(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189066
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】磁性材料およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 1/26 20060101AFI20221215BHJP
H01F 1/33 20060101ALI20221215BHJP
H01F 1/24 20060101ALI20221215BHJP
H01F 1/147 20060101ALI20221215BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20221215BHJP
B22F 3/00 20210101ALI20221215BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20221215BHJP
B22F 1/16 20220101ALI20221215BHJP
【FI】
H01F1/26
H01F1/33
H01F1/24
H01F1/147
C22C38/00 303S
B22F3/00 A
B22F1/00 Y
B22F1/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097417
(22)【出願日】2021-06-10
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、総務省委託研究「電波資源拡大のための研究開発のうち“不要電波の高分解能計測・解析技術を活用したノイズ抑制技術の研究開発”」成果に係る産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】株式会社トーキン
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】丹野 慶太朗
(72)【発明者】
【氏名】藤原 万里子
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 利行
(72)【発明者】
【氏名】茶谷 健一
【テーマコード(参考)】
4K018
5E041
【Fターム(参考)】
4K018BA13
4K018BB04
4K018BC28
4K018BD01
4K018CA02
4K018CA11
4K018CA33
4K018EA01
4K018FA08
4K018HA08
4K018KA43
5E041AA05
5E041BB05
5E041BC01
5E041BD12
5E041NN06
5E041NN14
(57)【要約】
【課題】高周波数帯域で使用可能な高性能の磁性材料およびその製造方法の提供。
【解決手段】Feと、0質量%超40質量%以下のCoとを含む磁性粉末を含有し、周波数100MHzにおける比透磁率μ’は20.0以上であることを特徴とする磁性材料。前記磁性材料の製造方法であって、前記磁性粉末と、樹脂とを含む磁性スラリーを得る工程と、前記磁性スラリーをシート状に成形する工程と、熱処理する工程と、を有することを特徴とする、磁性材料の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Feと、0質量%超40質量%以下のCoとを含む磁性粉末を含有し、
周波数100MHzにおける比透磁率μ’は20.0以上であることを特徴とする磁性材料。
【請求項2】
周波数100MHzにおける損失係数tanδが、0.050以下である、請求項1に記載の磁性材料。
【請求項3】
周波数50MHzにおけるμ’/tanδが、800以上である、請求項1または2に記載の磁性材料。
【請求項4】
周波数100MHzにおけるμ’/tanδが、400以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の磁性材料。
【請求項5】
前記磁性粉末の粉末厚みが、0.3μm~2.0μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の磁性材料。
【請求項6】
前記磁性粉末のアスペクト比が、10~50である、請求項1~5のいずれか一項に記載の磁性材料。
【請求項7】
前記磁性粉末中のCの含有割合が、0.20質量%未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載の磁性材料。
【請求項8】
前記磁性粉末が、Cr、Si、Alおよび希土類元素のうちの1種以上を、合計で4~18質量%含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の磁性材料。
【請求項9】
前記磁性粉末の表面がSiO2被膜を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の磁性材料。
