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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189069
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G05F 3/02 20060101AFI20221215BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20221215BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
G05F3/02
H01L27/04 F
H01L27/06 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097424
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 克彦
(72)【発明者】
【氏名】村上 和宏
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
5H420
【Fターム(参考)】
5F038AC00
5F038AR00
5F038BG05
5F038BG06
5F038CD02
5F038CD17
5F038DF04
5F038DF17
5F048AB03
5F048AC10
5H420BB04
5H420BB13
5H420CC02
5H420CC09
5H420DD02
5H420EB04
5H420EB37
(57)【要約】
【課題】半導体装置の内部電源電圧を安定化する。
【解決手段】半導体装置100は、例えば、入力電圧VINから内部電源電圧VDDを生成するように構成された内部電源110と、内部電源電圧VDDの供給を受けて動作するように構成された負荷回路120と、負荷回路120の消費電流I_LOGICが増大するタイミングで内部電源電圧VDDの印加端に補填電流I_CPを供給するように構成された電流補填回路140と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧から内部電源電圧を生成するように構成された内部電源と、
前記内部電源電圧の供給を受けて動作するように構成された負荷回路と、
前記負荷回路の消費電流が増大するタイミングで前記内部電源電圧の印加端に補填電流を供給するように構成された電流補填回路と、
を有する、半導体装置。
【請求項2】
前記負荷回路は、前記消費電流が周期的かつ瞬時的に増大する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記負荷回路は、クロック信号に同期して動作するように構成されたロジックである、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電流補填回路は、前記クロック信号に同期して動作するように構成されたチャージポンプである、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記チャージポンプは、
前記内部電源電圧と接地電圧との間で矩形波駆動する前記クロック信号をレベルシフトして前記入力電圧と前記接地電圧との間で矩形波駆動するパルス信号を出力するように構成されたレベルシフタと、
前記パルス信号の印加端と前記内部電源電圧の印加端の間に接続されたキャパシタと、
を含む、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記レベルシフタは、電流ソース能力よりも電流シンク能力の方が小さい、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記チャージポンプは、前記補填電流のシンク経路に設けられた抵抗をさらに含む、請求項5または6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記キャパシタの容量値は、100~1000pFである、請求項5~7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記クロック信号を生成するように構成されたオシレータをさらに有する、請求項3~8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記負荷回路は、前記内部電源電圧の印加に適合した低耐圧素子で形成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置には、内部電源を備えたものがある。
