,第2ヒンジブラケット61,62を枢支連結していない状態では、ホッパHは、油圧シリンダ53の伸縮作動によりホッパフレーム50上を単に前後摺動するだけである。
【0045】
而して、
図3に示すようにホッパHがホッパフレーム50上の最前進位置、即ち使用位置HAにあるときに、チューブTの吸込端部Tiと出口管Hoとを分離してから油圧シリンダ53を伸長作動させると、ホッパHの支持脚Haがホッパフレーム50上で後方摺動する。そして、ホッパHは、前記後退限に達すると後方摺動が停止するが、このときに第1,第2ヒンジブラケット61,62の連結孔は、互いに合致した位置関係にあるため、連結機構63の連結ピンを介して両ヒンジブラケット61,62相互を枢支連結できる。その枢支連結後、油圧シリンダ53を収縮作動させると、ホッパHを連結機構63の連結ピン回りに後方へ傾動させることができ、その最傾動位置が前記退避位置HBとなる。尚、この状態よりホッパHを使用位置HAに戻すには、上記とは逆の手順で行う。
【0046】
更にホッパHとホッパフレーム50との間には、ホッパHが
図3の使用位置HAにあるときに支持脚Haをホッパフレーム50に係脱可能に係止させる第1ロック機構LAと、ホッパHが
図6の退避位置HBにあるときにホッパフレーム50上でホッパHを支える支持部材70をホッパフレーム50に係脱可能に係止させる第2ロック機構LBとが介装される。次に、
図3~
図5を参照して、第1ロック機構LAの一例を説明する。
【0047】
第1ロック機構LAは、支持脚Haの支持板部55に設けた外ロック孔55hと、ホッパHが使用位置HAにあるときに外ロック孔55hに対し同軸に並ぶよう縦フレーム51に設けた内ロック孔51hと、内ロック孔51hに対し同軸配置されて縦フレーム51内面に固定(例えば溶接)されたロックカラー56と、外ロック孔55hを同心状に囲繞して支持板部55の外面に突設された固定ボス57と、固定ボス57内に摺動可能に嵌挿されて内、外ロック孔51h,55h及びロックカラー56に係合するロック位置(
図5(A)を参照)と前記係合を解除するロック解除位置(
図5(B)を参照)との間を摺動可能なロックピンL1と、ロックピンL1を常にロック位置側に付勢するロックばね59とを備える。
【0048】
ロックピンL1の外端には、これを手動操作するための操作ノブ58が固定(例えば溶接)され、この操作ノブ58に抜差係合可能なスリット状の係合凹部57aが固定ボス57にその外端側に開口するよう設けられる。而して、ロックピンL1は、
図5(A)に示すように操作ノブ58が係合凹部57aの底部に位置するときはロックばね59により前記ロック位置に弾発保持され、また
図5(B)に示すように操作ノブ58が固定ボス57の外端に係合するときはロックばね59の付勢力に抗して前記ロック解除位置に保持される。
【0049】
次に
図6,8を主として参照して、第2ロック機構LBの一例を説明する。前記支持部材70は、ホッパHを退避位置HBに保持するための機能部品であって、上下方向に延びる突張リンク71と、支持脚本体54の前部下面に固定の上部ブラケット72と、縦フレーム51上に着脱可能に結合される下部ブラケット73とを備える。突張リンク71の上端部及び下端部は、上部ブラケット72及び下部ブラケット73にそれぞれボルト・ナット76で着脱可能に結合される。
【0050】
下部ブラケット73は、縦フレーム51の上面及び外側面に当接する横断面L字状のブラケット基部73wと、ブラケット基部73wの水平な上壁部の上面に固定される上向きのブラケット先部73aとを有しており、ブラケット先部73aは、突張リンク71の下端部にボルト結合される。またブラケット基部73wの側板部74には、ロックボルトL2が挿通される外ロック孔74hが設けられる。
【0051】
而して、ホッパHが前記退避位置HBにあるときに、ロックボルトL2の軸部を外ロック孔74h、内ロック孔51h及びロックカラー56に嵌挿させ、その軸部の先部に縦フレーム51の内方側からナット75を螺合させる。これにより、下部ブラケット73を縦フレーム51に固縛可能となり、かくして、支持部材70は、ホッパHを使用位置HAにロック可能となる。