【請求項10】
樹脂を含み、金属充填率が35体積%以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載の磁性材料。
【請求項11】
シート形状である、請求項1~10のいずれか一項に記載の磁性材料。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の磁性材料の製造方法であって、
前記磁性粉末と、樹脂とを含む磁性スラリーを得る工程と、
前記磁性スラリーをシート状に成形する工程と、
熱処理する工程と、
を有することを特徴とする、磁性材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性材料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軟磁性材料の実用上の適用領域は、10MHz程度が上限であったため、100MHz以上の高周波数帯域で使用可能な磁性材料の開発が種々行われてきた。
【0003】
特許文献1には、ニッケルを含む微細粉末を特定量含有する、高周波数帯域で使用可能な磁性材料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
100MHz以上の高周波数帯域では、ヒステリシス損失、渦電流損失、共鳴現象による損失の影響が大きくなる。また、磁性材料の磁気特性(比透磁率μ’)は高周波数帯域では周波数の増加に従って低下する傾向があることが知られている。そのため、高周波数帯域で使用可能な磁性材料は、高い比透磁率を有し、かつ低損失であることが求められている。
【0006】
特許文献1に記載の磁性材料では、100MHz以上の高周波数帯域における比透磁率μ’の向上や上記損失の抑制には限界があり、より優れた磁性材料の開発が求められていた。
【0007】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、高周波数帯域で使用可能な高性能の磁性材料およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る磁性材料は、Feと、0質量%超40質量%以下のCoとを含む磁性粉末を含有し、周波数100MHzにおける比透磁率μ’は20.0以上であることを特徴とする。
【0009】
上記磁性材料の一実施形態は、周波数100MHzにおける損失係数tanδが、0.050以下である。
【0010】
上記磁性材料の一実施形態は、周波数50MHzにおけるμ’/tanδが、800以上である。
【0011】
上記磁性材料の一実施形態は、周波数100MHzにおけるμ’/tanδが、400以上である。
【0012】
上記磁性材料の一実施形態は、前記磁性粉末の粉末厚みが、0.3μm~2.0μmである。
【0013】
上記磁性材料の一実施形態は、前記磁性粉末のアスペクト比が、10~50である。
【0014】
上記磁性材料の一実施形態は、前記磁性粉末中のCの含有割合が、0.20質量%未満である。
【0015】
上記磁性材料の一実施形態は、前記磁性粉末が、Cr、Si、Alおよび希土類元素のうちの1種以上を、合計で4~18質量%含む。
【0016】
上記磁性材料の一実施形態は、前記磁性粉末の表面がSiO2被膜を有する。
【0017】
上記磁性材料の一実施形態は、樹脂を含み、金属充填率が35体積%以上である。
【0018】
上記磁性材料の一実施形態は、シート形状である。
【0019】
本発明に係る磁性材料の製造方法は、磁性粉末と、樹脂とを含む磁性スラリーを得る工程と、前記磁性スラリーをシート状に成形する工程と、熱処理する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、高周波数帯域で使用可能な高性能の磁性材料およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る磁性材料について説明する。
なお、数値範囲を示す「~」は特に断りがない限り、その下限値及び上限値を含むものとする。
【0022】
<磁性材料>
本発明に係る磁性材料(以下、本磁性材料とも記す)は、Feと、0質量%超40質量%以下のCoとを含む磁性粉末(以下、第1の磁性粉末とも記す)を含有し、周波数100MHzにおける比透磁率μ’は20.0以上である。
【0023】
本磁性材料の周波数100MHzにおける比透磁率μ’は20.0以上であるため、高周波数帯域においても安定して使用できる。また、本磁性材料の周波数100MHzにおけるμ’は、30.0以上であることが好ましく、40.0以上であることがより好ましい。また、調製容易性の観点から、周波数100MHzにおけるμ’は、50.0以下であることが好ましい。なお、μ’は後述する方法により測定することができる。
【0024】
