(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189070
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】画像形成装置およびジャム制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20221215BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20221215BHJP
B65H 43/04 20060101ALI20221215BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B41J29/38 302
H04N1/00 350
B65H43/04
G03G15/00 480
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097425
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 直岐
【テーマコード(参考)】
2C061
2H072
3F048
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ06
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061CQ32
2C061CQ34
2C061CQ41
2C061HK17
2C061HV09
2C061HV19
2C061HV33
2H072AA02
2H072AA16
2H072AA22
2H072AB28
2H072EA01
3F048AA02
3F048AB01
3F048BA05
3F048BA14
3F048BB01
3F048BC03
3F048CC01
3F048DA06
3F048DC05
5C062AA05
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AC05
5C062AC69
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】ユーザーに大きな負担をかけずに適切な滞留用紙の除去作業を行わせる。
【解決手段】用紙が給搬送される経路に配置され用紙を検出する複数の用紙センサーと、経路における紙づまりを各用紙センサーにより監視する搬送制御部と、紙づまりによって内部に滞留した用紙の滞留位置および滞留枚数を報知するジャム報知部と、滞留用紙の除去枚数の入力を受付けてジャム処理が完了したか否かを判定するジャム処理判定部とを備え、ジャム処理判定部は、受付けた除去枚数が滞留枚数に達したら各用紙センサーに用紙の有無を検出させ、何れかの用紙センサーが用紙を検出している場合は残留する紙片の確認および除去を促す報知をジャム報知部に行わせる画像形成装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が給搬送される経路に配置され用紙を検出する複数の用紙センサーと、
前記経路における紙づまりを各用紙センサーにより監視する搬送制御部と、
前記紙づまりによって内部に滞留した用紙の滞留位置および滞留枚数を報知するジャム報知部と、
滞留用紙の除去枚数の入力を受付けてジャム処理が完了したか否かを判定するジャム処理判定部とを備え、
前記ジャム処理判定部は、受付けた除去枚数が前記滞留枚数に達したら各用紙センサーに用紙の有無を検出させ、何れかの用紙センサーが用紙を検出している場合は残留する紙片の確認および除去を促す報知を前記ジャム報知部に行わせる画像形成装置。
【請求項2】
前記ジャム処理判定部は、紙片の確認終了を知らせる入力を受付けて各用紙センサーに用紙の有無を検出させ、何れかの用紙センサーが用紙を検出している場合は残留する紙片の再確認および除去を促す報知に加えて、用紙センサーが不良の可能性がある旨の報知を前記ジャム報知部に行わせる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ジャム処理判定部は、残留する紙片の再確認および除去を促す報知を前記ジャム報知部に行わせる際、残留する紙片の確認および除去の手順を示す紙片確認ガイダンスを報知させる請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ジャム処理判定部は、紙づまりが発生した場合に滞留用紙の除去手順を示すジャム処理ガイダンスを前記ジャム報知部に報知させ、
前記紙片確認ガイダンスは、前記ジャム処理ガイダンスと異なる手順を示すガイダンスである請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置の制御部が、
用紙が給搬送される経路に配置され用紙を検出する複数の用紙センサーを用いて前記経路における紙づまりを監視するステップと、
ジャム報知部を用いて前記紙づまりによって内部に滞留した用紙の滞留位置および滞留枚数を報知するステップと、
滞留用紙の除去枚数の入力を受付けてジャム処理が完了したか否かを判定するステップと、
受付けた除去枚数が前記滞留枚数に達したら各用紙センサーに用紙の有無を検出させるステップと、