【0003】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-136288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の半導体装置では、内部電源で生成される内部電源電圧の安定化について改善の余地があった。
【0006】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者らにより見出された上記の課題に鑑み、内部電源電圧を安定化することのできる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例えば、本明細書中に開示されている半導体装置は、入力電圧から内部電源電圧を生成するように構成された内部電源と、前記内部電源電圧の供給を受けて動作するように構成された負荷回路と、前記負荷回路の消費電流が増大するタイミングで前記内部電源電圧の印加端に補填電流を供給するように構成された電流補填回路と、を有する。
【0008】
なお、その他の特徴、要素、ステップ、利点、及び、特性については、以下に続く発明を実施するための形態及びこれに関する添付の図面によって、さらに明らかとなる。
【発明の効果】
【0009】
本明細書中に開示されている発明によれば、内部電源電圧を安定化することのできる半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、半導体装置の比較例を示す図である。
図2図2は、比較例における内部電源電圧の出力挙動を示す図である。
図3図3は、半導体装置の実施形態を示す図である。
図4図4は、チャージポンプの第1動作フェイズを示す図である。
図5図5は、チャージポンプの第2動作フェイズを示す図である。
図6図6は、実施形態における内部電源電圧の出力挙動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<比較例>
図1は、半導体装置の比較例(=後出の実施形態と対比される回路構成の一例)を示す図である。本比較例の半導体装置100は、内部電源110と、ロジック120と、オシレータ130と、を有する。また、半導体装置100は、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、外部端子T1及びT2を有する。
【0012】
外部端子T1は、入力電圧VIN(例えば3.3V)の入力を受け付けるための外部電源端子であり、外部電源E1とキャパシタC1が外付けされる。
【0013】
外部端子T2は、内部電源電圧VDD(例えば1.5V)を出力するための内部電源端子であり、キャパシタC2が外付けされる。
【0014】
内部電源110は、入力電圧VINを降圧して内部電源電圧VDDを生成するように構成された回路ブロックであり、例えばリニアレギュレータを好適に用いることができる。本図に即して述べると、内部電源110は、外部端子T2に向けて出力電流I_VREGを出力することによりキャパシタC2を充電して内部電源電圧VDDを生成する。
【0015】
このように、半導体装置100に内部電源110を内蔵しておけば、入力電圧VINの印加に適合した中耐圧素子又は高耐圧素子を用いるのではなく、入力電圧VINよりも低い内部電源電圧VDDの印加に適合した低耐圧素子を用いて、半導体装置100の内部回路(ロジック120及びオシレータ130など)を形成することができる。従って、内部回路の面積をシュリンクすることが可能となる。
【0016】
ロジック120は、外部端子T2から内部電源電圧VDD及び内部電源電流I_VDDの供給を受けて動作する負荷回路の一例である。特に、ロジック120は、オシレータ130から供給されるクロック信号CLKに同期して動作する。従って、ロジック120で消費されるロジック消費電流I_LOGIC(本図では、外部端子T2にロジック120以外の負荷が接続されていないので、ロジック消費電流I_LOGICは内部電源電流I_VDDと同一)は、クロック信号CLKに同期して周期的かつ瞬時的に増大する。
【0017】
オシレータ130は、内部電源電圧VDDの供給を受けて動作し、所定周波数のクロック信号CLKを生成する。
【0018】
図2は、比較例における内部電源電圧VDDの出力挙動を示すタイミングチャートであり、上から順に、クロック信号CLK、ロジック消費電流I_LOGIC、内部電源電流I_VDD、及び、内部電源電圧VDDが描写されている。
【0019】
先にも述べた通り、ロジック120は、クロック信号CLKに同期して動作するので、ロジック消費電流I_LOGICは、クロック信号CLKに同期して周期的かつ瞬時的に増大する。本図では、クロック信号CLKがハイレベルに立ち上がる度に、ロジック消費電流I_LOGICに瞬時的なサージ電流成分が生じている。
【0020】