100MHz以上の高周波数帯域では、ヒステリシス損失や渦電流損失の他に、各種の共鳴現象による損失の影響が大きくなる。この共鳴現象による損失は、比透磁率(実透磁率)μ’と、虚透磁率μ”との比率tanδ(=μ”/μ’)により評価できる。
ここで、本磁性材料は、高周波数帯域における安定的使用の観点から、周波数100MHzにおける損失係数tanδが、0.050以下であることが好ましく、0.040以下であることがより好ましい。なお、tanδは後述する方法により測定することができる。
【0025】
また、高周波数帯域における安定的使用の観点から、本磁性材料の周波数50MHzにおけるμ’/tanδで示されるパフォーマンスファクターは高ければ高い程好ましい。当該μ’/tanδは、より具体的には、800以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、1100以上であることがさらに好ましい。
【0026】
さらに、高周波数帯域における安定的使用の観点から、本磁性材料の周波数100MHzにおけるμ’/tanδは高ければ高い程好ましいが、より具体的には、400以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましい。
【0027】
本磁性材料は、特定の配合の第1の磁性粉末を含有しており、周波数100MHzにおける比透磁率μ’が20.0以上と、従来のもの(多くのものは15未満)と比べて非常に高いμ’を有することから、高周波数帯域で安定して使用できる。なお、本磁性材料は、比透磁率の損失成分μ”を低くすることができる。
【0028】
少なくともFeとCoとを含むFeCo系磁性粉末は、高周波数帯域において、比透磁率μ’を高くし、かつ損失係数tanδを小さくするうえで、有利な磁性粉末である。
【0029】
Feと、Coとを特定の配合で含む第1の磁性粉末は、大きな飽和磁化を有しているため、磁性材料の共鳴周波数を高めることができる。第1の磁性粉末は、Fe及びCo以外の元素、例えば、C、B、N、P、Mn、Ni、Cu、Al、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wなどを含んでいてもよい。また、第1の磁性粉末は、不可避的不純物を含むことができる。
前記第1の磁性粉末としては、例えば、Fe-Co合金粉末及びFe-Co-V合金粉末等のFe-Co系合金粉末を用いることができる。しかしながら、高い飽和磁化を維持する観点から、第1の磁性粉末として、Fe-Co合金粉末を用いることが好ましい。
【0030】
なお、本磁性材料は、本発明の効果が得られる範囲で、第1の磁性粉末の他に、他の磁性粉末として、Fe-Ni合金粉末、Fe-Si-Cr合金粉末、Fe-Si-Al合金粉末、及びFe-Si等のFe系合金粉末、カルボニル鉄、非晶質合金、ナノ結晶合金等を含むことができる。ここで、全ての磁性粉末中の第1の磁性粉末の配合割合は、高周波数帯域でのμ’を高く維持する観点から、90~100質量%が好ましい。特に、本発明に用いる磁性粉末は、第1の磁性粉末のみから構成されることが好ましい。
【0031】
磁性材料中の第1の磁性粉末の含有割合は、高周波数帯域でのμ’を高く維持する観点から90質量%以上が好ましく、樹脂の添加によって強度をより向上させる観点から96質量%以下が好ましい。
【0032】
第1の磁性粉末中のCoの含有割合は、0質量%超40質量%以下である。Coを含有することにより、結晶磁気異方性が低くなり、高周波数帯域における磁性材料のμ’を向上させることができる。また、Coの含有割合が40質量%以下であれば、磁歪定数が増大して磁性粉末を扁平化した際に歪が入り、μ’が低下することを防ぐことができる。μ’を向上させ、パフォーマンスファクターであるμ’/tanδ(=μ’Q)を向上させる観点から、Coの含有割合は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。また、高いμ’を維持する観点から、Coの含有割合は、35質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
【0033】
第1の磁性粉末中のFeの含有割合は、例えば、Co以外の残部とすることができ、具体的には、60~90質量%とすることが好ましい。Feの含有割合が90質量%以下であれば、結晶磁気異方性が低くなり、高周波数帯域における磁性材料のμ’を一層向上させることができる。また、Feの含有割合が60質量%以上であれば、磁歪定数が増大して磁性粉末を扁平化した際に歪が入り、μ’が低下することを容易に防ぐことができる。μ’を向上させ、パフォーマンスファクターであるμ’/tanδ(=μ’Q)を向上させる観点から、Feの含有割合は、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。また、高いμ’を維持する観点から、Feの含有割合は、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