何れかの用紙センサーが用紙を検出している場合は滞留する紙片の確認および除去を促す報知を前記ジャム報知部に行わせるジャム制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙づまり発生時に用紙の給搬送を停止させて滞留用紙に係る報知を行い、滞留用紙が除去されたと判定したら用紙の給搬送を再開させる画像形成装置およびジャム制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置が用紙を給搬送している経路上で紙づまり(ジャム)が発生すると、紙づまりが発生した箇所より少なくとも上流側の経路にある用紙については給搬送を停止させたうえでユーザーによる除去を待つようにせざるを得ない。給搬送を停止させなければ後続の用紙が紙づまりの箇所に次々と突っ込んでしまい、滞留用紙の除去作業が複雑になるばかりか、経路上にある構造物を痛める可能性がある。
滞留用紙を除去する作業はユーザーに委ねられるが、その作業が効率よく確実に行えるように滞留用紙の位置を表示したり、作業の手順をメッセージ、イラスト、アニメーション、音声等で報知したりすることが行われている。ユーザーは、その報知に従って画像形成装置の外装に設けられたドアを開けて内部の滞留用紙を除去する作業を行う。
【0003】
両面印刷や仕上げ処理の機能を有する画像形成装置の場合はとりわけ、給搬送経路が長く複雑になる傾向にあり、それに伴って滞留用紙を確認し除去すべき箇所が増え作業が複雑になる。一通りの作業を終えてユーザーが外装のドアを閉じても、内部にまで用紙や紙片が残っている場合がある。その場合、ユーザーは再びドアを開けて滞留した用紙や紙片を確認する作業を行う必要がある。
滞留用紙が全て取り出されてジャム処理が完了したか否かを正確に判別する手法として次のものが知られている。搬送路に発生したジャムの原因となった用紙を判別用画像データとして読み込み、その判別用画像データに基づいて、ジャム処理が完了したか否かを判別するものである(例えば、特許文献1参照)。特に、紙片が残存することによる不具合を防止するための技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、滞留用紙を取り除く作業に加え、除去した用紙の紙片を原稿台上に並べ読み込ませる処理にまでユーザーの協力が得られるかは分からない。ユーザーに負担をかけず確実にジャム処理が完了したか否かを判定できる手法が望まれる。
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、ユーザーに大きな負担をかけずに適切な滞留用紙の除去作業を行わせ得る手法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、用紙が給搬送される経路に配置され用紙を検出する複数の用紙センサーと、前記経路における紙づまりを各用紙センサーにより監視する搬送制御部と、前記紙づまりによって内部に滞留した用紙の滞留位置および滞留枚数を報知するジャム報知部と、滞留用紙の除去枚数の入力を受付けてジャム処理が完了したか否かを判定するジャム処理判定部とを備え、前記ジャム処理判定部は、受付けた除去枚数が前記滞留枚数に達したら各用紙センサーに用紙の有無を検出させ、何れかの用紙センサーが用紙を検出している場合は残留する紙片の確認および除去を促す報知を前記ジャム報知部に行わせる画像形成装置を提供する。
【0007】
また、異なる観点からこの発明は、画像形成装置の制御部が、用紙が給搬送される経路に配置され用紙を検出する複数の用紙センサーを用いて前記経路における紙づまりを監視するステップと、ジャム報知部を用いて前記紙づまりによって内部に滞留した用紙の滞留位置および滞留枚数を報知するステップと、滞留用紙の除去枚数の入力を受付けてジャム処理が完了したか否かを判定するステップと、受付けた除去枚数が前記滞留枚数に達したら各用紙センサーに用紙の有無を検出させるステップと、何れかの用紙センサーが用紙を検出している場合は滞留する紙片の確認および除去を促す報知を前記ジャム報知部に行わせるジャム制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
この発明による画像形成装置において、ジャム処理判定部は、受付けた除去枚数が滞留枚数に達したら各用紙センサーに用紙の有無を検出させ、何れかの用紙センサーが用紙を検出している場合は残留する紙片の確認および除去を促す報知を前記ジャム報知部に行わせるので、ユーザーに大きな負担をかけずに適切な滞留用紙の除去作業を行わせることができる。
この発明によるジャム制御方法も同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の画像形成装置の一実施形態である複合機の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す複合機の本体部分の機構的構成を示す断面図である。
【
図3】
図1および
図2に示す複合機100の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図4】紙づまりの処理に関し、
図3に示す制御部が実行する処理を示す第1のフローチャートである。
【
図5】紙づまりの処理に関し、
図3に示す制御部が実行する処理を示す第2のフローチャートである。
【
図6】操作ユニットに表示されるジャム状態基本画面の例を示す説明図である。
【
図7】
図6に示すジャム状態基本画面で、ガイダンスキーの操作により表示されるジャム処理ガイダンスの例を示す説明図である。
【
図8】
図7に示すジャム処理ガイダンスで、[次へ]キーの操作により表示される画面の例を示す説明図である。
【
図9】
図8に示すジャム処理ガイダンスで、[次へ]キーの操作により表示される画面の例を示す説明図である。
【
図10】
図9に示すジャム処理ガイダンスで、[次へ]キーの操作により表示される画面の例を示す説明図である。
【
図11】
図10に示すジャム処理ガイダンスで、[次へ]キーの操作により表示される画面の例を示す説明図である。
【
図12】
