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特開2022-189060位置情報処理装置及び位置情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189060
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】位置情報処理装置及び位置情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/28 20060101AFI20221215BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
G01C21/28
G09B29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097408
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000176730
【氏名又は名称】三菱プレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100135976
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】乾谷 徹
(72)【発明者】
【氏名】林 隆伯
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 正剛
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
【Fターム(参考)】
2C032HB22
2F129AA03
2F129BB02
2F129FF20
2F129FF57
2F129FF62
2F129GG17
2F129GG18
2F129HH02
2F129HH04
2F129HH12
(57)【要約】
【課題】2つの3次元点群を比較可能となるように3次元点群を補正する位置情報処理装置を提供する。
【解決手段】位置情報処理装置は、第1の3次元点群の第1基準線と、第2の3次元点群の第2基準線とが離間する離間区間を決定し、第1基準線の離間区間の第1基準点と第1の3次元点群とを関連付け、第1基準線の離間区間の第1基準点と第2基準線の第2基準点とを対応付け、第1基準線の離間区間の第1基準点について、対応付けられた第2基準点との位置の差を用いて第1の3次元点群の位置を補正し、第1基準線の離間区間の第1基準点に基づいて基準直線を生成し且つ第2基準線の第2基準点を基準直線上に配置し、第1基準線の離間区間の第1基準点について基準直線上の点との位置の差を用いて第1の3次元点群の位置を補正し且つ第2基準線の離間区間の第2基準点について基準直線上の点との位置の差を用いて第2の3次元点群の位置を補正する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1車両に搭載されたレーザスキャナの走査により収集された、前記第1車両の第1走行経路の周辺の環境の位置を表す第1の3次元点群に対して設定された所定の線状の環境を表す第1基準線と、第2車両に搭載されたレーザスキャナの走査により収集された、前記第1走行経路と少なくとも部分的に同じ経路を含む第2走行経路の周辺の環境の位置を表す第2の3次元点群に対して設定された、前記第1基準線と対応する前記所定の線状の環境を表す第2基準線との間の距離が所定の第1基準距離よりも離間することを開始する開始位置と、前記第1基準線と対応する前記所定の線状の環境を表す第2基準線との間の距離が前記第1基準距離よりも離間している離間区間を決定する区間決定部と、
前記第1基準線の前記離間区間を形成する複数の第1基準点のそれぞれと、前記第1の3次元点群に含まれる点とを関連付ける関連付け部と、
前記第1基準線の前記離間区間を形成する複数の前記第1基準点のそれぞれと、前記第2基準線の前記離間区間を形成する第2基準点とを対応付ける対応付け部と、
前記第1基準線の前記離間区間を形成する複数の前記第1基準点のそれぞれについて、当該第1基準点と対応付けられた第2基準点との位置の差を求め、当該位置の差を用いて、当該第1基準点と関連付けられた前記第1の3次元点群に含まれる点の位置を補正する第1補正部と、
前記第1基準線の前記離間区間を形成する複数の前記第1基準点のそれぞれを、隣接する前記第1基準点間の距離が維持されるように、前記開始位置を始点として所定の方向に伸びるように配置して基準直線を生成し、且つ、前記第2基準線の前記離間区間を形成する複数の前記第2基準点のそれぞれを、隣接する前記第2基準点間の距離が維持されるように、前記開始位置を始点として前記基準直線上に配置する、直線生成部と、
前記第1基準線の前記離間区間を形成する複数の前記第1基準点のそれぞれについて、当該第1基準点と対応する前記基準直線上の点との位置の差を求め、当該位置の差を用いて、当該第1基準点と関連付けられた前記第1の3次元点群に含まれる点の位置を補正し、且つ、前記第2基準線の前記離間区間を形成する複数の前記第2基準点のそれぞれについて、当該第2基準点と対応する前記基準直線上の点との位置の差を求め、当該位置の差を用いて、当該第2基準点と関連付けられた前記第2の3次元点群に含まれる点の位置を補正する第2補正部と、
を有することを特徴とする位置情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の3次元点群のうちの複数の点を用いて、前記第1基準線を設定し、且つ、前記第1の3次元点群のうちの複数の点を用いて、前記第2基準線を設定する基準線設定部を有する、請求項1に記載の位置情報処理装置。
【請求項3】
前記基準線設定部は、
前記第1車両の走行軌跡を表す位置情報に基づいて決定される所定の領域に含まれる前記第1の3次元点群のうち、所定の閾値以上のレーザスキャナの反射強度を有する点に基づいて、前記第1基準線を設定し、且つ、
前記第2車両の走行軌跡を表す位置情報に基づいて決定される前記所定の領域に含まれる前記第2の3次元点群のうち、所定の閾値以上のレーザスキャナの反射強度を有する点に基づいて、前記第2基準線を設定する、請求項2に記載の位置情報処理装置。