【0034】
第1の磁性粉末中のFe及びCo以外の元素の含有割合は、本発明の効果が得られる範囲で適宜設定できる。しかしながら、高い飽和磁化を維持し、100MHz以上の高周波数帯域でのμ’を高く維持する観点から、他の元素の含有割合は低ければ低いほど好ましい。
【0035】
このような観点から、具体的には、第1の磁性粉末中のCの含有割合は、0.20質量%未満であることが好ましく、0.15質量%以下であることがより好ましく、0.10質量%以下であることがさらに好ましい。
【0036】
第1の磁性粉末中のBの含有割合は、合金の硬さが上昇して、高圧プレスまたは熱プレスによる充填率増加が十分でなくなることを防ぐ観点から、0.20質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以下であることがより好ましい。
【0037】
第1の磁性粉末中のNの含有割合は、Bと同様の理由から、0.10質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることがさらに好ましい。
【0038】
第1の磁性粉末中のPの含有割合は、BやNと同様の理由から、0.10質量%以下であることが好ましく、0.010質量%以下であることがより好ましく、0.005質量%以下であることがさらに好ましい。
【0039】
なお、耐食性や他の特性の改善の観点からは、第1の磁性粉末は、他の元素を含むことが好ましい。
【0040】
第1の磁性粉末は、Cr、Si、Alおよび希土類元素(例えば、Sc、Y、Ceなど)のうちの1種以上を、合計で4~18質量%含むことが好ましい。例えば、第1の磁性粉末を、0質量%超40質量%以下のCoと、4~18質量%のこれらの他の元素と、Fe(残部:42~96質量%)とから構成される磁性粉末とすることができる。
【0041】
これらの他の元素の合計含有割合が、4質量%以上であれば、以下の優れた効果が得られる。即ち、樹脂をバインダーとして、本磁性材料を、例えば、複合磁性体シートとして成形した場合に、これらの他の元素がFeやCo等の金属粉末の表面に酸化被膜を形成するため、金属粉末と樹脂との接触を容易に防ぐことができる。ここで、金属粉末が樹脂と接触していると、樹脂を触媒的に分解させるという挙動が見られることがあり、特に、金属粉末として、FeやCoを用いた際にこの傾向が顕著に見られることがある。このため、Cr、Si、Al等の上述した酸化し易い元素を第1の磁性粉末に含有させ、粉末表面に酸化被膜を積極的に形成することで、金属(FeやCo)と樹脂との接触を回避させ、樹脂分解並びにそれによるガスの発生(脱ガス)を容易に抑制できる。その結果、本磁性材料を基板に内蔵して用いた際の回路基板への半田付け等の(鉛フリーの)リフロー処理時に、基板の膨れや剥離、反りの発生を容易に防ぐことができる。同様の観点から、これらの他の元素の合計含有割合は、6質量%以上がより好ましい。また、これらの他の元素の合計含有割合が、18質量%以下であれば、高周波数帯域において高いμ’をより維持しやすくなる。また、同様の観点から、これらの他の元素の合計含有割合は、15質量%以下がより好ましい。なお、磁性粉末の元素組成は、SEM-EDX(走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法)により特定することができる。
【0042】
本磁性材料が含む磁性粉末は、扁平化された扁平粉末であることが好ましい。磁性粉末が扁平化されることによって、反磁界係数が下がり、高周波数帯域におけるμ’をより高めることができる。また、磁性粉末は、特性の改善の観点から、予め熱処理を行ったものを使用してもよい。
【0043】
本磁性材料が含む磁性粉末(例えば、扁平粉末)の粉末厚みは、0.3μm~2.0μmであることが好ましい。粉末厚みを2.0μm以下とすることにより、渦電流損失をより低下させることができ、高周波数帯域において高いμ’(具体的には、μ’≧20)を容易に得ることができる。粉末厚みを0.3μm以上とすることにより、磁性粉末を扁平化する工程において磁性粉末に破断が生じるのを容易に抑制でき、所望のアスペクト比を容易に得ることができる。粉末厚みは、渦電流損失を低くする観点から、1.5μm以下がより好ましい。また、粉末厚みは、磁性粉末の破断防止と所望するアスペクト比の粉末が容易に得られる観点から0.4μm以上がより好ましい。磁性粉末の粉末厚みは、例えば、扁平化時間を調整することで調節することができる。なお、磁性粉末の粉末厚みは、磁性粉末の短軸方向の長さを意味する。具体的には、成形体(複合磁性体シート)を作製してそれを樹脂埋めし、研磨により得られた断面をSEM(走査電子顕微鏡)で観察し、磁性粉末の短軸方向の長さから粉末厚みを算出する。この操作を複数(例えば、10~60個)の粉末粒子に対して実施して、粉末厚みを算出し、その平均値を磁性粉末の粉末厚みとする。