図11に示すジャム処理ガイダンスで、[次へ]キーの操作により表示される画面の例を示す説明図である。
【
図13】この実施形態で、滞留枚数に等しい除去枚数が入力されてドアクローズ時に何れかの用紙センサーが用紙を検出している場合に表示される紙片確認ガイダンスの例を示す説明図である。
【
図14】
図13に示す紙片確認ガイダンスで、[次へ]キーの操作により表示される画面の例を示す説明図である。
【
図15】
図14に示す紙片確認ガイダンスで、[次へ]キーの操作により表示される画面の例を示す説明図である。
【
図16】
図15に示す紙片確認ガイダンスで、[次へ]キーの操作により表示される画面の例を示す説明図である。
【
図17】この実施形態で表示される残留紙片確認ダイアログの例を示す説明図である。
【
図18】この実施形態で表示される用紙センサー確認ダイアログの例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
(実施の形態)
【0011】
≪画像形成装置の構成例≫
図1は、この発明による画像形成装置の一実施形態である複合機の外観を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す複合機100の本体部分の機構的構成を示す断面図である。
図3は、
図1および
図2に示す複合機100の電気的な構成を示すブロック図である。
図1~
図3に示すように、複合機100は、操作ユニット105、原稿を読み取る画像読取デバイス111、画像形成を行う画像形成デバイス115、ドロア型の給紙トレイ18を有している。さらに、複合機100は、原稿を読取り部に搬送する原稿搬送ユニット103および排出トレイ39a、39bを備える。
【0012】
この実施形態において、ドロア型の給紙トレイ18は引出し式の構造を有し、引出し部を引き出した状態で用紙がトレイにセットされる。用紙サイズに応じた所定の位置に1以上の用紙がセットされた状態で引出し部が挿入されると、後述する搬送制御部131として制御部110はセットされた用紙の上端を給紙ローラ33が配置された所定の給紙可能位置までリフトアップさせて給紙可能な状態にする。ドロア型の給紙トレイ18が引き出される際、用紙は給紙可能位置からリフトダウン位置に降下する、
【0013】
この実施形態において、4つのドロア型の給紙トレイ18は、いずれもセットされた用紙のサイズを検出する用紙サイズセンサー18aおよび用紙の有無を検出する用紙切れセンサー18bを有する。さらに、引出し部が挿入された状態か否かを検出する挿抜センサー18cおよび挿入された状態で用紙のリフトアップ量に基づいてセットされている用紙の堆積量を検出する用紙レベルセンサー18dを備える。
【0014】
また、それぞれのドロア型の給紙トレイ18のから給紙される用紙の用紙搬送経路R1に用紙センサー45が配置されており、給搬送される用紙の通過を検出する。
複合機100は、ドロア型の給紙トレイ18と別に手差しトレイ19を備えている。手差しトレイ19は、
図2において折りたたまれて複合機100の右側面に収納された状態を示しているが、下端部を支点にして上端部が右側方へ開き略水平の状態になる。開いた状態の手差しトレイ19の上に用紙を載せて、機内へ用紙を給送して印刷することができる。
【0015】
ここで、
図2に示す複合機100の内部的な構成を簡単に説明しておく。
複合機100においては、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像を用紙に印刷する。あるいは、単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像を用紙に印刷する。このため、現像ユニット12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、および帯電器15等は、それぞれ4個ずつ設けられる。各色に応じた4種類のトナー像を形成するために、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPk、Pc、Pm、Pyが構成されている。
【0016】
各画像ステーションPk、Pc、Pm、Pyのいずれにおいても、次のようにしてトナー像が形成される。ドラムクリーニング装置14が、感光体ドラム13表面の残留トナーを除去および回収する。その後、帯電器15が感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させる。そして、光走査ユニット11が均一に帯電した表面を走査露光して表面に静電潜像を形成する。その後、現像ユニット12が静電潜像を現像する。これにより、各感光体ドラム13表面に各色のトナー像が形成される。現像ユニット12にはトナーとキャリアからなる現像剤が入っている。
中間転写ベルト21は矢印方向Cに周回移動する。ベルトクリーニングユニット22は周回移動する中間転写ベルト21の残留トナーを除去および回収する。各感光体ドラム13の表面に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト21に順次転写して重ね合わせられて、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像が形成される。
【0017】
ドロア型の給紙トレイ18は、用紙を収納し、2次転写ユニット23へ給紙する。
図2に示すように4種類の用紙をそれぞれ収納する。
【0018】
用紙は、給紙ローラ33により4つあるドロア型の給紙トレイ18の何れか一つから引出されて、用紙搬送経路R1を介して2次転写ユニット23へ給紙される。それぞれの給紙ローラ33の下流側の用紙搬送経路R1には、用紙センサー45(