ロジック消費電流I_LOGICが増大すると、キャパシタC2から放電される内部電源電流I_VDDも同様の挙動で増大し、延いては、内部電源電圧VDDに電圧降下が生じる。この電圧降下を抑えるためには、大容量(例えば1~数μF)のキャパシタC2を用いる必要がある。その結果、キャパシタC2の集積化が困難となるので、外部端子T2を用意してキャパシタC2を外付けせざるを得なかった。このような大容量のキャパシタC2は、負荷が周期的であるか否かを問わず、内部電源電圧VDDの電圧降下を抑えるためには必要となる。
【0021】
以下では、上記の課題を解決することのできる新規な実施形態を提案する。
【0022】
<実施形態>
図3は、半導体装置の実施形態を示す図である。本実施形態の半導体装置100は、先出の比較例(図1)を基本としつつ、新たにチャージポンプ140が追加されると共に、外部端子T2が取り除かれている。そこで、既出の構成要素については、図1と同一の符号を付すことで重複した説明を省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について重点的に説明する。
【0023】
チャージポンプ140は、クロック信号CLKに同期して動作し、ロジック120で消費されるロジック消費電流I_LOGICが増大するタイミングで内部ノードnx(=内部電源電圧VDDの印加端)に補填電流I_CPを供給する電流補填回路の一例であり、レベルシフタ141と、キャパシタ142と、抵抗143と、を含む。
【0024】
レベルシフタ141は、内部電源電圧VDDと接地電圧GNDとの間で矩形波駆動するクロック信号CLKをレベルシフトすることにより、入力電圧VINと接地電圧GNDとの間で矩形波駆動するパルス信号POを出力する。例えば、クロック信号CLKがハイレベル(=VDD)であるときには、パルス信号POもハイレベル(=VIN)となり、クロック信号CLKがローレベル(=GND)であるときには、パルス信号POもローレベル(=GND)となる。
【0025】
キャパシタ142は、パルス信号POの印加端(=レベルシフタ141の出力端)と内部ノードnxとの間に接続されており、パルス信号POの矩形波駆動に伴って流れる補填電流I_CPにより充放電される。なお、キャパシタ142の容量値は、半導体装置100に集積化することのできる大きさ、例えば100~1000pF程度(好ましくは500pF程度)としてもよい。
【0026】
抵抗143は、補填電流I_CPの電流シンク経路、すなわちレベルシフタ141の出力端と接地端(=接地電圧GNDの印加端)との間に設けられている。従って、レベルシフタ141の電流シンク能力(=レベルシフタ141の出力端から接地端に向けて補填電流I_CPを引き込む能力)は、電流ソース能力(=入力電圧VINの印加端からレベルシフタ141の出力端に向けて補填電流I_CPを流し込む能力)よりも小さくなる。
【0027】
図4は、チャージポンプ140の第1動作フェイズ(CLK=L)を示す図である。本図で示したように、クロック信号CLKがローレベルであるときには、レベルシフタ141の出力端(=パルス信号POの出力端)と接地端との間が導通される。その結果、内部ノードnxからキャパシタ142及び抵抗143を介して接地端に向かう経路に補填電流I_CPが流れる。このとき、キャパシタ142は、その両端間電圧が内部電源電圧VDDとほぼ等しくなるまで充電される。
【0028】
図5は、チャージポンプ140の第2動作フェイズ(CLK=H)を示す図である。本図で示したように、クロック信号CLKがハイレベルであるときには、入力電圧VINの印加端とレベルシフタ141の出力端との間が導通される。その結果、入力電圧VINの印加端からキャパシタ142を介して内部ノードnxに向かう経路に補填電流I_CPが流れる。このとき、キャパシタ142は、自身に蓄えられた電荷の保存則により、内部ノードnxの電位を引き上げるように、言い換えれば、内部電源電圧VDDの低下を抑制するように働く。以下、タイミングチャートを参照しながら詳述する。
【0029】
図6は、本実施形態における内部電源電圧VDDの出力挙動を示すタイミングチャートであり、上から順に、クロック信号CLK、ロジック消費電流I_LOGIC、補填電流I_CP、内部電源電流I_VDD、及び、内部電源電圧VDDが描写されている。
【0030】
先出の図2でも示したように、ロジック120は、クロック信号CLKに同期して動作するので、ロジック消費電流I_LOGICは、クロック信号CLKに同期して周期的かつ瞬時的に増大する。本図では、クロック信号CLKがハイレベルに立ち上がる度に、ロジック消費電流I_LOGICに瞬間的なサージ電流成分が生じている。
【0031】