【0044】
本磁性材料が含む磁性粉末(例えば、扁平粉末)のアスペクト比は、10~50であることが好ましい。磁性粉末のアスペクト比を10以上とすることで、磁性材料をシート形状に成形した際に、得られる磁性体シートがより割れにくくなり、高周波数帯域において高いμ’を容易に得ることができる。同様の観点から、磁性粉末のアスペクト比は、20以上がより好ましく、25以上がさらに好ましい。
また、磁性粉末のアスペクト比を50以下とすることで、磁性粉末の例えば、スラリー中への分散性がより向上し、スラリー化させる際の溶剤量を適量とすることができ、塗工性がより向上する。また、磁性体シートとした際にシート表面に激しい凹凸が形成されるのを容易に抑制できる。同様の観点から、磁性粉末のアスペクト比は、45以下がより好ましい。なお、磁性粉末のアスペクト比は、磁性粉末の長軸方向の長さ/短軸方向の長さを意味する。具体的には、成形体(複合磁性体シート)を作製してそれを樹脂埋めし、研磨により得られた断面をSEM(走査電子顕微鏡)で観察し、磁性粉末の長軸方向及び短軸方向の長さからアスペクト比を算出する。この操作を複数(例えば、10~60個)の粉末粒子に対して実施して、アスペクト比を算出し、その平均値を磁性粉末のアスペクト比とする。
【0045】
磁性粉末は、粉末の表面にコーティング被膜を形成してもよい。コーティング被膜を形成することで、金属部分と樹脂との接触を防ぐことができ、樹脂分解による脱ガスを容易に抑制できる。その結果、磁性材料を基板に内蔵した後のリフロー操作で、基板の膨れや剥離、反りの発生を容易に防ぐことができる。コーティング被膜としては、様々な材質のものを適宜用いることができるが、樹脂分解による脱ガスを抑制する観点から、SiO2被膜を用いることが好ましい。なお、粉末表面のコーティング被膜による被膜率は本発明の効果が得られる範囲で適宜設定でき、特に限定されない。
【0046】
本磁性材料は、上述した磁性粉末以外に、磁性粉末を結着させることができるバインダー(例えば、樹脂)及び添加剤(例えば、増粘剤)を含む複合材料であることができる。バインダー及び添加剤としては、互いに異なる熱重量特性(TG特性:thermo-gravimetric characteristics)を有する樹脂を用いることが好ましい。添加剤に用いる樹脂は、バインダーに用いる樹脂よりも低い温度で分解して重量が減少する物を用いることが好ましい。より具体的には、バインダーは、磁性粉末を結着させることができ、加熱によって少なくとも部分的に分解してガスを生じる固形成分の減量分が220℃で4.0重量%(質量%)以下のバインダーを用いることが好ましく、例えば、エポキシ樹脂を用いることができる。なお、バインダーとしてこの他の樹脂(例えば、フェノール樹脂)を併用してもよい。増粘剤としては、固形成分の減量分が220℃で5.0重量%(質量%)以上である増粘剤を用いる事が好ましく、例えば、ポリアクリル酸エステルを用いることができる。上記増粘剤は、上記バインダーに対して非相溶性であることができる。両樹脂が非相溶性であれば、混合した際に、両樹脂は部分的に混じり合いつつ、部分的に偏析し、増粘剤による偏析部が形成される。
【0047】
バインダー及び添加剤の配合割合は本発明の効果が得られる範囲で、適宜設定することができる。例えば、(第1の)磁性粉末に対するバインダー樹脂の配合割合は、2~15質量%とすることが好ましい。バインダー樹脂の配合割合が2質量%以上であれば、磁性材料に所望の強度を容易に付与することができ、15質量%以下であれば、磁性粉末の充填率を適切な範囲に容易に調整でき、所望の透磁率を容易に得ることができる。
【0048】
また、バインダー樹脂に対する増粘剤の配合割合は、例えば、20~150質量%とすることが好ましい。増粘剤の配合割合が20質量%以上であれば、スラリーとした際に所望の粘性を容易に得ることができ、均質な塗工を容易に達成できる。また、増粘剤の配合割合が150質量%以下であれば、バインダー樹脂による結着力を適切な範囲に容易に調整でき、所望の強度を容易に付与できる。さらに、磁性粉末の充填率を適切な範囲に容易に調整でき、所望の透磁率を容易に得ることができる。
【0049】
磁性材料中の金属充填率は、本発明の効果が得られる範囲で適宜設定できる。しかしながら、100MHz以上の高周波数帯域において高いμ’及び高いパフォーマンスファクター(μ’/tanδ)を維持する観点から、35体積%以上が好ましく、40体積%以上がより好ましく、45体積%以上がさらに好ましい。一方、100MHz以上の高周波数帯域における損失係数tanδの増加を抑制し、100MHz以上の高周波数帯域において高いμ’及び高いパフォーマンスファクター(μ’/tanδ)を維持する観点から、金属充填率は、60体積%以下が好ましく、55体積%以下がより好ましい。
【0050】