【請求項4】
前記第1車両及び前記第2車両は鉄道車両であり、
前記基準線設定部は、
前記第1の3次元点群のうち、前記第1車両が走行する軌道を表す点に基づいて、前記第1基準線を設定し、且つ、
前記第2の3次元点群のうち、前記第2車両が走行する軌道を表す点に基づいて、前記第2基準線を設定する、請求項2に記載の位置情報処理装置。
【請求項5】
前記関連付け部は、
前記離間区間を形成する複数の第1基準点のそれぞれについて、当該第1基準点を含み、且つ、前記第1基準線と直交する断面に含まれる前記第1の3次元点群の点を、前記第1基準点と関連付ける、請求項1~4の何れか一項に記載の位置情報処理装置。
【請求項6】
前記関連付け部は、
前記第1基準線の前記離間区間を形成する複数の第1基準点のそれぞれについて、当該第1基準点が測定された時刻と同じ時刻に位置が測定された、前記第1の3次元点群に含まれる点を、当該第1基準点と関連付ける、請求項2~4の何れか一項に記載の位置情報処理装置。
【請求項7】
前記対応付け部は、
前記第1基準線の前記離間区間を形成する複数の第1基準点のそれぞれについて、当該第1基準点に対して最近接の位置にある前記第2基準点を対応付ける、請求項1~6の何れか一項に記載の位置情報処理装置。
【請求項8】
前記対応付け部は、
前記離間区間を形成する複数の前記第1基準点のそれぞれについて、前記第1基準線における前記離間区間の距離に対する、前記開始位置から当該第1基準点までの距離との比と、前記第2基準線における前記離間区間の距離に対する、前記開始位置から前記第2基準点までの距離の比とが一致する当該第2基準点を対応づける、請求項1~6の何れか一項に記載の位置情報処理装置。
【請求項9】
前記第2補正部により位置が補正された前記第1の3次元点群が前記基準直線を含む投影面に投影された第1投影画像を生成し、前記基準直線と直交する方向に伸び、所定の第2基準距離以上の長さを有する第1直線パターンを前記第1投影画像から選択し、
前記第1直線パターンと形状が一致する第2直線パターンを、前記第2補正部により位置が補正された前記第2の3次元点群が前記投影面に投影された第2投影画像から検出し、
前記第2直線パターンと前記第1直線パターンとの位置の差を求め、当該位置の差を用いて、前記第1直線パターンの位置に対応する前記基準直線上の点の位置、及び、当該基準直線上の点と対応する前記第1基準点と関連付けられた前記第1の3次元点群に含まれる点の位置を補正する、第3補正部を有する、請求項1~8の何れか一項に記載の位置情報処理装置。
【請求項10】
前記第3補正部により補正された前記基準直線上の点を含み、且つ、前記基準直線と直交する断面に含まれる、前記第3補正部により位置が補正された前記第1の3次元点群を表す第1断面画像を生成し、
前記基準直線と直交する方向に伸び、所定の第3基準距離以上の長さを有する第3直線パターンを前記第1断面画像から選択し、
前記断面に含まれる、前記第2補正部により補正された前記第2の3次元点群を表す第2断面画像を生成し、
前記第3直線パターンを前記第2断面画像に投影し、前記第3直線パターンを前記基準直線を回転軸として回転させて、前記第3直線パターンと形状が一致する前記第2断面画像内の第4直線パターンが検出される時の回転角度を求め、当該回転角度を用いて、前記第1断面画像に含まれる前記基準直線上の点と対応する前記第1基準点と関連付けられた前記第1の3次元点群に含まれる点の前記基準直線周りの角度を補正する、第4補正部を有する、請求項9に記載の位置情報処理装置。
【請求項11】
前記第4補正部により位置が補正された、前記第1基準点と関連付けられた前記第1の3次元点群に含まれる点の位置を、前記第1基準点と、前記第1基準点と対応する前記基準直線上の点との前記位置の差を用いて、補正する、第5補正部を有する、請求項10に記載の位置情報処理装置。
【請求項12】
第1車両に搭載されたレーザスキャナの走査により収集された、前記第1車両の第1走行経路の周辺の環境の位置を表す第1の3次元点群に対して設定された所定の線状の環境を表す第1基準線と、第2車両に搭載されたレーザスキャナの走査により収集された、前記第1走行経路と少なくとも部分的に同じ経路を含む第2走行経路の周辺の環境の位置を表す第2の3次元点群に対して設定された、前記第1基準線と対応する前記所定の線状の環境を表す第2基準線との間の距離が所定の第1基準距離よりも離間することを開始する開始位置と、前記第1基準線と対応する前記所定の線状の環境を表す第2基準線との間の距離が前記第1基準距離よりも離間している離間区間を決定し、
前記第1基準線の前記離間区間を形成する複数の第1基準点のそれぞれと、前記第1の3次元点群に含まれる点とを関連付け、
前記第1基準線の前記離間区間を形成する複数の前記第1基準点のそれぞれと、前記第2基準線の前記離間区間を形成する第2基準点とを対応付け、
前記第1基準線の前記離間区間を形成する複数の前記第1基準点のそれぞれについて、当該第1基準点と対応付けられた第2基準点との位置の差を求め、当該位置の差を用いて、当該第1基準点と関連付けられた前記第1の3次元点群に含まれる点の位置を補正し、
前記第1基準線の前記離間区間を形成する複数の前記第1基準点のそれぞれを、隣接する前記第1基準点間の距離が維持されるように、前記開始位置を始点として所定の方向に伸びるように配置して基準直線を生成し、且つ、前記第2基準線の前記離間区間を形成する複数の前記第2基準点のそれぞれを、隣接する前記第2基準点間の距離が維持されるように、前記開始位置を始点として前記基準直線上に配置し、
前記第1基準線の前記離間区間を形成する複数の前記第1基準点のそれぞれについて、当該第1基準点と対応する前記基準直線上の点との位置の差を求め、当該位置の差を用いて、当該第1基準点と関連付けられた前記第1の3次元点群に含まれる点の位置を補正し、且つ、前記第2基準線の前記離間区間を形成する複数の前記第2基準点のそれぞれについて、当該第2基準点と対応する前記基準直線上の点との位置の差を求め、当該位置の差を用いて、当該第2基準点と関連付けられた前記第2の3次元点群に含まれる点の位置を補正する、