【0052】
尚、支持部材70は、コンクリートポンプCPの使用状態では不要な部品であるので、ホッパフレーム50より取り外されて適所に保管される。そして、ホッパHを退避位置HBまで移動、保持する場合に取り出されて、その退避位置HBのロックに利用される。
【0053】
本実施形態において、ロックピンL1は、ホッパHを使用位置HAにロックするための第1ロック部材を構成し、ロックボルトL2は、支持部材70と協働してホッパHを退避位置HBにロックするための第2ロック部材を構成する。また内ロック孔51h及びロックカラー56は、ホッパフレーム50に設けた被係合部としてのロック孔Lcを構成している。
【0054】
ポンプケースCは、これの内部空間を負圧状態とするための真空引き装置(図示せず)を具備しており、この負圧は、吐出側ローラRの公転方向後方側に存するチューブTが自己の弾性復元力で自動復元(従ってホッパH内の生コンをチューブT内に吸入)するのを助勢する働きをする。そして、ポンプケースCの、吸込口Ci・吐出口Coとの各隣接部位には、吸込口Ci・吐出口Coから前記負圧が漏れるのを阻止するための従来周知のブーツ状シール筒29の基端がそれぞれ気密に固定され、各シール筒29は、これの内周面がチューブTの吸込端部Ti・吐出端部To外周にそれぞれ気密に嵌合、圧接できるように構成される。
【0055】
ポンプケースCの左右一側には、コンクリートポンプ車Vに搭載したコンクリートポンプCPやブーム組立体B、その他の作動機器への操作指令を車外の作業員が行うための操作盤45が配設される。尚、同様の操作盤は運転席にも配備される。
【0056】
またホッパHの前壁上部には、ホッパHの開放上面を覆う閉じ位置と、閉じ位置より起立する開き位置との間を回動可能なスクリーンSの基部が軸支される。このスクリーンSは、格子枠状に構成されてホッパH内への人及び大きな異物の落下を防止するスクリーン本体Smと、スクリーン本体Smの基部に固定された回動支軸Sjとを有している。その回動支軸Sjの両端部は、ホッパHの左右側壁上部に設けたクランプ支持機構46に着脱可能且つ回動可能に嵌合、支持される。
【0057】
またホッパHの前部一側には、スクリーンSの回動角(従って開閉状態)を検出可能な非接触式の検出部42と、移送管20の下方でホッパHに固定されて検出部42を被覆するセンサカバー41とを有する開閉センサ40が配設される。センサカバー41は、ホッパHの一側壁上部に固着した支持台43上に固定、支持され、ホッパH内から飛散した生コンが検出部42に掛からないようにしている。
【0058】
またホッパHの前壁上部には、ホッパH内からポンプケースC側への生コンの飛散抑制用のスプラッシュガードGが、前記飛散を抑制可能な起立位置とホッパHの開放上面側に伏倒した伏倒位置との間を起伏回動できるように軸支される。またホッパHの前壁には、スプラッシュガードGを起立位置に固定すべくスプラッシュガードGの基部を係脱可能に係止させるロック機構100が設けられる。スプラッシュガードGは、これが起立位置にあるときに後方延出管部21a及び配管支持体30を前後方向に通すべく上方を開放した切欠き部Gcを有している。
【0059】
またスプラッシュガードGは、チューブTの交換等のためにホッパHをホッパフレーム50上で後方移動させる際に、予めスプラッシュガードGを閉じ位置に伏倒、保持しておくことで、移送管20の上流側配管部分20Uとの干渉を防止可能である。尚、スプラッシュガードGを閉じ位置に伏倒回動させる際には、予めスクリーンSをホッパHから取り外してスプラッシュガードGと干渉しないようにする。
【0060】
ところでコンクリートポンプ車Vは、コンクリートポンプCPを、ローラ支持体RSの逆回転(
図6で反時計方向の回転)により外部流体を移送管20を通してチューブT内に吸込む吸引ポンプに転用可能であり、その場合には、
図6及び
図7で例示したような、チューブTの吸込端部Tiを外部の排出管80に接続するための排出管用接続器具Aが使用される。
【0061】