磁性材料中の金属成分の充填率(体積%)は、例えば、成形後の磁性材料(成形体)を用いて以下の方法により特定することができる。なお、密度測定には、従来公知の測定装置を適宜用いることができる。
(1)磁性材料に含まれる各成分(例えば、磁性粉末や樹脂)の密度と、各成分の配合比(重量%)とから、各成分の体積割合(体積%)を算出する。
(2)磁性材料に用いた全成分のうち、熱処理工程(例えば、熱プレス)により重量変化が生じる成分の変化量をそれぞれ測定する。例えば、バインダー(例えば、エポキシ樹脂)や添加剤(例えば、ポリアクリル酸エステル)単独の熱処理工程、例えば、300℃1時間(熱プレス条件)での熱処理による重量変化量を測定する。
(3)上記(1)で求めた体積割合のうち、上記(2)で測定した重量分減少すると仮定して、磁性材料の理論密度を算出する。その際、減少分(消失分)は空隙とする。
(4)測定試料(例えば、複合磁性体シート)の密度(実測密度)を測定する。
(5)実測密度と理論密度との差異は、空隙体積に由来すると仮定し、実測密度から磁性材料中の空隙体積を逆算し、金属充填率(体積%)を算出する。
【0051】
なお、本磁性材料の形状は特に限定されないが、シート形状として、複合磁性体シートとして用いることが好ましい。複合磁性体シートは、例えば、デジタイザの回路基板に内蔵して使用することができる。
【0052】
複合磁性体シートが回路基板への内蔵に適しているか否かは、例えば、複合磁性体シートに対して、後述するリフロー試験を行うことで判定できる。回路基板への内蔵に適した複合磁性体シートを得るという観点からは、上記リフロー試験による重量の減少分が0.25%以下であることが好ましい。
【0053】
<磁性材料の製造方法>
本発明に係る磁性材料(より具体的には、複合磁性体シート)の製造方法(以下、本製造方法と記すことがある)は、以下の工程を有する。本製造方法を用いることにより、100MHz以上の高周波数帯域で使用可能な高性能の本磁性材料を容易に製造できる。
・磁性粉末と、樹脂とを含む磁性スラリーを得る工程(スラリー工程)。
・前記磁性スラリーをシート状に成形する工程(成形工程)。
・熱処理する工程(熱処理工程)。
【0054】
本製造方法は、以下の工程を有することもできる。
・磁性粉末を用意する工程(粉末用意工程)。
・磁性スラリーを塗工する工程(塗工工程)。
また、上記粉末用意工程は、磁性粉末を扁平化する工程(扁平化工程)を有することもできる。
以下に、各工程を詳しく説明する。
【0055】
(粉末用意工程)
まず、磁性粉末を用意する。磁性粉末は、Feと、0質量%超40質量%以下のCoとを含むものであり、上述した第1の磁性粉末を用いることができる。この磁性粉末を、ボールミルやパールミルなどの装置を用いて、扁平化する(扁平化工程)。扁平化条件は、本発明の効果が得られる範囲で適宜設定できるが、上述した粉末厚みやアスペクト比の好ましい範囲を満たすような条件で行うことが好ましい。
【0056】
(スラリー工程)
続いて、扁平化した磁性粉末を、樹脂、添加剤及び溶剤等を含むバインダー液に混合して磁性スラリーを作製する。溶剤は、スラリーの所望の粘稠性に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、60℃程度の低い温度で容易に揮発するものを用いることが好ましい。溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、トルエン、エタノール(EtOH)及びメチルプロピレンジグリコール(MPDG)等のグリコール等の溶剤を1種単独で、又は複数種を混合して用いることができる。溶剤の混合比率も特に限定されず、適宜設定できる。溶剤の添加量は、スラリーの粘稠性(流動性及び粘性)に応じて適宜変更する。スラリーは、塗工した際に、均一な膜厚が得られ、液だれ等が生じない粘稠性に設定することが好ましい。また、樹脂や添加剤に関しては、上述したものを適宜用いることができる。
【0057】
(塗工工程)
得られたスラリーを従来公知の塗工機などを用いて塗工する。例えば、ダイスロット法を用いてPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の基体上に磁性スラリーを塗布すればよい。なお、塗工工程において、磁性スラリー中の溶媒が揮発する温度、例えば、60~100℃程度で加熱して、基体上に塗布した磁性スラリー中の溶媒を揮発させて塗工膜を得る。
【0058】
(成形工程)
塗工膜を、ダイカットロール等の装置を用いて所定の形状に打抜き、それを1枚もしくは複数枚積層し、磁性スラリーをシート状に成形する。積層する塗工膜の枚数は、作製した磁性材料の用途に応じて設定でき、特に限定されない。得られたシートは、例えば、2MPa程度の圧力で圧縮処理を施してもよい。
【0059】
(熱処理工程)
