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  • 特開-太陽光発電システム 図1
  • 特開-太陽光発電システム 図2
  • 特開-太陽光発電システム 図3
  • 特開-太陽光発電システム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189074
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/21 20140101AFI20221215BHJP
   E01C 5/22 20060101ALI20221215BHJP
   H02S 40/00 20140101ALI20221215BHJP
   H02S 20/10 20140101ALI20221215BHJP
【FI】
H02S20/21
E01C5/22
H02S40/00
H02S20/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097430
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【テーマコード(参考)】
2D051
5F151
【Fターム(参考)】
2D051AA05
2D051AF17
2D051AH01
2D051DA11
5F151JA13
(57)【要約】
【課題】 景観破壊や自然環境破壊を生じることなく膨大な発電量確保が可能であり、太陽光パネルを損傷させることなく最大限の受光面積を確保できる太陽光発電システムを提供する。
【解決手段】 車道路面に設けた溝に太陽光パネルを設置した太陽光発電システムであって、車道の走行規制に応じて前記溝の幅が相違する太陽光発電システムとした。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行方向に沿って複数の溝を車道に配列し、前記溝に太陽光パネルを設置した太陽光発電システムであって、
車道の走行規制に応じて前記溝の幅が相違する太陽光発電システム。
【請求項2】
前記太陽光パネルを弾性手段で上下移動可能に支持した、請求項1の太陽光発電システム。
【請求項3】
前記溝が地下水を流通させ及び/又は雨水を貯留することが可能である、請求項1の太陽光発電システム。
【請求項4】
前記車道の制限速度に応じて前記溝の幅が相違する、請求項1の太陽光発電システム。
【請求項5】
前記車道の走行帯毎に前記溝の幅が相違する、請求項1の太陽光発電システム。
【請求項6】
一部の前記溝に芝生を設置した、請求項1の太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車道を利用した太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギー源として太陽光発電が注目されている。しかし、山林等に設置した太陽光発電システムは景観破壊や自然破壊のデメリットも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-036711号公報
【特許文献2】特開2019-017243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は車道に設置した太陽光発電システムにより景観破壊や自然破壊を回避することを着想した。従来、歩道設置の太陽光発電システムは検討例が存在するが、車道設置を主眼としたものはほとんど存在しない。例えば、特許文献1は車道設置への言及は含むものの、主眼は非自動車道(歩道)設置の太陽光発電システムであり、車道設置とした場合の特有の課題や解決手段を検討した事例は存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願には、
車両の走行方向に沿って複数の溝を車道に配列し、前記溝に太陽光パネルを設置した太陽光発電システムであって、
車道の走行規制に応じて前記溝の幅が相違する太陽光発電システムが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】例示的な太陽光発電システム1を示す。(a)は平面図、(b)は拡大断面図。
図2】制限速度に応じた溝幅の太陽光発電システム1を示す。(a)は高速、(b)は中速、(c)は低速。
図3】走行帯に応じた溝幅の太陽光発電システム1を示す。