この接続器具Aは、ホッパHを退避位置HBに保持した状態で一端部がチューブTの吸込端部Tiに接続可能であり且つ他端部には排出管80の上流端部が接続可能である円筒状の接続管体Awと、その接続管体Awの中間部外周に中央部が固定(例えば溶接)されてホッパフレーム50に着脱可能に結合可能な横長の支持ステーAsとを備える。
【0062】
接続管体Awの前端部には、チューブTの吸込端部Tiと着脱可能に接続するためのフランジ部Awfが一体に連設され、このフランジ部Awfは、チューブTの吸込端部Tiと出口管Ho間の前記した結合手段JT′における出口管Ho側のフランジ部24(
図3参照)と同様の構造・機能を有しており、即ち、吸込端部Tiに気密に接続したソケット23のフランジ部23fと突き合わせられてボルト・ナット25で結合される。
【0063】
また支持ステーAsの両端部は、
図7で明らかなように、左右の縦フレーム51に固定の横枠65の真上まで延びており、その横枠65上に起立、固定した第2ブラケット65b2に重り合い且つ複数のボルト・ナット69で着脱可能に結合される。接続管体Awの外周面と支持ステーAsの前面との間には、その間を一体に結合して補強する補強用ステー67が設けられる。
【0064】
ところで排出管80は、コンクリートポンプCPで吸引・圧送される上記外部流体を排出場所90(例えば、汚泥運搬車、外部流体の詰まりのない下水溝、下水道、河川等)まで搬送するために使用されるものであって、可撓性を有して折り畳み可能なチューブ体で構成される。そして、この排出管80は、コンクリートポンプ車Vと排出場所90との間を結ぶようにして、その間の地面に置かれる。
【0065】
また接続管体Awの後端部と排出管80との間は、従来周知の結合手段JT″で着脱可能に結合される。この結合手段JT″は、例えば排出管80の上流端部外周に嵌合される円筒状ソケット81と、このソケット81及び接続管体Awの後端部間に跨がり且つその間を結合する一対のクランプ部材82と、その両クランプ部材82のフランジ部82f相互間を締結するボルト・ナット83とを備える。ソケット81及び接続管体Awの各外周には環状の係合溝81a,Awaがそれぞれ凹設され、それら係合溝81a,Awaには、両クランプ部材82の軸方向両端部内周に突設した内向き環状突起が軸方向移動不能に係合する。
【0066】
尚、実施形態のボルト・ナット83は、一対のクランプ部材82の一端部相互間および他端部相互間の各結合に用いられるが、この構造に代えて、一対のクランプ部材82の一端部相互間のみボルト・ナット83で結合し、その他端部相互間を連結ピン等で相対回動可能に枢支連結してもよい。
【0067】
両クランプ部材82の内周面と、ソケット81及び接続管体Awの各外周面との間には環状空間が画成され、そこに、ソケット81及び接続管体Aw間を気密に接続するシールリング85が収納される。また排出管80の上流端部には、これをその外周側より径方向内方に緊締してソケット81外周に圧接される緊締バンド84等の緊締具が巻き付けられ、これにより、排出管80とソケット81間の接続部のシール性が高められる。
【0068】
次に実施形態の作用を説明する。
【0069】
コンクリートポンプCPの通常の使用状態では、ホッパHは
図3に示す使用位置HA、即ち最前進位置でホッパフレーム50上に固定され、その固定は、第1ロック機構LAのロック作動により維持される。このとき、ホッパフレーム50内で油圧シリンダ53は収縮状態にあり、またチューブTの吸込端部TiはホッパHの出口管Hoに、また吐出端部Toは移送管20の上流端にそれぞれ接続状態に置かれる。
【0070】
そして、ホッパH内には、ミキサー車等により生コンが投入され、そこで攪拌装置28で攪拌されつつ一時的に貯溜される。この状態で、ローラ支持体RSを正転(
図3で時計方向に回転)させると、これに連動して一対のローラRが自転しつつポンプケースCの中心軸線回りに公転する。これにより、各ローラRは、ポンプケースCの外周壁Caの前半側内周面(より具体的には弾性パッドP)との間でチューブTをしごきつつ周方向に転動するが、その際に一方のローラRがチューブTへの押圧を解除するのと略同時に、他方のローラRがチューブTへの押圧を開始するような押圧タイミングでポンプ作用(即ちチューブTからの生コン押出し作用)が連続的に繰り返される。