次に、シート状に成型して得られた積層体に対して、熱処理を行う。熱処理は通常200℃程度で行われることが多いが、高温(例えば300℃)で行うことにより、磁性材料に添加される増粘剤を十分に分解することができ、通常220℃以上の比較的高温で行われるリフロー処理時の増粘剤の分解により発生したガスによる磁性材料の膨張を容易に防ぐことができる。磁性材料が膨張すると、例えば、磁性体シートが回路基板から剥離するといった現象が起こり得るため、当該膨張を抑制することは非常に好ましい。
【0060】
熱処理時の加熱温度は、リフロー処理温度以上、具体的には、220℃以上とすることが好ましく、260℃以上とすることがより好ましく、300℃以上とすることがさらに好ましい。熱処理の加熱温度を220℃以上とすることにより、磁性材料の膨張を防ぎ、高い金属充填率と高い比透磁率μ’を容易に得ることができる。詳細に説明すると、バインダーは硬化する前に流動相を形成して、添加剤は流動相の中で分解してガスを生じる。このとき、添加剤のうちバインダーと混じり合った部分が分解すると共に、添加剤の偏析部が分解して積層体内に空孔が形成される。空孔は互いに繋がり、積層体の深層から表層に亘って延びる排出経路を形成する。添加剤の分解によって生じたガスは、220℃以上という高温に加熱することで空孔に閉じ込められていた空気と共に、排出経路を通って積層体の外部に排出される。このように、リフロー処理温度以上の温度にて熱処理を行うことにより、ガス及び空気を積層体から排出させることができ、リフロー処理時の磁性材料の膨張を容易に抑制でき、結果として、高い金属充填率と高い比透磁率μ’を容易に得ることができる。
【0061】
さらに、バインダー樹脂等の分解を防ぐ観点から、熱処理の加熱温度は、400℃以下とすることが好ましく、350℃以下とすることがより好ましい。
【0062】
熱処理工程は、空気中で行ってもよいし、真空中で行ってもよい。
【0063】
高い金属充填率と高い比透磁率μ’を得る観点から、熱処理中や熱処理前に、(例えば、室温(例えば25℃)~200℃以下の比較的低い温度での)高圧プレスや(例えば、熱処理温度での)熱プレスを行ってもよい。例えば、熱処理工程において、室温条件下での高圧プレス、及び加熱条件下での熱プレスを連続して行い、プレス成型してもよい。熱処理工程において、高圧プレスや熱プレスを行うことで、積層体に加えられた圧力により、空孔に閉じ込められていた空気とガスが外部へより排出し易くなり、高い金属充填率と高い比透磁率μ’をより得やすくなる。
【0064】
高圧プレスする際の圧力(プレス圧)は適宜設定できるが、例えば、0.05~6トン/cm2に設定することが好ましい。また、熱プレスは、例えば、室温から300℃まで約30分かけて昇温し、その後、300℃で1時間保持し、それ以降炉冷することで行うことができる。その際、プレス圧も適宜設定できるが、例えば、終始0.05トン/cm2とすることができる。
【0065】
以上より、高周波数帯域で使用可能な高性能の磁性材料(複合磁性体シート)を得ることができる。得られた磁性材料は、その内部に空孔を有することができる。ただし、空孔は、樹脂によって含侵され(塞がれ)ていてもよい。本製造方法を用いて作製した磁性材料は、リフロー処理の際の膨張を抑制することができ、磁性材料が回路基板から剥離することを防ぐことができる。
【実施例0066】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、これらの記載により本発明を制限するものではない。
【0067】
[実施例1]
Fe-Co合金粉末(Coの含有割合:25質量%、Feの含有割合:残部)(以降、Fe-25Coと称することがある)を、パールミルを用いて扁平化した。
【0068】
扁平化したFe-Co合金粉末100質量部に、バインダーとしてエポキシ樹脂4質量部と、増粘剤としてポリアクリル酸エステル2質量部と、溶剤295質量部とを混合し、スラリーを調製した。なお、溶剤としては、EtOH:MPDG=20:80(質量%比)の混合溶剤を用いた。溶剤の添加量は、サジでスラリーをすくった時に、スラリーが程よく流れる状態となり、スラリーをアプリケータ等で塗り広げて膜を形成した際に、膜厚が目視で均一となり、かつ膜を傾けてみて液だれを起こさない濃度となるようにした。
【0069】
得られたスラリーをダイスロット法によりPETフィルム上に塗布し、80℃で1時間乾燥して溶剤を除去した。その後、PETフィルムを剥離除去して塗工膜を得た。
【0070】
得られた塗工膜を、ダイカットロールを用いて65mm角に打抜き、それを複数枚積層して積層体を得た。その後、積層体を熱処理するとともにプレス成型した。具体的には、得られた積層体に対して、室温条件下でのプレス(高圧プレス)と、加熱条件下でのプレス(熱プレス)とをこの順に実施し、成形体を得た。より詳細には、まず、得られた積層体を金型に入れて、油圧プレス機を使用し、室温(25℃)条件下で、2トン/cm2のプレス圧力で5秒間加圧(高圧プレス)を行い、プレス体を得た。次に、得られたプレス体とシムスペーサーを鉄板で挟み、熱プレス機にて熱プレスを行った。その際、熱プレスのプレス圧力は、終始0.05トン/cm2に設定し、室温(25℃)から300℃まで30分かけて昇温し、その後、300℃で1時間保持し、以降は炉冷した。なお、シムスペーサーは厚みが0.5mmのものを用い、出来上がりの製品(複合磁性体シート)の厚みが0.5mmになるようにした。