ことを特徴とする位置情報処理装置が実行する位置情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報処理装置及び位置情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車又は鉄道等の車両が走行する走行経路及び周辺の環境の位置を、計測車両を用いて3次元点群として計測することが行われている。計測された3次元点群に基づいて、例えば、道路及び周辺の環境を含む高精度な地図が作成されている。
【0003】
図1(A)は、計測車両を示す図であり、図1(B)は、計測車両を用いて計測が行われている様子を示す図である。
【0004】
計測車両100は、GNSS装置101と、IMU装置102と、オドメトリ装置103と、レーザスキャナ104と、カメラ105とを有する。GNSS装置101は、GNSSの測位衛星からの電波を受信して、計測車両100の位置及び姿勢を推定する。IMU装置102は、計測車両100に配置された加速度計及び角速度計の出力に基づいて、計測車両100の位置及び姿勢を推定する。オドメトリ装置103は、計測車両100の速度と、角速度計の出力とに基づいて、計測車両100の位置及び姿勢を推定する。計測車両100の位置及び姿勢は、GNSS装置101、IMU装置102及びオドメトリ装置103の計測結果に基づいて推定される。計測車両100の位置及び姿勢は、例えば、所定の位置を原点とする世界座標系で表される。
【0005】
計測車両100は、所定の走行経路を走行しながら、所定の周期を有する計測時刻に、レーザスキャナ104を用いて、計測車両100の周囲に向けてレーザを走査し、走行経路及び周辺の環境を表す多数の位置について、計測車両100に対する相対的な距離及び方位を計測する。また、計測車両100は、走行経路及び周辺の環境を、カメラ105を用いて撮影する。
【0006】
また、計測車両100は、GNSS装置101と、IMU装置102と、オドメトリ装置103とを用いて、レーザを走査した時点における計測車両100の位置及び姿勢を計測する。
【0007】
走行経路及び周辺の環境の位置は、レーザ走査により計測された計測車両100に対する相対的な距離及び方位と、レーザ走査時における計測車両100の位置及び姿勢情報とに基づいて、世界座標系で表される。
【0008】
このようにして、計測車両100の走行経路に沿って、走行経路及び周辺の環境の位置を表す3次元点群が得られる。
【0009】
ここで、トンネル内又は高層ビル等によりGNSSの測位衛星からの電波が計測車両100に対して遮蔽される場合がある。測位衛星からの電波が計測車両100に対して遮蔽されると、計測車両100の位置及び姿勢の精度が低下する場合がある。
【0010】
レーザ走査により計測される計測車両100に対する走行経路及び周辺の環境の位置の計測精度は高いと考えられるが、レーザ走査時における計測車両100の位置及び姿勢の精度が低下することにより、走行経路の周辺の環境の位置を表す3次元点群の位置の精度は低下する。そこで、計測された3次元点群の位置を補正することが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2020-015419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
走行経路及び周辺の環境は変化し得るので、同じ走行経路及び周辺の環境の位置が、異なるタイミングで計測されることがある。その結果、2つの3次元点群が得られる。
【0013】
しかし、上述したように、主に計測車両100の位置及び姿勢情報の精度に起因して、同じ走行経路について計測された2つの3次元点群の間で、走行経路及び周辺の環境を表す位置が異なることがある。
【0014】
走行経路及び周辺の環境の変化を調べるには、2つの3次元点群を比較可能となるように、3次元点群を補正する必要がある。
【0015】
そこで、本明細書は、別々に計測された2つの3次元点群を比較可能となるように、3次元点群を補正する位置情報処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一の実施形態によれば、位置情報処理装置が提供される。この位置情報処理装置は、第1車両に搭載されたレーザスキャナの走査により収集された、第1車両の第1走行経路の周辺の環境の位置を表す第1の3次元点群に対して設定された所定の線状の環境を表す第1基準線と、第2車両に搭載されたレーザスキャナの走査により収集された、第1走行経路と少なくとも部分的に同じ経路を含む第2走行経路の周辺の環境の位置を表す第2の3次元点群に対して設定された、第1基準線と対応する所定の線状の環境を表す第2基準線との間の距離が所定の第1基準距離よりも離間することを開始する開始位置と、第1基準線と対応する所定の線状の環境を表す第2基準線との間の距離が第1基準距離よりも離間している離間区間を決定する区間決定部と、第1基準線の離間区間を形成する複数の第1基準点のそれぞれと、第1の3次元点群に含まれる点とを関連付ける関連付け部と、第1基準線の離間区間を形成する複数の第1基準点のそれぞれと、第2基準線の離間区間を形成する第2基準点とを対応付ける対応付け部と、第1基準線の離間区間を形成する複数の第1基準点のそれぞれについて、当該第1基準点と対応付けられた第2基準点との位置の差を求め、当該位置の差を用いて、当該第1基準点と関連付けられた第1の3次元点群に含まれる点の位置を補正する第1補正部と、第1基準線の離間区間を形成する複数の第1基準点のそれぞれを、隣接する第1基準点間の距離が維持されるように、開始位置を始点として所定の方向に伸びるように配置して基準直線を生成し、且つ、第2基準線の離間区間を形成する複数の第2基準点のそれぞれを、隣接する第2基準点間の距離が維持されるように、開始位置を始点として基準直線上に配置する、直線生成部と、第1基準線の離間区間を形成する複数の第1基準点のそれぞれについて、当該第1基準点と対応する基準直線上の点との位置の差を求め、当該位置の差を用いて、当該第1基準点と関連付けられた第1の3次元点群に含まれる点の位置を補正し、且つ、第2基準線の離間区間を形成する複数の第2基準点のそれぞれについて、当該第2基準点と対応する基準直線上の点との位置の差を求め、当該位置の差を用いて、当該第2基準点と関連付けられた第2の3次元点群に含まれる点の位置を補正する第2補正部と、を有することを特徴とする。