【0071】
かくして、チューブTから吐出された生コンは移送管20内を圧送され、その下流端部20eに取付けた生コン吹出管(図示せず)より吹き出し可能である。従って、ブーム組立体Bの各ブーム部を適宜、屈折、伸長動作させて、移送管20の下流側配管部分20Dと共に生コン吹出管を建設現場の生コン打設箇所まで移動させることにより、コンクリートポンプCPは、打設箇所が高所であっても生コンを圧送、供給可能である。
【0072】
ところで実施形態のコンクリートポンプCPは、ローラ支持体RSの逆回転(
図6で反時計方向の回転)により外部流体、例えば汚泥等のスラリ又は汚水を移送管20を通してチューブT内に吸込む吸引ポンプに転用されることがある。そして、その場合には、
図6及び
図7で例示したような排出管用接続器具Aを用いてチューブTの吸込端部Tiを外部の排出管80に接続した上で、コンクリートポンプCPにより上記外部流体を吸込み、排出場所90まで圧送する。
【0073】
この一連の作業工程には、例えば、
[1]ホッパHの出口管HoをチューブTの吸込端部Tiより切り離すと共にホッパHを
図3の使用位置HAから
図6の退避位置HBまで移動させる第1工程と、
[2]チューブTの吸込端部Tiに接続管体Awの前端部を接続し且つ接続管体Awの後端部に排出管80の上流端部を接続する第2工程と、
[3]接続管体Awに固定の支持ステーAsをホッパフレーム50に連結、固定する第3工程と、
[4]コンクリートポンプCPのロータ支持体RSを
図6反時計方向に逆回転させることで同ポンプCPを吸込みポンプに切り替え、これにより、上記外部流体を移送管20を通してチューブT内に吸い込み、更に接続管体Aw及び排出管80を経由して排出場所90まで圧送する第4工程と、
が含まれる。
【0074】
次に上記した各工程について、より具体的に説明する。
【0075】
先ず、第1工程では、第1ロック機構LAのロックピンL1をロック解除位置(
図5(B)を参照)に引き出し後、油圧シリンダ53を伸長させてホッパHをホッパフレーム50上で所定の後退限まで後方摺動させ、その後退限でホッパフレーム50側の第1ヒンジブラケット61とホッパH側の第2ヒンジブラケット62相互を枢支連結する。この状態で油圧シリンダ53を収縮させることでホッパHを退避位置HBまで傾動させ、しかる後にホッパHの支持脚Haとホッパフレーム50間に、その間の突っ張り機能を果たす支持部材70を介装する。そして、その支持部材70の下部ブラケット73を貫通、係合するロックボルトL2をナット75と協働してホッパフレーム50の縦フレーム51に緊締することで、第2ロック機構LBは、
図8に示すロック作動状態となって、ホッパHを退避位置HBに固縛する。
【0076】
また上記第2工程では、ホッパHが退避位置HBに後退、保持されることで、ポンプケースCとの間に広い作業スペースが確保されるので、その広い作業スペースにおいて、チューブTの吸込端部Tiと接続管体Aw前端部との第1の接続作業と、排出管80の上流端部に予め接続したソケット81と、接続管体Aw後端部との第2の接続作業とを各々無理なく容易に行うことができる。
【0077】
また上記第3工程では、接続管体Awに固定の支持ステーAsを、ホッパフレーム50の縦フレーム51に固定の第2ブラケット65b2にボルト・ナット69で結合、固定する固定作業を、上記した広い作業スペースにおいて無理なく容易に行うことができる。
【0078】
尚、第2工程における上記第1,第2の接続作業、並びに第3工程における上記固定作業は、それらの作業順序を適宜変更してもよい。また特に第2の接続作業の際には、ホッパフレーム50の横フレーム52上部に設けた凹部52aにより、排出管80及びソケット81が横フレーム52上を通過し易くなる。またそれら接続作業の終了後は、凹部52aにより排出管80の横ずれが効果的に抑えられる。
【0079】
また上記第4工程では、上記外部流体の不図示の停滞場所(例えば河川の一部、池、沼、下水溝、下水道等)に、移送管20の下流端部20e又はそれに固定の前記生コン吹出管の開口端を浸漬させる。一方、排出管80の下流端を排出場所90(例えば、汚泥運搬車、外部流体の詰まりのない下水溝、下水道、河川等)に臨ませるようにして、コンクリートポンプCPと排出場所90との間の地面に排出管80を横たわらせておく。