図3参照)が配置されている。用紙搬送経路R1には、用紙を一旦停止させて用紙の先端を揃えるレジストローラ35が配置されている。また用紙の搬送を促す搬送ローラ34等が配置されている。レジストローラ35は、用紙を一旦停止させた後、中間転写ベルト21と2次転写ローラ23aに挟まれたニップ域へトナー像の転写タイミングに合わせて用紙を搬送する。用紙搬送経路R1の途中およびレジストローラ35の手前にも用紙センサー45が配置されている。手差しトレイ19は、用紙搬送経路R1の途中から2次転写ユニット23へ用紙を給送する。
【0019】
用紙がニップ域を通過するとき、中間転写ベルト21の表面に形成されたカラーのトナー像が用紙に転写される。用紙は、ニップ域を通過した後、定着ユニット17の加熱ローラ24と加圧ローラ25との間に挟まれて加熱および加圧される。この加熱および加圧により、カラーのトナー像が用紙上に定着される。
定着ユニット17を通過した用紙は、排出トレイ39へ排出される。定着ユニット17の下流および排出トレイ39への排出路にも用紙センサー45が配置されている。定着ユニット17を経て排出トレイ39に至る用紙排出路の途中に、後述する搬送制御部131としての制御部110によって制御されて用紙をスイッチバックさせる切替え機構が設けられている。スイッチバックされた用紙はスイッチバック経路D1を経てレジストローラ35の手前に導かれ、表裏反対の面に印刷される。スイッチバック経路D1の3箇所に、用紙センサー45が配置されている。
【0020】
また、
図3に示すように、複合機100は、制御部110、通信回路124およびビデオコントローラ125を備える。また、
図3に図示しない画像処理用の回路を有していてもよい。例えば、画像読取デバイス111が読み取った原稿の画像を処理するための回路である。
制御部110は、プロセッサ121、RAM122および不揮発性メモリ123を含む。不揮発性メモリ123は、フラッシュメモリーやHDDで構成され、プロセッサ121が実行する制御プログラムを予め格納する。また、操作ユニット105に表示させるジャム処理ガイダンスや紙片確認ガイダンスに係るガイダンスイラスト(後述する
図7乃至
図16参照)のための表示データを予め格納する。RAM122は、プロセッサの処理に用いるデータや画像形成に係る画像等のデータを記憶する。各用紙センサー45が用紙を検出しているか否かの状態や、ジョブ中の紙づまり発生有無の判定に係るデータを格納する。ジョブは、例えばコピージョブやプリントジョブといったような一連の画像形成に係る処理である。印刷を伴うジョブの実行中、搬送制御部131は、印刷に用いる1以上の用紙を給送し、搬送し、排出する制御を行う。また、給送および搬送される用紙の紙づまり発生の有無を監視する。プロセッサ121は、不揮発性メモリ123に格納された制御プログラムを実行し、
図2に示す複合機100の各部の動作およびデータの処理を制御する。
【0021】
プロセッサ121が実行する処理によって実現される機能には、搬送制御部131、ジャム報知部132およびジャム処理判定部133としての機能が含まれる。
搬送制御部131は、ドロア型の給紙トレイ18および手差しトレイ19から用紙を給送し、搬送し、排出トレイ39へ排出するまでの用紙の搬送に係る制御を行う。さらに、用紙センサー45を用いて搬送される用紙の紙づまりの有無を監視する。
ジャム報知部132は、紙詰まりが発生したと搬送制御部131が判定した場合に、それをユーザーに報知する処理を行う。具体的には、操作ユニット105に後述するジャム状態基本画面50、ジャム処理ガイダンス画面60や紙片確認ガイダンス画面70をさせる。また、それらの画面やガイダンスイラストを切り替える処理を行う。
ジャム処理判定部133は、ユーザーによって機内に残留する用紙や紙片が取り除かれ、ジョブの再開が可能な状態になったか否かの判定を行う。
【0022】
操作ユニット105は、ハードウェア資源として操作キーやタッチパネルなどの入力手段と表示手段としての液晶ディスプレイを含む。操作キーおよびタッチパネルはユーザーの操作を受付ける。制御部110は、それらが受付けたユーザーの操作を認識し、液晶ディスプレイに、複合機100の状態や設定に係る操作画面を表示させる。
通信回路124は、複合機100をLAN(Local Area Network)等のネットワークに接続し、外部の機器と通信可能にするためのインターフェイス回路である。
ビデオコントローラ125は、印刷すべき画像に係る走査信号を生成し光走査ユニット11へ送る。走査信号は、光走査ユニットによる走査露光を制御して印刷すべき画像に対応した静電潜像を感光体ドラム13の表面に形成する。
【0023】
≪紙づまりの検出およびガイダンス表示に係るフローチャート≫
続いて、紙づまりの検出およびそれに伴うガイダンスの表示に関する処理について述べる。
図4および
図5は、紙づまりの検出およびそれに伴うガイダンスの表示に関して制御部110が実行する処理を示すフローチャートである。
図4および
図5のフローチャートを参照しながら、制御部110が実行する処理を述べる。
図4および
図5に示す処理は、印刷を伴うジョブの実行中に、および、紙詰まりが発生してジャム処理が完了するまでの間に、ジャムに関して制御部110が実行する処理を示すものである。制御部110は、
図4および
図5に示す処理をマルチタスク環境下で他の処理と並行して繰り返し実行する。
【0024】
図4に示すように、最初に制御部110は、複合機100の現在の状態が、紙詰まりが発生してからそのジャム処理が完了するまでの間の状態(ジャム状態)か否かを判定する(ステップS11)。