【0017】
他の実施形態によれば、位置情報処理方法が提供される。この位置情報処理方法は、第1車両に搭載されたレーザスキャナの走査により収集された、第1車両の第1走行経路の周辺の環境の位置を表す第1の3次元点群に対して設定された所定の線状の環境を表す第1基準線と、第2車両に搭載されたレーザスキャナの走査により収集された、第1走行経路と少なくとも部分的に同じ経路を含む第2走行経路の周辺の環境の位置を表す第2の3次元点群に対して設定された、第1基準線と対応する所定の線状の環境を表す第2基準線との間の距離が所定の第1基準距離よりも離間することを開始する開始位置と、第1基準線と対応する所定の線状の環境を表す第2基準線との間の距離が第1基準距離よりも離間している離間区間を決定し、第1基準線の離間区間を形成する複数の第1基準点のそれぞれと、第1の3次元点群に含まれる点とを関連付け、第1基準線の離間区間を形成する複数の第1基準点のそれぞれと、第2基準線の離間区間を形成する第2基準点とを対応付け、第1基準線の離間区間を形成する複数の第1基準点のそれぞれについて、当該第1基準点と対応付けられた第2基準点との位置の差を求め、当該位置の差を用いて、当該第1基準点と関連付けられた第1の3次元点群に含まれる点の位置を補正し、第1基準線の離間区間を形成する複数の第1基準点のそれぞれを、隣接する第1基準点間の距離が維持されるように、開始位置を始点として所定の方向に伸びるように配置して基準直線を生成し、且つ、第2基準線の離間区間を形成する複数の第2基準点のそれぞれを、隣接する第2基準点間の距離が維持されるように、開始位置を始点として基準直線上に配置し、第1基準線の離間区間を形成する複数の第1基準点のそれぞれについて、当該第1基準点と対応する基準直線上の点との位置の差を求め、当該位置の差を用いて、当該第1基準点と関連付けられた第1の3次元点群に含まれる点の位置を補正し、且つ、第2基準線の離間区間を形成する複数の第2基準点のそれぞれについて、当該第2基準点と対応する基準直線上の点との位置の差を求め、当該位置の差を用いて、当該第2基準点と関連付けられた第2の3次元点群に含まれる点の位置を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上述した本明細書に開示する位置情報処理装置及び位置情報処理方法によれば、別々に計測された2つの3次元点群を比較可能となるように、3次元点群を補正できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(A)は、計測車両を示す図であり、(B)は、計測車両を用いて計測が行われている様子を示す図である。
図2】本実施形態の位置情報処理装置の概略構成図である。
図3】位置情報処理装置の位置情報処理に関する動作フローチャートである。
図4】第1基準線及び第2基準線を示す図である。
図5】関連付け処理を説明する図である。
図6】(A)~(C)は、対応付け処理を説明する図である。
図7】直線生成処理を説明する図である。
図8】(A)及び(B)は、第1の3次元点群の位置を補正する処理を説明する図である。
図9】(A)は、第1投影画像を示す図であり、(B)は、第2投影画像を示す図である。
図10】(A)は、第1直線パターンを示す図であり、(B)は、第2直線パターンを示す図である。
図11】(A)は、第1断面画像を示す図であり、(B)は、第2断面画像を示す図である。
図12】(A)は、第3直線パターンを示す図であり、(B)は、第4直線パターンを示す図である。
図13】(A)は、位置が補正された第1の3次元点群を、第2の3次元点群と重ねた図を示しており、(B)は、補正前の第1の3次元点群を、第2の3次元点群と重ねた図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本明細書で開示する、位置情報処理装置の好ましい一実施形態を、図を参照して説明する。
【0021】
図2は、本実施形態の位置情報処理装置10の概略構成図である。位置情報処理装置10は、別々に計測された2つの3次元点群を比較可能となるように、一方の3次元点群を補正する。2つの3次元点群は、少なくとも部分的に同じ経路を含む走行経路において、図1に示すような計測車両により計測された走行経路及び周辺の環境の位置を表す。2つの3次元点群は、異なる計測車両により計測されたものでもよいし、又は、同じ計測車両により異なるタイミングで計測されたものでもよい。
【0022】
位置情報処理装置10は、通信インターフェース(IF)21と、ユーザインターフェース(UI)22と、メモリ23と、プロセッサ24とを有する。通信IF21と、UI22と、メモリ23と、プロセッサ24とは、通信線25を介して接続される。
【0023】
通信IF21は、位置情報処理装置10を、ネットワーク(図示せず)に接続するためのインターフェース回路を有する。2つの3次元点群のデータは、例えば、計測車両100から、ネットワークを介して位置情報処理装置10に入力される。
【0024】
UI22は、ユーザの操作を入力して操作信号を生成し、且つ、位置情報処理装置10の処理結果を出力する。UI22は、ユーザの操作を入力する入力装置として、例えば、キーボード、マウス又はタッチパネルを有する。UI22は、処理結果を出力する出力装置として、液晶ディスプレイ又はタッチパネル等の表示装置を有する。
【0025】
メモリ23は、記憶部の一例であり、例えば、揮発性の半導体メモリ及び不揮発性の半導体メモリを有する。メモリ23は、プロセッサ24が位置情報処理を実行するためのコンピュータプログラム、及び、位置情報処理において生じるデータを記憶する。
【0026】
また、メモリ23は、第1計測車両に搭載されたレーザスキャナの走査により収集された、第1計測車両の第1走行経路の周辺の環境の位置を表す第1の3次元点群のデータ、及び、第2計測車両に搭載されたレーザスキャナの走査により収集された、第1走行経路と少なくとも部分的に同じ経路を含む第2走行経路の周辺の環境の位置を表す第2の3次元点群のデータを記憶する。