【0080】
そして、コンクリートポンプCPのロータ支持体RSを
図6反時計方向に逆回転させると、コンクリートポンプCPは、上記停滞場所にある外部流体を移送管20を通してチューブT内に吸い込み、更にその吸い込んだ外部流体を接続管体Aw及び排出管80を経由して排出場所90まで圧送する。かくして、その排出場所90に外部流体が放流又は貯溜される。
【0081】
以上説明したように排出管用接続器具Aは、ホッパHを退避位置HBに保持した状態で一端部がチューブTの吸込端部Tiに接続可能であり且つ他端部には排出管80の上流端部が接続可能である接続管体Awを備えるので、コンクリートポンプCPを外部流体の吸込み・排出に利用する場合には、ホッパHを、それの出口管Hoと吸込端部Ti間を分離した状態で退避位置HBまで移動させた後、吸込端部Tiに接続管体Awを介して排出管80に単に繋ぎ替えるだけでよい。これにより、ホッパHを密閉構造にする等の改造を特別に施す必要はなくなるため、コスト節減が図られ、また本来のコンクリートポンプCPとして使用する場合でも、ホッパH内での生コンの流動性が阻害される虞れはない。
【0082】
その上、接続器具Aは、接続管体Awに固定されてホッパフレーム50に着脱可能に連結可能な支持ステーAsを備えるので、接続管体Awは、使用中、ホッパフレーム50に安定よく固定、保持可能となって、排出管80とコンクリートポンプCP(具体的にはチューブTの吸込端部Ti)との間の接続状態を的確に維持可能となる。
【0083】
また実施形態のホッパフレーム50は、互いに独立して操作可能なロックピンL1(第1ロック部材)及びロックボルトL2(第2ロック部材)が選択的に係合可能な被係合部としてのロック孔Lcを有し、ロックピンL1は、これがホッパH下部の支持脚Haとホッパフレーム50側のロック孔Lcとに係合することでホッパHを使用位置HAにロック可能である。またロックボルトL2はこれが、ホッパフレーム50上で退避位置HBのホッパHを支える支持部材70と前記ロック孔Lcとに係合することでホッパHを退避位置HBにロック可能である。
【0084】
これにより、ホッパHを使用位置HAにロックする第1ロック機構LAと、ホッパHを退避位置HBに保持すべく支持部材70をロックする第2ロック機構LBとは、その両ロック機構LA,LBの一部(即ち被係合部としてのロック孔Lc)を共用できるため、それだけロック構造の簡素化、延いてはコスト節減が達成可能となる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態を実施可能である。
【0086】
例えば、実施形態では、ホッパHを通常の使用位置HAと退避位置HB間で駆動可能な駆動装置Dの油圧シリンダ53が、特開平10-148186号公報に示されるものと同様に、ホッパフレーム50上でホッパHを使用位置HAから後退限まで後方摺動させた後、後方傾動させて退避位置HBまで強制移動させるものを例示したが、本発明は、ホッパHが、通常の使用位置HAでホッパフレーム50上に固定可能であると共に、該使用位置HAから退避位置HBまで移動可能であればよく、その退避位置HBまでの移動態様には種々のバリエーションがある。
【0087】
そのバリエーションとして、例えば、特開平8-74751号公報に示される如く、ホッパフレーム上でホッパを使用位置から上方の退避位置HBまで強制的に昇降変位させるようにしてもよい。或いは、別のバリエーションとして、例えば特開平10-58431号公報や同10-58433号公報に示される如く、ホッパフレーム上でホッパを使用位置から左右一方の退避位置まで強制的に左右揺動させるようにしてもよい。
【0088】
或いはまた、別のバリエーションとして、ホッパをホッパフレームから取り外して、ホッパフレームから離れた退避位置まで人力で、又はフォークリフト等の機械装置で移動させるようにしてもよい。
【0089】