ジャム状態でなければ(ステップS11のNo)、続けて搬送制御部131として制御部110は、印刷を伴うジョブの実行中に、給送および搬送される用紙について紙づまりが検出されたか否かを判定する(ステップS13)。
【0025】
紙詰まりの発生が検出された場合(ステップS13のYes)、制御部110は状態をジャム状態に設定する。前述のステップS11で判定される状態である。さらに、少なくとも紙づまりが発生した箇所よりも上流側にある用紙の搬送および給送を停止させる。紙詰まりが発生した箇所よりも下流側の用紙は、可能であれば搬送を続けて排出トレイ39へ排出した後に搬送動作を停止させる。上流側の用紙の搬送を停止させた状態で下流側の用紙の搬送を続けて排出させられるか否かは、紙詰まりが発生した位置および上流側と下流側の搬送が独立して駆動可能か否かの構成による。
【0026】
用紙の給送および搬送を停止させたら、制御部110は、内部に滞留している用紙の滞留枚数を算出し、データとして保持する(ステップS15)。
さらに、ジャム報知部132として制御部110は、操作ユニット105に、
図6に示すジャム状態基本画面50を表示させて(ステップS17)、処理を終了する。
また、前述のステップS13の判定で、紙詰まりの発生が検出されなければ(ステップS13のNo)、処理を終了する。
図6に示すように、ジャム状態基本画面50には、紙づまりメッセージ51、滞留枚数表示欄52、除去枚数入力欄53、ジャムマップ54およびガイダンスキー55が配置されている。
【0027】
滞留枚数表示欄52は、前述のステップS15で算出された滞留枚数が表示される。
図6に示す例は、2枚の用紙が内部に滞留していることを示している。滞留枚数は、給送した用紙の枚数と排出された用紙の枚数の差分を算出して求められる。なお、用紙センサー45の位置に基づいて搬送路を複数の区間に区切って各区間における滞留枚数を算出するようにしてもよい。
除去枚数入力欄53は、ユーザーが除去した用紙の枚数を入力する欄である。
図6に「入力」と表示された枠がタッチされると、ジャム報知部132として制御部110は、除去枚数の入力を受付けるダイアログ画面(
図6に不図示)を表示させてユーザーによる除去枚数の入力を受付ける。
【0028】
ジャムマップ54は、滞留した用紙の概略位置を示すイラストであって、三角の印「▼」で滞留用紙の位置を示している。
図6では2箇所の三角印「▼」が2枚の用紙の滞留位置を示している。
その状態でガイダンスキー55が操作されると、それに応答してジャム報知部132として制御部110は、ジャム状態基本画面50を
図7に示すジャム処理ガイダンス画面60に切り替える。ジャム処理ガイダンス画面60は、1以上のガイダンスイラストを用いてジャム処理の手順を示すものである。
図7に示すガイダンスイラスト61は、右側面の手前側にあるレバーを引き上げて右側面のドアを開ける操作を促すものである。
【0029】
図7に示すジャム処理ガイダンス画面60において、制御部110は、ガイダンスイラスト61の他に、ジャム状態基本画面50と同様の紙づまりメッセージ51、滞留枚数表示欄52および除去枚数入力欄53を表示させる。さらに、[終了]キー56および[次へ]キー57を表示させる。[終了]キー56の操作を受付けると、ジャム報知部132として制御部110は、ジャム処理ガイダンス画面60を元のジャム状態基本画面50に戻す。[次へ]キー57の操作を受付けると、次の作業手順を示すガイダンスイラスト62(
図8参照)にジャム処理ガイダンス画面60を切り替える。右側面のドアを開けて露出する用紙搬送経路R1に滞留している用紙を取り除く操作を促すものである。
【0030】
制御部110は、
図8に示すジャム処理ガイダンス画面60に、
図7にない[戻る]キー58を表示させている。一つ前の段階のガイダンスイラスト61が存在するので、その画面へ戻す操作を受付けるためのキーである。
制御部110は、
図8に示すジャム処理ガイダンス画面60で[次へ]キー57の操作を受付けると、次の作業手順を示すガイダンスイラスト63(
図9参照)に切り替える。右側面のドアを閉じる操作を促すものである。
併せて、
図9では用紙搬送経路R1に滞留した用紙を除去したユーザーによる除去枚数の入力操作を受付けて、制御部110が除去枚数入力欄53の除去枚数に「1」を表示させている。滞留枚数表示欄52に表示された滞留枚数は2枚であるから、残る1枚の滞留用紙を取り除く必要がある。
【0031】
図9に示すジャム処理ガイダンス画面60で[次へ]キー57の操作を受付けると、制御部110は次の作業手順を示すガイダンスイラスト64(
図10参照)に切り替える。ジョブで選択された最上段の給紙トレイ18を手前側へ引き出す操作を促すものである。
さらに、
図10に示すジャム処理ガイダンス画面60で[次へ]キー57の操作を受付けると、制御部110は次の作業手順を示すガイダンスイラスト65(
図11参照)に切り替える。引き出された最上段の給紙トレイ18から給紙され給紙ローラ33付近に滞留する用紙を引き出して取り除く操作を促すものである。
【0032】
さらに、
図11に示すジャム処理ガイダンス画面60で[次へ]キー57の操作を受付けると、制御部110は次の作業手順を示すガイダンスイラスト66(
図12参照)に切り替える。引き出された最上段の給紙トレイ18を元の位置へ戻す操作を促すものである。
制御部110は、
図12に示すジャム処理ガイダンス画面60に[次へ]キー57を表示させない。
図12のガイダンスイラスト66が最後のジャム処理手順を示すものだからである。
【0033】
併せて、
図12では給紙ローラ33付近に滞留した用紙を除去したユーザーによる除去枚数の入力操作を受付けて、制御部110が除去枚数入力欄53の除去枚数に「2」を表示させている。滞留枚数表示欄52に表示された滞留枚数は2枚であるから、すべての滞留用紙が取り除かれたことになる。