【0027】
プロセッサ24は、1個又は複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサ24は、論理演算ユニット、数値演算ユニット又はグラフィック処理ユニットといった他の演算回路を更に有していてもよい。
【0028】
位置情報処理装置10が有する機能の全て又は一部は、例えば、プロセッサ24上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。プロセッサ24は、基準線設定部31と、区間決定部32と、関連付け部33と、対応付け部34と、補正部35と、直線生成部36とを有する。又は、プロセッサ24が有する機能モジュールは、プロセッサ24に設けられる、専用の演算回路であってもよい。
【0029】
図3は、位置情報処理装置10の位置情報処理に関する動作フローチャートである。まず、基準線設定部31は、メモリ23から第1の3次元点群及び第2の3次元点群のデータを読み出して、第1の3次元点群に対して、所定の線状の環境を表す第1基準線を設定し、且つ、第2の3次元点群に対して、第1基準線と対応する環境を表す第2基準線を設定する(ステップS101)。図4は、第1基準線R1及び第2基準線R2を示す図である。第1基準線は、第1計測車両により計測された環境の位置又は走行経路に基づいて設定され、第2基準線は、第2計測車両により計測された環境の位置又は走行経路に基づいて設定される。
【0030】
基準線設定部31は、第1の3次元点群に対して、この第1の3次元点群のうちの複数の点を用いて、第1基準線R1を設定し、且つ、第2の3次元点群のうちの複数の点を用いて、第2基準線R2を設定してもよい。
【0031】
例えば、基準線設定部31は、第1計測車両の走行軌跡を表す位置情報に基づいて決定される所定の領域に含まれる第1の3次元点群のうち、所定の閾値以上のレーザスキャナの反射強度を有する点に基づいて、第1基準線R1を設定し、且つ、第2計測車両の走行軌跡を表す位置情報に基づいて決定される上記所定の領域に含まれる第2の3次元点群のうち、上記所定の閾値以上のレーザスキャナの反射強度を有する点に基づいて、第2基準線R2を設定する。第1計測車両及び第2計測車両が自動車の場合、所定の領域として、第1計測車両及び第2計測車両が走行した道路の中央線が含まれる領域を用いることができる。
【0032】
また、第1計測車両及び第2計測車両が鉄道車両の場合、基準線設定部31は、第1の3次元点群のうち、第1計測車両が走行する軌道を表す点に基づいて、第1基準線R1を設定し、且つ、第2の3次元点群のうち、第2計測車両が走行する軌道を表す点に基づいて、第2基準線R2を設定してもよい。基準線設定部31は、3次元点群を入力して、鉄道車両の軌道を表す点を検出するように学習した識別器を含んで構成されてもいてもよい。この識別器は、3次元点群を入力して、鉄道車両の軌道を表す点を検出する。
【0033】
また、第1基準線及び第2基準線は、基準線設定部31により設定されるのではなく、ユーザにより与えられてもよい。例えば、第1計測車両及び第2計測車両が鉄道車両であり、第1走行経路及び第2走行経路が同じ軌道を含む場合、第1計測車両により計測された第1の計測車両の走行経路を第1基準線R1とし、第2計測車両により計測された第2計測車両の走行経路を第2基準線R2としてもよい。
【0034】
次に、区間決定部32は、第1基準線R1と第2基準線R2との間の距離が所定の第1基準距離よりも離間することを開始する開始位置と、第1基準線R1と対応する所定の線状の環境を表す第2基準線R2との間の距離が第1基準距離よりも離間している離間区間とを決定する(ステップS102)。区間決定部32は、第1基準線R1と第2基準線R2との間の距離が所定の基準距離よりも離間することを終了する終了位置が存在するならば、この終了位置を決定してもよい。図4に示す例では、開始位置P1と終了位置P2との間に、離間区間Dが設定される。第1基準距離として、例えば、0.1m~3mの距離とすることができる。
【0035】
なお、開始位置から伸びている第1基準線R1及び第2基準線R2が、互いに交わらない場合がある。この場合、離間区間は、開始位置から第1基準線R1及び第2基準線R2が離間したまま開放端として終了するまでの区間を意味する。
【0036】
次に、関連付け部33は、第1基準線R1の離間区間Dを形成する複数の第1基準点のそれぞれと、第1の3次元点群に含まれる点とを関連付ける(ステップS103)。第1基準線R1は、例えば、第1の3次元点群が計測された計測時間と対応する距離の間隔に基づいて、複数の第1基準点に分割される。または、第1基準線R1は、所定の距離の間隔で、複数の第1基準点に分割されてもよい。
【0037】
図5は、関連付け処理を説明する図である。関連付け部33は、例えば、離間区間Dを形成する複数の第1基準点のそれぞれについて、この第1基準点を含み、且つ、第1基準線R1と直交する断面500に含まれる第1の3次元点群の点を、第1基準点と関連付ける。
【0038】
また、第1基準線R1が、第1の3次元点群のうちの複数の点を用いて設定される場合、関連付け部33は、第1基準線R1の離間区間Dを形成する複数の第1基準点のそれぞれについて、この第1基準点が測定された時刻と同じ時刻に位置が測定された、第1の3次元点群に含まれる点を、この第1基準点と関連付けてもよい。第1基準線R1が、第1の3次元点群の複数の点を用いて設定されている場合、第1基準点は、この第1基準点を表す第1の3次元点群の点(自分自身)と関連付けられる。
【0039】
次に、対応付け部34は、第1基準線R1の離間区間Dを形成する複数の第1基準点のそれぞれと、第2基準線R2の離間区間Dを形成する第2基準点とを対応付ける(ステップS104)。図6(A)~図6(C)は、対応付け処理を説明する図である。
【0040】
図6(A)に示すように、対応付け部34は、第1基準線R1の離間区間Dを形成する複数の第1基準点のそれぞれについて、この第1基準点に対して最近接の位置にある第2基準点を対応付けてもよい。
【0041】