ところで、ロジック消費電流I_LOGICにサージ電流成分が生じるタイミングは、決して不定ではなく、クロック信号CLKに同期した既知のタイミングである。そこで、上記のタイミングに合わせてチャージポンプ140から周期的かつ瞬時的に補填電流I_CPを供給することにより、内部電源電流I_VDDの増大を抑制し、延いては、内部電源電圧VDDの周期的な電圧降下を抑制することが可能となる。
【0032】
本実施形態によれば、内部電源電圧VDDの平滑手段として半導体装置100に外付けされていたキャパシタC2の小容量化を実現し、理想的には、キャパシタC2及び外部端子T2を削減することが可能となる。
【0033】
なお、チャージポンプ140は、レベルシフタ141を備えており、内部電源110から補填電流I_CPを引くのではなく、入力電圧VINの印加端から補填電流I_CPを引く構成とされている。従って、内部電源110の電流供給能力を不必要に高めることなく、内部電源電圧VDDの電圧低下を抑制することができる。
【0034】
また、先にも少し述べたが、レベルシフタ141の出力端と接地端との間には、電流シンク経路のインピーダンスを高めるための抵抗143が挿入されている。すなわち、レベルシフタ141は、その電流シンク能力が電流ソース能力よりも小さくなるように設計されている。このような構成によれば、キャパシタ142の充電時に流れる補填電流I_CPを緩やかにしてピークを抑えることができるので、内部電源電圧VDDへの影響を低減することが可能となる。
【0035】
なお、本実施形態の構成は、既知のタイミングで消費電流が増大する負荷回路を持つ半導体装置全般に適用することが可能である。つまり、消費電流が増大するタイミングは、既知でありさえすればよく、必ずしも周期的でなくともよい。
【0036】
<総括>
以下では、上記で説明した種々の実施形態について総括的に述べる。
【0037】
例えば、本明細書中に開示されている半導体装置は、入力電圧から内部電源電圧を生成するように構成された内部電源と、前記内部電源電圧の供給を受けて動作するように構成された負荷回路と、前記負荷回路の消費電流が増大するタイミングで前記内部電源電圧の印加端に補填電流を供給するように構成された電流補填回路と、を有する構成(第1の構成)とされている。
【0038】
なお、上記第1の構成から成る半導体装置において、前記負荷回路は、前記消費電流が周期的かつ瞬時的に増大する構成(第2の構成)にしてもよい。
【0039】
また、上記第2の構成から成る半導体装置において、前記負荷回路は、クロック信号に同期して動作するように構成されたロジックである構成(第3の構成)にしてもよい。
【0040】
また、上記第3の構成から成る半導体装置において、前記電流補填回路は、前記クロック信号に同期して動作するように構成されたチャージポンプである構成(第4の構成)にしてもよい。
【0041】
また、上記第4の構成から成る半導体装置において、前記チャージポンプは、前記内部電源電圧と接地電圧との間で矩形波駆動する前記クロック信号をレベルシフトして前記入力電圧と前記接地電圧との間で矩形波駆動するパルス信号を出力するように構成されたレベルシフタと、前記パルス信号の印加端と前記内部電源電圧の印加端の間に接続されたキャパシタと、を含む構成(第5の構成)にしてもよい。
【0042】
また、上記第5の構成から成る半導体装置において、前記レベルシフタは、電流ソース能力よりも電流シンク能力の方が小さい構成(第6の構成)にしてもよい。
【0043】
また、第5又は第6の構成から成る半導体装置において、前記チャージポンプは、前記補填電流のシンク経路に設けられた抵抗をさらに含む構成(第7の構成)にしてもよい。
【0044】
また、上記第5~第7いずれかの構成から成る半導体装置において、前記キャパシタの容量値は、100~1000pFである構成(第8の構成)にしてもよい。
【0045】
また、上記第3~第8いずれかの構成から成る半導体装置は、前記クロック信号を生成するように構成されたオシレータをさらに有する構成(第9の構成)にしてもよい。
【0046】
また、上記第1~第9いずれかの構成から成る半導体装置において、前記負荷回路は、前記内部電源電圧の印加に適合した低耐圧素子で形成されている構成(第10の構成)にしてもよい。
【0047】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0048】
100 半導体装置
110 内部電源
120 ロジック(負荷回路)
130 オシレータ
140 チャージポンプ(電流補填回路)
141 レベルシフタ
142 キャパシタ
143 抵抗
C1、C2 キャパシタ
E1 外部電源
nx 内部ノード
T1、T2 外部端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6