以上、ジャム処理ガイダンスの表示に関してジャム報知部132としての制御部110が行う処理について述べた。
【0034】
図4に示すフローチャートの説明に戻る。
印刷を伴うジョブの実行中に紙詰まりが発生し、ステップS15でジャム状態に設定された後も
図4の処理は逐次実行される。即ち、
図7~
図12に示すジャム処理ガイダンス画面60を表示させながら、ガイダンスイラストに従ってユーザーが滞留用紙を除去する作業を行っている間、制御部110は
図4の処理を逐次実行する。その段階ではジャム状態が既に設定されているので、
図4に示すステップS11の判定はYesへ進む。そして、ジャム処理判定部133としての制御部110は、何れかのドアが開いている状態(ドアオープン状態)からすべてのドアが閉じられた状態(ドアクローズ状態)になったか否かの判定を行う(ステップS21)。
【0035】
即ち、
図7に示すガイダンスイラスト61に従いユーザーが右側面のドアを開けると、制御部110は、右側面のドアの開閉を検出するドアセンサー(不図示)の信号に基づいて、ドアオープン状態を検出する。
図9に示すガイダンスイラスト63に従い右側面のドアが閉じられると、ドアセンサーはドアクローズ状態を検出する。
そして、ジャム処理判定部133としての制御部110は、各用紙センサー45の状態に基づいて、内部に滞留したままの用紙が残っているか否かを判定する(ステップS23)。何れの用紙センサー45も用紙を検出していなければ(ステップS23のNo)、全ての滞留用紙が除去されたものと判定する。即ち、ジャム処理が完了したものと判定する。そして、ジャム状態の設定を解除する。さらに、ジャム処理ガイダンス画面60またはジャム状態基本画面50の表示を終了させてジョブ実行の画面に戻し、処理を終了する(ステップS25)。そして、搬送制御部131として制御部110は、紙詰まりの発生により中断したジョブを再開させる。
【0036】
一方、前記ステップS23の判定で、何れかの用紙センサー45が用紙を検出している場合(ステップS23のYes)、制御部110は、次の処理を実行する。ジャム処理判定部133としての制御部110は、滞留枚数(滞留枚数表示欄52に表示させている枚数)と除去枚数入力欄に入力された除去枚数、即ち、除去された残留用紙の枚数としてユーザーが入力した値とを比較する。その結果、除去枚数が残留枚数に満たない場合、即ち、未だ取り除かれていない残留用紙があることがユーザーによって入力されている場合(ステップS27のYes)、制御部110は次の処理を実行する。ジャム報知部132として制御部110は、ジャム状態基本画面50またはジャム処理ガイダンス画面60(後述する紙片確認ガイダンスが表示されていた場合は紙片確認ガイダンス)の表示を継続する(ステップS29)。そして、処理を終了する。
【0037】
これは、
図9に示す例のように、滞留枚数が2枚で入力された除去枚数がそれよりも少ない1枚の状態で、右側面のドアが閉じられた状態に該当する。その段階で、制御部110は、ジャム処理ガイダンス画面60の表示を継続する。
続けて、
図10に示すガイダンスイラスト64に従いユーザーが給紙トレイ18を引出し、
図12に示すガイダンスイラスト66に従いユーザーが給紙トレイ18を挿入すると、制御部110は、ドアオープン状態と認識する。最上段の給紙トレイ18の挿抜センサー18cによってその状態を検出し、ドアオープン状態と認識するのである。ジャム処理上のそして、給紙トレイ18が挿入されると、ドアオープン状態からドアクローズ状態になったとして判定する。また、
図12では、除去枚数として、滞留枚数に等しい2枚が入力されている。
【0038】
図12に示すガイダンスイラスト66に従い給紙トレイ18が挿入されると、その段階でステップS21のドアクローズ判定はYesへ進む。そして、ステップS23の判定で何れかの用紙センサー45が用紙を検出していると(ステップS23のYes)、ステップS27の判定では、滞留枚数=除去枚数であることから、Noへ進む。
その場合、制御部110は、ステップS27の判定において、ジャム状態になってから滞留枚数=除去枚数の条件が初めて成立し、
図5に示すステップS31の判定に至ったか否かを判定する。
【0039】
ジャム状態になってから初めて
図4に示すS27の判定結果のNoを経て
図5に示すステップS31の判定に至った場合(ステップS31のYes)、制御部110は、操作ユニット105に紙片が残留していないかユーザーに確認を促す表示を行うようにして(ステップS41)、処理を終了する。例えば、
図6に示すジャム状態基本画面50を表示させると共に、用紙を検出している用紙センサー45の付近に紙片が残留していないか確認を促すメッセージを表示させてもよい。
また、
図6に示すジャム状態基本画面50を表示させて、ガイダンスキー55の操作を受付けたら紙片確認ガイダンスを表示させるようにしてもよい。
ここで、紙片確認ガイダンスは、1以上のガイダンスイラストを用いてジャム処理の手順を示す点でジャム処理ガイダンスと類似するが、内容はジャム処理ガイダンスと異なるものである。
【0040】
図13~
図16は、この実施形態における紙片確認ガイダンスの一例を示す説明図である。
図13~
図16に示す紙片確認ガイダンス画面70は、給紙トレイ18の給紙ローラ33付近に残留紙片がないか確認を促すものである。即ち、
図10~
図12に示すジャム処理ガイダンスに従って用紙を除去し、給紙トレイ18を挿入したところ、給紙ローラ33付近の用紙センサー45が用紙をなお検出している場合に表示するものである。