【0071】
得られた成形体を評価用に機械加工した。具体的には、透磁率測定用には、打抜き金型を用いてトロイダル形状に加工し、リング試料(φ10.5~3mm)を作製した。そして、マテリアルアナライザを用いて周波数100MHzにおける比透磁率μ’と、μ”とを測定し、tanδ(μ’/μ”)及びμ’/tanδを算出した。さらに、用いた(扁平化後の)磁性粉末の厚み及びアスペクト比、成形体の金属充填率を測定した。また、後述するリフロー試験を行い、成形体の重量変化を測定した。以下に、これらのパラメータの測定方法を説明する。なお、金属充填率の測定方法は、上述しているため、記載を省略する。評価結果を後述する表1に示す。なお、実施例1で用いた磁性粉末中のC元素の含有割合は、0.10質量%以下であった。
【0072】
(μ’、μ”及びtanδ)
μ’、μ”及びtanδは、以下の条件で測定を行った。
・使用機器:商品名:E4991A RF インピーダンス/マテリアルアナライザ(KEYSIGHT製)
・測定試料:リング試料(φ(直径)10.5~3mm)
【0073】
(粉末厚み、アスペクト比)
作製した成形体(複合磁性体シート)を樹脂埋めし、研磨により得られた断面を、SEMで観察し、磁性粉末の縦横(短軸方向及び長軸方向)の長さから粉末厚み及びアスペクト比を算出した。これを50か所の粉末粒子に対して実施し、平均値を算出し、それを用いた磁性粉末の粉末厚み及びアスペクト比とした。
【0074】
(リフロー試験)
作製した成形体(複合磁性体シート)に260℃の温度でのリフロー処理を1回施して、リフロー処理による重量の変化(%)を測定した。詳しくは、成形体を加熱して、成形体の温度が260℃になるまで昇温し続けた。この昇温過程において、成形体を220℃以上の温度に60秒保持した後、240~250℃の温度に10秒以下の時間だけ保持した。
【0075】
[実施例2~8]
成形体の製造条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、複合磁性体シートを作製し、同様に各パラメータの測定を行った。
より具体的には、実施例2~4では、実施例1に対して高圧プレスにおけるプレス圧を変更した。また、実施例5では、実施例1に対して熱プレスにおける加熱温度を変更した。さらに、実施例6~8では、実施例1に対して用いる磁性粉末の配合を変更した。具体的には、実施例6~8では、それぞれCoの含有割合を10、30及び40質量%(残りはFe)とするFe-Co合金粉末を用いた(それぞれ、Fe-10Co、Fe-30Co及びFe-40Coと称することがある)。
【0076】
[比較例1]
磁性粉末をFe-Si合金粉末(Si:1質量%、Co:0質量%、Fe:残部)(以降、Fe-1Siと称することがある)に変更し、溶剤の配合量を変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、複合磁性体シートを作製し、同様に各パラメータの測定を行った。
【0077】
[比較例2]
磁性粉末をFe-Co-V合金粉末(Co:49質量%、V:2質量%、Fe:残部)(以降、Fe-49Coと称することがある)に変更し、溶剤の配合量を変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、複合磁性体シートを作製し、同様に各パラメータの測定を行った。
【0078】
[比較例3]
磁性粉末をFe-Si-Al合金粉末に変更し、溶剤の配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして、複合磁性体シートを作製し、同様に各パラメータの測定を行った。
【0079】
[比較例4~6]
熱プレス温度を200℃に変更し、高圧プレスのプレス圧力を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、複合磁性体シートを作製し、同様に各パラメータの測定を行った。
各実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0080】
【0081】
表1を参照すると、比較例1~6で得られた磁性材料に対して、実施例1~8で得られた磁性材料は、高い比透磁率と低損失とが両立できていることが分かる。また、実施例1~8で得られた磁性材料は、適切な範囲の金属充填率を有していた。
このように、本実施形態に係る発明によって高周波数帯域で安定して使用可能な高性能の磁性材料を提供することができた。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。