また前記実施形態では、接続器具Aが接続管体Awに加えて支持ステーAsを具備するものを示したが、本発明では支持ステーAsを省略してもよい。この場合、接続管体AwをチューブTの吸込端部Tiに着脱可能に接続することで、チューブTそのものに接続管体Awを支持させてもよいし、或いはまた、接続管体Awを車体F又はその固定物(例えばホッパフレーム50等)に着脱可能に連結、支持させてもよい。
【0090】
尚、上記のように支持ステーAsを省略してチューブTそのものに接続管体Awを支持させる場合には、前記実施形態の第3工程(即ち支持ステーAsをホッパフレーム50に固定する工程)は省略可能である。尚また、上記のように支持ステーAsを省略して接続管体Awを車体F又はその固定物に支持させる場合には、上記第3工程に代えて、接続管体Awを車体F又はその固定物に固定する作業を行う。
【0091】
また前記実施形態では、支持ステーAsを接続管体Awの側方に延ばしてホッパフレーム50に着脱可能に連結するものを示したが、支持ステーAsを接続管体Awの側方から前方側に曲げ延ばして車体Fの後端部に直接、連結(例えばボルト結合、ピン連結等)してもよい。
【0092】
或いはまた、支持ステーAsを車体Fに直接連結せずに、間接的に(例えば車体Fの固定物を介して)車体Fに連結してもよく、その場合の固定物としては、実施形態のホッパフレーム50の他、ホッパケースC(吸入口Ci周辺部)又はホッパH等が利用可能であり、その場合は、支持ステーAsがホッパケースC(吸入口Ci周辺部)又はホッパH等に着脱可能に連結される。
【0093】
また前記実施形態では、ホッパHの退避位置HB保持用の支持部材70を係合させるべくホッパフレーム50に設けられる被係合部としてのロック孔Lcが、ホッパHの使用位置HA保持用(即ち第1ロック機構LA用)のロック孔に兼用されるものを示したが、このように兼用孔としないで、支持部材70係合用(即ち第2ロック機構LB用)のロック孔Lcと、第1ロック機構LA用のロック孔Lcとを別々の専用孔としては、ホッパフレーム50に個別に設けるようにしてもよい。
【0094】
尚、上記したロック孔Lcは、実施形態のようにホッパフレーム50に設ける代わりに、車体F、又は車体Fの、ホッパフレーム50以外の固定物に設けてもよい。
【0095】
また前記実施形態では、支持部材70が、コンクリートポンプCPの使用状態ではホッパフレーム50より取り外されて適所に保管され、ホッパHを退避位置HBまで移動、保持する場合に取り出されて使用されるものを示したが、ロック孔Lcを特に上記専用孔として用いる場合には、これを利用して支持部材70をホッパフレーム50又は車体Fもしくはその固定物に常時連結しておき、特に非使用時には支持部材70を折り畳んで格納できるようにしてもよい。
【0096】
また前記実施形態では、接続管体Awの上流端部を、チューブTの吸込端部Tiを外周に挿入したソケット23を介して吸込端部Tiに接続するものを示したが、ソケット23は必ずしも必須の接続部品ではなく、これを省略しても、少なくとも接続管体Awの上流端部とチューブTの吸込端部Tiとを液密に接続できる構造であればよい。例えば、接続管体Awの上流端部の形状構造を、これにチューブTの吸込端部Tiを挿入して液密に接続できるような形状構造とすれば、上記ソケットの省略も可能である。
【符号の説明】
【0097】
A・・・・・・補助接続器具
Aw・・・・・接続管体
As・・・・・支持ステー
CP・・・・・コンクリートポンプ
C・・・・・・ポンプケース
Ci・・・・・吸入口
Co・・・・・吐出口
D・・・・・・ホッパ駆動装置
F・・・・・・車体
H・・・・・・ホッパ
Ho・・・・・出口管
HA・・・・・使用位置
HB・・・・・退避位置
L1・・・・・第1ロック部材としてのロックピン
L2・・・・・第2ロック部材としてのロックボルト
Lc・・・・・被係合部としてのロック孔
R・・・・・・ローラ
RS・・・・・ローラ支持体
S・・・・・・付属機器としてのスクリーン
T・・・・・・チューブ
Ti・・・・・チューブの吸込端部
To・・・・・チューブの吐出端部
V・・・・・・コンクリートポンプ車
20・・・・・移送管
50・・・・・ホッパフレーム
70・・・・・支持部材
80・・・・・排出管
90・・・・・排出場所