図13に示す紙片確認ガイダンス画面70のガイダンスイラスト71は、最上段の給紙トレイ18を手前側へ引き出す操作を促すものである。
【0041】
図13に示す紙片確認ガイダンス画面70において、制御部110は、ガイダンスイラスト71の他に、ジャム状態基本画面50と同様の紙づまりメッセージ51、[終了]キー56および[次へ]キー57を表示させる。さらに、残留紙片確認メッセージ77を表示させる。
図13に示す紙片確認ガイダンス画面70で[次へ]キー57の操作を受付けると、制御部110は次の作業手順を示すガイダンスイラスト72(
図14参照)に切り替える。引き出された最上段の給紙トレイ18の奥にある給紙ローラ33付近に残留紙片がないかを確認する操作を促すものである。
【0042】
さらに、
図14に示す紙片確認ガイダンス画面70で[次へ]キー57の操作を受付けると、制御部110は次の作業手順を示すガイダンスイラスト73(
図15参照)に切り替える。外から見えにくい給紙ローラ33付近の断面構造を示すイラストである。
図15に示す紙片確認ガイダンス画面70で[次へ]キー57の操作を受付けると、制御部110は次の作業手順を示すガイダンスイラスト74(
図16参照)に切り替える。引き出された最上段の給紙トレイ18を元の位置へ戻す操作を促すものである。
以上、紙片確認ガイダンスの表示に関してジャム報知部132としての制御部110が行う処理について述べた。
【0043】
図5に示すフローチャートの説明に戻る。
図13~
図16の紙片確認ガイダンスに従って紙片を除去し、給紙トレイ18を挿入した結果、何れの用紙センサー45も用紙を検出しなければ、
図4のステップS23の判定はNoとなり、制御部110はジャム状態を解除してジョブを再開する。
一方、給紙トレイ18を挿入した結果、依然として給紙ローラ33付近の用紙センサー45が用紙を検出している場合は、
図4のステップS23のYes,ステップS27のNoを経て,
図5のステップS31の判定はNoへ進む。ここで制御部110は、残留紙片の確認および除去を行ったかを改めてユーザーに確認するダイアログを操作ユニット105に表示させるようにしてもよい(ステップS33)。
【0044】
図17は、残留紙片の確認および除去を行ったかを確認するダイアログの例である。
図17に示す例で、ジャム処理判定部133として制御部110は、ジャム状態基本画面50に重ねて残留紙片確認ダイアログ75を操作ユニット105に表示させて、[Yes]キーまたは[No]キーのユーザーの入力を求める。
[No]キーの操作を受付けた場合は(ステップS35のNo)、元のジャム状態基本画面50または紙片確認ガイダンス画面70に表示を戻し(ステップS41)、給紙トレイ18が再び引き出された後挿入されるのを待つ。
【0045】
[Yes]キーの操作を受付けた場合は(ステップS35のYes)、
図18に示すように、用紙センサー確認ダイアログ76を表示させて、用紙センサーが故障している可能性がある旨をユーザーに知らせ、ユーザーの確認を求めるようにしてもよい(ステップS37)。用紙センサー確認ダイアログ76の[OK]キーが操作され、ユーザーの確認を受付けたら(ステップS39のYes)、元のジャム状態基本画面50または紙片確認ガイダンス画面70に表示を戻し(ステップS41)、ユーザーの対応を待つ。
以上が、この実施形態においてジャム処理に関して制御部110が実行する処理である。
【0046】
以上に述べたように、
(i)この発明による画像形成装置は、用紙が給搬送される経路に配置され用紙を検出する複数の用紙センサーと、前記経路における紙づまりを各用紙センサーにより監視する搬送制御部と、前記紙づまりによって内部に滞留した用紙の滞留位置および滞留枚数を報知するジャム報知部と、滞留用紙の除去枚数の入力を受付けてジャム処理が完了したか否かを判定するジャム処理判定部とを備え、前記ジャム処理判定部は、受付けた除去枚数が前記滞留枚数に達したら各用紙センサーに用紙の有無を検出させ、何れかの用紙センサーが用紙を検出している場合は残留する紙片の確認および除去を促す報知を前記ジャム報知部に行わせることを特徴とする。
【0047】
この発明において、用紙センサーは、画像形成装置内で用紙が給紙される経路および搬送される経路の複数の位置に配置されて用紙の有無を検出するセンサーである。
搬送制御部は、例えば、用紙を給送してから所定の期間内に最も上流の位置の用紙センサーが用紙を検出しない場合に紙づまりが発生したと判定する。あるいは、上流の用紙センサーが用紙を検出してから所定の期間内にその下流の用紙センサーが用紙を検出しない場合に紙づまりが発生したと判定する。異なる位置での同一用紙の先端検出タイミングに基づく紙づまり判定である。逆に、上流の用紙センサーが用紙を検出しなくなってから所定の期間内にその下流の用紙センサーが用紙を検出しなくなった場合に紙づまりが発生したと判定することもできる。異なる位置での同一用紙の後端検出タイミングに基づく紙づまり判定である。また、ある位置の用紙センサーが用紙を検出してから検出しなくなるまでの期間が用紙の送り方向のサイズに対して定められた所定の期間を過ぎた場合に、その位置に用紙が滞留する紙づまりと判定できる。同じ位置での同一用紙の先端検出から後端検出のタイミングに基づく紙づまり判定である。
【0048】
搬送制御部の具体的な態様の一例は、プロセッサおよびメモリを中心に構成るハードウェア資源とメモリに格納されたソフトウェア資源としての制御プログラムによって実現される機能である。前記プロセッサが制御プログラムを実行することによってその機能が実現される。
搬送制御部は、用紙の給搬送を開始してから停止するまでの間、給紙した用紙の枚数と排出された用紙の枚数を数えている。紙づまりが発生したと判定した場合、給搬送を停止させた時点における給紙枚数と排出枚数の差分から滞留枚数を算出する。