また、図6(B)に示すように、対応付け部34は、離間区間Dを形成する複数の第1基準点のそれぞれについて、この第1基準線R1における離間区間Dの距離L1に対する、開始位置P1からこの第1基準点までの距離l1との比l1/L1と、第2基準線R2における離間区間Dの距離L2に対する、開始位置P1から第2基準点までの距離l2の比l2/L2とが一致する第2基準点を対応付けてもよい。
【0042】
図6(C)に示すように、この対応付け処理が行われた段階では、第1基準点と対応付けられた第2基準線R2上の第2基準点は、第1基準点が表す実際の走行経路及び周辺の環境の位置とは、第2基準線R2に沿ったずれ、及び/又は、第2基準線R2を回転軸とした回転角度のずれがあると考えられる。これらのずれは、後述する処理において補正される。
【0043】
次に、補正部35は、第1基準線R1の離間区間Dを形成する複数の第1基準点のそれぞれについて、この第1基準点と対応付けられた第2基準点との位置の差H(図6(C)参照)を求め、この位置の差H1を用いて、この第1基準点と関連付けられた第1の3次元点群に含まれる点の位置を補正する(ステップS105)。
【0044】
第1基準点を、対応付けられた第2基準点へ変換する行列(以下、第1の補正行列ともいう)は、平行移動を表す並進行列と、回転を表す回転行列との組み合わせで表される。位置の差H1を用いた位置の補正は、この第1の補正行列で表すことができる。補正部35は、第1の補正行列を用いて、第1基準線R1の離間区間Dを形成する複数の第1基準点のそれぞれについて、第1基準点と関連付けられた第1の3次元点群に含まれる点の位置を補正する。第1基準線R1が、第1の3次元点群の複数の点を用いて設定されている場合、第1の補正行列を用いて、第1基準線R1を形成している第1の3次元点群の点の位置も補正される。
【0045】
次に、直線生成部36は、第1基準線R1の離間区間Dを形成する複数の第1基準点のそれぞれを、隣接する第1基準点間の距離が維持されるように、開始位置P1を始点として所定の方向に伸びるように配置して基準直線R3を生成し、且つ、第2基準線R1の離間区間Dを形成する複数の第2基準点のそれぞれを、隣接する第2基準点間の距離が維持されるように、開始位置P1を始点として基準直線R3上に配置する(ステップS106)。複数の第2基準点として、上述した対応付け処理において、第1基準点と対応付けられた点を用いることができる。所定の方向として、任意の方向があらかじめ与えられている。
【0046】
図7は、直線生成処理を説明する図である。離間区間Dを形成する複数の第1基準点のそれぞれは、隣接する第1基準点間の距離が維持された状態で、開始位置P1を始点として所定の方向に伸びる基準直線R3上に配置される。同様に、離間区間Dを形成する複数の第2基準点のそれぞれは、隣接する第2基準点間の距離が維持された状態で、開始位置P1を始点として基準直線R3上に配置される。
【0047】
次に、補正部35は、第1の3次元点群に含まれる点の位置及び第2の3次元点群に含まれる点の位置を、基準直線R3に基づいて補正する(ステップS107)。図8(A)及び図8(B)は、第1の3次元点群の位置を補正する処理を説明する図である。図8(A)は、位置が補正される前の第1の3次元点群G1及び第1基準線R1を示す。
【0048】
補正部35は、第1基準線R1の離間区間Dを形成する複数の第1基準点のそれぞれについて、この第1基準点と対応する基準直線R3上の点との位置の差H2(図7参照)を求め、この位置の差H2を用いて、この第1基準点と関連付けられた、第1の補正行列により補正された第1の3次元点群に含まれる点の位置を補正し、且つ、第2基準線R2の離間区間Dを形成する複数の第2基準点のそれぞれについて、この第2基準点と対応する基準直線R3上の点との位置の差H3(図7参照)を求め、位置の差H3を用いて、第2基準点3と関連付けられた第2の3次元点群に含まれる点の位置を補正する。
【0049】
第1基準点を、対応する基準直線R3上の点へ変換する行列(以下、第2の補正行列ともいう)は、平行移動を表す並進行列と、回転を表す回転行列との組み合わせで表される。位置の差H2を用いた位置の補正は、この第2の補正行列で表すことができる。補正部35は、第2の補正行列を用いて、第1基準線R1の離間区間Dを形成する複数の第1基準点のそれぞれについて、この第1基準点と関連付けられた、第1の補正行列により補正された第1の3次元点群に含まれる点の位置を補正する。第1基準線R1が、第1の3次元点群の複数の点を用いて設定されている場合、第2の補正行列を用いて、第1基準線R1を形成している第1の3次元点群の点の位置も補正される。
【0050】
第2基準点を、対応する基準直線R3上の点へ変換する行列(以下、第3の補正行列ともいう)は、平行移動を表す並進行列と、回転を表す回転行列との組み合わせで表される。位置の差H3を用いた位置の補正は、この第3の補正行列で表すことができる。補正部35は、第3の補正行列を用いて、第2基準線R2の離間区間Dを形成する複数の第2基準点のそれぞれについて、この第2基準点と関連付けられた第2の3次元点群に含まれる点の位置を補正する。
【0051】
図8(B)は、第2の補正行列により位置が補正された第1の3次元点群G1及び基準直線R3を示す。第2の補正行列により位置が補正された第1の3次元点群G1の位置は、例えば、基準直線R3をy軸方向とし、開始位置P1を原点とする直角座標系を用いて表すことができる。図8(B)に示すように、第1の3次元点群G1は、基準直線R3の周囲に直線状に配置される。図示していないが、第3の補正行列により位置が補正された第2の3次元点群も、基準直線R3の周囲に直線状に配置される。
【0052】
次に、補正部35は、第1の3次元点群の位置を、基準直線R3に沿って補正する(ステップS108)。補正部35は、第2の補正行列により位置が補正された第1の3次元点群が基準直線R3を含む投影面に投影された第1投影画像を生成する。図9(A)は、第1投影画像900を示す図である。第1投影画像900の画素は、輝度が0~255で表され、点が存在する画素の輝度を255とし、点が存在しない画素の輝度を0としてもよい。この説明は、後述する第2投影画像に対しても適用される。