図4】他の実施形態の太陽光発電システム1Aを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は例示的な太陽光発電システム1を示す。太陽光発電システム1は、車道10に形成された溝20とその中に設置された太陽光パネル30を有する。車道10は高速道路、一般道、農道を含む。図のように、溝20は車道10の幅員方向に延在するのがよい。溝20は車道10の走行方向に定間隔又は不定間隔で多数配列され得る。溝20は車線毎に設けてもよいが、図のように複数の車線(例えば、登り/下り車線)に跨って設けるとよい。太陽光パネル30は幅員方向に溝20と実質的に同一の長さを有するとよい。溝20及び太陽光パネル30は幅員方向で同一の断面形状であり得る。
【0008】
溝20は車道10の走行規制に応じて異なる幅Wを有する。走行規制は例えば制限速度や走行帯、その他の特殊事情(交差点/踏切等)がある。
【0009】
図2は、制限速度に応じた溝幅の太陽光発電システム1を示す。(a)は高速(例えば、80km/h)の場合であり小さな溝幅(例えば、6cm)を有し、(b)は中速(例えば、50km/h)の場合であり中程度の溝幅(例えば、8cm)を有し、(c)低速(例えば、30km/h)の場合であり大きな溝幅(例えば、10cm)を有する。
【0010】
図3は、走行帯に応じた溝幅の太陽光発電システム1を示す。図のように、普通車用走行帯11では小さな溝幅(例えば、4~8cm)を有し、大型車用走行帯12では中程度の溝幅(例えば、5~10cm)を有し、路肩13では大きな溝幅(例えば、7~10cm)を有する。これらの溝幅は、制限速度と車両の重量を考慮したものである。本例は、高速道路に好適に適用できる。
【0011】
このように、車道の走行規制(制限速度や走行帯等)に応じて溝幅を相違させることでタイヤとの接触による太陽光パネル30の損傷を防ぎつつ/軽減しつつ受光面積の拡大を図り得る。高速車道で溝幅を小さくすることで安定走行を確保でき、低速車道で溝幅を大きくすることで無謀運転を防止できる効果もある。
【0012】
太陽光パネル30はバネ等の弾性手段31により上下移動可能に支持される。これにより、車両タイヤとの接触による太陽光パネル30の損傷を軽減できる。弾性手段31は幅員方向に複数の弾性手段31を有してもよいし、幅員方向に連続する単一の幅員方向でもよい。図では単一の弾性手段31を示すが、走行方向に複数の弾性手段31を配列してもよい。弾性手段31は太陽光パネル30を上方に向けて付勢するとよい。溝20の側壁と太陽光パネル30の間に隙間Gを設け、太陽光パネル30が弾性手段31により揺動できるようにするとよい。これにより、太陽光パネル30に積もった土砂等を溝20に落下させることができる。
【0013】
溝20は地下水を流通させ及び/又は雨水を貯留することができるのがよい。地下水は通常は14℃以上なので地下水を流通させることでアイスバーンを防止でき、雨水を貯留することで路面温度を安定化(例えば、ヒートアイランド現象の緩和)できる。地下水流通/雨水貯留のために溝20は側壁/底面に被覆21等による防水手段を有し得る。この場合、水深を一定以下に保つと路面の浸水や害虫の発生等を防止し得るのでよい。例えば、底部から一定高さにのみ側壁の被覆21を設けることで水深を制限し得る。また、地下水を流通させる場合、溝20に流入管/排出管を設けるとよい。
【0014】
車道は広大であるため、本発明の太陽光発電システム1により発電量の大幅拡大が可能であり、都市部の車道に設置可能であるため送電ロスの問題を解消できる。また、山林/原野等への敷設と比較して景観破壊や自然環境破壊を軽減できる。車両の走行速度(制限速度)や重量に応じて溝幅を相違させたことにより、太陽光パネル30の損傷を防ぎつつ/軽減しつつ受光面積の拡大を図り得る。
【0015】
図4は他の実施形態の太陽光発電システム1Aを示す。太陽光発電システム1Aでは1つ置きの溝20に太陽光パネル30が設置され、他の溝20に芝生22が植えてある。23は客土である。太陽光発電システム1Aではさらに路面の緑化/景観向上が達成できる。太陽光発電システム1Aは車道10が駐車場である場合に特に好適である。N個置きの溝20が太陽光パネル30で他の溝20が芝生22でもよく、N個置きの溝20が芝生22で他の溝20が太陽光パネル30でもよい(Nは2以上の自然数)。芝生22の溝と太陽光パネル30の溝をランダムに配置してもよい。
【0016】
上記実施形態に記載した太陽光発電システム1やその要素の寸法、形状、配置、個数、材料等は例示であり、他の態様も可能である。
【符号の説明】
【0017】
1,1A・・・太陽光発電システム
10・・・車道
11・・・普通車用走行帯
12・・・大型車用走行帯
13・・・路肩
20・・・溝
21・・・防水等の被覆
22・・・芝生
23・・・客土
30・・・太陽光パネル
31・・・弾性手段
図1
図2
図3
図4