【0049】
さらにまた、ジャム報知部は、ユーザーに対して紙づまりの発生を報知するものである。報知の具体的な態様は、特に限定されないが、例えば、文字、イラスト、アニメーション等の表示や音声あるいはそれらの組合せによる報知であってもよい。
ジャム処理判定部は、ジャム報知部による報知に対してユーザーが滞留用紙を除去したことを知らせる信号を受付けた場合に、ジャム処理が完了したか否かを判定するものである。その具体的な態様は、例えば、搬送制御部と同様にプロセッサが制御プログラムを実行することによって実現される機能である。ユーザーが滞留用紙を除去したことを知らせる信号としては、例えば、ジャム処理のために開かれていたすべてのドアが閉じられたことを知らせる信号が挙げられる。ただし、それに限るものでない。
【0050】
また、除去枚数は、滞留用紙を除去したユーザーが入力するものである。その具体的な態様としては、例えば、用紙の滞留位置および滞留枚数を表示する操作ユニットを用いてユーザーが除去枚数を入力するものが挙げられる。滞留用紙がすべて取り除かれた場合は除去枚数と滞留枚数が等しくなる。しかし、滞留用紙の一部(紙片)が残留しており用紙センサーがその紙片を検出している場合、見かけの除去枚数と滞留枚数が等しくてもジャム処理判定部はジャム処理が完了したと判定しない。残留紙片を残したまま用紙の給搬送を再開すると、用紙の搬送不良や画像形成不良、残留紙片の焦げによる異臭発生等の不具合が発生し得るからである。
【0051】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
(ii)前記ジャム処理判定部は、紙片の確認終了を知らせる入力を受付けて各用紙センサーに用紙の有無を検出させ、何れかの用紙センサーが用紙を検出している場合は残留する紙片の再確認および除去を促す報知に加えて、用紙センサーが不良の可能性がある旨の報知を前記ジャム報知部に行わせてもよい。(実施の形態2)
このようにすれば、紙片の確認及び除去を促す報知を行った後に確認終了を知らせる入力を受付けたが、依然として何れかの用紙センサーが用紙を検出している場合に、再確認を促すかまたは用紙センサーが不良の可能性がある旨の報知を行ってユーザーの対処を促すことができる。
【0052】
(iii)前記ジャム処理判定部は、残留する紙片の再確認および除去を促す報知を前記ジャム報知部に行わせる際、残留する紙片の確認および除去の手順を示す紙片確認ガイダンスを報知させてもよい。(実施の形態3)
このようにすれば、単に残留紙片の再確認および除去を促すだけでなく、その手順を報知することによってより確実に残留紙片が除去されるようにできる。
【0053】
(iv)前記ジャム処理判定部は、紙づまりが発生した場合に滞留用紙の除去手順を示すジャム処理ガイダンスを前記ジャム報知部に報知させ、前記紙片確認ガイダンスは、前記ジャム処理ガイダンスと異なる手順を示すガイダンスであってもよい。
このようにすれば、単なるジャム処理ガイダンスと共通の報知をするのではなく、残留紙片の確認及び除去に特化したガイダンスを報知することによってより確実に残留紙片が除去されるようにできる。
【0054】
(v)この発明の一態様は、画像形成装置の制御部が、用紙が給搬送される経路に配置され用紙を検出する複数の用紙センサーを用いて前記経路における紙づまりを監視するステップと、ジャム報知部を用いて前記紙づまりによって内部に滞留した用紙の滞留位置および滞留枚数を報知するステップと、滞留用紙の除去枚数の入力を受付けてジャム処理が完了したか否かを判定するステップと、受付けた除去枚数が前記滞留枚数に達したら各用紙センサーに用紙の有無を検出させるステップと、何れかの用紙センサーが用紙を検出している場合は滞留する紙片の確認および除去を促す報知を前記ジャム報知部に行わせるジャム制御方法を含む。
【0055】
この発明の態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0056】
11:光走査ユニット、 12:現像ユニット、 13:感光体ドラム、 14:ドラムクリーニング装置、 15:帯電器、 17:定着ユニット、 18:給紙トレイ、 18a:用紙サイズセンサー、 18b:用紙切れセンサー、 18c:挿抜センサー、 18d:用紙レベルセンサー、 19:手差しトレイ、 21:中間転写ベルト、 22:ベルトクリーニングユニット、 23:2次転写ユニット、 23a:2次転写ローラ、 24:加熱ローラ、 25:加圧ローラ、 33:給紙ローラ、 34:搬送ローラ、 35:レジストローラ、 39:排出トレイ、 45:用紙センサー
50:ジャム状態基本画面、 51:紙づまりメッセージ、 52:滞留枚数表示欄、 53:除去枚数入力欄、 54:ジャムマップ、 55:ガイダンスキー、 56:[終了]キー、 57:[次へ]キー、 58:[戻る]キー、 60:ジャム処理ガイダンス画面、 61,62,63,64,65,66,71,72,73,74:ガイダンスイラスト、 70:紙片確認ガイダンス画面、 75:残留紙片確認ダイアログ、 76:用紙センサー確認ダイアログ、 77:残留紙片確認メッセージ
100:複合機、 103:原稿搬送ユニット、 105:操作ユニット、 110:制御部、 111:画像読取デバイス、 115:画像形成デバイス、 121:プロセッサ、 122:RAM、 123:不揮発性メモリ、 124:通信回路、 125:ビデオコントローラ、 131:搬送制御部、 132:ジャム報知部、 133:ジャム処理判定部
D1:スイッチバック経路、 Pk,Pc,Pm,Py:画像ステーション、 R1:用紙搬送経路