【0053】
また、補正部35は、第3の補正行列により位置が補正された第2の3次元点群が基準直線R3を含む上記投影面に投影された第2投影画像901を生成する。図9(B)は、第2投影画像901を示す図である。第1投影画像900及び第2投影画像901は、3次元点群が同じ投影面に投影されて形成されるが、図9(A)では、第1の3次元点群のみが投影された画像を示しており、図9(B)では、第2の3次元点群のみが投影された画像を示している。
【0054】
そして、補正部35は、基準直線R3と直交する方向に伸び、所定の第2基準距離以上の長さを有する第1直線パターンを第1投影画像900から選択する。ここで、補正部35は、基準直線R3から所定の距離以内に位置し、且つ、基準直線R3と直交する方向に伸び、所定の第2基準距離以上の長さを有する第1直線パターンを第1投影画像900から選択することが好ましい。第2基準距離として、0.5m~5mとすることができる。基準直線R3から所定の距離として、1m~5mとすることができる。図10(A)は、複数の第1直線パターンE1~E9を示す図である。
【0055】
そして、補正部35は、第1直線パターンと形状が一致する第2直線パターンを、第2投影画像から検出する。図10(A)に示す例では、補正部35は、第1直線パターンE1~E9のそれぞれについて、この第1直線パターンE1~E9に対して所定の範囲の領域から、この第1直線パターンE1~E9と形状が一致する第2直線パターンを第2投影画像901から検出する。上述した第1直線パターン及び第2直線パターンを表す画素は、例えば、Sobelフィルタを用いて投影画像から検出することができる。図10(B)は、複数の第2直線パターンF1~F9を示す図である。図10(A)及び図10(B)に示す例では、第1直線パターンE1と形状が一致する直線パターンとして、第2直線パターンF1が第2投影画像901から検出される。同様に、第1直線パターンE2~E9と形状が一致する直線パターンとして、第2直線パターンF2~F9が第2投影画像901から検出される。
【0056】
そして、補正部35は、第2直線パターンF1~F9のそれぞれと、対応する第1直線パターンE1~E9との間の基準直線R3方向の位置の差H4を求め、この位置の差H4を用いて、第1直線パターンE1~E9の位置に対応する基準直線R3上の点の位置、及び、この基準直線R3上の点と対応する第1基準点と関連付けられた第1の3次元点群に含まれる点の位置を補正する。
【0057】
位置の差H4を用いた位置の補正は、第4の補正行列で表すことができる。第4の補正行列は、平行移動を表す並進行列で表される。補正部35は、第4の補正行列を用いて、第1直線パターンE1~E9の位置に対応する基準直線R3上の点の位置、及び、この基準直線R3上の点と対応する第1基準点と関連付けられた第1の3次元点群に含まれる点の位置を補正する。
【0058】
なお、第1直線パターンの位置に対応する基準直線R3上の点と対応する第1基準点が、第1の3次元点群に含まれる点と関連づけられていない場合、第1の3次元点群に含まれる点と関連づけられている第1基準点に対する第4の補正行列は、この第1基準点と対応する基準直線R3上の点と近接する一又は二の第1直線パターンの位置に対応する基準直線R3上の点の位置に対する第4の補正行列に基づいて、線形補間又は曲線補間により求められる。
【0059】
次に、補正部35は、第1直線パターンE1~E9のうちの隣接する2つの第1直線パターン間に位置する基準直線R3上の点の位置、及び、この基準直線R3上の点と対応する第1基準点と関連付けられた第1の3次元点群に含まれる点の位置を補間補正する(ステップS109)。補間補正として、線形補間又は曲線補間を用いることができる。基準直線R3上の点のうち、この点と隣接する第1直線パターンE1~E9が一つである点については、外挿により、線形補間又は曲線補間が用いられる。この補間補正により、例えば、第1直線パターンE1と第1直線パターンE2との間に位置する基準直線R3上の点の位置、及び、この基準直線R3上の点と対応する第1基準点と関連付けられた第1の3次元点群に含まれる点の位置を補間補正される。同様に、第1直線パターンE2と第1直線パターンE3との間、第1直線パターンE3と第1直線パターンE4との間、第1直線パターンE4と第1直線パターンE5との間、第1直線パターンE5と第1直線パターンE6との間、第1直線パターンE6と第1直線パターンE7との間、第1直線パターンE7と第1直線パターンE8との間、第1直線パターンE8と第1直線パターンE9との間に位置する基準直線R3上の点の位置、及び、この基準直線R3上の点と対応する第1基準点と関連付けられた第1の3次元点群に含まれる点の位置を補間補正される。
【0060】
次に、補正部35は、第1の3次元点群の位置を、基準直線R3を軸として回転させて角度を補正する(ステップS110)。補正部35は、第4の補正行列により位置が補正された基準直線R3上の点を含み、且つ、基準直線R3と直交する断面に含まれる、第4の補正行列により位置が補正された第1の3次元点群を表す第1断面画像を生成する。図11(A)は、第1断面画像1100を示す図である。
【0061】
また、補正部35は、上記断面に含まれる、第3の補正行列により位置が補正された第2の3次元点群を表す第2断面画像を生成する。図11(B)は、第2断面画像1101を示す図である。第1断面画像1100及び第2断面画像1101は、基準直線R3と直交する同じ断面を表しているが、図11(A)では、第1の3次元点群のみが表された画像を示しており、図11(B)では、第2の3次元点群のみ表された画像を示している。第1断面画像1100及び第2断面画像1101の画素は、輝度が0~255で表され、点が存在する画素の輝度を255とし、点が存在しない画素の輝度を0としてもよい。
【0062】
そして、補正部35は、基準直線R3と直交する方向に伸び、所定の第3基準距離以上の長さを有する第3直線パターンを第1断面画像1100から選択する。ここで、補正部35は、基準直線R3から所定の距離以内に位置し、且つ、基準直線R3と直交する方向に伸び、所定の第3基準距離以上の長さを有する第3直線パターンを第1断面画像1100から選択することが好ましい。第3基準距離として、0.5m~5mとすることができる。基準直線R3から所定の距離として、1m~5mとすることができる。
【0063】
図12(A)は、第3直線パターンE10、E11を示す図である。第3直線パターンE10と、第3直線パターンE11とは互いに直交している。第3直線パターン及び後述する第4直線パターンを表す画素は、例えば、Sobelフィルタを用いて断面画像から検出することができる。
【0064】
そして、補正部35は、第3直線パターンを第2断面画像に投影し、第3直線パターンを基準直線R3を回転軸として回転させて、第3直線パターンと形状が一致する第2断面画像内の第4直線パターンが検出される時の回転角度を求める。ここで、第3直線パターンが投影される第2断面画像は、例えばSobelフィルタを用いて、エッジを表す画素が抽出されている断面画像を用いてもよい。図12(B)は、第4直線パターンF10、F11を示す図である。図12(A)及び図12(B)に示す例では、第3直線パターンE10と形状が一致する直線パターンとして、第4直線パターンF10が第2投影画像901から検出され、第3直線パターンE11と形状が一致する直線パターンとして、第4直線パターンF11が第2投影画像901から検出される。図12(A)及び図12(B)に示す例では、2つの第3直線パターン及び対応する2つの第4直線パターンが検出されていたが、1つの第3直線パターン及び対応する1つの第4直線パターンのみが検出されてもよい。
【0065】
そして、補正部35は、求められた回転角度を用いて、第1断面画像1100に含まれる基準直線R3上の点と対応する第1基準点と関連付けられた第1の3次元点群に含まれる点の基準直線R3周りの角度を補正する。図12(A)及び図12(B)に示す例のように、2つの第3直線パターン及び対応する2つの第4直線パターンが検出された場合、2つの回転角度の平均値を補正に用いてもよい。
【0066】
回転角度を用いた位置の補正は、第5の補正行列で表すことができる。第5の補正行列は、回転を表す回転行列で表される。補正部35は、第5の補正行列を用いて、第1断面画像1100に含まれる基準直線R3上の点と対応する第1基準点と関連付けられた第1の3次元点群に含まれる点の基準直線R3周りの角度を補正する。補正部35は、第1基準線R1上の複数の第1基準点のそれぞれについて、第5の補正行列を求めて、この第5の補正行列を用いて、第1基準点と関連付けられた第1の3次元点群に含まれる点の基準直線R3周りの角度を補正する。
【0067】
次に、補正部35は、第5の補正行列を用いて位置が補正された第1の3次元点群の位置を、第1基準点と第1基準線との関係に戻す補正を実行する(ステップS111)。補正部35は、第5の補正行列を用いて位置が補正された第1基準点と関連付けられた第1の3次元点群に含まれる点の位置を、第1基準点と、この第1基準点と対応する基準直線R3上の点との位置の差H2を用いて補正する。具体的には、補正部35は、第2の補正行列の逆行列を表す第6の補正行列を用いて、第5の補正行列を用いて位置が補正された第1基準点と関連付けられた第1の3次元点群に含まれる点の位置を補正する。
【0068】
図13(A)は、位置が補正された第1の3次元点群を、第2の3次元点群と重ねた図を示しており、図13(B)は、補正前の第1の3次元点群を、第2の3次元点群と重ねた図を示す。図13(B)に示すように、補正前の第1の3次元点群に含まれる点のうち、第2の3次元点群と同じ走行経路及び周辺の環境を表す点は、第2の3次元点群とずれている。一方、図13(A)に示すように、上述した補正により、第1の3次元点群に含まれる点のうち、第2の3次元点群と同じ走行経路及び周辺の環境を表す点は、同じ位置になっている。
【0069】
上述した本実施形態の位置情報処理装置によれば、別々に計測された2つの3次元点群を比較可能となるように、3次元点群を補正できる。具体的には、第1の3次元点群が基準直線との関係に変換されるので、第1の3次元点群の位置は、第1の3次元点群の基準直線に沿った位置の補正、及び、第1の3次元点群の基準直線の基準直線を回転軸とした角度の補正を用いて、第2の3次元点群と比較可能になる。本実施形態の位置情報処理装置によれば、補正処理の高速化及び高精度化が図れる。
【0070】
位置情報処理装置を用いて、別々に計測された2つの3次元点群を比較可能となることにより、地図データベースの更新、又は、設備の保守を行うことができる。
【0071】
本発明では、上述した実施形態の位置情報処理装置及び位置情報処理方法は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。また、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【0072】
例えば、上述した実施形態では、第2の補正行列により位置が補正された第1の3次元点群及び第3の補正行列により位置が補正された第2の3次元点群を用いて、位置情報処理装置が、更に、第1の3次元点群の基準直線に沿った位置の補正、及び、第1の3次元点群の基準直線の基準直線を回転軸とした角度の補正を行っていたが、第1の3次元点群の基準直線に沿った位置の補正、及び、第1の3次元点群の基準直線の基準直線を回転軸とした角度の補正は、ユーザが手動で行ってもよい。
【0073】
上述した実施形態では、補正部35は、第1の3次元点群の角度を、基準直線を回転軸として回転させて補正していたが、角度の相違が小さいと推定される場合、この補正は行わなくてもよい。この場合、補正部35は、第4の補正行列を用いて位置が補正された第1基準点と関連付けられた第1の3次元点群に含まれる点の位置を、第6の補正行列を用いて補正する。
【符号の説明】
【0074】
10 位置情報処理装置
21 通信インターフェース
22 ユーザインターフェース
23 メモリ
24 プロセッサ
25 通信線
31 基準線設定部
32 区間決定部
33 関連付け部
34 対応付け部
35 補正部
36 直線生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13